NASCAR 2026年のチーム・ドライバー情報[更新5]

 優勝を記録したドライバーこそ14人と2020年以降で最小だったものの、全36戦のうち1/4にあたる9戦が最終周での逆転により決着した2025年のNASCAR カップ シリーズ。トラック外をにぎわせた法廷闘争もなんとか決着にこぎつけてチーム体制も変な注釈の付かない安定した状態になりました。今年も例年通り2026年の主要なチームのドライバー情報を集めましたが、前年にスチュワート-ハース レーシングが消滅して人がごっそり動いた反動か、このオフは移籍も新人も少な目です。

1/8 オライリーシリーズをちょっとだけ追加
1/16 プレイオフ方式の変更に伴い一部の文章を変更しました
1/18 オライリーシリーズはだいたい完成
1/25 クラフツマントラックシリーズもだいたい完成
1/28 トラックシリーズのアンドレスペレス、ブライディンガーあたりを情報更新

ドライバー名の前の記号は
〇=新人
△=移籍

ドライバー名の後の()内の数字は推定される契約期限

チーム名の前の記号は
△=体制変更

※文中の『昨年』は2025年を指します。

 Joe Gibbs Racing/Toyota
11 Denny Hamlin(2027?)
19 Chase Briscoe(2026?)
20 Christopher Bell(2026?)
54 Ty Gibbs(?)

 元NFLの名ヘッドコーチ・ジョー ギブス率いるジョー ギブス レーシング、通称JGR。昨年はチーム別で最多となる13回のブッシュ ライト ポールを獲得して勝利数も13勝。ドライバーはデニー ハムリン、チェイス ブリスコー、クリストファー ベル、タイ ギブスの4人で前年から変化ありません。
 全ドライバー中最多の6勝を挙げたハムリンは契約を2年延長し、フェデックスの穴を埋めるスポンサーも徐々に獲得。自身が共同オーナーを務める23XIの裁判に神経を割かれ、病気で体調がすぐれない父親を思いつつも最終戦でチャンピオン獲得目前まで行きましたが、不運なコーションが原因でレースを失いまたしても栄冠を逃しました。しかしそれ以上に、12月28日に火災で最愛の父を突然失い、今はとにかくそっとしていたいのが正直なところ。NASCAR公式サイトでも昨年の上位30選手について順に振り返る連続企画記事が公開されていましたが、本来12月30日公開予定だったハムリンのページは名前ごと削除されてとにかく一旦レースから遠ざける措置を講じているようです。
 ブリスコーは移籍1年目でしたが、移籍直後はややもたついたものの最終的に7回のブッシュ ライト ポール・3勝・15回のトップ5フィニッシュと想像以上の活躍でチャンピオンシップ4に進出。選手権3位という開幕前にはほとんど誰も想像しなかった結果を見せました。初めて競争力のある車に乗って新たな引き出しを手にしている発展途上、という印象もあり今季はさらなる脅威となるかもしれません。
 逆にベルは第2戦から3連勝、常に上位を争っていたものの4勝目が第29戦ブリストルまでお預けになる『あと一歩勝てない』結果が影響してチャンピオンシップ4を逃しました。プレイオフ制を用いない『単純ポイント』で集計すると実はラーソン、バイロンに次ぐ3位で安定感も結果も申し分なく、単に勝ち方・展開に恵まれなかったとも言えそうです。
 唯一困ったのはギブスで、数字が軒並み前年より低下してプレイオフにも進めず選手権19位。目立ったのはイン シーズン チャレンジで勝って賞金100万ドルを手にした場面ぐらいでした。オーナーの孫ですから契約年数なんかも特に公表されておらず『好きなだけ』な感じには見え、まだ23歳ですから伸びしろは期待できるもののそろそろ初優勝したいフル参戦4年目のシーズンです。なおモンスターエナジーのスキームがハーブストと被っていてけっこう面倒です(笑)


 23XI Racing/Toyota
23 Bubba Wallace(2027?)
35 Riley Herbst(2026)
45 Tyler Reddick(?)
67 Corey Heim

 NBAの元スター選手・マイケル ジョーダンと現役ドライバーであるハムリンが設立した23XIレーシング。チャーターを巡る訴訟が決着したのでスチュワート-ハース レーシングから購入した35番のチャーターを含めきちんと財務の裏付けがある3台体制になりました。ドライバーはバッバ ウォーレス、ライリー ハーブスト、タイラー レディックの3人で不動と思われます。
 ウォーレスは8年もフル参戦しているとさすがに『唯一のアフリカ系アメリカ人』という肩書が前に出ることもほとんど無い感じですが、第22戦インディアナポリスで約3年ぶりに優勝して自身2度目のプレイオフを戦い選手権11位。新たなクルーチーフ・チャールズ デナイクとの相性は良いようでトップ5/トップ10回数は前年と同じで自己最多タイ、ラップリード数は自己最多でした。36戦中11戦で28位以下だったことが影響して平均順位が18.5と前年より大幅に悪化しましたが、これが攻めた結果・進化の過程であれば伸びが期待できるかもしれません。
 一方でレディックはチーム加入3年目で初めて未勝利に終わり、プレイオフには出たものの影も薄めで選手権9位。総走行距離は全選手中最多でリタイア僅か1回、シーズン全周走破にたった15周だけ不足という安定感でしたが、トップ10フィニッシュ14回はフル参戦1年目以来の少なさでした。チャーター訴訟の行方次第では資金の問題から放出の噂も出ていたためレースに集中できない環境があったのかもしれません。本来はチャンピオンを争える逸材だけに、体制が安定して結果が戻ることを期待したいドライバーです。
 そして昨年新たに加入したハーブストは初のカップフル参戦でしたが、最高位は14位で選手権順位が35位。フル参戦選手で彼の下にいたのはコディーウェアーだけ、とさすがに1年目とはいえ厳しい結果となりました。チームの財政が不安定だったことは割り引いて考える必要があるとはいえ、既に現地メディアではハーブストは2026年限り、2027年はコリー ハイムがここに入るのではないかとすら書かれています。そのハイムはチームの4台目・67番でのスポット参戦が予定されており、現地報道では10戦程度になると報じられています。

 Legacy Motor Club/Toyota
42 John Hunter Nemechek(2026?)
43 Erik Jones(2027?)
84 Jimmie Johnson

 史上最多タイ・7度のカップシリーズチャンピオンであるジミー ジョンソンが筆頭株主を務めるレガシー モーター クラブ。スーパー耐久最終戦でデモ走行のために来日したので日本とちょっとだけ縁があります。このチームの源流である2つのチームのオーナー=リチャード ペティー モータースポーツ・リチャード ペティーと、GMSレーシング・モーリー ギャラガーはいずれも現在は少数株主となって『アンバサダー』という役職です。
 チームは昨年のシーズン中にリックウェアーからチャーターを1つ購入する契約を結ぶはずでしたが、この契約内容を巡って双方の主張が食い違ったため裁判沙汰になりました。結局は和解が成立しましたがおそらくは2027年から3台のフル参戦になりそうです。というわけでおそらく2026年もジョン ハンター ネメチェック、エリック ジョーンズのフル参戦2人と、スポット参戦するジョンソンの体制で変更はないとみられます。

 チーム加入2年目のネメチェック、前年は事実上の選手権最下位でズタボロでしたが新たなクルーチーフ・トラビス マックとの仕事が機能したのか大きく飛躍。第27戦ダーリントンで自己最上位の4位を記録するなど8回のトップ10フィニッシュで第29戦ブリストルを終えた時点では選手権19位。その後に2連続リタイアで順位を下げたものの選手権25位は前年の姿を見れば予想外と言えました。8回のトップ10は全て2戦連続になっており、なんだかムラッケのある速さという感じですが2023年のオライリーで7勝した面影がチラッと見えるシーズンでした。
 一方でジョーンズは選手権順位がチームメイトの1つ上となる24位。最高順位はダーリントンでチームメイトの1つ上だった3位。トップ10回数は5回でチームメイトより少ないものの前年より3つ増えておりどの数字も前年比で向上しています。通算3勝の中堅ドライバーである彼の数字が改善していることは、トヨタへの車両変更2年目でチーム力がある程度底上げされていることを示していると言えそうです。
 オーナーのジョンソンは昨年デイトナ500とシャーロット600の2回だけの出場。とうとう50歳になりましたが少なくとも今季も開幕戦のデイトナ500と初開催となるサンディエゴ市街地に出場することが発表されています。ちなみに彼のスポンサーである中古車販売企業・カーバナは2022年末には経営破綻寸前の状態でしたが、そこから債務の削減と事業の再構築によって劇的に経営を立て直し、なんと2025年末にはS&P500指数への採用が決まりました。2022年末の最安値水準から株価は3年でおよそ120倍になっています。ただ決算内容に対していわゆる空売りファンド・ヒンデンブルク リサーチが疑義を投げかけるなど危険性も拭い切れないようです。あ、これ何の話でしたっけ(笑)


 Team Penske/Ford
  2 Austin Cindric(2026?)
12 Ryan Blaney(?)
22 Joey Logano(?)

 1950~60年代の主に国内のサーキットレースで活躍したロジャー ペンスキーが1966年に耐久レースに出場する車両を用意したところから始まるチーム ペンスキー。この2年はインディーカーの方で不正行為が続けざまに発覚してちょっとブランドのイメージが低下、この影響で社長のティム シンドリックがクビになりました。ただNASCAR部門への影響は今のところみられず、ドライバーもオースティン シンドリック、ライアン ブレイニー、ジョーイ ロガーノで4年連続変わりません。
 シンドリックは第10戦タラデガで優勝して3度目のプレイオフ進出を果たしたもののラウンド オブ 12で脱落。トップ10フィニッシュは5回にとどまり、このうち第18戦アトランタ以降に限ればたった1度だけでした。平均スタート順位 ー 平均レース順位がマイナス7.6と全選手中最悪の数字で課題は明らか。仮に今季のチェイス方式プレイオフだったとすると昨年は進出ギリギリの成績で、表面上では平穏でも父親がチームを離れたなら尻に火が付いているかもしれません。
 一方で2023年のチャンピオン・ブレイニーはチャンピオンシップ4にこそ残れなかったものの最終戦を含めて自己最多の年間4勝。序盤戦でクラッシュや車の故障が相次いだ不運があったことを考えると良好なシーズンだったと言え、さらにシーズン終了後には第一子も誕生。チャンピオン有力候補ですが、唯一の気がかりは2026年の最終戦開催地・ホームステッドをあまり得意としていないことでしたが、プレイオフ制度変更は追い風かもしれません。
 物議を醸す前年王者として2025年に挑んだロガーノは1勝止まりで選手権7位。平均順位や単純獲得ポイントで見ると安定感はいくらか改善し、トップ5フィニッシュ7回・トップ10フィニッシュ13回は前年と同じでした。なぜかロガーノは奇数年に1勝、偶数年に複数勝利する傾向があってここ5年は1勝→4勝(チャンピオン)→1勝→4勝(チャンピオン)→1勝の流れ。チェイス方式はここ数年のロガーノを見ると逆風ですが、パターンからすると逆境を跳ね返して今年は4勝して4度目のチャンピオン・・・?

 Wood Brothers Racing/Ford
21 Josh Berry(2026)

 グレン ウッドとレナード ウッドの兄弟が1950年に設立したところに起源がある最古参チーム・ウッド ブラザーズ レーシング。現在もウッド家が所有し続けており、競技車両の運営体制としてはペンスキーと提携して『4台目』『チームメイト』と呼ばれることも多いですが、予算規模はそこまで大きくないとみられており競争力はやや劣ります。ドライバーは昨年からの複数年契約でジョッシュ ベリーが継続。
 ベリーは長くレイト モデルで活動しておりNASCARに本格的に参戦できるようになったのが30歳ごろからという超遅咲き。2024年にスチュワートハースから初のカップフル参戦、チームが潰れてウッドブラザーズに移籍しましたが、なんと第5戦ラスベガスでまさかの初優勝。これでプレイオフに進んだものの基本的には12位そこそこの選手で選手権はプレイオフ選手最下位となる16位でした。ショートトラックではけっこうな速さを見せる一方で、過去2年で合計19回リタイアし、うち16回はクラッシュという不安定さが課題。チェイス方式でプレイオフに進むにはかなりの成績向上が必要になります。


 RFK Racing/Ford
  6 Brad Keselowski
17 Chris Buescher
60 Ryan Preece

 元フォードの従業員であるジャック ラウシュが1988年に創業したチームに、2007年に投資家のジョン ヘンリーが、そして2022年にブラッド ケゼロウスキーがペンスキーからドライバー兼共同オーナーとして加入・出資して現在に至るラウシュ フェンウェイ ケゼロウスキー レーシング、通称RFKレーシング。ケゼロウスキー、クリス ブッシャー、ライアン プリースの3人はいずれも昨年にプレイオフを逃しましたが体制に変更はありません。
 開幕を前に42歳となるケゼロウスキーは成績で言えばチームの3名で3番手、昨年は最終戦を含めて勝利まであと一歩という場面が何度かありましたが届きませんでした。オーナー業としてはフォードが2027年にLMDh車両を製作して耐久レースに出場することから参入に興味を示しており、たぶん見えてないところで色々と忙しそうです。そんな中で12月に家族とスキーをしていて足を骨折し手術を受けた、というのが気がかりですが開幕には間に合う予定。
 ブッシャーはチームのエースで選手権順位はプレイオフにちょっと届かない2年連続17位。単純ポイントならプレイオフ勢に割って入る2年連続12位、平均順位14.3は全体6位、トップ10フィニッシュ16回は7位タイ、と地味な安定感が光ります。修理代も少なく済んでチームとすればありがたい存在で、チェイス方式は彼にとっては追い風。勝てるチームで走らせてあげたい惜しい選手です。
 そして昨年新たに加入したプリースは予想外の活躍でブッシャーに次ぐ選手権18位でした。シーズン後半の18戦中で25位以下だったのが僅か2戦、最後の5戦中4戦を9位以内で終えるなど尻上がりの結果を残し、走破した走行距離がレディックに次ぐ2番手と完走率の高さが目に留まります。ベリーと同じくあまり主流ではないカテゴリーで長く研鑽を積んできた遅咲きの35歳、何かの拍子にポロっと勝ってもそんなに不思議ではない、ちょっと期待したい存在です。ブッシャーもプリースも、昨年のレース結果をチェイス方式で集計するとプレイオフに進んでいた計算になります。

 ちなみにRFKは3台体制ですがプリースの車両で使用しているチャーターはリックウェアーからのレンタル。2025年に借りた同じチャーターは連続で借りれないので返却して別のチャーターを借りることになると思われますが、これはおそらく『2027年から使うつもりでレガシーがリックウェアーから購入した』もの。レンタル料はレガシーに支払われると思われます。ああややこしや。

 Front Row Motorsports/Ford
  4 Noah Gragson(2026?)
34 Todd Gilliland(2027?)
38 Zane Smith(2027?)

 ヤム!ブランズ(ケンタッキーフライドチキン、タコベル、ピザハットなどの運営会社)の複数の店舗のフランチャイズ オーナーである実業家・ボブ ジェンキンスが率いる小規模チーム・フロント ロウ モータースポーツ。23XIとともにチャーターの契約条件をめぐってNASCARと裁判し、法廷では『20年間一度も黒字になったことはなく、年平均で680万ドルの赤字』と証言して懐事情の厳しさがよく伝わってきました。そんな中でも昨年チャーターを1つ購入して3台体制へ拡充、ノア グレッグソン、トッド ギリランド、ゼイン スミスの3人で変化なし。
 グレッグソンはスチュワートハース消滅でフォードの他チームへ移籍した3人のうちの1人ですが、他の2人と違って大きく成績を落としました。財政面を含めチーム力そのものが高くなかったとはいえ、8回のクラッシュによるリタイアで選手権34位は厳しい結果。とにかくもう少し安定感を出したいところです。なおアベマでは「グラーグソン」とか呼ばれがちですが発音的には「グレィッグソーン」みたいな感じです。
 一方ギリランドは対照的に完走率が高くて走行距離が全体4位、選手権27位。年齢で言えばチーム最年少だけど出走数なら最も経験の多い25歳は5度のトップ5フィニッシュを含めて概ね自己最高と言える結果を残し、第34戦タラデガでは自己最高の2位を記録。タラデガと言えば2013年に父・デイビッド ギリランドもやっぱり2位となっており、ギリランド家には大きな忘れ物がある場所ですね。祖父・ブッチ ギリランドを含めて一家にはまだカップシリーズ優勝がありません。
 スミスは本来なら2024年のスパイアーを経て2025年からトラックハウス、と大々的に発表されていたのに、心変わりされて話を反故にされてしまい出戻りのシーズンでした。結果としてはギリランドとまあ似たような数字で選手権順位も1つ下の28位。全員のタイヤがズタボロになる酷いレースとなった第29戦ブリストルで3位に入ったのが最高の1戦でした。チームは2026年からの複数年契約を発表しており伸びしろを期待できます。NASCARは現在やたらとスミス姓が多いので当ブログでは『ゼインスミス』や『Z.スミス』と表記することが多いです。


 Hendrick Motorsports/Chevrolet
  5 Kyle Larson(2026)
  9 Chase Elliott(2027)
24 William Byron(2029)
48 Alex Bowman(2026)

 元々シボレー車のディーラーとして大成功を収め、現在では11000人以上の従業員を抱えるヘンドリック オートモーティブ グループにまで成長させた敏腕オーナー、リック ヘンドリックが率いる強豪・ヘンドリック モータースポーツ。ドライバーは2022年からカイル ラーソン、チェイス エリオット、ウイリアム バイロン、アレックス ボウマンの4人で不動。このうちバイロンは2026年からの4年契約を締結、ラーソンとボウマンは今期末までの契約年数ではないかとの情報。
 2021年以来となる2度目のチャンピオンを獲得したラーソンは間違いなく現役最速の1人。『単純ポイント』でもロガーノに持っていかれた2024年から2年連続で1位になっており、仮に昨年がチェイス方式だったとしてもやっぱりチャンピオン。状況を問わず安定感、速さを持ち合わせています。ここ2年はインディアナポリス500との掛け持ちが欠場や不調を生んだ様子がありましたが、とりあえずこの挑戦はやめるようなのでNASCAR一本(たまに小さいダートのレースは出るけど)、連覇はじゅうぶんにあり得ます。
 最も人気を誇る現役ドライバー・エリオットは2022年以来となる複数勝利を挙げ、2年連続でトップ10フィニッシュ19回、トップ5フィニッシュ11回という全く同じ数字を記録。しかしチャンピオンシップ4に進むにはあともう一歩勝つ力が足りませんでした、というか完全にチームメイトが目の上のたんこぶ状態です。元々彼のことはほぼ『チェイス』と書いてましたが、ブリスコーが優勝戦線に加わる機会が増えたしプレイオフがチェイス方式になってややこしいので『エリオット』と書くのを基本にします。
 バイロンは2年連続デイトナ500優勝という華々しい始まりでしたが、その後は第23戦アイオワまで2勝目が遠い展開で統計数値ではラップリード周回数を除くと軒並み前年よりも数字を落としました。それでも第35戦マーティンズビルで優勝して大逆転でチャンピオンシップ4に滑り込み、最終戦はハムリンに及ばず2位で終戦…と思ったらタイヤがぶっ壊れて自分は選手権4位へ、そしてハムリンの栄光をぶち壊してある意味で記憶に残るレースになりました。3年連続チャンピオンシップ4、4年連続複数勝利、場所を問わない速さ、チャンピオンを獲るための材料は全て揃っており、現時点で最も長期契約を結んでいます。
 ヘンドリック4人衆で最も苦しいのはボウマン、昨年は最初の6戦中5戦で9位以内に入ったものの、その後はクラッシュが続くなどして低迷。ポイントでプレイオフには出場しましたが力なく敗退しシーズン未勝利で終えました。Gen7車両導入後の4年で2勝にとどまっており交代のうわさが絶えません。ホースバーなどシボレー陣営の若手から座を狙われていることは明らかで、そろそろ契約満了と言われる2026年は序盤から結果を出さないと継続が危うくなりそうです。たぶん真面目でいいヤツで苦労人なので応援してるんですが・・・


 Richard Childress Racing/Chevrolet
3 Austin Dillon
8 Kyle Busch(2026)
33 Austin Hill?
   Jesse Love?

 ドライバーとして主に1970年代のカップシリーズに285戦出場した経歴があり、その後オーナーとしてNASCAR史に名を残す存在となったリチャード チルドレスが率いる名門・リチャード チルドレス レーシング、通称RCR。チャーター訴訟では本筋と関係ないのに、公開された資料からチルドレス御大がNASCAR上層部から老害扱いされていたことが判明してしまい、さらにチームの一部株式の売却交渉を行っていた相手から勝手に情報漏洩までされた疑惑も浮上して変なとばっちりを受けました。ドライバーはカイル ブッシュとオースティン ディロンの組み合わせで4年目になります。
 ディロンは2024年のリッチモンドで優勝を欲するあまり危険行為に及んで優勝を事実上没収されましたが、1年の時を経て同じ舞台で優勝するドラマを演じプレイオフ進出。このおかげもあって悲惨だった前年よりは遥かにマシでしたが、そうは言っても1桁順位のレースはこれとテキサスの7位のみ。単純ポイントならフロントロウの2人と僅差の26位に過ぎずお世辞にも良いシーズンとは言えませんでした。これでもここ数年ではかなり良い数字なんですが、チェイス方式なら進出には箸にも棒にも掛からない水準の成績です。。。
 一方40歳のシーズンだったカイルは2年連続で未勝利。2024年のやたら事故りまくる負の連鎖からは抜け出して昨年はリタイア2回にとどめたため、自己最小のトップ5フィニッシュ3度でも前年より平均順位は改善しました。残り5戦でクルーチーフ・ランドール バーネットが移籍するためにいなくなってしまいアンディー ストリートと組みましたがこれは暫定。2026年はジム ポールマンとの新体制となります。ポールマンは元々RCRの開発部門におり、ここ3年はジャスティン オールガイアーのクルーチーフとしてオライリーを戦っていた『チャンピオンの右腕』、カップでのクルーチーフはほぼ初めてです。
 またRCRはスポット参戦の33番を稼働させており、エクスフィニティーで戦うヒル、ラブの起用やスポンサーの都合次第ではオーストラリア スーパーカー選手権からドライバーがやってくることもあります。


 Trackhouse Racing Team/Chevrolet
  1 Ross Chastain(2027?)
88 Connor Zilisch(2027?)
97 Shane van Gisbergen(2027?)
91 ?

 元ドライバーで起業家でもあるジャスティン マークスが2021年に設立、チップ ガナッシ レーシングのNASCAR部門を施設ごと買収するなど積極的な経営戦略で一気にシボレー勢2番手のチームにのし上がった新世代チーム・トラックハウス。ロス チャステイン、シェイン バン ギスバーゲンの2人は継続で、ダニエル スアレスに代わって期待の若手であるコナー ジリッシュが加入しました。チャステインにはブッシュ ライト、クボタなど、ギスバーゲンとジリッシュにはレッド ブルが大口スポンサーで付いておりチームの資金力は大きいとみられます。
 実家が代々続くスイカ農家であることから『スイカ男』の異名を持つチャステイン、荒すぎる戦い方が災いしたか2024年はプレイオフ進出を逃しましたが昨年はコカ コーラ600で『最後尾スタートから優勝』という偉業を成し遂げ自身3度目のプレイオフへ。ただこの勝利を含めてトップ5フィニッシュ4回とここ4年は減り続けており予選平均順位も低下、一発の速さに物足りなさが伺えます。チームメイトのギスバーゲンから学んでロードコースが上達し、逆にオーバルの走り方はギスバーゲンに伝えるなどチーム内での関係には好材料もありそうです。なお当ブログには異様に根強いファンがいます。
 ジリッシュは今季の数少ない新人選手、2025年のオライリーシリーズで10勝という無敵の速さを誇った(けどチャンピオンは獲れなかった)怪物、デイトナ500の時点でまだ19歳です。2020年にFIA カーティング アカデミー トロフィーで優勝、その後まずはマツダ MX-5などスポーツ カーから乗り始めて並行してレイト モデル、そしてNASCARへと進んだやや珍しい経歴を持ち、おかげでオライリーシリーズではロードコースでギスバーゲンと対抗できるほぼ唯一の選手でした。一足飛びにここまで来たのでオーバルの経験が非常に浅いですがロードコースでは即戦力の可能性があります。
 なお発音的に『ジリッシュ』か『ジリッチ』か微妙、現地実況は『チ』に近いので従来はジリッチと表記してましたが、発見した自己紹介動画で『ジリッシュ』と言ってたので本人を尊重して表記を変更しました。

 ギスバーゲンはオーストラリアスーパーカーからNASCARへ本格転向して僅か2年、急ごしらえな36歳のオールド ルーキーによるカップフル参戦1年目はロードコースで圧倒。開催された6戦中最初のオースティンだけ6位で落とし、以降は誰も寄せ付けない5連勝で当然ながらプレイオフにも進みました。逆にオーバルでは第31戦カンザスの10位が最上位、多くのレースでボロボロでしたがシーズン後半はブレーキを多用するトラックを中心に改善が見られました。チェイス方式のプレイオフは『ギスバーゲン潰し』の効果があると見られオーバルの改善は必須ですが、実は昨年がチェイス方式だったと仮定してもレギュラーシーズンをポイント16位で終えて生き残っています。
 またトラックハウスは『プロジェクト91』と銘打ったスポット参戦車両も稼働させており、チームによれば2026年も話がまとまれば継続する予定としています。プロジェクト91は世界の著名なドライバーをNASCARに呼び込もうという企画でギスバーゲンもそもそもはこの企画で1戦限りの存在のはずでした。2025年はデイトナ500にエリオ カストロネベスが出走した1度だけしか稼働していません。


 Kaulig Racing/Chevrolet
10 Ty Dillon
16 A.J.Allmendinger

 住宅設備関連企業リーフ ホームの創業者・マット コウリッグがオーナーを務め2022年からカップシリーズにフル参戦を開始したコウリッグ レーシング。トラックシリーズでラムとの協業を開始しましたがカップはもちろんダッジの車両が無いのでシボレーを継続使用。ただ、従来結んでいたRCRとの技術提携契約は解消することになり、ダッジからの資金を間接的にカップシリーズの独立技術運営体制に活かす方向性となるようです。ドライバーはタイ ディロンとA.J.アルメンディンガーで変更なし。
 弟ディロンことタイディロンは2025年は伸べ7度目となる年間フル参戦、第18戦アトランタでの8位は3年ぶりにして年間で唯一のトップ10フィニッシュでした。選手権は下から数えた方が早い33位ですがインシーズンチャレンジではなぜか第32シードから決勝に残る珍事を起こし、謎の存在だったイベントを盛り上げる立役者になりました。当ブログでは『ディロン』と書いたら通常は兄・オースティンを指し、こちらは『タイ』と書いてもタイという名前の人も多いので『弟ディロン』『タイディロン』などと表記します。
 一方ロードコースでの優勝(とそれによるオーナー順位16位以内の高額分配金)を期待されたアルメンディンガー、2年ぶりのフル参戦復帰だった昨年ですがギスバーゲンの壁が高すぎて勝てず。それでも第5戦ラスベガスで8位、なぜか妙に得意の第6戦ホームステッドで7位、第29戦ブリストルではブッシュライトポールを獲るなど43歳にして全体的な成績は向上させており、懐事情が苦しいチームを考えるとかなり健闘していると言えそうです。チームにとっては優勝=プレイオフでなくなったチェイス制度は誤算かもしれません。

 
 Hyak Motorsports/Chevrolet
47 Ricky Stenhouse Jr.(2026)

 2025年、それまでの『JTG ドアティー レーシング』から経営体制の変更もあって名称が変更されたハイアク モータースポーツ。『ハイアク』はチヌーク ジャーゴン(アメリカの先住民の言語と英語、フランス語が混ざった混成言語)で『速い』を意味するとともに、筆頭オーナーであるゴードン スミスが創業したタグボートを作る企業の名称です。ドライバーはリッキー ステンハウス ジュニアが2020年から乗り続けてこれが7年目。
 通算4勝全てドラフティング トラック。2023年はデイトナ、2024年はタラデガで1勝していたステンハウスでしたが昨年は勝てませんでした。トップ10は2度のアトランタとテキサスの計3回のみ、最初の13戦中では9回も20位以内に入ってポイントで13位だったものの、残る23戦では6回にとどまって最終順位は30位まで落ちました。チーム力によるところも大きいと考えられ、ステンハウスには夏場にスパイアーへの移籍の噂が飛び交った他、お金が無いのでチーム消滅の噂も絶えません。
 ちなみにステンハウスは2016年と2017年、『アメリカ版SASUKE』と呼ばれるテレビ番組『ニンジャ ウォーリアー』に2度出演してレーシング ドライバーとしての最高地点まで進んだことがあるという謎の経歴があります。ホースバーとは昨年トラック上で何度か絡んで遺恨がある一方で、小林 可夢偉がスポット参戦した2度のレースではいずれも接触して可夢偉を回しておりたぶん日本の一部ファンからは一方的に恨まれています(笑)


Spire Motorsports/Chevrolet
  7△Daniel Suárez
71 Michael McDowell
77 Carson Hocevar

 スポーツ選手や芸能人等のマネージメントを手掛ける企業・スパイアー スポーツ+エンターテインメントを母体とするスパイアー モータースポーツ。弱小テールエンダーから資金を投じ、時々迷走しつつも徐々にその範囲を拡大して2024年からはカップシリーズに3台でフル参戦。期待のやらかし系・カーソン ホースバー、安定のベテラン・マイケル マクダウルが残留し、ジャスティン ヘイリーをクビにしてダニエル スアレスが加入しました。
 トラックハウスで5年間過ごしたスアレスですが、2024年第2戦アトランタを最後に勝利が無くチームメイトのチャステインに負けているのは一目瞭然。昨年も選手権29位で契約延長が無いことは本人も自覚しながらのシーズンでした。スアレスにとってはフル参戦する5つ目の所属先となりますが、ありがたいことに主要スポンサーだったフリーウェイ インシュァランスは一緒に付いてきてくれました。
 一方7年間所属したフロントロウから2025年に移籍してきたマクダウル、初年度はリタイア僅か2回、走行距離で全体3番目と得意の安定感が光って選手権22位。20位以内で終えたレースが23回もあり、平均順位18.2は自己2番目の成績でした。ロードコースは総じて好成績、シカゴ市街地ではスロットルの配線が切れる不運に見舞われ、これがなければ優勝していた可能性もあるものでチームの期待に総じて応えるベテランらしいシーズンでした。2026年も同様の活躍が期待できます。
 対照的なのはホースバー、フル参戦2年目は2度の2位を含めトップ10フィニッシュ9回、コカコーラ600はエンジンが壊れなければひょっとして、と思わせるもの。初のブッシュライトポールも獲得して速さを見せる場面が多かった一方で事故や他のドライバーとの遺恨も絶えず、30位以下のレースが13回。このせいで平均順位が前年より3.3も悪化して総合順位はマクダウルの1つ下・23位でした。完全に滑って横を向いた車をあっさり立て直してしまうセンスは間違いなくチャンピオン級の素質、荒くれ具合はいかにもNASCARファン受けするもので、次世代のヒール有力候補なので見ている分には非常に面白い選手です。スポンサー絡みでよく被っているカウボーイ ハットもよく似合います(笑)


△Haas Factory Racing/Chevrolet
41 Cole Custer

 2024年限りで消滅したスチュワートハースの資産・従業員・チャーター1つを引き継いで参戦するハース ファクトリー レーシング。社長・ジョー カスターの息子であるコール カスターを起用しての参戦には変更がありませんが、使用する車両がフォードからシボレーに変更となってヘンドリックとの技術提携が発表されました。
 元々スチュワートハースは2016年までシボレーを使用しており、『シボレーにおったらヘンドリックの次点にしかなられへんからフォードでテッペン目指すんや!』みたいなところから変更があったと考えられるので、小規模化した今となっては競争力の面でこちらの方が好都合と判断されたと思われます。ぶっちゃけ昨年の存在感はむちゃくちゃ薄かったですね、いや髪の毛の話じゃないですよ。
 ただそれもこれも結果がどうなるかはカスター次第、2020年から3年間カップを戦った後オライリーに出戻りし、そこでチャンピオンを獲ってまたカップに戻って来たのが昨年でしたがトップ10フィニッシュは3回で、うち2回がデイトナとタラデガ。1台体制で比較対象がいないと悪いのが車なのか人なのかも判別しにくい感じです。ちなみに名前が似ているせいなのかは分かりませんが『アンディーズ フローズン カスタード』というむっちゃ甘そうなフラペチーノ的飲み物の会社がスポンサーの1つになっています。なんか食べてる姿が似合うんだ(笑)


△Rick Ware Racing/Chevrolet
51 Cody Ware

 元ドライバーであるリック ウェアーが率いるリック ウェアー レーシング。源流を遡ると、彼が父のジョン ウェアーとともに地方でレースをしていた半世紀近く前の家族でのレース活動に起源があります。NASCAR以外にも複数のカテゴリーに手を出していましたが最近は縮小傾向、RFKと提携してチームの拠点もRFKの施設内に構えていましたが、2026年に向けてシボレーへ車両を変更、提携先も当然変更となってRCRとなりました。
 チャーターを転がしたり、複数のドライバーをとっかえひっかえしてスポンサーを集めるチームでもありましたが現在はチャーターが1つしかなく、オーナーの息子であるコディー ウェアーがフル参戦。チーム・ドライバーとも実力不足は明らかで、昨年は最高位が13位でもちろん選手権最下位、オーナー順位も最下位でした。スポット参戦の車両をもう1台動かすかどうかは現時点で不明、2025年はコリー ラジョーイが01番で4戦に出場していますが現時点でチームもラジョーイも特に何も発表していません。

※スポット参戦専門、または参戦が噂されているチーム※

 JR Motorsports/Chevrolet
40 Justin Allgaier

 オライリーシリーズを席巻するJRモータースポーツ、いずれはカップにフル参戦してみたいけどチャーターを手にするだけでも一苦労、とりあえず2025年からデイトナ500に出場しており2026年もオールガイアーが乗り込みます。


 Beard Motorsports/Chevrolet
62 Anthony Alfredo?
   Jesse Love?

 元ドライバーでもあり、M&Lペトロリアムの創業者であるマーク ビアードが2009年に設立し、主にドラフティングトラックに絞って参戦してきた家族経営のチーム・ビアード モータースポーツ、RCRと提携しています。2021年のデイトナ500を目前にした1月31日にビアードさんが亡くなりましたが、チームは家族らによって引き続き運営されています。
 具体的な発表はありませんが2026年もデイトナ500を中心に数戦の出場が見込まれます。2025年はアンソニー アルフレードが3戦に(デイトナ500は予選落ち)、おそらくRCRとの関係でラブもテキサスとインディアナポリスの2戦に出場しました。

 Live Fast Motorsports/Chevrolet
78 B.J.McLeod
       Katherine Legge?

 現役ドライバーでありながら早くからオーナー業も開始していたB.J.マクラウドが2020年のパンデミックによるシーズン中断からの再開と同時に参戦を開始したリブ ファスト モータースポーツ。2023年シーズン終了後にスパイアーにチャーターを売却し、以降はオーナーのマクラウドを軸にスポンサーを見ながらスポット参戦しています。
 2025年はマクラウドがドラフティングトラック全6戦に出場し、DTMをはじめとレース経験豊富な女性ドライバー・キャサリン レッグが第4戦フェニックスをはじめとした7戦に出場しました。そもそもストックカー経験の浅いレッグは周回遅れと自滅が多くて批判の的にもなり脅迫メッセージが送り付けられる騒ぎも起きましたが、ロードコースではさすがに経験が豊富なだけにそこそこの力を発揮。シカゴ市街地ではハイムを予選落ちに叩き落すというちょっとした下剋上で話題になりました。2026年にどうするかは不明ですが、インディーカーとNASCARの両方でフェニックスのレースに出場したい意向を示しています。


 NY Racing Team/Chevrolet
44 J.J.Yeley?

 ジョン コーエンという実業家が2009年に設立したエクストリーム モータースポーツを起源とする小規模チーム、NY レーシング チーム。コーエンはNASCARでは珍しいアフリカ系アメリカ人のオーナーです。2015年には競技車両が盗難に遭ったかと思ったら、コーエン自身は投資したナイトクラブに関する民事訴訟に応じなかったため警察に呼ばれるなど色々トラック外で話題を振りまき、2019年以降は活動がみられませんでした。
 しかし2022年にグレッグ ビッフルを擁して5戦に出場し復活すると、2023年を全休しながら2024年に10戦、2025年は4人のドライバーで計15戦に出場。スポンサー活動として大学やアフリカ系アメリカ人のコミュニティーなどを重要視しているらしく、ワトキンスグレンではシラキュース大学がスポンサーに就きました。
 大学フットボールの名門であるシラキュースでは1959年~1961年にアーニー デイビスという黒人選手が差別が今よりも遥かに厳しい世の中で大活躍し、1961年にはハイズマン賞(全米最優秀選手)を黒人として初めて受賞。その後ワシントン レッドスキンズからドラフト一巡目で指名されてほどなくクリーブランド ブラウンズにトレードされますが、白血病のために23歳の若さで他界してプロの試合に出場することはできませんでした。コーエンが44番を選んでいるのはこのデイビスの大学時代の背番号にちなんだものです。
 2026年のNYレーシングに具体的な情報は無く公式サイトは工事中の表示になってますが、おそらくスポンサーを見つけながら時々姿を見せるものと思われます。昨年起用されていたのはJ.J.イェリー、デレック クラウス、ブレナン プール、ジョーイ ゲイズでした。なんかこのあたりの顔ぶれは毎年どっかの小規模チームで名前を見る気がする(笑)


 Garage 66/Ford
66 Casey Mears 
       multiple drivers

 元々は2014年にいずれも現役ドライバーだったデレック ホワイトとカール ロングが設立したモータースポーツ ビジネス マネージメントというチームが源流。2016年にホワイトがタバコの密輸容疑をかけられてNASCARの参加資格を剥奪された(※)ので以降はロング家が運営している小規模・低予算チームです。パンデミック期間に盛んだった公式のeモータースポーツでティミー ヒルが脚光を浴びたことから一時期話題になりリアルとバーチャルを組み合わせてスポンサーを獲得しようとしましたが、弱小ゆえに『公式eモータースポーツイベントに呼ばれない』という憂き目に遭って戦略が破綻、予算が回らず参戦規模が大幅に縮小されました。
 2023年のカップは全休しましたが2024年はそろりと復帰して13戦に出場、そして昨年にはカップシリーズ活動を『ガレージ 66』というブランド名に改称するという謎のブランド戦略に乗り出し、最終的にはジョッシュ ビリッキー、チャド フィンチャム、ジョーイ ゲイズ、ティミー ヒル、ケイシー メアーズ、デイビッド スターの6人で計17戦に出場。2026年もデイトナとタラデガで使う4つのエンジンについて契約済みだそうで、あとはスポンサー次第とみられます。
 とりわけメアーズは2003年から14年間ほぼフル参戦し、ここ5年は全くNASCARに出ていなかった大ベテランだけに復帰にはけっこうな驚きがありました。デイトナ500にもメアーズが乗って参戦の予定で、彼はこれまで通算494戦に出場しているためなんとか節目の500戦出場を達成したいようです。たぶんデイトナは予選落ちして数が増えないので、他にあと6戦ぶんのスポンサー募集中ですかね。

※ホワイトは後に一旦は有罪判決を受けたものの、2023年に判決が覆されて無罪となり資格は回復された


 Team AmeriVet/Chevrolet
50 ?

 源流は元ボクシング世界王者・フロイド メイウェザーと、元スターコム レーシングのオーナー陣が共同オーナーを務めたザ マネー チーム レーシング。参戦すると表明しながら実際にはなかなか出て来ない都市伝説状態からようやく2022年・2023年で合計6戦に出場したものの、その後メイウェザーはしれっと出資者から撤退。マネーチームレーシングを取り仕切っていたウィリアム オークムーディーとベッキー オークムーディーの夫妻に、アメリベット証券の幹部であるマイケル ネイドリッチ、メルセデス エライアスが新たな出資者として加わって2024年途中にしれっと『チーム アメリベット』に改められました。
 アメリベット証券は1994年・現役陸軍将校だったエルトン ジョンソン ジュニアが設立した証券会社で、彼はいわゆる9・11の後にイラクへ2度、アフガニスタンへも1度派兵される経験した後2013年に退役。負傷/退役した軍人のコミュニティーを活かして彼らの金融資産形成に役立つことを目的として掲げている証券会社で、チームとしてもその思想を汲んで『レース参戦を通じて資金を集めることで退役軍人が抱える債務を返済する』という理念を掲げています。
 2025年は第7戦マーティンズビルにバート マイヤーズを擁して出場した1回のみの出場、チームのSNSアカウントは時々動いているので消滅はしていないようですが、活動予定は不明です。50番の車を見かけたらどんなチームだったか思い出す参考程度にどうぞ(笑)


◎O'Reilly Auto Parts Series 主要チーム

 エクスフィニティーの冠スポンサーは2025年をもって契約終了、からオライリー オート パーツになりました。ハースファクトリーがシボレーに契約先を変更したから、というのが先なのかフォードのオライリーでの活動規模縮小が先なのか分かりませんが、フォードを使用するチームが激減しています。

Joe Gibbs Racing/Toyota
18 William Sawalich
19〇Brent Crews(29 Races)
20 Brandon Jones
54   Taylor Gray

 昨年は19番がエリック アルミローラの活躍でエクスフィニティーのオーナー選手権チャンピオンを獲得したJGR。アルミローラは19戦に出場して3勝を挙げましたが引退するのではないかとみられており、19番には既にブレント クルーズの起用が発表されています。クルーズは3月30日で18歳というJGRの若手選手、既に昨年のトラックシリーズには10戦出場してシャーロット ローバルで2位を獲得。ARCA メナーズ シリーズでは9戦4勝でした。規定により18歳未満の選手は1.25マイル以上のトラックに出場できないのでシーズン序盤の4戦には出れませんがそれを除くとフル参戦予定です。この4戦で誰が乗るのかは未発表。
 18番はフル参戦2年目となる19歳・ウイリアム サワリッチが継続とみられますが、昨年の秋のタラデガのレースで多重事故に遭った際に脳震盪の症状が出て最後の2戦を欠場していたのが気がかり。最高位は2位が2回で優勝はありませんでした。
 20番は黄色いメナーズのスキームが印象に残りやすい中堅・ブレンダン ジョーンズ、昨年はダーリントンとカンザスで優勝しており、とりわけカンザスは通算でもなぜか異様な好相性を誇ります。
 そして54番はおそらくテイラー グレイが継続、サワリッチ同様に昨年がオライリーのフル参戦1年目でしたが第7戦マーティンズビルで早くも初優勝か!?と思ったらオーバータイムでぶつけられて撃沈。しかし半年後・第32戦のマーティンズビルでほとんど同じ状況のオーバータイムを制し初勝利を挙げています。

 Sam Hunt Racing/Toyota
24△Harrison Burton
26 Dean Thompson

 2019年からオライリーに参戦するサム ハント レーシング、JGRと提携しています。昨年は24番が複数ドライバーによるスポット参戦、26番がフル参戦でした。2026年に向けてはディーン トンプソンが残留し、新たに24番にはハリソン バートンが加入してチーム史上初めて固定ドライバー2人によるフル参戦体制となる見込みです。
 2024年まで3年間はカップシリーズに参戦、同年第25戦デイトナで初勝利を挙げたバートン。昨年からオライリーに戻ってAMレーシングからフル参戦、優勝こそなかったものの最高位2位を含めて10回のトップ5フィニッシュを記録、プレイオフに進出して選手権8位でした。カップ昇格前はJGRからオライリーに出場していたので5年ぶりのトヨタ車です。ちなみに昨年のオライリーで最もレース走行距離が長かった完走王でした。
 一方3年間のトラックシリーズを経てオライリー初のフル参戦となったトンプソンはシャーロットでの5位が最高位、第10戦ロッキングハムで挙げたステージ勝利は自身だけでなくチームにとっても初でした。多くのレースでトンプソン パイプ グループという配管を作る企業が付いた青い車で走っていますが、具体的に言及した情報は見つけられないですがおそらく彼の親族が経営している企業ですね。

JR Motorsports/Chevrolet
  1 Carson Kvapil
   Connor Zilisch
  7   Justin Allgaier
  8   Sammy Smith
  9 multiple drivers
88〇Rajah Caruth
   TBN

 デイル アーンハート ジュニアと妹のケリー、ヘンドリックらがオーナーを務め、ジュニアさんのオーナー活動兼オライリーでのヘンドリックの活動主体にもなっているジュニア モータースポーツ、JRと書いてジュニアと読みます。近年はフル参戦車両ならドライバーも年間で固定になることが多かったですが、2026年は7番のジャスティン オールガイアー、8番のサミー スミスが継続でフル参戦の一方、1番は昨年デビューしたカーソン クワポーとジリッシュが併用される予定。そして88番には3年間トラックシリーズを戦ってきたラジャ カルースが起用されますが、全戦ではないと発表されています。あと、たまーに9番も稼働しています。
 クワポーは2003年のトラックシリーズ王者・トラビス クワポーの息子として知られ、主にレイトモデルを中心に戦ってきたのでARCAやトラックをほとんど経ずに昨年いきなりオライリーにデビューしました。最高位は2位が3回、22歳のルーキーとしてはまずまずの結果でしたが、いかんせんチームメイトのジリッシュが速すぎでした。そして2年目の彼にはそのジリッシュと1番を分け合う、という驚きの発表が訪れましたが、チームは彼が全戦に出場することを明言しており、ジリッシュが乗る時は88に乗せるか、提携する他チームへ貸し出すか、といった対応になりそうです。
 なお、綴りは『Kvapil』なので『クバピル』とか『クヴァピル』と書くのが当たり前だと思いますが、できるだけ現地の雰囲気を出したい、カタカナ表記であまり現地語と乖離して欲しくない、という妙なこだわりがある当ブログでは、実際はvの音は潰れてwに近くなり、pilも潰れてしまって大半の人が『クゥァポー』に近い音で読んでいるため、耳に聞こえる音を重視してクワポー表記にしています。

 2024年のオライリー王者・オールガイアーは6月で40歳になる大ベテランですが昨年も3勝。6年連続複数勝利、過去7年で6度のチャンピオンシップ4進出、とオライリーシリーズを戦う若手にとって最大の壁といえる存在です。一方のS.スミスはこれがフル参戦4年目になりますが6月で22歳とオールガイアーの約半分。昨年はロッキングハムで優勝して選手権8位でした。サミーと書いたらパチンコ屋さんみたいなのでだいたいS.スミスと書きます。
 そして新加入のカルースは過去2年間スパイアーからトラックシリーズにフル参戦、2024年第3戦ラスベガスで初優勝し、これはアフリカ系アメリカ人としては史上3人目のNASCAR全国シリーズ優勝でした。昨年も1勝して選手権6位、なぜか彼も6月生まれで誕生日が来ると24歳です。ちなみに彼はNASCAR制定の『最も人気があるドライバー』のトラックシリーズ部門を2年連続で受賞しています。

 Hendrick Motorsports/Chevrolet
17〇Corey Day

 2007年を最後にオライリーシリーズのレース活動はJRモータースポーツに統合・移管し、2010年~2021年は全く参戦していなかったヘンドリック。2022年以降はスポット参戦していましたが、なんと2026年はついにフル参戦に戻ってきました。ドライバーには既に昨年11戦にヘンドリックから出場している20歳・コリー デイを起用。
 デイは子供のころからダート バイク競技に参加していたものの、9歳の時に骨折して2輪は諦め4輪のスプリント カーに転向。2021年にはUSAC ナショナル ミジェット シリーズで最年少優勝記録・15歳6ヶ月12日を達成しました。2024年には全米で3番目に古いレースとされるターキー ナイト グラン プリでも最年少優勝を記録して昨年も連覇。ミジェット界では天才少年的な扱いで既に話題になっているようです。NASCAR傘下のストックカーはまだ2年ほどの経験で優勝はなく、昨年のオライリー最上位は第30戦ラスベガスでの4位でした。


Richard Childress Racing/Chevrolet
  2 Jesse Love
21 Austin Hill

 
 カップでは苦戦が続くRCRですがエクスフィニティーでは強豪、ドラフティングトラックで無類の強さを誇り、2年連続で6戦4勝と高勝率を誇っています。ドライバーは3年連続でジェシー ラブとオースティン ヒルの2人。
 1月で21歳になったばかりのラブはフル参戦2年目にしてなんとオライリーシリーズのチャンピオンを手にしました。RCRとしては2019年のレディック以来の出来事でした。開幕戦のデイトナで優勝してプレイオフ進出一番乗り、したものの以降は優勝がないまま勝ち上がっていましたが(第10戦ロッキングハムで1位だったもののレース後車検で失格)、大一番の最終戦フェニックスで大本命のジリッシュを逆転。開幕戦と最終戦だけ勝ってチャンピオンというアタック25的な勝ち方でした。
 一方RCR4年目だった昨年のヒル、勝利数はラブを上回る4勝でしたが痛かったのが第21戦インディアナポリス。アルミローラに対する接触が危険な報復行為と判断されて1戦出場停止&プレイオフ ポイント没収という重い罰則を受けてしまい、これも響いてプレイオフで早々に敗退してしまいました。結果として若いチームメイトがチャンピオンを獲ってしまい先輩としては面目が保てなかったシーズンです。


 Jordan Anderson Racing Bommarito Autosport/Chevrolet
27 Jeb Burton
31   Blaine Perkins
32 Rajah Caruth(10 Races)
   Ross Chastain(4 Races)
   multiple drivers


 現役ドライバーでもあるジョーダン アンダーソンが当初は自身がトラックシリーズに参戦するチームとして2018年に設立し、2021年からオライリーにも参戦しているジョーダン アンダーソン レーシング。ミズーリ州最大規模の自動車ディーラー・ボマリート オートモーティブの創業者であるジョン ボマリートも共同オーナーに加わっており、正式名称としては『ジョーダン アンダーソン レーシング ボマリート オートスポート』となります。今季に向けては新たにRCRと技術提携を結び、ドライバーは4年連続所属のジェブ バートン、昨年加入したブレイン パーキンスに加え、新たに32番を複数ドライバー制でフル参戦させることを明らかにしています。
 お馴染みバートン一族のひとり・ジェブバートンの昨年は第11戦タラデガで優勝争いをしていましたが、最終周にコーションが出た瞬間に僅かにヒルよりも後ろにいたため勝利を逃して2位。これが唯一のトップ5フィニッシュとなりましたが前年よりは大きく成績を底上げしました。
 パーキンスはRSSレーシングから移籍して1年目、オライリーでは3年目のフル参戦。第3戦オースティンで2022年以来のトップ10フィニッシュを記録すると第11戦タラデガで自己最高の7位、さらに第31戦のタラデガでこれを更新する6位を記録しました。2024年まではフル参戦と言っても契約解消による移籍や予選落ちがあったので33戦全ての決勝には出場できておらず、全33戦の決勝を走ったのは昨年が初めてでした。とはいえ選手権順位で言えばフル参戦選手で下から2番目でした。
 32番はとりあえずカルースが10戦に出場することが発表されており、JRモータースポーツから出ない時はこちらで出場機会を得るようです。他にチャステインが4戦に出場することも発表されています。


 Viking Motorsports/Chevrolet
96△Anthony Alfredo
99△Perker Retzlaff

 元素を測定する分析機器を製造販売する企業・SciAps(サイアプス)のCEO・ドン サケットがオーナーを務めるバイキング モータースポーツ。サイアプスはRSSレーシングのスポンサーでしたが、2024年のシーズン序盤にRSSの38号車を『バイキング モータースポーツ』という名称に改称して独自チーム活動へ向けた動きを見せ、昨年はフォードを離れてシボレーへと変更、RCRと提携しました。今季に向けてはこの提携をさらに強化すると発表され、2台体制での参戦に拡張されてアンソニー アルフレードとパーカー レツラフが加入。
 新たに投入される96番はアルフレードが加入。2021年に1年だけフロントロウからカップシリーズに参戦するも、実力不足だと批判されまくってオライリーに戻ると、毎年チームを転々としてフル参戦しこれで4年連続での移籍(アワー モータースポーツには2022年・2024年の2度所属したのでチームとしては3つ目)となりました。昨年の最高位は第11戦タラデガでの6位、『アルフレード』がパスタ料理の名称であることから『ファストパスタ』という妙なあだ名が付いています。
 一方の99番は2024年の途中からマット ディベネデトーが起用されていましたが、昨年のシーズン残り3戦という段階で急に契約解除。残る3戦はコナー モザックが起用されましたが、モザックがそのまま乗り続けるわけではなくパーカー レツラフが加入しました。22歳と若いレツラフですが既にオライリーには3年のフル参戦経験あり。昨年は弱小チームであるアルファ プライム レーシングからの参戦でしたが第10戦ロッキングハムでまさかの2位を獲得して話題になりました。


△RSS Racing/Chevrolet
28 Kyle Sieg
39 Ryan Sieg

 ロッド シーグとパメラ シーグの夫妻がオーナーを務め息子2人がドライバーというライアン スコット シーグ レーシング・通称RSS レーシング。2020年まではシボレー、2021年からフォードを使用していましたが、2026年はふたたびシボレーに変更してハースファクトリーと技術提携を結ぶと発表されています。ドライバーは変わらずライアン シーグ、カイル シーグの兄弟。
 弟のカイルはパッとしない成績で昨年の最上位は第17戦アトランタでの9位、一方14歳年上の兄・ライアンは第4戦フェニックスでの4位など3度のトップ5フィニッシュを記録。第10戦ロッキングハムでは自己最多・77周のリードを記録するなど時折優勝争いに割って入りますが、なかなか初勝利には届きません。ちょうど昨年を終えた段階でオライリーシリーズ通算400戦に出場、その最終戦は出場停止処分を受けたサム メイヤーに代わってハースから出場していましたが、予選10位から残念ながらクラッシュでリタイアしました。
 なおバイキングモータースポーツを立ち上げて独立したサイアプスですが、シーグへのスポンサーは継続しており昨年は全戦で39番のプライマリー スポンサーを務め、今季も引き続きライアンを支援し続けることが発表されています。


 Big Machine Racing/Chevrolet
48〇Patric Starapoli
オーナーのボーシェッタ

 2005年設立のレコード会社・ビッグ マシーン レコードの創業者 スコット ボーシェッタがオーナーを務めるビッグ マシーン レーシング。ビッグマシーンレコードはあのテイラー スウィフトが14歳の時に専属契約をしたレコード会社、ビッグマシーンにとっての専属契約第1号アーティストで結果として空前の成果を挙げますが、後に初期のアルバムの権利を巡って揉めることになります。ビッグマシーンは2019年にジャスティン ビーバー、アリアナ グランデなどが所属するイサカ ホールディングスに買収されますが、2021年にはそのイサカごと韓国のレコード会社・ハイブに買収されています。イサカはIthacaという綴りで、決して日本の井坂さんとかではありません(笑)
 話を戻すと、ビッグマシーンレーシングは2021年創設ながら2023年・2024年はパーカー クリガーマンが何度も優勝争いを展開してプレイオフに進み、昨年は新加入のニック サンチェスが第17戦アトランタでチーム史上2勝目。サンチェスは9月の段階で残留を表明しており継続、と思ったら12月になって『この週末に、2026年にビッグマシーンレーシングの48番を運転できないことを知らされました』で始まる悲しい声明をSNSに投稿。
 そしてドライバーとして加入したのは36歳のパトリック スタラポリ。親がレース活動をしていた影響で子供のころから自身もレース活動する一方で学業が極めて優秀、元はレースのエンジニアも頭にありながら最終的には医学を志して2012年にハーバード大学を首席で卒業する一方で、2014年にはARCA メナーズ シリーズ ウエスト第2戦で優勝もしている異色の選手です。その後は医学に進んでマイアミ大学医学部で博士号を取得し、現在は網膜外科医として活動している現役眼科医。
 長年レースからは遠のいていましたが昨年に活動を再開し、オライリーシリーズもサムハントから4戦に出場していました。主要なシリーズへのフル参戦は初めてとなります。スタラポリが医師を志したきっかけは父親が巻き込まれた重大事故を目の当たりにしたこと。昨年マイアミのメディアから受けた取材では

「医者だからこそレーシング ドライバーとしてもより優れていると思っています。そしてその逆も然りです。レーシングドライバーであることは、医師としてもより優れているのです。」
「スキルは間違いなく活かせると思います。手術をしている時でさえ、ペダルや器具の操作はスムーズに行わなければなりません。車に乗ってハンドルやアクセルを踏んでいる時も同じです。一日中、スムーズに操作できなければなりません。」

 と"二刀流"について語っています。


△Sigma Performance Services Racing/Ford
?? ?

 ARCA シリーズやレイトモデルのレースに参戦していたシグマ パフォーマンス サービシーズが昨年までオライリーに参戦していたAM レーシングを買収して組織を刷新した状態での参戦となるのがシグマ パフォーマンス サービシーズ レーシング。元々財政が盤石ではない様子で色んなところとくっ付いたり離れたりしていたAMレーシングはハースと技術提携を結んでいたので、そのハースがシボレーへ行ってしまったのでどうしようかというところでSPSに買収されることになったと思われます。
 ここまでの記事を見て分かる通りフォードからシボレーに乗り換えたところが非常に多く、オライリーに残った数少ないフォード使用者なんですが現時点では番号やドライバーどころかフル参戦するのかどうかすら正式には発表されていない状況です。


〇Hettinger Racing/Ford
 5 ?

 今のところフォード使用者で唯一フル参戦を明言しているのが、新規参入となるヘッティンガー レーシング。レイトモデルやミジェットで走っていたクリス ヘッティンガーがオーナーを務めており、元々は2023年までトラックシリーズに参戦していたブレット ホームズ レーシングを買収したものです。過去2年はARCAやトラックに数戦だけ出場していましたが、ホームズレーシング時代にも出ていなかったオライリーへいきなりのフル参戦です。今のところドライバーは不明。
 ちなみにクリスの娘であるケイティー ヘッティンガーも共同オーナーとして名を連ねているようでした。ケイティーは父と同様に5歳のころからミジェットでレースに出るなどレース活動を継続していましたが、2024年に学業専念を理由にひとまずレース活動は停止しています。日本だと『現役女子高生ドライバー』とか騒がれそうなやつですね。

 急速に衰退した感のあるオライリーのフォード陣営、ひょっとしてこのまま活動をやめるのでは?とすら思える勢いですが、その真意は少し調べた感じではまだ不明なようです。F1への参入に加えてこれまでは後方支援だったラリー レイド活動がワークス格に強化、耐久レースへも参戦するので予算配分が別カテゴリーに流れている様子は伺えます。
 またドライバー育成においても近年はジリッシュのようにNASCAR下部カテゴリーをあまり経ない経歴で入って来る若い選手も増加傾向であるため、ひょっとするとフォードはオライリーよりもIMSA耐久レースなどスポーツカー系統のカテゴリーからドライバーを育てる方向性にするのでは?という見方もあるようです。ただその場合でもオライリーに主要な活動の場がなければカップの即戦力選手が不足するのは明白で、ちょっと先行きは気になります。



〇Craftsman Truck Series 主要チーム

 クラフツマン トラック シリーズでは昨年のチャンピオン・コリー ハイムがチームに戻らず、かといってオライリーに昇格するわけでもなく23XIでスポット参戦しつつ仕事をこなし、直接2027年に備えているとみられます。

 TRICON Garage/Toyota
  1 Jimmie Johnson
  5 ?
11△Kaden Honeycutt
15 Tanner Gray
17 Gio Ruggiero

 元々トヨタのトラックシリーズでの活動はカイル ブッシュ モータースポーツが軸でしたが、KBMが2023年にシボレー陣営へと移ったために穴埋めとしてフォード陣営にいたデイビッド ギリランド レーシングがトヨタへと鞍替え、トライコン ガレージという名称になりました。チーム名は三角形を表すトライと象徴を表すアイコンを組み合わせた造語で、ドライバー、オーナー、メーカーの3つのタイトルを目指すぞ、とかいう意味合いが込められています。
 昨年はハイムが25戦12勝という圧倒的勝利数でチャンピオンを獲得しましたがこのチームには残留せず、ケイデン ハニーカットが加入しました。タナー グレイ、ジオ ルジェーロは残留しましたが11番に関しては現時点で正式な発表が無く、昨年乗っていたトニ ブライディンガーはラックリー WARからスポット参戦が発表されたので離脱したとみられます。またサンディエゴのレースではジョンソンがスポット参戦予定、これまでジョンソンがトラックし出たのは2006年のたった1度だけなのでとても珍しい光景です。
 昨年のハニーカットは波乱万丈でした。初のフル参戦契約となったニースモータースポーツで16戦して9回のトップ10フィニッシュ、プレイオフ圏内に付けていましたが『2026年に向けて他メーカーとの契約交渉を行った』として突如解雇。なんとかプレイオフに出たいので弱小ヤングス モータースポーツに移籍して1戦したところ、大怪我したフリーズンの代役で偶然ハルマーフリーズンレーシングに抜擢。これで競争力のある車を手にしたハニーカットはチャンピオンシップ4にまで進みました。そもそも交渉していたのはトライコンだったという噂で、結果として半年早くトヨタ陣営に加わり、そのまま予定通りトライコンに収まったことになります。
 タナーグレイは前身チーム時代から数えて7年目のフル参戦契約。昨年は第14戦ポコノーで2位になりましたが初優勝はまたもやお預けでプレイオフにもちょびっと届きませんでした。NASCARより前にドラッグ レースに参戦していたというちょっと変わった経歴で、オライリーに出ているテイラーグレイは弟です。
 一方で昨年が初のフル参戦だったルジェーロは第23戦タラデガで早くも初優勝を記録。プレイオフには進めませんでしたが多くの数字で先輩のグレイを上回る数字を見せました。8月でようやく20歳という若手(ちなみにRacingReference.infoは誕生日の日付を間違えて記載している)で期待値の高い選手です。

 Halmar Friesen Racing/Toyota
52 Stewart Friesen
62 John Hunter Nemechek

 ドライバーであるスチュワート フリーズンと、土木企業・ハルマー インターナショナルの最高経営責任者・クリス ラーセンが共同オーナーを務めるハルマー フリーズン レーシング。2016年からフリーズン自らが乗るチームとして参戦し、2021年からトヨタを使用しています。フリーズンは昨年7月にダートのレースに出場して大事故に見舞われ大けが、これでシーズン最後の8戦を欠場して棒に振りましたが、2026年は復帰する予定です。
 昨年のフリーズンは第13戦ミシガンで優勝してプレイオフ進出権を得ていましたが怪我で断念、ただ代役のハニーカットが頑張ってくれたのでオーナー選手権ではチャンピオンシップ4に勝ち残って3位というチーム史上最高の結果を得ています。ちなみにスチュワートの妻・ジェシカも以前はダートで走る選手で、夫妻は『ワン ズィー ティーズ』という服飾関係の事業も営んでいます。Wikipediaによるとレース活動で生活できない場合を想定して興したそうです(笑)また息子さんが自閉スペクトラム症だったことから自閉症に対する支援活動も積極的に行っています。
 なお、開幕戦デイトナではジョンハンターが62番でスポット参戦することも発表されました。

 Spire Motorsports/Chevrolet
  7 Connor Mosack(12 Races)
   Michael McDowell(1 Race)  
77 ?

 2022年からトラックシリーズでも活動を開始すると、2023年のオフにKBMの資産を買収して一気にトラックシリーズでも有数の技術と人員を手にしたスパイアー。昨年は07、7、71、77の豪華4台体制での参戦でしたが、このうち77番のアンドレス ペレス デ ララがシーズン途中でニースに移籍したため、オーナー ポイントの観点から07番を運用から外して3台に集中し、ペレスデララの代わりにコリー ラジョーイを起用して戦いました。
 例年体制発表が遅いチームではありますが、現時点で決まっているのは7番だけ。昨年マカナリーヒルジマンにいたコナー モザックが2年ぶりに再加入して12戦に出場し、開幕戦デイトナにマクダウルが搭乗することが発表されています。残るレースのドライバー・他の車両は予定が不明ですが、モザックの起用を発表した公式発表記事内で『2026年、スパイアーモータースポーツは、7、71、77番のシボレー カマロ ZL1をNASCARカップシリーズに、7番と77番のシボレー シルバラード RSTをNASCARクラフツマントラックシリーズに参戦させます』と書いてあるのでフル参戦は2台にとどまる可能性がありそうです。



 Niece Motorsports/Chevrolet
41 Matt Gould?
42 Tyler Reif
   Travis Pastrana
   Conner Jones
   Parker Eatmon
44 Andrés Pérez de Lara
45 Landen Lewis
    Ross Chastain(8 Races)
    Ricky Stenhouse Jr.

 水、燃料、潤滑油などの液体を積んで運ぶ特殊なトラックの製造、販売を行う企業、ニース エクイップメントの創業者・アル ニースが設立し2016年から参戦しているニース モータースポーツ。参戦10年目となる昨年8月に経営体制が変わり、新たなオーナーとして人材派遣会社・DQS ソリューションズ & スタッフィングのCEO・ジョッシュ モリスと、電気設備工事会社・J.F.エレクトリックのCEO・グレッグ ファウラーが筆頭オーナーとなりました。中堅どころのチームですがカップシリーズの選手も時々ここからスポット参戦し、2026年もチャステインが8戦に、また開幕戦デイトナとその後のアトランタではステンハウスジュニアが乗ることが既に発表されています。
 体制は公式サイトのドライバー一覧を見ると最新の2026年の情報と昨年の情報が混在しているガバガバ仕様ですが、42番は開幕戦だけエクストリーム界の雄・トラビス パストラーナが登場。他に昨年の最終戦でデビューしていきなり9位に入ったタイラー ライフ、昨年もニースから5戦に出場した19歳・コナー ジョーンズ、さらに昨年までレイトモデル一筋の19歳・パーカー イートマンがデビュー予定の若手編成です。
 44番は昨年途中に加入したアンドレスペレスがそのままフル参戦、4月でまだ21歳の若いメキシコ人ドライバーで、2019年はメキシコのF4選手権で14歳ながら4勝を挙げて年間3位を得た実績があり2024年のARCAシリーズで未勝利ながらチャンピオンを獲得しています。昨年は2チームでトップ10フィニッシュを計3回記録しました。ちなみに日本だと14歳はまだ限定Aライセンスすら発行されないのでF4乗れないですね。

 45番はカップ選手2人が乗る以外のレースはどうやらランドン ルイスが乗る様子。ルイスは2023年にハットリ レーシング エンタープライジーズから代理ドライバーで1戦だけ出場して以来のトラックシリーズですが、昨年はレイトモデル選手権の1つであるCARS ツアー レイトモデルストック部門でチャンピオンを獲得しています。こちらも19歳です。
 一方で昨年まで2年間在籍していたマット ミルズは現時点で発表が無く、アメリカの掲示板を覗いてみたら「彼のスポンサーのJ.F.エレクトリックがチームのオーナーになったんだから解雇されるわけがないだろう。」という見解も多いんですが、そうすると41番しか空いていない気もします。その41番は過去2年で3戦だけ出場している20歳・マット グールドも名前が挙がります。彼の父はニースで45番のクルーチーフをしているフィル グールドなんですが、実際にマットが乗った際にはクルーチーフはお父さんではありませんでした。


 McAnally-Hilgemann Racing/Chevrolet
18 Tyler Anklum
19 Daniel Hemric
81 Kris Wright
91△Christian Eckes

 仕事をしながら1992年~1998年のK&N プロ シリーズ ウエストに合計56戦も出場した努力の人・ビル マカナリーが設立したビル マカナリー レーシング。ARCA メナーズ シリーズ ウエストを中心に活動する一方で、トラックシリーズでは実業家のウィリアム ヒルジマンが出資しマカナリー-ヒルジマン レーシングとして2000年から参戦しています。ドライバーはタイラー アンクラム、ダニエル ヘムリックが残留し、昨年の終盤に加入して2戦だけ出場したクリス ライトが継続してフル参戦。さらに2年前にこのチームで4勝を挙げたクリスチャン エッケスが再加入しました。ヘムリックとエッケスにはNAPAがスポンサーとして多く付く予定で非常に目を惹きます。
 アンクラムは所属2年目となった昨年の第7戦ロッキングハムで優勝、まだ18歳だった2019年以来6年ぶりの2勝目で、シリーズ史上最長となる130戦未勝利の記録に終止符を打ちチャンピオンシップ4に残りました。一方2021年オライリーシリーズ王者・ヘムリックは2024年にカップを戦った後におそらくスポンサー資金不足で弟ディロンに仕事を取られてマカナリーに加入。トラックのフル参戦は2016年以来9年ぶりでしたが、34歳のベテランは第5戦マーティンズビルで早くも優勝して力を見せました。
 ライトはチームでは最も経験の浅い31歳、2019年にはBRDC イギリスF3選手権に出場するなど元々はスポーツカーやオープン ホイールの道を歩んでおり、ストックカーは2020年以降に活動し始めました。2024年のARCAシリーズで未勝利ながら選手権3位、トラックシリーズは通算49戦で最高位はタラデガでの11位です。
 そして注目はエッケス、2019年に19歳ながらARCAシリーズでチャンピオンを獲り、翌年にKBMからトラックシリーズフル参戦を果たすと未勝利ながらいきなりプレイオフに進出。2023年からMHRで2年連続4勝を挙げ、2024年はチャンピオンシップ4に進んでシリーズ3位でした。昨年はコウリッグからオライリーシリーズに初出場し15度のトップ10フィニッシュで年間13位と大健闘しましたが、コウリッグがラムとともにトラックシリーズに参戦、オライリーのチームが無くなったことで古巣復帰になったようです。


 CR7 Motorsports/Chevrolet
 9 Grant Enfinger


 ドライバーでもあるコディー ローバーなどがオーナーを務め、マカナリーヒルジマンと提携しているCR7 モータースポーツ。2018年の参戦開始以降優勝経験の無いチームでしたが、GMSレーシングの閉鎖に伴って宙に浮いていた大ベテラン・グラント エンフィンガーを獲得したことで上位争いの常連になりました。そんなエンフィンガーですが昨年は最高位が2位で4年ぶりに未勝利のシーズン、それでも14回のトップ10フィニッシュできっちりプレイオフには進んでいます。
 なおCR7という表記はサッカーの世界的名選手・クリスティアーノ ロナウドを指すかと思いますが、もちろん彼とは一切関係がありません。


 Front Row Motorsports/Ford
34 Layne Riggs
38 Chandler Smith

 トラックシリーズでは強豪に入るフロントロウ。ドライバーはフル参戦&所属3年目となるレイン リッグスと、このチームでは2年目・チャンドラー スミスの組み合わせで昨年と変わらず。リッグスはフル参戦1年目だった2024年シーズン終盤に2連勝すると、昨年もシーズン終盤の12戦で3勝を含め8回のトップ5フィニッシュ。父のスコット リッグスはトラックシリーズ通算5勝(全て2001年に記録!)なので通算勝利数で並びました。ちなみにスコットはオライリーでは4勝、カップでは勝利無し。こちらもいずれ塗り替えるでしょうか。
 一方C.スミスは才能はあるもののここ数年迷走。2022年にKBMで3勝してトラックシリーズのチャンピオンシップ4に勝ち残る活躍を見せ、翌年はコウリッグと複数年契約しオライリーシリーズにデビュー。第7戦リッチモンドで早速初優勝しますが、コウリッグのチーム力ではチャンピオン争いが厳しいと感じたのかJGRへの移籍を画策して関係がこじれた様子、結局はJGRが契約を買い取って移籍しました。
 これで念願のJGR移籍を果たし開幕からの8戦で2勝&全て8位以内の快進撃。もちろんプレイオフにも進みましたが、ラウンド オブ 8の最終戦マーティンズビルで脱落した上にレース後にコールカスターと口論になってパンチをお見舞い。年間の成績自体は素晴らしかったものの、JGRが下した決断は翌年の契約をしない、という驚きのもの。これをフロントロウが拾ってくれ、スミスは恩に報いるように第8戦ブリストルで優勝&8戦連続8位以内という快進撃(何度目だ)色々と自業自得感がありつつもリッグスと並ぶ年間16度のトップ10フィニッシュで才能は腐っていないことを見せました。まだ23歳なのでキャリアを積み上げ直す時間はありそうです。


 ThorSport Racing/Ford
13Cole Butcher
66 multiple drivers?
88 Ty Majeski
98 Jake Garcia
99 Ben Rhodes

 シールマスターというアスファルトやテニスコートなどの舗装に関する製品を提供する企業を成長させた実業家・デューク ソーソンがオーナーを務め1996年から参戦するソースポート レーシング。30年間常にトラックシリーズに参戦し続けており、これは現存チームで最長とされます。タイ マジェスキー、ジェイク ガルシアが残留しましたが、昨年まで20年以上在籍していた3度のシリーズ覇者・マット クラフトンが引退したため、新たにカナダ出身のコール ブッチャーが加入しました。ベン ローズはまだ正式発表が無いですがたぶん残留です。
 ブッチャーはカナダ・アメリカ双方のレイトモデル/ストックカー選手権で活動してきた選手で、オックスフォード 250という50年以上の歴史があるイベントで2022年・2023年に2連覇を達成。トラックシリーズは昨年にハルマンフリーズンから2回だけ出場経験があります。過去にARCAシリーズにも出ていないようなのでNASCAR傘下のカテゴリーはほぼド新人になります。
 2024年のトラックシリーズ王者であるマジェスキーはクラフトンの引退に伴って従来の98番からクラフトンが使っていた88番へと変更。昨年はフル参戦4年目で初めて優勝することができませんでしたが、それでも自己最多18回のトップ10フィニッシュでチャンピオンシップ4に進み、最終戦はハイムとオーバータイムで激戦。惜しくも2位でしたが最後までチャンピオンを争いました。勝てなかった理由の何割かはハイムが強すぎたせい、と言っても過言ではないでしょう。
 20歳・昨年がフル参戦3年目だったガルシアは10度のトップ10フィニッシュを記録しプレイオフに進みましたが、予選で1位を獲った第7戦ロッキングハムは惜しくも決勝2位で初優勝ならず。またオライリーにも第11戦タラデガでスポット参戦でデビューしたんですが、RSSレーシングの車もあまり速くなかったのか予選落ちしました(´・ω・`)
 そして2023年のトラックシリーズ王者・ローズは残留すれば2026年がなんとこのチームで11年目のシーズンとなります。成績に関してはチャンピオンを獲ってから下降気味で2年連続未勝利、昨年のトップ10フィニッシュ8回はフル参戦初年度の2016年以来となる1ケタ台でした。


〇Kaulig Racing/Ram
10 Daniel Dye
12〇Brenden Queen
14 "Race for the Seat" winner
16△Justin Haley
25 Tony Stewart
   multiple drivers


 2012年を最後にNASCARの活動を終了していたラムが14年ぶりにトラックシリーズに復帰。最初の提携相手としてコウリッグを選び、チームはオライリーシリーズの活動を畳んでトラックシリーズで新たに活動を開始します。最大で5台体制の見込みで、NASCARも新規参戦メーカーのチームが予選落ちしにくい制度を設けて彼らの活動を側面から支援しています。ドライバーはダニエル ダイ、ブレンダン クイーン、ジャスティン ヘイリーがフル参戦し、残る2台は独創的な取り組みを導入しました。
 10番に乗るダイは昨年コウリッグからオライリーシリーズに初めてフル参戦しましたが、チームとともにトラックへ移動。オライリーではトップ10フィニッシュを8回記録、その前の2年間はトラックシリーズに参戦しており最高位は2024年第13戦ナッシュビルでの2位でした。22歳と若いドライバーです。
 一方12番は28歳の新人・ブレンダン クイーン。地方のレイトモデル選手権でコツコツと実績を積み上げた結果2023年あたりから注目を集め始め、2024年はCARS ツアー・レイトモデルストック部門でチャンピオンを獲得(同年のスーパー レイトモデル部門のチャンピオンがハニーカット)。これを受けて昨年はARCAシリーズにフル参戦すると、20戦8勝の好成績でチャンピオンを獲得しコウリッグからお声がかかりました。
 ちなみに彼のファースト ネームは『ブレンダン』ですが、風貌が元プロボクサーで『バタービーン』の愛称を持っていたエリック エッシュに似ていたことからそのまんま『バタービーン』の愛称が付いています。現地実況でもどちらかというと『バタービーンクイーン』と呼ばれていることの方が多いです。

 そして16番はチームで最も実績が豊富と言えるジャスティン ヘイリー、チームを移籍しつつ2021年からほぼ5シーズンカップシリーズにフル参戦して通算180戦出場の実績がありますが、カップを離れてラムとともにトラックシリーズを戦うことになりました。トラックシリーズはGMSレーシングにいた2018年以来8年ぶりのフル参戦、この2018年は3勝して選手権3位を記録していました。
 ヘイリーは2019年からオライリーシリーズにコウリッグでフル参戦しており、同年のカップシリーズ第18戦デイトナにはまだチーム自体もほぼ無名だったスパイアーから出場。これが雨天短縮になってまさかのカップシリーズ通算3戦目で初優勝という奇跡を起こして名前だけがえらく売れました。とはいえ一発屋ではなくオライリーではデビューから比較的安定した成績を残し、2022年からカップへ昇格。しかし2023年途中に翌年からのリックウェアー加入という傍から見ると格落ちにしか見えない移籍を早々に発表、たぶんここから迷走が始まりました。
 2024年はリックウェアーの戦闘力を考えると比較的健闘していましたが、今度はシーズン残り7戦というところでラジョーイとの異例の"交換トレード"でシーズン中にも関わらずスパイアーに移籍。これで昨年は開幕からスパイアーに所属し、クルーチーフにはチャンピオン経験者・ロドニー チルダースが割り当てられて覚醒が期待されましたが、なんか色々折り合いが付かなかったらしくたった9戦でチルダースがクビになってコンビ解消。そしてヘイリー自身もどうやら期待外れと見做されたようであっさりと1年でチームを離れることになりました。紆余曲折を経て結果的にコウリッグにもトラックシリーズにも出戻りという形になりましたが、チームとラムからすると最も期待できるドライバーと言えそうです。

 25番は複数ドライバーによる参戦を予定していますが、わざわざ『フリー エージェント ドライバー プログラム』と銘打たれています。この企画、発表によると25番に乗ることになる複数の選手の結果を独自に評価し、最高成績だった選手にはラムから報酬が与えられるとのこと。とりあえず開幕戦デイトナにはなんと2016年限りでNASCARを引退した3度のカップシリーズ王者・トニー スチュワートが復活します。
 これだけでも話題作りを感じますが最大の話題性を持つのが残るもう1台・14番で、こちらは『レース フォー ザ シート』と銘打たれており、スリル スポーツ エンターテインメントという制作会社と協力したいわゆるリアル ドキュメンタリー番組を製作。FOXで放送されることになるこの番組を通じて15人の候補者ドライバーから1人が選定されて参戦資格を得る、という完全にメディア露出を意識した内容になっています。番組は1月25日に初回が放送され、翌日以降2月8日までラムの公式YouTubeチャンネルで新作が順次無料配信される予定です。

コメント

まっさ さんのコメント…
情報ありがとうございます!
毎年楽しみにしてるんです。
異様に根強いファンがいます。って書いてあるチームがありましたがなんの事でしょうか?笑
SCfromLA さんの投稿…
>まっささん

 ありがとうございます!なんか不思議なことにまだ30位近辺を走ってるような時代からの根強いファンがいるみたいなんですよね~(同じやりとりを何度もしている気がする 笑)