2023 AUTOBACS SUPER GT Round6 SUGO GT 300km RACE
スポーツランドSUGO 3.586km×84Laps=301.224km
スポーツランドSUGO 3.586km×84Laps=301.224km
GT500 class winner:ARTA MUGEN NSX-GT 野尻 智樹/大湯 都史樹
(Honda NSX-GT/ARTA)
GT300 class winner:埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田 広樹/川合 孝汰
(Toyota GR Supra/埼玉トヨペットGreen Brave)
オートバックス スーパーGT、第6戦はSUGO。今年は第2戦以降450kmのレースが続いたので今季2度目の300kmレースです。しかも開幕戦の岡山は200kmぐらいしか走れなかったので300kmでちゃんと走りきったら今年初めて。でも去年のSUGOも天候に振り回されるレースだったんですよねえ^^;
・レース前の話題
決勝レースのスタート直前ですらお客さんがグリッド上で見物できるほど車両や関係者とファンの距離が近いというのがウリのSUPER GTですが、この第6戦を前に運営から『パドック内における防犯体制の強化について』と題した声明が出ました。その中で
『これまでの大会期間中、パドック内において盗難や器物損壊が複数発生しており、会場内での皆様の安全を守るため、「警備体制の増強」「監視カメラの設置」等を実施して参ります。』
と記されています。オートスポーツによれば、SUPER GTに限らず昨今のレース界においてスタッフやレースクイーンの所持品、さらには車両部品の盗難や重要部品の損壊といった看過できない事象が続いているとのことで、運営として警告を発した形です。モラル、違法行為と言えば私にとっては鉄道ファンの蛮行が身近な話題、また私は全然興味が無いですが、流行っているウマ娘に関連して牧場へ行って馬に危険を及ぼすような行為を行う人間もいると聞いており、世間共通の問題であると感じます。
こんなところで愚痴るのもなんですが、安易にありもしない儲け話で強盗に入って他人を死傷させる、それを海外から仕向けるゴミのような人間がいたり、平然と他人を侮辱・中傷したり、動画投稿サイトで他人を侮辱しているような人間に国政選挙で票が集まったり、いわんや平気で嘘をつく、嘘をついても謝らない、違法でなければ何をしようが問題ない、バレなければ違法ではない、そんな態度の政党が10年も政治権力を握って有権者がそれをよしとしているわけですから、社会全体に物事をきちんと考えて判断できない、感情の劣化とても言いましょうか、やっていいことと悪いことを判断できない人が増えている気がします。歩きスマホなんて典型ですけどね。みなさんはそういう人間にだけはならないよう気を付けましょう。
・予選
GT300クラスの予選開始前にちょびっとだけ雨が降ってしまいQ1のA組はみんなウエット タイヤで出撃。ただドライの110%ぐらいのタイムで溝付きタイヤはもう限界ギリギリ、タイム頭打ちという状況で、もしスリックで賭けをしてたら成功したかもしれない路面状況でした。
おかげでB組はもう路面がほぼ乾いていましたが、とりあえず様子見で一度ウエットで出た人も複数。ただこの人たちはスリックに交換後、熱入れの時間が足りずに苦戦した様子でした。とりわけウエットでまずタイムを出しておいたmuta Racing GR86 GT(100kg)は時間が足りずQ1敗退、あと4秒あればもう1周アタックできていて、そうなると通過していたかもしれません。車が重いのであえて逆張りしたんだと思いますが、どうせならスリックに賭けた方がよかったかもしれません。
そしてQ2では菅生で4戦連続ポール ポジション獲得中のSUBARU BRZ R&D SPORT(69kg)・山内 英輝が暫定1位となったものの、これをK-tunes RC F GT3(15kg)・高木 真一がなんと0.7秒以上更新。誰も高木さんのタイムに手が届かず、前戦で山内が更新したGT300の最多ポール記録に再び高木が追いつく通算14回目のポールとなりました。
振り返ったら昨年のこのレースもポールは山内と高木の争いで、タイムで上回ったのは高木でしたが、予選後車検で『整備後に一部のウエイトを載せ忘れた』というチームのミスにより失格になっていたので、1年越しに取り返した形です。
2位はこの2人に割って入ったシェイドレーシング GR86 GT(3kg)、BRZは3位で、4位に埼玉トヨペットGB GR Supra GT(90kg)。サクセスウエイトが重たい組も健闘し、5位にリアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(100kg)、6位にUPGARAGE NSX GT3(100kg)、午前の練習走行でパワステが壊れたStudie BMW M4(100kg)も荒 聖治がQ1を突破しましたが、ブルーノ スペングラーが初体験のコースを事前に1周しか練習できなかったのが痛くて16位でした。
一方GT500はQ1から完全に乾いた状況で普通通り、Q2ではコース レコードを更新する水準での闘いになり、最初にAstemo NSX-GT(41kg/-1)・松下信治が、次にMOTUL AUTECH Z(50kg)・ロニー クインタレッリが、そして最後にARTA NSX-GT(22kg)・大湯 都史樹が相次いで記録を更新していきました。大湯が0.073秒差でロニーを下して初のポールを獲得しました、前戦は気合が入りすぎてはみ出してしまったので、こっちもまたやり返しました。
予選順位はARTA8号車、モチュールZ、アステモNSXのトップ3。4位にDENSO KOBELCO SARD GR Supra(46kg)、5位にZENT CERUMO GR Supra(36kg)。Niterra MOTUL Z(48kg/-3)はQ1を突破して8位に食い込みましたがたぶん決勝はしんどいでしょう。同じミシュランのZでも3号車より23号車の方が基本的に底を打った時に車が暴れまくるのがいつも気になるんですが、ドライバーの好みに合わせてセットするとああなるのか、方向性が根本的に違うのか。3号車の方が安定して結果を出せそうに見えるんですけどね。
・決勝
スタート前のインタビュー直前に高橋 二朗の顔にハチが当たる、という大波乱に見舞われた決勝。インタビュー相手が8号車なので「ハチだけに縁起がいいですね」とうまいこと笑いに繋げて良いネタになりました。鈴鹿でも元プロ野球選手2名による茶番がありましたけど、なんか変な流行りが生まれてるんでしょうか?w
GT500では6位スタートのDerroite TOM'S GR Supra(16kg)・ジュリアーノ アレジが、本来は左側の偶数列に並ぶべきところ、なぜか信号が変わる直前のギリギリまで右側の奇数列に並んでおり、これが原因でやや混乱していきなり5位と6位の間に大きな隙間ができてしまいました。アレジはこれでスタート手順違反により訓戒を受けています、今日はお父さん見に来てたんですけどね^^;
ただ順位そのものには大きな変動がなく、ARTA・野尻がまずは後続を引き離すセオリー通りの走り、モチュールZ・クインタレッリ、アステモNSX・松下、デンソー・関口 雄飛と続きます。
一方のGT300は100kgハンデの2台を7位スタートのDOBOT Audi R8 LMS(45kg)・片山 義章が早々に抜いて5位浮上。ここから上は変動がなくK-tunes・新田 守男、シェイドレーシング・清水 英志郎、BRZ・井口 卓人、グリーンブレイブ・川合 孝汰が続きます。
1周が短いコースなのでGT500は6周も走るとトラフィックパラダイス!ですが、そんな中で野尻は一方的に差を拡大していき12周を終えてクインタレッリとおよそ10秒差。一方GT300は逆にトップ4がほぼひとかたまりになり、さらに片山が圧倒的に速いペースで追い上げてこれが5台の集まりになります。毎度の傾向ですがK-tunesは予選で速いと決勝でタイヤの摩耗に苦しむ場面が多いですね。
この争いはけっこう長く続き、仕掛けても抜くにはあとちょっと足りないっ…というのがお互いに続いていましたが、19周目に5位の片山が前方2台の争いに乗じて川合を抜くことに成功。この時片山は左側のタイヤが白線外まで行くぐらい大外からターン1に突っ込んで成功したので、同じ周の馬の背で井口も同じパターンで外から狙おうとしましたが、あまりに入る空間が狭すぎて軽く接触、自分がはみ出して逆に順位を2つ吐き出します。
片山選手はちょっと急いでリスク抱えすぎた感じですね、井口選手はそのラインで相手が入ってくるとほとんど想定していないので、斜め後ろからいきなり1台未満の場所しか残していない外側へ並んで来られたらちょっと対応できないと思いました。
一旦流れが動くと争いは続き、翌周にはズルズルになり始めた新田を清水がかわしてリードを奪うと、その後方では井口と川合の争いに今度はリアライズGT-R・名取 鉄平も加わってターン1に3台で進入。名取は危ないので早めにブレーキを踏んだ一方、川合は井口を抜こうとして突っ込みすぎて大外へ。これで名取は漁夫の利みたいになりますが、ターン2でインベタの名取と外から帰ってきた川合の間に井口が挟まれてしまい、接触でBRZの左側のカナードが割れました。中継では3位争いを映してしまっていたので1位争いの方がリプレイに^^;
右側に軽くBRZが当たった川合でしたがなんとか名取との争いは踏ん張って、結果的にはずっと抜けずに困っていた井口をかわすことに成功。名取も4位に順位を上げ、一方で井口はカナード破損の影響かここから順位を下げていきます。後からの情報ではタイヤがきつかったらしいですが、右コーナーで曲がりにくいから余計にタイヤこじって潰したんじゃないでしょうか。
3位になった川合でしたが、図体のデカいRC FとGT-Rに挟まれてペースが上がらず、変に仕掛けても自分が抜かれて損するだけなので上位勢では最初に23周目にピットへ。後輪のみの交換で時間短縮を狙ったら右後輪がなかなかハマらず8秒ほど余分に時間を食ってしまいました。それでも作業時間32秒なら早い方で、吉田 広樹に交代します。
GT500では28周目に早いところがピットに入りサイクル開始。30周目にモチュールが上位勢で最初にピットに入り、作業時間36秒で松田 次生に繋ぎました。これを見てARTAは2周後にピットに入り野尻から大湯へ。ピットで失敗が多い、でお馴染みARTA、去年も雨が降ってバタバタする中でナットを締めずに慌てて発進する愉快なアグリさんになっていましたが、今回は左前輪の交換に手間取って42秒ほどの作業時間。リタイアしなければヨシ!
すると33周目に入ったアステモはこの2台よりも給油時間が3秒ほど短く、タイヤ交換も見事で作業に33秒しかかからなかったので、コースに戻った塚越 広大は大湯の遥か前方にいました。ARTAはピット前の10秒の貯金を一瞬で失いました、FX取引で失敗した気分。
当然塚越のタイヤに熱が入らないうちに抜きたい大湯でしたが、塚越先輩も鬼ブロックで応戦。大湯はGT300の高木大先輩にも道をすんなり譲って貰えず軽く交錯してしまいこの間に完全に塚越に逃げられてしまうと、むしろ真後ろに来た松田先輩の対応をせざるを得なくなり完全にレースはアステモNSXが主導権を握りました。
サーキットが震撼したのは39周目、STANLEY NSX-GT(45kg/-1)・山本 尚貴がちょうどストレート上のダンロップのアーチがあるあたりという不可解な場所で大クラッシュ。モノコックの後部隔壁から後ろがほぼ砕け散ってしまう見た目にもかなり酷い事故で即座にSCが導入され、その後現場の処理のためにレッド フラッグとなりました。
無線で体の痛みを訴えていたという山本選手はそのままヘリコプターで病院へ。ひとまず大きな外傷はなかったためこの日のうちに退院しましたが、念のため追加で別の病院で診察を受けると発表されています。あの感じだと身構える間もなくいきなり後ろからドンですので、慎重に慎重を重ねた方が絶対に良いと思います。
GT300ではこのSC導入の際にたまたまピットに入っていたリアライズGT-RとアップガレージNSXが大きく得をしました。真っ先にピットに入って義務消化組の先頭だったグリーンブレイブに続く実質2位、3位での合流となりましたが、そもそも事故原因はこのリアライズGT-Rでした。
名取はピットに入りたかったけどちょっと空いていた内側にGT500車両が1台入ってしまい、ちゃんと確認してこれを先に行かせて急いで右へ、と思ったら見えていなかったもう1台のGT500=スタンレーNSXがいて引っかけてしまい、そのままNSXがコースの右から左に巻いて壁に突っ込んだ流れでした。
名取にはこれで危険行為としてドライブスルーのペナルティー、さらに赤旗中にジョアン パオロ デ オリベイラがついつい破損した部分を手で触ってしまったのでペナルティーをもう1個貰ってしまいました。それでも最終的に10位で1点獲得しています。この事故の前にもちょっと危ないなあと思えるピット進入の動きはありましたし、構造的にこういう事故が起きやすいのは分かっているので、入り口の白線を延長して『ピットに入るならインベタで』というのを規則としてきちんと整備した方が良いと思います。
一方GT500ではまだ2台がピットに入っていませんでした。通常SUPER GTでは『SC導入時に義務が消化できていない=大損』ですが、SUGOだけは1周が短いので、ピットに入っていない車がいると多くの周回遅れが発生し『義務を消化しリード ラップに残っていた車』と『義務を消化したが周回遅れの車』に分かれます。長いので前者をX、後者をYと便宜上名付けますが、この結果他のコースと違って以下の2つの問題が発生します。
1つ目は、XとYには再開後にほぼ1周差がついてしまうので、この後もう一度SCが出ない限りYの人はもうXの人に追いつくことが不可能で、実質的に別クラスになったと言っても過言ではない順位争いになります。
2つ目に、まだピットに入っていない人はレース再開後にピットに入ると、通常の4輪交換+給油だとちょうど丸々1周ぶんぐらいの時間がかかるので、ちょうどYの集団の前方で合流し、タイヤに熱が入るまでの間に抜かれるか抜かれないか、ぐらいの感じになります。作業時間次第ではかなり前方で戻れます。
セオリーは全体の速度が遅い再開直後のピットですが、隊列の先頭にいる場合には後続に従うYの人たちは周回遅れなのでそうそう自分を抜きたくても抜けません。つまり、ピットを引っ張って耐えていてもYの人たちは自分より速く走れないので、暫くは蓋をしておいて最後にちょびっと給油して軽い車と柔らかいタイヤで飛ばせば、Yの人に呑まれることなく最後まで走れてしまうかもしれません。
で、実際の状況はどうだったかというと、ピットに入っていないのがデンソーとMARELLI IMPUL Z(48kg)の2台で、これを含めリードラップ車両は5台だけ。つまりドライバー交代を終わらせた車両でリードラップに残れたのは上位3台のみでした。さっきまで実質4位以下だった車両はもう1回SCが出ない限り4位が最高の結果という状況を強制されました。SUGOはこれがあるから怖いんですねえ。
45分ほどの赤旗を経て45周目にリスタート。さっそく塚越、大湯、松田の争いもリスタート。ちょっと厄介なのは、自分たちの前には大量の"GT500の周回遅れ"がいることで、全然クリーン エアーが得られません。一方まだピットに入っていない2台では、集団の真ん中にいたマレリはすぐピットに入りましたが、デンソーはせっかくの先頭なのでまだ引っ張ります。
52周目、なんとなく車がタイトに見える塚越に対してターン1で大湯が内側に飛び込んで事実上の1位へ。そしてこの周にデンソーもようやくピットに入り関口から中山 雄一へ交代しました。デンソーのこのタイミングはおそらく計画的で、GT300の集団に追いつきそうなところでのピットでした。
Y集団の人たちはデンソーより前でコースに戻りたい、タイヤが冷えている間に抜きたいのにGT300に詰まってペースが上がらないわけです。いざ中山がコースに戻ったらもちろん彼自身もGT300の集団に冷えたタイヤでぶちこまれるわけですが、この集団が煙幕のような役目を果たすので相手が追いついてきません。作戦大成功でデンソーは4位を確実なものとします。先に入ったマレリは一旦はY集団の後方まで落ちたものの、タイヤが新しいので抜きまくって、結局全部抜きました( ゚Д゚)
X集団ことGT500のトップ争いでは大湯が60周目には一旦塚越を3.5秒差に引き離したのに、4周後にはふたたび真後ろに来てしまい一進一退。ただアステモNSXとARTA NSXには燃料流量制限1段階と実重量19kgの結構大きな差があるので後ろに付いても抜くのが困難。50kgハンデの松田も後ろにいるもののやはり状況は同じという雰囲気でした。
しかし残り9周、決め手はやっぱり最終コーナーとGT300。大湯が完全に最終コーナーの途中で詰まってしまい、後ろからそれを見た塚越が逆にラインを選んでGT300を間に挟んだ3ワイド。塚越は危うくターン1で次のGT300に突っ込みそうになりましたがなんとか接触は避けられリードを奪い返しました。マジでぶつかったかと思った^^;
塚越は抜いたらそのまま逃げていき、最終的に7秒差を付けて今季初勝利を挙げました。開幕から全て入賞してきたけど小粒であまり点数が伸びていませんでしたが、これでドライバー選手権でも一気に争いに割って入ることになりました。大湯は終盤に思ったよりタイヤが劣化したそうでARTAが2位、松田がずっと大湯を狙っていたものの抜けずモチュールZが3位でした。
一方のGT300は再開時に実質1位だったグリーンブレイブ・吉田がうまく逃げました。実質2位を一旦はK-tunes・高木が奪い返し、そこからまた蓋になり始めてアップガレージ・小林 崇志が抜き返す、という流れがあったのでこの間にうまく差を広げ、後輪しか交換してないけど想像以上に盤石のレース運びでした。
そのまま最終周に入り、譲ってくれた車にありがとうハザードをしながら最終コーナーを立ち上がりますが、なんかいきなり野太いV8エンジン音がブツっと切れた気がしたなと思ったら失速。そのまま加速せず上り坂でどんどん速度を失い、その間に黄色いNSXが脇を通過していきました。アップガレージNSX、まさかの最終周チェッカー目前大逆転。ピットで金網に上って喜ぶはずだった川合選手、その姿勢のまま表情が固まって、信じられなくて悲しいのかどうかすら自分で良く分からない、みたいな雰囲気でした。
・決着は車検場へ・・・
しかしこのレースには思わぬオーバータイムがあり、結末は頭文字Dの庄司 慎吾も腰を抜かすであろう衝撃のダブル失格でした。レース後車検でまずアップガレージNSXに最低地上高違反で失格の報が流れ、さらにその後にアステモNSXもスキッド ブロック厚み違反によりこれまた失格となりました。
アップガレージに関しては小林選手いわく、大幅に規定を逸脱していたのではなく『髪の毛1本レベル』の差だったとのこと。髪の毛に例えるということはひょっとしてズラスポ視聴者ですか?とか余計なことが頭をよぎりますが、何せギリギリのところで規定違反だったようです。なおGT300の車両はBoPで最低地上高が定められており、NSX GT3 2022は前後とも66mmと記載されています。ちなみに日本人の髪の毛の直径は0.08mm前後だそうです。
アステモのスキッドブロック違反は、チームによれば全体に減りすぎたのではなく局所的に損耗して規定以下の厚みになっていたので驚いているとのこと。ちょうど前戦で同じ理由により失格になったニスモはこのレース前に、毛ズレた、いや削れた原因を「タイヤに不具合があって壊れそうな状況になり、この際に車高が落ちてスキッドを削った可能性が高い」と説明していました。
今回も、たとえば赤旗からの再開時、タイヤ内圧が低い時に高速コーナーやブレーキングで左側だけが思ったより地面に接近してガリガリ削れた、とか予定外の問題だったのかもしれませんが、いずれにせよ両クラスとも優勝と思われた車が失格になってしまい、正式にはGT500の優勝はARTA NSX-GT・野尻/大湯組、GT300は絶望していたはずの埼玉トヨペットGB GR Supra・吉田/川合組でした。スタート前を思い出してください、二朗さんとドライバーのやり取り、「ハチだけに縁起が良い」。当たりましたね(え)
グリーンブレイブの失速の原因はガス欠で、SCの時間帯があったにもかかわらずチームの計算よりも燃料が残っていなかったことが主因だそうです。全くの余談ですが、GT300では2位のアップガレージの後ろでGT500のアステモがチェッカーを受けており、リードラップはこの2台だけになっていました。小林選手はちょっとだけ『17を先に行かせてチェッカー受けようかな』と思ったそうで、それをせず諦めなかったら勝てたという失格発覚前の話でした。
結果的にアップガレージは失格になりましたが、仮にグリーンブレイブがあと300mぐらい早くガス欠してチェッカーを受けられなかった場合、おそらくGT史上初めて『チェッカーを受けられなかった車の優勝』になるところでした。時々ここでも書いていますが、GTではチェッカー優先主義ではなく走行距離優先主義なので、2位以下が全て先にチェッカーを受けてしまっていれば、1位の車は優勝が確定します。
GT300の2位にはシェイドレーシング。元々3位でも参戦2年目で待望の初表彰台でしたが、繰り上がってさらに好結果の2位。今回はウエイトが軽いことが大きく、まだまだチームとして同一条件で強豪と勝負するにはいろいろと足りていない印象ではありますが、チームとしてまず最初の大きな結果を手にできたことは大きいと思います。
GT500では3位にデンソーサード、赤旗が無ければ2位も1位も、、、とチームが思っているかは分かりませんがこちらはピット前の元々の争いでも4位近辺にいたので、起きたことに対してしっかりと対処して最大の順位を得たと思います。一方Y集団ゴボウ抜きのマレリZは普通にレースが進んでいたらここまで来れていないと思うので、ピットに入らず引っ張ったことでものすごく得をしたと思われます。
で、レース後車検による失格に関するあれやこれやを書こうと思ったんですが、思ったより肉厚になりそうなのでちょっと別記事に独立させますw
・ドライバー選手権
GT500の選手権の1位は引き続き二テラZの千代 勝正/高星 明誠で、10位フィニッシュから繰り上がって9位になったことで合計51点となりました。次戦はポイント×1kgのハンデなので51kg=34kg/-1 となります。50kgだとそのまま50kgの積載で、オートポリスのレースが450kmであることを考えるとチームはどっちを希望していたか分かりませんが、おそらくパワーが下がっても軽い方が長い目で見て助かると思うので、ひょっとするとこの1点はかなり大きな影響を与えるかもしれません。
追いかけるau TOM'S GR Supra・坪井 翔/宮田 莉朋は4点取って49点。モチュールZの松田/クインタレッリが15点獲って合計40点で選手権3位に浮上しました。今回優勝した野尻/大湯組は開幕戦での3位しか入賞が無かったので、勝ってもまだ合計32点で選手権7位です。
GT300はアップガレージが優勝なら小林 崇志/小出 峻は年間3勝で60点とぶっちぎりになるはずでした。ただ失格でも2勝した実績は大きく選手権は依然2位となっています。1位に浮上したのは感情ジェットコースターだったグリーンブレイブの吉田/川合組で50点。入賞5回で、うち3位が2回、そして今回優勝で合計50点と堅実です。
今回はアップガレージ以外も選手権上位勢がほぼ総崩れで、リアライズGT-Rは途中に書いた通り1点、Studie BMWは13位で圏外、ムータレーシングは序盤に駆動系が壊れてリタイア、と重たい人は重たいなりの結果になってしまい、グレーンブレイブだけが90kg積んでうまくやりました。GT300では次戦はポイント×1.5倍のウエイトになります。
初めて長距離戦で開催されるオートポリス450kmは約1か月後の10月15日に決勝です。


コメント
300に元F1ドライバー(メリ)が乗ってるのも珍しいと思いますが、去年いろいろあった本山の代わりに加入してきてチームが大変な状況の中、ここまで結びつけたのは凄いの一言です。
去年のドラゴコルセ、今年のつちやエンジニアリングとマックスレーシング(これらは理由がちょっと違いますが)の様にシーズン途中で参戦出来なくなるチームが目立ち、一歩間違えたらチームルマンもそうなってしまっていたかもしれないと思うと、恐ろしい世界だなと感じました。
ルマン自体500でもチャンピオン取ったのに撤退してしまった事実がありますし。
メリーは正直腰掛け程度で数戦だけ乗るんだと思っていたので、フォーミュラEとの重複が無ければちゃんとフル参戦、しかもけっこう乗れているというのは驚かされています。そもそもあのチームの状況でどう話が転がって彼が来たのか未だによく分かりませんが(笑)、できれば貴重な才能として長くいて欲しいし、なんならGT500からオファーとか来ないかなと思ったりしますね。