前回は燃費走行の基本的な知識について書いてみました。では実際のレースでどう当てはめて使っていくかを考えないといけません。
残念ながら今のスポーツモードはそこまで燃料を気にするレースが多くないので、マニュファクチャラーシリーズでは必ず燃料を考えないといけなかった2018シーズン時代と比べると重要度は相対的に下がり、どちらかというとタイヤの戦略の方が重要度は高いですが、またいつ戻って来るか分かりませんので心構えをしておきましょう。
レース設定にはある程度『どの戦略で迷わせようとしているのか』という意図、パターンがあります。ですので、そのパターンである程度振り分けて考えて行こうと思います。
A ノーピットか1ピットか考えさせるレース
ポイントレースではたまに出て来るパターンです。全力で走ると燃料が足りず、給油した場合とだいたい計算上同じタイムになるやつで、この場合、ノーピットなら燃費走行は当然ながら必須。直線でも燃料をケチらないとゴールできません。
序盤は車が密集していてスリップストリームを得るのも容易ですしどうせ抜けないので、ここでできるだけ残すように努めます。巧緻が分かれる場面です。下手に順位争いをすると、そのメンバー丸ごと集団から離されて前方の人が楽になるだけなので、無用な争いはしないのが吉です。
しかしながら、燃費の性能差が大きいGr.4レースなどでは、現実的に同じペースでは走れない人が出て来るため、そこを見極めて、ペースが頭打ちの人は早めにさばいておかないと、その人はいずれ抜けても、それ以上の順位を得ることが難しくなります。
こうしたレースでは、直線でも燃料を抑えるのが大事なので、マップの調整も併用する機会が増えます。特に最高ギアまで上げてしまった後は、もうショートシフトが出来ないので、力業でアクセルを調節するか、マップをいじるかで消費量をいじります。
先頭走者の人は、自分がいわゆる『風よけ』になっているので終盤に逆転されがち。そのため、ある程度自分から燃費走行して、終盤に対抗できる余力を作りつつ「抜きたいんなら抜いてくれ」ぐらいの走り方も必要になってきます。先頭走者が率先して燃費走行することを考えないといけない種類のレースとなります。
他方で1ピットを考えた場合、とにかく飛ばすのがまず第一です。ピットを終えるまでにノーピット組をピットのロス分引き離す、いわゆるウインドウ外に追いだすことができれば最高ですが、普通はそうはならないので入って出たらノーピット組の後ろに回ります。
ここで考えるのが、目一杯飛ばしてレースの真ん中あたりでピットに入るのか、少し燃料を節約してレース後半にピットに入るのか、という点。もちろん状況にもよりますが、タイヤの消耗が大きい場合、あまりに引っ張るとタイムの損失が大きいですし、同じ作戦の人にアンダーカットされる可能性があるので、レースの半分を超えたぐらいで入るのが無難です。集団には入りますが、タイヤの履歴差があって燃料も使えるのでそこそこ抜けます。
一方で、タイヤの交換が不要であれば、できるだけ燃料切れ直前まで引っ張り、できれば少し燃料を節約して、全開走行時より数周遅らせるのがベターです。というのも、双方の戦略のタイム差は燃料のみによって生み出されることになりますから、給油だけしてピットを出た後、タイヤによる差が無い分追い抜きがやや難しくなります。
楽々直線で抜けるぐらい給油すればそのぶん一旦順位を下げますし、それよりもピット前にできるだけ差をつけて、1台でも多くウインドウ外に追いだした方がお得です。軽い車の方がタイムも良いので、全体でこちらの方が速くなります。それに、ピットを終えてから追い抜きに苦労するぐらいなら、1周のペースがやや落ちてもウインドウ外に追いだす機会を増やした方が良いので、やや引っ張る方が好結果に繋がりやすいです。
もっとも、バージョン1.63のアップデートでロスが長くなったので、この手の設定のレースはポイントレースでは減るか、入ったらほぼ負けなので意地でもノーピットするしかない、というレース内容になる可能性が高そうです。
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やや変則ですが、『全員ほぼ確実に給油は必要だけどタイヤはもつ』というような設定だった場合も同じです。早めにピットに入ってしまうと、その分車が重い状態で走る時間が長いのと、まだ入っていない人に詰まるリスクが高くなるので、少し伸ばせるような走り方をして燃料切れギリギリでピットに入るのがベターです。このゲームでは珍しくオーバーカットで順位を上げられることが多いです。
この変則パターンでは、集団に埋まって自分の想定したペースより遅い状況の場合に、『ここで給油したら最後まで走り切れる』というタイミングであれば、レースの序盤でも先にピットに入ってしまう、という大胆な発想もあります。タイヤを替えないので、基本的にいつ入ってもタイヤ由来のペース差が発生しないからです。
ただ、これだと燃料が重い状態で走る時間が長くなるので走りで取り返さないといけません。他車をアンダーカットしないと意味が無いので、誰もいない時間帯はやや燃料を使ってでもペースを上げ、終盤に道を譲りつつ燃費走行して帳尻を合わせる、といったメリハリがより必要です。
自信がなければ、開き直って徹底的な燃料セーブを行い、前がピットに入るまで我慢して、一番最後にピット→最小限の給油によるオーバーカットを狙った方が無難ではあります。その前に事故に巻き込まれたり、混戦で数秒単位の損失が起きるかどうかが成否の分かれ目ですが、運の部分も大きいです。
※うっかりいつもの癖でボタン連打して、タイヤを交換しないよう気を付けましょうw
B 全員確実に同じ回数給油するレース
ピット回数ではなく燃費とタイヤ戦略の組み合わせになる標準的なパターンです。この場合、基本は『前が開けている=飛ばす』『前が詰まっている=セーブ』になります。前回書きましたが、飛ばすと燃料を使ってピット後に逆転されそうな気がしてなんとなく節約してペース抑えめ、というのは理屈では損ですから、前に誰もいなければ最低限のショートシフトだけ使って飛ばします。
それでもついてくる人は自分より速い人かもしれませんし、ひょっとしたら相当無理して走っているので自分より実は燃費が悪い人かもしれません。変に気にして節約した結果、ピット後に置いて行かれたけど2位にはなれた、というレースが、団子状態になって6位に落ちてしまった、となる可能性もあります。
ピット回数が余分に1回増えない限り、燃料を節約して得られるのは給油時間による数秒の差だけです。こっちがピット時に残量0、相手は15残ってた!なんてことがあっても、それはそれで仕方ないので、自分が同じく15残すために、直線でまで無理に燃料セーブする必要は基本的には無いと考えた方が良いです。結局自分が15残してたら、相手は30残してるでしょう。
前が詰まって抜けないなら可能な限り節約しておくと良いですが、もちろん抜けるなら抜いたほうが良いです。あちこち無駄に仕掛けると燃料もタイヤも時間も無駄なので、行けるところで一発で行く構えを見せつつ、無理なら下手に動かないのが大事です。これは燃費と関係なく常に大事なことですけどね。
数台の車が前にいるなら仕掛けは難しいですが、前には1台だけでこれを抜いたらその先は誰もいない、という状況なら、少々燃料を使うことになっても前に出てそのまま飛ばしていった方が良いでしょう。後ろがどんどんついてくると、不確定要素が増えて厄介です。
例外はモンツァ、スパ、オーバルなどの、少々のタイム差がスリップストリームの恩恵によってチャラになってしまうコースで、この場合先頭だからと言って一生懸命速く走っても、ただ後ろがついてきて風除けになるだけのことは多々あります。最悪、抜きたいなら抜けよ、ぐらいの燃費の駆け引きも必要にはなってきます。
ただ、これは現実問題としてかなり上級者の方々の話なので、そうでなければほどほどに飛ばせば良いと思います。隊列はある程度の台数に絞られてくれるでしょうから、スリップ圏外にできるだけ多くの車を追いやって争いから放り出した方がおそらく戦いやすいと思います。
C 1ピットか2ピットか考えさせるレース
ちょうど私が参加しているSSTCシリーズのGr.4レースでありそうなパターンです。1ピットでも全開でじゅうぶん足りるのか、節約しないと足りないのかでまた細分化されます。足りるのなら基本的に問題はタイヤの方なので、燃料が切れさえしなければ基本はBと同じ、空いてたら飛ばせ、混んでたら抑えろ、です。
一方、全開では燃料が足りない場合がこれまた考えもので、序盤は集団走行で自ずと燃料消費量は少なくなりがちですから、序盤に節約して稼ぎたいところ。レースの真ん中でピットに入るとして、周回数が奇数なら前半を長くしたくなります。例えば27周のレースなら、14周を先にこなしたくなります。
しかし、タイヤの摩耗が少ない設定ならいいですが、そうでない場合タイヤもかなり落ちているので、13周目に入った組にアンダーカットされてしまいます。一方で、13周目に入った組は、いくらここまで節約して走れていたとしても100L以上は積めないので、この先は平均で7.14L/周 以上の燃料は使えません。給油時間は短縮されても、この先のペースは自ずと制約が出ます。
14周目に入れば、これを7.69L/周 と13周目組より約7%多く注ぎ込めるので燃料もタイヤも余裕が出ますが、見た目上順位を失う可能性が高いです。給油時間を削ればいくらかその損は減りますが、それじゃあわざわざ引っ張った意味がありません。なかなかの難題ですが、そこが面白さとなります。
順位を争う相手が何台いるのかや、相手は抑えているのか、必死についてきているのかといった状況で、同じ戦略で行くのがいいのか、逆をやった方がいいのかは変わりますから、ピットまでの数周で思考を整理しておくことが大事です。
2ピットの場合基本はBの発想ですが、給油が2回出て来ることになるので、どっちでどうするかといった話が出てきます。で、ここで給油量の話が出てきます。
・給油の基礎知識
燃費走行をどう考えるかはある程度分かった、としまして、次に給油量をどうするかという問題が出てきます。これもまたいくつかのパターンと考え方がありますので順番に見て行きますが、その前に一応基本のおさらいを。
前回書きました通り、給油速度はスポーツモードならほぼ全部7L/秒、ロビーは6L/秒 と思われます。ピットに入ると給油量の推奨を示す目印が出てきますので、これを目安にしたいところなんですが、注意点があります。
この印、概ねここまでの平均燃費に基づいて計算されています。そのため、集団でかなり節約して走行した場合には、印はかなり左側、少ない数字を示します。当然ながら、これに従うと、残りのレースは序盤と同じ超節約走行でないと足りません(´・ω・`)事前に『普通に走ったらどれぐらいいるか』は計算しておいた方が断然良いです。
ロビーレースで、グリッドスタートから1周目をフォーメーションとして2周目にローリングでスタートする、いわゆる『手動ローリング』をやった場合、ほとんど燃料を使っていない1周目の数字も計算に入るので、なおさらこの数字は実態とかけ離れます。
消耗倍率が高いとちょっとした走行条件で大きくぶれますし、1周が短いコースでは数周単位で表示がズレたりするので、自分の計算はきちんと持っておきましょう。暗算が得意な方が有利ですね。
私は2019年のSSTC第6戦で、12×7=84を、なぜか脳内で72と思い込むという凡ミスを犯し、しかもその計算間違いに全く気付かず「おかしい、事前想定より燃料が残らない」と混乱したことがありました。まあ、結果的に1回目の給油を少なくして集団を脱出したのが奏功するわけですが。
なお、平均燃費といっても、完全に全ての距離と消費量で計算した単純平均ではなく直近の数字を逐次反映して更新されているので、ピット前の半周ぐらいで極端に燃費走行するか、逆にすごく燃料を使うかでもこの数字は変化します。
走っててよくうっかりしがちなのが残りの周回数ですが、この画像のレースなら、19周レースで10周目にピットに入っており、残りは9周です。通常走行時には『LAP 10/19』という表示を見たら「あと10周か~」と思います。今走っている周回も含めないといけないので、『右の数字ー左の数字+1』になります。
で、ピットに入った段階で新しい周回になっているのか、そうでないのか忘れてしまい「あれ?あと9周??10周???」となりがちです。ピットに入った段階ではまだ周回数は増えず、ピットを出たところで10→11に変わるので、ピット内で残り周回数を計算するなら、単純に『右の数字ー左の数字』で大丈夫です。
・給油量の考え方
さて、基本を覚えたところで給油量の考え方です。理屈だけで言えば、燃料の節約を余儀なくされる量しか積んでいないと、ピットを出る時間自体は早くても、それ以降が遅くなって差し引きマイナスになりますから全開で走れる量を入れたいところです。しかし問題は、『全開で走れる時間がレース後半に本当にあるのか』、というところになります。
多めに給油したがために自分より後ろにいた車に何台も抜かれてしまったら、追い抜くのに時間がかかりますし、抜けない時は結局燃料があっても役に立たないので余ってしまいます。そう考えると、やはり周囲の状況を見て考えないといけません。幸いにしてというか謎と言うべきか、ピットに入った時だけは、相手の車の燃料残量が表示されます。と言っても、順位が離れている人は見えませんが。
一瞬で全部考えないといけませんが、前後の車の残し具合と、ピット前のタイム差を見て、ピットで抜かれたくない相手がいるなら攻め時です。走りが不安定、とか、鬼ブロックしてくる、とか、もっと言えば正直悪質プレイヤー、とかいうケースだと、少々後半の燃料が厳しくても、絶対前に出るべきです。後ろになるとロスが大きいです。
速い人に譲ったり、別の戦略の人につかえたりすることがある程度想定されるなら、そこで燃料を使わない時間帯があるので、最初から全開で必要な燃料搭載量に対して割り引いて給油し、そういう場面がなさそうならちょっとずつ帳尻を合わせて行くのが無難です。
一方で私にありがちなんですが、何台か一斉にピットに入ったら、明らかに自分だけ残量が少なくて、給油量が多そうだ、どう考えても先にピットは出れないな、ということがあります。こういう時に、中途半端に給油量を削ると、ピット出口で特に追いつきもしない上にペースも上がらず、以後何もできずにお手上げになることがあります。
前後に差があると明確に知っている場合や、給油で攻めても周りの人に対抗できそうにない場合には、下手に攻めても意味が無いので、それなら理論上速いであろう、たくさん燃料を使えるじゅうぶんな量があった方が良いです。
それでも結果的に誰にも追いつかないかもしれませんが、前が争った結果落ちてきて、そちらは燃料の制約あり、こっちは無し、ならごぼう抜きもあり得ます。追いつかなければ元々そこが実力だったということです。だって燃料使って追いつけない=ペース不足なわけですから。
一点気を付けないといけないのは、台数の多いスポーツモードでは、見てないところで思わぬ戦略を採用したい人がいて、予想外の人の後ろに捕まる可能性があることですかね。この辺はいかに周りの状況を理解できるかにかかっています。
・いつどれだけ給油するか
上で言うとCのパターン。複数回燃料を入れるような場合、割り振りも大事になります。理屈で言えば、できるだけ軽い燃料の状態で飛ばすのが、最もレース時間を短縮することができますが、相手のいることなのでその通りにはなりません。
2回に分かれる場合、給油量の選択肢がかなり多岐にわたるのが難しい点です。例えば、1スティントで65Lぐらい使うレースだと、残り35Lで1回目のピットに入り、ここで100Lまで入れるか、かなり攻めて60Lか、あるいは次のスティントを短くするつもりで50Lか、とかなり幅が出ます。ピット前とピット後で、秒単位位置関係の入れ替わりが起こる可能性があります。
タイヤの摩耗が激しいタイプの人が、第2スティントを短くしようと予想外に少ない給油で出て来ると、飛ばすはずの予定が狂ってしまい、これが抜けないコースだと、抜けないしどんどんタイヤ減ってペースが落ちてるのに付き合わされるし、ということもあります。
結果、たっぷり積んで2回目の給油を短くしようと目論んだ人が後ろに来てしまい、2回目のピットで逆転される、なんてこともあり得ます。かといって、少なすぎると2回目のピットの時期にもペースにもかなり制約ができてしまいます。
スポーツモードだと時の運という側面が大きくなりますが、ロビーだとある程度各プレイヤーの好む作戦とか性格が分かるので、その辺も考慮に入れたいところ。予想と違うことが起きた時に、考え方を組み替える柔軟性も必要になりますね。このタイプのレースはかなり考えることが多いです。ええ、SSTCのGr.3レースがだいたいこれですよw
1回目の給油量を削りすぎると、1ピット組に思った以上に早く追いついてしまい、そこで詰まってしまうことが結構ありましたが、ロスが長くなったので起きにくくなりました。従来だと2位で入って8位と9位の間で戻る、みたいなことすらありましたからね^^; そこはロスが長ければある程度リスクから排除できます。まあ、その分複数ストップが不利だってことなんですが。
・給油戦略で『密』を避ける
今どきな表現ですが、給油は通常走行ではつかない差を一時的とはいえ生み出すことになるので、集団走行から抜け出す手段として利用できます。
パターンBのような場合でも、密集して争っておりあまりペースが上がらない集団にいるなら燃料を節約しておいて、ピットで思い切って攻めた給油ができると、ピット後は単独になれます。他の車が混戦を継続していたならば、その集団は燃料はあってもペースが上がらないので、給油で脱出した人がうまく逃げ切れたりします。
2回のピットが必要な場合であれば、アンダーカットと組み合わせることで効果をより高める考え方があります。SSTCでスカイラインさんが得意としている戦略だと思いますが、例えば24周のレースなら、7→8→9、と最後に長いのを持ってきて、均等割りに対して1周早いピットを繰り出します。
集団の中に自分がいたとします。ここで、まず1回目のピットは燃料を少な目に入れて見た目上大きく前に出ます。この後燃費走行するのでペースはあまり上がりませんが、アンダーカットとの合わせ技で集団は脱出したので単独で安定して走行。誰か追いついてきたら必要に応じて前に出し、スリップストリームを活用して自分のペースアップ/燃費走行に活用します。
ピット前にいた集団は追いついてくるかもしれませんがその時はその時、もし埋まったら徹底して燃料セーブしてやり直しです。集団が争っててペースが上がらず追いついてこなければ思い通りです。
2回目も通算で15周目、均等割りの人の16周に対して先に動きます。ここは、ピットまでの状況で給油量を柔軟に判断し、最後まで走り切ります。タイヤは厳しくなりますが、ピットで得た貯金を有効活用します。
できるだけ人と争わない、という考え方で、もし単独走行で24周タイムトライアルをやったら少し遅いでしょうが、レースでは結果的に速くなる可能性があります。もちろん、全部裏目に出るリスクもあります。リスクとリターンは常に表裏一体です。みんな同じこと考えて、同時に動き、引き続き集団を形成、ということも当然あるでしょう
・自分の位置を見極める
言うのは簡単ですが、やるのは大変です。まず、タイヤの消耗が大きい場合には、タイヤを最後のスティントでもたせないと全部台無しになります。大事になるのは、『自分は誰と争っているのか』『何位を目標とするのか』といった点を自分の中できちんと整理しておくことです。
譲るのか防御するのか、といった判断もこの基礎部分がないとうまくいきません。道中で不必要な争いをした結果、最後にどんどん抜かれたら意味がありませんし、譲った相手が実は譲るべきでない相手だった、もう1周粘っておく相手だった、ということもあるかもしれません。
ある程度の目標設定がないとその判断もできませんし、レース後に検証することもできません。SSTCの場合ハンデ制なので、現実的に戦えるレースとそうでないレース、というのがありますし、勝てる条件のレースなのか、入賞すら大変なので失うものが無いのかでも考え方は変わります。
ポイントレースで言えば、マニュファクチャラーシリーズでのレース設定と車両の相性・有利不利がこれに該当するかもしれません。まあ、マニュファクチャラーシリーズで見るからに不利な設定なら、不出場という選択肢ももちろんあります。あくまで楽しむものなので、変に義務感で出場してストレスを溜めるのは良くないです。上手くなりたいなら出た方がいいとは思います。
・タイヤとの兼ね合いで給油量を決める
これは駆動輪の摩耗が大きいFF車やGr.3のMR車でのちょっと別の視点からの考え方ですが、タイヤの寿命を考えて燃料の消費量と給油量を考える、というものです。
駆動輪の摩耗が激しい車両は、速く走ろうとすると、特に低速ギアでの加速時にどうしても空転したり、強い力が加わったりして摩耗も促進してしまいます。そうすると、タイヤのグリップ低下でペースが終盤に落ちることになります。
低速からの立ち上がりなどはショートシフト、あるいはちょっと忙しいですが燃料をやや薄くしてタイヤへの攻撃性を下げて摩耗を抑えることで、ペースの低下を抑えてスティント全体のペースを平準化することができる場合があります。
そうすると、必然的に全力で走るよりは燃料を使わなくなるので、給油量そのものを少なめに見積もり、1周の速さはやや犠牲にしても、給油時間とスティント全体のペースで稼いでしまう、というレースのやり方が考えられます。車が軽いと僅かながらタイヤへの負担も減るので一石二鳥です。
先日、jun_crossfordさんのロビーでメガーヌを使って30分耐久に出たのですが、2日連続開催で、タイヤ消耗は両日共通、燃料は1日目は全力で余る倍率、2日目は倍率が上がって、節約してノーピットか1ピットで給油、という設定でした。
両日出た私は、1日目はタイヤを思ったより壊してボロボロだったのですが、翌日はタイヤも気にしつつノーピットで節約走行したら、結局タイヤの摩耗が減って、レース終盤のタイムはこっちの方が燃料は節約してるにも関わらず速くなりました。
また、プジョーと契約していた2019シーズンのマニュファクチャラーシリーズ、レイクマジョーレの短いレイアウトでのGr.4レース、RCZは正直タイヤ摩耗が酷すぎて、出ても絶対勝負にならない設定のレースでした。
他の人はピットなんて考える必要が一切無いレースで、ピットしてもほとんどタイムが変わらんぐらいタイヤが摩耗する中で私が強引にひねり出した戦略は、『燃費レースでは無いのにショートシフトしてタイヤを守る』でした。加速で早めに3速に上げるだけで摩耗がかなり減り、終盤のタイムは大きく変わりました。もちろんぶっちぎりのドベでした(。∀°)
このように、FFだと特にそうだと思いますが、加速とタイヤ摩耗が密接に関わり、結果スティント全体のペースに関わることもあるので、『わざと飛ばさない』という考えに基づいて給油量を決めるというのも1つの戦略です。
・『1周だけ給油』は要注意
滅多に無いですが、1周が極端に長いニュルブルクリンクを走る時や、タイヤ使用義務の関係で残り1周でピットに入る場合、少し注意点があります。
このゲーム、ピットに入った際に残りの燃料搭載量が、ゲーム側での走行可能距離で1周未満になっている場合、うっかりボタンを誤爆してガス欠するのを避けるため、ご親切に給油してこの数字が1周を超えるまで給油を停止することができません。
例えばポイントレースでニュル24hを3周のレースがあると、たいてい燃料は2周しかもたないので給油が1回必要です。このレースを2周→1周の割り振りで走ると、最小給油量はここまでの平均燃費に縛られます。
去年のマニュファクチャラーシリーズ ステージ2 ラウンド20でニュル24hのレースがありました。ここで私は1周目、2周目とも約42L消費して残り15Lでピットに入りました。事前の計算でも『42Lあればそこまで意識しなくてもガス欠は無い確信がある』と結論付けており、残り1周も42Lまで給油して出る、はずでしたが。
できねえw 残り15%で0.3周なので、1周ぶん=約45Lまで行かないと給油終了が押せませんでした。ニュルは最後に長い直線があり、この時は前にたくさん車がいたので、離されないよう距離を見つつマップを細かくいじってはいましたが、どうしてもピット直前にたくさん使ったので、実際の平均燃費=42L/周 よりもやや悪い数字が出てしまいました。
バイパーだと6速でパワーバンドをちょっと超過した、あまり燃費が良くない回転域だったということも影響したかもしれません。バックストレートに入る前のタイミングでは残り0.5周で20Lだったので、仮にこの比率を維持していれば、42でのピットアウトは可能でした。
タイヤ使用義務レースで、最後に1周だけハードを使うためピットへ、その際自分の中では燃料は最後の1周でぴったり無くなるつもり、ハードなので無理しないし、少々燃費走行したってとにかく0.1秒でも早くコースに戻りたい、と考えて給油はしないつもりだったとします。
ところがその前のスティントにおいて、スティント序盤は抑えめ、途中から飛ばして走った場合、ゲーム的には『あと0.8周』など、このままでは燃料が足りないと判断してしまうため、自分では足りるつもりでも給油を強制される場合があります。たった数Lのために給油し、終了のタイミングが遅ければ余分な給油になり、そもそも給油リグを挿す動作自体にも僅かながら時間が必要です。
このたった0.5秒ほどの差が、ピットを出た後の位置に影響することもないとは言えないので、こういう条件に当てはまるレースがたまたまあったなら、ピット前に残り周回数表示は確認して、場合によっては少し先行して燃費走行して、0.3秒捨ててでも、ピットでのいらない0.5秒を回避した方が良いこともあるかもしれません。滅多にないケースだとは思いますが念のため。
私が考える燃費に関する考察はこういったあたりでしょうか。一度に全部は当然頭に入らないので、自分に必要そうなところから順番に手を付けることになると思いますが、いくつかの知識を頭に入れておくと柔軟な対応でライバルを出し抜くことができると思います。これぐらい頭に入って消化できるようになれば、たぶんどんな設定でも柔軟に対応できることでしょう。では、よきGTライフを!
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