GT SPORT、過去に当ブログではn76さんから燃費についてコラムを寄稿していただきました。そして、最近はご友人と立ち上げられたご自身のブログでも燃費について記事を投稿されています。
こちらALL CARさんはリアル、バーチャル、双方で車に関する記事がありますので、車に興味のある方にはぜひおススメです。なぜKabao(カバオ)さんとJam023(ジャムおじさん)さんなのかについてはご本人に聞いてくださいw
私より遥かに上手いn76さんの記事があるんだから、別に私が書く意味はほぼ無いわけなんですが、私の独自な話題も織り交ぜつつ、GT SPORTの燃費走行を軸にした話題をお送りします。当然いつも通り脱線が多いので、ここでリンク先に飛んでしまった方が話は早いかもしれませんが、根気強くお付き合いいただける方は最後までよろしくお願いします。
・燃費走行するための手法
話題の性質上どうがんばってもジャムおじさんと話の持って行き方がかぶりますw まず、どうやって燃料消費を抑えるかですが、いくつか方法があります。
1つ目はショート シフト。燃料消費にエンジン回転数が大きく関わっている(といってもゲーム中では一言もそんな話は出て来ないが)ことから、エンジン回転数が上がり切る前にシフトアップすることで消費を抑えるものです。お手軽で効果が高くまた、特に1~3速あたりでは、駆動輪の摩耗を抑える役割も果たします。
必須の技術と言えますがAT設定だとこれができないので、できればMTにすることをおススメします。なお、650S Gr.4やバイパーGT3-Rなど、元々エンジン特性的に回転を引っ張らない車両があり、一見『常時ショートシフトでめっちゃお得!』と思いますが、その最大出力が出る領域でエンジンを使って他と同じような性能になっているのでお得ではありません。
また、車種によってはギア比の設定がイマイチで、次のギアが妙に離れていることがあります。そこでショートシフトすると、いきなりガックリパワーが落ちてしまうので、ギア比やエンジン出力特性との相性もあります。
2つ目は燃料マップの調節。ゲーム内で教えてくれるのはこちらの方法です。6段階に燃料噴射量を調節して、数字が大きいほど燃料が薄くなるので消費が抑えられる、というものです。こちらももちろん効果はあるのですが、ショートシフトの効率には及ばないと思われます。
ATだと主にこちらを使うわけですが、燃料を薄くして出力が落ちると、その分高回転に居座る時間が増えることになるため、結局高回転で長時間回してしまう、燃費において利益相反が起きます。これだけでやりくりするのはやはり効率面でお得ではなさそうです。ショートシフトと組み合わせ、状況に合わせて使うのが最良です。ボタン操作が大変なのも欠点ですね。
3つ目はリフト&コースト。ブレーキ位置よりも手前でアクセルを戻す(リフト オフ)し、車を空走させる(コースト)ことからそう呼ばれています。F1やフォーミュラEでは必須の技術です。
ブレーキ・タイヤの摩耗を抑える効果もあり、実車では最も効率の良い方法とされています。ただ、後ろに車がいる場合、予期していないと突然ブレーキ位置でもないのに減速してちょっと危ないのが難点で、プロが戦う場ならまだしも、大半が素人のGT SPORTにおいては、後ろとある程度差がある時でないと使いにくいと思います。
本来よりもアクセルを早く戻す分だけブレーキ位置は奥になってしまうので、どこで戻したらどこでブレーキを踏むのか、きちんと把握しておかないとタイムがガタ落ちしてしまうのでその点も難しいところです。F1ではやりすぎるとタイヤの温度が冷えて全く機能しなくなるので、やり過ぎもまた問題だそうですがGT SPORTでは関係無いですね。
実はSUPER GTでもリフト&コーストは効果があるので使いたいけれど、2クラス混走でそこらじゅうに車がいる上に、やる人とやらない人がいると危ないので、現実的に使えないんだ、という話を以前オートスポーツ誌で読んだことがあります。
そしておまけで4つ目。ザ・力業、アクセル開度を自力で調節する!アクセルを全開ではなく適宜調整すれば、燃料マップをいじったようなものです。ATでもできます。でもたいてい指か足がつりますw GT6まではアクセル開度が燃料消費に影響を与える唯一の要素だったらしく、その昔キノコさんがサルトのストレートでずっとパーシャルで維持して足をつりかけた(RBさん談)そうです。
スーパー耐久では、確か星野 一樹だったと思いますが、これまたオートスポーツ誌ですがインタビューで「リフト&コーストはしないが、アクセルを半分ぐらいにすると、積み重ねたら効果があってそんなにタイムも落ちない」と、半分だけリフトを推奨していました。実はSSTCで試したことがありますが、ブレーキ位置を間違えそうなのでやめましたw
・燃料セーブは手段であって目的ではない
では本題に入りますが、まず最初に頭に入れたいのがこれです。ピットでの給油時間で逆転されるのは嫌なので、燃料消費は抑えたいと思いますが、何でもかんでも燃料消費を抑えれば良いというわけでは当然ありません。だったら走らなきゃあ燃料は一切いらないので走らないのが最速になってしまいますが、そんなわけないですからね。
現在スポーツモードでは、ほぼ全てのレースで給油時間は7L/秒に設定されています。私が知る限りでは、過去に一度だけ、2019 ネイションズカップ ステージ2 ラウンド17・ブルームーンでのX2014ジュニア ワンメイクで2L/秒というのがありました。特殊な例だと思いますが、油断してるとこういう落とし穴があるので、必ず設定を見る癖はつけておいた方が良いです。
一方ロビーなんですが、給油速度は表示されていません。(初期のバージョンでは設定可能項目だった記憶がありますが証拠が無いので情報求む)私が映像で検証する限り、給油速度は0.6L/秒で、スポーツモードより遅いです。
給油時間が7L/秒ということは、1Lあたり約0.143秒かかります。つまり、理論上1L節約するのに0.143秒以上タイムが遅くなったら意味がありません。給油速度が遅ければ、この損益分岐点はどんどん下がっていくので、燃料セーブに旨味が出てきます。ロビーだと0.166秒ですね。
燃料消耗倍率が低ければ基本的にこの損益分岐点を満たして走ることはできません。倍率が高いほど、走行内容が消費量に与える影響は大きくなって出て来るので、場面場面でこの条件を満たすところも出て来るとは思いますが、よっぽど極端な条件でなければ『直線を全速力で走るより、ゆっくり走った方がトータルで速い』なんてことは起こらないと思います。
つまり、単独で走行しているぶんには、少なくとも直線でショートシフトして最高速を落としてまで燃料を節約する意味というのは基本的にありません。
逆から言えば、単独で走行していない状態で、初めて燃費走行は機能することになる、と言えます。燃費走行はピット以後のレース展開を変えるための手段の1つであって、レースの主目的ではありません。『なんとなく全域でショートシフト』は、うまくレースしている感は出ますが、実際は損している可能性もあります。
・その燃費走行、本当に必要?
例を1つ上げてみます。自分が1位を走っていて、2位の人と接戦でした。給油で逆転されないように気を配りつつも僅差で1位を守ってピットイン、あら、相手の方が燃料がたくさんのこってる(´・ω・`)
では仮に、こちらがもっと燃料を抑えて走ったとしましょう。相手がこちらに合わせてやはりずっと後ろにいたならば、おそらく相手は同じだけ燃料消費は抑えています。つまり、結果は同じです。あるいは、直線で遅くてコース上で抜かれたかもしれません。
意外とこういうケースってあるんじゃないかと思いますが、この場合『相手の方が燃費走行が上手かった』と考えるのは早計で、そもそも『相手の方がペースで上回っていて余力があった』=『そもそも自分にとって順位を争える相手ではなかった』という可能性があります。
このあたり、ピット後のペースなどを冷静に分析しておかないと、『次回はもっと燃料節約するぞ』と思い込んでしまった結果、誤った方向に進んでしまう可能性もあるのです。ピット後に全然追えないペースの人だったらほぼ確実にそうです。
上記の通り、燃費走行はそれ単体では理論上はたいてい損をするものです。しかし、追いかける立場の人というのは、抜かない限り前の人より速くは走れないため、抜ければそれにこしたことはないですが、リスクがある、無理する必要が無い、そもそも抜けないコースだ、直線が遅い、こういった理由で後ろにとどまることは多々あります。
その際に、『本当はもっと速く走れるのでペース的に余っている余力部分』を、『エンジン出力を抑えることに転嫁』させている、これが燃費の良い理由であることは多いです。というか、大半はこれが要因と思った方が良いと個人的には思います。
もちろん、無駄な燃料の使い方をしていることもあるでしょうが、まず大事なのは単純な速さであり、速さが余っているからこその燃費走行です。前に誰もいないので自分のペースで走れるのにわざわざ長い直線でショートシフトする、というのは、結局相手も合わせれば相対的には有利にならず、場合によっては本来なら追いついて来ないはずの人まで引き寄せてしまうこともあります。
・とりあえずやっておいた方が良いこと
ここまで、ともすれば燃費走行全否定な感じの記事になってきましたが、ここからようやく燃料を使わない方の話に行きます。まず、状況を問わずやっておいた方が良いことから。
コーナーの手前でちょうどエンジン回転が目一杯になることは時々あると思います。でも、目一杯になってもその直後に減速するわけで、あまりおいしくありません。上がり切る前にシフトアップしても、次のギアがよっぽど離れていない限り、タイムにほとんど影響は出ません。実車だとギアボックスを傷めるからやめろと言われそうですが、単独走行でも役に立ちます。
鈴鹿サーキットのS字区間なんかは、比較的似たような速度域でアクセルを開けたり戻したりを繰り返します。セッティング固定だと、ここでちょうどエンジンが回り切ってたり、逆に中途半端にリミットにあたったり色々ですが、1つ上のギアを使うか、回転が落ちすぎるならマップを3あたりにすると、こちらもタイムへの影響を最小限に消費を抑えられます。普通抜かれない区間ですしね。
前の車を抜けないのであれば、ショートシフトは離されない/後ろに抜かれない範囲で取り入れたいところです。インテルラゴスのインフィールド部分のように、小さいコーナーが連続する部分であれば一生懸命燃料を燃やしても抜けないし、すぐまた減速するし勿体ないので、こういう場所は燃料を抑える絶好のポイントです。
単にショートシフト単体でどの場所でどの程度タイムが落ちるのか知りたいのであれば、アーケードのタイムトライアルで、全力で走った後にショートシフトで走ればある程度比較は可能です。ただ、それで1周あたりどれでけ消費を抑えたは分からないので、別途消耗を入れて、その走り方でどれだけ節約できるのか検証する必要があります。面倒ですw
余談ですが、逆に燃料が余る設定のレースの場合で、なおかつ目一杯エンジンを回さない特性の車なら、詰まったらパワーバンドを超えて無駄にエンジンを回し、燃料を燃やして車を軽くする、という小技もあります。できる車には限りがありますけどね。
前走車のスリップストリームは燃費走行に必須です。直線で空気抵抗が少なくなって前に追いつきますから、同じ燃料消費量でよりたくさん車が進むことになりますし、抜かないのであればそのぶんエンジン出力を下げて節約できます。
NASCARのスーパー スピードウェイだと、隊列の先頭でずっと全開の人と、後ろでアクセルを半分しか開けずに済んでる人とでは、航続距離で最大1割近く差が出ることもあります。ずっとアクセルを半分だけ開けておくのもそれはそれで大変なので、『右足で踏むのが疲れてきたから左足でアクセルを踏んだ』なんて話もあります。
直線の長いコースだったり、車速が遅いために直線でアクセルを踏む時間が長くなる市販車などの車両であれば、タイムと燃料、双方に大きな影響が出て来るので、離されてしまったら、多少無理してでも追いつきましょう。無理しても追いつかないなら縁が無かったと思って諦めましょうw
私は追突しそうなのと、ダウンフォースが抜けてバランスが狂うのであんまり圏内を走るのは得意ではないです。乱気流はおそらく大雑把なモデルでしか作られていないGT SPORTですが、Gr.3ぐらいから気になり、Gr.2は結構影響大き目、メルセデスのF1まで来ると単独と集団で別物の動きです。
実際のF1では後方乱気流の影響がとてつもなく大きいので、モンツァなど一部の特殊なコースを除けば、スリップストリームに入ったから追いつける、ということはなかなかありません。似たペースの人がいたら、乱気流で後ろの人はコーナーで遅くなって近寄れないですし、無理して追いつくにはアンダーステアの出ている車を無理に曲げないといけないのでタイヤを傷めてしまいます。
エンジニアから「離れろ」と指示されることも日常で、ダウンフォースを多く必要とするシルバーストーンなんかでは、2.5秒は離れておかないといけないと言われています。F1ではスリップストリームは3秒離れても影響があるそうで、モンツァの予選で最も恩恵を受けられるのは、前の車から2.5~3秒あたりの領域とみられています。これより近いとコーナーで遅くなる不利益が大きくなってきます。
ここからさらに具体的にレースに合わせた基本的な考え方を書いて行こうと思いましたが、今から書くと文字数がエライことになりそうなので分割して次回へ続きます^^;
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