GT7、デカールの作り方(0)~はじめに~

※グランツーリスモ7でもグランツーリスモSPORTと同様の仕様であることがある程度自分の確認できる範囲で確認できたので、記事名をGT SPORTからGT7へ変更、内容も一部発売後に併せた内容に変更しました。

 いよいよ3月4日にグランツーリスモ7が発売されました。グランツーリスモSPORTと同様にユーザーが作成したデカールをアップロードし使用する機能が存在し、GT SPORTでアップロードされサーバーに保存されているコンテンツは自動的に移行されてGT7で引き続き使用可能です。
 当然GT7でも引き続きデカールの作成・アップロードはできるので、新作の発売に併せて新たにデカールを作りたいと思う方もそれなりにいらっしゃるかと思います。ですが、デカール作成は思いついて何の知識もなく即座にできるものではなく、色々と知らないといけません。
 私もGT SPORTの発売以来累計で1000個以上のデカールを作ってきました。定期的に見つけていただいて総数ですごい『いいね』をいただいたものや、出オチで笑かしたもの、1台の特定の車両のためだけに作成し、公開もせずに消したものなど様々ですが、最初は全く知識のないところから始まりました。
 分からないところはその都度調べ、間違ったやり方のまま長いこと進んでたり、色々試すうちに小技や技量が身に付いたりして、初期の頃よりかなり幅広いものを作成することができるようになりました。デカールの作成にあたっては大まかに分けて

・作成ソフトそのものの基本的な知識
・グランツーリスモで使用するにあたって知っておきたい知識

の2点があると私は思っているのですが、これを全部まとめた場所って案外見当たらなくて、調べたいものに合わせてバラバラな場所に辿り着くことも結構ありました。
 そこで、自分なりにこれまでの経験を活かし、これからデカールを作ってみたい方へ向けて、ある程度デカール作りができるようになるための基礎的な話をまとめてみたいと思って今回の記事作成に至りました。作成にあたって、私にはできない細かい検証をされた方のサイト等、参考にさせていただいたものを数点リンクを貼っておりますm(_ _)m

 なお、どうやっても最低限のPCの知識は必要になりますので、さすがに『ドラッグって何ですか』『選択って何ですか』というところまでは説明に織り込めませんのでご了承ください。一方で私の方も素人ですので、それなりに記事を書くにあたって検証作業等も行っていますが、誤記等あれば遠慮なく指摘いただければ幸いです。

 記事内容はGT7発売10日前に作成したものですが、他に何か新たな手法が存在するかどうかは分かりませんが、GT7でもこの方法は有効で、GT SPORTでも継続して使えるやり方です。
 2022年3月14日時点では、webブラウザ上でデカールアップローダーを開くと、アップロード済みのデカールは100が上限になっていて、これ以上表示されなくなっています。ですが、ゲーム側で見るときちんと100以上、上限は自力で調べられていないので分かりませんが、少なくとも1000まではストック可能と思われます。
 100を超えると、1つ追加するごとにブラウザ上では一番下にあるものが表示されなくなりますが、消えてはいませんので安心してください。上限を超えた場合にどう動作するかはまだ未検証です。

 本編の話に入るにあたり、これからデカール作りをされる方を中心に、個人的にまず理解しておいた方が良いと考える内容から始めますので、可能な限りこのお話を読んだ上で次に進んでいただければ幸いです。では、よろしければ最後までお付き合いください。

デカールの作り方シリーズ

・そもそもSVGとは

 とりあえずそもそもの話です。グランツーリスモのデカールは『SVG』と呼ばれるファイルである必要があります。よく我々が目にするもの、カメラで撮影したり、スクリーンショットを撮影したり、そんな時に保存される画像はたいてい JPEG や PNG といった形式になっています。
 これらの形式は『ビットマップ画像』と呼ばれる種類で、小さい四角形の集合体です。その特性上、拡大するとだんだんとその四角形1つ1つが目立つようになり、いわゆる粗い画像になります。フチもギザギザしますね。極論すれば全ては直線の集合体で、曲線に見えるところも直線の寄せ集めなわけです。
 一方で、SVGというのは『ベクター画像』と呼ばれる種類のファイル形式の1つです。画像はたくさんの点と、その点を結ぶ線や図形などによってあらわされます。点と線と面による構成、曲線はちゃんと曲線なので、拡大してもこれらの関係性は変わりません。そのため、拡大しても綺麗な形状を保てます。このあたりはグランツーリスモの公式サイトでも説明されているので併せてご覧いただければ分かりやすいかと思います。

 デカールを車両に貼る場合、見えないような小さいものもあれば、ボンネットいっぱいに貼られる大きなものもあります。こういう時にSVGは適任なわけです。しかし、点がここにあります、ここからこういう曲線を描いて・・・という情報をたくさん必要とするので、ファイル容量が大きくなりやすいという欠点があります。
 容量が大きくなりやすいのに、アップロードできるデカール1枚当たりの容量には15KBという制限がかかっています。これがデカール作りの大きな壁であり、しかし慣れてくると面白く思えて来るものです。
デカール盛り盛り


・黙認の文化を意識する

 デカールを作成する側も、利用する側も理解しないといけないのが、著作権等の権利に関する法律と利用規約です。これは以前にも当ブログで記事にしたことがあるので併せてご覧いただければと思いますが、企業のロゴ、キャラクターなどは作成したクリエイターや企業にその権利が属します。
 権利者が『自由に使用して良い』と言っていない限り、これらを勝手に使用して公開することは厳密に言えば違法行為です。合法にするためには、権利者に対して個別に使用許可を得る必要があります。デカールをアップする際には法律や利用規約を守らないといけませんので、本来デカールアップローダー機能でアップして使用できるのは、

・自分で考えたロゴやキャラクター
・権利者から許諾を得たロゴやキャラクター
・図形などの権利が生じない汎用の形状

といったものに限られます。私が丹精込めて地道にデカールを更新し再現度を高めた植毛GT-Rも、厳密に言えばほぼ全部デカールが違法で、もちろん勝手に実在の車両を模倣しているので車本体も違法でしょう。


 ですが、著作権法は権利者が「権利を侵害された」と訴えないと成立しない親告罪です。自動車ゲームで車両に貼ってあるぐらいでは、企業は自社にとって著しく不利益を受けるような物事でなければ普通はいちいち相手しないですから、事件化されるようなことはまずありません。それどころか、宣伝してもらって僅かながら有益な場合もあるでしょう。これはYouTubeのゲーム配信も同じですね。

 だからといって、権利者側から『自由に使って良いです』と安易に利用を自ら認めて違法状態を追認したり、ことさらに利用ルールを定めるようなこともまずありません。これはいわゆるコンテンツの2次創作作品などと同じで、『厳密に言えば違法だけど、あえて特に何も言わない』という黙認の文化で成り立っている、という側面が多分にあります。
 そもそも、運営側もこの機能があればそうした、いわばグレー ゾーンのコンテンツが大量に発生することは当然織り込み済みだと思いますので、運営側も含め本当に全体としてお互いに細かく言い合わないという阿吽の呼吸で成り立っている機能であることに間違いはないと思います。
 ただ、もちろん『黙認されている=自由にやって良い』ではありません。実在車両を完全再現するならおそらく何も言われないでしょうし、企業ロゴをちょっとモジってダジャレにするぐらいなら表現の範囲でしょうが、たとえば明らかにその企業を貶めるような使い方をするようだと問題になるおそれがあります。
 
 また、具体的な内容は先ほどリンクした過去記事に書いてありますが、2次元女性キャラクターなどでは公開したものが削除されてしまう率がやや高い傾向にあると思われます。作った側からすると納得行かない部分が大いにあるとは思いますが、そもそも多くの場合が『違法の黙認』状態であるのに加え、海外から見ると日本のキャラクターは基本的に幼く見えるため、慣れた我々からすると許容範囲でも、海外の方から見れば不健全な物だと思われることはあります。
 本来は自動車ゲームであり、小学生でも遊ぶゲームです。何かカッコいいデカールを探そうとしたら、出てきたのが露出の多いお姉ちゃんばっかりだった、レースに出たら周りの車が水着の幼女ばかり、こんな状態ならさすがに問題があると言われても仕方ありません。
 自動車ゲームなのに『デカールを見たくないなら遊ぶな』というのは筋違いでしょうからある程度自重をしないといけませんし、削除されたら「ふざけるな!」と怒る前に、果たして全世界の多様なプレイヤーさんが目にするにあたって妥当な内容だったのか、落ち着いて考える必要はあると思います。

 削除すべきかどうかはポリフォニーデジタルではなくSIE側が判断する案件であると思われますが、上記の通りそもそもがほぼ権利問題の法律の時点で違反なので、運営が『問題あり』と判断すれば、理屈の上では権利侵害という理由で削除は可能だと考えられます。性的コンテンツ等のPSNの利用ポリシーも同様に、裁量の余地が大きいので極端な話消すのは簡単です。
 権利行使が簡単であり、絶大な権限を有しているからこそ行使は慎重でなければならないわけですが、それらはユーザーが奔放に振る舞う免罪符にはなりません。黙認の文化というのはお互いに過度に主張し合わない阿吽の呼吸で成立していますから、度が過ぎたものがあまりにも多ければ、最悪の場合としては運営会社はデカールアップロード機能そのものを使用不可にするという対策を取らざるを得なくなります。
 そうした事態を招かないためにも、常に『本当はダメなんだけど、寛大な措置により内緒で使わせていただいている』という意識は持つ必要があると思います。これはすごく大事なことなので、先にお伝えしたいと思い、わざわざ第1回の前に第0回を用意したわけです。

・依頼はマナーを守りましょう

 デカールを沢山作られている方々の中には、ライフワークのように新作を出し、自動車ゲームを買ってるのに全然走らせてないのでは?寝てないのでは?とむしろ心配になるほどの方もいらっしゃいます。頭が下がります。
 そんなすごい人にぜひ自分の好みのキャラクターを作ってもらいたい!そんな風に思う方は少なくないと思いますが、最低限のマナーは守る必要があります。こっちは向こうを知っていますが、向こうがこっちを知っているとは限りません。デカールに対していきなりコメント欄で何の前置きもなく『〇〇作ってください!』なんて書くのはあまりよろしくありません。
 もちろん、そうした声に丁寧に対応し、実際に作成される方もいらっしゃるとは思いますが、人によっては「は?」とイラっとされる可能性もあります。本人が思わなくても投稿を見た周囲の方がそう思うケースもあるでしょう。結果的に印象が良く無いので自分にとっても不利益になります。
 もし依頼したいのであれば丁寧に挨拶した上でお願いする、というのはインターネット上のコミュニティーにおけるマナーとして必要です。もちろん、小学生だとそこまで分からない、というようなことはありますが、参加する以上は気を付けておくべき点です。親御さんは、『インターネットに接続されたゲームはスマホ等と同じインターネットツールである』ということを認識した上で、使い方をきちんと伝えてあげてください。
 万一親御さんにそもそも最低限のモラルが無かったら、それはもうお子様がお気の毒としか言えないのですが。。。

 また、作成者となる方々も、つい「期待に応えないと」「断って嫌われないか」といった考えから、本当は作る気が無いのに断り切れないようなこともあるかと思います。ですが、あくまで作るかどうかを決めるのはご自身であるべきだと思います。はっきりと『申し訳ありませんが、リクエストは受け付けておりません』と伝えるのも大事なことだと思います。
 もちろんここで「は?お前誰?いちいち知らんやつの依頼なんて聞くかよwww」なんて返答をするのは問題外ですよ。
 なお私もリクエストは受け付けておりません。言われて作ることもありますが、それはあくまで提案を聞いて「自分でそれを作りたい/使いたいと思ったから」に過ぎませんので悪しからず。私のメインはあくまでレースすることで、他はそれを彩ったり、面白いことを共有したいという考えから来ているだけです。

 では、前置きが長くなりましたが次回から本編に進みます。

コメント

gamy さんの投稿…
お疲れ様です。
リバリー関係は全くと言って良いほど使えないのですが、GT7発売記念で少しやってみようかな?という気になってきました。大変ありがたい記事で感謝感謝であります。

全くの別件なのですが、『本当はダメなんだけど、寛大な措置により内緒で使わせていただいている』との表現が、私がたまに目にしてモヤモヤしている件に対する思いを的確に表現されていて、勝手にスッキリしてしまいました。
SCfromLA さんの投稿…
>gamyさん

 ごらんいただきありがとうございます。よく分かりませんがスッキリに繋がってよかったです