ABB FIA フォーミュラE世界選手権、2021-2022シーズンとなるシーズン8は終わってみればストフェル バンドーンが大差でチャンピオンを手にし、メルセデス-EQはシリーズを2連覇してフォーミュラEを去りました。
競技規定については自己流で読んでみたのでこちらをご覧ください(誤読して変なことを書いているかもしれませんがご了承ください)
チーム | パワートレイン | ドライバー |
---|---|---|
ポルシェ | ポルシェ | アントニオ フェリックス ダ コスタ |
パスカル ベアライン | ||
アンドレッティー | ポルシェ | ジェイク デニス |
アンドレ ロッテラー | ||
ジャガー | ジャガー | ミッチ エバンス |
サム バード | ||
エンビジョン | ジャガー | ニック キャシディー |
セバスチャン ブエミ | ||
DS ペンスキー | DS | ストフェル バンドーン |
ジャン エリック ベルニュ | ||
マセラティ― | マセラティー | エドアルド モルターラ |
(中身はDS) | マキシミリアン グンター | |
日産 | 日産 | サッシャ フェネストラズ |
ノーマン ナトー | ||
マクラーレン | 日産 | レネ ラスト |
ジェイク ヒューズ | ||
マヒンドラ | マヒンドラ(ZF) | ルーカス ディ グラッシ |
オリバー ローランド | ||
アプト | マヒンドラ(ZF) | ロビン フラインス |
ニコ ミュラー | ||
NIO 333 | NIO | セルジオ セッテ カマラ |
ダン ティクタム | ||
テチーター | 不参加 | |
この顔ぶれで確定したようです。1つずつ見ていきます。
〇ポルシェ
パスカル ベアライン
アントニオ フェリックス ダ コスタ(DSテチーターから移籍)
ポルシェは2026年からF1に復帰するのであと3年で撤退するのではないかという専らの噂ですが、ロッテラーに代わってダコスタを獲得。ダコスタはアグリ、アンドレッティー、テチーターに続いてフォーミュラEで4チーム目になりますね。ベアラインはポルシェで3年目になりますが、なんかあと一歩足りないのが車なのかドライバーなのか、ダコスタの加入で分かりやすくなりそうです。
〇アンドレッティー-ポルシェ(BMW iから変更)
ジェイク デニス
アンドレ ロッテラー(ポルシェから移籍)
アンドレッティーはBMWがいなくなったのでポルシェのカスタマーへ。デニスは昨シーズンのドライバー選手権で6位と大健闘、母国ロンドンE-PRIXでの快勝が印象的でした。ロッテラーは当初フォーミュラEを去ると思われておりJ SPORTSでもそんなトーンで実況解説されていましたが、ポルシェのフォーミュラE活動の上層部・フローリアン モドリンガーとカルロ ウィガーズの推薦もあって、アンドレッティー加入が決まったようです。
〇ジャガー
ミッチ エバンス
サム バード
全チーム中唯一何も変わらないのがこのチーム。昨シーズンの選手権で2位のエバンスと、惜しくもロンドンで骨折してしまってフォーミュラE初戦からの連続出場記録が98で途絶えたバード。変える理由もない感じですね。バードの予選でのパフォーマンスがやや気になるところですが、新車になるのでそのあたりの評価もたぶんまた1から見られることになるでしょう。私は来季もエバンス推しです。
ニック キャシディー
セバスチャン ブエミ(日産から移籍)
エンビジョンはシーズン9のカスタマー勢として最初に供給元チームを明らかにしてかなりお互いに気合いが入っている様子を感じます。J SPORTSでものすごく取り上げてもらえるお馴染みのキャシディーの相棒は、フラインスからブエミに変わりました。ルノー/日産一筋だったブエミにとって初の移籍、過去2シーズンで一度も4位以内に入っておらず私は陰りを感じているのですが、シーズン2のチャンピオンの復活なるか、というシーズンです。
〇DS ペンスキー(DSから見れば提携相手変更、ペンスキーから見れば自社製パワートレインから変更)
ジャン エリック ベルニュ(DSテチーターから移籍)
ストフェル バンドーン(メルセデス-EQから移籍)
DSは先行き不透明なテチーターとの提携を解除し、新たにドラゴン/ペンスキーと組んでのシーズン。DSにとってはバージン(現エンビジョン)、テチーター、と来て3組目の提携相手となります。ドラゴン/ペンスキーはシーズン2でベンチュリー製パワートレインを、以降は自社製のものを使用していましたが自動車メーカー系と組むのは初めて。ここ4シーズンは入賞すらおぼつかない状態でした。
ドライバーはテチーターから一緒に連れて来たベルニュと、メルセデスEQの撤退に伴って新しいお仕事を求めていたバンドーン。シーズン4・5のチャンピオンと現チャンピオンというコンビになりましたが、何かとチームメイトとコース上でもめることが多いベルニュなので、最初から悪い予感しかしませんw
〇マセラティ―(ベンチュリーから名称変更)
エドアルド モルターラ
マキシミリアン グンター(日産e.damsから移籍)
メルセデスEQの撤退に伴って、カスタマーであったベンチュリーはどうにかする必要が生じていましたが、そこに出てきたのがマセラティ―。見た目上はイタリアの名ブランドが新規参戦したように見えますが、中身としてはほぼベンチュリーのチームを引き継いでおり、パワートレインも同一グループ企業であるDSのものをバッジを変えて使います。少なくとも最初の2シーズンはDSのカスタマーという立場だそうです。
10月7日にはチームの首脳としてDSテチーターの要職にいたジェームス ロシターが加入したことが発表され、ステランティスとしての動きと言えます。
ドライバーの方はベンチュリーからそのまま残留のモルターラと、メルセデスから飛び出したニック デ フリースになるものと見られていました。しかし、デフリースとマセラティ―の契約は、もし彼にF1に乗る機会があった場合にはF1へ行けるオプションがあるとのことで、彼がアルファタウリからF1デビューすることが決まったのでこの契約は白紙に。
そのため、ロシターの最初の仕事はデフリースに変わるドライバーを見つけることでしたが、チームは市場に浮いているドライバーからグンターとの契約を発表しました。これによりマセラティ―はモルターラとグンターという組み合わせて最初のシーズンを戦うことになりました。
〇日産(e.damsを買収し単独名義へ変更)
サッシャ フェネストラズ(新人)
ノーマン ナトー(シーズン7にベンチュリーからフル参戦)
e.damsを買収して日産e.damsからただの日産へと変更され、どうやら日本のニスモ側の関与度合いも増えるらしいとかいう話の日産。ドライバーがごっそり変わってしまいました。ブエミが移籍したばかりか、せっかく獲得したグンターとも契約しませんでした。グンター側が競争力のある車を望んでいると話していたそうですが、チーム側も好不調の波があるグンターをあまり評価しなかったのかもしれません。
結果、1人は日本のレースで活躍しているフェネストラズになり、もう1人は一昨年にベンチュリーから参戦し、新人ながら最終戦で優勝したナト―が起用されました。そもそも彼はそれなりに有望視されていたのにどこにもシートが無くて、言葉は悪いですが『こんなに良いドライバーにシートが無いなんて馬鹿げてる』みたいな評価もありましたので、活躍したら大当たりです。
〇マクラーレン-日産(メルセデス-EQを継承)
レネ ラスト(シーズン7にアウディーから参戦)
ジェイク ヒューズ(新人)
チームとしてはメルセデス-EQを継承して新規参戦のマクラーレン。ドライバーもそのまま、とは行かず新しい顔ぶれとなり、シーズン6の途中からアウディーのドライバーとなって速さを見せていたミスターDTM・ラストと、メルセデス-EQでリザーブだったヒューズになりました。
マクラーレンはNTT インディーカー シリーズで契約しているフェリックス ローゼンクビストをフォーミュラEに戻すことを視野にいれて物事を進めていたと見られており、結局そうならなかったのでドライバー探しの初動でやや出遅れました。結果的にメルセデスEQでチームを知るドライバーに落ち着いた形です。ヒューズは2020年のFIA F3でシリーズ7位ですが、それよりも2018年のF3 アジアン選手権で勝ちまくってた(出場した9戦全て優勝w)印象がありますね。
〇マヒンドラ
オリバー ローランド
ルーカス ディ グラッシ(ベンチュリーから移籍)
本業ではSUVの販売が好調で、今後電気自動車の普及も見込まれるとして株価が上昇しているマヒンドラ。ローランドが残留して2年目のシーズンへ、そしてシーズン3のチャンピオン・ミスターフォーミュラEと化しているディグラッシが新規加入しました。ディグラッシは2年連続での移籍ということになります。
この2人、ちょっと危ない接触が多い印象なので、タイヤむき出しのGen3車両でやらかさないか個人的にちょっと心配。特にローランドは強引にねじ込んで相手のドライバーが無線で切れている印象があるんですよね。。。
ちなみにテスト兼リザーブとしてはインド出身で、現在レッド ブル ジュニア ドライバーでもある24歳のジェハン ダルバラの起用が発表されています。急に思い出しましたが、ダルバラは6年前のMobil 1 The Gridでランド ノリスと一緒に特集に取り上げられていました。当時はフォース インディアが若手のインド人ドライバーを育てようと一生懸命だった時代ですね。
〇アプト-マヒンドラ(シーズン7までアウディーと組んで参戦)
ロビン フラインス(エンビジョンから移籍)
ニコ ミュラー(シーズン6~7にドラゴン/ペンスキーから参戦)
アプトはアウディーの運営チームとしてシーズン1から継続参戦していましたが、メーカーとしてアウディーが去ったシーズン8にセットで撤退。カスタマーとしてパワートレインを継続使用しシリーズに残るものと思われていたので、きれいさっぱり居なくなったことは驚かれましたが、体制を立て直してマヒンドラのカスタマーとして帰ってきました。
ドライバーはフラインスとアプト。フラインスはエンビジョンとの信頼関係がうまく構築できずにチームを離れた、というような話で既にシーズン途中の段階で移籍が公然の秘密という状態だったようです。ドライバーとしてじゅうぶんな活躍を見せているのは知っての通り。
ミュラーはドラゴン/ペンスキー時代に一度だけ2位の経験がありますが、これは悪名高き『バレンシア全員電欠事件』の結果で、車に競争力が無かったので常に後方のドライバーでした。シーズン8はDTMに出場したい意向があったので日程が重なりやすいフォーミュラEには縁が無かった模様。しかしアプトとはDTMなどでよく知った関係なので、今回の起用に至ったようです。
〇NIO
セルジオ セッテ カマラ(ドラゴン/ペンスキーから移籍)
ダン ティクタム
一時は撤退も噂されながら、Gen3に向けての開発体制をきっちり整えてやる気らしいNIO。勢いのある若手コンビになったようです。
セッテカマラは苦戦するドラゴン/ペンスキーでたびたび上位を脅かす予選の速さを見せており、どのドライバーが欲しいか?と聞かれたら多くのチームが上位でリストに載せるだろうと思う選手です。
相棒はティクタムの残留で確定したとみられており、チームは彼の能力を高く評価しているみたいです。シーズン1の途中からずっと乗って来たオリバー ターベイはついにチームを離れることになりました。
〇テチーター
テチーターは新たな出資者を昨年からずっと探しているものの相手が見つからず、パワートレインを供給してくれる相手も当然見つからない状態で、どうやらシーズン9への参戦を断念した模様です。
本来であれば欠場すると参戦枠はフォーミュラEに返還され、もし新規参戦の意向を持つチームがあれば来季以降そちらに与えることができるんですが、テチーターのオーナーであるSECA(チャイナ メディア キャピタルの子会社)と、チームの首脳であるシャン リーがいずれもフォーミュラE本体への出資者である、というちょっと統治機構的によろしくない気がする妙な事情があるため、テチーターに復帰の意向があれば参戦権は戻って来るみたいです。
チームとしては復帰を諦めておらず、オーナー探しとともにパワートレインを求めて自動車会社との接触も行っているとのことで、シーズン10で復活する可能性は残されている模様です。
コメント
イチからやり直したのかと思うぐらいみんな移籍するから覚えられないですよね 笑
でも安心してください、たぶん記者の人たちも覚えれていないです。以前F1でボッタスがメルセデスに移籍した際に、開幕戦でボッタスのコメントを取ろうとした記者が「ウイリアムズのガレージの前で」待ってたりしたそうなので 笑