埼玉旅行の話~その4 四季島撮影編~

 前回の続きです。10月30日、休暇を取って迎えた平日の朝。この日は最初期の計画では鉄道博物館に開館時間から入って、飽きるか閉館するかまで居続ける予定でした。鉄道博物館って興味の無い方からすると単に車両が置いてあるだけ、みたいな印象かと思いますが、博物館ですのでその時々で特別展が開催されていたり、場合によっては特別に内部が公開されたり、そういうイベントがあります。説明とか細かく読んでたら平気で1日潰れます、京都鉄道博物館も私は滞在時間5時間ぐらいでした。
 当然、鉄道博物館のサイトでこの日に何か特別な催しが無いか調べるわけですが、個人的にこのサイトはどこを見たら何が乗ってるのかちょっと分かりにくい構造になっていましてちょっと迷走、同じ場所をぐるぐる回ってしまいました。そんなグルグル回っているうちに目にしたのが『「TRAIN SUITE 四季島」お手振りイベント』というもの。大宮の鉄道博物館は高崎線の線路脇にあるため、ここからJR東日本が誇る超豪華寝台列車・四季島を手を振ってお見送りしようというものだそうです。
「ふむふむ、これは何日だ、10月30日・・・四季島運転してんの!?」
 衝撃でした。運転日が限定されている四季島が、なんと奇跡的にこの日に運行しているというのです。だったら手なんて振ってる場合じゃない、写真を撮りたい!予定が根底から覆された瞬間でした。この日にイベントを開催してくれてありがとう、有野課長(謎)ちなみにこのイベントの告知ページ、後にまたサイトにいったらどこに置いてあったのか見つけられませんでしたw

 というわけで、この日は結局北上尾駅で四季島を迎え撃ち、撮り終わったら急いで鉄道博物館へ移動することに。お手振りイベントの概要から11時30分ごろに大宮を通過することが分かりますので、そこからおよそ10分後・11時40分ぐらいに3駅隣りの北上尾にやってくるはずです。となるとロケハンの時間を考えてもまあ10時過ぎに現地に居れば良いですし、そもそも月曜の朝なんて通勤ラッシュなので早くから撮影しようとしたって生活している方々の邪魔でしかありません。前日に朝から夜まではしゃぎまわりましたし、この日はのんびりとチェックアウトすることにしました。

 ホテルの朝食をちょっと食べすぎたぐらいに食べて「じゅうぶん朝食代の"元"は取ったぜ」とか思いつつ9時過ぎにチェックアウト。前金制で帰りは1階出入口の箱にカードキーを投函するだけで出れるのでお手軽です。ちょうどお掃除の方がいたので「ありがとうございました~」とペコリとお辞儀して、キーを投函せず出そうになりました(;・∀・)

 おお!ライブでよく名前を聞く大宮ソニックシティーってこんな駅前にあるのか!


 昨日スタバを探し求めて彷徨ったから駅の大まかな状況は把握済み。手前に新幹線が見えて・・・うん?新幹線?・・・新幹線の写真撮れるじゃねえか!

 上記の通りこの日はのんびりが基本だったので、大宮に新幹線があることを知っていながらそれを撮るという発想が全くありませんでした。急に何か神経回路が繋がったように思い浮かび、急いで調べたらなんと大宮は新幹線撮影の適地。ホーム端は大きな柵があるものの隙間の大きなものなので撮影に支障がない、という驚きの撮り鉄親切設計でした。急いで入場券を手にしホームへ、でも30分ぐらいしか時間がありません。


 東北新幹線見るなら絶対見たい連結部。


 E7系、後追いで遠いけど。


 E5系単体。ちなみにWikipediaに掲載されている写真もこの場所から撮影してるっぽいです。


 向こう側にはE6系!新幹線は地上設備がすっきりしているのでホーム端にさえ行ければむしろ在来線より撮りやすいかもしれんw
 

 こまちはかならず北側に連結されるので、自分がホーム北側に立っていると入線してくる顔を撮影できません。せめて1時間あったら反対側に移動しても撮影できたのに・・・と後悔しつつ時間いっぱいまで撮影。E6系の顔がなんか好きなんですよねえ。


 今度は入線してくるE7系。


 E3系を後追いするも編成が全部入らず。この後時間が迫って来たので早歩きで撤収しました。さあ高崎線に乗って北上尾へ、、、あれ?なんか様子がおかしいな・・・

輸送障害発生中

 もうどこで起きた問題だったか忘れましたが、前日の人身事故とは関係なく、東海道本線の方で早朝起きた問題を引きずって高崎線の列車に20分以上の遅れが発生していました。これならもうちょっと新幹線撮ってればよかった、と変な方向で後悔します。今さらじたばたしてメインイベントを逃したら大変なのでひたすらホーム上で待機。

 なんかよく分からんけど回送のE257系だけ撮りました。他にも数名撮り鉄さんがいましたが何を目当てにしていたのかは不明。本来は先頭に乗って移動する予定でしたが、前方のホームは狭いしじっとするのも退屈なので、10分ほど経過したらホーム後方へウロウロ。ここで列車が来たのでむしろ最後尾近くでした。お客さんほぼおらず。
 北上尾へ移動し、本来ならここでまず特急 草津・四万を迎えるはずでしたが、時間がかかりすぎてトイレに行きたくなったし、案内表示を見ると次の列車の表示がされていて通過とは書いていないので、すぐには来ないだろうとトイレ休憩&今のうちに改札を出て入るタッチ&ゴー。
 基本的にこの旅行はほぼICOCAで決済しているんですが、さっき新幹線改札へ入場券で入る際の所作が悪かったらしく、入場記録が消えていて駅員さんに精算していただきました。するとその時、下で列車が通過する音が・・・草津・四万が通過していきました。JR東日本ってホームの案内表示は通過列車に通過表示無いのね・・・
 というわけで四季島が来るまでの間、私にできるのはひたすらE231系とE233系を撮ることだけになりました。


 写真を見返して『高崎線を北上する列車に上野東京ラインって書いてても説明になってないのでは?』と疑問に思ったのでXで質問したところ『行き先表示と交互に切り替わっている』と教えていただきました。関西の鉄道は基本的に種別・行き先で固定表示なので全くの盲点でした。


 EF81形電気機関車。1979年製造のこの140号機はかつては寝台列車なども牽引していた車両で、現在は主に車両工場から配属先の車両基地への移動など、自走できない車両を荷物として牽引する甲種輸送等の任に就いており、そのために特殊な連結器を装備しているそうです。私の中では『ザ・電気機関車』という印象です。

 E233系の方がLEDの許容シャッター速度が遅いのか切れてしまいました。


 ダイヤがかなり乱れているため、全然来ないかと思ったら急に立て続けに列車が来たりしました。



 これは回送だった模様。


 四季島は10両編成なのであんまり15両で慣れすぎないように、とか思ってわざと後ろを切り気味にしてみたけどこれだと10両入って無いですねw


 機関車はちょっとはみ出るぐらい引きつけた方がカッコイイ、と勝手に思って引っ張り込んだEF210 345、これは大阪でもおなじみの形式。EF210の300番台は急勾配で後ろから貨物を押して補助する役割を果たすために連結器に専用の細工がしてある車両群。といっても機関車の性能向上によって、実際に押す仕事があるのは長らく山陽本線の八本松駅~瀬野駅間・通称セノハチだけでした。
 ところが2023年、梅田貨物線を地下へ移設したために地下から地上へと登る急勾配が発生し、なんと大阪市内のど真ん中で補助機関車が必要になったので現在は大阪でもその姿を見ることができます。


 だんだん四季島が来る予想の時間が迫ってきましたが、依然としてダイヤが乱れているので本当に時間通り来るのか分かりません。列車が来ない時間にSNSで調べて何かヒントが無いか探しました。どうやら予定通り上野駅を出たっぽいことは分かったので、あとは他の列車に引っかかるのか、先に行かせてもらえるのか、といったところが問題です。予定通りなら被る列車は無いと予想されるんですが、これがズレてしまって被ったらオシマイなのでめちゃくちゃ緊張していました。


 見たことない機関車!関西ではたぶんお目にかかることがないEH200形がゆーーーっくりと入ってきました。EF210もEH200も出力565kWの同形式のモーターを採用していますが、EF210が6基搭載なのに対して勾配線区用に開発されたEH200はなんと8基搭載。定格出力は565kW×8=4520kW、馬力で言うと6147馬力です。GT-R何台分だろうかw
 ちなみに、史上最も高出力とされるのが1992年から量産されたEF200形電気機関車。国鉄からJR貨物へと体制が変更され、この車両の製作が研究された1980年代後半はまだバブル景気の陶酔の中。国鉄時代の旧式車両を置き換え、当時最先端のVVVFインバーター制御を用いることで一度に大量の貨物を引っ張れる高性能車両を目指して、なんと出力1000kWのモーターを6基搭載した出力6000kW、8160馬力という怪物を生み出しました。
 試作機が1990年、量産は1992年から始まりましたが、残念ながら時はバブル崩壊。運ぶ荷物が減ってしまった上に、この強大な出力を支えるための変電所整備が伴わず、せっかくある6000kWの出力は使うことができずに出力を抑制。残念ながら以降も設備増強する必要性が薄いため完全にオーバースペックになってしまい、これを教訓にEF210が生み出されました。子供の頃、従兄弟がEF200を見て「電気食い」と言っていたんですが、大人になって意味が分かりましたw

 ちなみにこのあたりの機関車知識、きちんと調べるために検索したものも多いですが、前回も名前が出た書籍『残念な鉄道車両たち』と、この後行くことになる鉄道博物館の特別展で得たものも多く含まれています。かなり勉強になりました。
 残念な~はホントお勧めの本で、たとえば機動戦士ガンダムを見ていて、ジオン軍がいかにしてザクを生み出し、それを現場に合わせて改良していき、そして後継機種であるグフ、ドム、ゲルググ等ができたのか。なぜ巨大なモビルアーマーは生み出され、役に立たない局地戦用の中途半端な兵器が次第に粗製乱造されたのか、歴史に埋もれた名機・ヅダとは、といった具合に『工業製品が作り上げられる課程における思考、背景、生み出されたモノ』に惹かれる方にはピッタリです。

 さて、そろそろ時間だぞ、こっちはさっき列車が行ったばかりだし、貨物も通過したし今なら何も来ないはずだ、被らないうちに来てくれ、頼む・・・

 おや?


 来た!


 来たあ!!!


 ホンモノ!!!!!


 あああ行ってしまう・・・


 みなさん良い旅を~(^^)/~

 同じ豪華寝台列車でも、瑞風の87系はディーゼル エンジンで駆動して電動モーターを動かすシリーズ ハイブリッド方式なのでずっと低温でエンジン音が響いていますが、こちらE001系は電化区間なら架線からの集電で電動モーターを動かし、非電化区間のみディーゼルエンジンでモーターを駆動させるのでここでは普通の電車、速度があまり速くないことと相まってとても静かでした。
 他に撮影する人が居ないかも気になっていましたが、さすがに平日の朝、しかも地元の方にとってはもうそれなりに見慣れた存在なので、こんなザ・無難撮影地に来る人はいないらしく終始1人ぼっちでした。ダイヤが乱れていると聞いたときはどうなることかと思いましたが、無事に撮影を完了し、感動しながらすぐさま次の列車で大宮へと戻りました。今度は先頭にかじりつきました。

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