SUPER GT 開幕戦 岡山

2024 AUTOBACS SUPERGT Round1
OKAYAMA GT 300km RACE
岡山国際サーキット 3.703km×82Laps=303.646km
GT500 class winner:au TOM'S GR Supra 坪井 翔/山下 健太
(Toyota GR Supra GT500/TGR TEAM au TOM'S)
GT300 class winner:muta Racing GR86 GT 堤 優威/平良 響
(Toyota GR86/muta Racing INGING)


 やってきました、オートバックス スーパーGT。このシリーズは1994年に始まった全日本GT選手権が起源(厳密には1993年に全日本GT選手権というシリーズが開催されているが、参加者が少なすぎてまともに成り立っておらず、運営体制も異なっているので別扱いとされている)なので、30周年記念ということになります。
 今シーズン最大の変更点は先に別記事で書いたタイヤ・予選規則だと思いますが、チーム・ドライバー・車両についてもけっこう変わったところがあります。大雑把にかいつまむと、まずGT500クラスについては

・ホンダがシビック タイプ R-GTを投入
・福住 仁嶺と大湯 都史樹がホンダからトヨタへ移籍
・ニスモ/NDDPレーシングがブリヂストンへ変更

 といった点でしょうか。GT500車両は市販車とは一切関係が無くレース専用の共通車台に市販車に似た外観の外装を被せたものであり、その『似た外装』はベース車両を土台に合うようにX軸・Y軸方向にそれぞれ規定に従って拡大・縮小するスケーリングという手法で形状が定められることになっています。ですので、シビックはNSXから"ガワ"を変えただけなんですが、車両の前後部分と屋根は縮尺を変えてもベース車両の形状がスケーリング後の形状にも影響し、空力性能に関わってきます。またエンジン室の大きさもこれで容積が変わるので、見えない部分の配管や冷却系、冷却風の通り道に影響があります。
 実はGT500は本来なら2020年から使用しているモノコックを今年から新しいものに入れ替える予定でしたが、けっこう長持ちしているのでもう1年延長しました。2025年から新しいモノコック、そして2028年ごろから新しい規定へと移行する目標となっています。ということはシビックはモノコックすらNSX-GTから流用し、NSXを取り外してシビックを被せていることになります。ですので引退したNSX-GTがもしどこかに展示されていたとしても、その下にある土台部分はレースで使っていないテスト車両用か、外観だけそれらしくするために作ったダミーかもしれませんw

 そもそもホンダが車体を変更できるのは空力開発凍結がこのオフは無いからで、他の2メーカーも開発を行っています。日産もベース車両が『Z NISMO』に変更されて外観がちょびっとだけ変わっており、トヨタだけが特に市販のGRスープラにバリエーションも無いので変更なく空力開発をしています。一方GT300では

・フェラーリ296 GT3、アストンマーティン バンテージ GT3が登場
・ゲイナーがGTA-GT300規定のZを開発
・ゲイナーの10号車でスポンサーだったポノスが独立チームへ
・ヘルム モータースポーツが新規参戦
・チーム土屋復活
・対照的にヨギボー レーシングが"休会"
・植毛GT-Rが脱毛GT-Rへ!!!!!!!

 といった話題があります。昨年までGT-R NISMO GT3の2台体制だったゲイナーですが、今年は自社制作でZ GT300を1台作成。ただ製作が遅れて開幕戦には間に合わなかったのでこの週末は展示だけとなっております。
 そのゲイナーで10号車のスポンサーをしていたポノスでしたが、今年はチームとして独立する形となり新たにフェラーリ296 GT3を投入。車両メンテナンスはゲイナーが請け負うのでゲイナーの分家のような立ち位置です。296はチームルマンも導入したので2台が参戦し、ルマンが使わなくなったことでR8 LMS GT3は1台もいなくなりました。

 新規参戦チームとしてはスーパー耐久などに参戦していたヘルム モータースポーツがGT-Rで新規参戦。このチームは平木 湧也と平木 玲次の兄弟が設立したチームですが、このシリーズに参戦するドライバーは平木 湧也と平手 晃平なのでちょっとややこしいです。1991年のF1で、ブラバムのドライバーがマーティン ブランドルとマーク ブランデルでみんなブラから始まっていた、というのがありましたがこれ以来の出来事ではないでしょうかw
 そして、昨年車両火災によりシーズン途中で参戦を終了、ひょっとするともうチーム自体も参戦不可能になるのではないかと言われていたチーム土屋でしたが、クラウドファンディング等で復活資金を集めてピンクのGRスープラGTが復活しました。一方で、昨年参戦していたヨギボー レーシングは『会社の方針転換』を理由に"休会"として今季は不参戦。
 GT300はありがたいことに参戦枠より参加希望者が多くて『空席待ち』ともされており、このチームも完全に諦めて枠を手放したら戻れなくなるので休会という措置にしたものとみられますが、希望者が多い中で長期的な展望が無いチームが枠を持ったまま出入りする状況には、少なからず反感を覚えているファンもいるように見受けられます。

 そして最も大事なのは、2017年に植毛GT-Rとして登場して以来、昨年まで植毛の名前を使い続けていたニルズ レーシングが、今年は脱毛ケーズフロンティアGO&FUN猫猫GT-Rとなって脱毛に転じたことです、しかもちょっと情報過多。脱毛に変えた理由は、とりあえず目立ってなんぼだと思ったからだそうです。スポンサーのアーツ銀座クリニックが脱毛も手掛けているからなわけですが、別にこの車両名は年間通じて固定する必要もないはずなので、脱毛と植毛を気分で変えてもらってもいいと思うんですけどね、なんなら毛ーズフロンティアにしてくれたらもっと最高()

・予選

 夏日となって路面温度も35℃を超える完全な初夏の状況。GT300はやはり多くの車両がQ2になるとタイムが落ちる中で、LEON PYRAMID AMG・篠原 拓郎がQ1でB組2位、蒲生 尚弥は篠原より僅かに速いQ2最速タイムを記録して高い水準にまとめ、記念すべき合算予選初のポール ポジションを獲得。
 2位はQ1 B組で1位、Q2では2位とレオンとは逆だったmuta Racing GR86・堤 優威/平良 響、レオンとの差は合算で0.067秒でした。3位はQ1全体の最速だったSUARU BRZ R&D SPORT・山内 英輝/井口 卓人、こちらはQ1からQ2にかけて0.8秒もタイムが落ちたことで"貯金"を失った形でした。今回J SPORTSは放送番組が重なりすぎて予選が録画放送、かつ90分の枠に収めるためにQ2のロウアー17がごっそり切り捨てられており、こっちがオンデマンド専用になって見れなかったのがちょっと残念でした。
・・・テロップの文字数、もうちょっと減らしません?w

 GT500ではQ1で残念な事態発生。最後の最後に1アタックで狙っていたARTA CIVIC TYPE R-GT #8・松下 信治が最速を狙える状況から最後の2つのコーナーで暴れてしまい、遅くなっただけならまだマシだったところ白線を出てしまいこのタイムは無効。一発アタック狙いだったのでそれ以前の記録では107%規則を突破できず、記録なし扱いで規定によりピットからのスタートが決まってしまいます。このためARTA8号車は意味が無いのでQ2には出ませんでした。
 Q2、ポールを獲ったのはGT300と同様にQ1最速車両ではなくQ2で僅かに記録を伸ばしたコンビでした。昨年のチャンピオン車両、au TOM'S GR Supra・山下 健太/坪井 翔が開幕戦でもポールを獲得。坪井はターン1で外に膨らみすぎて縁石に乗ってズラッたのに速く、Q1担当ヤマケンは1位から0.3秒ほど遅れた5位で坪井に手渡したため「自分が足を引っ張ったのに坪井さんすごい」と低姿勢。

 2位はDENSO KOBELCO SARD GR Supra・中山 雄一/関口 雄飛、3位にSTANLEY CIVIC TYPE R-GT・牧野 任佑/山本 尚貴、4位は昨年限りで引退した立川 祐路が監督に就任し、スポンサーも変わったKeePer CERUMO GR Supra・大湯 都史樹/石浦 宏明、5位にENEOS X PRIME GR Supra・福住 仁嶺/大嶋 和也。Q1では最速だったMOTUL AUTECH Z・ロニー クインタレッリ/千代 勝正が、Q2で順位を下げてしまいましたが日産最上位の6位でした。

・決勝

 スタート時点で気温26℃、路面温度39℃ですから先週の鈴鹿でのF1と同じような条件です。去年まであったミシュラン鬼のスタートが無いのでそこまで極端な順位変動は起きないだろうな、と想像したら波乱の展開になりました。やや出遅れた5位の大嶋に外からクインタレッリが仕掛けましたが、大嶋はブレーキでロックさせてしまい、ロニーさんは接触でコース外へ。
 これでフェンダーが傾いた上にまだタイヤが目覚めないらしい大嶋、リボルバーコーナーでは逆に後ろからMARELLI IMPUL Z・ベルトラン バゲットにぶつけられてしまいます。後続のAstemo CIVIC TYPE R-GT・太田 格之進がスピンした大嶋を避けきれず突っ込んでしまい、自走不能になって停止したのでSC導入となりました。これとは別件で脱毛GT-Rもアールキューズ AMG GT3とアトウッドで接触、早速脱毛を成功させていました。脱毛はこのレース24位でした。

 けっこうSCが長引いて8周目にリスタート、予想外に早く坪井が加速してリスタートしたので、2位のデンソー・関口が全く反応できなかった様子。始まった瞬間から2秒差が付いてしまいます。GT300はレオンAMG篠原、ムータGR86平良、BRZ井口の3人がまずは抜け出しました。
 14周目辺りからGT500がGT300の集団に当たり始めますが、坪井にとっては最初に得られた2〜3秒の差があるので非常に落ち着いて処理できている様子。逆に関口は後ろに牧野と大湯がすぐいるので常に前と後ろを見る必要があり、どうしても危険性が高くなります。
 しかしこの状況で困るのは間に挟まる牧野も同じで、18周目にGT300に詰まった関口に自分も詰まってしまい、その隙を大湯に衝かれました。これで大湯が3位となり、勢いよく関口も狙っていく、というのを想像したらそんなに簡単には抜けないのでしばらくレースが落ち着くことになります。坪井は毎周確実に差を広げていって23周を終えたところで2位関口との差がもう10秒を超えました。
 その間GT300では3位の井口がついていけなくなったようでブリヂストンの2台だけが独走状態となり、引き続き篠原と平良が1.5秒程度の差で接近状態。こうなると戦略の幅が広いGR86はコース上以外で打てる手が多いのでちょっと有利そうです。無交換やるんだろうなあ。


 GT500の2位争い、大湯は前に出れたら出たいなあという感じの動きを見せていましたが、抜けないので29周を終えてGT500で最初にピットへ、これに牧野も続きます。それぞれ石浦と山本に交代しましたが、ここでセルモの右前輪の作業でナットを落っことす痛恨の失敗。これが響いてピット内でスタンレーがキーパーセルモを逆転しました。映像を見返すと、当然ながら車輪の中央に真っすぐレンチを突っ込まないといけないところ、少しブレてしまって車輪にレンチをぶつけてしまい、ナットが落ちたみたいですね。逆から言えばすぐ拾えないようなところへ転がらなかったのが不幸中の幸いでした。


 この動きを見てデンソーが31周目、auトムスが32周目にピットに入り、それぞれ中山と山下に交代して実質の1位と2位はそのまま。特にトムスは10秒以上後続を引き離した上にピット作業も早いという手のつけられない状態で、当面誰も追いつけそうにありません。というか普通に考えたらもう優勝です、おめでとうございます!速いですね!すごいレースでした!お疲れさまでした!
 
 一方GT300は33周目に先にムータレーシングが動き、平良から堤へ交代してタイヤはやっぱり無交換。レオンはこれに対して反応しないので違うことを考えているようですが、面倒なことにちょうど目の前にはピット作業を既に終えたGT300の周回遅れ登場。目の前にいるのはタイヤを換えたK-tunes RC F GT3なのでそれだけならまだ良かったんですが、その前にGT300で真っ先にピットに入ってタイヤを換えずに出たマッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号がいます。当然無交換のマッハ号は防戦なのでちょっと争ってしまい、かといって周回遅れにして抜き去るほどの速度差も無いのでなんとなく詰まってもどかしい時間です。
クラス1位なのにめっちゃ集団にハマる^^;

 
 GT500ではDeloitte TOM'S GR Supraだけがピットに入らずに引っ張る戦略を採り、笹原 右京が延々とラップ リードを記録。笹原は中古タイヤにも関わらずそれなりのペースを維持して53周目にようやくピットに入りました。ジュリアーノ アレジに交代して前後にだーーーーーれもいない7位で合流。11位スタートから7位なのでちょっと得した気がしますが、よく考えたら1周目に3台消えてるのでそうとも言い切れないですね^^;
 同じタイミング、GT300の50周目にレオンAMGもようやくピットに入り、こちらは蒲生が3位で合流、前にいるのは無交換のムータGR86と、こちらも8位スタートから25周目にタイヤ無交換でさっさと宿題を終えたGreen Brave GR Supra GTでした、脱毛はすごく名前が長くなりましたが、こっちは今年は名称から『埼玉トヨペット』を外してすっきりしています。

 とりあえず両クラスとも優勝争いは区切りがついたかな、という中で全く区切りが付いてなかったのはGT300の2位争いとGT300の6位争い。前者は中山と山本がピット後は延々と争い続けています。NSXの神様とも呼ばれた山本選手、シビックの神様にはなれるでしょうか。
 そして後者はというとマッハ号の藤波 清斗を先頭に13位までが大集団を形成。いわば謹慎明けという感じで今季チームに加入した藤波が必死の走りで壁になっています。この藤波の壁、GT500の63周目にようやく2台が抜け出すと、翌周にはBRZの山内が背後についたものの、ダブルヘアピンの2つ目で山内が当ててしまいました。タイヤズルズルの藤波は耐えられずスピンし、復帰が上手く行かず縁石の上でカメさんになってしまったためFCYとなりました。
 マッハ号はこのレース22位、BRZはペナルティーを受けた上に衝撃の影響か内部に破損が発生したようで煙が出てしまいリタイアとなりました。レース後の山内選手によるとそもそもブレーキがいわゆるロング ペダルになっていて、踏んだら全然止まらなくて当ててしまったみたいです。もちろん失敗しないにこしたことはないですが、このあたりの中堅~ベテランの選手は率直に起こったことを説明して、失敗はきちんと謝罪するので、次も応援しようと思えますね。

 FCYは2分ほどで終了、GT500の2位争いはFCY早押しクイズになりますが中山は無事に2位を守り、その後はちょうどさっき藤波の壁の後ろにいたGT300の大集団とも遭遇しましたが全て切り抜けました。このFCY前後、1位の山下と2位中山の差がピット直後の9秒からじわじわ縮まって5秒台になっていたので気になって見ていたんですが、この後離れたので特に異常とかではなかったんだなととりあえず自分の中の要注意マークを外します。GTは見る箇所が多いので、中継映像が拾わない部分を自分でタイム差とか注視しとかないといけないんですよね~w


 そのままレースは最終周、終わってみれば山下は2位に11秒差まで再び差を広げての完勝、坪井とトムスにとっては昨年の第7戦から年を跨いで3連勝となるチェッカーを受けました。レース後の話だとタイヤに気を付けて走って、ちょっとタイヤを余らせすぎたと言っているので追いついたように見えたのは猛烈に抑えてたんですね。いやあもうお見事としか言えません、オフに『本命』とか言われて開幕で本当にそうなることってこのシリーズだとあんまり無いんですが、今年は本命が本当に本命のようです(日本語崩壊)


 2位は耐えきったデンソー、3位にスタンレーシビック。まだ癖でNSXって打ちそうになります。後半はあまり争いに加わらなかったので存在としては地味でしたが、4位にキーパーセルモが入ってGRスープラは1-2-4フィニッシュ、チーム国光がいなければ表彰台を独占されるところでした。5位に日産最上位のモチュールZ、6位にもう1台のNittera MOTUL Zが続きました。二テラは後半を担当した新人・三宅 淳詞が途中アレジをヘアピン出口で押し出してしまいましたが、黒白旗で済んだので助かっていました。
 アレジは新しいタイヤで攻めていましたが、追いついた三宅に追い出されて差が開き、さらにGT300の大集団でもなんかとばっちりを受けて接触しており、ちょっとボコボコにされてかわいそうでしたねw

 一方GT300は無交換のムータが逃げ切りましたが、2位のレオンは最終的になんと4.9秒差とすぐ近くまで来ていました。ピット前に変に周回遅れに詰まっていなかったらひっくり返っていた可能性もあるなかなかの僅差で、無交換だから楽して勝てるわけではないことを実感しました。3位は今年から緑色の成分が多めになったStudie BMW M4・荒 聖治/ニコラス クルッテンで、1位からは20秒離されましたがクルッテンがデビュー戦から良い仕事をしました。

 4位はグリーンブレイブの吉田 広樹/野中 誠太、5位は嵯峨 宏紀がいなくなったapr LC500h・小高 一斗/中村 仁。結果としてタイヤ屋さんで見ると1位~5位のうちM4だけミシュラン、他はブリヂストンという結果になり、6位もダンロップを履くK-tunesなので、ヨコハマはなんと7位のMETALIVE S Lamborghini GT3が最上位でした。
 GT史上でも開幕戦のGT300クラスでヨコハマ装着車両が上位6台にいなかった、というのはおそらく初めての出来事。それどころか表彰台を逃したのも雨だった2019年の一度だけしかおそらく無いと思います。1戦だけとはいえ、予選での速さ、アタックを続けてもタイムの落ち幅が少ない安定性を見ると新予選制度でブリヂストンの強さがより出ているようにも感じました。


 色々ありましたが両クラスとも本命と言われる車両がまずは開幕戦を制して、1周目の波乱はあったけどレース結果は比較的順当な開幕戦だと思いました。GT500はミシュランが抜けてほぼブリヂストン一強となり、運営側もできれば台数の面でも競争力の面でも拮抗を望んでいることをはっきりと口にはしていますが、まあそうはならないでしょう。普通ならこういう状況だと残るメーカーも撤退して望まなくてもワンメイク化するので、表現が良いかどうか分かりませんが、ヨコハマとダンロップはよく頑張って続けてるなと正直思います。
 そんな中でGRスープラは特に安定して強くさすがという印象。今年のGT500は最低地上高が5mm上がっていてセッティング面でかなり見直しが必要になったはずなので、唯一スケーリングベースが変わっておらず対前年比で比較して開発しやすい利点が活きてるのかなと思いました。Zはスケーリングベースの変更よりも、ニスモがタイヤを変更したことで開発の出発点が変わった部分はあるでしょう。



 1つ気になったのは1周目の接触事故。大嶋選手はターン1でロックした件についてオートスポーツwebの取材に

「ソフトタイヤを履いていたのでウォームアップに自信があったものの、思ったほどタイヤの芯までは温まっていませんでした。その辺はちょっと判断ミスだったなと思います。」

と、説明。そしてその大嶋選手に突っ込んでしまったバゲット選手は、実はこちらもターン1からロックさせて結構危ない走りになっていて

「正直、なぜタイヤが何度もロックしたのか分からない。スーパーGTに参戦して11年になるけど、こういう経験は今までになかった。」
「普通に1コーナーに入って行ったら、外側のフロントタイヤが突然ロックアップした。正直、これもなぜ起きたのか分からない。」
「ターン8ではブレーキを遅らせたつもりはなくて、普通にブレーキングした。そうしたら、いきなりタイヤがロックしてそのまま突っ込んでしまうことになった。ターン1に関してもまったくリスクを負っていなかったし、安全に行った。だけどタイヤがロックしたことで、そうではなくなってしまった。」

と、繰り返し「全く無理していないのになぜかロックした」と説明。もちろん自分ではそう思っていたけどデータを見たら全然そんなことない、という可能性もあるとは思いますが、ひょっとすると予選の制度が変わって、スタート時のタイヤの状況や今年に合わせて開発したタイヤの特性そのものも変わって、そこにドライバーがまだ適応しきれなかった部分があるのかもしれないと感じました。本気で予選を2アタックやったタイヤで、本気の人と接近した状態から緊張状態の中で競争する、というのは練習できないですから、想定と違ったとしても不思議ではないです。
 近年のGTは、特にGT500は序盤に接触して台無しにしないようにお互いかなり距離を開けてスタートすることが多いので、ましてや目覚めの早いミシュランもおらず、逆に寝起きの悪いヨコハマも前方にいない状態でこれだけ混乱するというのは結構驚きました。一旦落ち着いたら全然抜けなくなるのはいつも通りだったので驚きませんでした()

 GT300も、先に書いてしまいましたがブリヂストンの脅威がさらに増した印象。もちろんBS装着車両はそもそもGT300の強豪勢で、なおかつ岡山と相性の良い車両が多いのでここは卵が先か鶏が先か的な話でもあるんですが、タイヤを換えずに走ってなおタイヤを換えた同クラスの車両と同等ペースで走られるとお手上げだと感じている現場の人もたぶんいるでしょう^^;
 開幕戦の表彰台の顔ぶれはそのままチャンピオンを争う顔ぶれになる可能性が高そうなので、サクセスウエイトを積んだ次戦以降の順位も当然ながら注目点だと思います。一方でマッハ号の無交換の戦いぶりと大連結バトルを見ていると、ウエイトが少し乗ったら優勝争いの顔ぶれはかなり多彩になりそうだな、とも感じたので、ここはハンデ制レースらしく2戦目以降重さの違う車による争いを楽しみたいと思います。

 次戦はお馴染み大型連休の富士スピードウェイ、今年は3時間レースです。

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