NASCAR Cup Series
Window World 450
North Wilkesboro Speedway 0.625miles×450Laps(80/185/185)=281.25miles
winner:Joey Logano(Team Penske/Shell-Pennzoil Ford Mustang Dark Horse)
NASCARカップシリーズ第21戦・ウインドウ ワールド 450、予選は雨で中止になって指数予選でブレイニーがポールシッター、というところまで事前情報ページで書きましたが、なんとステアリング系の不具合が発生して交換を余儀なくされ、これは予選後の未承認の車両調整に該当するため規定で最後尾スタートになりました。というわけでギブスとベルの1列目で決勝が始まります。
スタート コマンドはラスティー ウォーレスが登場、今回オースティン シンドリックがチームの大先輩にあやかったスロウバックスキームなんですが、似てるかは微妙なところです(笑)
スタートで上手く抜け出したのはギブス、39周で2位のベルを1.5秒も引き離したところで大量の周回遅れとご対面。これからが腕の見せ所でしたがまさにそのタイミングでジョン ハンター ネメチェックがスピンしてコーション発生、ゼイン スミスと軽く接触していました。これで多くのリードラップ選手はピットに入り上位勢はトラック ポジション重視で2輪交換。ハムリンは唯一のステイ アウトを選択しました。
ここで問題に見舞われたのはラーソン、2輪交換で順位を上げようとしたらコナー ジリッシュと接触、けっこうな衝撃だったのでラーソンはホイールが割れてしまい、もう1回ピットに入ることに。これなら最初から4輪交換した方がよっぽどマシでした。アライメントがちょっと狂ってても不思議ではないですし、勝てない時はこういう出来事が重なってそれがまた次の失敗に繋がったりします。
49周目、ハムリンだけ完全中古タイヤでリスタートすると、これを抜いて3周後にリードを奪ったのは2輪交換のギスバーゲンでした。前日にトラックシリーズを走ったことが役立ってるのか、内側の白線までいっぱいを使って走るちょっと独特なライン取りで走ります。ターン2でピットの壁に当たりそうなぐらいギリギリまで内側を攻めてます( ゚Д゚)
ステージ残り10周でこれにギブスが追いつくと、最後の数周はそこにロガーノも加わる接戦、内側をガッチガチに固めるSVGをギブスがあれこれ考えて攻撃し、とうとうステージ最終周のバックストレッチで外に並びかけるとほぼ横並びでグリーン ホワイト チェッカーを受けました。もしこれが本当のレースのチェッカーなら前の2人が絡んで3位のロガーノが優勝してるだろうなあ、という好レースでギブスがステージ1を制し、ギスバーゲン、ロガーノが続きました。
4位からハムリン、ホースバー、ベル、エリオット、ブリスコー、シンドリック、バイロンのトップ10でした。またブレイニーはステージ12位まで挽回してある程度の目標を達成、ペナルティーのせいで周回遅れだったチャステインはここでフリー パスを獲得しリード ラップに戻りました。
・ステージ2
ステージ間コーションのピット、ギブス君は速度違反で罰退。ギスバーゲンのクルーはウインドウ シールドを剥がし損ねて視界が気泡だらけの窓になってしまいました。さらにベルはブレーキの温度が高すぎるようでダクトのテープを剥がし、これに時間を使ったので大幅後退。これで92周目にロガーノを先頭にリスタートしますが、視界の悪いギスバーゲンが小回り走法でまたもやリードを奪います。
しかし今日のロガーノは久々にレースでの強さがあるようで、さっきのギブスと同じように小回りSVGを後ろからじーーーっくり狙って113周目にリード チェンジ。そのままギスバーゲンを引き離しました。ギスバーゲンの走り方はタイヤを傷めそうな気がするんですけど思ったより長持ちしてる印象。
その後レースはロガーノが4秒以上の差を付けてハムリン、ブリスコー、エリオット、ブレイニー、ギスバーゲンのトップ6となりステージ中盤へ。ちょうどステージの折り返し地点となる172周目あたりからピット サイクルが始まりますが、サイクル途中の183周目、
ピットに入ろうと外から急に内側に動いたボウマンがレディックと接触。オールスター戦ではやらない30年ぶりのアンダー グリーン ピットが思わぬ事故を呼びました、クルーチーフが周囲を確認せずにピット指示を出したのがよくなかったみたいです。これで既にピットに入っていたエリオット、ブリスコーなどが大損。また周回遅れスレスレだったので打開のため早くピットに入っていたバイロンも完全に裏目に出ました。
我慢していた人はこのコーションでピットに入り、既にピットに入ってしまった人はウエイブアラウンドを受けますが、ここは上位にいないとアンダーグリンピットで2周遅れになるトラック。そのためリスタート時にリードラップに残れたのはフリーパスを得たタイ ディロンを含めてたった15人でした。
ロガーノ/ハムリンの1列目で193周目にリスタートしますが、6周後にジョッシュ ベリーがスピンして4回目のコーション発生。ベリーは滑ったベルに当てられる完全な被害者でした。ベルはテープを剥がしてもなおブレーキが真っ赤で冷却不足の疑いがあり、さっきのコーションは既にピットに入った後だったのでこの時点で周回遅れ。こうなるとコーション中にまた対応のためピットに入るしかなく、ちょっと流れが悪い状態です。なおベリーはガレージ送りとなってそのままリタイア。
上位勢に動きはなく207周目にリスタート、ショート ランで速い人とロング ランで速い人、個性が如実に表れてリスタート後はロガーノ、ホースバー、ギスバーゲン、ハムリン、ブレイニーの順になります。でもあわてず騒がず、236周目にハムリンは2位を奪回。当然ブレイニーもこれに続いて、ってあれ?なんかあんまり速くない!?
結局ブレイニーは全然上がって来ず、そしてリーダーのロガーノは2位に4秒ほどの大差を付けてそのままステージ2を制しました、これが今季初のステージ勝利です。ハムリン、ブリスコー、ウォーレス、ギスバーゲン、ホースバー、ブラッド ケゼロウスキー、ブレイニー、ギリランド、ダニエル スアレスのトップ10でした。
ブリスコーは3回目のコーション時に既にピットを終えていたので周回遅れでしたが、辛うじてウエイブ アラウンドでリードラップに残れたので続く4回目のコーションでタイヤ交換。僅か数周の履歴差ではありますが、これが有効に機能したようでトラック上でかなりの人数を抜いてきました。
・ファイナル ステージ
大量の周回遅れを間に挟んでいるのでステージ間コーションのピット作業でもロガーノのリードは盤石。276周目のリスタートも乗り切って優勝へ死角が見当たりません。2位ハムリンを1秒程度引き離した状態で着実に周回を重ねている、と思ったら315周目を超えたあたりでブレーキの効き具合にやや不満。周回遅れに取り囲まれて温度が上がってるんだろうと思いますが、この集団を抜けたらむしろハムリンとの差を広げ始めました。ダメだと言ってからが速いハミルトンムーブ。
結局両者は1.3秒ほどの差になり、359周目にハムリンが先にピットへ。ロガーノ陣営も素早く反応してすぐ翌周にピットに入りアンダーカットを阻止しました。ただ2人の差は0.4秒に詰まり、ここから約90周の持久戦です。なおブレイニーはピット速度違反でペナルティー、このサイクルで争いから脱落しました。たぶんホースバーがノロノロとピットに向かってたので、詰まるのを避けるために外から豪快にブチ抜いてブレーキを詰めたら攻めすぎましたね。無線によると自覚は全然無かった模様。
40周ほど0.5秒前後の差で走り続けたロガーノとハムリンの争いですが、400周を過ぎたあたりからハムリンが真後ろを走れなくなってきて1秒差の争いに。途中、部下(?)のライリー ハーブストがロガーノの足止めをしてくれて接近する時間帯もあったものの、ロガーノは突き飛ばすようなこともなく冷静な走り。数字上では0.7秒程度の差しかないものの、おそらくハムリンにとっては全く手が届かない差に感じたと思います。
ジョセフ トーマス ロガーノ、450周中323周をリードする圧巻の走りで公式戦でもノースウィルクスボロを制圧。昨年の第11戦テキサス以来1年2か月ぶりとなるカップシリーズ通算38勝目、2012年から15年連続での勝利を挙げました。それに何といってもハゲてからの初勝利です()フロントストレッチでドーナツを描いたらバーンナウトしながらトラックを半周にわたって逆走。バックストレッチに着くと息子さんがお出迎え、と思ったら助手席に息子を乗せてさらに半周の逆走バーンナウト。まさかの行動に放送席も爆笑。
シャノン スペイク「ジョーイ ロガーノ選手、おめでとうございます。これまでにも数々の輝かしい記録を残してきましたが、30年ぶりのポイント レースとなったここノースウィルクスボロで圧倒的な強さを見せての優勝です、今の気分はいかがですか?」
ロガーノ「最高ですね。まあ今の自分にとってはどこであれ勝てれば最高なんですけど。でもここノースウィルクスボロで勝てたのは本当に素晴らしいことですね。バックストレッチで"同乗者"を拾って一緒に楽しみましたよ。ポール ウォルフが今日のために素晴らしい車を用意してくれました。おかげでスムーズにレースを運ぶことができましたし、ピット クルー全員が素晴らしい仕事をしてくれました。ラウシュ エンジンも最高で、ビクトリー レーンに戻ってこられたのは本当に嬉しいですね。シェル ペンゾイル マスタングでこの場所で盛大にスモークを上げながらドーナツを決めるのは最高の気分でした。」
シャノン「ここではオールスター戦で300周以上をリードしました。そして今夜だけでも300周を超えています。あなたがここで22号車に乗ると生まれる、あの魔法のような強さの秘密は何なのでしょうか?」
ロガーノ「僕らにとってうまく噛み合う要素があるんだと思います。ポールが良い車を用意してくれましたし、自分でもここで速く走るために何が必要かをよく理解しています。それを彼が実現してくれるわけで、だから…そうですね、今週末を迎えるにあたってポイントをしっかり稼ぐことが重要だと分かっていました。優勝できれば最高でしたが、何よりポイントが必要だったんです。だから今夜、それを確実に積み上げられたのは大きいですね。」
シャノン「現在はランキング15位ですが、レース終盤の100周について伺わせてください。デニー ハムリン選手とのピット出口での争いがありました。あなたやコールマン プレスリー(スポッター)にとって、まさにああいった瞬間こそが生きがいという感じでしょうか?」
ロガーノ「そうですね、確かにプレッシャーはありました。最後のランに入ってデニーの調子がすごく良くなっていましたから。正直なところあの最後のランは先に前に出た方が勝つという状況でした。レースの大半はこっちが優位に進めてましたけど、レースが進むにつれてデニーも最後のランで調子を上げてきていましたからね。トラックの変化にうまく対応できて、チームも素晴らしい仕事をしてくれました、本当に最高の気分です。それと家にいる妻と子供たち、一緒に祝えたらいいんだけど、パパの帰りはちょっと遅くなりそうかな~。」
シャノン「ポイントの話が出ましたが、現在ランキング15位で当落線に対して49点差があります。ジョーイロガーノ選手、おめでとうございました。」
※インタビュー途中に一瞬だけ別のインタビューの音声が混ざって大音量になったのでビビりました
くどい笑顔に毎度毎度イラッとしつつ、最後にいつも家族に向けて語り掛けるすごく良いお父さんなので憎めないヤツ、それがジョーイロガーノ。やっぱり彼が活躍しないとNASCARじゃないですね(大袈裟)。ん?事前情報ページでラリーのハゲをネタにしましたけど、あれはロガーノ優勝フラグだったのか?2位はロガーノの速さに脱毛、いや脱帽のハムリン、お互いに全力を出し切った戦いに非常に満足したようで、レース後には
インタビューが終わるのを待ってわざわざハムリンの方から握手しにいきました。ベテラン同士の素晴らしい戦いと振る舞い、ひょっとしたらカイルのこともあってお互いに色々と思うこともあったり、やりとりとかもあったのかな、とか思います。ロガーノもJGRでともに戦った問題児でしたからね()
3位は30位スタートから爆上げしたブリスコー、間違ってインタビューが流れた人です。4位は速度違反が悔やまれるギブス、そして5位にギスバーゲン。とにかく暑くて暑くて、コーション中に飲料ボトル2本とゼリー状飲料を要求するほどでしたが、ロードコースと似た感触なのでレース途中から右足ブレーキを使ってしっくり来たとのこと。6位にはバッバ ウォーレスが入り、リードラップ選手はこの6人だけでした。7位ケゼロウスキー、8位ギリランド、9位スアレス、10位に意外にもライアン プリース。ちなみにケゼロウスキーは12月に骨折した大腿骨の状態がだいぶ良くなって、普通に歩けるようになってきたそうです。
速度違反で後退したブレイニーは2周遅れの11位、というか2周遅れでも11位。12位バイロン、ホースバーはロングランがダメすぎてパンクしてるか車が壊れてる、と不満タラタラでしたがなぜか13位でした。やっぱ天然で速いんだよこの人。バイロンがヘンドリック最上位の12位、ちょっと壊れた車でラーソンが15位、タイディロンを挟んでエリオットは17位。ベルはブレーキの問題でレース展開が崩壊して20位に終わりました。ボウマンは26位、ボウマンにぶつけられたレディックは30位でした。
・NASCAR In-Season Challenge
イン シーズン チャレンジ準決勝、エリオット vs ギリランドは番狂わせでギリランドが勝利、ブレイニー vs ベルはお互いに周回遅れになってしまいましたがブレイニーが勝利し、今年の決勝は第3シード・ブレイニーと第25シード・ギリランドの対決となりました。次戦を上位で終えた方がインシーズンチャレンジ優勝賞金・100万ドルを手にします。
レース時間は2時間50分54秒、コーションは5回で207周目以降はステージ間コーションのみ、と波乱も少ないレースでしたが、ステージ1でのギスバーゲンとギブスの争い、ステージ2でのギスバーゲンとロガーノの争い、そしてファイナルステージでのロガーノとハムリンの争い、どれも「そう!ショートトラックはこういうレースが見たいの!」という極上のレースだったと思います。マジで面白かったです。こういうとアレですが、何時間もかけて参加者が『長かった』という感想に終始したドーバーのオールスターとは対照的でした。
そのオールスターではハムリンが優勝してロガーノは酷いハンドリングで自滅しましたから、ロガーノとすると「日程入れ替えありがとう」以外の何ものでもなさそうですが、高速トラックでは苦戦していてもショートトラックだと強い、やはり別物のレース、別物のセッティング哲学なんだろうなと改めて感じます。たぶん今年は何回かショートトラックになってペンスキーが巻き返せるかどうか、という類の話を記事やらコメント欄やらに書いていたと思うんですが、その通りになったので書き手もしても助かりました()
ドライバー選手権ではハムリンが2位レディックに68点差、5月の段階で『7月にこうなってるよ』と教えてあげても絶対誰も信じないような状況になりました。インタビューにもあった通りロガーノは17位のエリック ジョーンズに対して49点差を付ける15位、またこのレースで47点を稼いだギスバーゲンがその1つ上の14位につけてプレイオフ圏内にしがみついています。サンディエゴを落とした時には厳しい状況に見えましたが、アトランタとここでいくらか取り戻しました。
NASCARとするとこの伝説のトラックの復活はパンデミック以前には全く想像もできなかったことであり、それがこうして成功したことはまた新たな可能性を開く出来事にもなったと思います。大型・高速・新設トラックにまい進して切り捨てたような場所に30年経って助けられるというのは俯瞰して見ると決して良い話だけでは無いんですが、NASCARを"オワコン"とは言わせない魅力がここには間違いなくありました。750馬力のショートトラック仕様もたぶん良かったんだと思いますね。
NASCARが知られてない日本だと『NASCAR=大集団で走ってボコスカ大事故起こす無法地帯の頭の悪いレース』という印象が勝手についているんじゃないかと思いますが、SUPER GTと全くそん色のない、ドライバーとエンジニアリングと戦略とピットクルーの全てが織りなす高いレベルでの戦いの魅力を1人でも多くの方に知っていただければと思いますね。たまたまアベマでこのレースを見た人はとても幸運だと思います。
そして次戦はインディアナポリス、TNTが担当する今年最後のレースであり、インシーズンチャレンジ決勝です。これが終わると次の週末はお休み、8月の2週目からはNBC/USAネットワークとともに最終戦までぶっ通しです!
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