前回の続きで、1.5マイル以下の中~低速のオーバルトラックを見て行きます。なお今回の記事では分かりやすさと数の問題から1.5マイルで区切りましたが、実際のNASCARの運用上は1.25マイルが1つの区切りとして用いられています。1.25マイル以上か未満かで予選方式に違いが出るほか、1.25マイル以上のトラックは安全上の懸念から18歳以上でないと出場できない年齢制限規定が設けられています。バンク角や旋回半径で速度域は全く異なってきますが、1.25マイルというのは高速と低速の線引きの目安にされています。
ダーリントン レースウェイ(サウスカロライナ州ダーリントン)
全長 1.366マイル
バンク角 ターン1・2:25°
ターン3・4:23°
フロントストレッチ:3°
バックストレッチ:2°
照明設備:あり
所有者:NASCAR
愛称:The Track Too Tough to Tame
1950年開場と長い歴史を持つトラックで左右非対称のエッグシェイプ。別にこうしたくてなったのではなく、建設時に農民の方から土地を購入した際に『西側にある池には手を付けない』と約束をしていたので、池を避けたらターン3側を窮屈にするしかなかったからだそうです。
最大バンク角自体は高いですが、ターンの外側だけが大きく持ち上がった独特の形状をしていて内側に行くとほとんど平坦になってしまいます。そのため内側からの追い抜きが難しく最速ラインは壁沿いギリギリ。しかし壁ギリギリを走ると壁にこする危険性が高くなりどこを取っても普通のトラックと違って難しい設計です。
内側から勢いよく飛び込んでもバンクが無いので外からすぐ抜き返されたり、無理をしたら外へ流されて曲がり切れず相手と接触したり。こうして失敗した結果壁にこすってしまい車体側についてしまう接触痕は、俗に『ダーリントン ストライプ』と呼ばれます。
全長 1.333マイル
コンクリート舗装のトラックで、コンクリート舗装としてはカップシリーズ開催トラックで最長を誇ります。外から見た感じからして1.5マイルよりちょっと小さいイメージですが、見た目通り『そこそこ速度は出るけどブレーキも多用するし、ターンではタイヤも酷使する』という高速オーバルと低速オーバルの課題を混ぜた難しさがあります。コンクリート舗装と相まってタイヤの扱いなどがかなり難しく独特の難易度を有していると考えられます。
名前に『スーパースピードウェイ』とついているのは、ナッシュビルにはこことは別に0.596マイルの通称『フェアグラウンド スピードウェイ』というのが大昔から存在しているのと、昔は1マイル以上をスーパースピードウェイと呼んでいた、というある種のレトロ感から来ています。
ナッシュビルという街は『ミュージック シティー』と呼ばれるアメリカ音楽の聖地とされており、優勝トロフィーとしてギブソン社のギターが授与されることでも知られています。その昔、カイル ブッシュがギターを地面に叩きつけてぶっ壊す奇行に走ったことでも有名、本人曰く「みんなで分けて持ち変えれるようにしたかった」という謎理由。
WWTRは、近隣にゲートウェイ アーチという有名な記念碑があることから、命名権を販売する以前は『ゲートウェイ モータースポーツ パーク』など常にゲートウェイという名称を用いていました。そのため、多くの場合ゲートウェイと呼ばれます。ワールドワイドテクノロジーはミズーリ州に拠点を置くテクノロジー企業で2019年から命名権を取得して現名称です。下部カテゴリーでは1997年以降レースが開催されていましたが、カップシリーズは2022年が初開催されました。
アイオワ スピードウェイ(アイオワ州ニュートン)
非常に攻略が難しく難易度が高いトラックなので、The Track Too Tough To Tame=手懐けるのがとても難しいトラック、という愛称を持ち、9月の第1月曜日の祝日・レイバー デー(勤労感謝の日)に併せて行われるイベント・サザン500が有名です。また、歴史ある場所ということで、近年は昔のドライバーのペイントスキームをモチーフにした特別なデザインをみんなで施す『スロウバック スキーム』のレースを行うことでもお馴染みです。
車両性能が向上した結果、一時期は大外を使わなくてもそこそこ走れてしまってダーリントンらしさが失われた時期がありましたが、NASCAR側も色々と車両側の設定で手を打った結果近年はダーリントンらしいレースが戻ってきています。
ナッシュビル スーパースピードウェイ(テネシー州レバノン)
バンク角 ターン:14°
フロントストレッチ:9°
バックストレッチ:6°
照明設備:あり
所有者:スピードウェイ モータースポーツ
コンクリート舗装のトラックで、コンクリート舗装としてはカップシリーズ開催トラックで最長を誇ります。外から見た感じからして1.5マイルよりちょっと小さいイメージですが、見た目通り『そこそこ速度は出るけどブレーキも多用するし、ターンではタイヤも酷使する』という高速オーバルと低速オーバルの課題を混ぜた難しさがあります。コンクリート舗装と相まってタイヤの扱いなどがかなり難しく独特の難易度を有していると考えられます。
名前に『スーパースピードウェイ』とついているのは、ナッシュビルにはこことは別に0.596マイルの通称『フェアグラウンド スピードウェイ』というのが大昔から存在しているのと、昔は1マイル以上をスーパースピードウェイと呼んでいた、というある種のレトロ感から来ています。
ナッシュビルという街は『ミュージック シティー』と呼ばれるアメリカ音楽の聖地とされており、優勝トロフィーとしてギブソン社のギターが授与されることでも知られています。その昔、カイル ブッシュがギターを地面に叩きつけてぶっ壊す奇行に走ったことでも有名、本人曰く「みんなで分けて持ち変えれるようにしたかった」という謎理由。
ワールド ワイド テクノロジー レースウェイ(イリノイ州マディソン)
全長 1.25マイル
バンク角 ターン1・2:11°
ターン3・4:9°
照明設備:あり
所有者:カーティス フランソワ
WWTRは、近隣にゲートウェイ アーチという有名な記念碑があることから、命名権を販売する以前は『ゲートウェイ モータースポーツ パーク』など常にゲートウェイという名称を用いていました。そのため、多くの場合ゲートウェイと呼ばれます。ワールドワイドテクノロジーはミズーリ州に拠点を置くテクノロジー企業で2019年から命名権を取得して現名称です。下部カテゴリーでは1997年以降レースが開催されていましたが、カップシリーズは2022年が初開催されました。
ミズーリ州の都市・セントルイスから近いのでセントルイスと呼ばれることもあるんですが、トラックがあるのはセントルイスから見て川を挟んだ対岸、ミシシッピ川の東側にあります。川が州境なので場所としては『イリノイ州』マディソンとなっています。ゲートウェイアーチもミズーリ州側にあるので、どうやってもイリノイにあるのにミズーリの有名地名で呼んでいる、という非常にややこしい話があります。
1.25マイルのエッグシェイプでターン1・2はニューハンプシャー、3・4はフェニックスに似ている、と形容されますが、非対称でバンク角も低いテクニカルなトラック、ターンの内側にロードコースのような幅が広くて平たい縁石が用いられているため、見た目にも独特です。
1.25マイルのエッグシェイプでターン1・2はニューハンプシャー、3・4はフェニックスに似ている、と形容されますが、非対称でバンク角も低いテクニカルなトラック、ターンの内側にロードコースのような幅が広くて平たい縁石が用いられているため、見た目にも独特です。
追い抜きが難しいのでトラックポジションを重視した戦略が効果的、またピットがカップシリーズ開催地では特に狭い部類に入るため、ピット内での接触事故にもじゅうぶん気を付けないといけません。気を付けてもぶつかります。
〇ショート トラック
ショートトラックは概ね1マイル以下のトラックで、小さくて距離が短いので基本的には低速・低バンク角になります。この場合、ブレーキの技術とメカニカル グリップがより重要になります。遅いとつまらないのではないか?というとそうではなく、軽くゴリゴリと接触もありつつの接近戦、タイヤとブレーキ管理の巧緻が生み出す順位変動があり、追い抜きが難しいためピットで変則的なことをする人も出てきて、高速トラックと違う面白さがあります。
また、通常オーバルのレースは雨天時には開催しないものですが、2023年からは低バンクのショートオーバルに対して、これまでは存在しなかった雨天用タイヤとワイパーが導入され、少量の雨であればレースの開催や続行が可能となりました。実際に使用するのか、それともやはり天候回復を待つためレースを止めるのかはその時の運営側の判断によります。
雨天用の装備は一般には『1マイル以下』と紹介されているんですが、1マイルをちょびっと超えているニューハンプシャーも対象になっているので厳密には1.1マイル以下とでも表現すれば良いのか、非公表になっている公式な規則書を読まないと実際の数字は分からないんですね(笑)
ニューハンプシャー モーター スピードウェイ(ニューハンプシャー州ロウドン)
全長 1.058マイル
バンク角 ターン:2~7°
ストレート:1°
照明設備:なし
所有者:スピードウェイ モータースポーツ
愛称:The Magic Mile
ニューハンプシャーは1マイルよりちょびっとだけ長いペーパークリップのトラックです。非常にバンク角の低いトラックですが2002年に最大バンク角を7°にするプログレッシブに変更しました。これにより、内側を少し開けてバンクを活かした走りと、思い切って内側に飛び込む車との争いが見どころになります。
マジックマイルという愛称が具体的になぜどう付けられたのかは実は現地メディアですら正確に分からないそうで、1マイルをちょびっとだけ超えていたり、簡単そうに見えてラインの選び方が難しかったり、接戦での決着が多かったりといくつか要素がありそうですが、半分ぐらいはこのレースが初めて開催される際に主催者が宣伝目的で付けただけ、というのもどうやらありそうです。優勝者には地元の特産品ということでロブスターが進呈されることでも有名ですが、苦手な人にとっては優勝すると地獄です。
フェニックス レースウェイ(アリゾナ州アボンデール)
全長 1マイル
バンク角 フロントストレッチ:9°
ドッグレッグ:11°
ターン1・2:8~9°
ターン3・4:10~11°
バックストレッチ:3°
照明設備:あり
所有者:NASCAR
フェニックスは1マイルのトラックで、トライオーバルかと思いきや、ドッグレッグオーバルと呼ばれます。ひずんでて綺麗な三角形になっていないからでしょうね。ドッグレッグというのは犬の足=くの字に曲がっているさまを指す単語です。
元々は真っすぐな部分、この図で言えば上の部分がフロントストレッチで、ターン1・2→ドッグレッグ→ターン3・4、という形状だったんですが、大規模な設備改修を行って立派な観客席を従来のドッグレッグ手前に新設。これにあわせて2019年からスタート位置も変更してしまい、スタートしたらいきなりドッグレッグを通る一風変わった形状になりました。NASCAR自らが高い改修費用をかけて改築したので、2020年からはここで最終戦が開催されています。
そのドッグレッグは2011年までは内側に芝生がありましたがこれが撤去され、以後は自由に内側を走ることができるようになりました。本来の道幅より遥かに広大な場所があるため、特にリスタート直後は多くの車が近道をしようとここへ突っ込んでいくためフェニックスの名物となっています。
そしてターンもまた左右非対称で僅かに上の方がバンク角が高くなっている一方で、ターン2は全くバンク角がなくともエイプロンまで目いっぱいコース幅を使った方が速かったりと独特のライン取りが色んな場所に存在します。とはいえ、ドッグレッグの内側に飛び込むとバンクのあるところからないところに行くので車が跳ねて不安定になったり、タイヤ内圧が低いと損傷の原因になったりもするため、近道が絶対に有利とは言い切れるないのがまた面白いところです。
ドーバー モーター スピードウェイ(デラウェア州ドーバー)
全長 1マイル
バンク角 ターン:24°
ストレート:9°
照明設備:なし
所有者:スピードウェイ モータースポーツ
愛称:The Monster Mile
ドーバーはフェニックスと同じ1マイルですがバンク角が高くて高速です。元々はアスファルト舗装でしたが1995年からはコンクリート舗装へ変更、またバンクはたいてい土を盛り上げて作りますが、ドーバーは掘り下げるように作られているために、これらが相まって他には無い独自の雰囲気を生み出しています。見た瞬間にドーバーと分かるトラックです。
特殊な部類に入るトラックなのでドライバーの得手不得手がはっきりしやすいトラックの1つと言えます。短いのに高速で、ストレート部分ですら9°もバンクがあるのでひとたび何か起きると車があっちこっちトラックを横断して多重事故に繋がるので一発リタイアの危険性が高く、そんな特殊なトラックについた愛称が『モンスター マイル』。
そしてこの愛称をもとにした、ザ マイルズ モンスターというキャラクターも存在し、トラックの前には巨大なモニュメントも置かれていてトロフィーもこのデザインです。中継映像を見ているとジョークかと思いますが、googleストリートビューで調べてもちゃんと出て来るので、マジでこのデカいヤツが置いてあります。
ナッシュビルと同様2021年末にドーバー社がスピードウェイ社に買収されたためにオーナーが変わりました。これにあわせてトラック名から『インターナショナル』が消えて名称も小変更となると、元々年間2回開催だったうちの1回をそのナッシュビルに移す形で1回に変更。そして2026年はノースウィルクスボロと開催権が入れ替わり、ドーバーはオールスター戦の開催地になりました。これを格下げと見るかどうかは微妙なところですが、公式戦が開催されないのはちょっと寂しい気がしますね。
| 高さは14mほどあるらしい・・・ |
アイオワ スピードウェイ(アイオワ州ニュートン)
バンク角 ターン:12~14°
フロントストレッチ:10°
バックストレッチ:4°
照明設備:あり
所有者:NASCAR
トラックの建設は財政的な問題から暗礁に乗り上げそうにもなりましたが、なんとか立て直して2007年からはインディーカーが、2009年からクラフツマントラックシリーズとエクスフィニティーシリーズが開催され、2024年に初めてカップシリーズも開催されました。
トラックの特徴は先輩のリッチモンドとほぼ同じ、小さいトラックですがバンク角がそこそこ高いので平均速度も当然速い一方で、タイヤへの負担が非常に大きくて丁寧に走らないと壊れます。2024年はカップシリーズ開催に合わせて、本当は再舗装せず古い路面のままにしたかったところを一部だけ再舗装して対応しましたが、再舗装ラインは速いけどさらにタイヤにはキツイというなかなかの鬼仕様となっており、タイヤの使い方がレースの鍵となっていました。
タイヤの摩耗が激しいために履歴差があれば非常に追い抜きは起こりやすく、ウォーレスがこのデザインに期待したようなレースが展開されています。ただ、噂ではNASCARはカナダでの開催を目指しており、アイオワはカナダ開催が実現しなかったための穴埋めだとされています。今後の交渉状況次第では短命に終わるおそれもあります。
リッチモンド レースウェイ(バージニア州リッチモンド)
全長 0.75マイル
バンク角 ターン:14°
フロントストレッチ:8°
バックストレッチ:2°
照明設備:あり
所有者:NASCAR
リッチモンドは1マイルよりさらに小さい0.75マイルのトラックです。3/4なので『クオーター マイル』と呼ばれます。元々は1946年にダートトラックとして開場しており、非常に歴史のあるトラックです。
短いトラックなのにDシェイプであるためほとんど1周ずっとステアリングを切っているような感覚になりますがバンク角は14°とやや高く、状況によっては内側から2レーン目あたりが速くて、サイドバイサイドでの争いが見られます。ショートトラックでありながら流れるような車の動き、そしてナイトレースの美しさも映像的には楽しみなトラックです。
ハンドルは切りっぱなし、速度は速い、という条件のためにタイヤへの負担がものすごく大きく、レースではものの50周もしたらタイヤ交換が始まる猛烈タイヤ消耗レースが近年の特徴。アンダーカットが強烈に効くけど、数周タイヤが古いだけで全く防御もできずにぶち抜かれてしまうぐらいに速度差が発生するという、さながらグランツーリスモの『タイヤ消耗倍率10倍』をリアルにやっているような目まぐるしいレースになっています。
ノース ウィルクスボロ スピードウェイ(ノースカロライナ州ノースウィルクスボロ)
全長 0.625マイル
バンク角 ターン:14°
フロントストレッチ:3°
照明設備:あり
所有者:スピードウェイモータースポーツ
1947年に未舗装のオーバルとして開場した歴史あるトラック、1957年に舗装されました。1周0.625マイルという中途半端な大きさ、バンク角は意外と高い14°ですが資料によっては13°という表記も見られます。左右対称に見えて微妙に角度がゆがんだ形状をしているようで、またターン4側からターン1側に向かって緩やかな下り傾斜になっているとされています。これは、建設した当時に予算不足でちゃんと造成できなくて平坦にできなかったからだとか。
元々ストックカー競技は密造酒を運んで警察から逃げていた荒くれものが競争を始めたことが起源の1つとも言われており、ここノースウィルクスボロは密造業者の拠点でした。そのためNASCAR創成期に大きな影響を与えた場所の1つといえ、実際に現在のカップシリーズ源流にあたるレースが1949年に初開催、1996年まで合計93戦のカップシリーズが開催されました。
しかし歴代オーナーの資金不足で設備が古く、NASCAR側も大きくて新しくて高速の開催地で『映える』方向へ進んでいたため以降は開催が途絶え、以降は施設閉鎖と短期間の再開業を何度か繰り返しつつ2010年代にはほぼ廃墟と化していました。転機が訪れたのは2019年、現役時代に絶大な人気を誇ったデイル アーンハート ジュニアが荒廃した伝説の地を「せめてデジタル遺産として残したい」として、シミュレーターに収録するデータ収集ができるように草引きを実行するなど尽力。実際に翌年にはiRacingに収録されました。
これが復活機運を高めることに繋がり、ここに地元自治体からCOVID-19経済対策補助金的なやつで2000万ドルの公的資金も注入。見事2022年には施設が走行可能な状態にまで再興し、2023年にカップシリーズのオールスター戦開催にまでつなげました。そして2026年にはドーバーと入れ替わる形で公式戦の開催地に名を連ね、1996年以来30年ぶりにポイントを賭けた争いが行われることになりました。
上記の歴史的経緯もあり、施設内には時代に取り残されたかのような古い壁などがそのまま残されて、歴史あるトラックであることが感じられるようになっています。ちなみに、2023年のオールスター開催時は路面の舗装でさえ「あえてかつての姿をできるだけ残したい」と大規模には手を加えなかったんですが、あまりに凹凸が酷すぎて不評だったのでその後に全面再舗装されました(笑)
ブリストル モーター スピードウェイ(テネシー州ブリストル)
バンク角 ターン:26~30°
ストレート:6~10°
照明設備:あり
所有者:スピードウェイ モータースポーツ
愛称:Thunder Valley
The Last Great Colosseum
The World's Fastest Half-Mile
ブリストルは1周僅か0.5マイルほどのコンクリート舗装のトラック。バンク角が最大30°というとんでもない設計で、グランツーリスモに収録されているノーザンアイルの元ネタです、1周はわずか15秒ほどしかありません。昔はバンク角を35°とか36°とか宣伝していたものの、後年サバを読んでいたことがバレたそうです(笑)
旋回半径そのものは0.5マイルのトラックですから非常に小さく、そこにバリアブルな最大30°のバンクがあるためライン取りもまちまち。内側のラインは旋回速度が低いために抜きに行っても外ラインの人をなかなか抜けないのが特徴だったんですが、近年はトラクションコンパウンドを使用してインベタで速く曲がれるように運営側から介入されています。とはいえ、追い抜きは簡単ではありません。
たった15秒で1周するのであっという間に周回遅れが現れることになり、そうすると周回遅れを抜くのも非常に難しくて、レースは常に順位を争うライバルと周回遅れ、両方との戦いになります。
高いバンク、狭いトラック、という条件からひとたび何か起きると貰い事故に遭う危険性も非常に高く、クラッシュで一発アウトになる危険性の高さではそこらの1.5マイルよりもむしろ大きいとすら言えます。ゆえに、事故に起因したもめ事も起こりやすいトラックです。1周が短いのでピットロードがぐるっと1周回り込んでおり、ピットの入り口が2か所あるというのもまた特徴と言えます。
トラックに付けられた有名な愛称も複数存在し、The Last Great Colosseum=最後の偉大な闘技場、The World's Fastest Half-Mile=世界最速の0.5マイル、は見たまんまの意味。
Thunder Valleyというのは、ここは闘技場と呼ぶにふさわしくトラックをぐるっと取り囲むように観客席が設置されていて音があちこち反響しやすく、そこにコンクリート舗装から生み出される音と、その振動で金網が振動する音が相まって、まるで雷がこだましているかのようにすごい音が鳴り響くことから名づけられたと言われています。開催トラック中いちばんうるさい、という話です。
私がもし現地に行けるなら、いちばん観戦したいと思えるのがここです。同じオーバルでもインディーカーでは絶対に見れない、NASCARだからこそのレースが展開されます。
マーティンズビル スピードウェイ(バージニア州リッジウェイ)
全長 0.526マイル
バンク角 ターン:12°
ストレート:0°
照明設備:あり
所有者:NASCAR
マーティンズビルはカップシリーズで最短・1周0.526マイルのペーパークリップオーバルです。ブリストルと長さは似たようなものですがバンク角はわずか12°、それも車ギリギリ3台分ぐらいの幅だけがコンクリート舗装されたバンク部分だけで、そこから外は平たんになっているというニュルブルクリンク北コースのカルッセルのような設計になっています。1947年開場、1949年からカップシリーズのレースを開催し続けているという伝統あるトラックです。
開催トラックの中では珍しく基本的にライン取りが内側に入ったもん勝ちの一択。リスタートで外側になったら、前の車を抜くよりもとにかく内側に下りることを考えた方がリスクは小さくなります。外側で粘ることもできますが外から相手を抜き切ることは容易ではなく、展開が悪いと延々と車に入られて際限なく順位が落ちて行きます。
NASCARドライバーのバトルの流儀として、外ラインでターンを出た後に内側に進路を変えてブロックするような走り方というのは好ましくないという考え方があるようで、日欧の感覚だと『何でイン側を閉めないの?』と思うような場面でも相手に内側の1レーンを残して、外側のラインで勝負するのが基本的な戦い方。
逆に、ペースで劣るのに鬼ブロックした場合には、相手から真後ろをコツンと押されて「遅いならどいてね」とばかりに挨拶されてしまうので、下手なブロックは損だというのが各ドライバーの基本的な共通認識です。私がグランツーリスモで基本的にブロックしない理由の1つはこのNASCARドライバー的な争い方をずっと見てしまっているせいというのも少なからずあります。
ブレーキにもタイヤにも厳しいトラックで、マネージメントのために無理せず順位を譲る光景も多く目にします。ドライバーの力量が試される難トラックです。
次回はロードコースとオマケです。
NASCARの初歩的(?)なお話シリーズ





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