NASCAR プレイオフ 第4戦 ニューハンプシャー(事前情報)

NASCAR Cup Series
Mobil 1 301
New Hampshire Motor Speedway 1.058miles×301Laps(70/115/116)=318.458miles

 NASCAR カップ シリーズ、プレイオフは第2ラウンドとなるラウンド オブ 12になりました。ラウンドオブ16はほとんど泡沫候補のふるい落としみたいな状況なので、ここからがチャンピオンを狙える人たち同士がとてつもない重圧に晒されていく本当の厳しい戦いの幕開けと言えます。その初戦は"ザ マジック マイル"というあだ名を持つニューハンプシャー モーター スピードウェイ。ニューハンプシャーは1997年から2017年まで年間2回開催だったので、その2回目がプレイオフのレースとして開催されていました。以降は年間1回で夏場のレースだったのでプレイオフで開催されるのは2017年以来8年ぶりです。
 1周1.058マイル、バンク角が2度~7度のむっちゃ浅いプログレッシブです。プログレッシブと言っても壁沿いの大外を走ると速いという話ではなく、概ね内側から2~3レーン目あたりが言わばレコード ラインのような認識で、内側を走ってもバンク角が無さすぎて遅いし、あまり外に行っても路面が悪くてやっぱり遅くなります。でもどうせ大したバンク角では無いので、リスタート直後は完全に平坦なエイプロンまで降りて抜こうとする人もいるので時々フェニックスのような状態も起こります。昨年は雨が降ったらウエット ウエザー タイヤでみんな好き放題のラインを走る場面もありました。
 あんまり特徴が無いように見えて、よくよく考えると意外と他所とは違った難しさがあることが『マジックマイル』の名前の由来とされていますが、半分ぐらいは初めてニューハンプシャーでレースを開催する際に目立つ宣伝文句が欲しくて名付けた、的なところがあると思われます。

・ちょっとしたデータ

 ニューハンプシャーではGen7導入以降にジョー ギブス レーシング、とりわけクリストファー ベルが好相性。昨年と2022年に優勝しており、またエクスフィニティー シリーズでも彼は通算4勝と圧倒的な勝率を誇っています。2023年はマーティン トゥルーエックス ジュニアが優勝していてJGRが現在3連勝中、逆にシボレーの選手はなぜかここ10年以上ニューハンプシャーでの結果が振るわず、2016年のケビン ハービックを最後に勝者無し。ハービック以前はまた4年遡って2012年のケイシー ケインまで遡ることになります。それ以前は非常に強かったので、Gen6車両導入以降は2世代の車両に渡ってなぜかほぼ勝てていないことになります。あ、優勝すると特産品のロブスターが進呈されますが、苦手だからわざと勝ってないのかも(笑)

 ベル以外ではカイル ラーソンが昨年4位、一昨年3位。また現在好調のチェイス ブリスコーは昨年スチュワート-ハース レーシングに所属していながら2位を記録し、一昨年もSHRのそんなに速くない車で10位でした。ちなみに昨年、まだ未公表情報だったブリスコーのJGR加入についてベル君がうっかり口を滑らせてしまったのがニューハンプシャーのレース前でした(笑)
 逆にニューハンプシャーを苦手としているのはウイリアム バイロン、現在開催されているトラックの中ではここが唯一トップ10フィニッシュを経験したことがない場所で、最高順位は11位が2度。平均順位がここより悪いのはオーバルだとアトランタとデイトナしかなく、彼にとっては確かにマジックマイルな様子です。今回は攻略となるでしょうか。

 また、今回はプレイオフ全体で見た4戦目になりますが『プレイオフの4戦目』という括りだと昨年まで10年連続で異なるドライバーが優勝しています。現行の脱落式プレイオフが導入されたのは2014年ですが、2014年・2015年とジョーイ ロガーノが連続で勝利して以降は2連勝どころか同じ人が2回優勝してすらいません。この10人にはベルもブリスコーも入っていませんから問題なく優勝できます(謎)なお昨年はカンザスでの開催で、プレイオフに進出できなかったロス チャステインが優勝しました。

 そして先週はレースの主役になってしまったタイヤですが、今回グッドイヤーが持ち込んだのはリッチモンドで使用したものと同じタイヤです。かなり柔らかくて消耗が激しいタイプのタイヤなので、リッチモンドほど鬼の消耗にはならないでしょうがそれなりにうまくマネージメントする必要はありそうです。

・レース前の話題

 チャーターの売買交渉を巡って裁判沙汰になっていたリック ウェアー レーシングとレガシー モーター クラブ。裁判の最中に別の投資家が話に割り込んできてさらにややこしくなっていましたが、9月19日に両チームから売買契約と和解の成立が発表されました。リックウェアーからレガシーMCへチャーターが1つ売却されることで合意しましたが、和解の内容は非公開となっています。揉め事ばっかり増えるから1つ片付いてよかったです(笑)

・Whelen Modified Tour Mohegun Sun 100

 今回はウィーレン モディファイド ツアーが併催、このシリーズはショート トラックで戦うシリーズなので1周が1マイルを超えるトラックはこのニューハンプシャーだけです。そのためモディファイドやレイト モデルのような車両にとってはこのトラックは最も大きなトラックでデイトナのような存在だ、という表現も検索すると出てきました。なお今回の大会スポンサーは、えーっと、統合型リゾート施設です(笑)
 100周のレースは7回のコーションが出てオーバータイムに突入。レースの終盤から主導権を握っていたジャスティン ボンシニョーアに対し、最終周にタイラー リプケマーが猛追。ボンシニョーアはターン3に向けて内側をガッチガチに固めますが、後ろからリプケマーがゴツンと一発お見舞いして逆転。そしてターン4を立ち上がりますが、

 ちょっとリプケマーのブロックが過剰でボンシニョーアと接触。壁にぶつかったリプケマーの車は右前のサスペンションがぶっ壊れましたが、そのままボンシニョーアに押されながら1位でチェッカーを受けました。リプケマーは8年目・通算83戦目でモディファイドツアー初勝利。ビクトリー レーンには壊れた車が外れたタイヤを添えた状態で置かれたようです。

・Craftsman Truck Series EJP 175

 ニューハンプシャーに8年ぶりにクラフツマン トラック シリーズ降臨、プレイオフ ラウンド オブ 10の最終戦です。ステージ1だけで5回もコーションが出る荒れた出だしでしたが、今週ももちろんコリー ハイムが速くてステージ1・2を連取。そのまま最終ステージも主導権を離さず、最後はチャンドラー スミスが追い上げたものの届きませんでした。ハイムが今季9勝目を挙げてグレッグ ビッフルが持つ年間最多勝利記録に並びました。

 このレースの結果、チャンドラースミスとジェイク ガルシアがプレイオフから脱落しました。残る8人はシャーロット ローバル、タラデガ、マーティンズビルの3戦で争って最終戦でチャンピオンを争う4人に絞り込まれます。

・カップシリーズ
 予選

 ブッシュ ライト ポール賞はロガーノが獲得、第18戦アトランタ以来今季2度目・通算33度目。2位は0.17秒差でライアン ブレイニー、3位にジョッシュ ベリーとペンスキー/ウッド ブラザーズ レーシングがトップ3独占。4位からタイラー レディック、バイロン、カーソン ホースバー、アレックス ボウマン、チャステイン、ハムリン、シェイン バン ギスバーゲンと続きました。前ラウンドで落とされたボウマンとSVGがいるってちょっと皮肉な結果ですね。
 プレイオフ選手ではバッバ ウォーレスが14位、16位にラーソン、18位ブリスコー、19位ベル、22位オースティン シンドリック、そして27位にチェイス エリオットです。なおロガーノはポールを獲った直近6戦中4戦で21位以下、というちょびっとだけ不吉なデータもあります。ポール トゥー ウインは過去に7回経験しており、直近は2023年のアトランタです。

・・・続きは決勝視聴後に・・・

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