NASCAR 第6戦 ダーリントン

NASCAR Cup Series
Goodyear 400
Darlington Raceway 1.366miles×293Laps(90/95/108)=400.238miles
winner:Tyler Reddick(23XI Racing/Xfinity Toyota Camry XSE)

 とりあえず、事前情報ページにトラックとオライリーの話題を追加しておきました。
 
 NASCARカップシリーズ・グッドイヤー 400。公式スロウバックウイークエンドではなくなりましたが、FOXのインサート映像を見る限りお客さんは変わらず往年の名選手のレプリカグッズを見に付けたり、そもそも風貌がそっくりさんだったりといつも通りな様子。そして放送席もスロウバックで2019年まで解説を務めていたダレル ウォルトリップがゲストとして登場しました。久々に聞く例のアレ。

・ステージ1

 ブギティブギティブギティ!レッツゴーレーシングボーイズ!まずは紫色のスキームで見た目も似ているチームメイト・レディックとウォーレスがワンツー。ところがレディックはターン2の凹凸を超えたところから電圧がちょっと変かも、と言い始め、とにかく電気の無駄遣いを避けないといけないので冷却ファンの電源を切るなどして応急処置。とりあえず目先の速さには影響しないためリードを守ります。
 タイヤの摩耗は情報通り非常にハゲしく、10周したらもう見た目にものっそりした速さで1.5秒も遅くなっているという情報。これが20周で2秒、30周で2.5秒落ち。既にタイヤが終わってるんじゃないかという動きの人も出始めました。しかしステージ1からタイヤの大量投入は避けたいのか我慢比べの1ストップになっています。
 そしてアンダーカット狙いの人が37周目あたりからピットに入りはじめ、これをきっかけにピットサイクル到来。リーダーのレディックは2位のウォーレスに対して常に2秒ほどの差、中団とは大きな差があったので確実性を重視して45周まで引っ張りピットへ。ところがピットに入るところでコナー ジリッシュに引っかかると、なんとピット作業で右側のタイヤ交換にも手間取ってしまい合計でかなりの損失が発生。これでレディックはピット前から一転してリーダーから13秒差の7位に転落。
 サイクルを終えるとリーダーは早めに入ったケゼロウスキーとなっており、最初にピットに入って順位爆上げのブレイニーが2位、3位にウォーレスとなりました。ケゼロウスキーは周回遅れをさばきながらステージの残る周回を堅実にまとめ、レディックがすごい勢いで2位まで戻ってきて最後は0.3秒差ぐらいになりましたがステージ1を制しました。

 レディック、ブレイニー、ウォーレス、ラーソン、ブッシャー、エリオット、シンドリック、スアレス、バイロンのトップ10。周回遅れになってる人の中には2ストップにした方が良かったんじゃないかという動きをしている人がそれなりにいました。あとどうでも良いけど23XIだけじゃなくてオールガイアーのアライ スキームも紫で、ウォーレスとは上下の配色も正面から見るとかなり被ってます(笑)

・ステージ2
新しいバッテリーやで!

 ステージ間コーションでリードラップ選手がピットに入り最初に出たのはラーソン。これにブッシャー、ケゼロウスキーが続きます。レディックはオルタネーターからの発電ができていないようで大型のバッテリーに交換しました。また、ブレイニーは締めそこなったナットをシンドリックのクルーに締めてもらい、ウォーレスもナットを締めきる前に発進してすぐ締めに戻ったので、この3人はみんな後方へ。つまりステージ1のトップ4ほぼ壊滅です。ちなみにブレイニーのクルーは今年2度目の失敗ですが、ピット クルーを評価した指標で現時点でほぼビリだそうでブレイニーも当然無線で怒っています。
 101周目にリスタートしてラーソン、ケゼロウスキー、ブッシャーの順。意外と何も起きないなあとか思ってたら111周目にジョーンズのスピンでコーションが発生しました。ターン3でハムリンがジョーンズに追突し、これに後ろにいたウォーレスも巻き込まれてむしろ最大の被害者になりました。ハムリンが突っ込みすぎたように見えますが、本人は無線で「こっちは内側を覗こうとしてたのに、エリックが降りて来たから詰まった。」とジョーンズが変なブロックをしたという見解。そうは見えんかったけども。

 これでリードラップ選手がピットへ、一方周回遅れの人はウエイブアラウンドで多くがリードラップに復帰。117周目にリスタートすると、なんとケゼロウスキーが抜群のリスタートでラーソンを仕留めてリード、この後131周目には2位ブッシャー、3位プリースとなって3人のビッフルが絶好調です。個人的にはプリースのスキームがいちばんビッフルっぽく見えると思いますね。

 その後プリースはちょっと順位を下げましたが145周目あたりからピットサイクル、ケゼロウスキー陣営はタイヤ交換でちょっと手間取ったもののアンダーカットを狙ってきたハムリンを僅差で抑えて実質1位の座を堅持。周回遅れを掻き分けて進む間に部下のブッシャーが追いついてきますが、ペースが悪いわけではないのでさすがに抜ける雰囲気ではなさそう。
 結局ケゼロウスキーとブッシャーは25周以上にわたって1秒以内で走り続けてはいましたが、ブッシャーもちゃんと分かってるので無用な争いは起こさずに終了、ステージ2もケゼロウスキーが制し、ブッシャー、ラーソン、ブリスコー、レディック、プリース、バイロン、シンドリック、ギブス、スアレスのトップ10。ステージ残り7周まで5位を走っていたのはハムリンでしたが、ハンドリングに異変を訴えて急激にペースを落とし、車を壊すことなくステージ11位でなんとかコーションまで持ちこたえました。結果としてはルース ウィールの可能性が高かったようです。

 レース前の映像だと思いますが、ケゼロウスキーは12月に大腿骨を骨折したせいで車を降りたらまだ杖が必要な状態です、こんだけ速いと忘れてしまいそうですが。そういえばニュル大好きドライバー・木下 隆之も2022年のニュル24時間参戦の際、直前に細菌性の股関節の炎症が発生して松葉づえ状態になり『車の運転はできるけどまともに歩けない』となって医療検査の通過が難儀だったとオートスポーツ誌に寄稿していました。
 緊急時に規定時間内に車を脱出する審査の通過が大変で、これをなんとか通過しても医師の許可が必要。しかし絶対に出場したいのでいぶかしんでいる医師の目の前で『股間に手を当てて「ポー!」とマイケル ジャクソンの真似をして機敏に動けることをアピールしたら苦笑いされながら許可が出た』みたいな話だったと思います。もう1回やってくれ、とかおちょくられたそうですが。良い子はマネしないでね()

・ファイナル ステージ

 ケゼロウスキーがピット後も順位を守って194周目にリスタートしますが、ブッシャーとわりと遠慮なく争っていたら2列目リスタートのブリスコーが争いに割り込んでリードを奪いました。ところがほどなくライリー ハーブストがジリッシュに追突されてスピンしコーション発生、「ごめんなさーいこっちのミスです。」とジリッシュ。即座にクルーチーフを通じてハーブストに伝達されましたが、ハーブストは「『くたばれ』って言っといて。」とつれない返答、これが伝えられたかは不明(笑)
 リスタートから3周しか走ってないですが多くのリードラップ選手がピットに入り、ケゼロウスキーはピット内で順位を下げてしまいます。遅れてしまった主因は1つ手前のピット ストールの主・ブリスコーが邪魔になって真っ直ぐ自分のストールに入れなかったことで、ブリスコーが後ろにいたらこうはなってないですからさっき抜かれたことがかなりの痛手になってしまいました。
 さらに6人がステイアウトしたので最初にピットを出たブリスコーもリードを失い順位大変動、203周目にリスタートしてステイアウト組のブッシャーがリードします。ブリスコーはステイアウト組の壁を突破したいところですがタイヤの履歴差が少ないのでなかなか4位から前に進めません。結局ギブスを抜けず3位で停滞していたら227周目にケゼロウスキーに抜かれてしまい、ついでにレディックにも抜かれてしまって優勝争いから一歩後退となります。
 その後、ギブスも抜いたケゼロウスキーはブッシャーを上回る速さを見せて241周目にはついにリードチェンジ。ただ残りが50周ほどになっていて既にピットサイクルが始まっており、ピット戦略も考えないといけない時間帯でした。その矢先に思わぬ事態が発生

 おそらく急にピットに呼ばれて減速したブッシャーにレディックが追突。ブッシャーはクラッシュこそ免れたものの壁に接触し、レディックも減速を余儀なくされてケゼロウスキーにとって思わぬ助け舟になってしまいました。ケゼロウスキーは誰かにアンダーカットされないうちに翌周にはピットに入り実質1位を守ります。レディック陣営はタイヤの履歴差に賭けてタイヤ交換をケゼロウスキーより4周遅らせ、これでピット後の順位はケゼロウスキー、ブリスコー、ギブス。
 しかしピット後、走りに火が付いたレディックは諦めずにケゼロウスキーを猛追。ピット直後は7秒あった差をあっという間に半減させてしまうと258周目にはブリスコーをあっさりと抜いて2位。そこから5周もするともうケゼロウスキーを視界に捉えました。266周目、ターン1~2でブロック ラインを使ったケゼロウスキーが内側からせり上がったのに対し、レディックは外から内へと見事に逆に動きを見せてリードチェンジ。車両の角がちょっと接触はしましたが完璧な動きです、これでもう誰も止められない。
 その後、残り7周ほどでラーソンが壁にでもぶつけたのかピットに入り、出てきても明らかに遅い車で内側を走行する怪しげな動き。どう見てもトー リンクが折れてカニ走りしています。さらに残り3周でマクダウル、残り2周では5位を走っていたブリスコーと周回遅れのハーブストも壁にぶつけてうなだれていましたが、幸運にもコーションは出ないままホワイト フラッグ。2位のケゼロウスキーに5秒以上の大差を付けたレディックが、連続未勝利レースを2で止めて()今季4勝目を挙げました。

リーガン スミス「タイラーレディックがご家族と、ダーリントンレースウェイのチェッカーフラッグを掴むために駆け上がっています。本当に素晴らしいパフォーマンスでした。タイラー、今日は記録上はスタートもフィニッシュも1位とありますが、レース中盤にはそれ以上のことが起こっていました。50周目でピットロードでバッテリー交換をしていた時、優勝できると思っていましたか?」

レディック「決して諦めるつもりなんてなかったですし、ダーリントンでようやく初めて勝つのに"レディー イン ブラック(ダーリントンの愛称の1つ)"がこんな風に試練を与えるなんて、いかにもこの場所らしいですね。これまで何度も優勝にあと一歩まで迫ってきました。1周目にはバッテリーが全く充電されないという問題に見舞われました。一日中冷却ファンが作動しない状態だったのでレースカーの中ではずっと緊張状態でした。体力的に厳しいレースになることは分かっていましたよ。まあ、本当にくたくたになったわけではないんですけど、あんまり冷却系のやつは必要なかったみたいですね(笑)」

リーガン「あまり大きな声で言わないようにしときましょう、来週ビリー スコットが怒るかもしれませんから。ダーリントンでは3回も2位になっています。今回の勝利をどれほど待ち望んでいたかよく知っていますし、先ほどもこの勝利がどれほど意味のあるものかお話いただきました。でもダーリントンはなかなか攻略できない難関トラックです。そして、ついにそれを成し遂げました。」

レディック「そうですね、オライリーオートパーツの車で初めてこのトラックを走った時から、ここには何か特別なものがあって本当に挑戦しがいがあります。そして、長年にわたりドライバーとして成長するにあたってここは本当に楽しい場所でした。オライリーオートパーツの車での日々、RCRでの日々、そしてここ23XIで磨き上げたもの。みなさんを誇りに思います。ボスに今シーズン4勝目をプレゼントできたのも嬉しいですね。」

リーガン「タイラーレディック、今シーズン4勝目を挙げました。」


 レディックのバッテリー問題、ステージ2終了後には「このままだと最後までもたないかもしれない。切れる装置は全部切って走るか、もう1回バッテリー交換して24台抜くか。」と提案されて、レディックは前者を選びました。そしてクールスーツの循環水がもはや無意味で邪魔なので配線を抜いてしまって中の水を車外に捨てていました。ステージ2ではブレーキの調子もあまりよろしくないと言っていて、ダーリントンで勝つための執念が引き寄せた勝利でもありましたね。それと、彼が乗ってた時代は"エクスフィニティー シリーズ"で、自分の車のスポンサーもちょうどエクスフィニティーなのに、それでもちゃんと『オライリーオートパーツの車両』と現シリーズ名・スポンサーに配慮しているところがしっかりしてるし、興行としてそうするしきたりというのが浸透してるんだなと思わされました。
 
 2位は「今日は最高の車じゃなかったですね、タイラーと比べると。」とお手上げのケゼロウスキー。3位はブレイニー、そして4位はホースバー。ホースバーは予選16位でしたが部品交換により最後尾スタート、そこから巻き返して最終ステージのピットサイクル前には7~8位あたりを走り、タイヤ交換を遅らせたことでレース終盤はまさしくハリケーンの愛称通りの嵐を呼ぶ走り。自己最高と言える走りを見せました。何せヘンドリック勢をぶち抜いてシボレー最上位ですからね。

 5位シンドリック、6位タイギブス。ギブスはなんか耳栓がすぐにポロっと外れてしまうからレースの多くの時間帯で無線が聞き取れない、という深刻だけどしょうもない問題があったようで、イライラしながらも堅実な走りを見せて4戦連続6位以内と好調を維持。7位にスアレス、8位がようやくヘンドリック最上位のバイロン、9位ブッシャー、10位はジョーンズでした。ハムリンに追突されたけど意外と結果が良かった。
 ブリスコーは終盤のクラッシュで12位、シェイン バン ギスバーゲンが健闘して14位、チームメイトのチャステインはこの週末の3レース全部出場しましたがここでは16位、それなりの速さはありましたがピット速度違反のペナルティーがあったので結果が伴いませんでした。このレースが悪夢だったのはロガーノで、スタート直後から車が滑りまくって全く解決ができず、みるみるうちに周回遅れになって最終的に3周遅れの33位でした。


 速さだけで言えばレディックは別格でした。でもバッテリー問題にピットでの失敗、挙げ句の果てに急減速されて追突。普通ならさすがに集団に埋まって戻ってくるのは簡単ではなかったはずで、まさかここまでハンデを背負っても勝ってしまうとは、というレースでした。RPMによればカップシリーズで開幕からの6戦で4勝したのは1987年デイル アーンハート、1992年ビル エリオットに次ぐ史上3人目の快挙だそうです。
 ブッシャーとレディックで思い出すのは2年前のこのレース、レディックがちょっと無理に抜きに行ってリーダーのブッシャーを壁に挟んでしまい、その横を通り抜けたケゼロウスキーが勝ったのを思い出します。またレディックとブッシャーが絡んだ恩恵でケゼロウスキーが勝ったら奇妙な宿縁になりそうでしたが、それすら今回の優勝に向けた1つの物語にしてしまうほどに圧倒的な勝利でした、このペースで行ったら年間24勝でしょうか。首跡さんおめでとうございますm(_ _)m
 
 それと、事前情報ページでは『各ステージとも2ストップ』だろうと予想して書いたんですが、意外とみんな適応して普通に45周以上走った人がいて肩透かしを食らいました、予想が外れてすいません^^;
 そんな中でロングランはどちらかというと課題だと思っていたギブス君が意外と安定して走っていた上に、スパイアーがシボレー勢の1位・2位でむしろヘンドリックよりもロングランで安定した姿を見せていたのもまた驚きでした。ゲイブハートが持ち逃げした(かもしれない)セッティングのデータが本当に役に立ってるんだとしたら、それはJGRがいかにGen7車両を最適に動かす知恵を持っているのかを示していることになりますし、そうなると他のチームもどんな高価なシミュレーション設備よりもJGRの優秀な人材を買いたいと思っていることでしょう。
 次戦はショート トラックのマーティンズビル、カップシリーズはこのレースを終えるとイースターの休暇を1週間挟むのでまずは一区切りということになります。

コメント

日日不穏日記 さんの投稿…
ハムリンの2027年契約切れ問題は、去年のシーズン中から話題になっている話で、オフシーズンの不幸を含めて、いつリタイアしてもおかしくないので、驚きはありません。ジョーギブス一筋のハムリンなので、エドワーズのようにいきなり引退表明はしないでしょうし。ブリスコー、ラーソンが失速、レディックのトラブルを克服しての鬼神の走り。ケセロウスキーは推しですが、残念がるどころの話ほどの圧倒的な走りなので、悔しがる以前の問題です。スアレスはスパイアーに移籍して、正解と言う感じですね。ホースバーの走りを見ると余計に。彼のインタヴュー時には、観客席はガラガラ。ファンの撤収早っ!アベマを見ると、カートとハリー・ガントがスタートコマンド。カートは少しふっくらしたかなって感じがしたのと、ガントって86歳なの?とビックリ。DWの登場でコメント欄がざわついてました。79歳とは思えない掛け声は、桃田さんが敵わないなぁ、と思う元気さで、この場面だけアベマはちゃんと流してました。
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 確かに客がいなくなってる、みんな自家用車で来てるから渋滞に巻き込まれたくなくてさっさと帰るんですかね(笑)DWのブギティブギティが予想外に全然衰えてなかったのは私もびっくりで、ここをちゃんと使ってくれたアベマさんナイス。
 ハムリンとすると現役引退してオーナー業に軸足を移すのならレディックの活躍は嬉しいものですが、アレのためには最大の脅威になってますからなかなか難しいですね。ケゼロウスキーは自分のチームが自分を含めて好調なので、怪我さえしていなければとは思いつつすごく充実感はあるだろうなと思います。
首跡 さんの投稿…
4勝目…だと?チェイスに入ったら一体どうなってしまうんだーッ!

そんな期待と懸念は置いといて、電圧問題からの優勝は'21ローバルのラーソンを想起しました。
この後のマーティンズビル、ブリストルは統計的には悪い(両方とも平均完走順位が19.4)ので、ここで貯金を作れたのは本当に良かったです。
ドライバーとしては少し複雑な気持ちがあるかもしれませんが、共同オーナーとしてはハムリンもきっと喜んでいると思います。