NASCAR プレイオフ 第5戦 ラスベガス・事前情報

NASCAR Cup Series
South Point 400
Las Vegas Motor Speedway(Las vegas,Nevada)
1.5miles×267Laps(80/85/102)=400.5miles
Left:D-5284 , Right:D-5290
Total Sets:11(8 new race/1 qualifying transfer to race/2 practice)


 NASCARカップシリーズ・プレイオフ第5戦はラスベガス、先週のハリウッドカジノに続いて今回もカジノが大会スポンサーのサウス ポイント 400です。最大バンク角20°のラスベガス モーター スピードウェイは本来なら地元出身ドライバー・カイル ブッシュの登場で盛り上がるはずでしたが、約5か月前の急逝により地元の英雄の姿は見られません。今回は兄であり2004年のカップシリーズチャンピオンであるカート ブッシュがぺース カー ドライバーを務めて、彼自身の2026年NASCAR殿堂入りを称えるとともに、亡き弟の功績を称え、追悼する機会となります。
 今回LMSの会場には2019年にカイルがチャンピオンを獲得した際の車両、優勝トロフィーの展示が行われるなどカイルの功績を称える数々の試みが行われます。またLMSに併設されているショート トラックの『ザ ブルリング』でもレースが行われており、このうちARCA メナーズ シリーズ ウエストの第9戦はイベント名が『カイル ブッシュ クラシック プレゼンティッド バイ スター ナーサリー』という名称で開催されます。カイルブッシュよ、永遠に。なお再舗装してリニューアルしたばかりなので路面は真っ黒です。

 さてレースの方に話を戻しましょう、前回の事前情報ページで書いた通りNASCARはノースウィルクスボローからスプリッターの支持構造部材を増やし、スプリッターが走行中にたわんで利益を得る車にならないよう対策を講じました。トヨタ勢が活用していたと言われている細工を封じた後では初めてとなる1.5マイルだった先週のカンザス、ラーソンが圧倒的な速さを見せたため『やっぱり効果あり?』という見方もありますが、ブリスコーがラーソンと互角の争いを見せハムリンも3位、他のトヨタ勢も比較的好調だったので、単にラーソンが良すぎただけという見方もあります。
 最大バンク角20°のトラックはザックリ言えばカンザスと似たようなものですが、さすがネバダ州だけあって今週末の予想最高気温は33℃ほどが予想されており、カンザスの25℃前後で曇り空だったレースとはだいぶ環境が異なります。またターン1・2はトラック下を通すトンネルに由来する凹凸がちょっとハゲし目なのでセッティングする上での注意点となっています。それと、ここのピット ロードは1.5マイルでは珍しく出入り口がちょっとだけ曲線になっているので、コーション時に他車と並走した際など内側を走った時に速度違反しやすい罠になるので要注意です。

 使用するタイヤは先週と全く同じで使用可能なセット数も同じ。カップシリーズはプレイオフが始まってからの4戦中3戦で雨により練習も予選もない状態が続いていますが、さすがに砂漠にあるラスベガスでは可能性が低いので、ようやく各陣営は50分間を使ってセッティングの確認ができそうです。特にプレイオフ選手はこの貴重な走行時間を使って、単にこのレースだけでなく来週のシャーロットまで含めて良い車を作れるようにしたいところです。

・ちょっとしたデータ

 まず3月に行われた第5戦を振り返ると、優勝争いはハムリン、ラーソン、ベル、バイロンあたりが主軸になりました。ハムリンはピット速度違反で一旦31位まで転落していましたが最終ステージには戻し作業を完了させ、レース終盤は路面状況と合っていたらしいエリオットを寄せ付けずに優勝、これが今季の初優勝でフロントストレッチのインタビューにはご家族が集合しました。さすがに火事で突然父親を亡くした選手を鞭で叩くようなことはなく、お客さんもよく分かっていてブーイングせず静かに聞いていたのが印象的です。あと、レース後にロス チャステインがスアレスにキレてスイカパンチしてました(笑)

 ラスベガスのトップ10はハムリン、エリオット、バイロン、ベル、ギブス、ブッシャー、ラーソン、ブリスコー、ウォーレス、ケゼロウスキー。先週も書きましたが高速トラックは何よりもまず安定した高いダウンフォースを得ることが大事なので技術力の高い強豪チームが優勢で、ジョーギブスレーシング vs ヘンドリックモータースポーツになりがちです。ハムリンは昨年の秋も勝っておりベガス2連勝中、3連勝するとジミー ジョンソンと並んでベガス最多タイ記録になります。
 またハムリンは現在1.5マイルで8戦連続5位以内に入っており、これまたジョンソンと並ぶ歴代7位タイの記録、もちろん1.5マイルでの平均順位でも全選手中圧倒的な2.7を記録しています。これに続くのはバイロン、ウォーレスですがこの2人は今季の1.5マイルではまだ優勝がありません。
 逆にロガーノはプレイオフ選手の中で今季の1.5マイルの成績が最も悪く、先週も12位になりそうだったのにパンクで20位に落ちる不本意な成績でした。ただロガーノはラスベガスでは現役最多となる4勝を挙げており、直近は2020年春、2022年秋、2024年秋に勝っています。ロガーノ偶数年度大活躍の謎法則に従うと今回のベガスには優勝の流れがあるかもしれません、川井ちゃんが一番嫌う根拠のない統計数値だけの遊びのやつです(笑)

 Gem7車両導入後の過去9回のラスベガスではラーソンが2勝して平均7.8で最良、これに続くのが春のレースでは上手く行かずスイカパンチを見舞ってしまったチャステインで、プレイオフには進めませんでしたがファンに良い走りを見せたいところです。ベルは今季の1.5マイルが平均順位12で全体7位、そしてGen7ラスベガスでも平均11.7で全体6位です。ただしこのうち5戦でトップ5フィニッシュしていて対象期間ではラーソン、バイロン、チャステインと並ぶ最多タイ。秋のベガスに限れば過去3年が2位、2位、3位となっています、2位じゃダメなんですよ!再び。

 優勝者の予選順位では、Gen7導入後の9戦中なんと5戦が1列目からのスタートで優勝しています。うち4回は予選2位の選手でポール トゥー ウインは昨年秋のハムリンだけでした。過去通算37度開催されたラスベガスでPtoWはなぜか2回しか無くて2位からの優勝が8回で最多となっており、逆にGen7で最も下位から優勝したのは2022年春のボウマンで13位、2020年以降で11位以下からスタートして勝った唯一の事例でした。統計的には予選10位以内からのスタートが優勝への大きな要素です。

・レース前の話題

 ケゼロウスキーがラウシュフェンウェイを袂を分かつことになった話は別記事で書きましたが、RFKレーシングの社長・チップ バワーズが理由の一端について説明しました。と言っても単に「加入時のドライバー契約の期間が5年で今期末で満了だった。」ということと、本人は現役を望んでいるがチームとしては要職として働いてくれることを望んでいた、というもので、それほど大きな話はありませんでした。ケゼロウスキー側も取材を受けますが、多くの質問については「今はまだ明かせない。」という感じの回答でした。

 そして組織体制でもう1つ、ジョーギブスレーシングがARCAメナーズシリーズの活動を終了し、下部カテゴリーの活動をオライリーシリーズに集約する見込みであると報じられました。JGRの若手育成などを担当するスティーブ デソウザがジョセフスリグリードットコムという私は初めて聞いた媒体の取材に対して答えたもので、オライリーシリーズでJRモータースポーツに圧倒され、今年はプレイオフに4人中2人しか進めなかったことを重く見たようです。
 ARCAのような下部組織のシリーズはカップシリーズのチームが直接参戦することは珍しく、JGRは現在のカップチームで唯一ARCAでの活動をしていました。2017年にライリー ハーブストを擁して参戦して以降タイ ギブス、テイラー グレイ、ウイリアム サワーリッチ、ブレント クルーズなどを起用して上のカテゴリーへと引き上げてきましたが、今後はおそらくこの分野は提携するチームを通じてドライバーを育成すると思われます。

 最後に下部カテゴリーから契約の話を数件。まず現在オライリーシリーズで絶好調、ハース ファクトリー チーム・00号車で参戦しているメガネが似合う男・シェルドン クリードがサム ハント レーシングと複数年契約したと発表しました。来年から26号車GRスープラのドライバーとなります。チーム力としてはサムハントの方が下になるんじゃないかと思うのでけっこう驚きました。クリードは風貌が特徴的なのでけっこうお気に入りのドライバーです(笑)

 トラックシリーズではフロントロウモータースポーツがジェイク ガルシアと契約して来年の38号車のドライバーになると発表、同じフォード陣営のソースポート レーシングからの移籍です。ガルシアはフル参戦4年目の21歳、つい先日の第19戦ブリストルでシリーズ初優勝を挙げた期待の若手の1人。フロントロウはチャンドラー スミスがオライリーシリーズへ行ってしまって1席空くので後任に若い良い選手を迎えたことになります。
 同じくトラックシリーズではスパイアー モータースポーツが16歳のトリスタン マキーを来年もより多くのレースで起用すると発表。ARCA メナーズ シリーズ イーストで今シーズンのチャンピオンを獲得、16歳になったばかりの8月から既にトラックシリーズに3戦出場して全て8位以内に入り、ブリストルではシリーズ最年少でのトップ5フィニッシュを記録しています。NASCARの低年齢化に驚く今日この頃です。
 そして同じスパイアーではケイシー ケインが契約締結間近ではないかと報じられています。ジ アスレティックが匿名の関係筋の話として伝えたもので、実現すれば46歳・カップシリーズ通算18勝の大ベテランが2018年にカップを去って以来となる本格参戦となります。私はてっきりマキーの話と関連して、年齢制限でマキーが乗れないレースに乗って共有するのかと思ってましたが、どうもフル参戦契約ではないかという話なので、続報を待ちたいところですね。なんか最近コメント欄でケインの話題出てたな・・・(笑)

・O'Reilly Auto Parts Series Focused Health 302

 1週間のお休みを挟んで戻ってきたオライリーシリーズのプレイオフ第4戦。ステージ1をコリー デイが圧倒して迎えたステージ2、ピットで順位を3つも上げたブレンダン ジョーンズを先頭にリスタートしますが、いきなり3ワイドの真ん中になったジョーンズは順位が下がり、そしてさらなる悪夢が。

 勢いが無いジョーンズをターン1手前でチームメイトのクルーズが押してしまい、曲がれないジョーンズがふらついてスピン、ここに運悪く突っ込んだのがジャスティン オールガイアーでした。これで両者リタイア、ジョーンズはピット作業時に左前輪のナットがちゃんと締まっておらず、レース後車検でラグ ナットが4つ以上安全に装着されていなかったとして失格になったので最初からホイールがぐらぐらで遅かったと思われます。チームはちゃんと締まってるか疑いつつもそのまま走らせたらこうなったので、ジョーンズ自身も苛立ってるしオールガイアーにとっては災難でしかありませんでした。クルーズの追突も不可抗力ですかね。

 その後レースはデイがリードしてレース終盤に向かいましたがカーソン クワポーが猛追。残り11周でデイからリードを奪うものの2人ともかなり車がズルズルで、その後も抜きつ抜かれつを繰り返しました。お互いの車の側面がぶつかりながら迎えた最後の1周、内側を走ってズルズルするクワポーに対して、デイは大外を走りつつやっぱりズルズルしてターンの出口では壁に接触。ターン1・2だけでなく最後のターン3・4も全く同じパターンで、ちょっと壁を使ったデイが0.287秒差で勝利を手にしました。

 ドライバー選手権ではこのレースは13位だったもののクリードが以前として1位、クワポーが19点差で2位、3位に21点差でジェシー ラブ、オールガイアーは30点差の3位となりました。自分より下にいるデイが勝ったのが不幸中の幸いだった感じです。

・カップシリーズ予選

 ブッシュ ライト ポール賞はハムリンが獲得しました、今季5度目・通算では53度目です。僅か0.017秒差でギブスが続き、ベル、ブリスコー、レディックとカムリが上位5位まで独占。6位からラーソン、シンドリック、バイロン、ウォーレス、ホースバー、スアレス、プリース、エリオット、ブッシャーと14位まで全てプレイオフ選手でした。ボウマンが15位、ケゼロウスキーが16位、チャステインが17位です。苦戦したプレイオフ勢はやはりペンスキーでブレイニーが20位、ロガーノが23位でした。
 ベリーとグレッグソンは練習走行でクラッシュして予選に出走していません。いずれもタイヤのパンクが原因のようで、ベリーはタイヤ内圧をどこまで下げるか試していてやりすぎた模様。ベリーによれば解決策は「まあ、空気入れたらいいっすね。」他にも事故にはなりませんでしたがレディック、ギブス、ブッシャーはタイヤに問題が起きていたという情報です。

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