NASCAR Cup Series
ここは規則上指定されたところを通過さえすれば問題ないようなので、素早く判断してシケインを通過したジリッチが利口でした。普通に走ってたらここを通るのは遅いんでしょうけど、リスタートで逃げるのはなんか得してる気もするのでこれで良いのか感が多少ありますが^^; なお、古賀琢麻は29位でした。
開始10秒、ベリーがスピン。ターン2出口の凹凸で底を打って姿勢を乱しそのままスピン。ベリーは春のダーリントンでも速さを見せながらクラッシュしており2戦連続です。ふらついた拍子に隣にいたレディックのドアにもぶつかりましたが、レディックは45度横を向いたのに全開スロットルとカウンター一発で立て直す神業を披露して、大きな損傷は無いのでコーションでもステイ アウト。でもあんだけタイヤ酷使して大丈夫かね。
209周目にリスタートしてブリスコー、レディック、エリック ジョーンズの3人が激しい争いを展開しますが、ターン4で12位あたりにいたブレイニーがスピン。目の前のカイルがスピンしそうになったので減速したら、後ろからA.ディロンに押されるRCRの連携攻撃に遭いました(笑)壁にほぼぶつけなかったのが不幸中の幸いでしたが、パンクした状態でスプリッターをガリガリ引きずって走行したため、ダウンフォースに影響が出ていることが後に明らかになります。
ボウマンとベリーは既にヤバいですね。ギスバーゲンは元々持っているプレイオフ ポイントがモノを言っており、このレースで下位だったわりにはまだ当落線の上にいます。ただ普通に行けばロガーノにひっくり返されるでしょう。じゃあ14位のディロンは誰かに追いつくか、というとどうでしょうかね、4弱が誰なのかはなんとなく見えており、彼らは優勝での進出を狙うのみ、という感じです。8位のチャステインから上の人は最悪リタイアが1回あってもギリギリ助かるかも、ぐらいの点差には既になっていますね。
Cook Out Southern 500
Darlington Raceway 1.366miles×367Laps(115/115/137)=501.322miles
winner:Chase Briscoe(Joe Gibbs Racing/Bass Pro Shops Toyota Camry XSE)
NASCAR カップ シリーズはここからプレイオフが開幕、初戦はダーリントンでのクック アウト サザン 500です。ダーリントンがプレイオフ初戦で開催されるのは2020年~2023年以来で通算5回目、レイバー デイ前日に開催されるのがサザン500の慣例となっており、レイバーデイが9月の第1月曜日=今年は9月1日なのでレースが8月31日の開催となりました。
概ね7年に1回はこういうタイミングがあるはずですが、調べてみるとうるう年でズレることもあるし一時期ダーリントンがこの時期の開催から外れていたこともあり、サザン500が8月31日に開催されるのは2003年以来22年ぶり。それ以前には1997年と1986年があるだけでした。1984年以前はレイバーデイ当日である月曜日に開催していたため8月にはなり得ず、8月のサザン500と言うのは歴史的に珍しいイベントとなります。だから何だという話ですが。
左右非対称で旋回半径が小さく、最大バンク角がターン1側は最大25度、ターン3側は23度あるものの大外だけが極端に立ち上がったプログレッシブ バンク。高速でハンドルを切りまくって曲がるのでとにかくタイヤが傷むし、ちょっとミスったらすぐ壁に当たるし、壁から離れると遅いし、内側に飛び込んでもバンク角が足りないから簡単には抜けない、焦って突っ込んだら事故る、そんな難所で500マイルの長期戦です。ターン2の出口付近にある舗装の継ぎ目の凹凸も突然スピンする危険地帯で要注意。
NASCARによるとサザン500の過去の平均レース時間は4時間15分50秒、レース距離がこれより長いコカ コーラ600が4時間26分55秒となっており、非常に時間のかかるレースであることが分かります。私もサザン500は毎回5時間コースを覚悟しています。レース開始時刻がアメリカ東部時刻午後6時となっていてレースが進むにつれてどんどん気温・路面温度が低下していくため、適切なアジャストも必要になります。
・ちょっとしたデータ
第8戦で開催された春のダーリントンではこのトラック最長記録・ウイリアム バイロンがスタートから243周目までリードしましたが、その後のピット サイクルでアンダーカットされて逆転できずに2位で惜敗しました。ただバイロンはこれを含めた過去7戦のダーリントンでの平均順位が全ドライバー中最良の9.1。1勝を含む5回のトップ10フィニッシュを記録しています。
その春のレースで優勝したデニー ハムリン、3位だったクリストファー ベル、4位のタイラー レディックはいずれも過去7戦のダーリントン平均順位が2位~4位に入っているドライバーで、今回のレースも彼らが有力候補ではないかと思います。ハムリンはダーリントン通算5勝、レディックは壁沿いを走ることに長けており、ベルはタイヤ消耗レースで強いのでこの統計値はなかなか素直な数字という印象です。
また、ダーリントンでは『前回の優勝から50戦以上勝利無し』という状態だった選手が勝った事例が9回あり、ドラフティング トラックを除けばフェニックスと並んで最多タイの数字となっています。昨年は春のブラッド ケゼロウスキー、秋のチェイス ブリスコーがいずれも該当して一気に数字をかさ上げしました。NASCARの時間軸で言えば50戦って1年半ぐらいなので意外と少ないんだなとすら思いますが、2年勝たないとそのまま勝てずに消えて行く人が多いってことなんでしょうか。長いこと勝ってないと言えば、カイル ブッシュあたりそろそろ来ませんかねえ。
なお、プレイオフ制度が開始された2004年から昨年までの21年間で、プレイオフ初戦で優勝したドライバーがチャンピオンになったのは計5回。カート ブッシュ(2004年)、トニー スチュワート(2011年)、ケゼロウスキー(2012年)、マーティン トゥルーエックス ジュニア(2017年)、ジョーイ ロガーノ(2024年)です。プレイオフも制度が変わっていくので一概に比較はできませんが、初戦優勝でチャンピオン確率23.8%を高いと見るか低いと見るか。
・レース前の話題
先週うっかり記事を見落としてしまいましたが、既に噂になっていた通りコウリッグ レーシングが来シーズンからラムの車両を使用してクラフツマン トラック シリーズに参戦することが正式に発表されました。来シーズンの開幕戦デイトナに最大で5台のラム1500を投入する予定であるとしています。
コウリッグは資金面でやや苦労して、ドライバー選定も持参金を優先せざるを得ないような様子が見てとれますので、ラムの最初の仕事相手として財政的な支援をある程度受けられるのであればチーム運営にも助かるのではないかと思います。一方でラムはまだトラックシリーズしか出れないので、とりあえずエクスフィニティー シリーズとカップシリーズはシボレーを継続使用する許可を貰うことになるでしょうから、このあたりメーカーからのデータの提供なんかで不利益にならないのかは少しだけ気になりますね。
・Craftsman Truck Series Sober or Slammer 200
そばorうどん、ではなく飲酒運転啓発がスポンサーのトラックシリーズ・プレイオフ第1戦。レイン リッグスとコリー ハイムの争いになり、ハイムはステージ2でタイヤがパンクした疑いがあったので終盤に速度を落として事故を回避。一方リッグスは最終ステージで攻めの走りを見せていたところ、残り20周でパンクしてハイムにかわされました。たまたまこの時に別件でコーションが出たものの残念ながら優勝戦線からは脱落。ハイムが今季8度目の勝利で次ラウンド進出を一発で決めました。これで1999年にグレッグ ビッフルが記録した年間最多勝利記録・9勝にあと1つと迫っています。
あ、ちなみにビッフルは1999年に9勝したのに、3勝のジャック スプレイグに僅か8点差で敗れてチャンピオンを獲れませんでした。今のプレイオフ制度では最終戦で上位にいかないと何勝しようがチャンピオンになれないわけですが、彼とすると記録を更新できるにこしたことはないけど欲しいのはそれよりもチャンピオンでしょう。
・Xfinity Series Pacific Office Automation 147(at Portland International Raceway)
今週のエクスフィニティーはポートランドでの単独開催。費用削減と独自性確保のために
・コーション中は順位が凍結されて非競争ピットとする
・給油はステージ間コーションでしかできない
・ステージ間コーションではピットで3分間の休憩を取り、その間に作業する
・タイヤ交換と給油は同時に行えず、まずタイヤ交換を終えてからしか給油できない
・アンダー グリーンでタイヤ交換する場合、ピット内で最低63秒以上経過しなければならない
という規則になりました。決勝で使えるタイヤは予選からの持ち越しを含めて4セットしかなく、基本的にはステージ間コーションでタイヤ交換と給油をゆっくりするだけです。コース上での争いを見てね、ということでしょうか。
レースは病み上がりのコナー ジリッチが今週は代走を頼むことなく爆走し誰も止められず最終ステージとなりますが、残り11周でコーションが発生すると流れが一変。リスタートでジリッチが出遅れると、後ろからウイリアム サワリッチのミサイルも飛んできてターン1~2のシケインが大混乱、ジリッチは右後部にサワリッチが軽く命中しつつシケインを曲がらず退避路経由でコースに合流し、オースティン ヒルに抜かれて2位となりました。
しかし残り4周で再びコーションが出てオーバータイムとなると、リスタートでヒルはちょっとジリッチにけしかけすぎたか逆効果。荒れた状態でターン1に多くの車両がなだれ込み、ジリッチもロックさせてしまって止まれ無さそうだったのでまた退避路へ、今回は先頭でコースに合流すると、そのまま逃げ切って今シーズン8勝目を挙げました。直近10戦で7勝の驚異的成績、まあそのうち1勝はパーカー クリガーマンのおかげですが、ロードコースではもやはシェイン バン ギスバーゲンに出てもらわないと対抗できる選手がいませんね。
ここは規則上指定されたところを通過さえすれば問題ないようなので、素早く判断してシケインを通過したジリッチが利口でした。普通に走ってたらここを通るのは遅いんでしょうけど、リスタートで逃げるのはなんか得してる気もするのでこれで良いのか感が多少ありますが^^; なお、古賀琢麻は29位でした。
・カップシリーズ
予選
さあダーリントンに戻って来てカップの予選、ブッシュ ライト ポール賞はハムリンが獲得しました、今季2度目・通算45回目です。2位はブリスコー、もしポールならデイトナ500、コカコーラ600、ブリックヤード400とともにクラウン ジュエル全レースでポールというちょっとした記録になるところでしたが、0.021秒届きませんでした。3位からジョッシュ ベリー、レディック、カイル ラーソン、ロス チャステイン、ベル、バッバ ウォーレス、オースティン ディロン、オースティン シンドリックのトップ10。
11位以降もバイロン、ライアン ブレイニーとプレイオフ選手が上位12人を占め、14位にロガーノ、チェイス エリオットがちょっと離れて21位、アレックス ボウマンはポツンと29位でした。カイルは、、、23位か(´・ω・`)
・ステージ1
リー ディフィー「本当のプレイオフの戦いがいよいよ始まります!」
ガシャーン |
開始10秒、ベリーがスピン。ターン2出口の凹凸で底を打って姿勢を乱しそのままスピン。ベリーは春のダーリントンでも速さを見せながらクラッシュしており2戦連続です。ふらついた拍子に隣にいたレディックのドアにもぶつかりましたが、レディックは45度横を向いたのに全開スロットルとカウンター一発で立て直す神業を披露して、大きな損傷は無いのでコーションでもステイ アウト。でもあんだけタイヤ酷使して大丈夫かね。
コーション発生時にハムリンはリードを失っており、7周目にブリスコーを先頭にリスタート、昨年のサザン500勝者がリードします。レディックの方は車がルースでバランスがおかしいという話をしていてやっぱりタイヤが傷んでるんじゃないかと思ったら、どうもさっき横を向いた時に開いたルーフ フラップがきちんと戻っておらず空力バランスが狂っているようだ、という話。よく考えると、フラップが開くぐらい横向いたらたいていはピットに入るのであんまりこういう状況には遭遇しないのかもしれませんね。
リーダーのブリスコーは35周目にいち早くピットに入りここからピット サイクル。先に動いてアンダーカットを断固阻止する方向性で、その後は特に大きな波乱もなく2回目のピットサイクルも早めに動いて実質1位を守り続けました。そのままブリスコーがステージ1を制します。
ピットでフラップを開け閉めしてタイヤも換えて、すっかり不調を解消したらしいレディックがステージ2位、3位にハムリン。以下チャステイン、ウォーレス、ラーソン、ベル、シンドリックのトップ8で、9位には1ストップ作戦で粘りの走りを見せたジョン ハンター ネメチェックが30位スタートからの大躍進、10位がブレイニーでした。また、シェイン バン ギスバーゲンはステージ最終周に2台抜きしてフリー パスを手にしました。
ステージ1で苦戦したプレイオフ選手がボウマンでした。元々速さが無くて劣勢だった上に、2回目のピット作業でレンチが1つ動かなくて作業が停滞。さらに慌てすぎて車体でホースを踏んでしまう失敗の連鎖で4輪交換に40秒を費やし既に2周遅れです。しかもレンチが動かなかった原因は故障ではなくホースが繋がっていなくてそもそも圧縮空気が来ていない、という初歩的問題でした。取り付け忘れたとは思えないので差し込みが甘くて外れたとかだと思いますが、動かないとなった時に前輪で使ったレンチを使いまわすのか、レンチ部分だけ予備と取り替えるのかも意思が定まらず、とっ散らかり方がもはやコントでした。結果としてはレンチの先端だけ取り替えたとしても絶対動かないわけですけど(笑)
・ステージ2
リードラップ選手はステージ間コーションでピットへ、123周目にリスタートすると丸々1周の争いを経てハムリンがブリスコーを力業でかわしました。これで当面はハムリン優勢だろうと思ったらブリスコーがすぐさま反撃にかかり、132周目に逆転。ハムリンはちょっと車に問題があると話しており、ステアリング、クラッチ、ダウン シフトに違和感がある様子。ピット側としてはステアリングに関して異常はないとのことですが、この後ハムリンは徐々に順位を落としました。
その後、ピットサイクルが近づいてきた152周目にカーソン ホースバーがターン4でスピンしてコーション発生。ホースバーはその前にもズルズル滑って回りそうなのを才能で耐えていましたが、とうとう耐えられず回ってしまい「人生で最悪の乗り味の車だ。」とルースが酷い車にとても不満を抱えているようです。
これでリードラップ選手がピットへ、ハムリン陣営が何か足回りの確認作業などをするのか注目して見ていたら、作業は特にありませんでしたがナットを締める前にジャッキを落とすわ、ウエッジ アジャストしようとして手が滑ってレンチを落っことすわでグダグダの作業になり、ほぼリードラップ最後尾へ。
さらにピット内ではボックスを出たベルとこれから入ろうとしたホースバーが接触し、当てられて回ったホースバーが邪魔になってブレイニーがボックスを出れない、という連鎖的な問題も発生。ブレイニーは多くの順位を失い、ベルは右前の外装がけっこう潰れました。またバイロンもナットを締めずに発進しそうになって戻ったので順位を下げました。このピットだけで問題が起きすぎて驚きますが、作業自体に問題が無いブリスコーもオルタネーターに不具合があってバッテリーの電圧が低下しているため、仕方なくドライバーを冷やすためのファンとクール スーツの冷水循環を両方とも切ることになります。
プレイオフ初戦って何でこうコンテンダーに色々起きるんだろうか、と思いつつ158周目にリスタート、チャステインがブリスコーに襲い掛かりましたがなんとかブリスコーが凌いでリードを維持。チャステインが離れた後はしばし独走し、コンテンダーに色々ありすぎたので気づいたらトップ10にプレイオフ選手が5人しかいなくなっています^^;
186周目あたりからピットサイクルとなり、ブリスコーはここもきちんとこなしてステージ2もそのまま終わりかなと思ったら、203周目にコディー ウェアーがクラッシュ。ターン2出口でライアン プリースに押されて回っていました、これはプリース軽率でしたね。リードラップ選手がピットへ、ベルは待望のコーションにつきアルミテープチューニングを開始しました。やはりダウンフォースがかなり失われているようで、壊れた車では全く速く走れません。
209周目にリスタートしてブリスコー、レディック、エリック ジョーンズの3人が激しい争いを展開しますが、ターン4で12位あたりにいたブレイニーがスピン。目の前のカイルがスピンしそうになったので減速したら、後ろからA.ディロンに押されるRCRの連携攻撃に遭いました(笑)壁にほぼぶつけなかったのが不幸中の幸いでしたが、パンクした状態でスプリッターをガリガリ引きずって走行したため、ダウンフォースに影響が出ていることが後に明らかになります。
続く215周目のリスタートはブリスコーが早い段階でレディックを振り切り、そのままステージ2を制しました。レディック、ジョーンズ、ラーソンと続き、5位にはA.J.アルメンディンガー。AJはラーソンの車載映像を見てむっちゃ勉強したらしく、中継では「今は窓越しに勉強できる」と茶化されていました。チャステイン、ウォーレス、ネメチェック、プリース、バイロンのトップ10。ボウマンはここでフリーパスを得ることに成功しリードラップに戻りました。
・ファイナル ステージ
当然ながらリードラップ選手がピットへ。盤石のブリスコーを先頭に238周目にリスタートしましたが、なんと後ろのアルメンディンガーに上手く押してもらえず出足であっさりとリードを喪失。しかし今日のブリスコーは別格で、2周後にはレディックからリードを取り返しました。今のところ心配なのはオルタネーターだけ。
ブリスコーは273周目にこのステージ1度目のピットへ、2位のレディックと同時でしたがここもノーミス。情報サイトによればブリスコーの今日のピット作業、1回目を除いて全て9.9秒以下です。コーションが出ないので次第に周回遅れも増え始め、残り60周の段階でリードラップに残っているのは24人。チェイス、ベル、ボウマン、ギスバーゲンが周回遅れです。一方でネメチェックとジョーンズが大健闘して3位・4位を走行中で、何ならブリスコーよりちょっと速い。
ブリスコーはこのあたりで周回遅れからの乱気流の影響か本日初の停滞モードに入り、徐々にレディック以下の3人が接近。さあ面白くなってきたぞ、と思ったら313周目にデレック クラウスの車両から出火してコーションが発生しました。中団の選手の中にはアンダーカットを狙って既にステージ2回目のピット作業を終えてしまった人もおり、彼らの戦略は完全に裏目。ブレイニーに至ってはピット ボックスに入ったころにコーションが出る最悪のタイミングでした。また、最終ステージを1ストップ作戦で行こうとしたギスバーゲンも、1回目を終えて周回遅れになったところでコーションが出たので最悪でした。一方ピットに入っていない皆さんはもちろんコーション中にピットへ、完全に明暗が分かれます。
322周目・残り48周でリスタート、ブリスコーがレディックを抑えてリードを守ります。残りの周回数を考えるとさすがにもう1回タイヤを換えるとは思えないので、多くのドライバーはコーションが出なければ今日のレースで最も長い距離を走ることになります。ネメチェックは1ストップに挑戦したステージ1で48周より遥かに長い距離を経験してますね。
ブリスコーは当初は1秒以上の差を築きましたが、残りが30周を切るあたりからレディックが徐々に接近。ブリスコーは車がややルースな様子ですが、壁から離れるとあっという間にレディックに掴まるのでできるだけ壁沿いを走って対抗。レディックの方も後ろからジョーンズが来ていてちょっとしたことで真後ろまで追いついてくるので油断ができません。ネメチェックはほんのちょっとだけペースで負けてる印象。
このトヨタドライバー4人による争い、なんと膠着したまま20周以上続いて残り周回数はいよいよ1ケタ台。レディックはちょっと離されてはまた追いついて、という流れでしたが残り3周になるといよいよ出し切る時が訪れたようでブリスコーに最接近。上位3人が0.55秒差というおそろしい僅差でついにホワイト フラッグが振られました。少し壁から離れるブリスコー、大外で旋回速度を稼ぐレディック、あえて内側にズレて乱気流を避けつつ隙を伺うジョーンズ。さあどうなる!ここのターン3は玉砕ダイブの名物地点だ!
レディックは最後に内側に飛び込みはしましたが、相手を潰さないフェアーな仕掛け方だったので僅かに届きませんでした。ブリスコーが今シーズン2勝目・通算4勝目を挙げてプレイオフ次ラウンド進出一番乗り。サザン500の2年連続優勝は2005年・2006年のビッフル以来で史上8人目。ブリスコーは昨年はスチュワート-ハース レーシングでの優勝で、異なるチームでの2連勝は1973年・1974年のケイル ヤーボロー以来2人目でした。
また、ブリスコーはこのレース367周のうちなんと309周をリード。サザン500では1971年にボビー アリソンが329周をリードして優勝して以来54年ぶりの快記録でした。なおダーリントンは以前は春のレースも500マイルだったので、ダーリントンでの500マイルという括りにすると1986年4月のレースでデイル アーンハートが335周リードで優勝して以来、それでも39年ぶりです。レディックは息子のブルックスとともにフロントストレッチで勝利を祝いました。
「いやあ、最後はものすごく大変でしたよ。いや本当にすごい。バス プロ ショップスは、ファンとしてマーティン(トゥルーエックスジュニア)が数々のレースを圧倒するのを見てきましたから、その車を運転するのは楽しいですよ。
(ブルックス君が『お父さんお父さん花火!』と隣で大喜び)
そうだね、花火だね。サザン500で2連勝なんて最高ですよ、今年一番好きなレースです。レース ファンの皆さんのおかげでここは毎回満席ですし、ここの雰囲気は他では味わえないものです。プレイオフの出だしとして最高ですし、本当に楽しいです。」
ー 300周以上リードしました。今週初めに「まだポテンシャルを発揮できていない」と話していましたが、これはチームの実力を示すものですか?
「ええ、間違いなくそうだと思いますね。これまでも、今日ほどの圧倒的な強さを見せることはできませんでしたけどポテンシャルは最初からありました。改めて、ジョー ギブス、トヨタ、ジョニー モリス、そしてJ.P.モリスのおかげで、この赤、白、青のバスプロショップスの車をビクトリーレーンに上げることができて感謝しています。まさにアメリカらしいブランドです。この車に星条旗が描かれているのは本当に素晴らしいですね。」
ー ブルックス君、ビクトリーレーンに行くって言ってたよね。次は何しようか。
チェイス「(小声で)大きいバーンナウト。」
ブルックス「大きいバーンナウトする。」
ー 圧倒的な速さでサザン500を制し、プレイオフ次ラウンド進出を決めたチェイス ブリスコーとブルックス ブリスコーでした。
※ですます調で整えてみました
なかなかほほえましい光景でした。2位は「一度リードした時にちょっとタイトになって抜き返された。最後はバランスがそこまで良くなかった。勝ちたかったから2位で悔しい。」とレディック。プレイオフ選手ではないジョーンズ、ネメチェック、アルメンディンガーが3位から5位に割り込み、6位にはとにかく今日は取りこぼしをせず、野球の『単打』を合言葉に堅実に戦ったウォーレスが入りました。
7位からハムリン、カイル、ホースバー、クリス ブッシャーのトップ10、ホースバーはスピンする最悪のハンドリングの車で何でここにいるんでしょう(笑)上位10人中プレイオフ選手が4人だけという波乱のプレイオフ開幕となり、11位にチャステイン、12位がシンドリック。チェイスエリオット、ブレイニー、ラーソンが17~19位に並び、ディロンが23位、ベルは2周遅れの29位、ボウマンとギスバーゲンも2周遅れで31位・32位でした。ベリーは修理して128周遅れでチェッカーを受けたものの誰も抜けず。ただエクスフィニティー ファステスト ラップの1点だけは持って行きました。合計2点獲得です。
さすがにNASCARもこれを見て制度の課題を認識したようで、このレース後に来年はリードラップにいることがポイント獲得の条件となるよう制度を見直す可能性を示唆しました。そもそもは脱落した選手にレース復帰の意欲を与えることが大きな目的でしたが、場合によっては全然レースに参加できてない人がポッと1周だけ新品タイヤで走って1点獲れてしまうのは最初から分かっていました。F1で制度が見直されるなどファステストのボーナスは廃止や条件設定が当たり前の中で、それに逆行するように今年になって何の縛りも無くファステストボーナスを作ったNASCARはアホなのか(笑)
プレイオフ初戦を終えての順位はご覧の通り。NASCAR公式動画では次ラウンド進出に必要な点数を2079点と試算し、各ドライバーが残る2戦で平均何点(何位)獲得すれば良いかというのを併記していました。
ボウマンとベリーは既にヤバいですね。ギスバーゲンは元々持っているプレイオフ ポイントがモノを言っており、このレースで下位だったわりにはまだ当落線の上にいます。ただ普通に行けばロガーノにひっくり返されるでしょう。じゃあ14位のディロンは誰かに追いつくか、というとどうでしょうかね、4弱が誰なのかはなんとなく見えており、彼らは優勝での進出を狙うのみ、という感じです。8位のチャステインから上の人は最悪リタイアが1回あってもギリギリ助かるかも、ぐらいの点差には既になっていますね。
レース時間3時間51分7秒だったサザン500、ちょっと色々忙しくて見るのに時間がかかりましたが、ブリスコーが勝ってしまうとは予想外でした。正直ステージ1の終盤には2位のレディックの方が速そうに見えたので、これは日没後にタイトになって苦しむやつだろう、と予想したのですが驚くほど良いバランスを維持していました。じゃあコンディション変化が少なかったのかと言うと、バイロンですら上手く行かない部分があったぐらいで簡単なレースではなかったはずです。レガシーMCが2人ともツボにハマっていたところを見ると、ちょっと想定と違う路面だったのかもしれません。
結局ブリスコー陣営は9回あった4輪交換のピット作業で平均時間9.664秒と全体2番手(1位はアルメンディンガー陣営の9.658秒)。ピットでも全く問題が無く、ライバル勢がピットでもコース上でもコーション運でも次々と脱落する中でずっと正解の道を突き進んでいました。彼のインタビューでもあった通りトゥルーエックスを見ているようで、最後はかなりジョーンズに肩入れしてしまいました。(←あえてレディックではない)
ダーリントンは大外を走る設計なのでダートが得意な選手が強い傾向がありますが、それにしてもチームが違っても速いということはよほど何かコツを掴んでおり、しかもそれをチームに対してきちんと持ち込んでセッティングに活かしてまとめあげていたと思うので、その過程を経て手にした今回の圧勝劇は今後大きく飛躍するきっかけとなってもおかしくないなと思いました。恩師・トニー スチュワートのようにいきなりプレイオフで5勝!とかはさすがに無いでしょうけど。
次戦はプレイオフでは初開催となるゲートウェイ、1.25マイルで左右非対称のなんか平べったーいトラックです。
コメント
ブルックス君よかったですよね(笑)レディックは疲れたのもあるんだろうけど低身長でへたり込んで、なんか抜け殻みたいに見えてあれは慰めたくなりますよ。たぶん彼の中で「あー、〇周目のあそこであと△インチ内側を通ってれば・・・」みたいなのがあるんだろうと思います。あとたぶん後ろでちょろちょろしてるジョーンズが鬱陶しかったんじゃないかと^^;
AJとダーリントンは統計的に言えば、カップでは過去に15位以内に入ったことが2回しか無いしエクスフィニティーでも大した結果が残せていないので相性は良くない分類になると思うんですけど、ディロンと同じでホームステッド、リッチモンドなどの鬼消耗トラックでは相対的な強みがあるので、そのあたりを意識した発言ではないかと思いますね。実際このレースでは強みが出ていたと思います。ここはホント難しいんですよ。
メイヤーもハースファクトリー移籍前はロードコースで勝っていたイメージが強いです。
今回もサウザン500を2勝しているエリックジョーンズを応援していましたが、レガシーモータークラブもネメチェック含めてトップ5に2台いるあたり、訴訟問題を抱えつつも最近好調な感じがあるのでチーム名変更後&トヨタにスイッチ後の初勝利を期待したくなります。
ブリスコーはSHRでの昨年に続いて違うチームでのサウザン500連覇も流石ですが、JGRは本当にダーリントンが得意ですね。
春秋合わせてチームで通算12勝を挙げているのも凄いですが、ドライバーを選ばず勝てている感じがあります。