NASCAR Cup Series
試合前のセレモニーでは謎のピット作業パフォーマンスがあったりして、NASCARとの相互の宣伝意欲が伺えますね。そこから約1ヶ月、野球場のための設備を本来のレース場に戻して準備万端、このレースを終えてプレイオフ進出選手16人のうち成績下位の4人が脱落します。脱落者が決まるレースなのでエリミネイション レースと呼ばれ、ブリストルは6年連続6回目のラウンドオブ16・エリミネイションレース開催地です。
・ARCA Menards Series Bush’s Beans 200
なお、2位に入ったシェルドン クリードはこれがエクスフィニティー通算15回目の2位、彼はエクスフィニティーでの優勝が無く『1勝もしていない選手による2位の獲得回数』で自身が持つ最多記録をさらに更新してしまいました。今回もあと一歩でした。これがいわゆるシルバー メダル コレクターでしょうか^^;
・ステージ1
おいおい嘘だろ、281周目、293周目と弟ディロンの接触によるコーションがさらに2連発。1つ目はコリーハイムに押された弾みの不可抗力、2つ目もレーシング インシデントっぽいですが目が点になりました。さらに続く301周目のリスタートも10周後にチェイスの車が中破するクラッシュで10回目のコーション。さすがに今回ディロンは無関係、チェイスは抜きに来たシンドリック1人だけに道を譲ってすぐに内側に降りようと思ったものの、隙間を詰めようとしたネメチェックががっつきすぎてまともに追突しました。チェイスはこれで車両修復不可能となってリタイア、ポイント的には問題ないですが仮に13位以下の誰かが勝つと落とされる危険性が出てきました。
ベルはターン1で軽くスミスを押して外へ弾き、空いた内側からまんまとリードを奪いました。ケゼロウスキーが追走して僅差で最終周に入りターン1・2で急接近。こうなればやることはただ1つ、ターン3でわざとブレーキを奥まで詰めてベルの後ろにゴッツンと浴びせましたが、、、なんとベルは微動だにせず内側のラインを守りました。ベルの神業セーブだったのか、ケゼロウスキーが節度あるバンプを心がけたのか分かりませんが、ベルが消しゴムタイヤレースを制して第4戦フェニックス以来ものすごく久しぶりな気がする今季4勝目・通算13勝目を挙げました。ベルが年間に4勝するのは自身初です。
「何年も前から分かっていたことですが、表面温度と同じくらい紫外線も関係しているんです。なぜ昨秋には起きなかったのか誰にも分かりません。」
Bass Pro Shops Night Race
Bristol Motor Speedway 0.533miles×500Laps(125/125/250)=266.5miles
winner:Christopher Bell(Joe Gibbs Racing/DeWALT Toyota Camry XSE)
NASCARカップシリーズ、プレイオフ ラウンド オブ 16の最終戦・ブリストル。1周0.533マイル=約850m、ターンのバンク角が24度~28度のプログレッシブで1周15秒ほどという世界一頭のおかしいレース場です(誉め言葉)。8月2日~3日には史上初めてトラック内に野球場を特設し、MLB スピードウェイ クラシックと銘打たれたプロ野球の試合が開催されました。アトランタ ブレーブスとシンシナティー レッズが対戦した試合は、雨により試合開始早々に中断されて翌日に再開される事態に見舞われましたが、4対2でブレーブスが勝ちました。
| 野球場モード |
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| ナイト レース |
現状ではプレイオフ順位13位以下の選手は成績を考慮するとなかなか自力でひっくり返して次ラウンドに勝ち進むのが難しい状況ですが、高速で狭いトラックゆえに何かあると他人の事故に巻き込まれて一発リタイアという危険性も比較的高く、当落線に近い選手は最後まで気が抜けない戦いとなります。
・ちょっとしたデータ
ブリストルは昨年の秋、そして今年の春のレースでラーソンが2連勝中。いずれも400周以上のラップ リードを記録する圧勝で、この1年間ブリストルでは合計1000周のうちラーソン以外の選手が先頭を走ったのが僅か127周しかありません。独走パターンのおかげで昨年のレースではコーション周回数が僅か36周と40年ぶりの記録的少なさで、今年の春もたった3回/40周のコーションしかありませんでした。うち2回は予め決まっているステージ間コーションですからね。
そしてその前の2回のブリストルはいずれもハムリンが優勝しており、Gen7車両で開催された過去5回のブリストルの成績では当然ながらこの2人がぶっちぎり。ラーソンはこの5戦全て5位以内でした。ハムリンは5戦中4戦でトップ5、またベルも5戦中3戦でトップ5を記録し、この3人だけが5戦全てトップ10フィニッシュしている顔ぶれです。
気になるのは当落線上の選手ですが、プレイオフ順位15位・勝たないとほぼ生き残れないボウマンは現在ブリストルで2戦連続ポールを獲得中、昨年の春のレースでは自己最高の4位を記録しています。チームもブリストルには強いので、やはり番狂わせを起こせそうな人を挙げるならボウマンかなあというところ。16位のベリーもチーム力を考えると春のレースで2年連続12位はなかなかの健闘を見せており苦手という感じではなさそうです。なお、ボウマンは2戦連続ピット作業で大きな失敗があったので、今回は給油を除く4人のクルーが交代となっており、提携チームであるスパイアー モータースポーツから呼び戻す形で新しい選手構成になっています、機能すると良いのですが。
一方13位に付けるディロンは9年前の4位がブリストル最高位、あまり勝つ姿は想像できませんが、ポイント12位のシンドリックとは11点差、かつシンドリックもあまりブリストルでは結果が出ていないのでポイントでの逆転はあり得そうです。個人的にはディロンがひっくり返してしぶとく生き残ると予想。経験の浅いギスバーゲンはリードラップでレースを終えたら大喝采、というレベルなので脱落は決定的だと思います。
なお、今回グッドイヤーは左側のタイヤには春のレースと同じD-5170を投入する一方、右側のタイヤは初登場となるD-5264というタイヤを用意しました。いつもながら従来型よりちょっと柔らかいそうです。
・レース前の話題
またお金の話題です(笑)長い休止期間を経て今年エクスフィニティー/トラックシリーズが久々に開催されたロッキングハム スピードウェイ。なかなか見応えがあって来年の開催も発表されましたが、その裏で公金の不正支出の疑いが持たれて調査が入ったようです。ロッキングハムの運営会社はSAFERバリアの設置費用37万5000ドル(約5500万円)が業者に対して未払いとなっており、これをきちんと支払わないと2026年の開催ができない、という状況に陥っていた模様。
そこでノースカロライナ州リッチモンド群の委員会は運営会社に対して助成金を支給することを急いで可決、これで無事に未払い金が解決して来年の開催枠を確保できた、という流れになります。これに対し、リッチモンド群に所属するハムレット市の市長が「適切な透明性のある開示も手続きも無く勝手に補助金出すのおかしくね?」と調査を要求。州の捜査局が金融犯罪として調査を開始したとのこと。
地元自治体とするとレースが開催されないと地域経済に影響するし、ロッキングハムはちょうど再興に尽力した投資家がトラックを売りに出して新しい投資家を探している最中でもあったので、そこに絡んで色んなあれやこれやが起きてるんじゃないかなあと思いますが、また放置状態に戻らないようにだけは願いたいですね。
そういえば日本でもどこかの野球チームが優勝して祝賀パレードを行うに際し、企業からの寄付金の原資がそもそも自治体から出したお金ではないか?という疑いありましたねえ。どこだったかなあ。
・ARCA Menards Series Bush’s Beans 200
デイル アーンハートの孫・ボビー デイル アーンハートが約6年ぶりに突然レースに参戦!と話題になったARCA メナーズ シリーズ第17戦。アーンハートはクラッシュで中盤にリタイア、レースの方はポールシッターのブレント クルーズがオーバータイムを含む204周全てをリードする完全優勝で今季4勝目を挙げました。
またこのレースはARCA東部シリーズの最終戦も兼ねており、8位で終えた16歳のアイザック キッツミラーが東部シリーズのチャンピオンとなりました。唯一の日本人・古賀 琢麻は昨年までの西部シリーズではなく今年は東部シリーズを戦っていましたが、このレースでは残念ながら序盤にクラッシュしてリタイア、シリーズ5位となっています。(全8戦に出場した選手は6人だけ)
・Craftsman Truck Series UNOH 200 presented by Ohio Logistics
トラックシリーズのプレイオフ第2戦、1周目に7位スタートのレイン リッグスが接触でスピンしますが、その後に猛烈な速さを見せてステージ2で2位まで挽回。ステージ間コーションのピットで逆転してリーダーとなるとそのまま逃げ切って今シーズン3勝目、次ラウンド進出を決めました。
エクスフィニティーはプレイオフ初戦、コンクリート舗装大好き・オールガイアーが序盤を優勢に進めたものの、ステージ2以降はキレを欠きます。5連勝を狙うジリッチは最終ステージに入って主導権を握っていましたが、残り25周で多重事故が発生してコーションが出ると、ピットに入ったジリッチに対してステイアウトしたエリック アルミローラがリーダーに。この戦略が大正解、アルミローラはそのまま逃げ切って今季2勝目・エクスフィニティー通算9勝目を挙げました。アルミローラ自身はフル参戦していないのでプレイオフ進出権がありませんが、オーナー選手権ではジョーギブスの19番が次ラウンドに進出決定です。
なお、2位に入ったシェルドン クリードはこれがエクスフィニティー通算15回目の2位、彼はエクスフィニティーでの優勝が無く『1勝もしていない選手による2位の獲得回数』で自身が持つ最多記録をさらに更新してしまいました。今回もあと一歩でした。これがいわゆるシルバー メダル コレクターでしょうか^^;
・カップシリーズ
予選
カップの予選、ブッシュライトポール賞はなんと予想外のアルメンディンガーでした、2015年のワトキンスグレン以来約10年ぶりの通算5回目で、オーバルに限れば2012年のカンザス以来13年ぶりでした。ただAJがポールを獲った過去4戦は全て決勝が15位以下です(ボソッ)
2位からブレイニー、シンドリック、ギブス、ラーソン、ハムリン、バイロン、ウォーレス、ベル、ベリーのトップ10。プレイオフ選手では13位チャステイン、14位レディック、15位ボウマン、16位チェイス、22位ロガーノ、23位ディロン、28位ギスバーゲン、31位ブリスコーとなっています。
スタートからまずはアルメンディンガー、ギブスのトップ2。ターンの内側には車両の半分ぐらいの狭い幅でお馴染みトラクション コンパウンドが塗られているので、効き目があるうちは内側が圧倒的優位。そしてリスタートの蹴り出しそのものは外側が有利です。ブリストルはまず外側のラインが使えるようになる(≒トラクションコンパウンドが剥がれて効き目が落ちてくる)タイミングまで肩慣らしという印象ですね。
ところが異変はすぐにやってきました。24周目にAJがギブスに抜かれますが、抜かれた途端にパンクしたのかと思うぐらい急失速。タイヤが終わったと話しており、後方ではディロンも同様に悲惨なペースになりロガーノにも同じ兆候、まさかのタイヤ酷使レースです。トラックの大外には大量のタイヤカスが転がっており、これは昨年の春のブリストルで見たのと同じような光景。
31周目、ブレイニーがギブスを抜いてリーダーとなると、ギブス君にもやがてタイヤの崖が訪れて急失速。40周前後でピットに入ってタイヤを換える選手が続出し、外した右前輪は表面のゴムが無くなって内部構造が見えるボロ雑巾のような状態。新型タイヤD-5264、ちょっと過激すぎた感。本日使用可能なタイヤは新品9セット+予選持ち越し中古の合計10セットです。このタイヤ、元ブリヂストンの浜島さんに見せたら何て言うだろう・・・(笑)
次々とボロ雑巾が発生するのでもはや目先の順位を追う意味もない状態ですが、さらに75周目にはベリーの車両右下部から出火。おそらく大量のタイヤカスが排気管付近で固まって熱で燃えたとみられます。Gen7導入初期にはこうした火災事案が相次いだためいくつか対策が取られましたが、おそらく想定外のタイヤカスの量だと思われます。ピット上で消火作業が始まったので本日初のコーションがここで出ました。ベリーはクルーから引きずり出されるように車外に脱出、レース開始からまだ25分も経ってないんですけどあり得ない出来事が起こりすぎです。
誰が何位で何人リードラップなのかさっぱり分からなくなっていますがだいたいの選手はコーションでピットに入り、周回遅れの人はウエイブ アラウンドで1周挽回。ただコーション前に既に2回タイヤ交換した人などは2周遅れなので、ウエイブアラウンドしてもまだ1周遅れです。そしてウエイブアラウンドする=古いタイヤでリスタートするわけで、もしこの後アンダーグリーンでレースが続くと・・・という怖さがあります。95周目、ステージ残り31周でリスタート。
リードラップ選手はたった12人という状況でどうなるのかと思ったら、5周後にライリー ハーブストとの接触でボウマンがスピンしてコーション。ハーブストがちゃんと内側を見てなくて閉めてしまった感じ。
続くリスタートは108周目、このコーションでタイヤを換えたブレイニーがリーダーのギブスを全力で追いかける展開となり、最後は猛烈に遅いウエイブアラウンド勢の周回遅れに詰まりながらも僅差でブレイニーが前に出てステージ1を制しました。あ~もう既に疲れたぞ(笑)
・ステージ2
138周目にリスタート、リードラップ選手は17人。リスタート直後にウォーレスがギブスを抜いた思ったら数周でギブスがリーダー返り咲き。そして147周目にリッキー ステンハウス ジュニアのスピンでコーション、今回はハーブストが斜め後ろから小突いていました。ライリーよ・・・
156周目にリスタートするとコーションでタイヤを換えたホースバーが猛烈な勢いで上位に現れ、これを見た上位勢は争わずに道を譲って対処、下手に争うと自分のタイヤが潰れてレースが台無しです。そのホースバーも2位まで上がったところでリーダーのギブスにペースに合わせるよう指示され、これ以上は攻めずにタイヤを守ることにします。
トラック上はウエイブアラウンドを繰り返した選手も多いためタイヤの状態がまちまちでピットサイクルと呼べるような統一した状況ではないものの、185周目あたりから断続的に各者のタイヤ交換でピットが賑わい続けます。舞台裏では万が一に備えて運営側がタイヤを1セット追加供給できるようにホイールへの組み付け作業も始まったようですが、リーダーのギブスは210周目にピットへ。これを見てホースバーは翌周にピットに入ると2輪交換で実質のリーダーとなりますが、229周目にギブスに抜き返されました。それにしてもみんな平然と走っているように見えて、外したタイヤはだいたいみんな壊れています(。∀゜)
外を走るとすぐにタイヤカスに乗るからみんな内側に固まり、その周回遅れを外を使って抜きたくないのでリーダーも内側に留まり、全員が内側で1列になるかなり異様な光景。ミスって外に出てしまった人しか抜けない感じでステージは終盤に入りましたが、238周目にギスバーゲンがスピンしてコーション。これでバイロンがフリー パスを得る、と思ったら原因はバイロンが後ろから完全に押したためだったので、権利は没収です。
このコーションではおそらくタイヤを節約するためにステンハウスだけステイアウトして247周目/ステージ残り4周でリスタート、ステンハウスは一瞬で画面から姿が消えてステージ優勝争いはまたもやギブスvsブレイニー。今回は周回遅れの邪魔が入りませんのでギブスが逃げ切ってステージ2を制しました。
・ファイナル ステージ
NASCARは全員に対して新品タイヤ1セットの追加供給を正式に決定。それもあって2位のブレイニー以下数名は4周競争しただけのタイヤをまたステージ間コーションで交換しました。266周目にリスタートして残り235周の長い長いレースです。この段階でリードラップ選手は19人、ディロン兄ちゃんは2周遅れの31位で絶望的です。しかし3周後にギスバーゲンが2度目のスピン、今回はタイディロンに突き飛ばされています。弟があと20回ぐらいこれを繰り返したらお兄ちゃんはリードラップに(笑)
| 293周目 コツン |
おいおい嘘だろ、281周目、293周目と弟ディロンの接触によるコーションがさらに2連発。1つ目はコリーハイムに押された弾みの不可抗力、2つ目もレーシング インシデントっぽいですが目が点になりました。さらに続く301周目のリスタートも10周後にチェイスの車が中破するクラッシュで10回目のコーション。さすがに今回ディロンは無関係、チェイスは抜きに来たシンドリック1人だけに道を譲ってすぐに内側に降りようと思ったものの、隙間を詰めようとしたネメチェックががっつきすぎてまともに追突しました。チェイスはこれで車両修復不可能となってリタイア、ポイント的には問題ないですが仮に13位以下の誰かが勝つと落とされる危険性が出てきました。
ここでブリスコーをはじめリードラップ選手はそれなりの人数がピットへ、330周目にリスタートしてステイアウトのウォーレス、ギブスがワンツーでしたが、タイヤを換えたブリスコーが2周後にはもうリーダーに戻りました。一方ウォーレスは古いタイヤが傷んできてズルズルになりはじめピットに入ることを考えますが、354周目にミスってステンハウスにぶつけました。コーション発生で結果として自作自演でタイヤ交換の機会を創出、リッキーかわいそう(T T)
この11回目のコーションでリードラップ選手はハムリン以外ピットに入り、ブリスコーなど数人は右側2輪だけ交換。362周目にリスタートしてすぐにブリスコーがリードを奪い、ハムリンはラインを外してタイヤカスを大量に踏んでしまいよれよれです。とうとう曲がれずに壁に当たってしまいますが、その直前にラーソンがダニエル スアレスを巻き添えに事故っていたのでコーション発生、救われました。ラーソンは自爆ではなくステンハウスに押されたことがきっかけ、さっきの被害者は今度の加害者。ぶつけられたスアレスはこれでリタイアとなりました。
374周目にリスタート、残り127周でようやく消しゴムタイヤ地獄に終わりが見えてきました。リスタート後数周でちょっと展開が落ち着いた、と思ったら384周目にまたクラッシュ発生。さっきタイヤを交換したハムリンの右前輪が脱輪しアルメンディンガーとバイロンを巻き添えにクラッシュ。ナットが締まっていなかったのか不具合なのか分かりませんが、規定によりデニーダツリンは2周ペナルティー。このレース最終的に31位で、アルメンディンガーはここでリタイアです。
ここは数名がピットに入って398周目にリスタート、ロガーノはこれが最後の新品タイヤだそうです。引き続きブリスコーがリーダー、ですがギブス君が迫ってきます。11回目のコーションでブリスコーは2輪のみ、ギブスは4輪を交換したので状態だけ見ればギブスの方が優勢で、416周目にターンでちょっと小突いて俺の方が速いからどいてくれアピール、ブリスコーをかわしリーダーとなりました。
430周目あたりからピットサイクルとなりますが、このあたりで先程の12回目のコーションでタイヤを換えた人と古いタイヤの人で差が見え始め、431周目にベルがギブスをかわしました。ギブスもブリスコーも70周ほど使ったタイヤでペースがた落ち、2人とも残り65周でピットに向かいますが、ギブスはブレーキングに失敗して全く減速しきれずピットに入れない致命的な失敗をやらかしました。
同じころ、トラック上ではケゼロウスキーがベルをかわしてリーダーとなっており、ベルと同じタイヤ履歴かと思ったらブリスコーたちと同じ古いタイヤでした、ということはベルは飛ばしすぎて潰しましたね。この後ピットサイクルが一巡してもケゼロウスキーは引き続き実質のリーダーでした。タイヤを上手く使っています。
ピット内でも問題は相次ぎ、ウォーレス陣営は作業後に漏れた燃料に引火するボヤ騒ぎが発生、さらにレース残り44周でシンドリックが序盤のベリーと同様の火災事案に見舞われてしまいます。なんとか消火してコーションは起きなかったものの、順位を大きく失った結果プレイオフ12位争いでボウマンと僅差になってしまいます。終盤にはチャド フィンチャムの車両も火が出ました。もう情報過多でパンクしそう、いや表皮が剥がれそう(笑)
残り35周、タイヤを丁寧に使っているであろうケゼロウスキーに対してかっ飛ばしてきたホースバーが急接近してケゼロウスキーをかわし、さらにボウマンも猛追。このペースで飛ばしてあと30周走れるのか?とか考えてたらボウマンは残り28周でピットに入り、3周後にはホースバーもピットに入りました。398周目からの約100周を最初から2ストップで走るつもりで、1ストップで走るケゼロウスキーとは戦略が異なっていました。
ブリストルはアンダーグリーンでピットに入ったら2周遅れ、残り30周で余分にピットに入ったら勝負権無し、というのが普通のブリストルですが今日は異常なブリストル。ホースバーは毎周1秒ほど速いペースで走っておりあっという間にラップバック。残り15周で両者の差は約10秒と、ホースバーのタイヤが最後までもつなら大逆転が見える展開になりました。さあどちらが勝つのか!
と思ったらケゼロウスキー、ちょっと焦ったか周回遅れのカスターをごつごつ押し、それだけならよかったんですがその外からタイヤの新しいウォーレスが抜いていこうとして、ふらついたカスターがウォーレスに接触。これでウォーレスが壁に当たってしまいコーション発生、ケゼロウスキーは自らコーションを呼んでしまいました。タイヤの古い"1ストップ作戦"の面々はこれじゃあリスタートで勝負にならないのでピットへ。ホースバー、ゼイン スミス、ボウマンの3人がステイアウト。
ステイアウトした3人に続いて2輪交換のケゼロウスキーは外側の3列目を選択、同じく2輪交換のベルは空いていた内側の2列目を選びました。残り4周でリスタート、
ー クリストファー、あのリスタートと、どうやってあんなに早くリードを奪えたのか教えてください。
「正直に言うと、チューズでどちらを選ぶか神経質になっていました。下を狙いたいのか、上を狙いたいのか分からなかったんです。でもブラッドが上を選んだので僕には選択肢がありませんでした。下を選ぶしかなかったんですよ。なんか今日はずっと、古いタイヤだとコーナーの真ん中ですごく外に流されてたんで、古いタイヤを履いた他のドライバーたちが外に出て行くことを期待してました。実際にそうなったんで、上手く内側に潜り込むことができましたね。最後はあまりきれいな形で終われませんでしたけど、なんとか行けました。何よりも、今週末は本当に大変な一週間で、色々なことが頭をよぎりました。この勝利はチャーリー(※)に捧げます。
※レースの3日前に銃撃により死去した政治活動家・チャーリー カークのこと
ー チームにとって厳しい1週間だったことについても伺います。セントルイス(ゲートウェイ)でのレース後、非常に厳しい言葉を口にしていましたね。今夜、チームはどのようにして奮起し、このような勝利を収めることができたのでしょうか?
ー チームにとって厳しい1週間だったことについても伺います。セントルイス(ゲートウェイ)でのレース後、非常に厳しい言葉を口にしていましたね。今夜、チームはどのようにして奮起し、このような勝利を収めることができたのでしょうか?
「僕たちはいつだって、どの週だって、自分たちが勝てると信じてきました。でもしばらくの間はそれが現実にならなかったんですね。でも、ブリストルで勝ってやったぞ!」
残念ながら2位のケゼロウスキーは「五分五分のチャンスだったのにリスタートでダメな方に入ってしまった、悔しい。」とベルと運命が分かれたチューズを悔やみました。3位はスミス、4位ブレイニー、5位にロガーノ。6位はなんとスポット参戦のハイムでもちろん自己最上位。ホースバー、ボウマン、ブリスコーと続き、このレース最多の201周をリードしたギブスは10位でした。ピットの失敗が致命的。車が燃えて肝を冷やしたシンドリック、結局30位でしたがボウマンとは10点差が残ってなんとか次ラウンド進出。
このラウンドで脱落した4人のドライバーはボウマン、ディロン、ギスバーゲン、ベリーとなりました。ディロン兄ちゃんはこのレース28位、弟は1つ上の27位で兄弟対決にすら勝てませんでした。レース後半にクルー チーフから「ここから攻めて行くぞ!」と発破をかけられましたが「もうやってるよ!」。消しゴムタイヤに全く対応できず4周遅れでした。
もしケゼロウスキーがやらかしてなかったらひょっとしてホースバーの初勝利だったんじゃないの?という名残惜しさがありましたが、最後はしっかり持って行くのもプレイオフ選手の大事な資質ですね。ホースバーはまた必ず機会が訪れるでしょう。あとはもう、、、何が何だか分からん!(笑)
〇またもや原因は低路温?
さて昨年の春に続いてここ4戦のブリストルで2度目の発生となったタイヤ猛烈消耗。あの時は肌寒くて気温が16℃ほどしかありませんでした。今回は気温22℃、路面温度は30℃ほどだったようで数字だけ見たら快適そうで、しかも右側のタイヤはより柔らかくしたんだから温度が下がったらいい具合じゃない?と思ったら全くそうではありませんでした。前日の昼間に行われた練習走行は気温28℃、路面温度37℃ほどで問題なく50周以上走行できていました。
起こった状況からすると今回も路面温度がタイヤを適切に作動させるには低すぎて、ゴムが溶けずに表面がコンクリート舗装で削られていったと思われます。ハムリンのクルーチーフ・クリス ゲイルは
「ガレージ エリア全体に聞いてみて、誰かが『こうなることを予想していた』と言うなら、その人は嘘をついていると思いますよ。」
と全くの予想外だったと証言。ベルのクルーチーフ・アダム スティーブンスも
「ステージを問題なく走りきれる普通のレースになると家を賭けてもいいくらいでしたよ。でも、そうはならなかったですね。」
また、ノア グレッグソンのクルーチーフ・ドリュー ブリッケンズダーファーは
と紫外線影響説を持ち出しています。まあ結局正確なことは誰にも分からんわけです。これがF1だったらさぞかしタイヤ屋さんばっかり一方的に運営からも客からも叩かれてかわいそうなことになりそうですが、NASCAR的にはこういう出来事が起きても対処して強いものが勝つ、そのためにドライバーもエンジニアもその場で一生懸命考えて戦う、という姿そのものが最上級シリーズにとっての1つの意義だと考えているようで意外と納得している様子。
一方で参加者側は意見がまちまちで、ハムリンあたりは前回の消しゴムタイヤレースで勝ってることもあって、なるようになるという感じ。一方でヘンドリック モータースポーツのチャド カナウスは「こんなのはレースじゃねえ」派のようです。私もこれは、起こってしまったのは仕方ないけどさすがに知恵比べとか言う次元ではないので喜んでいいもんではないと思いますが、ケビン ハービックも楽しんでいた様子で「盛り上がったからヨシ」な考えもけっこう多い様子です。ハービックよ、今度は自分で走ってみて感想を教えてくれ(笑)
ちなみにオースティン ヒルのスポッター・ブレット グリフィンがレース中に「ペースカーが最多ラップリードだろこれ、マジかよ。」とぼやいてたんですが、細かい数字はおいといてこのレースは14回/137周のコーション周回がありました。最多ラップリードはギブス君が201周取りましたが、次に多いブリスコーが127周のリードなのでペースカーは確かに隠れたラップリード数2位、ギブスがリーダーの際にペースカーがリードしていた場合はギブスにラップリードを付けない、として差し引いたら実際はギブスとペースカーはもっと僅差ということに(笑)
そんな全ての混沌はラウンドオブ16のポイントとともにリセットしてさようなら、次戦からは12人の選手が3000+プレイオフポイントにリセットされてラウンドオブ12に挑みます。次戦はニューハンプシャー、その後はカンザス、シャーロット ローバルと続きます。ロブスターを手にするのは誰だ!
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コメント
タイヤの消耗は熟練エンジニアが家を賭けても良いぐらい何も起きないはずだったんだから誰も予想できないです^^;
ボウマンが回ってるかと思ったら気づいたら上にいたりして、これはひょっとしたらと思いましたけど同じ作戦でホースバーがいるし、最後は運も味方に付かないし、仕方なかったですね。
デニーダツリンはジョークで書いたんですけど伝わりにくかったですかね。ハムリン・ダツリン・アドレナリン☆みたいなやつの方がよかったかな(笑)