NASCAR Cup Series
マイケル マクダウルが今季4度目のブッシュ ライト ポール ポジションを獲得。2位はチームメイトのトッド ギリランドでフロント ロウ モータースポーツが文字通りフロントロウを占めました。2列目がジョーイ ロガーノ/ライアン プリース、3列目はジョッシュ ベリー/チェイス ブリスコー、ここまでの6人が全てフォードです。4列目にバイロン/オースティン シンドリック、5列目がカイル ラーソン/チェイス エリオット。フォード勢とヘンドリックの3人しか上位10人にはいないですね。
ステージ間コーションで各車ピットに入って給油しましたが、作業を終えたスアレスの車両後部から出火。勢いよく走ったら消えるかと思って試してみたものの、1周してピットに戻ったことにはかなり燃え広がっていてスアレスは慌てて脱出しました。原因は後ろのピットのハムリンとの交錯で、先に作業を終えたハムリンがピットを出ようとしたもののスアレスが邪魔で出られず停車。そこから再始動する際に排気管から出た炎がスアレスの給油作業でこぼれた燃料に引火し、まだスアレスの車両は近くにいたので路面から車両の下面を伝って給油口の方まで一瞬で火が回ったようです。ドボドボ燃料をこぼして給油するのが日常のNASCARですが、こういう形で車両火災に見舞われるのは珍しいですね。安全対策、、、もやりようなないですしねえ、こぼすなとしか言えないw
多重事故は突然に。60周目、これはもう誰がどうとかいう話ではなくちょっとしたバンプの弾みから姿勢を乱して後続が避けられず巻き込まれる、という不可抗力のような多重事故。ハムリン、トゥルーエックス、エリック ジョーンズ、チェイス、チャステインなどけっこうな人数が巻き込まれました。何も起きない展開でも一瞬でこうなりますから、集中力を持って3時間走り続けるって並大抵のことではないですね。
ここは給油するのが良いのか判断が分かれるコーションでした。ここまで常に上位で周囲の人と同じ動きだったギリランドはここでピットに入って2輪交換と給油を行いましたが、コーション前のトップ2・ロガーノとラーソンは動かず。全体としては上位勢以外はまたリスタート前に燃料を足しておく人が多かったようです。
今度は横転を防ぐことができませんでした。ベリーは屋根を下にしたまま内側のSAFERバリアに前方から衝突し、そのまま裏返しで停止。非常に怖い事故でしたが、衝撃を吸収できる前方からぶつかったことと、強固な構造がしっかりと機能したことからベリーは無事に救出されました。さすがに横転した車両からドライバーを脱出させる作業は慎重にやらないといけないので、この間レースはレッド フラッグとなります。
解説・ジェフ バートンの息子ですので放送席もこの喜びよう、ディフィーの久しぶりのカップシリーズ実況は歴史に残るものとなりそうです。ちなみにバートンは2000年10月生まれで、カップシリーズで2000年以降に生まれたドライバーが優勝するのはこれが初めてでした、2020年にはエクスフィニティーでも同様の記録を達成しています。
バートンに勝利をさらわれてカイルが2位、映像を見直すとバックストレッチでベルからの支援が少し途切れていました。ウェアーの押し方が悪くてベルがふらついているようなので、やっぱりここが鍵を握っていたように思います。3位ベル、4位ウェアー、5位タイ ギブス。ウォーレスが6位、バートン優勝の立役者・レツラフはカップ戦2度目の出場で自己最上位の7位、リスタート違反が悔やまれるケゼロウスキーは8位、ブッシャーは10位でした。事故に巻き込まれてボロボロのチャステインも12位で踏みとどまりました。
当選ラインがより高くなりウォーレス、チャステインの2人が圏外へ。リタイア続きで貯金をかなり取り崩しましたが、レギュラーシーズンは次戦が最後なのでトゥルーエックスはもう当選確実、ギブスももう大丈夫でしょう。ブッシャーの21点差というのもなかなかひっくり返すのは簡単ではなく、次戦のダーリントンでは昨年の秋も3位に入っていますから愛称は悪くありません。ただウォーレスはダーリントンでここ4戦全て9位以内と比較的好相性、チャステインも昨年秋のダーリントンは5位です。ブッシャーはセッティングを外して早々に周回遅れになるような失敗があると、一気に危険水域となります。
正直ハリソン君がプレイオフに出ても1回戦で惨敗するのが目に見えているのでラウンド オブ 16の争いが読みやすくなってしまうのがやや残念ではありますが、ウッドブラザーズにはプレイオフ進出で来年の分配金が増額となる可能性がある(新チャーター制度が未だに合意に至っていないため実際は不明)ためチーム再建の役に立つかもしれません。横転して優勝争いに残れなかったベリーですが、来年加入するチームが改善する期待ができたのはちょっとありがたい話ですね。次戦、ダーリントンでもう一波乱は待っているんでしょうか。
Coke Zero Sugar 400
Daytona International Speedway 2.5miles×160Laps(35/60/65)=400miles
※NASCARオーバータイムにより164周に延長
winner:Harrison Burton(Wood Brothers Racing/DEX Imaging Ford Mustang Dark Horse)
NASCARカップシリーズ、第25戦は今年2回目のデイトナです。過去4シーズン、夏のデイトナは第26戦・つまりレギュラーシーズン最終戦に開催されました。最も誰が勝つか分からないトラックなのでプレイオフ争いに最後の最後の一発大逆転をもたらす可能性がある、という非常にプレイオフ当落線上の人にとっては迷惑な仕様でした(笑)
今年は、ダーリントンをレイバー デイの週末に開催するという方針を堅持した上でオリンピックによる2週間のお休みが挟まったこともあって日程がズレているので、結果としてデイトナが25戦目、ダーリントンがレギュラーシーズンの締めくくりになったと思われます。でもデイトナがプレイオフ争い最後の大一番となることにはいささかも変わりはないですね。
今年に入ってドラフティング トラックでは『給油時間を削減してピット後に順位を上げる』という考え方が急速に広まって、隊列の先頭走者すら全開では走らずに秒単位でペースが落ちる燃費レースが顕著にみられるようになりました。展開がどうなるのかは先頭を走っている人の方針にかかっているので、ぶっちゃけやってみるまでは燃費レースになるのかならないのか分からないんですが、あんまりおっそいレースは見たくないですねw
2月のデイトナ500を制したのはウイリアム バイロン、デイトナは2020年夏も勝っており通算2勝。昨年の夏はクリス ブッシャーが勝者でした。現役でのデイトナ最多勝利はデニー ハムリンの3勝ですが全てデイトナ500での優勝で夏のデイトナでは勝っていません。なお、同一年にデイトナで2勝したドライバーは過去に5人だけ、最後に達成したのは2013年のジミー ジョンソンです。バイロンはデイトナ連勝でチームの大先輩に肩を並べることができるでしょうか。
・レース前の話題
ハムリンのエンジン規定違反の話が長かったので別記事にだいたい盛り込みましたが、この最後に書いた話題・Z.スミスとトラックハウスの契約終了に関する話にちょうど続報が入ってきました。トラックハウスはギスバーゲンが来年のカップシリーズにフル参戦することを発表、カー ナンバーはなんと88を使用します。
88はデイル アーンハート ジュニアがDEIからヘンドリック モータースポーツへ移籍した際に使用した番号で、ジュニアの引退後もアレックス ボウマンが2020年まで使用。その後はジョンソンの引退に伴ってヘンドリック内で番号の再編が行われて88は使われなくなっていました。遡るとジュニアさん以前はロバート イェイツ レーシングのデイル ジャレットが1996年から11年間使用して1999年にはチャンピオンを獲得。古くはダレル ウォルトリップやバディー ベイカーも使用したことがあります。
デイトナという目立つタイミングでSVGフル参戦を発表したかったんだろうなあ、というのが見えてくるわけですが、トラックハウスとしても若いドライバーとの2年単位の展望を持った契約を1年経たずに反故にするというのは、先々を見据えるとマイナス要因にも繋がる行為。それを承知で今回の采配に至ったわけですからSVGにはそれなりの結果が求められることになるでしょう。元々年齢的にもチャンスは掴んだ一度きりという感じだと思うので、特にロード コースではそれなりにかき回してくれるんじゃないかと思いますw
一方、今年限りで閉鎖されて一部だけが引き継がれることになるスチュワート-ハース レーシング、商務省に提出された資料によると閉鎖に伴って最大で323人を解雇する見込みであることが明らかになりました。このうちの100人程度はハース ファクトリー レーシングが受け皿となって改めて職を得る可能性があるものの、多くの従業員は別の機会を求めることになりそうです。
・Xfinity Series Wawa 250 Powered by Coca-cola
1周目のターン3で早くも多重事故、放送席もややガッカリして始まったエクスフィニティー シリーズ。レースの終盤にも多重事故が2度発生してお約束のオーバータイムへ。ライアン トゥルーエックスがリードして迎えた最終周、ターン1への攻防で2位のA.J.アルメンディンガーと3位のパーカー クリガーマンの動きが重なって絡んでしまい、アルメンディンガーが勢いよくスピンしてコーション発生、ここで決着となりました。今季8度目の登場となった弟トゥルーエックス、ドーバーに続く今季2勝目です。
・Craftsman Truck Series LiUNA! 175(at Milwaukee Mile)
今週はカップシリーズが土曜日夜の開催だったので、時系列で言えばカップ戦の翌日=日曜日にミルウォーキーで単独開催されたクラフツマン トラック シリーズ、これがプレイオフの初戦です。175周のレースはレギュラーシーズン王者・クリスチャン エッケスが最多の71周をリードしましたが、優勝したのはプレイオフ選手ではないレイン リッグスでした。今年からフル参戦を開始した22歳が123周目にリードを奪うと終盤は独走となり、シリーズ通算23戦目で初勝利を挙げました。
また、併催のARCA Menards Seriesではウイリアム サワリッチが完勝、今季10度目の出場でこれが7勝目、自身出場レース4連勝としています。
・カップシリーズ
予選
今年のドラフティング トラックといえばこの人
マイケル マクダウルが今季4度目のブッシュ ライト ポール ポジションを獲得。2位はチームメイトのトッド ギリランドでフロント ロウ モータースポーツが文字通りフロントロウを占めました。2列目がジョーイ ロガーノ/ライアン プリース、3列目はジョッシュ ベリー/チェイス ブリスコー、ここまでの6人が全てフォードです。4列目にバイロン/オースティン シンドリック、5列目がカイル ラーソン/チェイス エリオット。フォード勢とヘンドリックの3人しか上位10人にはいないですね。
ドラフティングトラックの予選を単独で走るとなんか遅い、というトヨタ陣営の傾向は開幕から全く変化が無く、マーティン トゥルーエックス ジュニアの17位を最上位にトヨタの選手は中団から後方に固まりました。まあレースで組みやすいからバラけるよりもやりやすいっちゃあやりやすいわけですが。
・ステージ1
NBCはこのレースから実況アナウンサーが従来のリック アレンからリー ディフィーに交替しています。詳細は不明ですが、NBCはNTT インディーカー シリーズの放映権契約が今季限りで終了、一方アレンについては来年は新たにNASCARの放映権を得た他局への移籍の可能性があるようです。そのため、ディフィーをインディーカーからNASCARへと担当替えして来年以降の顔としたいのではないか、とされています。アレンは引き続きエクスフィニティーシリーズでは最終戦まで実況を担当する予定です。
そんなわけで新しい声と共に35周しかないステージ1開始、給油の必要もないので全開レースで5周目にはもう3列がびっしりと駐車場状態。時々怖い動きをしている人がいますがさすがに最高峰シリーズ、みんな上手いこと隙間を見つけていらん事故を起こすことなく進行。フォード勢の誰かしらが常に前にいる状態であっという間にステージ終盤へ。
最終周に入ったところで先行したのは内側を走るロガーノ - ライアン ブレイニーの隊列でしたが、プレイオフ争いのために最大限ステージ ポイントを獲りたいクリス ブッシャーが猛追。外ラインで前を行くベリーを押しまくり、結局この推し活が効いてステージ1の勝者はベリーとなります。2位にロガーノ、ブッシャーは危うくドラフトから外されかけましたが踏ん張ってステージ3位・8点を獲得。同じくポイントを争うロス チャステインは11位、バッバ ウォーレスは12位といずれもステージポイントに届かなかったので、まずはブッシャーがうまくやりました。
・ステージ2
ステージ間コーションで各車ピットに入って給油しましたが、作業を終えたスアレスの車両後部から出火。勢いよく走ったら消えるかと思って試してみたものの、1周してピットに戻ったことにはかなり燃え広がっていてスアレスは慌てて脱出しました。原因は後ろのピットのハムリンとの交錯で、先に作業を終えたハムリンがピットを出ようとしたもののスアレスが邪魔で出られず停車。そこから再始動する際に排気管から出た炎がスアレスの給油作業でこぼれた燃料に引火し、まだスアレスの車両は近くにいたので路面から車両の下面を伝って給油口の方まで一瞬で火が回ったようです。ドボドボ燃料をこぼして給油するのが日常のNASCARですが、こういう形で車両火災に見舞われるのは珍しいですね。安全対策、、、もやりようなないですしねえ、こぼすなとしか言えないw
さてここからは燃費も気にするレース、15人はリスタート前に追加で給油して後ろにながーーーい隊列ができる今年お馴染みの光景からリスタートしました。ここもほどなく3列になり、節約しすぎてむっちゃくちゃ遅い、というほどではないそこそこの速さでレースが進みます。目先の順位はそんなに重要ではないのでのんびりと眺めていたところ、
多重事故は突然に。60周目、これはもう誰がどうとかいう話ではなくちょっとしたバンプの弾みから姿勢を乱して後続が避けられず巻き込まれる、という不可抗力のような多重事故。ハムリン、トゥルーエックス、エリック ジョーンズ、チェイス、チャステインなどけっこうな人数が巻き込まれました。何も起きない展開でも一瞬でこうなりますから、集中力を持って3時間走り続けるって並大抵のことではないですね。
生き残った人たちはここでステージ2の必要分を給油。上位勢はトラック ポジション重視で最低限の給油のみとしタイヤは継続使用です。67周目・ステージ残り29周でリスタートから一瞬シングル ファイルで膠着しかけ、そうはさせじとウォーレスが動いたことでまた2列のレースになりましたが、80周目に同時多発トラブル発生。ジョーンズにパンクが発生すると、その少し後ろを走っていたギスバーゲンの車のエンジンがぶっ壊れたようで煙だらけ、コーションとなります。さらにここから離れた後方でもトゥルーエックスがパンクして同時多発でした。ジョーンズもMTJもさっき事故に巻き込まれているのでその影響でしょうかね。
ここは給油するのが良いのか判断が分かれるコーションでした。ここまで常に上位で周囲の人と同じ動きだったギリランドはここでピットに入って2輪交換と給油を行いましたが、コーション前のトップ2・ロガーノとラーソンは動かず。全体としては上位勢以外はまたリスタート前に燃料を足しておく人が多かったようです。
89周目・ステージ残り7周でリスタートする短距離戦が幕を開け、勝手知ったる最強ドラフティングコンビ・ロガーノとブラッド ケゼロウスキーが協力しつつもさや当てを繰り広げました。最後はケゼロウスキーがちょっと自分で色々動きすぎて損した感じでしたが、かなり際どい争いを綺麗に展開してロガーノがステージ2の勝者となりました。ウォーレスはタイラー レディックを相棒に前に出ようとしたものの潰されてしまいステージ10位、でもブッシャーも9位でポイント的にはお互いに損得無しといった結果です。
・ファイナル ステージ
さっきのコーションでピットに入っていない人たちは4輪交換と給油、入った人は最小限の給油にして順位が大きく変わり最終ステージが始まりました。ケゼロウスキーはあえて給油を1周遅らせて目先の順位より燃料搭載量を重視しています。
一応ルールを確認しておくと、ピットはまずリード ラップ車両に対してだけ開かれ、次の周に周回遅れを含む全車に対して解放されます(クイック イエロー宣言時を除く)。通常ならリードラップ車両がわざわざ周回遅れと同じタイミングで入っても順位をゴミ箱に捨てているだけで全く意味が無いですが、燃料を意識するなら順位と引き換えにコーションの速度での1周分だけ多く燃料を持つことができます。
ここからさらに給油を遅らせてリスタート1周前まで給油を繰り返すこともできますが、リスタート1周前のチューズ ルールのタイミングでチューズせずピットに入ったら『隊列の最後尾からリスタート』と規定されています。この場合2列で並んだリスタート隊列の後ろに1列で並ぶのでリスタート位置がものすごく後方になります。完全に開き直ってそのまま後方待機するなら良いんですが、それなりの位置にいたいなら遠すぎるのも問題なので、『1周だけ遅らせる』というのは、順位をある程度犠牲にはするけど完全には上位の隊列から外れないための中間的な戦略です。
101周目、リスタートからマクダウルがジャスティン ヘイリー他フォードの仲間を引き連れてリード。下手に燃料を意識しすぎるよりもきちんと前を走っておく手堅い走りを心がけているようです。これに対してヘイリーは119周目に自分から動いてマクダウルをかわし、ここまでは協力関係だった2人がけん制し合う関係になります。
ただ基本的には長いものに巻かれた方が良いデイトナ、今日は外側に人が集まりがちなので、ヘイリーが外、マクダウルが内、という並びで時間が経過すると段々マクダウルを推す人が手薄になってしまって一旦この列は解散するしかなくなりました。ヘイリーがリーダーとなる一方でマクダウルは少し順位を下げて外側に合流するしか無くなります。完全に外されてビリになるよりは良かったですね^^;
残りが30周を切るとヘイリーはピットを意識して内側に下りますが、速いラインを放棄したことになるので付いていく人と前に出るために外側で順位を上げようとする人が混在、自然発生的に3列になって緊張感のある時間帯となります。ピットからの情報だとあと数周でピットに入るところでしたが140周目、ジョン ハンター ネメチェックが後ろから押された弾みで姿勢を乱し、自分からヘイリーに接触してスピン。運よく巻き添えはいませんでしたがコーションとなりました。
これで全車給油のためピットへ、コーション時点で1位として記録されていたのはたまたま外ラインで上がって来ていたカイル ブッシュでしたが、給油量がやや多くてさすがに順位維持とはならず。最初にピットを出たのは常にうまいこと上位で他の人を風よけにしていたシンドリック、続いたのは最初からこういう展開に賭けていたケゼロウスキーでした。
145周目/残り16周でリスタート、ところがケゼロウスキーは完璧すぎる流れで油断したか、リスタートでシンドリックよりも先に加速を開始してしまってリスタート違反を取られました。実際問題相手がどこでスロットルを踏んだかドライバーからはよく見えないのでケゼロウスキー的には加速を遅らせたシンドリックに『ハメられた』形ですが、これでケゼロウスキーは脱落、内側の先頭はマクダウルの手に渡ります。ここに真ん中の列にラーソンが割り込んできて3ワイド、さあいよいよ150周の長い前説を終えてコークゼロシュガー400の本番です。
2周もしないうちに大事故になりました。ターン1で後ろから押されすぎたマクダウルが巻き込んでしまい、内側に下りてロガーノとT字にクラッシュ。これでマクダウルの車は右側が浮き上がって90度傾き、さらに後続車両が次々と巻き込まれる大惨事になりました。救いはマクダウルの車が90度の状態からちゃんと真っ直ぐ着地できたこと、ひょっとして今週追加したディフレクターが多少役に立ってるんじゃないでしょうか。ただこれでリタイアしてマクダウルの逆転プレイオフ進出はならず、ロガーノもラーソンも撃沈。マクダウルが回る要因となったシンドリックと、そのシンドリックを押しすぎたベリーは無事に通過していました。
生き残った人たちは最終決戦へ、シンドリックとベリーの1列目で残り3周のリスタート、2列目には絶対にプレイオフに出たいカイルとデイトナ2連勝がかかるバイロン。何せ1列目の2人がどちらもドラフティングトラックの経験がイマイチなのでちょっと信頼しにくい感じがする中、カイルがシンドリックを押していって内側の方がやや勢いがありそうな雰囲気です。
大急ぎで3列目を作る人は現れず残り2周、やや内側のシンドリックが優勢かな、という状況でしたが、バックストレッチで再びの悲劇。シンドリックが姿勢を乱して外にいたベリーを引っかけ共倒れ。そして
今度は横転を防ぐことができませんでした。ベリーは屋根を下にしたまま内側のSAFERバリアに前方から衝突し、そのまま裏返しで停止。非常に怖い事故でしたが、衝撃を吸収できる前方からぶつかったことと、強固な構造がしっかりと機能したことからベリーは無事に救出されました。さすがに横転した車両からドライバーを脱出させる作業は慎重にやらないといけないので、この間レースはレッド フラッグとなります。
シンドリックはターン2でカイルに押された拍子に少し姿勢を乱しスロットルを戻したようですが、後ろの人たちがお構いなしに押してくるのでこらえきれずに回ってしまった感じです。デイトナでは仕方ない事故ではありますが、やはり経験の浅い選手を押して前に出すのも難しい、経験の浅い人がいると怖そうだなと思ったらだいたいその通りになると改めて認識させられました。ベリーの初勝利もお預けです。
最前列からの多重事故が2回も起きたので生き残った顔ぶれはさっきまでいなかった人だらけ。先頭でリスタートするのはカイルとハリソン バートン、2列目はクリストファー ベルとスポット参戦のパーカー レツラフ。3列目はコディー ウェアーとジョン ハンター ネメチェック。勝っていない人だらけですが、こうなるとカイルを推したいところ、いやでもドラフティングトラックだけ参戦している超小規模集団・ビアード モータースポーツも応援したい、頑張れレツラフ。
オーバータイム、外側はバートンとレツラフという名前負けするメンツで、やはりカイルとベルの2人が内側から伸びていきます。元チームメイトでもありますが、かといってベルもそこまでドラフティングトラックの名人ではないし、オースティンのレースではちょっとだけ遺恨もありました。そして何より後ろにいるウェアーの押し方が非常に危ないように見えます、今度はここで事故るんじゃないだろうか^^;
それでもやはりカイルとベルの2人が主導、加えて最終周に入ったところでネメチェックが3列目を作ろうとして大失敗したので外レーンの勢いはさらに弱まり、もう外側は詰んだと思いました。あとはベルがカイルに忖度するかどうか、とか思っていたらバックストレッチで信じられない光景、レツラフがとんでもないタンデム ドラフトを決めてバートンを一気に前に押し出し大逆転。完全に前に出たバートンはターン4で下に降りてカイルの頭を抑えました。
最後はカイル対して強烈なブロックを披露し、姿勢を崩したもののこらえてチェッカーへ。なんとバートンが夏のデイトナを制する奇跡を起こしプレイオフに大逆転進出。ウッド ブラザーズ レーシングはこれが節目の通算100勝目、2017年にブレイニーが99勝目を挙げて以来止まっていた時計がとうとう動きました。バートンはカイルをブロックした拍子にふらついて黄色二重線を跨いでしまったので違反を取られる可能性もありましたが、これは接触に伴って生じた偶発的なもので、トラック外を使って利益を得たわけでもなく完全に4輪が2本の線の内側までは入っていないので、問題なしとされたようです。
バートンに勝利をさらわれてカイルが2位、映像を見直すとバックストレッチでベルからの支援が少し途切れていました。ウェアーの押し方が悪くてベルがふらついているようなので、やっぱりここが鍵を握っていたように思います。3位ベル、4位ウェアー、5位タイ ギブス。ウォーレスが6位、バートン優勝の立役者・レツラフはカップ戦2度目の出場で自己最上位の7位、リスタート違反が悔やまれるケゼロウスキーは8位、ブッシャーは10位でした。事故に巻き込まれてボロボロのチャステインも12位で踏みとどまりました。
フル参戦ドライバーでは最下位の総合34位、今季10位以内に入ったレースは第10戦タラデガの1回だけ、例えばデイトナでフロントロウモータースポーツが勝つ、ならじゅうぶん起こりえると思いますし、ヘイリーが勝つ、でもまだなんとかイメージが浮かびますが、さすがに今のチーム・ドライバーの状態だといくらデイトナでも勝つ姿が想像できなかったバートンのまさかの優勝で、プレイオフ争いは
正直ハリソン君がプレイオフに出ても1回戦で惨敗するのが目に見えているのでラウンド オブ 16の争いが読みやすくなってしまうのがやや残念ではありますが、ウッドブラザーズにはプレイオフ進出で来年の分配金が増額となる可能性がある(新チャーター制度が未だに合意に至っていないため実際は不明)ためチーム再建の役に立つかもしれません。横転して優勝争いに残れなかったベリーですが、来年加入するチームが改善する期待ができたのはちょっとありがたい話ですね。次戦、ダーリントンでもう一波乱は待っているんでしょうか。
コメント
2010年のコカ・コーラ600の最後のリスタートで、ジェフがカイルにレース後怒りまくって、噛みついてたし。そんな因縁の再燃にならずに良かったなぁ、という気も。ただ、アトランタはタイム差はともかく3位だったし、今回は一騎打ちの負けなので、すげー悔しい。全然、毒気が抜けてないじゃないかという気がしますが。
ウッドブラザースは、カップ戦100勝ですが、ピアソン、ヤーボロー、フォイトなど、グランドナショナルシリーズ末期とウィンストンカップ初期のドライバーが勝ってきたチームなので、いかにデイトナとは言え、バートン君が勝つとは予想外でした。おめでとう(白目)さすがにプレーオフではすぐに脱落するでしょうが。セカンド・ビッグワンって実況が言ってましたが、エヴァンゲリオンかいっ、って思わず突っ込みを入れてしまいました。ちなみにウェアーは初のトップ5だったそうで。去年のレースでは、プリースが高速回転してましたが、今年はベリー。SHRのマシンは、デイトナでよく回りますね。
私もカイル行ったと思ったので次の瞬間「うそ!?レツラフ!?」でしたよw
確かにSHRは2年連続デイトナ横転事故ですね~、去年の事故で芝生を撤去しておいたので何人かは車を上手いこと止める役に立ってましたし、ひょっとしたらベリー自身もゴロゴロ転がらずに済んだかもしれないですが、ちょっと全体に横転多いようには思うので気がかりですね^^;
FRMの予選1-2や、ウッドブラザーズのカップ戦通算100勝目と、ペンスキーの提携先チームが大活躍しましたね。
マクドウェルの初ポール自体今年なのにも関わらずもう4ポール目は驚きですし、今年のポール数ではラーソンに次ぐ2位なのも考えると、スーパースピードウェイなど狙えるトラックでちゃんと獲っていくのが出来ている事が凄いです。
それだけに決勝ではバートン以外ビックワンに巻き込まれてしまったのは残念です。
バートンは勿論これだけではまだまだ足りないでしょうが、来年からのシートに向けてアピールは出来ましたね。
カイルを抑えたのは大きいでしょうし、レース前ポイントスタンディング34位からのラスト1周のみのリードラップでプレーオフ進出はもう奇跡でしょう。
勝利してもポイントでは34位のまま変わらない様なので、30位以内ルールが無くなった恩恵を受けた初めてのドライバーじゃないでしょうか。
過去にはカイルやトニーが負傷の為に序盤戦を欠場しながらもプレーオフに進出したことがありましたが、それでも勝利を挙げて尚且つポイント30位以内にまでは追い上げていましたし。
バートン家は父ジェフ、叔父ウォードに続いてハリソンがデイトナで勝った事になりましたが、残すは現在エクスフィニティーで頑張っているウォードの息子ジェブ(レッツラフとチームメイトなのを知って驚きました)だけですね。
ジェブはBKレーシングでカップ戦を走っていた時期もありましたが、チームの資金難もあって活躍できなかったですし、いきなりトラックシリーズから2段階ステップアップして参戦するのは大変なんだなと当時は感じていました。
ただBKは後にブレイクしたボウマンやディベネデトーなどがカップドライバーキャリアをスタートさせたチームでもあるのでジェブもまたカップ戦に戻ってきて欲しいです。
またもやトップ10に入るビアードモータスポーツや暴行問題での出場停止明けでキャリア&チームベストタイの4位を記録したウェアー、スポット参戦のマクロウドやゲイスまで20位以内に入るなど相変わらずデイトナは結果が読めませんw
RWRはヘイリーも一時レースをリードしていたので期待していましたが、このチームが勝てば現チャーター保持チームは全チーム1度は優勝したことにもなるので、チャーターを所得するのもある程度のレベルのチームじゃないといけなくなったんだなと感じさせます。
さすがにポイントビリの人がプレイオフに出る日が来るとは想像していなかったので、レース中は興奮してましたけど冷静に記録を整理してたらなんかもう笑うしかなかったです、もうプレイオフのタラデガで何が起きても驚きませんw
ジェブもエクスフィニティーで決して悪いドライバーではないなという印象ですが、カップシリーズに入れそうなシートが無いので当面はエクスフィニティーの中できっちり結果を出してより良い機会を探すことになるでしょうね。と言ってもメーカー育成系の若手がどんどん来ちゃうのでその椅子取りゲームすらかなり大変だなと、ダイジェストで下部シリーズの動向も追うようになってすごく実感しています。
あそこまで行けば、そう思っちゃいますよね、、、
何回かあったクラッシュも、カイルが巻き込まれてないかだけが心配でした、、、
バートンの初優勝もウッドブラザーズの100勝もめでたいんですが、、、
レツラフさん???
どなたですか、、、
恨みます、、、
あんだけ幸運にも全部クラッシュを回避して前に来て、しかも元チームメイトに押してもらって争ってる相手が経験の浅い若手ならさすがに勝ったと思いますよね~、レツラフもまさか遠く離れた日本で恨まれているとは思うまい(笑)