NASCAR 第6戦 ダーリントン・事前情報

NASCAR Cup Series
Goodyear 400
Darlington Raceway(Darlington,South Carolina)
1.366miles×293Laps(90/95/108)=400.238miles
Goodyear Racing Eagle Tire Code
Left:D-5284 , Right:D-5290
Total Sets:12 (10 new race /1 qualifying transfer to race/1 practice)


 行くぞ!1、2、3、ダーーー!リントン。すいません言いたかっただけです。NASCARカップシリーズ第6戦はダーリントン、1950年からレースが開催されていてこれが通算で130回目のレース。1周1.366マイルでターン1・2とターン3・4で旋回半径が異なる卵型をしたNASCARでは珍しい形状のトラックです。大外だけがひょいっと持ち上がったような特殊なバンク角のせいで壁際をリスクを負って走る必要があり、付いたあだ名が『The Track Too Tough To Tame』=手懐けるのが難しいトラック。Tで始まる言葉で韻を踏んでます。
 その歴史と伝統からここ10年ほどのダーリントンでは『スロウバックウイークエンド』と銘打たれ、過去の偉大な選手のペイントスキームを模した車両を各自用意し昔懐かしい雰囲気を味わおう、というのをやってきましたが、今年とうとうその看板を下ろしました。
 4年目あたりから既に有名どころを出し尽くしてネタ切れ感があったのは誰もが感じるところでみんなどんどん細かすぎて伝わらないものになっていったのと、2022年にカーナンバーを車体前方に移設したことで車体中央の番号がある時代の車両はいくら真似しようとしても全然似ていない、という問題もありました。また、去年私もどこかで『本来の企業ロゴ、フォント、ブランド色と違うものを載せることを許可しているスポンサーもすごい』という話を書いたか喋ったかしたと思うんですが、やっぱり企業とするとどちらかと言えば否定的な見方も多かったようです。ここらが潮時でした。

 ただ一部のチームは自主的にスロウバックを継続、RFKレーシングは昨年12月に飛行機事故で亡くなったグレッグ ビッフルへの追悼として3人全員が現役時代のビッフルをイメージしたスキームになっています。またカーソン ホースバーもデイル アーンハートを模したスロウバック、ちょうど1ヶ月ほど前にリチャード ペティーがポッドキャスト番組内で「あの77番の少年はデイル アーンハートを思い出させる。」と発言したこともあって話題性は十分です、あんまり暴れるなよ(笑)

 一方で今回、NASCARはレースそのものが『リアル スロウバック』だと言いたいようです。というのも、今年からショートトラックではエンジン出力が670馬力から750馬力に引き上げられ、ダウンフォースも削減された空力パッケージになっていますが、適用されるのが1.5マイル未満のトラックなのでダーリントンはこちらの仕様。より高出力で滑る車になっており、しかも元々タイヤへの負担が非常に大きいトラックなのでまさに『トラックトゥータフトゥーテイム』が現代に蘇る、ということですね。
 タイヤ自体は先週のラスベガスと同じもので左側のタイヤは昨年と同じ。走ってみたら練習走行でタイヤが絶望的にハゲまくってるみたいで、10周で1.5秒遅くなるとかいうえげつない数字も出ている様子。ブッシャーは「クルーチーフじゃなくてよかった。」と言ったとか。決勝で使えるタイヤは新品10セットと予選からの繰り越し1セットの計11セットですが、何も起きず普通に走ると仮定したら各ステージとも2ストップで行かないとタイヤは40周もするとフラッフラになってしまうと思われます。
 タイヤの落ち幅がむちゃくちゃデカいので1周先にピットに入るだけで2秒差ぐらいは平気でアンダーカット可能。ただ実際はアンダーグリーンピットの前に誰か事故る可能性も高いので、先に動いたらコーションが出て損したとはなりたくないし、当然ながらアンダーカットしてもタイヤ摩耗が激しいわけですからその後に強烈なしっぺ返しがやってきます。コーションのリスクとアンダーカットの効果、タイヤの持続性を天秤にかける続けることになるでしょう。もちろん計画的にタイヤを使わないと在庫切れします。

・ちょっとしたデータ

 Gen7で開催された過去8戦のダーリントン、優勝者はブリスコーが2年連続で秋のサザン500を制しており2勝、あとはロガーノ、エリック ジョーンズ、バイロン、ラーソン、ケゼロウスキー、ハムリンがそれぞれ1勝ずつ。昨年春のレースで勝ったのはハムリンで前週のマーティンズビルから2連勝でした。今年もハムリンはダーリントンの前週で勝ってますから2年連続があるかもしれません。
 一方この8戦の平均順位ではレディックが平均順位9.6で最良、優勝はしていませんが8戦で5度も4位以内に入っています。大外ラインを使うことに長けており、昨年のサザン500ではブリスコーと延々と優勝争いをしていました。何でまだダーリントンで勝ってないのか分からないレベルです(笑)
 これにハムリン、バイロン、ベル、ロガーノ、ウォーレス、エリオット、ブッシャーと続いています。バイロンは昨年春のレースでスタートから243周目までただの一度もリードを譲らない走りを見せて一瞬は完全優勝の期待を抱かせてくれました。彼とクルーチーフ・ルディー フューグルは時に予想以上にタイヤを長く使う大胆な作戦でもたせてしまうなどタイヤの使い方に定評があります。ベルも同じくタイヤの使い方が上手い選手で、RFKレーシングもタイヤに優しい車のセッティングを志向していると思われるのでダーリントンはわりとチームとして好相性です。ブレイニーもロングランなら強い可能性があります。

 大外ラインの使い手と言えばラーソンもレディックと並ぶ2枚看板、のはずなんですが昨年のこのレースでは序盤にスピンして事故り、クルーが1時間以上かけて修理した車で復帰してまた同じ場所で事故って車を壊し、ついでにそれがレース終了間際のコーションだったのでブレイニーの優勝もぶっ壊した、という苦い思い出が。過去8戦のダーリントンは1勝しているものの6戦で12位以下、特に春のダーリントンは4戦中3戦でリタイアしています。1回はエンジンが壊れたせいなんですけどね。おかげで平均順位が20.4と驚くような数字、通算だと16戦で7回のトップ5、平均12.9となっており、現役最多のラップ リード1050周も記録してますから間違いなく速いはずなんですが、なぜか最近が結果が付いて来ていません。

 範囲を絞って昨年のダーリントン2戦にすると、2戦ともトップ5フィニッシュしたのはレディックだけ。2戦ともトップ10だとこれにハムリン、ブッシャー、そしてカイルが入っています。ちょっと意外なところではA.J.アルメンディンガーがタイヤを真っ直ぐ縦に使うのが上手いせいなのかダーリントンでは比較的成績が良く、特性が似たホームステッドでも同じ傾向なのでたぶん比較的得意なオーバルなんだと思います。タイヤ摩耗が激しいトラックでなら普段よりも相対的に速い、というとオースティン ディロンもわりとそういうところがありますね。

・レース前の話題

 先週の優勝で通算61勝、歴代単独10位となったハムリンですが、この週末の取材の中で現在の契約期限である2027年を終えたら、その先については考えていないことを明らかにしました。来年限りで引退する可能性を示唆したことになります。ハムリンによるとだいたい年間平均3.5勝ぐらいしてるから最終的には67勝まで行くんじゃないか、とえらく具体的な話でデイルアーンハートの76勝までは届かないだろうとのこと。気持ちは常に動くものだから、としているので気づいたらあと10年ぐらいやってるかもしれませんが、家族について色々とあった後の心境ですからひょっとすると本当に来年限りかも、という気はします。
 
 次に、目まいの症状により欠場が続いているボウマンですが、ヘンドリックモータースポーツはこの先の3戦もボウマンが欠場することを発表し、先週に引き続いてオールガイアーが代役を務めることになりました。次戦のマーティンズビルを終えると1週間の休みが挟まりますが、その先まで既に織り込んでブリストルまでの欠場を決めてしまったところからはやや深刻な様子が感じられて非常に心配です。

 最後に、クラフツマン トラック シリーズにコウリッグ レーシングから参戦しているダニエル ダイがSNSでの不適切発言により無期限の出場停止処分を受けました。ダイは生配信の放送中にインディーカー選手・デイビッド マルーカスとの出会いについて話していたところ、マルーカスが同性愛者であることをバカにするような口調で話したことが問題になりました。ダイは問題を認めて謝罪しましたが、参戦したばかりのメーカーであるラムにとっても頭の痛い問題。
 過去のドライバー情報ページに書いたことがありますが、ダイと言えば高校生の際に同級生の股間を悪ふざけのノリが行き過ぎた末に殴ってしまい、それで同級生の睾丸が破裂する傷害事件になって警察沙汰になりARCAシリーズ時代にも出場停止になったことがあり、これで2回目になるので印象としても非常に悪いと思われます。ちょっと下品な話でごめんなさいね。

 今週は時間が無くてまだ併催シリーズを見れてないので後から書き足すとして次へ行きます。

・カップシリーズ 予選

 カップシリーズの予選、ブッシュライトポールはやはり壁際の魔術師・レディックでした。ダーリントンでは2年ぶり2回目、通算13回目です。2位にはチームメイトのウォーレス、なんとこの2日前に第2子となる娘さんが生まれたことも明かされました。3位からエリオット、ラーソン、ケゼロウスキー、ブッシャー、ブレイニー、カイル、ハムリン、A.ディロンのトップ10。先週のレース後に一悶着あったスアレスが健闘の11位、バイロンは13位、代走オールガイアーも15位に付けています。77番の少年は16位から。

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