NASCAR プレイオフ 第2戦 ワトキンスグレン

NASCAR Cup Series
Go Bowling at the Glen
Watkins Glen International 2.45miles×90Laps(20/20/50)=220.5miles
※NASCARオーバータイムにより92周に延長
winner:Chris Buescher(RFK Racing/BuildSubmarines.com Ford Mustang Dark Horse)


 NASCAR カップシリーズのプレイオフ第2戦はロードコースのワトキンスグレン。カップシリーズ通算41回目の開催ですが、例年より少し開催時期が後ずれして今回が初めてのプレイオフ開催となりました。ワトキンスグレンのコース中盤を使わない短いレイアウトでの開催で、コースとしては全開区間を3つの90度コーナー、1つのシケイン、1つの180度コーナーで繋いだだけのシンプルな構成。
 コース外は即ガードレールで事故るとヤバい場所もありますが、シケインは縁石に乗りまくって通過する高速、90度と180度のコーナーもバンク角がある上に道幅も広いので全て中速コーナーとなっており低速コーナーは無いと言えます。平均速度が非常に高いトラックで、そのわりにレース距離が短いので過去にレース時間が3時間を超えたことがありません。
 今年の開催にあたってはコースに2か所変更が加えられました。まずターン1では縁石の外側にランブル ストリップス=ガタガタして走りにくくするやつが新たに設置されています。外側は無制限に使いたい放題のNASCAR、特にターン1ははるか遠くまで外へ膨らんで速度を稼ぐライン取りがありますが、これにある程度抑止力を働かせるためです。

 2か所目はバス ストップと呼ばれるシケイン。たっかい縁石にガンガン乗って行くのが特徴ですが、特にGen7車両になって縁石の突き上げがドライバーに与える衝撃が非常に大きいようで、あんまりずっとガンガン衝撃を受けるとたぶん脳震盪とか安全性で問題が出る恐れがあるために、最初の部分の縁石がほぼ丸ごと排除されました。内側に少しだけ高い出っ張りが残ってはいますが、ほぼ平坦な路面なので従来以上に速度を乗せての進入が可能となります。

 この解説動画では、進入はより直線的で速くなる一方でここから先のシケインの形状が変わったわけではない=去年までと同じ速度に下げないといけないので走り方に気を付けないといけない点と、あと当たり前ですが内側の壁にぶつけないように注意だと言っていました。確かにグランツーリスモでも一発を狙ったタイムアタックをやってると稀にこのガードレールにぶつけることありますねw

 昨年の勝者はバイロンでこれがロードコース初勝利。ヘンドリック モータースポーツはここ最近のグレンで圧倒的に強く、2021年・2022年はラーソン、2018年・2019年はチェイスがいずれも2年連続優勝していて、チームとしてグレンで5連勝中です(2020年は中止)。それ以前は2001年のジェフ ゴードンまで優勝が無いので近年いきなり強くなったといえる状況ですが、バイロンもまたグレン2連勝を達成できるでしょうか。なお24号車の大先輩であるゴードンは1997年~1999年に3連勝した記録があります。

 ちょっと斜めのデータで言うと、『プレイオフの2戦目』として捉えると昨年はカンザスで開催されており、ここではレディックが優勝しました。過去2年はカンザス、その前の4年はリッチモンド、2011年~2017年はニューハンプシャーがプレイオフ2戦目の開催地となっていましたが、『プレイオフ2戦目で優勝してその年のチャンピオンになった』のは2011年のスチュワートが最後です。先週の記事でも似たようなデータ引っ張りだしてやっぱりスチュワートの名前が出てきましたねえw

・レース前の話題

 グレン大好きヘンドリックからの話題、ラーソンが来年のインディー500に参戦することが正式に発表されました。「達成できなかった"ダブル"をやりたいんだ。本当に関係者全員がそれを望んでいたんだ。また出場が叶って嬉しいよ。」とラーソン。ただ、リック ヘンドリックは『もしまたインディー500に遅延が生じた場合』には「コカコーラ600に向かう。」と明言し、たとえ1位を走っている状況であってもNASCARを優先する考えを示しました。
 
 そのヘンドリックさんはNASCARとのチャーター契約についても口を開き、

「全員が満足していたわけではありません。しかしどんな交渉でも、望むものをすべて手に入れることはできません。ですから、私はこれが公正な取引だと感じ、私たちはチャーター権を守りました。それが第一です。私たちは収益の増加を手に入れました。気に入らないことの多くは取り除かれたと思います。ですから、私は現状に満足しています。」

と説明。また、23XIとFRMが依然として契約をしていないことに対しては疑問を口にしました。トラックハウス レーシングのオーナー・ジャスティン マークスもまたチャーター権交渉について取材に応じ、内容としてはヘンドリック御大と似たような内容でした。私もなんか先週似たようなことを書いた記憶があるようなないような。

・ARCA Menards Series General Tire 100 at the Glen

 昨年は17歳のコナー ジリッシュが記憶に残る衝撃のデビューを見せたこのイベント。昨年は予選2位だったジリッシュが今年はポールからスタートして他を圧倒、予定されていた20周目ごろのコーションまでに2位のウイリアム サワリッチに対して15秒の差を付けると、リスタート後の後半も20周で11秒の大差を付けて誰も寄せ付けませんでした。ジリッシュが優勝し今季6度目のARCA参戦で5勝目、去年はあとコーナー1つで届かなかった勝利を持ち帰りました。

・Xfinity Series Mission 200 at the Glen

 ジリッシュ恐るべし、なんとエクスフィニティーにも初参戦してポールを獲得、そのままギブスを寄せ付けずにステージ1を制します。ステージを走り切ってからステージ間コーションでピットに入ったのでステージ2は後方に下がる、ここまでは想定内の展開でしたが問題は最終ステージの開始早々に発生。ジャスティン オールガイアーが砂場にハマってコーションが出ましたが、コーション中にジリッシュを含むトップ3がバスストップを謎の集団ショートカット。規則の解釈に誤解があったっぽいですが全員が最後尾リスタートのペナルティーを食らいました。

 ジリッシュはリスタートからの残り35周をノーピットで走り切る賭けに出てリーダーとなり徹底的に燃費走行していましたが、なんとレースがオーバータイムに突入し、そのリスタートがまた事故を呼んで結果的にオーバータイム3連発という大荒れのレースとなってしまいます。そもそも燃料がギリギリのジリッシュはもう走り切れないと思いつつも強豪ドライバーを退けて全てのリスタートでリードを維持。するとレースの神様が味方し、残り半周でまたもや多重事故が起きたのでコーション発生。ガス欠を起こすことなくチェッカーへとたどり着きました。
 ジリッシュが史上7人目となるエクスフィニティーシリーズのデビュー戦勝利を飾り、ロガーノに次いで史上2番目に若い18歳1か月23日での優勝となりました。発音の癖の問題か、アナウンサーによって『ジリッシュ』だったり『ジリッチ』だったりするので、どっちにするか検討しますw



・カップシリーズ
 予選

 カップの予選はノンコンテンダーのチャステインが今年初のブッシュライトポールを獲得。2位に0.134秒差でトゥルーエックス、そして3位にはフル参戦ですらないのでプレイオフとか知ったこっちゃないシェイン バン ギスバーゲンが続きました。ボウマン、シンドリック、A.J.アルメンディンガー、ロガーノ、スアレスと続きます。
 バイロンは11位、チェイスが14位、ラーソンは20位とヘンドリック勢の予選はそこそこ。ハムリンは22位でとりあえず事故には遭いたくない感じ、そして今回23XI レーシングからスポット参戦するファンパブロ モントーヤは34位でした。モンちゃんがカップシリーズの出場するのは10年ぶりです。

・ステージ1

 1周目からいきなりの波乱、バスストップでラジョーイが縁石に乗りすぎてカイルを押してしまい、180度回ったカイルの後続で複数の接触事故が起きて大混乱となります。ここに運悪く下位スタートのコンテンダーが巻き添え、ハムリンは右前がカイルと衝突し真っ直ぐ走らない状態となり、ブレイニーも左前がケゼロウスキーの車とぶつかってステアリング系統が壊れた様子。ブレイニーはそのままレッカーで牽引されてリタイアです。ベルも巻き込まれましたが緊急回避でスピンしただけだったのでまだマシなもの、ハムリンはトー リンクを4分少々で交換してレースを続行するものの、万全ではなくポイント的にかなりマズい状況。

 6周目にリスタート。ターン1でまた混乱が発生してアルメンディンガーの車に問題が発生したようですが、なんとか事故は免れます。どうもアルメンディンガーはターン1を立ち上がる時にもう駆動系あたりに問題が起きてふらふらになり、まさかそんなことがあるとは思わない後続が詰まったみたいですね。
 後ろで色々起きてますがリーダーはチャステイン、これをMTJ、SVGが追いかけます。しかしトップ3の中ではMTJがややタイト気味なのか走りに苦しさが垣間見え、14周目の最終コーナーでとうとうSVGにかわされました。この人マジでロードコースは既にトップ級ですね、リーダーのスイカまでは約2秒差。
 しかし今日のチャステインはかなり速いようで、ギスバーゲンとの差を4秒近くまで引き離しましたがステージは残り4周から3周へと向かうところ。ここでギスバーゲンをはじめ多くのドライバーがお約束のロードコース作戦でピットへ向かいます。
 続いてステージ残り2周ではチャステインもピットへ、しかしプレイオフ選手はステージ ポイント目当てにステイアウトを選択、トゥルーエックスがステージ1を制して10点を獲得、ボウマン、ブリスコー、スアレス、シンドリック、チェイス、レディック、ラーソン、とトップ8をコンテンダーが占めました。

・ステージ2

 ポイントを貰ったステイアウト組はステージ間コーションでピットに入ったので、ステージ2はふたたびチャステインがリーダー、グレンのリスタートでは2番目の人が素直に1列目の外を選ぶか、あえてリーダーにくっついて2列目の内側を選ぶのかが難しいところですが、ギスバーゲンは後ろについてリスタートしました。しかしこのリスタートでは1列目の外になったマクダウルが会心の動きを見せギスバーゲンから2位を奪います。後方ではなんとレディックがターン1でスアレスに押されてスピン。スアレスも周囲からもみくちゃにされてたのでこれはしゃあないですが、コンテンダーに色々起きすぎw

 2位になったマクダウルですがステージ1の残り4周でピットに入ったので周囲のドライバーよりタイヤが1~2周古い上、速さの面でもちょっと負けている様子。27周目には早くもギスバーゲンに抜かれました。なおも後続車両が続いており前を行くギスバーゲンには全然付いて行けない様子です。リーダー争いはやはりスイカバーゲンの戦い。

 とはいえここもたった20周しかないステージ2、あっという間に残りが4周となりロードコース作戦発動、アンダーカットも組み合わせたい人は残り3周ではなくもう少し早めにピットへ向かいます。ところがここでケゼロウスキーのクルーは外した車輪を掴み損ね、ここのピットは傾斜があるので走行レーン側に転がって行ってしまいました。1回目のピットでは速度違反でペナルティーを食らったケゼロウスキー、これで2連続ピット違反となり順位が全然上がりません。
 さらに波乱は続き、残り3周でも多くの車両がピットに入りましたがトラック上でスアレスがスピン。ターン6の深い砂に後輪が埋まって動けずにコーションとなってしまい、残り2周でピットに入る予定だったチャステインとギスバーゲンは強制的にステイアウトとなりました。
 ステージ2はコーション下で終了となりチャステイン、ギスバーゲン、ロガーノ、ギブス、バイロンのトップ5。バートン、ブリスコー、ボウマン、ライアン プリース、そしてボロボロのハムリンが10位で1点を獲得しました。しかし優勝が欲しくてポイントはそんなにいらない上位2名、予想外の状況で作戦を組み立て直すしかなくなりました。


・ファイナル ステージ

 燃料的にはここでピットに入っても入らなくてもあと1回の給油であることに変わりないので、チャステインもSVGもステイアウトを選択。ただ3列目以降にはステージ終了前にタイヤを換えた人たちが続いています。ピット組ではラーソンが他車の作業を妨害したとしてペナルティー、グレンは数少ない右側ピットのトラックなのでドライバーもクルーも普段やらない失敗をやりがちです。
 43周目にリスタート、とりあえず上位3人がステイアウト組だったのでスイカバーゲンのトップ2に変動なし。彼らにとって最も良いシナリオはピットに入る直前のほどほどのタイミングでコーションが出て作戦の差がリセットされることですが、

 47周目、下位にいた3人のコンテンダーがコーションを招きました。ターン1で大きく外を走ったハムリン、戻ってきたところはケゼロウスキーとラーソンが並走しており3ワイドになって接触。ハムリンはガードレールに当たってますます車がボロボロになりました。誰かが引かないと3台並走は無理でしたが、真ん中にいるケゼロウスキーにはどうしようもなく、ラーソンも位置的にハムリンの存在を認識して戻せと言いにくい話なので、うーんどうしたものか。
 まだこれでは残りが40周以上あって給油しても距離が遠すぎるので大半はステイアウトを選択、50周目にリスタート。作戦がリセットされずタイヤ交換組との差だけリセットされたトップ2、とにかく給油できるようになるまで飛ばしていくしかないですが、53周目あたりからギスバーゲンの方がチャステインよりもターンで速そうで、徐々にチャステインが攻められる場面が出てきます。
 ギスバーゲンとしても後ろからタイヤの新しい人たちが来ているので早いこと抜きたいんだと思いますが、とうとう56周目の最終コーナーでチャステインの内側へ。しかしこれは距離が遠すぎて無理がありチャステインに頭を抑えられると、これで失速したので逆に後ろにいたブッシャーに抜かれてしまいました。ブッシャーは続く57周目の最終コーナーで豪快にチャステインを大外刈りしてリードを奪い、現時点で最も優勝に近い存在となります。そういえばチャステインとギスバーゲンって来年はチームメイトでしたね。

 抜かれたチャステインとギスバーゲンは58周目に同時にピットへ、残り32周なので燃料的にはこの辺が安全に走り切れそうな距離です。これを見てブッシャーもアンダーカット阻止のため翌周にピットに入り、映像には全然映らないですがきちんと2人の前で合流した模様です。映ってない間にどっかでギスバーゲンはチャステインを抜いていますが、給油時間が長いせいか数名にはこのサイクルでオーバーカットされているようです。NASCAR中継ってオーバルだと実質的な1位争いを追っかけてくれるのに、なぜかロードコースだとそうせずに見た目上の1位を追いかけてるイメージありますね^^;

 チームによって最後のタイヤ交換をどこまで遅らせるかはまちまちでしたが、ブッシャーは74周目に見た目上のリーダーだったロガーノを抜いて、何がどう転んでも主導権を握れる状態を確保。その直後にカズ グラーラが最終コーナーでダニエル ヘムリックに当てられて事故りましたが、自力ですぐピットに移動したのでノーコーション。
 しかし残り11周まで進んだところでバートンの左後輪がパンク、タイヤの本体はなんとか外れずに残っていましたがコードやらなんやら撒き散らしていったのでコーションとなり、レースは最後の最後でもう1つ大きな山が訪れました。
 
 上位勢をはじめ多数派の作戦はステイアウトで中団の何人かがピットへ。ボウマンは順位が今一つなのでタイヤを換えに行ったら作業がグダグダで余分に順位を下げてしまいました。さっきアンダー グリーンでのピットも上手いこといってると思ったら右側のジャッキで失敗してたし、どうもクルーの動きが落ち着かない様子。左右逆のピットはけっこう色々起こります。
 リスタート順は1列目にブッシャーとホースバー、2列目がギスバーゲンとチャステイン。ギスバーゲンは2番目に選択権がありましたがここもあえて2列目の内側を選んでいます。外側はターン1で吹っ飛ばされる危険性があり、ランブルストリップスの追加で旋回速度による旨味も減ったので美味しくないと思われてるみたいですね。3列目にはマクダウルとブリスコーという並びで、トップ5が全員ノンコンテンダーなのである意味遠慮する必要がありませんw
 残り7周でリスタートしますが、ホースバーのリスタートが非常に上手かったのでギスバーゲンはリスタート位置のまま3位で落ち着きます。しかし後続ではS字で大事故が発生、ケゼロウスキーとロガーノが接触し、姿勢を乱して回りかけたケゼロウスキーの車の左側にバイロンが接触すると、たまたま当たった角度が悪くてなんとタイヤが乗り上げました。バイロンの右前輪がケゼロウスキーの左側のウインドウ ネットにめり込むように乗り上げる、ドライバーにとって最も危険な形の1つです。


 幸いドライバーにはなんの被害も無く、ケゼロウスキーはかなりボロボロの車でそのまま走行。一方バイロンは車が壊れすぎてダメそうに見えますが一応修復して戻ってきました。ここ数年はそんなに荒れない印象のグレンですけど今週はエクスフィニティーもカップも荒れますね。
 残り3周、今度は2位でチューズを迎えるホースバーがどのリスタート位置を選ぶかですが、さっきと同様に1列目の外側を選んで吹っ飛ばされる危険を顧みず前を狙うことに。1列目がブッシャー/ホースバー、2列目がギスバーゲン/チャステインとさっきと同じ並びです、ギスバーゲンは3位に落ちましたけど欲しいリスタート位置は手に入りましたね。ここのリスタート後の攻防もわりとさっきと似た感じでしたが、

 今度はS字の入り口あたりで多重事故が発生、ターン1の段階から押し合いへし合いですが、ギリランドとラーソンが接触し、ふらついたギリランドがたまたまそこにいたチェイスを弾き飛ばしたことで後続がまた多重事故になったようです。今度はレディックが巻き込まれてトゥルーエックスも巻き添え、そして残り3周のリスタートがこうなったのでレースはもちろんオーバータイムへ。

 さっきと同じ顔触れで迎えるオーバータイム、するとさっきまでは大人しくしていたギスバーゲンがターン1でとうとう牙を剥き、ブッシャーの斜め後ろをかるーーーーく押し当てながら減速。止まり切れないブッシャーが外に膨らんだので、空いた内側からリードを持ち去って行きました。
 あとは逃亡するだけのギスバーゲン、今回はコーションも出ずホワイト フラッグが振られていよいよ残り1周です。ブッシャーもどこかでは一発仕掛けてくると思いますが、まあ誰かさんみたいな無茶なミサイルまではしないでしょうから常識的な距離感を保っていれば良いので、ギスバーゲンの勝利は固いと思いました。ところがシケインでギスバーゲンにまさかのミス、失速した内側にブッシャーが飛び込み、カルッセルで思いっきり交錯しましたがリードを奪い返しました。

 諦めないギスバーゲンでしたが最後はターン6の縁石で跳ねてタコ踊りになってしまい、なんかもうただ暴れてて怖い人みたいな状態でした。ブッシャーが逃げ切って、レギュラーシーズンでは勝てませんでしたがここでようやくの今季初勝利。タコ踊りしたけど回りはしなかったギスバーゲンが2位でした。初見では分かりませんでしたが、ギスバーゲンはバスストップで右側のガードレールに軽く当ててしまい、これでラインがズレて暴れていました。ああ、解説された注意点の通りに・・・^^;

 ギスバーゲンとしても自分がブッシャーを押して前に出た以上どこかでやり返してくると予想はしており、そうさせないための距離を作ろうと目いっぱい攻めていてほんの少しラインがズレてしまった形。ブッシャーの重圧がミスを誘い、ギスバーゲンもものすごく悔しいけど自分のミス以外の何ものでもないのですごくレース後の表情は充実して出し切った表情でした。
 そしてなんと3位はホースバー、4位にチャステイン、5位にゼイン スミス。ラジョーイも8位に入っておりスパイアー モータースポーツはなんとチーム史上初めて3人全員がトップ10入りという謎の快進撃を見せました、カイルのファンからすると「ラジョーイが8位?は?」って感じでしょうけど。コンテンダー最上位はブリスコーの6位で、続いたのは10位のシンドリック。15位以内に入れたコンテンダーは6人だけで、半数の8人は20位以下でした。こんなにボロボロのレースもそうそう無いですね。そしてプレイオフ順位はというと


 一発リタイアのブレイニーは貯金があったので助かり、あんまり活躍できなかったヘンドリック勢もこのラウンドを突破するにはまあじゅうぶんという感じ。当落線の下にいるのがハムリン、ケゼロウスキー、トゥルーエックス、バートンと、ジョー ギブス レーシングはいきなり1回戦で2人も脱落する危機に瀕しています。しかも12位がギブスだから入れ替わっても結局JGRは誰か落ちかねない状況です。
 

 普通に行ったらチャステインとギスバーゲンのレースだったはずですが、ステージ2・絶妙に面倒なタイミングでのコーションで状況が一変し、その大きな機会を逃さなかったブッシャーが制したレースでした。あのままスイカバーゲン対決を見たかったなあというのが正直なところですが、スイカバーゲンに梨汁が加わった結果、またグレンの歴史に残る結末が生まれたので非常に面白いレースでした。
 ギスバーゲンはエクスフィニティーでNASCARの戦い方の流儀をかなり会得しているなと感じましたし、ロードコースでの速さが既に一級品であることを改めて認識させられました。トラックハウスとしても来年彼を起用する判断が間違っていないことを再確認できたと思います。そのギスバーゲンに椅子を取られたスミスも、ホースバーの活躍で『またチームメイトに負けてるやん』とは言われるかもしれませんがきちんと結果に繋げてますし、正直そんなに悪いドライバーだとは未だに思えないのでどっか良いシートを見つけてほしいです。
 ホースバーの3位も見事なもので、特にオーバータイムはかなり後ろから攻められていたのでガタっと崩れても不思議ではなかったですが、なんというか知らず知らずすごい速さで戻って来てしまう天然の速さみたいなものが彼にはありますね。スミスが遅いというよりホースバーが同程度の経験の選手としては今のところ図抜けている印象です。それは併催レースで経験者を凌駕する速さを見せたジリッシュにも感じる部分があります。案外10年後のシリーズを支えるのはこういう人たちかも。

 さて、次戦はブリストルですが土曜日夜のレースですので日本時間で日曜日のお昼ごろからはネタバレに要注意。そしてプレイオフ脱落の危機に瀕するハムリンは、もし展開が悪くて望みが薄くなってきたら、この状況を生む原因になった誰かしらにいきなり前触れなく報復しても不思議ではないのでこっちも要注意です。得意のブリストルなのできっちりまとめて残ってもらいたいところですけど、ちょっと流れが悪いんですよねえ。


コメント

まっさ さんのコメント…
スイカ祭りじゃー大バーゲンじゃー!
と、浮かれてたらまさかのチームメイトのタコス屋さんに運命の歯車を狂わされるとは...。
来シーズンこの3人チームメイトなんですよね。コワイコワイ(∩´﹏`∩)
クリーンなスイカ入りタコスのバーゲンがそこらじゅうで開催されることを祈ります。
スイカ男もプレーオフに居ないとはいえ速さは健在なので来シーズンに向けて勢いを得て欲しいモノです。
SCfromLA さんの投稿…
>まっささん

 このレースを簡潔に説明すると、スイカのバーゲンが開催されていたけどタコスの移動販売車両に営業妨害されて梨農家が儲かった、ということになりますね()
 まあトラックハウスとするとドライバーも働いている人も全然違うドライバーが加入して良い刺激になるだろうと思います。うまく盗めるところは盗んでチャステインの力にしてほしいですね~。SVGが暴れるほどチャステインが暴れた過去の記憶はみんな忘れそうですし(笑)
Cherry さんのコメント…
SVG vs 梨の戦いは大昔のアンブローズとケセローのグレンでのバトルを思い出しましたw
GEN7になってからワトグレがつまらなすぎて見るのも憂鬱なレースになりかけてたとこでこんな展開してくるの犯罪だと思います(褒)
日日不穏日記 さんの投稿…
このレースを僕は「コンテンダーの墓場」と呼びました。オッズでは、ギスバーゲンがトップで、内容的にも終始トップ争いをしてましたし、ノンコンテンダーがこれだけ上位フィニッシュするのは予想外でした。マルチクラッシュで、ハムリン、レディックと、カイルがトリガーになったように映っていたのは不本意でした。ギスバーゲンのことを調べていたら、かつてグレンで2連覇したアンブローズもスーパーカー出身で、インディカーのペンスキーに乗っているスコット・マクラフリンも同様だとか。スーパーカーのドライバーが結構、アメリカに来てるんですね。知っている人には周知の事実でしょうが、その辺は無知でした。ブッシャーが優勝、ギスバーゲンと真っ向勝負で勝ったので文句なしです。ロードでの強さはピカイチなので、トラックハウスでの有力な戦力になりそうです。話は逸れますが、F1でリカルドが解雇されました。レーシングブルズって略すんですか?VIZA・キャッシュアップ・RBで僕にはインプットされてるんですが、NASCAR参戦説があるみたいです。リカルドが興味を持っているのは、知っていましたが、スポット参戦なら可能。スポンサー持ち込みなら、フル参戦も可能かも・・・と言う気がします。余談ですが。
SCfromLA さんの投稿…
>Cherryさん

 分かります~、私もグレン=最後は結局壮絶な殴り合い、というイメージが強いので最近は大人しくなったなあと思ってましたが(たぶんCoTのころはS字を全開で抜けるのも難しかったと思うので、実質的にコーナーが減ってるんですよね)SVGは大人になったNASCARに一石投じるどころか巨大な岩を投げ入れる存在だと思いましたw
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 確かにコンテンダー墓場になりましたね、ブレイニーなんて自力では半周しかしてないですし(笑)
 元々オーストラリアのV8スーパーカーとアメリカのストックカーって設計がよく似てますし、オーストラリア唯一の自動車メーカーだったホールデンはGMの子会社、オーストラリアでの自動車製造に最後まで残ってたのもフォードとGM(ホールデン)なので産業としてアメリカとの結びつきが強い、という事情もあったと思います。
 ただリカードはフォーミュラの経験しかないので、いくらF1優勝経験者でもいきなりカップシリーズの競技ライセンスが発行されるほど甘くはない気がするんですよね、ちゃんと走ってもらわないと他の39人のドライバーの安全も懸かってるわけですし。まず母国に戻ってスーパーカーシリーズに出るか、可夢偉みたいにIMSAスポーツカー選手権で走って信頼を得るか、まずNASCAR下部シリーズに出るか、何かしらの経験は必要な気がしています。
アールグレイ さんの投稿…
ジリッシュはトラックシリーズデビュー戦でもポール&4位、エクスフィニティーデビュー戦でポールトゥウィンとこれほど恐ろしい18歳はロガーノ以来じゃないでしょうか。
勿論これだけで評価するのは早すぎますが、来年からフル参戦するエクスフィニティーでも今年あと4レースにスポット参戦予定なので、オーバルでどうなるか見ていきたいです。

JRモータースポーツにとっても、トラックハウスからの育成を受け入れるとはいえ、来年はメイヤーがハースファクトリーに移籍、ブランドンジョーンズがJGRに復帰することが決まっているので、期待はより大きいものとなるでしょうね。
そしてカップシリーズでもSVGの時の様なデビュー戦が出来るかどうか楽しみですw

ブッシャーはSVGにカップシリーズの洗礼を浴びせましたね。
フォード勢も4連勝を達成しましたが、全て違うチームなのも考えると改めて30戦以上連続未勝利になってしまったのは何だったのかと思ってしまいます。
今回はブッシャー、チャステイン、マクドウェルと惜しくもプレーオフを逃したドライバーが頑張りましたが、スパイアーがトップ10に3台とも入るなど、ロードコースをプレーオフに入れるのは不確定要素が強すぎて危険ですw
SCfromLA さんの投稿…
>アールグレイさん

 日程が出た段階で「プレイオフにロードコースがこことローバルの2つもあるのはどうなのか」という意見はあったと思いますが、想像とは全く違う意味ですごいレースになりました、ハムリンが日程を批判しはじめないか今から心配ですw
 ジリッシュは鮮烈なレビューもさることながら、ARCAはスウェイバーが折れた上に最後の最後に抜かれる、トラックはポールを取っていきなり1コーナーを真っ直ぐ通り過ぎる、と起こった出来事がまたスター性を感じさせます。大事に育ててほしいですね~、もちろん本人が調子に乗りすぎて素行不良起こしたりしないことも願いますけど。