NASCAR Cup Series
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・ステージ1
ゼインスミスの車が転倒していました。ネメチェックと壁の間に挟まれる形となり、壁に弾き飛ばされるのではなくよじ登って転倒。90度傾いた状態でゲームみたいに見事に壁沿いを走った後にバンクを落ちてきて横転しました。もちろんドライバーは無事ですがさすがにこれはレッド フラッグ、9分ほど中断されました。ハムリンはあと2周するぐらいには腕を休められたでしょうか。
ラーソンは次戦で21位以内、ハムリンも15位以内なら自力で次ラウンド進出が確定とまあ安全圏。次戦は今季最後のロードコース・シャーロット ローバル。ラーソンはあと16点あれば良いので、極端な話をすればロードコース作戦をやらずにステージ ポイントを獲りにいくだけでも確定させることができます。
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Kansas Speedway 1.5miles×267Laps(80/85/102)=400.5miles
※Race extended to 273Laps due to NASCAR overtime
winner:Chase Elliott(Hendrick Motorsports/Kelley Blue Book Chevrolet Camaro ZL1)
NASCARカップシリーズプレイオフ・ラウンドオブ12の第2戦は1.5マイルのカンザス。1.54マイル/ドラフティング トラックのアトランタを数えなければ、なんと1.5マイルトラックは第13戦シャーロット以来の開催で、ここを終えるとあとは再来週のラスベガスを残すのみとなっています。1.5マイルはもはや希少種。スポンサーのハリウッド カジノはターン2の外側にあるカジノです。
カンザスは2001年の開場以来毎年カップシリーズが開催され、2010年までは年間1回開催で9月末ごろ、2011年以降は2回開催で概ね5月中旬と10月上旬あたりの開催。ということで2004年のプレイオフ制度開始以来必ずプレイオフでのレースを開催している4つの開催地の1つで、カンザス全体では今回が40回目の開催です。ターンのバンク角は17~20°のプログレッシブ、ストックカーらしい走りが見られるトラックであり昨年春のレースで発生したラーソンとクリス ブッシャーによる0.001秒差の決着はNASCAR史に残るものでした。
また、プレイオフのカンザスと言えば2015年、勝たないと勝ち抜けない崖っぷちだったマット ケンゼスに対して残り5周でロガーノが接触、ケンゼスがスピンしてチャンピオン争いからほぼ振り落とされ、これが後のマーティンズビルでの歴史的報復事件を招いたことでも有名です。カウンター+フル スロットルのケンゼスが巻き上げる白煙の量がすごい(笑)
今年の春のカンザスを制したのはラーソンでした。上記の通り昨年の春も制しておりGen7導入後のカンザス7戦で2勝、7戦中6戦が8位以内で2位も2度記録しておりカンザスでかなりの強さを見せています。プレイオフからは脱落してしまいましたがボウマンはGen7のカンザスで6戦全てトップ10フィニッシュ(1戦は欠場)、他に2023年春の勝者・ハムリンとベルがトップ10フィニッシュ6回を記録して平均順位で上位に並んでいます。
今季ここまでの1.5マイルで見てもラーソンは最多の212点を獲得しカンザスとホームステッドで優勝。2番目に獲得ポイントが多いのはバイロンで189点、1.5マイルは過去15戦中11戦でトップ10フィニッシュと安定。3番目がチェイスで155点、カンザスでは通算12回のトップ10フィニッシュがあり、マーティンズビルに次いで自己2番目の数字。チェイスの通算成績を見ると平均順位の良いトラックは上位5か所がロード コースとなっており、オーバルに限ると最も成績が良いのは2回しか経験していないアイオワ。続いてドーバー、そしてカンザスとなっており比較的好相性です。
他のプレイオフ選手ではウォーレス、レディック、チャステインの3人がGen7のカンザスで優勝を経験。23XIレーシングは2022年春のカート ブッシュを含めてカンザスで3人の選手がそれぞれ1勝を記録して、Gen7に限ればカンザス最多勝利チームとなっています。ただ問題はウォーレスもレディックも優勝して以降のレースであまり結果に繋がっておらず、過去3戦に限れば最高位が2人とも17位にとどまっていることでしょうか。シンドリックは基本的に1.5マイルは分が悪くて劣勢です。
基本的にこういうトラックはドライバーの腕前よりも、まず最大限のダウンフォースが出せるような車を仕上げることができる大規模チームが有利になりやすく、統計的に見ると弱小スチュワートハースで過ごしてきたブリスコーは平均順位が低くなっています。ただJGR移籍後初カンザスとなった春は4位に入っており、シャーロットでも3位。プレイオフの4戦は全てトップ10フィニッシュと好調が続いており、ここは統計では測れない存在かもしれません。
なお、今回グッドイヤーは右側だけ今季初登場のD-5290というタイヤを投入しており、これはラスベガスでも使用されます。左側はシャーロットやダーリントンで使用実績があるものです。また、カンザスは過去39戦で『カップシリーズ初優勝』の選手を輩出したことが一度もなく、39戦初優勝者無しというのは現在開催されているトラックの中で最長の記録だそうです。まあサプライズは無く順当に有力どころの選手、ラーソンあたりが勝って次ラウンドに進むんじゃないかと勝手に予想します。
・レース前の話題
今回はクルー チーフの話題を2つ。まず、現在カイル ブッシュのクルーチーフを務めているランドール バーネットが、なんと来シーズンはトラックハウス レーシングに移籍してコナー ジリッチの担当となることが発表されました。現役クルーチーフの移籍がシーズン中に大々的に発表されるのはなかなか珍しい気がします。バーネットは2016年にA.J.アルメンディンガーのクルーチーフとしてデビューし、その後RCRに移籍して2020年にレディック担当。レディックとカイルのクルーチーフとして通算6勝を挙げています。
そしてもう1人、今年スパイアー モータースポーツに加入しながらたった9戦でチームを離れたロドニー チルダースが、来シーズンからオライリー オート パーツ シリーズ・JR モータースポーツに加入してカー ナンバー1のクルーチーフに就任することが発表されました。1番にはジリッチとカーソン クワポーが乗る予定で、両若手ドライバーは2014年のカップ王者クルーチーフとともに仕事をすることになります。ジリッチはカップでバーネット、オライリーではロドニーと組むわけですからけっこうアクが強そうですね(笑)
チルダースは26歳ぐらいまではドライバーとして活動した後にメカニックに転向してクルーチーフとなり、2005年以降に複数の選手/チームでクルーチーフとして活動していましたが、2014年にスチュワートハースでケビン ハービックと出会って互いに覚醒。同年のカップシリーズチャンピオンを含めハービックとの10年間で37勝を挙げました。スチュワートハース消滅に伴って動向が注目され、スパイアーに移籍してジャスティン ヘイリーと組んだもののチームと折り合いが付かずあっさりと退職、現在は自由の身となっていました。
・ARCA Menards Series Reese’s 150
ARCA メナーズ シリーズは全20戦のうちこれが第19戦。2位スタートのジオ ルジェーロがレースを優勢に進めていましたが、残り12周のリスタートでブレンダン クイーンが後ろから押してもらって逆転。その後、ホワイト フラッグ目前でのコーションによりオーバータイム、そこでもまたスピンがあってダブル オーバータイムになりましたが、ルジェーロはいずれのリスタートも上手くいかず再逆転ならず。"バタービーン"クイーンが今季8勝目を挙げ、次戦に出場さえすれば初のチャンピオンを獲得します。
・Xfinity Series Kansas Lottery 300
エクスフィニティー シリーズのラウンドオブ12・第2戦。5位スタートのジャスティン オールガイアーがステージ1・2を圧倒したものの、ステージ間コーションのピット作業で手間取って6位に後退。これで展開が苦しくなり、162周目に発生したコーションでステイアウトしましたが、リスタートですぐに抜かれてしまいました。
このリスタートでオールガイアーを抜いたポールシッターのブレンダン ジョーンズ、残るレースでジリッチを引き離して快勝し、今季2勝目・通算7勝目を挙げ次ラウンド進出を決めました。ブレンダンはカンザスで通算3勝目、平均順位が8.2とここでは異様な好成績を誇っています。
・カップシリーズ
予選
カップの予選はブリスコーが今季7度目のブッシュライトポールを獲得。2位からハムリン、ラーソン、チェイス、ベル、ホースバー、ウォーレス、ギブス、チャステイン、エリック ジョーンズのトップ10。プレイオフ選手では11位バイロン、12位レディック、26位シンドリック。先週の勝者・ブレイニーはクラッシュしてバックアップ車両で最後尾スタートです。
彼は勝っているのでそこまで問題ではないですが、ロガーノはなんとコディーウェアーよりも遅くて予選35位と不安。練習走行からあまり感触が良くなかった上にパンクが発生してじゅうぶんな調整が行えなかったようです。決勝に向けてはマクダウルとギスバーゲンが未承認の調整によって最後尾スタート&スタート後にパススルーのペナルティーを受けるため繰り上がりはしますが、車自体が遅いままだとマズいことになります。
スタートから常にハムリンがブリスコーを追い回す展開。自由なラインを使えるブリスコーがなんとかしのいでいましたが、20周目にとうとうハムリンが前に出ました。この後ラーソンもブリスコーをかわし、ハムリン、ラーソン、ブリスコーのトップ3で35周目あたりからピットサイクルへ。
2秒ほどの差があったので相手を見てから1周後に動く対応を見せたハムリン陣営でしたが、ラーソンにアンダーカットされてしまってやや誤算。それでも43周目に自力でラーソンを抜いて実質的な1位に戻ります。なおハムリン陣営は2戦前のブリストルでの脱輪事故により、ジャックマンとフロント チェンジャーが今回から2戦の出場停止で今回は代役が入っています。先週のニューハンプシャーでは処分を繰り延べて先送りしていました。
2人の争いはその後も続いていましたが55周目にコディーウェアーのクラッシュでコーション発生。リードラップ選手がピットに入りますが、ハムリンは順位を下げることを嫌って2輪交換を選びました。一方レディック陣営は作業失敗、順位が下がったので再ピットして予選で使用した中古タイヤに再交換しました。現在の規則は予選で使用したタイヤでスタートする制度では無いので、『捨てスティント』になると考えたらあえて中古を使ってしまい新品を多く残す戦略があります。1周だけ転がしたやつはバックアップか、もう1回捨てスティントが来た時用でしょうね。
63周目/ステージ残り18周でリスタート、ハムリンはいや~なラインでラーソンに乱気流を浴びせて抑え込み序盤を切り抜けると、あとはクリーン エアー最強という感じで逃げ切りました。ハムリンがステージ1を制し、ラーソン、チェイス、ベル、チャステイン、ブリスコーのトップ6。2輪交換で集団を抜け出したロガーノが7位に入って作戦大成功、クリス ブッシャー、ゼイン スミス、ホースバーが続きました。
ちなみに解説のスティーブ レターテは2輪交換を判断ミスの失敗作戦だと想像していたようで、逃げ切って作戦に成功したことに驚いている様子でした。
・ステージ2
ステージ間コーションでリードラップ選手がピットへ、ベルが作戦コード『ニューヨークヤンキース』で2輪交換して先頭になりますが、ピット ボックスを出る際にレディックと交錯。接触はなくベルに実質的な影響はありませんでしたが、レディックは自分のピットボックスに入り損ねてまた後方への転落を余儀なくされました。また、ハムリンも右後輪の交換で手間取って3列目からのリスタートとなります、リア チェンジャーは代役ではないですが、やっぱ連携とか代役チームはちょっと不安?
88周目にリスタートしますが、2周後のターン4でライアン プリースがうっかりネメチェックを引っかけてしまい両者スピンでコーション。ここは誰もピットに入りませんが、ハムリンはコーション中に「スロットルが引っかかった」と無線で伝えておりちょっと不安になります。シカゴ市街地のレースではマクダウルに同じ問題があって勝負権を失いましたよね、あれもリーダーだった。
95周目にリスタート、2連続でリスタートを成功させたベルがクリーンエアーを堪能します。2位は当初ラーソンでしたがブレーキの感触がよろしくないようで徐々に下がっていき、代わって2位となったチェイスもやがてハムリンに抜かれてJGRワンツー体制。ステージ1ではハンドリングが最悪だったはずのウォーレスも見事に解消したらしく4位に来ており、カムリがこの時間帯を席巻。
そのまま120周目あたりからピットサイクル、ベルはハムリンに急速に迫られてテール トゥー ノーズの状態で2人同時に122周目にピットに入りました。ところが今回はベルに他者と交錯しそうになる不運が襲い掛かり、作業時間が3秒ほど長くなってあっさりとハムリンに逆転されてしまいます。
そのハムリンもピットを出ると、先にピットに入っていたウォーレスにアンダーカットされていました。ここからはドライバーvs共同オーナーの争いとなり、オーナーは苦労の末128周目に部下をかわして実質のリーダーとなりました。自分が持ってる車と争ったり、自分のオーナーの孫と争ったり、44歳の大ベテランは色々大変です()
苦労するオーナー様は周回遅れに引っかかりつつも安全圏の差を保ち続けてそのままステージ2を制しました。ピットでの3秒損失を取り返して2位にベル、3位からラーソン、チェイスエリオット、ブリスコー、ウォーレス、ロガーノ、チャステイン、ブレイニー、ボウマンと続きました。バイロンは全然車が曲がらなくて原因不明、ステージ23位で全然上がってきません・・・
・ファイナル ステージ
代役クルーがようやく機能してハムリンがピット作業後もリードを維持。バイロンはダメダメな車をどうにかするために大きくセッティングをいじった模様です。173周目にリスタートすると、ここはチェイスが良い動きを見せてハムリンをかわし本日初ラップ リード。しかしハムリンは非常にしつこいので逃がしてはくれず、196周目に抜き返しました。よくこんだけダーティー エアーの中を走った上で抜き返せるもんだ。
チェイスはステージ1からずっとロング ランでややタイヤの劣化が激しいことが課題とみられ、ここもやはり勢いが鈍って208周目には4位に後退。トップ3がハムリン、ベル、ウォーレスとなります。すると211周目にJ.J.イェリーが通りすがりのホースバーに軽く押されてスピンしコーションが発生。残り50周ほどになるので文句なしに全員ピットに入ります。
ハムリンはピット作業の方は抜群でしたが、今度は「ステアリングがおかしい、何か壊れた。」という話をしていて見ている側を不安にさせます。217周目/残り51周でリスタートしますが、ハムリンの加速に後続のタイミングが上手く合わず8列目あたりで車間が詰まりすぎて渋滞発生、連鎖的な接触で多重事故になりました。元々厳しい戦いだったシンドリックが巻き込まれて車を壊し、ロガーノもスピンしました。
この間、ハムリンはパワー ステアリングが機械的に壊れたようだと明らかになりますが、それでも223周目のリスタートからリードを守りました、マジかよ( ゚Д゚)残り30周で2位のベルに1秒差を付けるハムリンですが無線では「あとどのぐらいステアリングを持ってられるか分からない。」と腕の限界との戦い。直線では腕を下ろして少しでも楽にするよう助言も受けていますが、これはコーションが出て休むのが良いのか、もう今の流れでそのまま走った方が楽なのか、どっちなんでしょう。ちなみにブリストルならパワステ無いと絶対まともに走れないです。
ハムリンは残り15周でなお0.7秒差を保っていましたが、ここでかつての盟友・カイル ブッシュが壁への接触によりタイヤをパンクさせ、タイヤの一部が剥がれてトラック上に転がってコーション発生、一旦休憩となりました。リードラップ選手がピットに入ると、ここまでの経験から2輪交換で出る人が多数。ハムリン陣営ももちろん2輪だけですが、代理ジャックマンが作業にやや失敗、ピットを出たのは7番目でした。ブレイニーに速度違反があったので実際のリスタート順位はチューズ6番手/3列目となります。
残り9周、ベル/ウォーレスの1列目でリスタート、4列目以降にチェイスを筆頭とした4輪交換ドライバーが並びます。両者は一歩も譲らない争いを見せましたが、翌周のターン2でホースバーが少し壁に接触し、失速したところを後ろから押されてしまってスピンし本日8回目のコーション。車両の撤去に時間を要したのでNASCAR オーバータイムとなります。なおホースバーは2輪がパンクしていたので運営が牽引作業に入りましたが、彼は作業中に自力復帰しようとスロットルを踏んで車輪を回しました。これは規定に反した危険行為と判断されて5万ドルの罰金を受けています。ホースバーの悪童っぷりが着々と積み重ねられていますね^^;
コーション発生時にウォーレスが前にいたのでウォーレス/ベルの1列目でオーバータイムのリスタート。ブリスコーを含めた3人が同士討ちを心配になるぐらい激しい争いになりましたが、ホワイト フラッグを目前にコーション発生。
ゼインスミスの車が転倒していました。ネメチェックと壁の間に挟まれる形となり、壁に弾き飛ばされるのではなくよじ登って転倒。90度傾いた状態でゲームみたいに見事に壁沿いを走った後にバンクを落ちてきて横転しました。もちろんドライバーは無事ですがさすがにこれはレッド フラッグ、9分ほど中断されました。ハムリンはあと2周するぐらいには腕を休められたでしょうか。
安全確認が終了してレース再開、内側はウォーレス-レディック、外側はベル-ブリスコーといずれもチームメイトが縦に並んでおり、これはオーバータイム1回目と同じです。先ほどはレディックがウォーレスを全然押せておらず、ウォーレスは無線で非常に怒っていました。レディックも非常に反省しており今回はちゃんと押すことができましたが、ベルもちゃんとブリスコーに押してもらったので情勢は五分五分。するとウォーレスはターン3でちょっと突っ込みすぎたようでせり上がっていき、僅かに接触があってベルはやむなくスロットルを戻して事故回避、争いから脱落。
ウォーレスもスロットルを戻し、後ろで見ていたブリスコーもごっつぁんできずベルに詰まりました。上位3人が全員失速する中、腕がパンパンであろうハムリンが現れて2位となります。
ウォーレスはちょっと焦りすぎているのかターン1・2でもまたタイトになって出口の加速が悪く、ハムリンがバックストレッチで真後ろに付いてターン3で内側に飛び込みました。が、ハムリンもこれまた突っ込みすぎたか腕が耐えられないのか、明らかに曲がれておらずウォーレスは外に追いやられて壁に接触、ハムリンもスロットルを戻します。
そこに内側からチェイスがするっと現れました。慌ててハムリンは内側を抑えに行ったもののチェイスは一切怯まず、ドアをぶつけながらも内側を突破。クラッシュと紙一重という感じでしたがそのまま最初にチェカー フラッグを受ける大逆転劇。なんという劇的な終わり方なのか、チェイスが第18戦アトランタ以来の今季2勝目・通算21勝目を挙げました。カンザスでは2018年以来2度目の勝利、ケリー ブルー ブックを主要スポンサーとしたレースで優勝するのはおそらく初だと思われます。2020年第8戦シャーロット以来2度目でした、ごめんなさい!
マーティー「最後の半周は信じられない動きでした。カンザスのファンのみなさん、お待たせしました、チェイスエリオットが優勝してラウンドオブ8進出です。いやあ、いかがでしょう?」
チェイス「いやあもう。全てが完璧にうまくいきましたね。ターン1、2で強力に押してもらって、それは6番(リスタート時にケゼロウスキーがかなり押した)から始まったんですけど。ターン2で一気に抜くことができて、海が割れたみたいになった(※)ので勢いを維持できたんで。本当にそれだけでしたね。もちろん他の選手に比べればまだかなり良いタイヤだったんですけど、それでもすごい結末でした。みなさん楽しんでもらえたでしょうか、僕も本当に楽しかったです。
チームを本当に誇りに思いますし、勝とうが負けようが本当に堅実な週末でした、予選もすごく良かったですしね。でもこの勝利をしっかりとかみしめたいですね。本当に最高ですよ。こんな勝利はなかなか手に入らないし、当たり前と思っちゃいけないって痛いほど学んできましたから。だからいつも楽しんで、いつも感謝してます。KBB(ケリーブルーブック)の皆さん、本当にありがとうございます。本当に素晴らしいパートナーです。一緒に仕事をして10年目になります。本当に嬉しいです。シボレー、皆さん、そしてヘンドリック モータースポーツ。ボス、ありがとうございます。感謝します。勝利を持ち変えることができてうれしいです。」
※チェイスは『The seas kind of parted』=海が割れるように、と表現。これは日本でもよくたとえ話で使われる、キリスト教の神話でモーセが海を割った話に由来する慣用表現と思われます。「見事に自分の前の道が開けた」という意味合いになるかと思います。
マーティー「『海が割れた』と仰いましたが、11番相手にはちょっとこじ開けなければいけませんでした。あそこが唯一のチャンスだと考えたんでしょうか?」
チェイス「スロットルを戻すつもりはなかったんで、どうなるか分かりませんでしたけど。もうあの段階ではなるようにしかならないと思ってましたね。コーナー出口では2人とも全開でした。なるようにしかならないんで、あの時点では僕らはもう完全に覚悟を決めてましたね。それで、そうですね、10番手からリスタートして、グリーン ホワイト チェッカーでなんとか勝てたんで、本当に最高です。」
2位はパワステの不具合とちょっと気負いすぎで勝てずにかなりがっかりしているハムリン、お父さんの体調が悪いと先日言ってましたので色々思うところがあったんだと思います。3位ベル、4位ブリスコー、ウォーレスは5位に。レース後は
「スタート時点の状況からすれば勝てるチャンスさえ掴めなかったですよ、僕らは良くなかったです。一発の速さが無かったですね。チームには心から感謝してます。2年前なら(ハムリンとの争いについて)『あんな動きをするなんてバカか、上司がどうとか関係ないよね。』とか馬鹿げたことを言ってたと思います。でも、僕らは勝利を目指してますから。シボレーに勝利を与えてしまったのは残念でした。トヨタは超速で、それを運転していることを誇りに思っていましたから勝てるものだと思ってましたけど、そうならなかったです。でもまあ、全体的には前向きな面もありましたね。僕らはマイナス27点でレースに臨んだわけですけど、今マイナス26でレースを終えたんで、1点追い上げましたよ。」
最後はなんというかほぼ自虐って感じですね。6位からラーソン、レディック、ケゼロウスキー、バイロン、そしてギスバーゲンのトップ10。SVGは通算10回目のトップ10フィニッシュですがオーバルでは初、つまりオーバル自己最高位です。11位にチャステイン、ロガーノは貰い事故で何か壊れたようで21位、ブレイニーは速度違反の自滅で24位、シンドリックは4周遅れの30位でした。結果としてペンスキーほぼ壊滅。まあブレイニーはあんま関係ないけど。
チェイスの逆転は全く想像していなかったので画面の前で「マジで!?」としか言えませんでしたが、さぞかし盛り上がってるだろうとアベマの中継を見てみたら解説が天野さんで意外と冷静なトーンのまま終わってたので温度差がありました(笑)
ウォーレスの話にもあるように、トヨタというメーカーの括りで考えると4人もいたら誰かは勝つだろうと思っていたでしょうから、誰も勝てなかったというのはかなりがっかり。結果としてJGRは3人いて全部チェイスに持っていかれましたから、先週ハムリンが言っていた「全員が家族のために戦っている」が優勝争いでは裏目に出た形。もちろんチームメイトといっても全員が個人稼業でチームのことなんて知ったこっちゃない、というのが最終局面の心境なのは当たり前ですが、冷静に結果を見たらたぶん全員が「もうちょっとどうにかできたよなあ・・・」という思いだろうと推察します。
なんと言うか、4人で野球を見に行って、応援してたら佐藤 輝明のホームランボールが飛んできたからみんなで一斉にグローブを出したらお互いに邪魔になっちゃって、ボールを弾いて3列後ろにいた全然知らんおっさんに獲られた、みたいな感じ?(謎)
ウォーレスは内側から早く相手をクリアーにしようと踏むのが早すぎた印象ですし、ブリスコーも最終周のターン3で一か八かの踏み出しでちょっとやりすぎ、そしてハムリンもダメかと思った優勝がこっちに戻って来てくれて最後の最後で欲をかきすぎたような飛び込みになってしまい、後悔度合いで言えばたぶん彼が一番大きかったと思います。彼は選択1つで勝つか、最低でもウォーレスが勝って彼がチェイスを行かせない立場にはいたので、タラレバで3日間ぐらいうなされそうです。でも見る側とすればこれこそNASCARですね。
そしてこのレースを終えてのプレイオフ順位はこうなりました。
ラーソンは次戦で21位以内、ハムリンも15位以内なら自力で次ラウンド進出が確定とまあ安全圏。次戦は今季最後のロードコース・シャーロット ローバル。ラーソンはあと16点あれば良いので、極端な話をすればロードコース作戦をやらずにステージ ポイントを獲りにいくだけでも確定させることができます。
ポイントで逆転可能なのは現実的には7位ブリスコー~9位チャステインの争いぐらいで、基本は9位以下の人が優勝してひっくり返せるかどうかだけが注目点でしょう。下の人が勝って当選ラインが1つ下がっても6位のバイロンと7位ブリスコーは点差が大きいので、そんなに慌てる感じでもなく当落線近辺の人が慌てるだけの図式になりそうです。レディックもシンドリックもロードコースが遅いわけではないですし、ローバルはもう最後はぐっちゃぐちゃになることもあるので、運営が期待するような展開はそれなりに起こり得るかなとは思います。問題はロードコースでギスバーゲンが強すぎて他の人の勝率がガクっと下がっていることだけです(笑)
ロガーノは昨年、レース終了時点では脱落していましたがレース後車検でボウマンが失格になったため『車検場で大逆転』して次ラウンド進出、そしてチャンピオンにたどり着きました。ギリギリまで色んなものを攻め込んで来るので違反も増える可能性はあり、レース結果が正式に確定するまで勝負は分からないわけですね。
コメント
お久しぶりです、今年度の学Fもおわって安堵したのも束の間、カンザスの日は走行会遠征帰りで爆睡しててリアタイできなかったCherryです()
珍しく結果を見ずにハイライトを見て朝から泊まってた子の家で絶叫してましたwww
今年のチェイスは勝てる車を戦略で台無しにされるっていうあるあるがあったのでそれをこのタイミングで突破したのはかなりデカいですね…w
ちなみにリアタイできなかった分Abemaで全部見たんですが天野さん相変わらずリアクションがへぼすぎて……やっぱAbemaは野村さん桃田さんの日本NASCAR実況体制史上最強のコンビだけで回すべきです(過激派)
おめでとうございます!&学生フォーミュラお疲れ様です!映像越しに現地のお客さんの絶叫も聞こえたきたのでみんな待ってたんだなあというのがよく分かります。たぶん桃田さんなら文字起こしできない「ああーあーチェイスが、あーぶつかってあー!」みたいなことになったんじゃないかと(笑)
チェイスが推し3番手の保険扱いという微妙な位置(笑)次戦はAJに頑張ってもらいましょう。
ホースバーは好き勝手走ったら才能で上位になってしまう段階から、ちょっとそれだけではこれ以上の結果が出てくれないレースの難しさ、怖さを把握して停滞する段階に進んでる印象ですね。でもオフィシャルの邪魔はしたらあかん^^;
劇的勝利しかしない男Chase!!w
このまま4勝くらい積み上げてチャンピオンになれえええええええ!!!
ここから4勝ですか!!!最高ですね!!!ハムリンがウォーレスを飛ばして歓声がブーイングまじりになり始めた後のあの歓喜は映像越しでもさすがの人気だなと思いましたよ。
他競技の選手でNASCAR挑戦したのはどちらもエクスフィニティーに参戦した二輪の元世界チャンピオンのケビン・シュワンツ、モトクロスのトラビス・パストラーナぐらいしか知らなかったので、野球選手もNASCARに出るんだと初めて知った時は驚きました。
来年の1号車のシートがジリッシュとクバピルのシェアになるという事は、ジリッシュはカップへの昇格が決まってるから良いとして、JRモータースポーツもクバピルのフル参戦に関しては1年で見切りをつけるほど厳しい世界なんだなと感じました。
スミスの壁走りは珍しい形ですね。
チャステインがマーティンズビルの時参考にしたと言われるNASCARのゲームでも再現するのは難しいでしょう。
チェイスはフーターズ、病気の子供がデザインしたスキーム、ケリーブルーブックと最近は珍しいスキームの時に勝っているのが印象に残ります。
ケリーブルーブックはジュニアの88号車のスキームにたまになっていたイメージですが、こちらもHMSにとっては結構長い期間のパートナーになっていますね。
最後に僭越ですが、チェイスは2020年のソノマの代替として行われた春のシャーロット戦でケリーブルーブックのスキームで優勝しています。
私もチェイスといえばNAPAのイメージが強すぎるので、最近までは他のスキームで勝っているのが余り思い浮かばないのもあります。
ありがとうございます、単純な見落としでしたm(_ _)m
JRMがクルーチーフのついでになぜかドライバーの起用法まで一緒になって出てしまってて謎と言えば謎なんですが、有力チームで勝てる選手がシートをシェアするとプレイオフがオーナーと選手でバラバラになってしまうので、記録を見る時けっこう面倒だからできればフル参戦してほしいです(笑)
他の職業からのレーサー転向というと俳優の人がジェントルマンとして継続的に活動するのは時々ありますけど野球選手はたぶん少ないですね。真偽不明ですがグリーンウェルはレッドソックス時代からレースの面白さをチームメイトに布教活動してたほど熱心らしかったです。ジェントルマンの延長線上だけど、身体能力と知名度でそのレベルまで届いた、という感じでしょうかね。
有名なところではレンジャーズ/エンジェルスで活躍したC.J.ウィルソンが現役時代から自分でチームを興し、自身もMX-5カップに出場していたというのがありますし、日本だと元ホームラン王の山崎 武司が86/BRZカップに継続参戦してますが、スポットとはいえメジャーカテゴリーで出場する例となるとかなり稀だと思います。