NCS 第16戦 ソノマ

NASCAR Cup Series
Toyota/Save Mart 350
Sonoma Raceway 2.52miles×90Laps(20/20/50)=226.8miles
competition caution:Lap10
winner:Kyle Larson(Hendrick Motorsports/Hendrickcars.com Chevrolet Camaro ZL1 1LE)

 NASCAR Cup Series、シャーロット600を終えたばかりですが、休む間もなくソノマへ移動します。ほぼアメリカを東から西へ横断することになり、移動距離は約2700マイル≒4300kmぐらいになるので、日本国内ではできない距離です。東京からで言えば、ベトナムの首都・ハノイに行ってもまだお釣りがくるぐらいなのでかなり遠いのが分かります。

 いつもやっているトラックなので練習・予選は無いイベントですが、そうは言っても去年は開催されておらず、今年のグッドイヤーのタイヤは昨年より柔らかい仕様なので、摩耗状況はぶっつけ本番。
 しかもこのトラックではXfinity Series/Camping World Truck Seriesが併催されていないので、昨年以降にデビューしたドライバーにとっては走行経験が無い人もおり、タイラー レディックもその一人。シミュレーターと、レース前にペース カーに乗って数周しただけでレースに挑んだとの情報です。チェイス ブリスコーは経験を積むために併催のARCA Menards West Seriesに参戦し優勝しました。

 予選が無いのでメトリックス予選となり、カイル ラーソンとチェイス エリオットが1列目。個人的にロード コースでラーソンがどの程度エリオットと戦えるのか興味がある一戦です。

 スタートするとすぐにラーソンがエリオットに対して差を広げていきます。2周を終えて既に2.5秒差。ただターン2の出口を見ていると、ラーソンはかなりアクセルで曲げている感じがあるので、タイヤの摩耗が気になる乗り方には見えます。


 3周目、クリストファー ベルがやたら抜かれてるのでおかしいと思ったら緊急ピット。前後両方のフードを開けて確認しており、ECUの不具合に起因した燃圧の問題だったとのこと。この後修復してリード ラップを走行しますが、最終的には24位でした。

 一方チームメイトのマーティン トゥルーエックス ジュニアはスタートから順位を上げまくり、19位スタートから大きく順位を上げます。ソノマでは過去3勝、それも全部異なるチームで勝っている得意のトラックです。

 9周目、コンペティション コーションを前にして5位のカイル ブッシュ以下でけっこうな台数がピットへ。給油はまだできないですが、ここでとりあえずタイヤだけ換えておいてコンプコーションをステイ アウトするか、燃料のみで出るか、という戦略に出ました。

 10周目、ラーソンとエリオットのトップ2をはじめ多くがこれまたピットへ。コンプコーションは『設定された周回をリーダーが終えたら』ではなく『大半の車が設定した周回を完了したとオフィシャルが判断したら』なので、10周目終わりにピットに飛び込んでも大丈夫です。もちろん給油はできません。
 結局5台ほどがそのまま走り、4位スタートだったデニー ハムリンがリーダーでコンプコーション。この人たちは給油と4タイヤ交換、コーション前に入った人はステイアウトでした。ジョーイ ロガーノの後輪は表面が剥離していてなかなかな見た目に。
アブレーション、と呼ばれる状態が発生

 14周目にリスタート、ラーソンとエリオットは別枠の速さで逃げていきますが、スタートから3位を守っていたウイリアム バイロンの後ろには行列。ペースが上がらないようで、カイル ブッシュ、トゥルーエックスが浮上します。

 ソノマではステージ1の勝者のレース平均順位が31.3、つまりステージ順位を優先すると失敗することが多いという統計値が出されますが、実際に内容を見るとステージ制導入後の3戦のうち、2017年のトゥルーエックス、2018年のA J アルメンディンガーがいずれもエンジンの故障でリタイアしたことが主因。数字を利用した印象操作ですw

 ラーソンはステージ残り2周ですがそのまま走行を継続。リーダーがステイアウトして残り2周になるとその瞬間にピット入り口は閉鎖なので、ラーソンから離れてしまっている人は選択の余地なくステイアウトするしかありません。エリオットは連絡ミスっぽくて入り損ね、バイロンはギリギリ閉鎖前に入りました。ラーソンがステージ1を制しました。

 ステージを終え、ここまでまだ給油していない組は大半がピットへ。リーダーはカート ブッシュ、2位マット ディベネデトー。この2台はコンプコーション前の10周目を最後に入っておらず、まだ一度も給油をしていません。燃料的に35周目あたりが航続距離の限界でしょうが、40周目でどうせステージ2終了なので、とにかくトラック ポジション重視です。
 ここにブラッド ケゼロウスキー、ハムリンと続きます。ハムリンはコンプコーション後に集団走行で追突があってノーズが凹んでいますが、ソノマではよくあることですw ラーソンは13位からのリスタート。

 ステージ2、カートがリードして始まりますが、コーション前に入っておく作戦が奏功し、28周目にバイロンがリードを奪います。ラーソンとエリオットはリスタートからしばらくの間は混戦に巻き込まれていましたが着実に順位を上げてきます。

 トラック上ではあちこち接触が起き始めてフェンダーが潰れた車が目立ち始めますが、32周目、フロントストレッチのキンク部分でリッキー ステンハウス ジュニアに右前タイヤのトラブル発生。固いバリアにぶつかってそのままターン1の外側に飛び出しコーションとなります。

 ここでリーダーのバイロンはピットへ向かいますがラーソンはステイアウト。エリオットもピットに入ったので、2台の優勝候補の戦略がここで分かれました。
 タイヤが古くて抜かれ始めていたカートには恵みのコーションで、バイロン陣営がやや作業に時間を要したため先頭でピット アウト。いずれにしても、ここで入ってもまだもう1回のストップは必要です。あ、ライトニングマックイーンだ!

 16台がステイアウト、ラーソンとトゥルーエックスの1列目で35周目にリスタート。どうせ6周後にはステージ2終了です。ラーソンがリードしてレースは進行。

 ステージ残り2周を迎える最終ターン、ラーソンはまたもステイアウトを選択。2位のトゥルーエックスに対しては「ラーソンの逆をやれ」と指示が出ておりこちらはピットへ。戦略がまたも分かれます。もうワケが分からなくなってきたw ステージ2もラーソンが独走で制しました。プレイオフ ポイントを荒稼ぎです。

 ステージ間コーションで上位3台はピットへ。14台がステイアウトでカート、エリオットがステイアウトのトップ2となります。このグループは32周目からのコーションで入った組で、一番古いタイヤです。
 ステージ終了前にピットに入ったトゥルーエックスは15位、このグループは前の集団よりも4周ほど新しいタイヤ。そしてステージを終えてから入ったラーソンは21位からのリスタートです。フィールド上は基本的に各車残り1回のピットを残している状況ですので、見た目上の順位が実質的な順位で、後ろに行くほど新しいタイヤの人です。


 ファイナル ステージ、カートがリスタートで頭を抑えますがエリオットは特に慌てていないようで、この周の最終コーナーであっさりと抜いてリードを奪いました。当面追ってくる人は出なさそうな雰囲気です。
チェイス君、映ってないとこでうっかりはみ出す

 51周目を終えると古いタイヤ組ではカイルが2位まで浮上。そしてタイヤのやや新しいトゥルーエックスが3位、一番新しいラーソンが4位と集団をかき分けて有力者が上がってきました。この2人の目の前にカイルがいますが、リーダーのエリオットまではちょっと遠い6秒差です。
 
 53周目、ラーソンが2台のカムリを攻略してとうとう2位、エリオットまで4.4秒差、なんか届きそうな気がしてきましたが、タイヤの摩耗がそこそこ大きいし、ひょっとしてこのステージで2ストップもありか?と思えてきました。

 56周目、残りがまだ35周、ステージ開始からまだ10周しかしていないのに、ピットに入る車が出てきました。バイブレーションがあったというケゼロウスキーはさておくとして、ライアン ブレイニーはタイヤが終わった模様。序盤のロガーノと同じく剥離が起きています。

 57周目、ラーソンが完全にエリオットを捉え、たまに軽く当たって重圧をかけます。結局58周目にかわしてラーソンが再びリーダーに戻りました。この争いの間にトゥルーエックスも追いついてきましたが、ラーソンはさっさと逃亡。

 62周目、トゥルーエックスにも抜かれて単独3位だったエリオットがピットへ。解説のラリー マクレイノルズはこの2周前から「今入るべき」と繰り返していました。まだ25周以上残っていてあまりに早くタイヤを換えると最後までもつのか心配ですが、かといって待ってても絶対勝てないし、待ってる間にコーションが出たら厄介なので決断が難しいところでした。

 すると翌周、ラーソンとの差を一気に2周で2秒ほど詰めた上で2位のトゥルーエックスもピットへ。アンダーカットを狙います。当然ラーソンも翌周に反応しますがトゥルーエックスがアンダーカットに成功、実質的なリーダーとなります。ただ、彼らの前方にはまだピットに入っていない、あるいは既にかなり早い段階でピットに入った車が何台もいて渋滞気味。

 67周目、やはり速いラーソン、トゥルーエックスをかわして3位浮上、事実上のリーダーです。ただ、ラーソンは先ほど外したタイヤで左のリアだと思いますが、ショルダー部分がもうコードが見えるところまで摩耗してしまっていたので、仮にグリーンのまま進んだら本当にあと23周もつのか怪しい気がします。

 69周目、ラーソンがカイルをかわして見た目でもリーダーとなりました。しかし放送席でもやはりタイヤの話が注目されています。何せ今日のレース、一番最初のスティントで11周した以外は全部10周未満でコーションが出ており、連続で25周もするようなスティントは誰もやっていません。


 
 ところが残り19周、クイン ハウフの車が駆動系のトラブルでキャルッセルの外側のエスケープで停止、唐突にコーションとなります。さすがにタイヤが厳しいのでほぼ全員ピットに入りました。
 このコーションの直前にはケゼロウスキーがたまたまピットに入っており、幸運にもリスタートで先頭に出られるチャンスだったはずですが、あろうことかオーバー ザ ウォール トゥー スーンの違反。せっかくの大逆転の機会をフイにしました。

 ステイアウトしたのはこのステージを2ストップになっていて、既に2回目を終えていた人たちが4台。ロガーノ、レディック、コリー ラジョーイ、アンソニー アルフレードと続いています。レディックはもう新品タイヤがないので入り選択が無い、という情報。今日は6セットなので景気よく注ぎ込んでたら弾切れしますね。アルフレードはコーション直前にピットに入っていて得しました。
 彼らはラーソンたちとは勝負にならないとは思いますが、リスタートでの立ち回りが重要になりそうです。


 ロガーノとレディックの1列目で残り16周でリスタート。トゥルーエックスはアルフレードに詰まってしまい、エリオットに順位を奪われます。しかもアルフレードが目の前でラジョーイと争いだしたのでトゥルーエックスは行き場が無く、1周以上攻略に時間を費やしてしまいました。これは厳しい。

 残り14周、最終ターンでロス チャステインがちょっと楽観的に突っ込んでラジョーイに接触、急ブレーキを踏んだチャステインにハービックが追突して多重事故でコーションとなります。バイロンもこれに追突、損傷が激しくリタイアです。そうそう、ソノマってここで事故が多発してレースが荒れるのよね、と思い出させてくれましたw


 進行方向と逆を向いたチャステインはそのままヘアピンの内側を爆走しコース上の車を抜きまくる珍プレーを見せましたが、リスタート位置はコーション前のタイミング ループの順番で一応割り出されているので問題は無かったみたいです。

 残り11周、ラーソンとロガーノの1列目でリスタート。粘るロガーノを振り切ってラーソンがリードを維持すると、もう残り周回も少ないのでこのレースのファステストを記録して後続を引き離します。エリオット、トゥルーエックスが続くも追いつくには周回数が足りない!

 しかし残り5周、ライアン プリースが姿勢を乱して砂場に突っ込み、視界が悪かったせいか、コースに戻ったところでコディー ウェアーがこれに接触。1回ぶつかった後に流れでもう1回強烈にぶつかり、ウェアーの車は大破してウォールへ突っ込みコーションとなりました。

 残り3周でリスタートされますが、今度は混戦からアルフレードがもみくちゃにされてスピンしコーション。アルフレードは31位で終えました。ボウマンの運転が雑すぎたのが原因な気がするw 
 これでNASCARオーバータイムとなります。事故に巻き込まれたかエリック アルミローラはオーバーヒート状態でピットへ。毎週車がボロボロで、なんかシーズン途中で気を病んで休養に入りそうなぐらい気の毒な状態。。。アルミローラはこのレース27位、選手権では28位でフル参戦しているドライバーでは下から5番目です。

 
 オーバータイム、エリオットは吹っ切れたようにラーソンを煽りまくりますが、ラーソンは冷静に自分のラインを走ります。すると逆にエリオットが攻めすぎてかなりスライド量の多い走りになってしまい、勝負所の最終コーナーで真後ろにつけず。
 最終周、ラーソンに対してエリオットがターンを小さく回って少しでも重圧をかけようとしますが、無敵モードのラーソンには通用しませんでした。むしろ、『あのラインなら加速で引き離せるから大丈夫だな』と冷静に見れていたんじゃないかと思います。このままラーソンがトップでチェッカー。先週から7ステージ全て奪って2週連続の優勝、ロードコースでは初優勝です。


 これでヘンドリック モータースポーツは4戦連続の1-2フィニッシュで史上最多タイ記録に並びました。1956年にカール キーケファー(Carl Kiekhaefer)という人のチームが達成して以来だそうです。キーケフェル?キーケファー?発音を調べることからして分からんぐらい古い時代ですw

 Wikipediaレベルの情報ですが、キーケファーは技術者で、第2次世界大戦以前に船舶用エンジンなどで財を成し、宣伝のために1955年にNASCARのチームを設立。たった2年間の活動でしたが、お金があるので当時としては最高級の車両と体制を整え、初めてトランスポーターを導入したそうです。2年間でなんと52勝も挙げましたw 56年は常時5~6台を出走させていたみたいで、色々と今の時代とは異なりますね、当たり前ですが。

 ヘンドリックに関してはもう1つちょっとした情報があり、FOXのNASCAR中継は例年通り来週のオール-スターまでですが、解説のジェフ ゴードンが今季限りで解説を離れ、ヘンドリックのチーム側の仕事により関与することになるのではないか、という噂が出ています。ゴードンの解説は分かりやすいのでできれば続けて欲しいんですけどねえ。


 結局ラーソンのロードコースでのタイヤ管理がどのぐらいなのか展開的に見れなかったですが、とにかく速いことと、以前のように数周でタイヤが燃え尽きることはなかったことが分かりました。コーション無くトゥルーエックスと20周のレースを展開してくれると面白かったと思うしそれを見たかったのでそこは惜しかったですね。
 ステージ制レースとロードコースは相性が悪い、と繰り返し書いてきましたが、今日のレースも事前に判明しているコーションを見越して先回りで動くので、コース上での争いがなかなか起きずに面白さが削がれていた気がします。もっとラーソンとエリオットの真正面からのレースが見たかったですね。

 さて他の順位ですが、暴走したチャステインがなぜか7位。スピンしてタイヤを傷めてるはずなのにそれ以降妙に速くて気づいたらこの位置でした。カートも6位ですし、チップ ガナッシ レーシングがロードコースにそこそこ相性が良く、かつチャステインもやっぱ速いんですね。既に28歳のチャステインですが、トゥルーエックスも30半ばから躍進したので、遅すぎることは無い、と考えるとちょっと楽しみが出てきました。

 最後ぐちゃぐちゃになって誰かから恨みを買った気がしなくも無いですが、ダニエル スアレスが12位。ポイントで現在22位は立派な数字です。
 一方我らがMatt Dはカートと同じ戦略で一瞬前にいたものの、その後戦略がズレて埋まってしまい23位。プレイオフ 順位で18位。ここ5戦全て18位以下と完全に不調のサイクルにはまったためか、次戦のオールスターからクルー チーフをグレッグ アーウィンに代わってジョナサン ハスラーが担当すると発表されました。
 
 次戦は一休みのオールスター戦、初のテキサスでの開催です。制度がもうわけわからんことになってるので気楽に行きましょう。

 

 余談ですが、『キーケフェル』とカタカナで検索したら、出るわ出るわ、以前紹介したWikipediaの偽サイト。どんどん数が増えてるみたいで、私の記事で情報元としてリンクを貼ったTogetterまとめの作成者様によると、だんだん翻訳精度が上がって見分けがつきにくくなってる様子が見て取れるそうです。何がしたいんだろう、気味が悪い。。。
2つ目のやつはWikipediaと見せかけて
vvikipedia
Vを2つ並べており巧妙(悪質)である


コメント

まっさ さんの投稿…
ひゃっっほーい♪( ´θ`)ノ
ひゃっっほーい♪( ´θ`)ノ
ひゃっっほーい♪( ´θ`)ノ
ひゃっっほーい♪( ´θ`)ノ
ひゃっっほーい♪( ´θ`)ノ

42回やりたいとこですがBAN恐怖症のためこれにて。

ひゃっっほーい♪( ´θ`)ノ
日日不穏日記 さんの投稿…
ヘンドリック、ラーソン強いの一言ですね。次はオールスター。出場枠は、過去のレースの勝者、チャンピオン経験者、ベルや、マクダゥエルは入っているから、去年と今年のソノマまでの勝者(フル参戦)、オープンの各ステージ勝者+ファン投票で1枠・・・で良いのかな。ただ、本戦が6ステージ制?本当に訳が分かりません。
ChaseFun9 さんのコメント…
Larson強過ぎて草ァ!!!
ChaseがCOTAで勝ってなかったらもしかして3連勝...?
Larson & Truexが3勝でトップは2017年思い出しますねえ
しかし今年はHMS全員が強いのでどうなるか分かりませんでぇ!!
SCfromLA さんの投稿…
>まっささん

 チャステイン並みに暴走してるw
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 元ジョンソンのチームであるNo.5でラーソンがジョンソン級の強さを発揮している、というのが面白いところですね。去年の不祥事がなければどうなっていたのか、歴史の『もしも』を感じる流れです。オールスターは自分で書いた開催概要をもう自分で覚えてないですw
SCfromLA さんの投稿…
>ChaseFun9さん

 HMSが全員強い中で、ここに来てバイロンの流れがちょっと悪くなってる感じがありますね。ラーソンとチェイスが物理的にぶつかる日はいつ来るのかなあ、とか、ついゲスな想像をしてしまいますw