NASCAR 第3戦 オースティン

NASCAR Cup Series
EchoPark Automotive Grand Prix
Circuit of The Americas NASCAR Layout 2.41miles×95Laps(20/25/50)=228.95miles
winner:Christopher Bell(Joe Gibbs Racing/DEWALT Toyota Camry XSE)

 NASCAR カップ シリーズ、開幕からの2戦はデイトナ、アトランタとドラフティング トラックでド派手に始まりましたが、3月最初のレースとなる第3戦は一転してロード コース。テキサス州オースティンのサーキット オブ ジ アメリカズ・通称CoTA。シーズンに6戦設定されているロードコース戦の初戦となります、まともなオーバルのレースがなかなか出て来ないなあ(笑)
 2021年から始まったこのレース、F1と同じ1周3.41マイルのトラックで68周のレースが開催されていましたが、今回はコースの途中を1マイルほど端折ったナショナル レイアウトでの開催です。S字区間のターン6を通過したら坂を上らず左に曲がるターン6aへと入り、続くターン6bを曲がるとバックストレートの終盤部分で合流します。F1で抜きどころになっているバックストレート終わりのヘアピンがターン12、アメリカでは短縮レイアウトを使用しても元々のレイアウトのターン名は変えずに呼ぶことが多いので数字が飛んでいます。
 短くなったので周回数は95周に増加し1周にかかる時間は30秒ほど短くなります。ステージ1・2が短くて最終ステージがレースの過半を占めるのは従来と同じパターンですね。なお1周の長さは便宜上2.41マイルとしましたが、情報源によって2.3マイル、2.356マイル、2.4マイルなどバラバラに存在していてどれが正しいのか分かりません、まあNASCARあるあるです。
 さらに言えば、私も実際にレースを見てちょっと変だなと思っていたんですが昨年11月にNASCARが発表したコース図と実際に使用したコースではショートカット部分で使用する道路が微妙に違っており、『11月公表のコース図』『チケット販売サイトで表示された施設案内図』『レース1週間ほど前にNASCARがSNSに載せた図』で全部ターン6aの形状が異なっていて明らかに情報が錯綜していました。
 結果としては他のカテゴリーで使用実績があるナショナルレイアウトとは違っているようなので、記事冒頭のコース名もNASCARレイアウトに変更しました。ちなみにYouTubeにはチャステインがiRacingでこのコースを体験走行している動画があったんですが、走っていたのはナショナルレイアウト。たぶんオフの段階でどのドライバーもシミュレーターのテストはやったと思うんですが、下手したら最初は間違ってナショナルレイアウトで走ってるんじゃないかと・・・

 過去4回のCoTAの勝者はチェイス エリオット、ロス チャステイン、タイラー レディック、ウイリアム バイロンの4人。このレースの参加者でロードコースの優勝経験があるのは彼らを含めて16人います。2022年のCoTAはオーバータイムのリスタートからチャステイン、アレックス ボウマン、A.J.アルメンディンガーの3人が激しく争った末、最後はチャステインがAJを突き飛ばしたら、吹っ飛んだAJがボウマンを道連れにクラッシュしてチャステインが勝つというもう笑うしかない衝撃的な結末でした。

 今年はレイアウトの変更に加えてグッドイヤーが新しいコンパウンドと構造を持ったタイヤを持ち込んでおり、彼らの説明によると速くなるけど摩耗も起こりやすいタイヤになっているようです。オーバルだとだいたい90マイルほどの航続距離がありますが加減速が多いと短くなるので、だいたい80マイル程度の航続距離で30周ぐらいかなあと思います。ステージ1・2は短いので優勝を狙うならいずれもステージ間コーション前にピットに入り、最終ステージはチェッカーから逆算して62~70周目あたりで最後の給油とタイヤ交換を行う3ストップが基本戦略になるでしょうか。
 タイヤの摩耗が激しくなっているのならあまり早くタイヤを換えてしまうと、いくらその後にコーションを運良く拾って順位を上げても守り切れないですから、コーションのリスクと理論上最も早く走れるであろうタイヤ側の周回数配分、もちろんドライバーがうまくもたせてあげないといけませんね。

 近年はロードコースと言うと色んなスポット参戦選手がいましたが、今回レギュラー組以外で参加するのはコナー ジリッチだけ。レッドブルの支援を受けてトラックハウス レーシングのNo.87でカップシリーズ初出場です。昨年のCoTAではクラフツマン トラック シリーズに初めて出場し、予選でいきなりポール ポジションを獲りましたがスタート直後のターン1で全然止まれず画面の外へ消えるという珍プレー、結果は4位でした。規格外の雰囲気が漂う18歳のルーキーには注目です。

・レース前の話題

 今週は特に何もなさそうだなと思ったらちょっと面白そうな話題があったので1つだけ。エクスフィニティー シリーズのジョーイ ゲイズ モータースポーツは、今シーズンのワトキンス グレン、ポートランド、シャーロット ローバルの3戦でオースティン ヒルを起用すると発表しました。え?ヒルってリチャード チルドレス レーシングのレギュラーですよね?先週も優勝しましたよね?と思ったらなんと同姓同名の別人。お馴染みのヒルはジョージア州出身の30歳ですが、こちらはオハイオ州出身の18歳で現役大学生。MX-5のレースなどに出場しているロード レーサーだそうです。さすがに同姓同名が2人同時にレースに出るのは珍しいですけど中継ではどうするんでしょうかね^^;

・Xfinity Series Focused Health 250

 今年はトラックではなくエクスフィニティーが併催。カップシリーズからチャステイン、バイロンも参戦しましたがポールシッターはジリッチでした。ステージ1をリードしていましたが、ステージ終了前にピットに入ろうとしたらちょうどコーションが出てしまい、閉鎖中のピットに入って作業したとしてペナルティーを受けてしまいます。
 それでもジリッチは速さがあるため最終ステージに入る頃には上位に復活。46周目には3位を争っていたコリー ハイムを接触で吹っ飛ばすと、カーソン クワポーとの争いでは逆にぶつけられながらも56周目にリードを奪いました。接触の影響でタイヤとフェンダーが干渉してパンクの危険があるため慎重に走り、最後はバイロンから猛追を受けたものの逃げ切ったジリッチが昨年のワトキンスグレン以来の通算2勝目を挙げました。エクスフィニティーのロードコース戦はこれで2戦2勝です。バイロンが2位、チャステインも8位でした。

・カップシリーズ 
 予選

 ブッシュ ライト ポールを獲得したのは1分38秒076を記録したレディックでした。2位は0.224秒差でバッバ ウォーレスが続いたので23XI レーシングが1列目を独占。Gen7導入以降ロードコースで勝てないでいるチェイスが3位と好位置です。カーソン ホースバー、ダニエル スアレス、シェイン バン ギスバーゲン、カイル ラーソン、カイル ブッシュと続きました。ロードコースと言えば期待したくなるアルメンディンガーは12位、ジリッチは14位。レディックは身長が低いけどウォーレスは全体にゴツイので非常に対照的な2人ですね、今日はスーツも白と黒だし(笑)

 とはいえ予選タイムだけでは実力を完全に見極められないのが今年からのロードコース予選制度。指数に基づいて2組に分け、まず下位組のグループ1、続いて上位組のグループ2が走行して全体の記録で順位を決定します。つまり先に走るグループ1は路面状態の関係で基本的に不利になる設計となっており、この組の選手だけの順位だとスアレス、ギスバーゲン、アルメンディンガー、タイ ギブス、ジリッチ、バイロンというトップ6でした。ギスバーゲンは2回あった練習走行がいずれも最速、優勝候補の一角と目されています。

・ステージ1

 さあ事故多発スポットのターン1に最初に飛び込むのは誰だ!ん?誰かミサイルやらかしそうな動きの人g
(´・ω・`)

 空撮だとちっさすぎて誰かよく分かりませんが、どうやらチェイスにスイカが投げつけられた模様。チャステインがチェイスを撃墜してしまい、この後チェイス陣営は無線で報復を示唆、チャステイン側も「後ろに来たら報復してくるぞ。」と警戒。レディック、ウォーレスはトップ2を維持して、この混乱で3位にはSVGことギスバーゲンが浮上。さらにどっかしらでデニー ハムリンは右前のフェンダーを破損、ジリッチもタイヤをパンクさせて1周目からピットへ駆け込みました。
 その後もあっちゃこっちゃで接触が起きますがコーションは出ずにレース続行、上位では3位のSVGが速そうで、重圧に負けたか5周目にウォーレスがターン5でのトラック リミット違反を取られてしまいます。今年の規則ではターン13の外側にペナルティー消化ゾーンが設けてあり、違反したらそこへ行って一旦停止することが求められます、フォーミュラEをパクりましたね(笑)昨年までの『問答無用でパススルー』よりは少ない損害ですが、遠回りして一旦停止なので5秒以上は失います。これでウォーレスは8位へ交替しギスバーゲンが2位浮上。


 SVGは9周目、ターン6aという意外な場所でレディックの内側に飛び込んでとうとうリードを奪いました。レディックはタイヤの性能が落ちて来たのかこのあとカイルにも抜かれて3位後退。さすがにロードコースでの競争力は昔ほどではないかなと思うカイルですが、ここまでは個人的に予想外の健闘です。
 
 ステージが残り4周となると中団あたりからロードコース作戦でみんなピットへ、ギスバーゲンとカイルもステージ残り2周で同時に入り、ピット前は0.8秒ほどあった差がテール トゥー ノーズになってピットを出て行ったので、ここから残り2周はえらくハゲしい争いになりました。
 ピットに入らずステージ1で勝ったのはウォーレス、2位にジョーイ ロガーノ。ほぼ全員がピットに入ったのでステージ3位がギスバーゲンとなり、カイルは惜しくも抜けずに4位。5位にはピットに入らなかったチェイスが入りました。いきなり回されたのでとりあえず人と違うことをするしか無いですね。
実質的な1位はSVG

 「ABEMAで初めて見たけどなぜステージ終了前になるとみんなピットに入るのか分からないぞ」という方はこちらの記事の『コーションの損得』『ロードコース作戦』の項を併せてご覧いただければと思います。

・ステージ2

 ウォーレスとロガーノは当然ステージ間コーションでピットへ。チェイスはスイカが当たった左リアのトー リンクを交換して後方リスタートです。26周目、SVG/カイルの1列目でステージ2のリスタート、実質はステージ1と同じ20周での争いです。
 リスタートで出遅れながらもなんとかリードを守ったギスバーゲンでしたが、20周走ることを考えて抑えているのかバランスが悪化したのか、あまり勢いがなくて翌周のターン1でカイルにズバッと抜かれてしまいます。その後カイルは1.2秒ほどの差を付けますが5周もするとやや失速、ギスバーゲンが背後に迫って、というかもうターンで小突かれ始めてそろそろどきなさいという圧がかかりました。
 35周目、ギスバーゲンはまたターン6aでカイルをかわしリーダーに戻りました。振り向けば3位にはアルメンディンガー。やはりギスバーゲンはロング ランを重視しているようで、そのぶんリスタート直後は車がタイトで曲がらないので遅いようです。ステージ1でピット後に追い回されたのもたぶん同じ理由ですね。逆にリスタート直後は一瞬だけ2位だったレディックがズルズルと下がっており、タイヤが全然もっていない様子、おそらくGPコースを使うよりも相対的にリアの負担が増えるレイアウトでしょうね。

 その後はトップ3が4位以下を大きく引き離した状態となりステージ残り5周からピット サイクル。上位3人はアンダーカットされることをお互いに警戒したか、全員が残り3周で同時にピットに入りました。そしてピットを出たらステージ1の再現のようにまたギスバーゲンとカイルがテールトゥーノーズになっており、今回はカイルが前に出ることに成功。SVGは明らかに寝起きが悪いセッティングです。

 同じころ、ターン6bでさっきタイヤを換えたばかりのラーソンが右前輪を脱輪させていましたが、車輪はターン12の奥まで転がって行ったのでなんとノーコーション。ラーソンはピットで何か問題が起きたのかえらい長時間停車していたので関係があるかもしれません。脱輪させたラーソン陣営はクルー2名に出場停止処分が下ります。
 で、ステージ2でピットに入らずステージ勝者となったのはライアン プリースでした。ライアン ブレイニー、マイケル マクダウルのトップ3で4位にカイル、5位ギスバーゲン。この2人はロードコース作戦を採りつつ結果としてポイントもそこそこ集まっていますね。

▽トラックリミットが変わった!?

 ステージ2あたりで「トラックリミットが変わった」というような無線が出てきました。どうやらこの週末、NASCARは当初S字区間の内側に高い縁石を置いて近道を阻止しようと考えたようですが反対があったので撤回。そのため4輪が縁石よりも内側に入ったらダメ、というトラックリミットの規則を昨年までと同様に採用しました。ところがターン3~5が対象だったのに対し、同じくS字区間内で昨年は取り締まり対象だったターン6だけは対象から外れていたようです。
 しかしこの話が全チーム関係者に対して正確には伝わっていなかったようで、チームによってはターン6もはみ出たらダメだと認識、しかしはみ出しても違反を取られない選手がいるので確認したところ、上記の説明をされて「トラックリミットが変わった」という話になった模様です。ターン6はこれに続く鋭角なターン6aの入り口にあたるのでGPレイアウトのS字とは立ち位置が異なる、という見解だったようですが、レイアウトの件といいなんかバタバタしている印象は拭えません。
ここはガッツリカットしてOKだった


・ファイナル ステージ

 なんとマクダウルがピットに入らず50周目に最終ステージがリスタート。彼はステージ1のピットの際にクルーの違反でペナルティーを受けており、仕方ないのでステージ1終了後にもピットに入って完全に作戦がズレていました。これは人と違うことをしたからといってあんまり展望が見えない作戦に思えましたが、弱者の兵法で失うものが無いと言ってしまえばやる価値はある、ということにしておきましょう。
 マクダウルは意外なことにターン6までリードを維持しましたがターン6aでカイルが前へ。ギスバーゲンはここもやっぱり寝起きが悪くて順位を下げカイル、アルメンディンガー、ギスバーゲンのトップ3になります。すると最終手前のターン19でダニエル スアレスが単独スピン、運悪く通りがかりのジリッチがこれに直撃して2台でクラッシュ、本日初めてアクシデントによるコーションが出ました。ジリッチ、チームメイトのミスに巻き込まれるというある意味ド派手なデビュー戦でしたが最後まで見たかったぜ・・・

 このコーションで大損したのがボウマンでした。ちょうど直前にターン5でトラックリミット違反を取られており、アンダー グリーンなら消化ゾーン通過だけで良かったものが、消化前にコーションが出たので隊列最後尾スタートペナルティーに置き換えられてしまいます。これには無線で激怒。
 
 55周目にリスタート、アルメンディンガーが好リスタートからカイルを抜きにかかりましたが、ちょっとターン1で頑張りすぎて逆に出口で失速。その隙に3列目リスタートのクリストファー ベルがしれっと2位に浮上し、チェイス ブリスコー、バイロンが続きました。アルメンディンガーは5位に後退し、リスタートが毎回遅いギスバーゲンはさらに後ろの6位。コーションが連発する展開だとちょっと厳しそうです。
 ここからはカイルとベルが後続を離した状態でレースが進みました、この2人は昨年のここのレース、ターン1で接触してちょっと遺恨があるというか、お互いさまなレーシング インシデントなのにカイルがやけに一方的に報復宣言していた組み合わせです。たぶんもう2人とも気にしてないとは思いますが。

 車載映像でベルは低速からの加速時にちょっと空転が多いなあという印象を受けたんですが、やはりその影響なのか65周目あたりから徐々にカイルから離されてしまいます。カイルの方はタイヤの性能は落ちつつもバランスは保たれている様子。

 そして迎えた68周目/残り27周、3位のバイロンをはじめ多くのドライバーが一斉にピットへ、最後のピットサイクルが始まりました。アンダーカット阻止のためカイルも翌周にピットへ、特に失敗もなく4輪交換と給油を終わらせてバイロンの前方で戻ることに成功しました。しかもバイロンとの間にまだタイヤを換えていない人を数人挟んでいます、これはラッキー。
 その他上位勢は普通にやってもカイルには対抗できないのでタイヤ履歴差を作って勝負する道を選び、アルメンディンガーが70周目、ベルは71周目、ギスバーゲンに至っては74周目まで引っ張りました。でもこれだけ引っ張ると当然順位は下がってしまい、ピット後はカイルから約15秒遅れの8位となりました。残りは21周です。

 バイロンに対して2秒ほどの差を付けているカイル、タイヤの新しいベルはその2秒後ろなので相手のペースを見ながらうまくタイヤを使っていけば、というところでしたがここで悲しいお知らせ

 ターン6aへのブレーキでハムリンが全く止まれずオースティン ディロンにタックル。ディロンが砂場にハマって動けなかったのでコーションが出ました。追いかけているベルのチームメイトがやらかしたミスでカイルのチームメイトが砂場に埋まってコーション、なんとも言えない組み合わせです。これで中団の人たちは一斉にピットへ、みんな早め早めでタイヤを換えていたので、ここで新しいタイヤに交換して仕切り直しです、この後レースが荒れたらこの人たちの誰かにチャンスあり。

 ディロンの車両がコースに復帰した際に山のように砂利を撒き散らしていったため、清掃車両が複数台投入されてコーション周回がやや長引き、リスタートしたのは残り13周。カイルの攻略を狙ったバイロンでしたが、後ろにいたアルメンディンガーからオカマを掘られて内側が空いてしまい、ターン1から先でギスバーゲンを含めた3人によるごちゃごちゃした争いになってカイルを逃がしてしまいます。おかげさまでカイルの後ろにへばりついていたベルが2位に浮上。
 ベルは2周新しいタイヤで一気に攻め込んで勝負を付けに行く構え、87周目のターン1でカイルの内側に飛び込もうとしますが、これは止まり切れませんでした。一歩間違えたら吹っ飛ばすところでしたが、カイルはちゃんと見ていて回避、ベルもぶつけないよう回避行動を取ったので台無しにはならずに優勝争いは続きます。ぶつけてたら今度はもうぶん殴られるところだった^^;
 2周もするとまたベルは追いつき、さすがにタイヤも厳しくなってきたらしいカイルは鬼ブロックライン。しかし全てのコーナーでベルにつつかれ続けてさすがに限界を迎え、90周目の最終コーナーでとうとうベルにリードを明け渡します。ただこの争いの間にベルのすぐ後ろにバイロンとレディックも来ており、だいぶタイヤを使わされたベルは抜いたからと言って全く楽にはなっていません。

 ベルはかなり車がルースになってタイヤが終わりかけている様子ですがなんとか最終周へ。三つ巴なのでバイロンも『どっかでバンパー押したらいいや』にはならない展開です。やはり仕掛けるならラインが複数あって、なおかつ低速なので押しやすいターン15。当然ぶつけられることを警戒したベルが鬼ブロック、するのを見越してバイロンはわりと正攻法で外から立ち上がり重視のライン!ただ、おそらくタイミングが合わなくてうまくクロスで抜くことができませんでした。
 もし追いかけてるのがチャステインやギスバーゲンだったら最後の最後で一発当てにいったかもしれませんが、バイロンはそういうキャラでは無いので普通にミス待ちの追走。結果、ベルがターン20を最初に立ち上がり0.433秒差でバイロンを退けました。アトランタに続いて2連勝で通算11勝目、デイトナとシャーロットのロードコースではそれぞれ1勝しており、これでロードコース通算3勝目、ちゃんとしたロードコースでは初勝利です。

「カイルがリードしている時は慎重になろうと思ったよ。もちろん、昨年何が起きたかは分かっている。そんなことは起きてほしくなかった。彼をきれいに追い抜きたかった。彼はレースをうまくやっていて、コーナーをうまく脱出していたから彼の内側に飛び込むことができなかったんだ。でも僕が鼻先を入れ始めたら、彼は不安定になって前に出ることができた。前に出たら『よし、自分に負けるなよ』って感じだった、5~6周は無茶苦茶な走りだったけどね。」


 ベルは去年ぶつけたことを気にしてレースしていたようです。2位のバイロンは

「いやあ、本当に僅差だったね。ベルとカイルの戦いは、どちらかがタイヤを滑らせたり暴れたりするのを待っているような感じだった。ベルが抜いたけど彼の車はすごくルースで僕も何度か彼に迫ることができたけど、横に並ぶことができなかった。僕たちはいつも一緒にいいレースをしてきたから、あからさまに彼にぶつけたり、そういうことはしたくなかった。最後はすごく滑って。だから極端に近寄るのは最悪だろ?ゴール前にバンパーをぶつけるなんて最悪さ。これからたくさんのレースが待っているし、このままスピードを出し続けられればいいかな。」

 ベルとバイロン、現在のカップシリーズにおける最強オールラウンダーであると同時にクリーンレーサーである2人のレースに、最後にぶつければ良いなんて発想は無粋でした。3位にレディック、4位には最後のコーションでタイヤを交換して抜きまくったチェイスが入りました、ターン1でのスイカミサイルから見事な復活。カイル、ギスバーゲン、クリス ブッシャー、ノア グレッグソン、ボウマン、トッド ギリランドのトップ10でした。
 アルメンディンガーはレース残り5周ほどのところ、画面に映っていない場所で何かがあったらしく30位。じゃあ何があったのかというと、最後のリスタートからむちゃくちゃ攻めて走っていたらタイヤが終わったどころか完全に壊れてしまったようです。グッドイヤーの新しいタイヤ、酷使するとマジで壊れるみたいですね。

・シンドリックにペナルティー

 レース後にオースティン シンドリックに対して『罰金5万ドルと選手権ポイント50点減点』というけっこうデカいペナルティーが出ました。彼はレース序盤、3周目の最終コーナーを立ち上がった先でタイ ディロンに対して、その直前にあった接触への報復で故意に接触してスピンさせており、NASCARはこれが車両を使った意図的で危険な報復行為とみなしました、何やってまんねん。

 いやあそれにしてもベルの2連勝とは驚きました、先週ほどではないですが今週も19位スタートでラップ リードはたったの8周(うち2周はピットサイクル時の作戦ズレ)です。ステージ2ではタイヤが終わってしまいましたが、チームがそれを見て必要なアジャストを行い、本人も走り方をすごく気を付けたんだろうと思います。カイルもバイロンもクリーンに戦ってくれたというのがまた大きかったですね。絶対荒れると思ったのでえらく綺麗に終わって驚きましたが素晴らしいレースでした。
 一方、単純に95周の耐久レースを走る車としてはギスバーゲンが最も上手く仕上げていたと思いましたが、最初の5周ぐらいがタイト気味なバランスになっているのはリスタートに不向きで、しかも早い段階でそれが丸わかりだったのでライバルも容赦なく襲い掛かってきました。レースの後半に向けては陽が傾いたり曇ったりで少しずつ路面温度も下がったと思うので、これで余計にタイトになってしまったように見えました。全体で見れば昨年のワトキンスグレンほど良い車ではなかったでしょう。
 最後は履歴差を作るよりも、もしろタイヤのもちを活かして思いっきりアンダーカットに行くギャンブルの方が面白かったかなとも思いましたが、どのみちトップ3圏外に外れた時点で今日は彼のレースではなくなっていました。といっても、忘れがちですが彼はまだ本格的にNASCARに転向して2年目なわけで、既に優勝ありきで見てしまうこちらのハードルが高すぎるというのもありますね、もう既に『勝てるか』ではなく『どこで勝つか』の段階にいる時点で並外れています。

 次戦はようやくまともなオーバル、、、でもない1マイルのフェニックスです。

コメント

日日不穏日記 さんの投稿…
2022年のレースでは、AJ推しの僕は、チャステインに恨みを抱いているのですが(笑)。レディック、ラーソン、ベル、ギスバーゲンなど、ロードに強いドライバーが揃っているので、誰が勝つか予想出来ません。去年はアメリカGPでPPのノリスとバイロンで37秒の差が付いていて、F1とNASCARを比較しても仕方ないんですが、過去のレースは、雨天で短縮、オーバータイムと、既定の68周で終わったのは、去年しかないんですね。コースレイアウトが変わって、どうなるか楽しみではあります。ヒルは、服部レーシング出身のドライバーだし、カイルの後のRCRで活躍して欲しい気はします。
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 ロードコースは去年のエクスフィニティーを見ていてもAJとギスバーゲンと他数名がかなりガシガシやり合ってるので、みんなロードが上手くなってレースがスマートになった時期を経てまた格闘レースが戻りつつある印象を受けます。
 ちなみにショートコースの予選タイム、他のレースの記録を見たらだいたい併催レースのGT4カテゴリーと似たようなタイムみたいで、やっぱり1周の速さだけで見たらストックカーって遅いなと思いました(笑)
日日不穏日記 さんの投稿…
オープニングラップの1コーナーは危ないと思いましたが、案の定、マルチクラッシュ発生。このレースはチャステイン、スアレス、ジリッチとトラックハウス祭りw。ラーソンを「最怖」と書いたんですが、ルースフィール。ラーソンって、この手のトラブル結構多くないですか?カイルには少し期待しましたが、ロードは、ソノマ、グレン2勝づつで、最後(ソノマ)がチャンピオン獲得した2015年でしたから、期待はあまりしてませんでした。5位はよく頑張ったと思います。レース後のインタヴューも穏やかでしたし。トップ3は、近い将来にチャンピオンが望めるメンバーだし、期待したいと思います。
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 ロードコースではあるんですけど、今回のカイルを見てるとなんかまだまだ今の車に対する理解を進めていて伸びしろがあるんじゃないかなあと思えたので、RCR移籍直後のようにうまくハマる時がまた来るんじゃないかと期待できる内容でした。昨年のズタボロメンタルも一旦リセットされてるでしょうし。
アールグレイ さんの投稿…
ジリッシュのレッドブルスキームは、何かレッドブルレーシングが復活したような感じがあって嬉しくなりますね。
ギスバーゲンも5レースでこのスキームで走る予定なので、彼のV8スーパーカー時代と同じレッドブルスキームが見られると思うと楽しみです。

ただ流石のジリッシュでもカップ戦はやはり甘くないんだなと思わされました。
カイルがSNSで自分もカップデビュー戦は最下位だったと慰めていたのが印象的でした。

ベルは一度他のカテゴリーに挑戦してみてほしいぐらいに、ロードコースも強いですね。
リードラップ数周で、最後に勝利を掴む部分もハービックの様にザ・クローザー的な強さもあるのかと思うと勝負強いんだなと。
そしてベル、ラーソン、レディック、バイロンとロードコーススペシャリストに対抗できるドライバーが多くなったことも頼もしいです。
勿論メキシコ戦ではスアレスも狙ってくるでしょうし、簡単にスペシャリストに勝たせるわけにはいかないレギュラー陣も含めてロードコースは結果が読めないから面白いです。
SCfromLA さんの投稿…
>アールグレイさん

 ベルはおそらくトレイルブレーキを使いつつタイヤをあまりこじらない乗り方が長けてるのと、タイヤの状態が怪しくてもごまかせる印象がありますね、たぶんGT3なんかもそこそこ器用に乗るんじゃないかと思います。
 レッドブルはオーストラリア時代からSVGに付いてきた形だと思いますが、どのぐらいのお金かはさておきトラックハウスとすると財政面でけっこうありがたい存在だろうと思いますね。レッドブルと入れ替わりでピットブルは抜けちゃいましたけど(笑)