2022 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL
NSXの神様は今年のGTでは可もなく不可もなく、スーパーフォーミュラではかなり苦労していて、思い通りに動く車でイメージ通りに走って自分の名前が一番上に来る状況を渇望していたんだと思いますが、Q1終了後のインタビューでの感情の乗り方から相当な気迫と鬱積して来た思いを感じましたね。スタンレーは優勝ならギリギリチャンピオンを獲れる可能性があります。
事故の起点は事象だけを見ると、au TOM'S GR Supra・坪井 翔がコースの一番左端をブレーキで突っ込んで行って、行き過ぎて右前方にいたapr GR86 GT・永井 宏明を引っ掛けて回したことが原因なんですが、その前の段階で坪井も密集状態から行き場が無くなって完全に車両の左側をダートに落としており、一番タイトなラインで一番ブレーキで奥まで行った状態でした。
チャンピオン争いするを車には必要以上にリスクを与えないのがレース界の不文律というやつですが、小暮さんは圧倒的な速さで外から安全にぶち抜きました。何せ2010年には無理しなくてもチャンピオンなのにわざわざリスクを冒して優勝を狙いに行ってチームメイトに冷や汗をかかせたファイターですからね。藤波は思わず自分のチームが抜いたかのようにガッツポーズ。オフにウラカンを買いに行っても不思議ではありません(オイ)
モビリティリゾートもてぎ 4.801km×63Laps=302.463km
GT500 class winner:STANLEY NSX-GT 山本 尚貴/牧野 任祐
(TEAM KUNIMITSU/Honda NSX-GT)
GT300 class winner:ARTA NSX GT3 武藤 英紀/木村 偉織
(ARTA/Honda NSX GT3)
人によっては4連休が取れるかもしれない、という週末にお送りする2022年のオートバックス スーパーGT最終戦、ツインリンクもてぎから名前が変わったモビリティリゾートもてぎです。2009年から2019年まで最終戦の開催地となっていたもてぎですが、2020年のパンデミック以降は日程をいじっていたので最終戦は3年ぶり。最終戦としてのもてぎは11年間ずっと250kmレースだったので、『最終戦にもてぎで300kmのレース』は全日空GT選手権時代の1999年以来です。
このレースには限定ルールが適用され、レース中に必ず一度は『ドライバー交代と同時に4輪交換を行う義務』があります。GT300ではタイヤ無交換も2輪交換も使えないですし、SC中にタイヤを交換しても結局ドライバー交代時にまた交換が必要なので、飛び道具のように順位を上げる手段が限られそうです。
・予選
GT300クラスはQ2でショッキングな事態。比較的早くアタックに入ったSUBARU BRZ R&D SPORT・山内 英輝がQ1のタイム水準を上回るペースで最終コーナーを立ち上がりましたが、まさかのスピン。真後ろからピット ウォールにぶつかり赤旗となってしまいました。
車の僅かな上下動でディフューザーが縁石に悪い当たり方をして底付きし、瞬間的に左後輪が宙に浮いている状態になりました。まさにグランツーリスモでたまに遭遇する隠れズラ、ドライバーも全く予期していない急なスピンでした。ここですぐ頭に浮かんだのが当ブログの前戦の記事で、詳しくは記事後半とコメント欄の流れをご覧いただければと思いますが、チャンピオン争いの車が破損する話をしていました^^;
でも「車にダメージがあったら勝てる」という話になるので、BRZはここから大逆転でチャンピオンを獲れるはずだ、ということにして話を進めます。。。
もてぎでは3年ぶりにサクセスウエイトなしでのレースなのでQ2はコース レコードが軽々と破られていき、ポール ポジションはARTA NSX GT3・木村 偉織が獲得。開幕から失敗があったり、せっかく速く走ってたらなぜか車が壊れたりで全く結果が出ていないままここへ来ただけに、予選後のインタビューで偉織選手は早くも泣いてしまいました。
2位はUPGARAGE NSX GT3、昨年この車の名取 鉄平が記録したタイムが旧レコードで、ドライバーは2人ともこれを超えてきましたがポールには届きませんでした。ちなみに去年のこのレースでのUPGARAGEはたった6周で車が壊れてリタイアしています。上位2台はいずれもとにかく300kmちゃんと走って満足いくレースがしたい人たちですね。
3位にグッドスマイル 初音ミク AMG、数字上はチャンピオンの可能性があるLEON PYRAMID AMGが4位でここまでがレコード更新。ポイントで1位のリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rは今日もしっかりと6位で、今のところチャンピオン最有力。ランキング3位、TANAX GAINER GT-Rは不運にもアタック周の最終コーナーで黄旗にかかってしまい、ややくたびれたタイヤでの2周目のアタックでしかタイムを出せず7位でした。
GT500はQ1でブリヂストン装着のGRスープラが全滅、タイヤが目覚めていない可能性大。ランキング3位のAstemo NSX-GTもQ1で脱落して10位となってしまいます。忘れてましたけどアステモは去年のこのレースでも決勝前の練習でぶつけられてリアが未塗装の車両で走ってたんですね^^;
この予選でなんだか気迫が違ったのがSTANLEY NSX-GTで、Q1で山本 尚貴が最速を記録すると、Q2でも牧野 任祐がレコードを更新する最速を記録。もてぎでの御朱印を狙ったWedsSport ADVAN GR Supra・阪口 晴南を0.112秒差で下してポールを獲得しました。
NSXの神様は今年のGTでは可もなく不可もなく、スーパーフォーミュラではかなり苦労していて、思い通りに動く車でイメージ通りに走って自分の名前が一番上に来る状況を渇望していたんだと思いますが、Q1終了後のインタビューでの感情の乗り方から相当な気迫と鬱積して来た思いを感じましたね。スタンレーは優勝ならギリギリチャンピオンを獲れる可能性があります。
3位にランキング2位のカルソニック IMPUL Z、4位にランキング1位のCRAFTSPORTS MOTUL Z。上位に彼らがいる限りスタンレーは勝ってもポイントで届かないので、とりあえずこの時点ではZ同士のチャンピオン争い。ミシュランは予選でアウト→プリップ→アタック、の3周構成で異様に発熱が早かったのが印象的でした。なお仮にこのままの順位で終わると、なんとカルソニックが0.5点差でチャンピオンになります( ゚Д゚)
・決勝
BRZは朝4時までかかって修理を行ったそうで、ここにさらに練習走行開始直後にターボの不具合が発生して、修理で時間を使ってしまう二重苦。ただ車体は綺麗になっていてちゃんと塗装されてスポンサーのステッカーを全部貼ってある様子です。どなただったか、強いレーシングチームは『車が綺麗』だと言ってましたね。F1GPニュース+ONEのゲストの人だったったかな?
スタート、GT500はタイヤの目覚めが良くないウエッズスポーツを狙おうと、ターン3でカルソニック・ベルトラン バゲットが国本 雄資の内側に飛び込みましたが、国本も寄せながらブレーキングしたのでお互いもつれながら外側へ。この後ろから勢いよくクラフトスポーツ・千代 勝正が来てターン4でバゲットの内側に潜り込みますが、バゲットもかなりラインを絞ったので千代はズルっと滑りました。たぶんステアリングを切り足してアクセルを戻しながら右前が当たって、縁石にも乗ったので全て巻き込む条件がそろった感じです。
滑ったせいでラインを外れてターン4出口の縁石に変な乗り方をして車が軽くジャンプ、これでターン5までにARTA NSX-GT・野尻 智紀に並ばれてしまいます。ターン5の入り口で野尻は少し前に出ていましたが、千代はブレーキで踏ん張ろうとしてロックさせ接触。野尻はスピンしてしまいました。
この流れ、ターン3での国本とバゲットの争いから全部一連だと思うんですけど、何度か流れることになるリプレイでは野尻との並走~接触までしか放送されず、Z同士で軽く接触している部分が映ってないので、正直言うと「その前からが大事だからそこだけじゃ情報が足りないのよ」と思ってしまいました^^;
一方GT300はアップガレージ・小林 崇志がターン1~2で早々にARTA・木村の内側に入るとターン2出口でちょびっと押し出しつつもターン3で前に出ました。ここは先輩の貫禄。チャンピオンを争う人たちに大きな変動は無さそうです。
7周目にはGT500の上位がGT300と最初の遭遇サイクル、スタンレーの牧野は既に7秒以上の差で画面に映らなくなっています。そんな追いつかれるGT300の側にはBRZがいて、井口 卓人は明らかに苦戦している様子。車載映像を見ると加速で全くパワーが足りていないように見え、事後情報ではアンチラグのシステムが正常でなかった模様。井口がスイッチ類をいじったり、いっそのこと切ったりしてどうにか走っているものの、前に出れそうもありません。結局BRZはこのレースを20位で終えました。
9周目、千代に対してドライブスルーのペナルティーが課せられますが、これとほぼ同時に事故が発生。ターン3にGT500の6位あたりの集団とGT300の20位あたりの集団がなだれ込み、1つの接触を起点に多重事故。複数の車が破損してFCY、その後SC導入となります。クラフトスポーツはこのFCY前にペナルティーを消化することができたので、ペナルティーを受けたものの隊列最後尾からやり直せることになりました。
事故の起点は事象だけを見ると、au TOM'S GR Supra・坪井 翔がコースの一番左端をブレーキで突っ込んで行って、行き過ぎて右前方にいたapr GR86 GT・永井 宏明を引っ掛けて回したことが原因なんですが、その前の段階で坪井も密集状態から行き場が無くなって完全に車両の左側をダートに落としており、一番タイトなラインで一番ブレーキで奥まで行った状態でした。
両ドライバーのレース後時点で見解はこちらにあるんですが、コースの右寄りからほぼレコード ラインでターン3に走っていた永井からすると、ミラーに映る大量の車の一番内側から急に出て来た車はさすがに見えない感じです。
ペナルティーは出なかったのでレーシング インシデントという判断だったとは思いますが、個人的にはインベタで突っ込んだことよりも、その手前の段階でGT500と300が目の前に壁のようになっている時に、「ええい狭いけど左へ行ってしまえ」という感じで左へ動き、行き場の無い状況を招いてしまったところが判断としてはあまり良くなかったのかな、という風にも見えました。まあ全てが一瞬の間に起きるのでそういう時もありますから、それも含めてのレーシングインシデント判定なんでしょうかね。
混乱により特にGT500で順位が大きく変動、スタンレー、ウエッズ、カルソニックに続いて4位になんとアステモ・松下 信治。5位には11位スタートだったENEOS X PRIME GR Supra・大嶋 和也と続きます。アステモとカルソニックの順位が入れ替わるとチャンピオンはアステモの手に渡ります。さあ大変だ。
さらに混乱は続き、GT300のウエイブ アラウンドを経てリスタート手順を進めていた14周目、ストレート上でapr GR SPORT PRIUS GTがマッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号に追突。両車両とも大破してホームストレート上に停止しました。プリウス・中山 友貴の前方不注意が原因だったようで、この後SUPER GTでは非常に珍しく隊列がピットを通過するように指示されました。
aprはプリウスPHVに変わる新しい車両を既に開発していることが明らかになっており、このレースが最後のレースとなる見込みでしたが、思わぬ形で中破して役目を終えることになってしまいました。マッハ号は後部を中心にほぼ全損で、マザーシャシーを来年も使えるのかちょっと気がかりです。たぶんこの車体ってそもそもかなり使いこんでるやつですよね。
・リスタート~ピット サイクル
都合FCYから10周以上・時間にして34分ほど経過して21周目にようやくリスタート、いきなりバゲットと松下の3位争いがハゲしくなります。V字コーナーでミスったバゲットに対してその先のヘアピンで松下がすごい動きを見せて内側に入りましたが、バゲットがなんとかしのぎました。お互いに相手の車は昨年自分が乗っていた車ですが、非常にフェアーな争いでした。
翌22周目になるとGT500は2位のウエッズと中団以降が一斉にピットへ。もてぎで200kmを走るのは燃費的に厳しい、というのがつい数年前の話だったのに、もうみんな当たり前のようにこれをやりますね。
これを受けて23周目にスタンレー、カルソニック、エネオスと続けてピットに入りました。山本、平峰 一貴、山下 健太に繋いでそのままの並びでコースへ。1周ズラしてアステモも入り松下から塚越 広大へ交代しますが、戻った場所はヤマケンの後ろ、ピット前よりも1つ落とした位置でした。
全然作業時間が表示されないので映像からの検証ですが、スタンレーの給油時間は22秒、静止時間は36秒ぐらいでカルソニックも静止時間は35.5秒ぐらい、おそらくエネオスは静止時間34秒ほどと上位4台でもっとも早く、アステモは給油時間25秒で静止時間38秒ぐらいでした。この4秒の差と、インラップでGT300に少し引っかかったことがアンダーカットに繋がったと考えられます。
さらにタイヤにまだ熱が入っていない塚越の背後には、クラフトスポーツ・高星 明誠が襲い掛かります。高星は22周目ピット組で2番目にピットを出て、作動の早いタイヤを活かしてウエッズを抜き実質5位まで挽回してきていました。松下はタイヤに熱が入る前に抜かれそうになりましたが、GT300を思いっきり利用して高星を封じ込めます。シーズン序盤だったらGT300を抜く場所を残してくれたかもしれませんね^^;
GTは脳内でこういう吹き出しを想像しながら見ると面白いですよ |
GT300では26周目にアップガレージがピットに入りますが、太田 格之進が発進しようとして沈黙。SC時のウエイブアラウンドでもこの車は発進で困っていたのでクラッチに不具合があると思われ、なんとか動きはしたもののかなり時間を失って順位を下げてしまいました。車が壊れた昨年よりはマシですが今年も運がありません。
GT500、前半は圧倒的に速かったスタンレーNSXでしたが、山本は何か苦労しているのか31周目に平峰に1秒以内の差に詰め寄られました。燃料的にギリギリのもてぎですし、給油量を攻めていて燃料が足りてない可能性も感じます。
一方GT300では24周目にピットに入ったTANAX GT-Rが翌周に入ったリアライズGT-Rを逆転、まだピットに入っていない車が多いので正確な状況が把握しズラいものの、チャンピオン争いはまだ分からない状況になります。
35周目にGT300のリーダー・ARTAがピットに入り、木村から武藤英紀へと繋いで実質1位で復帰。実質2位は埼玉トヨペットGB GR Supra GT・吉田 広樹で、SCからのリスタート時には12位にいたはずなのに、4輪交換で謎のリープ フロッグを見せました。TANAX・富田 竜一郎は実質3位、リアライズ・ジョアン パオロ デ オリベイラは実質5位で、このままだとリアライズがチャンピオンですが、富田が2位に上がった場合オリベイラは3位まで上げないといけません。思ったよりタイトな争いになってきました。
そのオリベイラは37周目にレオンAMGを抜いて実質4位となりますが、なんとそのわずか5周後。いきなりターン3のブレーキングで右前の車高がガクンと落ちて失速。パンクかと思ったら、脱輪しました。これでTANAX・大草がチャンピオンに向けて大きく前進しますが、万一この車にもちょっと何かあると2位のグリーンブレイブ・川合 孝汰にもチャンスが訪れるという状況に。さらに大変なことになってきました。
・終盤戦
51周目、長く続いていたGT500の4位争いで、ようやく高星が塚越を抜きました。チャンピオンを獲るためには平峰の前に行くしか無いので、とにかく前を行く山下を追います。
一方GT300は『ちょっと何かが』起こってしまいます。富田が自分より13周新しいタイヤのBamboo Airways ランボルギーニGT3・松浦 孝亮に抜かれ、さらに翌周には元々速いアップガレージ・太田に追いつかれます。丸々1周争った末に太田にも抜かれて残り7周で5位に後退し、この時点で川合、大草、そして藤波 清斗/オリベイラ組がみんな52点で同点。
タイブレイカーは、優勝回数はみんな1勝なので次点の順となり、唯一2位がある大草が最優先、川合と藤波/オリベイラは3位が1回というのも同じで、4位の回数の差で川合に優先権があるというかなりGTでも珍しい状況となります。
しかし、富田にはなおもWeibo Primez ランボルギーニ GT3・小暮 卓史が迫り、一方で吉田には松浦が追い付いて、いずれも52点から後退する危機を迎えました。なんと2台のJLOCのウラカン次第でチャンピオンが誰になるのか決まる、というような状況となります。もうピットで見守る藤波はこの時だけウラカンの大ファンになったことでしょう。
まず残り5周で松浦が吉田をかわしたのでここでグリーンブレイブは後退。そして富田の方も、もうタイヤが残っておらず小暮が追い付きました。タイヤの履歴差は無いんですがペースが全く違います。もうあとちょっとなので富田は鬼ブロックで小暮を抑えにかかり最終周まで持ち込みますが、ターン1~2で小暮が無慈悲な大外刈り。
チャンピオン争いするを車には必要以上にリスクを与えないのがレース界の不文律というやつですが、小暮さんは圧倒的な速さで外から安全にぶち抜きました。何せ2010年には無理しなくてもチャンピオンなのにわざわざリスクを冒して優勝を狙いに行ってチームメイトに冷や汗をかかせたファイターですからね。藤波は思わず自分のチームが抜いたかのようにガッツポーズ。オフにウラカンを買いに行っても不思議ではありません(オイ)
レースの前半はほぼGT500、後半はGT300がメインに映るレースになりましたが、GT500はスタンレーが2位に1.2秒差で優勝、給油時にきちんと予定量が入っていなかったことが原因で燃料が厳しかったとのことで、チェッカー後にコース脇に車を止めてしまいました。マジでギリギリでしたね。
確か山本は去年のもてぎではウエイトの影響で順位が上がらなくて、「抜けないならガス欠しても一緒だからやらせてくれ」と、アンチラグを入れたりしてガス欠しないギリギリのところまで攻めて出力を絞り出して攻めていた記憶があります。結局入賞圏には入れなかったんですが、その時の経験は活きてる気がしました。頭文字D的なオーラで勝ったような気がしました。あ、オーラは日産の車両名、もしくは中国の自動車メーカーのブランド名だからホンダのドライバーには向いてない表現だなw
しかし主役は2位でチャンピオンを決めたカルソニック IMPUL Zでした。チームインパルがチーム選手権、平峰/バゲットがドライバー選手権を獲得。インパルがドライバー選手権でチャンピオンとなるのは全日本GT選手権時代の1995年・影山正彦以来で、チームはGT初年度の1994年以来です。当時はまだ『ホシノレーシング』というチーム名でした。
優勝1回、2位2回、3位1回で、リタイアはエンジンが壊れて1周しかできなかった第3戦だけ。それ以外は全て7位以上でしたから、チャンピオンに相応しい結果です。特に雨の中でタイヤ選択をミスったものの挽回した第6戦SUGO、スタートで前方が躓いたことで幸運にもゴボウ抜きしてその順位を(ちょっと平峰が自滅はしたけど)守った第7戦オートポリスが非常に大きかったと思います。
来日当初からレースをまとめるのが上手いなと思いつつ、バカっ速い他の外国人ドライバーと比べてちょっと地味だったバゲットがタイトルを手にしてよかったです。平峰もGT500で3年目になって、攻めまくる持ち味を残しつつもうまく抑揚が付けられるようになったのかな、という印象です。そうだ、ロス チャステインもちょっと似たところがあるから、再来年ぐらいチャンピオン行ける気がしてきたぞ!あ、すいません急にNASCARの血が騒ぎましたw
GT300の優勝は途中から映らなくなったARTA NSX GT3、このレースで21点獲ったのにドライバーはシーズンで26点しか獲っていない、という数字に苦労が見えます。言うなれば指導役のベテランと、期待される若手で構成されているこのチーム。昨年までの高木 真一から指導者役を引き継いだ武藤としても、自分の責任ではないとはいえ、ずっと結果が出ていない、そもそも車が壊れて教える以前の問題、という状態で1年を終えるわけいはいかなかったと思うので一安心、もちろん将来のために結果が欲しい木村偉織も、将来どうなるか分かりませんがやはり一安心といった感じかなと思いました。
そしてチャンピオンは、脱輪して19位、罰金10万円を食らってレースを終えたリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R・藤波/オリベイラ組でした。2020年以来このコンビで2度目のチャンピオンです。ドライバー選手権のチャンピオンが最終戦で無得点、というのは非常に珍しく、1997年と2001年のGT500クラス、1995年のGT2(現在のGT300)クラス、という3例しかありません。
2001年はauセルモスープラ・竹内 浩典/立川 祐路がチャンピオンでしたが、最終戦ではレース開始早々に接触で脱落。2点差で追っていたARTA NSXとロックタイト無限NSXのどっちか片方が逆転してチャンピオンだろう、と思ったらこの2台が争ってしまい、ARTAがロックタイトの車に乗り上げてジャンプするという同士討ちが発生するなど、なんとこの2台も無得点。選手権の上位3組が誰も入賞しないという信じられないレースでした。
かつてのGTはレース結果に対してハンデが毎回増減されたので、最終戦でもチャンピオンを争う人たちはハンデがキツイ、という事情がありました。特に最終戦の1つ前で優勝してギリギリで戦線に残った人は最終戦で重くて実際には勝負圏外なことも多かったですね。
一方で現在の制度になってからは最終戦でチャンピオンを争う人は軽くなって上位に入る可能性が高いので、無得点になると他の候補者の誰かが上位で大量点を手にし逆転する可能性が高く、20年前よりもこうした出来事は基本的に起こりにくくなっています。ドラマチックというか、GT300のBoPが制度としてそれなりにうまく設計されている証というか、まあ本当に長年GTを見ていても、大逆転劇と同じぐらいビックリでした。
ゲイナーの富田は完全にタイヤが終わってしまったみたいですが、相手をアンダーカットするには無理してでも早く入るしかなく、たぶん1周目から攻めて走ってさらに寿命を縮めたはずなので、攻めた結果だったと思います。唯一もったいなかったのは、抜かれてもまだ大丈夫だった太田との争いに丸々1周注ぎ込んだことで、チームも計算で混乱していたかもしれませんが、「これは前に出して良いから最後まで5位を守ろう」と伝えてあげてたら、ひょっとしたらあと1周耐えられた可能性も無くはなかったかも、と感じました・・・小暮があとコーナー3つでぶち抜いてもっと悲劇的になった可能性もありますけど^^;
今年のGTも、ちょっと日程が極端で長い休みがあるのが難点でしたが面白いシーズンでした。GT500は日産の競争力が向上した一方で、弱点を補ってより高い完成度を目指していたトヨタとホンダがいずれも丸くなりすぎて切れ味の鋭さがやや失われた印象を受けました。
言うなれば三振かホームランか、だった佐藤 輝明が、安定して2割7分打てる割に長打の魅力が少し損なわれたような感じで、じゃあ前年と同じバランスだったらもっと良い結果だったか?と言われればそうとも限らないけど、でも切れ味があれば獲れたレースだってあったはず、という、繊細なバランスの上に成り立っているなというのを感じさせられました。
GT300は性能調整のあれやこれやが言われても、その中で強いところが結局接戦になるので、特定の陣営を応援していると不満が出やすいんですけど、私みたいに全体を楽しむ人だとどう転んでも「今年も僅差でやってたなあ」という印象になりますね。正直BRZは去年勝ったせいで、今年は性能をこっぴどく絞られて表彰台すらおぼつかないかも、と思ってたので想像以上に強力に感じたほどです。
そして両クラスとも感じたのは、タイヤの性能向上が進んだ結果、ウォーマーが無いにもかかわらずかなりアウト ラップから速く走れるようになっていて、以前のように『後からピットに入る→とりあえず見た目上は前に出られるので多少抵抗して相手のタイムを奪える』という構図が成立しにくくなり、アンダーカットが成立するケースが非常に増えたな、ということでした。
SUPER GTは今年からSUPER GT VIDEO Onlineというサービスを立ち上げて(ちなみに運営しているのはオートスポーツwebでおなじみの三栄)、YouTubeでのフルのレース映像配信を決勝後1週間以内に行うなどオンラインの戦略を強化していますが、レース後に全車両のラップタイム情報を誰でも見れるようにするとか、競技規則・車両規則も公開するとか、細かいところでももっとオープンな姿勢にしてくれるとありがたいなと思いますね。
見える化することで伝わるすごみもあると思いますし、それを私みたいな変態が『この部分がすごいんだ』と伝えることができれば、タイヤ屋さんとか、ピット クルーとか、ドライバーとかの、映像だけでは伝わらない凄さとかがもっと広まることもある思うんですよね。
来年もシリーズは今年とほぼ同じ流れの全8戦予定、aprの新車以外に目新しい存在があるのかどうか分かりませんが、4月の開幕を楽しみに待ちたいと思います。あ、今年はお金に関係したと思われる2件の急な体制変更、撤退という残念な出来事があったので、来年はそういうのは勘弁していただきたいですね。
コメント
何故かは分かりませんが、SUPER GTの最終戦って毎年のように何かが起きるので最後まで目が離せませんでした。
そして、BRZの山ちゃんがあああ...
今更ながら、自分があんなコメントをしなければと反省しています。
まさかもてぎで本当にダメージを受けるようなクラッシュするとは思いませんでしたね、アンダーブリッジかピットウォールぐらいしかぶつける場所ないのに^^;
たぶん最終コーナーでディフューザーが底打ちしてスピンした人なんてGTでは今まで誰もいないので、誰にとっても想定外だしそれだけ運転も車高も攻めていた、攻めないといけなかった、ということかなとも思います。口は災いの元なのでうかつなことはあまり言わないようにしないといけないので、とりあえず来年の開幕戦は山内選手がポールだと予言しておきます(え)