10月18日に開催された2026 AUTOBACS SUPER GT Round7 AUTOPOLIS GT 3Hours RACE、いつも通りにレースに関する振り返り感想記事を書こうかなと思ったわけですが、今回のレースではあまりにもレース本体から少し外れた部分で言いたいことが山積してしまい、もはや本編の下に書き足す程度の文章量ではなくなりそうだったので先に独立して書くことにしました。ほぼ愚痴ですがよろしければお付き合いください。
と思ったらレース後の暫定結果でウラカンはしれっと14位に落ちていました。画面上のタイム差から推定してたぶん100秒加算だろうなと思ったらやっぱりその通り。でもセブンバイセブンは引き続き2位表示でした。あっれ~、やっぱルール変わったのか、俺XでSC中に呟いちゃったよ~間違えたこと言っちまったかなあ
〇規則を正しく扱えなかった審査委員会
No.666 セブンバイセブンに義務ピットイン不足で100秒加算、No.88 ベンテニーウラカンにSC中のピットインに伴うドライバー交代で100秒加算。。。いや、No.88は義務ピット不足でもあるんだけど、ドライバー交代で1つ違反したらもう1つは消えるのか?バグか?というツッコミが即座に浮かびます。そしてもう1つ、もっと重要なことがあります。これもまた一般人はSUPER GTの競技規則を容易に見れないのが厄介ですが、2023年7月に改訂された規則では競技規則38.7で
給油義務違反は失格になりました。そらそうよ。『1回目の正式結果』では『GTAブルテン No.061-S』が事由として書かれていましたが、『2回目の正式結果』ではここに『SpR 38-7』というのが追記されました。ブルテンの詳細は読めないので分かりませんが、おそらくブルテンに書いてあるのは『2回給油しなきゃだめよ、SC中に給油しても含めないよ』という決まりごとで、実際にそれに対して与える罰則はシリーズ全体の規則であるスポーティング レギュレーションを見ないと書いてないと思われます。
詳細な映像は中継映像やGTAからのSNS等での公式動画では公表されていないと思われるため不明、ただ罰則が非常に重いもので、10月26日に公表された次戦のモラルハザード適用選手についての情報で藤井選手に対しては
ペナルティポイント10点が課せられ、累計ポイントが合計で10点以上となったため、次競技会(Rd.3/Rd.8)へのレース参加が禁止となります。
しかし公式の情報はペナルティー発効以外に何もありません。じゃあとりあえずチーム側が発信する情報を見てみよう、とDステーションレーシングの公式レースレポートを見るとレース全体の振り返りでは
「口聞いてくれない」「ふたりの関係はもうダメ」36号車auの坪井と山下、1週前のスーパーフォーミュラのクラッシュのその後
このレースは3時間の時間制レースでレース中には2回の給油義務が設けられました。基本的な規則はここ数年変わっていないわけですが今回は不思議なことが次々と起こり、J SPORTSの放送、レース審査委員会、参戦チームなど複数の人たちについて「ちょっとそれはないんじゃないの?」と思うことが多発しました。それぞれ書いていきましょう。
〇規則を知らず突き進む実況
この日のJスポーツは今年のお馴染みの顔ぶれで
実況:サッシャ
解説:光貞 秀俊
本山 哲
ピット リポーター:高橋 二郎
竹内 志麻
だったわけですが、厄介なことになったのがちょうどレースが1時間半を経過したあたりの50周目、GT300クラスの争いでクラッシュが発生してFCYとなり、結局FCY状態では車両撤去ができないのでSC導入となったことでした。
規則ではSC中にピットに入るとペナルティーとなり、隊列が整理されてリスタートされる前に『ピットレーンオープン』の表示が出たらピットに入ることは可能となります。ただしこの時に行えるのはタイヤ交換と給油で、ドライバー交替は行うことができません。また給油義務というのは個別のレース毎に設定される特別規則のようなものである『ブルテン』で扱いが定められており、これは一般人では詳細を見れないんですが従来から『SC中の給油は義務回数に含まない』とされています。そして結果としてはもちろんこのレースも同様でした。
ところが放送席では実況のサッシャさんが「SC中にピットに入った方が得だ」と言い始めて光貞・本山の両名も同調。そのうち誰かが訂正を入れるだろうと思ったらずっと「SC中に入れば得説」のまま話が進み、何で入らないんだ、ピットレーンオープンが先頭車両の通過時点で出てなかったんじゃないか、燃料がもたないから入れないんじゃないか、と頓珍漢なやりとりを続けました。
そんな中でこのSC中にseven × seven Racingのseven × seven PORSCHE 911 GT3R EVOと、JLOCのVENTENY Lamborghini GT3、この2台がピットに入ってセブンバイセブンレーシングは給油とタイヤ交換、JLOCは給油・タイヤ交換・ドライバー交替まで行いました。とりあえずJLOCはこの時点で謎の行動です。
[補足]SC中のピットにも意味はある
捕捉しておくと、SC中の給油・タイヤ交換そのものに意味が無いわけではありません。SC中だと作業して出て行っても隊列に追いつけるので、燃料とタイヤを万全にした状態で最後尾からリスタートできます。入らなかった人も自分たちもあと1回の給油義務が残っていたとすると、入らなかった人は次のピットでほぼ確実に給油とタイヤ交換で40秒程度の作業が必要ですが、自分たちは必要ないと思ったら『義務のためピットには入るが給油装置を一瞬だけ刺してすぐ外して作業終了にする』という事実上のダミー給油で1秒程度の作業で終わります。
GT500クラスでこれをやったら確実にGT300の背後からリスタートするので利益はまず得られないですが、GT300はリスタート順位は下がってもピット滞在時間が丸々利益になるので、その時の順位や展開次第では有利に働くことがあるんです。特に次のピット サイクルが近いなら、リスタート後は集団に埋まっていてもすぐにみんないなくなってくれるので、空いた場所を突き進んでいって絶妙のタイミングでFCYが出ることに賭けつつ最後の周にダミー給油するとか、逆に同じサイクルでさっさと一緒に入って他の人をピットで置き去りにするとか、一気に突き抜ける可能性を持つ可能性がある作戦です。ですから、上記SCの時点ではドライバー交代しちゃったJLOCが完全にやらかしたことが確定してるんですが、セブンバイセブンは戦略の可能性がこの段階ではありました。
で、レース中継を見ているこちら側とすると、ブルテンは容易に内容を確認ができないので『あれ?SC中の給油も義務として数えられるの?規則変わった????』となります。どこかに規則が書かれていないかSC中にあれこれ検索していたら、グッドスマイル レーシングの公式SNSがレースの状況を伝えていて、さっき入った人たちが義務を消化していないからもう1回入る、と発信しています。後から聞いた話だとスバルの車載映像ライブ配信でも佐々木 孝太が同様の説明をしていたそうですね。さすがは2005年オートポリス勝者の孝太さん!(謎)
・実況、最後まで訂正されず
どこかで訂正されるだろうと思った実況解説は何も変わらず、もう1回入る義務が残っているセブンバイセブンは見た目の順位じゃなくてピットに入ってダミー給油後の順位を考えないといけないはずがそういう話に全くならず、そしてとうとうレースは残り時間が無くなって、、、あれ、ピットに入らない。結局セブンバイセブンもJLOCも給油義務を消化しないままレースを終えてしまいました。あっれー、やっぱ規則変わったのか??
と思ったらレース後の暫定結果でウラカンはしれっと14位に落ちていました。画面上のタイム差から推定してたぶん100秒加算だろうなと思ったらやっぱりその通り。でもセブンバイセブンは引き続き2位表示でした。あっれ~、やっぱルール変わったのか、俺XでSC中に呟いちゃったよ~間違えたこと言っちまったかなあ
・表彰式が始まらない
と思ったらその後に暫定表彰式が待てど暮らせど始まらない事態が勃発し、やがてそれがセブンバイセブンの話だということに。じゃあやっぱり想像通りじゃないか、と思っていたらやがてセブンバイセブンにも給油義務違反で100秒加算のペナルティーが発効されました。
◎Jスポは体制を構築すべき
ここまでが最初の問題、放送席が間違った規則解釈で喋り続けた件です。たぶん過去のレースではちゃんと理解していたはずなのでなぜ今回間違えたのかがそもそも謎なんですが、いくつかの課題を感じました。まず第1に、実況のサッシャさんに依存しすぎです。サッシャさんは子供のころからF1に親しみ、モータースポーツ全般を愛していて、単に仕事だからやってるんじゃなくて自分が最大限興味を持てるものであるからこそ全力で取り組んでいる、そんな人だと思います。
そのおかげでFODでF1の実況をやってるし、JスポではフォーミュラEも担当してるわけですが、詳しすぎるがゆえにほとんど自分で実況も解説もやっていて、解説者は解説というより相槌役で、サッシャさんが体験しえないレーシング ドライバーとしての経験などで話を引き出して解説を頼る、ぐらいの体制になっています。フォーミュラEなんて由良さんはほんと賑やかし状態ですもんね^^;
それゆえにサッシャさんに依存しすぎてしまい、彼が間違えた時に誰も訂正できる人がいなくなっているのではないかと思います。というか色んなカテゴリーを掛け持ちするせいで、あくまで主観ですがサッシャさんの実況に疲労を感じる場面もありますし、規則がごっちゃになってしまってる時も散見されます。サッシャさんはレース実況だけしてるわけじゃなくて音楽ライブのMCやらラジオ番組のDJやら、他にも山ほど仕事やってますからね、1日38時間ぐらいの時空にいるんじゃないかと思います。
もちろんJスポーツなんてそんなに大手キー局みたいな人数の職員が働いてるわけでもなく、たかだか日本の自動車レースに割ける予算なんて限られてるだろうから現場の人員も最小限だろうとは思います、それは分かります。でも、実況が間違えることぐらいあるはずで、そんな日程詰めまくりの人を実況として迎えているわけですから、最低限放送を聞いて何かあれば情報を差し挟める状態にはなっているべきです。
これがレースの最後の最後の数分の出来事だったらまだ分かりますが、まだ1時間半もレースが残ってていくらでも調べて訂正を差し込む時間はあったはずで、それができなかったというのはさすがに20年以上有料放送で扱い続けている会社としては失格に近い内容だったと言わざるを得ないです。
ピットにいる2人も、あれこれ情報を現場で探し回っていて実況なんて聞いてる暇はないのかもしれませんけど、SC中にドライバー交替作業が行われている時点で何か気づきがあってしかるべきだったように思いますし、本当になぜ誰一人指摘しなかったのか、あるいは指摘するような仕組みがそもそも存在しないのか、疑問が多すぎますし反省点だったと思います。
二郎さんはJスポのサイトの方でコラムも不定期に掲載していて、車が速すぎるから冷静になって全体にもっと遅くする議論をすべきではないか、といったなかなか踏み込んだことも書いていたりするのでさすがベテランジャーナリストだなと思うことも多いんですが、今回のグダグダ放送については今のところまだ何もありません。せめて自己反省も込めて二郎さんには何か発信していただきたいな、と長年見ている視聴者としては思いますし、Jスポーツ公式SNSも多少は反応が欲しいなと思いました。
実況解説がむちゃくちゃ専門的にするのが良いのか、くだけた感じで特に難しい話をするでもなく居酒屋のノリにするのが良いのか、なんてのは方針の問題だから好き嫌いは別にして自由にしていただければ良いと思いますが、レース規則の、それも細かい『え!そんな規則あったのか!』みたいなものではなく耐久レースの基本部分の決まりごとを間違えたまま喋り続けるというのはノリとは関係なくダメです。ポールに当たったらホームランなのに打者がアウトになったとして話を進めてるぐらいの間違い方だと思います。ちなみにそういった趣旨の話を書いた私のXの投稿、朝起きたらすごい表示回数になっていてビビりました^^;
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| よ、よんまんかい・・・ |
・ちなみにこれも間違えている
規則解釈と比べると些細な事ではありますが、もう1つ間違いがありました。グッドスマイル 初音ミク AMGが件のSC導入前に全車中でおそらく唯一2回の給油義務を終えたばかりだったため、放送席ではこれが圧倒的に有利ではないかと言っていました。確かにピット義務がある類のレースでSC前に義務を終えた人は有利になる、というのは基本的な話ですがこれには『リード ラップ車両である』ことが基本条件になります。
グッドスマイルは1位からかなり離されてしまってピット後に周回遅れになっており、これだとSCが入っても恩恵はありません。これ、過去にも何度も起こって来たパターンなんですけど毎回のように同じ過ちが繰り返されています。国際映像のテロップがレースの途中からピット回数だけを表示してタイム差やリードラップ車両であるかないかを分かりにくくしていることも要因だと思いますが、ピットとSCの相対関係だけですぐに判断はできません。
これも結局、戦略について理解した解説者がいないことが一因だと思うんですよね。あとau TOM'S GR Supraがピット作業違反でペナルティーを受けたのにそのリプレイが無かった、というのもありましたが、おそらくターン1側の受けのカメラと、パドックの反対側からピットのフェンス越しに撮ってるカメラの2つしか捉えていなくてたまたまピット内の担当さんがトムスの近くに不在だった可能性はありそうです。SUPER GT+KYOJOのテレビ東京のカメラもちゃんと撮れてなかったんだよなあ(笑)
さてJスポへの苦情はここまでにしましてレース結果の話に戻ります。セブンバイセブンにも給油義務違反で100秒加算のペナルティーが発効されました。というところまで書きましたが、これにもまだ問題が山積していました。SUPER GTの公式Xアカウントが投稿した内容ですが、最初の暫定結果がこちら。大事なのはペナルティーについて書かれている2ページ目です。
No.666 セブンバイセブンに義務ピットイン不足で100秒加算、No.88 ベンテニーウラカンにSC中のピットインに伴うドライバー交代で100秒加算。。。いや、No.88は義務ピット不足でもあるんだけど、ドライバー交代で1つ違反したらもう1つは消えるのか?バグか?というツッコミが即座に浮かびます。そしてもう1つ、もっと重要なことがあります。これもまた一般人はSUPER GTの競技規則を容易に見れないのが厄介ですが、2023年7月に改訂された規則では競技規則38.7で
「チェッカーフラッグを受けた時点で当該競技会において義務付けられたピットイン回数を履行しなかった場合、当該車両は失格とする」
と明記されており、これが消えたという話はありませんからおそらく今も、ひょっとしたら規則をいじってるうちに条文の数字とかは変わってるかもしれませんが同じ規則のはずです。ということは100秒加算は規則と辻褄があっていません、No.666もNo.88も失格のはずです。この規則は、2023年の第3戦でレースが途中でレッド フラッグによって終了してしまい、その時点で2回目の義務を消化していなかった車両が1位になっていて暫定結果では優勝となったものの不公平感から抗議の声が上がり、しかしそもそも規則で義務未履行の扱いが明文化されていなかったことから追加された規則です。
この後、書類の記載によると30分後に正式結果が確定したとして公式Xが『正式結果』とする内容を投稿しましたが、100秒加算問題もペナルティー1個しか受けてない問題も変化なし。既に当日からSUPER GTの公式Xアカウントには『失格ではないか』という意見が返信として付いており、たぶん現場でも同じように抗議の声が上がっていたと思われます。すると、レースから5日が経過した10月23日になって
給油義務違反は失格になりました。そらそうよ。『1回目の正式結果』では『GTAブルテン No.061-S』が事由として書かれていましたが、『2回目の正式結果』ではここに『SpR 38-7』というのが追記されました。ブルテンの詳細は読めないので分かりませんが、おそらくブルテンに書いてあるのは『2回給油しなきゃだめよ、SC中に給油しても含めないよ』という決まりごとで、実際にそれに対して与える罰則はシリーズ全体の規則であるスポーティング レギュレーションを見ないと書いてないと思われます。
2023年に追加された規則を忘れてたのか、何かと取り違えたのか、失格はさすがに厳しすぎてかわいそうだと思って裁量だったのか分かりませんが規則の文面だけを考えると100秒加算は根拠が不明瞭で、またNo.88に対してペナルティーが1件だけだったのも謎でした。彼らの場合はこれが200秒に増えようが10万年になろうが、リードラップ最後尾というレース結果は同じと言えばそれまでですが、勝手に1つに統合したらダメですし、そういう諸々の問題があるはずなのに素通りして暫定結果を正式結果としてサインしてしまったら何のための暫定/正式なのか分かりません。
そして、『正式結果』として出したものを訂正してしまう、というのも実は大きな問題です。2年前はオートポリスの予選でこれまた大きな間違いがあり、決勝直前になって予選結果が変わりました。これに対して小林 崇志がSNS上で運営を批判したことは当時の私の記事でも取り扱いました。その時も書きましたが、明確に内容について瑕疵が認められるものを『一度決定したら地球が滅亡しようと覆せません!』なんてことを言ってしまうと、それこそレース審査委員会が故意に誤った結果を正式として出したらレース結果を恣意的に操作できる危険性すらあるので、この部分を過度に絶対視すべきでもないとは思います。ただこうした問題が繰り返されるのは明らかに問題です。
ちなみに2年前のオートポリスでは時間までに正式な予選結果を出せなかったとして競技長に対して訓戒処分が科せられるという珍事もありましたが、今回の公式結果バージョン2にはそういう記載はありませんでしたね。
〇反応が薄いGTアソシエイション
レース結果が二転三転した問題ではシリーズの興行主であるGTアソシエイションも特に反応はなさそうで、公式サイトに『レース結果が5日後に変わってしまって申し訳ありません』的な一言も特に見当たりませんし、SNSの投稿も事務的です。
ここで一応ザックリ整理しておくと、あのちょっと怖そうなおじさん・坂東 正明が会長を務める『GTアソシエイション』という組織は、シリーズのプロモーター・興行主というやつで、スーパーGTというシリーズ戦を作って、宣伝して、動かして、ルールを決めて事業として成り立たせる人たちです。
一方で実際に行われている個々のレースというのはGTアソシエイションが単独で主催しているわけではなく、サーキットの所有者やレース関係団体なども主催者の立ち位置になっていてGTアソシエイションは主催者のうちの1つだったり、今年の鈴鹿だとなんと主催者に名前はありません。あくまでシリーズ戦の1つとしてモビリティランドなどが主催したレース大会を公認する立場になっています。分かりにくいですけどね。
レース競技運営に関しても、日本自動車連盟やサーキットなどから派遣された面々が審査委員会を構成して遂行されていて、坂東オジサンが直接レース内容にああだこうだ言うわけではありません。実際、2024年にはレース後車検で車高が規定値にひっかかった車両があり、規則としては失格にすべき事案だったところを他車との接触による不可抗力だというチーム側の言い分が認められて罰則対象とならなかったという事案がありました。
これに対して坂東会長があくまで『私見』として「出た数字に対しては、いかなる状況下にあってもそれをきちっと評価していただきたい。」などと、現場の裁量で善悪を判断しないでほしいという見解を示したこともあります。GTアソシエイションはシリーズを統括する立場ではあるけれどレース内の個々の審判の役割には関与しておらず、異議を申し立てたり意見を述べることはできない、という立場ということになりますね。
ですからGTAからすると『レース結果の判定についての説明はレース審査委員会の権限で我々に何かを言う権利もなければ立場でもありません』ということになるのかもしれません。しかし、だからと言って普通にファンが見ているぶんにはそんな仕事の領域の話は知ったこっちゃないのもまた事実で、レース結果が二転三転したのもGTアソシエイションと坂東が悪い、という見方を当然することになると思います。思わなくても、おいGT運営説明しろよ、ぐらい思うのはごく自然だと思います。
レース審査委員会の人が急に表舞台に出てきてぞろぞろと会見を開く、声明を出す、なんてことは正直考えづらいですし、やはりレースの中身として起きてしまった物事についてはその仕事の領域を問わずGTAには説明責任があると思います。せめて審査委員会に説明を求め、その説明を代読するという形式でも構わないので何かしらの情報発信はすべきではないでしょうか。
前にも書いたことがありますが、NASCARだとレース中に起きた物議を醸すあれこれは、担当するエライ人が2日後あたりのNASCAR公式ラジオ番組や会見、声明を通じてすぐに『何が起きていたのか』『この裁定はそういう根拠から行ったのか』『今後どういった対応を行うのか』というような情報発信を迅速に行っています。NASCARはレース内の運営も自分たちで行っていると思いますし、GTAの組織規模と比べるのはおこがましい巨大なので全く同じにしろとはもちろん言いませんしできませんが、会長からの情報発信が次のレース開催がある週末まで無い、というのはあまりに間が空きすぎていると思うので、せめて1週間後には声明ぐらい出すような体制にはなっていただきたいです。
〇"一発アウト"の藤井 誠暢
ここまでピット義務違反の件について大きく分けて3つの方向から見てきましたが、もう1つ気になる問題がありました。これは暫定結果の時点から既に記載されている内容ですが、ペナルティーの一覧にこんなものがあります。
Car No.777 Tomonobu Fujii:競技結果より2周減算 [SpR.13-1a. 「危険なドライブ行為(Car No.7に追突)」
No.777 D'station Vantage GT3・藤井 誠暢がNo.7 CARGUY Ferrari 296 GT3 EVOに追突したということですが、2周減算というものすごく重たい処分を受けています。中継映像ではチェッカーを受けた後にターン1でカーガイ296・ザック オサリバンがなぜかスピンしている映像がありましたが、それがこの事案でした。これでDステーションはリードラップの9位で終えていたものが2周遅れの20位というのが正式結果になりました。
詳細な映像は中継映像やGTAからのSNS等での公式動画では公表されていないと思われるため不明、ただ罰則が非常に重いもので、10月26日に公表された次戦のモラルハザード適用選手についての情報で藤井選手に対しては
という驚きの内容が出されました。累積で溜まっていった違反点数が規定を超えたのではなく、1回の行為で即座に出場停止になっています。どうもレースの終盤にオサリバンが藤井をちょっと接触しながら抜いて行って藤井のミラーが壊れて飛んで行ってしまう事案があったので、これの報復行為とみなされたのではないか、という説が有力になっています。一発アウトはおそらく前例がないですね。
・何も触れないDステーション
1台にペナルティが出たため、順位は9位になったかと思われた。しかしレース後、D'station Vantage GT3 にも2周減算のペナルティが出されてしまい、最終的な順位は22位となった。苦闘の末入賞を果たしたかと思われたものの、まさかの無得点となった。
藤井選手の所感は
給油リストリクターによるピット時間もあり、レース終盤はピックアップもあって苦しい展開となりましたが、9位でフィニッシュすることができました。ペナルティで22位で無得点となってしまい、チャンピオン争いは苦しくなってしまいましたが、モビリティリゾートもてぎでの残り2戦、もう一度頑張りたいと思います。
上位勢に給油義務違反のペナルティーがあったけど、うちも思いがけずペナルティー受けちまった、ぐらいの扱いになっています。少なくともペナルティーを受ける事案を自分たちが接触行為によって生じさせたのは間違いないと思うんですが、ここだけ読んだら一切それは伝わってきません。また藤井選手はXアカウントもありますが、基本的に好結果だったレースの時だけ発信しているようで、GTはここ2戦の投稿が見当たりませんでした。カーガイ側もチェッカー後の出来事で車が壊れるような事案ではなさそうなためか、レース後のリポートで一切この話に言及はなく真相は闇の中、という感じになっています。
別々の事案なので並べるのが妥当かどうかは難しいところではあるんですが、Dステーションと藤井選手と言えば昨年の第6戦SUGOで多重事故があった際にも、起因となったのは藤井選手がコース外にはみ出してコースに戻ってきた際の接触でした。レース審査委員会からは藤井選手に対して危険なコース復帰に対するペナルティーが課せられたので一定程度の責任があったと考えられるんですが、この時もチーム側が出したリポートでは他車と接触してリタイアしました、ぐらいの扱いで、細かいことに一切触れていませんでした。このあたりの話は当時の私の記事の後ろの方に書いてあるので、コピペするとまたそれだけですんごい文字量取られるのでこちらを参照してください。改めて読んだら今回と似たこと書いてますね^^;
重大な事案が発生しているのに何も無かったのように素通りしてしまう、ということが1年間のうちに2回あったわけで、個人的な感想としてはここは残念ながらそういう体質のチームなんだな、と思ってしまいますし、何かしら情報が無いかあれこれ検索かけてたらたぶん同じような考えからDステーションが嫌いだという投稿も目に留まりました。
失格にかなり近いレベルの2周減算ペナルティーがあり、事後的には結果としてドライバーが一発退場を食らうような事案があったわけですから、さすがにこれに対して何も反応をしないというのは理解できません。悪いことをしていたのならちゃんと謝るべきですし、裁定に納得がいかない、事実と異なるなら根拠を示した上でそうはっきりと言うべきだと思います。事案の詳細が無い以上断定ができないですが、もし故意に接触しておいて謝罪の態度を対外的に全く見せないということがあれば、申し訳ないけどチームであれ選手であれ競技に参加する資格は無いと思います。
〇メディアは仕事を果たしてほしい
さっきリンクを貼った記事でも書いたし今年も何回か書いてる内容ですが、SUPER GTの記事を多く掲載している国内モータースポーツ系メディア、オートスポーツwebとモータースポーツドットコム日本版、もうちょっと取材者としての役割を果たしていただきたいです。まず給油義務違反の件についてですが、レース後の記事でたとえばオートスポーツでは
『SCラン中の給油作業が義務消化と認められず、レース終了後にポジション降格。』
としか書かれていませんでした。たぶんこの時点で『規則上は失格のはずではないか』という記事の内容は見られなかったと思います。そして正式結果が改定された際の記事内では
『そんな一戦の後、2台については他チームからも「失格ではないか」という声が聞かれていたが、レース終了から5日経った10月23日付けで、第7戦のGT300クラス正式結果の改訂版となるNo.17のリザルトが発表され、2台は失格という扱いとなった。』
と書かれていました。また、レース後に各チームのいくつかの裏側の話なんかは取材されていますが、藤井選手の接触については私が読んでいた範囲で記事や取材した類の内容は見当たりません。次戦のエントリーリスト発表の記事で『ペナルティーポイントが10になって出場停止だから近藤 翼が出場する』と事務的な話が書かれている程度です。
チーム側が触れなくても報じる側は何が起きたのか、もう何日も経ってるんだしちゃんと取材して報じるのは必要な役目では無いでしょうか?というかそもそも、ここまで書いて来た内容のほとんどは本来なら専門メディアの記者さんが指摘しておくべき内容ではないかと思います。個人のド素人と違って取材者である人たちはちゃんと規則の条文も読めるし、必要に応じて当事者に話を聞くことも可能なはずで、データも豊富で私より遥かに楽に記事を書けると思います。
残念ながら名前を挙げた両サイトとも報道というよりはスーパーGT公式サイトとともに連携する広報サイト、みたいな状態になっていて、悪いことはほとんど書かない姿勢が沁みつきすぎています。そういう方針なのか、悪いことを書いたらもう取材させてもらえなくなるから相手が怒ることは聞きたくないのか、シリーズ側からそういう面倒なことは書かないように言われてるのか、どんな背景があるのかド素人には知る由もありませんし、あちらからすると『お前みたいな一般人には分からんことが山ほどあるんだよ』ってなところかもしれませんが、やっぱり間違ってると思います。
両サイトともサイトの運営収益が厳しいのか、最近は広告の量が非常に多くて特にオートスポーツをSNSで貼られたリンク経由で見ると広告が異常だと最近も話題になってたんですが、やっぱり見ていただくためには質の高い記事が必要であり、その中にはチーム・選手・運営組織など、参加している当事者を批判するような内容が必要になることもあると思います。というかそういう記事も含めてきちんと取り上げて行くことがユーザーの信頼に繋がり、アクセス数の維持にも繋がっていくのではないでしょうか?最近のオースポだと
という記事があり、GTでのチームメイトが前週にSFで接触してしまって、何だ?無敵のトムスに緊急事態か?と思って読んだら単なるジョークのネタ記事です。いや、接触時の細かい話について取材した立派な記事ではあるんですけど、記事題名がいわゆる煽り記事のやり方なんですね。
yahooを見てるとプロ野球関係の記事で『午後△時の突然の発表に〇〇ファンが騒然!?「マジか・・・」「終わった」とファン絶句』みたいな、全く大したことにない内容にイチイチバカでかい無駄な煽り文句を付けた記事がやたらと出てきます。私ははっきり言ってこういうの嫌いなんですけど、これは目先ではアクセス数を稼げても中長期的には絶対嫌悪され、しかしやってる側はさらに煽って人を集める脳しか持たなくなっていずれ自壊することになると思います。
もちろんそれはGTアソシエイション自体も同じことで、良いことだけ書いて悪いことはみんなで見てみぬふり、知らない人は知らないまま隠しておこう、では単なる馴れ合い、そこらの草レースならまだしも仮にも大手自動車会社が億単位の金を注ぎ込み、毎回何万人単位の観客を迎えているプロ競技としては申し訳ないけど不合格だと思います。
今回の記事の題名とした『説明責任』ですが、プロ競技として参加している誰もが最低限自分たちの行いには責任を持つべきで、それが誰かにとっては都合が悪い、何かを批判しなければならない、そういった問題であってもコミュニティーとしてお互いにそれはちゃんと言いましょう、伝えましょう、受け入れましょう、という合意形成が必要ではないかと思います。
それがないから急にシリーズから撤退したり突然不可思議な選手交代をするチームがいても何事も無かったかのようにやり過ごされ、大事故の要因さえ公式には内容がよく分からず、結果として憶測だけが一部ファンの間で先走りして場合によっては全く関係の無い事実無根の内容が作り上げられたりすることも起きるわけです。
似たような話を私は自分のブログでその都度何度も書いてきましたが、全く状況が変わっているようには見えないところにまた今回のような事案が起きて似たような感想を抱くことになり、それが25年以上のファンとしてただただ残念でなりません。お互いにしっかりとプロ意識と一定程度の緊張関係があることで、悪いことをしない、怪しげな企業や団体には参加させない、そういった雰囲気を醸成することにもつながると思います。一発退場になるような事態が起きたのはたぶん前例がないわけですから、そうした事案が起きた今だからこそ改めて考えていただきたく思います。
〇で、そもそも何で間違えた?
最後に、これは批判ではなく単なる希望ですが、そもそも何でセブンバイセブンとJLOCが私から見ればものすごく単純な失敗をして順位を失ったのか謎です。セブンバイセブンは公式インスタグラムがありますが『2位でしたが残念ながらペナルティーで11位でした』的な内容が英語で書いてあるだけで、JLOCもフェイスブックのアカウントがありますが細かい話はなし。公式サイトはもう10年以上更新されてなさそうでセキュリティー的にアクセスするのもちょっと怖いです(笑)
というわけで何で失敗したのかがさっぱり分からないんですが、これも全然情報サイトに乗ってません。取材してないのか、取材お断りだったのか知りませんが、こういう話が乗ってればアクセス数はちゃんと確保できる気がするので、単純に経営という面から考えて記事が無い理由がよく分からないですね。それを聞く余力もないほど人員が足りないんでしょうか。
セブンバイセブンはチームが新しい上に監督がマシュー ハービーという外国人エンジニアの方なので、単純にちゃんと規則を理解してない人が陣頭指揮をとってしまっていたから間違えた、とかいうこともあり得るのかなと思いますが、JGTC時代からの古参であるJLOCは謎です。しかもチームメイトのNo.87もNo.88の1周前にピットに入っていて、ピットオープン前に入ったことでペナルティーを食らってます。Jスポーツを見て戦略を考えたとしか思えません()
いかんせん単なる一般人のド素人ゆえに、ある程度きちんと調べるべき点は調べたつもりですが事実誤認や表現の至らない部分がありましたらご容赦願います。というかもっと詳しい具体的なことをご存じの方がいらっしゃれば、より内容を補完して今後に活かせるかもしれないのでコメント欄にてお申しつけください。ありがとうございました。

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