NASCAR プレイオフ 第6戦 シャーロット・事前情報

NASCAR Cup Series
Bank of America 400
Charlotte Motor Speedway(Concord,North Carolina)
1.5miles×267Laps(80/85/102)=400.5miles
Goodyear Racing Eagle Tire Code
Left:D-5284 , Right:D-5290
Total Sets:11(8 new race/1 qualifying transfer to race/2 practice)

 NASCARカップシリーズ・プレイオフ"モービル ワン 提供 ザ チェイス"第6戦はシャーロット モーター スピードウェイです。カンザス、ラスベガスに続く1.5マイル3連戦の締めくくり、なんですが先にお伝えしておくとアメリカではフロリダ州にハリケーン『イサイアス』が上陸して内陸へ移動。ノースカロライナ州は直撃はしていない模様ですが天候が悪化しており、土曜日に予定されていたオライリーシリーズとカップシリーズの走行予定時刻を当初より繰り上げる対応を行いましたが、それよりも前から雨になってしまったので全部取りやめに。結果としてカップはぶっつけ決勝レースで、オライリーシリーズはカップのレース後の日曜日夜に予定されています。
 さてそんなシャーロットはNASCARの拠点の1つであり、多くのチームはこの周辺に本拠地を構えているためNASCARの聖地とも呼ばれます。とはいえ1960年の初開催に際しては多くの事例と同様に財政難や工事の遅れなど課題が山積し、最初のレースをいきなり600マイルで開催するとぶち上げながらもその直前まで舗装が完了していないような状態だったとか。結果としてシャーロットは大成功を収めることになり、5月のコカ-コーラ 600はシリーズを代表するイベントになりました。
 一方で秋のレースは2018年から内側にあったロード コースを整備して『ローバル』と命名したレイアウトで開催されてきました。Gen6車両での高速オーバルは今一つ人気が無く、プレイオフの中に大逆転を生む要素を盛り込んでちょっとでも盛り上げてやろうという意図でした。今年も最初に発表された日程ではローバルでしたが、その後にオーバルへと変更されてローバルはひとまずその役目を終えたことになります。というわけでGen7車両で秋のシャーロット、600マイルではないシャーロットを走るのは今回が初めてで、また秋のシャーロットは長年500マイルの設定だったので400マイル設定で走るのはなんと1965年以来となります。
 
 シャーロットは最大バンク角が24°あり、カンザス/ラスベガスの20°よりも高くなっています。一方で公式な数値は公表されていませんが他のトラックよりも道幅が見るからに狭い設計なので、非常にスピード感があるんですが1周の平均速度そのものは似たような数字になっています。今回は練習走行が無くなりましたので、5月のレースと過去2週間のレースから得られる知見を活用して持ち込みセットを的中させないといけません。クリーンエアー最強!ではありますがタイヤへの負担も大きいのでショート ランに振りすぎるとボロボロになります。

 そしてレース前の金曜日、ハリケーンがまだ来ていなかったのは幸いだったと思いますが、NASCARの公式行事として5月に急逝したカイル ブッシュを追悼する式典が開催され1万人以上のファンが訪れました。生前の功績を振り返り、サマンサ夫人は壇上で

「これはカイルの物語の終わりではありません。若いレーサーにチャンスを与えたり、彼から教わったことを共有したり、ラウディを忘れられない存在にしたことを次の世代に伝えたりするたびに、彼の物語は続いていきます。」
「何年も経った後、人々がカイルをNASCAR史上最高のドライバーの一人として記憶してくれることを願っています。彼はそのために人生を捧げてきました。そして、カイルがいたおかげで人生がより良いものになった人に出会えることも願っています。それは、どんなチェッカーフラッグにも表せない、かけがえのない遺産です。」

 最後には息子のブレクストンがRCRの8号車に乗って発進、一度はエンストしつつもその後に華麗なバーンナウトを披露して人々を感動させました。ヘルメットをかぶって目元だけ見えるブレクストンはやっぱりちょっとカイルと似てて、もうこれ見てるだけで涙が止まりませんね。とても楽しそうに車を降りて来た彼の姿に誰もが心を打たれたことでしょう。なおこの週末のトラックシリーズでは3つのチームがカイルを追悼するための特別なスロウバック スキームを使用しています。

 また、カイルの追悼行事とは別に今月がアメリカでの乳がん啓発月間ということで乳がん経験者や支援者が集まり、ピットの壁をピンク色に塗って啓発活動を行う取り組みも行われています。州最大の非営利医療法人であるブルー クロス アンド ブルー シールド オブ ノースカロライナの取り組みで、ブルークロスNCは今回のオライリーシリーズの大会スポンサーでもあります。

・ちょっとしたデータ

 プレイオフも前半の5戦が終わってここから最後の5戦となります。ラーソンは最初の5戦で2勝に加えて2位も2回、平均順位が驚異の2.2となっています。プレイオフ制導入以降、プレイオフ期間内に『連続する5戦平均順位2.2以下』を記録したのは過去に6度あり、ラーソンは史上7度目の快進撃を記録。2004年にはジミー ジョンソンがプレイオフ5戦目から最終戦までに6戦4勝したため、5戦の区切りでデータを取ると『第5戦~第9戦』『第6戦~第10戦』の2つが同時に該当してほぼ重複してるんですが、なんとこの快進撃でも残念ながらカート ブッシュに一歩及ばずチャンピオンは逃しました。
 ジョンソンは2006年、2007年にもやはり快進撃を記録してこちらはチャンピオンを獲得、2017年のマーティン トゥルーエックス ジュニアも同様でしたが、2008年のカール エドワーズは4年前のジョンソンと同様で最後に破竹の快進撃で5戦3勝しましたが届かず、ジョンソンに3連覇されました。10戦のうち5戦で快進撃を見せたからと言って必ずしもチャンピオンとは結びついていないわけですが、少なくともこの記録を達成した人は選手権2位以内には入っています。トゥルーエックス以来9年ぶりの歴史的快進撃、というかほぼジョンソンしかやってない記録に届いたラーソン、そのジョンソン以来となるカップシリーズ連覇となるでしょうか。

 そして最近のシャーロットですが、年間1回開催ということもあるのか優勝者がものすごくばらけており、Gen7車両での過去5回のコカコーラ600優勝者がハムリン、ブレイニー、ベル、チャステイン、そして今年がスアレスと複数勝利なし。それ以前もラーソン、エリオット、ケゼロウスキー、トゥルーエックス、カイル、とここまで全部バラバラで現役で2勝を経験しているのが2013年・2020年優勝のケゼロウスキーのみ。ここまでに挙げた以外にオースティン ディロンとロガーノも優勝経験者です。ちなみに秋のシャーロットに限ると現役優勝者はロガーノとケゼロウスキーしかいません。あ、ロガーノは今回がカップ通算500戦の節目ですね。
 スタート順位で見ても通算128回開催された長い歴史の中で異なる27の予選順位から優勝者が生まれ、そのうち20か所は複数回の優勝者が誕生しています。2025年のチャステインが公式記録として予選最下位となる40位から優勝し、今年のスアレスも14位からの優勝でした。シャーロットの通算で見ればもちろん上位スタートの勝率が高く予選5位以内からの勝率が約55%、10位以内が73%です。じゃあ空力依存度が高くなったGen6時代以降ならなおさらだろう、とか思ったら意外なことに2013年以降の20戦では予選11位以下からの優勝が9回もあります。クリーンエアーだけでなくタイヤを労わる重要性が関係してるでしょうか。

 直近5回のシャーロット=コカコーラ600で最も平均順位が良いのはベルで8.0、次いでレディックが9.0、3番目がバイロンで9.6となっており、いずれも5戦中4戦でトップ10フィニッシュを記録しています。バイロンに次ぐのはハムリンですが平均12.0とちょっと数字に開きがあります。そしてなんとA.J.アルメンディンガーも同じく12.0で、彼らに続くのはリッキー ステンハウス ジュニア。ラーソンはインディー500に浮気して2024年に出損ねている上、その前後の年はクラッシュしたのであまり良い数字が出ていません。NASCARの神様に嫌われていないかどうか、このレースでよく分かるかもしれませんね(笑)

・レース前の話題

 契約の話が色々と出てきました。まずカップシリーズではコール カスターがハース ファクトリー チームと契約を延長。父親がチーム社長のジョー カスターですからまあ既定路線という感じですが、3年連続同じ体制ということになります。選手権32位なんで大した違いは無いですけど、カスターは去年と比べるとちょびっと成績落ちてますね。
 また、オースティン シンドリックも来シーズンのチーム ペンスキー残留を明らかにしました。こっちも父親が社長でしたが、インディーカーの方でペンスキーに不正行為があった際に社長から退いたので今は社長の息子ではなくなりました。でもティム シンドリックって結局スコット マクロクリンの作戦担当者として戻って来てペンスキーで仕事してるんですね^^;
ちなみに私は風貌が可愛いので
カスター君けっこうお気に入り(笑)

 続いてオライリーシリーズ、今シーズンまで4年間はジョーダン アンダーソン レーシングの27号車でフル参戦を続けていたジェブ バートンが、来シーズンはRSS レーシングと契約して22号車に乗ることが発表されました。22番というのは彼の父・ワード バートンが1995年~2003年にカップシリーズで使用して5勝を挙げた番号で、ジェブも2023年夏のデイトナで一度だけ使用したことがあるんですが、今回の移籍に合わせて常時使用することになりました。RSSとしては初めて22番を使用するようです。
 
 そして最後はトラックシリーズ、前回の事前情報ページではまだ噂段階の報道でしたが、ケイシー ケインがスパイアーモータースポーツと契約して77号車でフル参戦することが正式に発表されました。ケインは

「チーム代表のジェフ ディッカーソンから『スパイアーモータースポーツでトラックレースに出ないか』と最初に誘われた時、本気だとは思っていませんでした。長い間レースから離れていたのに、強力なフェデックス フレイト トラック シリーズのチームでレースをする機会、NASCARに再びフルタイムで参戦する機会を得られたのは少し驚きでした。舗装路でのレースに復帰し、長年携わってきたレースに再び関われるという考えはとてもワクワクするものでした。」

と心境を語りました。

 一方、マカナリー-ヒルジマン レーシングのタイラー アンクラムは今シーズン限りでチームを離れることを明らかにしました。普通こういうのは声明文なりチーム側の発表なりで明らかになることが多いですが、どうやらアンクラムは今週末の取材時間帯の中でジョセフスリグリードットコムの記者に対してこれを明かしたとのことで、ちょっと発表方法が異例だったこともあり驚きをもって伝えられました。2019年からトラックシリーズを戦うアンクラムですがまだ25歳、通算2勝ですがチーム力があるところへ行けば勝てる才能のある選手と目されているようなので、今後の動向は注目です。

・Craftsman Truck Series ECOSAVE 200

 トラックシリーズのプレイオフ第3戦、レイン リッグスは第1シードながらブリストルで32位、カンザスでは2位を守るよりも1位を取ろうとしすぎたことが仇になって19位と悪い流れでしたが、このレースでは予選13位から速さを見せました。ステージ1で勝利した後にステージ間コーションで順位を下げるも、すぐに挽回してステージ2では2位。そしてファイナル ステージでは最大のライバル・ケイデン ハニーカットをかわすもコーション中のピットでまた逆転されました。
 それでも今日は自力で勝るリッグス、コーションが相次ぐ中で何度となくハニーカットに仕掛けて行くと、残り7周でこれを意識しすぎたハニーカットがやや自滅、ターン4でルースになって壁に軽く接触しました。この間に間に出たリッグスがそのままチェッカーを受けて今季7勝目を挙げました。

 ハニーカットはこのレース最多の85周をリードしましたが、リッグスに抜かれた後にクリスチャン エッケスにも抜かれてこのレース3位。ドライバー選手権1位を守っていますがリッグスが17点差に迫りました。選手権3位のチャンドラー スミスは77点差なので、レギュラーシーズン同様にこの2人のどちらかがチャンピオンを手にする可能性が高そうです。なおカイル追悼特性スキームのみなさんですが、118周目に発生した多重事故で5台中2台がリタイアになってしまいました。

・カップシリーズ予選

 指数予選によりポールポジションはラーソンとなりました。ブリスコー、レディック、ブレイニー、シンドリック、バイロン、ロガーノ、ウォーレス、エリオットと続き、先週頑張ったおかげでギスバーゲンが10位。ギスバーゲンはコカコーラ600でも指数予選で3位からスタートして、予想外の健闘で11周をリードして11位で終えていますね。
 11位からホースバー、ハムリン、ブッシャー、ギブス、スアレス、プレイオフ選手ではないボウマンを挟んで17位にベル。プリースだけちょっと離れた24位になっています。コリー ハイムが久々に登場しますが予選が無いとどうしようもなくて37位からです。

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