さて、いよいよこのシリーズも一応最後のつもりです。トラックの話は元々テキストと数枚のスクリーンショットだけのつもりだったのが、画像を貼りまくって3ページになってしまいました。最後は近年増加傾向にあるロードコースと、逆に色々とそうやって開催地が増える中で、今季は開催されていないけど最近まで使っていた、あるいは使ったことのある開催地を並べました。
〇ロードコース
ロードコースは日欧で我々が見慣れた『普通のサーキット』ということになります。元々NASCARはオーバルだけでレースを行うのが基本でロードコース戦は長年シーズンで2戦だけでしたが、観客動員や視聴者数をなんとか向上させようとする中でここ数年で開催数が一気に増えました。
左だけに曲がるオーバルと違って当然左にも右にも曲がりますし、加減速の回数も多くなります。Generation6までの車両は4速のギア、しかもHパターンのシフトでしたが、オーバルでは基本的にレースが始まったら4速しか使わないので、ロードコースはシーズンで数少ない『レース中にシフト操作する場所』でもありました。そのためシフト操作技術も重要でしたが、Generation7は5速のシーケンシャルなのでこの辺の独特さは無くなりました。
ストックカーはライトがただのシールなのでブレーキを踏んでも後部ライトは点灯しませんから、前の車とのブレーキの合わせ方はやや大変。しかもブレーキとタイヤの摩耗が結構激しいので、みんな同じような場所でブレーキを踏むとも限りません。
NASCARドライバーの中にはずっとオーバルを中心に戦ってきたドライバーも多いので普段とは勢力図が変わることがあるほか、小規模チームはロードコース専用のドライバーを起用することもあります。普段のオーバルだと上位になかなか対抗できない人が一発逆転を狙えるのも魅力ですが、あまりに増えるとやっぱりオーバルが恋しくなります。
なおNASCARには独特のルールがあり、シケイン状のターンでうっかり曲がり損ねた場合には、当該シケイン内で完全に一旦停止してから再発進することが求められます。トラックによっては通過してしまった次のシケインでの消化も認められていますが、これを守っていないと判定された場合にはパススルーのペナルティーが課せられます。ミスってS字を真っすぐ走っただけでペナルティーという例もあります。外側のトラックリミットは無制限で、オーバルだと内側もカットし放題のくせに、なぜかシケインだけは世界的に見てもそうとう厳しいですw
また、ロードコースは雨用のタイヤとワイパーが用意されており、仮に雨が降ってもよほど酷い条件でなければレースを開催できます。2023年から一部ショートオーバルも雨天開催可能にはなりましたが、それでもNASCARでは特殊な部類です。雨天用装備としては後部ライトもありますが、ライトは単に常時赤く光っているだけブレーキと連動しているわけではなく、あくまで視界が悪い中でも後続車に存在を知らせるだけのものです。
サーキット オブ ジ アメリカズ(テキサス州オースティン)
全長 3.41マイル
ターン数 20
照明設備:なし
所有者:サーキットオブジアメリカズLLC
F1アメリカGPの開催地としてお馴染みのサーキットオブジアメリカズ。2021年に開催地に加わりました。マイル表記の距離がやや曖昧ですが、NASCARは3.41マイルとしています。名前が長いので『オースティン』や『CoTA(コータ)』と呼ばれます。スタート直後にいきなり急な登り坂からの鋭角なターン1、その先は鈴鹿をイメージしたというS字区間、ターン11からは長い直線とその先の鋭角なターン12へと続き、最後は中速コーナーが連続します。
F1ならものすごい高速で通過するS字区間を、ストックカーは重たい車でのっそりのっそりと切り抜けるので、予選タイムでも1周に2分以上かかります。何せ外側のトラックリミットが無制限なので、特にリスタート直後はみんな好き放題に道幅を使って走ることになり、接触リスクがかなり高い部類のロードコースと言えます。
ソノマ レースウェイ(カリフォルニア州ソノマ)
ターン数 12
照明設備:なし
所有者:スピードウェイ モータースポーツ
1968年開場、最初は『シアーズ ポイント レースウェイ』という名称で、2002年に命名権を売却して『インフィニオン レースウェイ』になりました。グランツーリスモ4にこの名称で収録されていたので、ゲームでご存知の方もいらっしゃるかと思います。その後契約終了に伴って現在の名前になりました。
およそ50mの高低差があるのが特徴で、スタートするとすぐに左にキンクするターン1、その先に急な上り坂とともにターン2、3が現れます。ターン2と3は外側に向かって道路が傾斜している、いわゆるオフキャンバーのターンで、なおかつターン2のブレーキングは旋回ブレーキが必要なので、車を曲げるのが非常に難しい箇所です。
NASCARでは1989年の初開催以来、ターン4~6を通らずターン4aから7へ続く短い方のレイアウトを使用していましたが、2019年に30周年を記念してフルのレイアウトになりました。しかし、旧レイアウトの方が人気だったらしく2022年からはまた短いレイアウトに戻りました。
その長短のレイアウトの分岐点の先、ターン4aが1つの名物になっていて、内側の縁石がものすごく高く作ってあり、なおかつ外側にも大きな縁石があります。縁石とコース幅を大胆に使うと、内側で飛び跳ねて片輪走行し、そして外側でまた縁石を跨ぎ超えて飛び跳ねながらターンを通過するので、Gen6までは見た目に非常に面白いターンでした。Gen7車両ではさすがに飛ぶと損するだけなのか、内側の縁石はかすめるぐらいにするのが基本になったので見た目上は面白味が減りましたw
ターン7aを過ぎると中高速の連続するS字区間で、1つ失敗するとその先も全部上手く行かない区間です。シケインのあるターン9aは通らずに、高速のターン10を抜けて事実上最終のターン11へ。突っ込みすぎた車によるミサイル攻撃が多いです。ピットはターン11の手前で左側にある分岐を進むので、右回りのトラックですがピットは左側にウォールがあるオーバルと同じ配置になっています。
NASCAR以外にも地方レースを多く開催しアマチュアへの貸し出しも行われていて参加者としても親しみを持てるトラック、ドラッグレース用の直線もあったりして、全体的にアメリカンモータースポーツを感じられるような良いトラックです。ちなみにソノマはワインの産地としても有名です。
ワトキンスグレン インターナショナル(ニューヨーク州ワトキンスグレン)
全長 2.45マイル
ターン数 8
照明設備:なし
所有者:NASCAR
ワトキンスグレンは1956年開場、1961年~1980年にはF1が開催されていました。名前が長いので、単に『グレン』と呼ばれることが多いです。カップシリーズは1986年以降、パンデミックの影響で中止となった2020年を除いて毎年開催されている常連のロードコースです。グランツーリスモ7に収録されたので、ゲームで走った経験のある方も多くなったかもしれません。
元々は1948年からワトキンスグレンの公道でレースが開催されていたそうなんですが、1952年にコースを外れた車によって7歳の子供が撥ねられて死亡する事故があり、もう公道レースはやめよう、と常設コースを作ることになったそうです。
本来は全長3.45マイルのトラックですが、NASCARで使用する際には一部を省略したショート レイアウトで開催されます。Wikipediaの図がそのままだと分かりにくかったので、ちょっと勝手にsvgデータをいじってごめんなさいなんですが、ターン5の先、ブーツと呼ばれている区間を通らない2.45マイルのトラックが使用されます。
バックストレートにあるシケイン部分は『インナー ループ』その次の右のターンを『アウター ループ』と呼びます。前者には『バス ストップ』、後者には『キャルッセル』という別の名称もあるのでちょっとややこしいです。
そしてさらに意味の分からんことに、ターンの数はシケインを全部まとめて1つと数えて合計8つ、しかし数字の割り振りはターン1、2、3、4、インナーループ、5、6、7、という謎の数え方をするので最終の8つ目のターンは『ターン7』になります。全体的に中高速コーナーが多いので『ロードコースのデイトナ』という変なあだ名が付けられています。
ターン1を抜けるとその先はほぼ全開ながら左右に曲がったS字で、ストックカーで走るとラインが基本的に一本しかありません。それでいて、コース外にすぐガードレールが迫っていて逃げ場がありません。そのため、ここで意地を張りすぎたりして接触事故が起きると行き場の無い後続がえらいことになり、確かにデイトナ級の多重事故が起こります。
逆にターン1、アウターループ、ターン6の出口は外側のエスケープがとても広いのではみ出し放題で、特にリスタート後はみんなはみ出しまくって我先に走ろうとするダイナミックな争いも起こります。そしてやっぱり事故ります。ロードコースとしてはアクションが大きめのトラックです。右回りのトラックでピットが普段とは逆の右側にあるため、クルーの動きも逆になって作業ミスが多くなりやすいのも特徴と言えます。
シャーロット モータースピードウェイ (ローバル)
全長 2.28マイル
ターン数 17
Wikipediaにコース図の画像がアップされていないので、TransAmシリーズの動画から空撮映像を引っ張ってきました^^; ここではターンは全部で19ですが、NASCARではなぜかバックストレッチのシケインを11、12、と2つで1つにして数えるために、ターン数は17とされています。NASCARのターンの数え方には謎が多すぎますw
内側のロードコース部分を使用したレースは2018年に初開催されました。そうは言ってもオーバル部分もほぼ全部使っているので、テスト段階から ロード+オーバル→ローバル という名称で呼ばれ、ジョークかと思ったら本当にそう呼ばれてどうやら公式な名前だったので驚いた記憶があります。
基本的にはデイトナのロードコースを真似ているだけですが、1.5マイルのトラックでは面積が狭いので内側にコースを作ってもできることは限られており、ご覧の通り左右にくねくねと軽く曲げただけの形状です。ただ、内側の方が土地が低くて微妙な高低差があるため、ここを重たいストックカーで走らせるとそれなりに厄介な形状になっています。
オーバルのバックストレッチ部分と最終コーナーにはシケインが設けられており、特に最終のシケインはバンク部分を勢いよく走ってきた後左にステアリングを入れながら旋回荷重が残りながらの大きなブレーキングが必要なのでなかなか難しく、しかもブレーキへの負担も大きくなります。その気が無くてもミサイルが飛んでくることがある危険地帯です。
結果的にこのローバルでの最初のレースがある程度盛り上がったことで、さらにロードコースの数を増やしていく流れを決定づけたと思われます。
インディアナポリス モーター スピードウェイ ロードコース(インディアナ州スピードウェイ)
全長 2.439マイル
ターン数 14
照明設備:なし
所有者:ペンスキー エンターテインメント グループ
1909年開場の言わずと知れた世界最古の部類に入る常設トラック、最初期にレンガで舗装されていた時期があることから『ブリックヤード』の愛称を持ち、現在もスタート/フィニッシュ ライン部分にだけレンガをあえて残してあります。特徴的な四角形をしており、バンク角は9°と非常に低いです。
元々はインディー500しか開催していない場所でしたが、1994年にNASCARを初開催、当時の史上最大の観客動員を記録しました。いわば上流階級のような存在であったインディーの聖地に、中南部の荒くれ者のレースだったNASCARが招かれて開催された、というのはNASCARにとっても歴史的な出来事でした。
しかし後述する理由から、2021年に初めてオーバル部分ではなく内側のロードコースでの開催となりました。かつてはF1アメリカGPやMotoGPを開催、そして少し改修してインディーカーでも2014年から使用されるようになり、NASCARも同じトラックを使用します。コース図は在庫のスクショを流用^^;
明らかに鋭角なターンと言えるのはターン12、13のシケインぐらいで、あとは直角に見えてもやや弧を描いていて、車を少し横滑りさせながら、外へ出て行かないように踏ん張りつつ通過していくようなターンが多いです。細かく切り返すターンが複数あるので、タイヤが劣化してくるとどんどんラインが膨らんでタイムが一気に落ちる印象です。
ターン5・6は高速のS字のターンですが、2021年のレースではこの部分に設置された縁石がめくれてきてしまい、最終的に縁石で底を打った車がクラッシュして多重事故になるという大失態となり、レースがグダグダになりました。目新しさが無くなってきたのと、Gen7車両になってオーバルの魅力が復権してきたこともあり、2024年以降にオーバルが復活する可能性についても関係者から示唆されています。
BIG TROUBLE at @IMS!
— NASCAR on NBC (@NASCARonNBC) August 15, 2021
The curb comes up, debris goes everywhere, and multiple cars are collected - with Joey Logano going into the tire barrier. #NASCAR
📺 NBC
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シカゴ市街地コース(イリノイ州シカゴ)
全長 2.14マイル
ターン数 12
NASCAR史上初となる市街地レースとして2023年に初開催されるのがシカゴ市街地コースです。形状としてはフォーミュラE並みに『ザ・市街地』という形状です。Google Mapで場所を探すと
赤く線を引いたところがコースとして使用する場所、コース図は横に倒れているので左側が北になるわけですね。グラント公園の周辺道路で、スタート/フィニッシュ地点の前はバッキンガム噴水があり、北側にはアメリカ3大美術館の1つと言われるシカゴ美術館、南側には3つの自然博物館と、NFLシカゴ ベアーズの本拠地・ソルジャー フィールドがあります。大阪城公園の周辺道路、みたいな感じですかね()
このコースは2022年にi Racingのイベントでいわば『先行お披露目』のような形で発表されました。レイアウトを見ると追い抜きは難しそうで、地図計測でターン12からターン1までの直線が約800m、やたらぶつかるか何も起きないかの2択の未来が見えます。大都市の中をストックカーが走るという新たな試みがどうなるのか注目です。
〇おまけ 最近まで使っていた未使用トラック
これでカップシリーズの現役トラックは網羅しました。一方で、最近のカップシリーズではロードコース戦を増やしたり新しいオーバルトラックも採用したので、代わりに開催地から外れてしまった場所がいくつかあります。そんなに古い話では無いので将来復活する可能性もありますから、ついでに最後に載せてみます。
インディアナポリス モーター スピードウェイ(オーバル)
バンク角 ターン:9.2°
ストレート:0°
インディーカーで走ると超高速なインディアナポリス、しかしストックカーで走るにはターンでかなりの減速が必要で、バンク角が低いですからラインも基本的にアウトインアウトの一本となります。つまり、ポコノ―と似た特徴になります。
2.5マイルでロードコース的な展開になる点でもポコノ―と似ており、しかも日程編成の都合上この2つのトラックは比較的近い時期、それも夏場の暑いころに開催されていました。おかげで観客動員は年々低迷、すっかりインディアナポリスというブランドは剥げ落ちてしまいました。
これにより、変化を求めて2021年にロードコースに役割を受け渡すことになりました。ただ、Gen7車両ではオーバルのレースが全体的に盛り上がり、ドライバーとしても聖地インディアナポリスのオーバルで勝つというのは1つのステータスなので、2024年以降のオーバル復活や、ロードコースとの隔年開催などの案が浮上しており、近々オーバルがNASCARでも復活する可能性はありそうです。
ケンタッキー スピードウェイ(ケンタッキー州スパルタ)
全長 1.5マイル
バンク角 ターン1・2:17°
ターン3・4:14°
トライオーバル:8~10°
ストレート:4°
照明設備:あり
所有者:スピードウェイ モータースポーツ
ケンタッキースピードウェイは2000年開場で2011年から10年連続でカップシリーズのレースが開催されていましたが、2021年に日程から外れました。左右非対称で比較的バンク角の低いトラックで、近年はなぜか案外タイヤが減らないので変則的な作戦が乱れ飛ぶレースが行われていました。ケンタッキー州にはトヨタの工場が1980年代からあるので、トヨタとしてはお膝元と呼べる場所でのレースでもありました。
レースが開催されないので仕方なく2021年は内側の敷地を駐車場として貸し出したそうなんですが、5月ごろには世界的な半導体不足により『車体は完成したけど半導体が無くて生産が滞った』フォードのピックアップトラック数万台の駐車場所と化しました。さらに現地のニュースによれば、2021年9月の時点ではアマゾンが顧客から受け付けた『返品された商品を積んだトレーラー』がやはりものすごい台数停車していました。
半導体を待つトラックたち |
スピードウェイがあるケンタッキー州のスパルタというのは州内でも人口が少ない田舎なんですが、2023年の開業を目標にギャラティン群空港という空港が建設されています。ちょうどケンタッキースピードウェイの近くです。ただ、定期便が就航しないタイプの空港で物流や訓練等での用途が主になるようで、これができてスピードウェイへのアクセスが良くなり、NASCARもまた開催される!とかいう話でもないみたいです。
シカゴランドスピードウェイ(イリノイ州ジョリエット)
全長 1.5マイル
バンク角 ターン:18°
フロントストレッチ:11°
バックストレッチ:5°
照明設備:あり
所有者:NASCAR
シカゴランドはシカゴ近郊での新たなトラック建設を目的として計画され2001年に開場した1.5マイルのオーバルトラックです。トラックに付けられた地名と実際の所在地が異なるのはアトランタやシャーロットも同じですが、シカゴランドがあるジョリエットという街は完全に隣町。ジョリエットから見てシカゴは東側なんですが、トラックはジョリエットの南側にあるのでシカゴからかなり遠くて車で1時間程度かかります。
ジョリエットには元々『ルート 66 レースウェイ』というドラッグ ストリップとダート オーバルを有する小規模なトラックがあって、近くに敷地があったこともここに建設する要因となったそうです。
シカゴランドスピードウェイそのものは、Dシェイプよりさらに変形してバックストレッチも曲がっているという特殊な形状。だから別に難しいというわけではなく、正直これといった特徴のない普通の1.5マイルという印象です。2001年から2019年まで開催され、特に2011~2017年はプレイオフの初戦に使用されていましたが、パンデミックの影響で2020年のレースが中止となると、ケンタッキーとともに2021年の日程から脱落しました。
当初の計画では4段階にトラックを改装して、最終的にはブリストルのようにぐるっと1周を観客席で囲うという壮大な計画があったそうなんですが、実際そんなバラ色の未来にはなるはずもなく財政面で苦労している模様。当初はトラックの建設で大きな経済効果が見込める、という試算だったようですが見込みが甘かった感は否めません。
2020年、レースが無い間に『トラックの土地の多くが工業団地の再開発計画に含まれている』という噂が出て将来に暗雲が立ち込めました。この噂はジョリエット市が「この計画はトラックに影響しない」と否定したものの、先行きが不安視される中で今度は2021年に別の噂が浮上。
本拠地スタジアムの移転を検討しているNFLのシカゴ ベアーズについて、移転交渉がうまく進まなかった場合ジョリエットが誘致し、スピードウェイをスタジアムに転換する意向を市長が示したのです。そんなわけでかなり先行き不透明なシカゴランドでしたが、2023年9月に2輪のスーパーモトクロスのイベントを開催することが発表され、ようやくモータースポーツの開催地として利用されることになりました。ただオーバルレース開催という本来の活躍の場が戻ってくるのかは分からないままです。
デイトナ インターナショナル スピードウェイ ロードコース
全長 3.57マイル
ターン数 14
デイトナでは1959年にオーバルの内側にロードコースを建設、1962年から耐久レースが開催されて後に有名な24時間レースへと発展していくことになります。そのためロードコース自体はずっと昔からあったわけですが、NASCARでは2020年の COVID-19 感染拡大に伴う中止イベントの代替戦として、急きょここを使用したレースが日程に組み込まれました。同様の理由で2021年にも開催されています。
フロントストレッチ側のターン13、14のシケインは耐久レースでは使われないもので、追い抜きの促進とターン1の進入があまりに速くなりすぎることへの安全対策です。このシケインが厄介で、ターン12を脱出する前、まだステアリングを切っている状態からもう減速を開始しないといけないので、旋回荷重はあるわバンク角は変わるわ、というややこしい条件での大きなブレーキングが必要となりました。
他にもターン1、5、9 はかなりブレーキを使うので負担が大きく、ブレーキの容量が極めて小さいGen6車両では酷使するとブレーキから出火してしまうほどで管理が極めて重要でした。
ロードコース部分は路面が平坦でラインを掴むのがやや難しい他、ターン4のドッグレッグはストックカーでは油断すると曲がり切れずコース外へすっ飛ぶ可能性があり、しかもすぐにブレーキングから右のターン5へ切り返すので見た目より難しい連続ターンです。基本的には日程に組み込まれることのないトラックですが、常時使用されている場所ではあるので何か急な日程の穴が出来てしまった際には切り札として今後も使用される可能性はあるかもしれません。
ロード アメリカ(ウィスコンシン州エルクハートレイク)
全長 4.048マイル
ターン数 14
照明設備:なし
所有者:ロード アメリカ
アメリカと名付けられたトラックが2つもあることに驚きますが、こちらは1955年に開場した古いトラックで、開設以来基本的な形状が60年以上変わっていない珍しいトラックだということです。頭文字のRとAをかたどりつつもコース図を表現しようとしているロゴがなかなかイケてます。こちらも元々グレンと同様に公道でのレースが行われていましたが、グレンで子供が撥ねられた一件で「もう公道はあかん」と専用トラックへと移行したそうです。
基本的にはストップ&ゴーのレイアウトで、インフィールドは森の中に入って行くような形状。観客席を設けずに自由に座るスタイルと相まって見た目にも懐かしさを感じますが、1周4マイル超とカップシリーズ開催トラックで最長を誇り、フロントストレッチの長さは4405フィート=約1340mと非常に長いです。ふと考えたらリッチモンドの1周よりも長い直線ですね。
カップシリーズでは1956年に一度開催しただけでしたが2021年に復活。見た目は良いんですが、レース展開としては抜けないストップ&ゴーで単調になりがちで、そのせいか2023年はカップシリーズの日程から外れてエクスフィニティ―のみの開催となっています。
というわけで、気づいたら9編になってしまいましたが、NASCARに関するあれこれを一通り見てきました。日欧のレースと違うところが多いのでいきなり全部呑み込むのは無理ですが、何か数か所に興味を持ってしまえば、あとは見ているうちになんとかなりますw
NASCARの初歩的(?)なお話シリーズ
コメント
今年のソノマ レースウェイは、ターン4aから7に続くレイアウトに戻すようですね
個人的には、ターン4aで思いっきり縁石を超えて豪快に走る姿が印象的だったので、
嬉しい限りです
ありがとうございます、修正しました。発表文を見ていてもやっぱりあの跳ねる箇所が人気だったんでしょうね。周回数も110周に増えるので、たくさん自分たちの前を車が通過してくれた方がお客さんも喜ぶのかもしれません。
初めてHEAT5をやった時、NASCARのオーバル(特に1.5マイル)って意外とみんな同じような形状してるくせに、各トラック、各々の攻略法があって、まだまだなれるのに時間がかかりそうだと思いました。実際、未だにクワッドオーバルとニューハンプシャーが苦手ですw そもそも、ぱっとみ同じオーバル達、各々の特徴をしっかり再現してるこのゲームがすごいと思いました。
NASCARにしかない奥深さ的なところがありつつもちょいちょいアメリカ人ぽいどんぶり的なトコがあって面白かったです笑
フェニックスのさながらマリオカートばりのショートカットには笑いました笑笑
そりゃあオーバルしか走らないゲームですからこだわってるんですよw
今のゲームってよく出来てるので、ゲーム上であっても体験してみるとレースを見る時の見方だったり、ドライバーが何に苦戦してるかなんとなく想像できてより面白くなりますよね。ニューハンプシャーが苦手だというあたり、確かにあのトラックは何かしらのマジックがあるんだろうなあ、と想像します。
そう、細かいところを追及しておきながらところどころものすごく雑なあたりが良いんですよ 笑