NASCARの初歩的(?)なお話 7 高速トラック編

 初歩的と言いながら書いているうちに込み入った内容になるこのシリーズ。ここまで来たらあとはレース トラックです。NASCARで開催されるトラックはオーバルだけでも20箇所近くになり、ロードコースを加えると30に迫りますので、それをざっと並べてみます。実は今までに一度もこれをまとめたことが無いので、自分でもちゃんと全部のトラックを考察するのは初めてです。
 なお、バンク角などは情報ソースによって微妙に細かい数値が異なる場合があるので、基本的にはトラックの公式サイト、ないしはNASCAR公式サイトの数字を基にしています。その前にまずトラック関係の用語をまとめてみます。


・オーバル

 楕円形のトラックのことです。アメリカでは元々競馬場が左回りだったのでモータースポーツも一般的には左回りで使うことが多く、NASCARは全て左回りです。念のため。

・ターン

 曲線部分は日本だと慣習的にターンと呼んだりコーナーと呼んだりしてしまいますが、欧米ですから『ターン』と呼びます。オーバルではどう見てもターンは2つしか無いですが、これを便宜上さらに入り口側と出口側に分けて考え、最初のターンをターン1・2、後半のターンはターン3・4と呼びます。

・バンク角

 オーバルではターンに傾斜角を付けることで、車がより速く曲がれるようにしています。角度はトラックの特色を決める重要な要素の1つで、当然ながら高いほど高速になります。コース幅全体で同じ角度ではなく高い部分と低い部分があったり、左右非対称のトラックもあります。バンク角が一定でなく、外へ行くほど角度がきつくなるものを『プログレッシブ バンク』や『バリアブル バンク』と呼びます。

・フロントストレッチとバックストレッチ

 スタート/フィニッシュラインがある側の直線をフロントストレッチ、反対側の直線をバックストレッチと呼びます。フロントストレッチ側は緩やかな曲線を描いているトラックも多いですが、ここをターンとは数えません。

・エイプロン

 オーバルトラックにおいて、一般にバンク角がついていない内側の部分を指します。バンク角が付いていないし路面も汚れているので多くの場合走っても得しませんが、バンク角の低いショートオーバルでは使えることもあります。ピットの出入りの際には必然的にエイプロンを走ることになり、特にピット後は半周ほどエイプロン部分を走ってからバックストレッチで合流することが求められているトラックもあります。
 NASCARの場合トラック リミットに関する規則は、スーパースピードウェイにおいて『ダブル イエロー ラインより内側を走って利益を得てはいけない』という規則しかなくその他は使い放題なので、白線で隔てられているだけのエイプロン部分は自由に使用できます。


・トライ-オーバル

 デイトナに代表される形状で楕円というより二等辺三角形をした形状を指します。通常はフロントストレッチ側に緩い曲線を設けます。この曲線は緩いのでターンとは数えられず、全開で走行する事実上の直線です。余った内側の空間にピットを設置できるので形状としても合理的で、オーバルの基本形と言えます。
 元々デイトナを作る際に、横長の楕円形だと左右に広いのでお客さんがあちこち首を動かす必要があるのと、真っすぐにするとどうしても車は壁沿いの外側を走るので、曲げることでドライバーが近道したくなって内側を走り、お客さんから見えるようにしようと考えて作ったとされています。
 なお、トライオーバルという単語には、トラックの形状を指す意味合いだけでなく、このフロントストレッチ部分にある緩い曲線それ自体を指すこともあり、当欄でも以後この意味合いで何度か出てきます。
デイトナのトライオーバル部分

・クワッド オーバル

 トライオーバルの三角形の頂点を切り落としたような形状のトラックを指します。
シャーロットのクワッドオーバル部分

・Dシェイプ オーバル

 トライオーバルと似たようなものですが、全体に緩やかな曲線を描いていてアルファベットのDに似た形状をしていることからこう呼ばれます。トライオーバルの場合頂点部分の前後は短い直線になっていますが、Dシェイプの場合フロントストレッチ全体がゆるーく曲がっていて、完全な直線はバックストレッチにしかありません。でも見てる分にはトライオーバルかDシェイプかは特に影響がありませんw

・ペーパー クリップ オーバル

 ペーパークリップというのは文房具で紙をまとめるのに使うあのクリップのことで、クリップのように細長い左右対称の形状をしたトラックを指します。基本的に直線が長くてターンが鋭角になります。
 もう少し直線が短くてターンの角度が緩い、より円形に近いトラックはスタジアム オーバルと呼ばれるそうですが、私も調べるまで全然知らなかったぐらい、あんまり耳にしない名前です。
マーティンズビルの空撮

・エッグ シェイプ オーバル

 ペーパークリップが左右対称なのに対して、ターン1側とターン3側で旋回半径が異なる非対称のトラックのことを指し、卵に似た形状となることからエッグシェイプと呼ばれます。旋回半径が異なっているためにセッティングやライン取りの難易度が高いと言えます。日本のモビリティリゾートもてぎにあるオーバルもこのエッグシェイプだったので、日本にいるとこれが一般的なオーバルかと勘違いしそうですが形状としては珍しい部類です。

・SAFERバリア

 SAFERはSteel And Foam Energy Reductionの略。直訳すると鉄鋼と発泡剤によるエナジー削減という意味になります。既存のコンクリート壁の内側にストラップで固定して設置され、車両が衝突した際にドライバーに与える負担を軽減します。手で押してもびくともしない固いものですが、高速で物体が衝突すると間に挟んであるポリスチレン製の部材が潰れて衝撃を吸収する仕組みです。
 1990年代、車両の強化とコース設備の向上で車が致命的に破壊されるような事故は減少傾向だったものの、車の高速化で中にいるドライバーへの負担が大きく問題となっていました。そのために、衝撃を受け止め、かといって車を跳ね返したり、めり込んでいきなり車が急減速するようなことも起こさずに衝撃を吸収させ、バリア自体も壊れず、インディーカーでもNASCARでも使えて、設置しやすくて費用対効果の高いもの、という無理難題が求められる中で生み出された画期的なバリアでした。



・トラクション コンパウンド

 トラクションコンパウンドは元々『PJ1 トラック バイト』という名称で知られている合成樹脂でできた物質で、粘着性があるためにドラッグ レースの路面などに塗って使用されていました。NASCARではこれを一部のトラックで使用し、本来なら遅いラインのグリップ力を上げて複数のラインによる争いができるように、ある意味『介入』しています。
 放送や書き文字ではたいてい『トラクション コンパウンド』と紹介されますが、名前が長いので現場では『PJ1』と呼ぶことが多いようです。路面に塗っているだけなので走行している間に段々と効果が薄まっていき、レースの後半になってくるとこのラインが使えるのか使えないのかの判断もレース結果を左右します。

 では具体的に各トラックの内容を書き並べて行きます。多いので概ね1.5マイルと超える高速トラックと、1.5マイル以下の中低速トラック、そしてロードコース+おまけ、で3編に分けました。なお、コース図とロゴはWikipediaから拝借しましたm(_ _)m

〇スーパー スピードウェイ
 
 NASCARにおけるスーパースピードウェイは、1周丸々延々と全開で走り続けられる巨大なトラックを指します。インディーカーだとインディアナポリスがスーパースピードウェイに該当しますが、NASCARで走ると猛烈にブレーキが必要なので該当せず、デイトナとタラデガの2か所だけに用いられる名称です。
 スーパースピードウェイは他のトラックと違ってエンジン出力が抑えられており、アクセルを床が抜けるほど踏んでも空気抵抗の壁に負けて単独走行では速度が頭打ちになってしまうのが特徴です。踏むだけで付いて行けることと事故が多いことから普段優勝争いしないチーム・ドライバーにもチャンスがある、ギャンブル性の高さが特徴です。

デイトナ インターナショナル スピードウェイ(フロリダ州デイトナ ビーチ)

全長 2.5マイル
バンク角 ターン:31°
トライオーバル:18° 
バックストレッチ:2°
照明設備:あり
所有者:NASCAR

 最も有名なトラックでしょう。31°という高いバンク角によって常時全開での走行が可能、時に3台や4台が300km/h以上の速度で車間距離なく集団走行する姿は圧巻ですが、当然事故もよく起こります。
 開幕戦のデイトナ500はシーズンで最も有名な一戦で、注目度も桁違い。チェッカーの瞬間まで勝者が分からないのが魅力ですが、そこに至るまでの3時間は言うなれば全て最後の一瞬に向けての『仕込み』。お客さんとすれば激しい順位争いを見たいところですが、やっている側としたら車を壊さずに上位5台ぐらいの位置にいたいので、場合によっては全く何も起きない時間が続きます。


タラデガ スーパー スピードウェイ(アラバマ州タラデガ)

全長 2.66マイル
バンク角 ターン:33°
トライオーバル:16.5°
バックストレッチ:2°
照明設備:なし
所有者:NASCAR
 
 タラデガはNASCAR創始者のビル フランスが「デイトナより大きくて速いのを作りたい」と考えて作られたトラックで、そのためにデイトナよりも少し長くて高いバンク角を持ちます。スタート/フィニッシュがトライオーバルの頂点部分ではなくターン1側にズレて作られており、レースの最後の最後、ターン4を脱出した後にさらにもうひと波乱起きるのが特徴です。俗称で『デガ』とも呼ばれます。


〇インターミディエイト トラック

 1マイルより大きくてスーパースピードウェイには属さない、文字通り中間的なトラックを指します。高速でターンを通過するのでダウンフォースを味方につけて走る必要があり、高いセッティング能力と運転技術が求められます。最もシーズンで出番が多いのもこのタイプです。


ポコノ― レースウェイ(ペンシルベニア州ロングポンド)


全長 2.5マイル
バンク角 ターン1:14°
     ターン2:8°
     ターン3:6°
照明設備:なし
所有者:マットコ社(マッティオリ家)
愛称:the Tricky Triangle

 ポコノ―はNASCAR公式サイトではスーパースピードウェイに分類されていますが、デカいだけでめっちゃブレーキを酷使するので私はこちらに分類します。というか特殊です。三角形をしていてターンが3つしかなく、それぞれに別のバンク角が割り当てられています。特徴的な形状ゆえ、ザ トリッキー トライアングルという愛称があり、ターン3外側の壁には『WHAT TURN 4?』(ターン4、何それ?)という文言が描かれています。
 ぐるーっと回り込む一般的なオーバルと違ってターン アングルが小さく、バンク角も全体的に低いので走り方としてはロードコースのようなライン取り、アウトインアウトが基本になります。1周が長く戦略もロードコースと似るためその点も特殊、むちゃくちゃフロントストレッチの道幅が広いので、リスタート直後は左右に散らばって5台併走は日常茶飯時です。
 また、ターン2の下にはコースの内外を結ぶトンネルが通っているんですが、このせいで路面が微妙にうねっておりここで跳ねます。そのためターン2には『トンネル ターン』の愛称が付いています。現在の開催トラックの中では珍しく、創業家の企業がオーナーであり続けているのも特徴です。


オート クラブ スピードウェイ(カリフォルニア州フォンタナ)


全長 2マイル
バンク角 ターン:14°
バックストレッチ:3°
フロントストレッチ:1°
照明設備:あり
所有者:NASCAR

 オートクラブは南アメリカ自動車クラブが命名権を購入した名称で、元々はカリフォルニア スピードウェイという名称でした。所在地からフォンタナと呼ばれることもある2マイルのDシェイプです。映画『フォードvsフェラーリ』でデイトナとして撮影されたのはここ、SUPER GTを史上唯一アメリカで開催したのもここのロードコースでした。
 1997年開場、だだっ広いけどバンク角はそんなに高くない広大なトラックで、現代の車だとダーティエアーを受けたら案外抜けなくて困ります。また、1997年開場と比較的新しいトラックですが、舗装をやり直していないのでタイヤ摩耗もひどくてタイヤがザリザリになります。
 ある程度ダウンフォースとタイヤのグリップがある状態なら、どうせバンク角が低いならいっそ道幅を広く使ってやれ、とばかりにバンクの無いエイプロンまで下りてターン4を通過するという、なかなか高速トラックではお目にかかれない場面もあります。
 お客さんの入りもあまりよろしくないので2023年のレースを最後に大改修工事に入り、2年程度かけて0.5マイルのショートオーバルへの改造が行われることになっています。


ミシガン インターナショナル スピードウェイ(ミシガン州ブルックリン)



全長 2マイル
バンク角 ターン:18°
フロントストレッチ:12°
バックストレッチ:5°
照明設備:なし
所有者:NASCAR

 ミシガンは日テレG+の中継では地名からブルックリンと表記されていましたが、たいていはミシガンと呼びます。ブルックリンって言ったらニューヨークを思い浮かべますしね^^;
 オートクラブと同様に2マイルですが、バンク角が高くて高速なので規則によっては最高速がシーズンで一番だったり、あるいはタイヤが新しいとずっと全開で走れてしまったりします。タイヤ摩耗があまり大きくないので変則的な戦略も使いやすいと言えます。こうした条件から、アクシデントが起こりにくくコーションの回数は比較的少ない傾向があります。
 

アトランタ モーター スピードウェイ(ジョージア州ハンプトン)


全長 1.54マイル
バンク角 ターン:28°
   ストレート:5°
照明設備:あり
所有者:スピードウェイ モータースポーツ


 アトランタは1998年にペーパークリップからクワッドオーバルへ形状を変更。しかし以後再舗装せずに来たので舗装が傷んでひび割れだらけになり、再舗装すると言っておきながらそれが何度か先延ばしされて、もはや割れた路面そのものが名物みたいになっていました。しかし2021年のレースが終わった段階でとうとう本当に再舗装を含む更新工事が行われ、2022年にリニューアルされました。
 バンク角は従来の24°から28°へと上乗せされて、インターミディエイトのトラックでは最大のバンク角となりました。近年はドライバーの運転を難しくし、速度を抑制するためにバンクはやや削るのが時流で、これに逆行した形。一方で道幅は55フィートから40フィートへと削減されました。
 こうした特徴から、2022年のリニューアル後はスーパースピードウェイと同じパッケージでレースを開催することとなり、展開も似たものになりました。ただ、旋回半径が狭いので内側のラインだと全開を維持するのが難しく、基本的には外側、ないしは1列しかないのならアウトインアウトで全開を維持するのが最速、内側から抜くのは簡単ではなさそうです。あくまで『スーパースピードウェイっぽいもの』となっています。

 なお、トラックのロゴに使用されているこの赤/青/黒の丸いやつですが、スピードウェイ モータースポーツ社のロゴで、同社が保有しているトラックには全てこのロゴが付いています。オーナーを見分けやすいですね。まあ見分けたからと言って特に見ている側に利点は無いのですが。


シャーロット モーター スピードウェイ(ノースカロライナ州コンコード)


全長 1.5マイル
バンク角 ターン:24°
   ストレート:5°
照明設備:あり
所有者:スピードウェイ モータースポーツ
愛称:America’s Home for Racing


 シャーロットは1960年開場と歴史のあるトラックで、24°バンクの1.5マイル、クワッドオーバルと標準的ですが道幅がやや狭い形状です。舗装が非常に綺麗で高速なレースが展開され、5月の最終月曜日のメモリアル デー(戦没者追悼記念日)にあわせて開催される600マイルのレースで知られます。
 NASCAR以外にも多くのレースが開催され、NASCARの本拠地や、多くのチームの拠点がシャーロットに集まっていることから『聖地』とも称されます。内側にロード コースも設置されています。

テキサス モーター スピードウェイ(テキサス州フォートワース)


全長 1.5マイル
バンク角 ターン1・2:20°
     ターン3・4:24°
      ストレート:5°
照明設備:あり
所有者:スピードウェイ モータースポーツ
愛称:The Great American Speedway

 テキサスは元々24°のバンク角を持ちシーズン中でも最速の部類に入るトラック。2001年にCARTのレースを開催した際には、平均時速230mphというあまりの速度が災いしてターンでの重力加速度にドライバーが耐えられず、練習走行で意識を失う事例が発生してレースが中止になったことがあります。テキサスの速さを象徴する出来事とされています。
 しかし、2017年の改修工事の際にターン1・2だけ20°にバンク角を削減しました。バンク角が左右非対称という珍しい形状のために難易度が高いトラックとなりましたが、それでもなお新しい舗装と相まって高速のトラックとなっています。
 バンク角が異なることがセッティングに影響し、バンクの浅いターン1・2でより高い速度を得るためにタイヤ内圧をこちらに合わせた結果、バンクの高い3・4側では過負荷になってしまい、これが原因でタイヤのバーストが立て続けに起こることがあり、チーム側は速さと確実性にどう折り合いを付けるかが悩みどころ。そして、お客さんはそんな細かい事情を知らないので、ただバーストの事故ばかりが起きてグッドイヤーやNASCARへの不満が募るのが悩みどころです。
 1.5マイルのクワッドオーバルなんですが、NASCARとインディーカーでは計測機器での違いからトラックの全長表記が異なっていることがあり、インディーカー計測ではテキサスは1.44マイルしかありません。
 ちなみに、テキサスには『屋外に設置される世界最大のフルHDのLEDディスプレイ』としてギネス世界記録に認定された『BIG HOSS TV』という名称の巨大なディスプレイが設置されており、これはパナソニックが製作したものです。


カンザス スピードウェイ(カンザス州カンザスシティー)

全長 1.5マイル
バンク角 ターン:17~20°
フロントストレッチ:9~11°
バックストレッチ:5°
照明設備:あり
所有者:NASCAR


 2001年開場と比較的新しい1.5マイルのトライオーバルで、2011年の改修工事によってバンク角は15°から上乗せされ、しかも上に行くほど高いプログレッシブバンクとなりました。それでもテキサス、シャーロットと比べるとバンク角は低いので平均速度では劣ります。インディーカー基準だと1.52マイルあるそうです。
 フロントストレッチ内側のエイプロン部分の道幅がちょっと広めにとってあるので、接近戦ではここまで下りて最短距離を走ろうとする人がいて、ターン1にかけてのラインの取り合いが激しい傾向がありますが、お互いの阿吽の呼吸が上手く行かないとここで接触してしまうので意外と危険地帯です。


ラスベガス モーター スピードウェイ(ネバダ州ラスベガス)


全長 1.5マイル
バンク角 ターン:18~20°
   ストレート:9~12°
照明設備:あり
所有者:スピードウェイ モータースポーツ

 ラスベガスは1.5マイルのトライオーバルで、形状はカンザスとそっくりです。バンクはプログレッシブなんですが、大外が速いというわけでもないらしく、逆に内側の白線にタイヤを引っ掛ける『溝落とし』のような走り方も速かったりします。平均速度で言えばカンザスよりちょっと速いぐらいなので速度としても同等。バンク角12~18°と記載されている資料があって、本当にそんなに低いのか謎でしたがどうやら18°が正解な模様。
 ラスベガスという名前ですが有名なカジノなどが立ち並ぶ場所からは車で20分ほどの距離にあり、町から砂漠へと移るちょうど境界線あたりにあります。そのため空撮映像だとトラック周辺はほぼ砂漠です。
お約束なので貼っておきますw

 インディーカーでの計測では1.54マイルとアトランタと同じ長さなので、こちらが正しいとすると60mほどサバを読んでいることになります。そのインディーカーでは2011年にダン ウェルドンの死亡事故が発生し、高バンク化していく時流に対して大きな警鐘を鳴らすこととなりました。

ホームステッド-マイアミ スピードウェイ(フロリダ州ホームステッド)


全長 1.5マイル
バンク角 ターン:18~20°
   ストレート:3°
照明設備:あり
所有者:NASCAR


 1.5マイルでは珍しいペーパークリップのトラックで、2002年から2019年まではカップシリーズ最終戦の開催地でした。長い直線と鋭角なターンの組み合わせなので平均速度では他の1.5マイルより遅くなります。
 鋭角で長い旋回時間のターンにプログレッシブなバンク角が設定されているので、ターンの入り口で内側に飛び込んで一時的に前に出ても、そこから先でまた外側の車が抜き返す展開となり、延々と抜きつ抜かれつを繰り返す展開が多く起こります。最速ラインは壁すれすれの大外なので、大外を走るのが得意なドライバーがやたらと活躍します。
 また、例年の設定ではレース時間が夕方から最後は夜になるように設定されているので、終盤に向けてどんどんと下がっていく路面温度への対応力も重要です。

 次回は1.5マイル以下の中低速のオーバルトラックを紹介します。

NASCARの初歩的(?)なお話シリーズ

コメント

las vegas さんのコメント…
ご無沙汰です。本当に多くの情報ありがとうございます。トラックの話ということで、思い出を一つ。
私はLAS VEGASに何度か旅行に行ったことがあるのですが、LAS VEGAS MOTOR SPEEDWAYでRICHARD PETTY
DRIVING EXPERIENCEという実際に横乗り、もしくは走行できるという素晴らしい経験をしようと意気揚々と乗り込んだのですが、「その日はやってねー。」とそっけない感じの言われ方をされ、あっけなく終了した苦い思い出が。 本当に、ストリップからレンタカーで20分くらいなのでLAS VEGASに行かれる方はぜひ。
ちなみに、レース開催日の週の頭にはhauler paradeもあります。  
あっ SCさんそろそろドライバーの情報も更新お願いします。 特にキャンピングワールドシリーズの情報をww
SCfromLA さんの投稿…
>las vegasさん

リチャードペティードライビングエクスペリエンスは確かに調べてる時に名前を見ましたね。やってないとはなんと不運な^^;
とりあえず次を書いたら1段落なので、この間のドライバー情報を一巡する予定です。えーっと、トラックシリーズでカーナンバー25をドライブすることになったマットなんとかという選手の話もたぶん出てきます。