2026 AUTOBACS SUPER GT Round6 SUGO GT 300km RACE
スポーツランドSUGO 3.586km×84Laps=301.224km
GT300は80周のレース、カーガイを含めた暫定状態で考えて9位と10位の間にGT500車両が入ってチェッカーを受けたので10位以下は1周遅れの79周でレースが終わっています。カーガイは79周目を終えて80周目に入ってあと1kmぐらいのところで止まりました。もしどうにかこうにかゴールにたどり着けば、リード ラップの最後尾=9位までしか落ちないはずでした。ところがコース上で止まってペナルティーです。
GT300はレース後の時点ではまだカーガイにペナルティーが出ていなかったのでオサリバンが2位になってますが、正式結果では47点で3位ということになります。オリベイラ兄弟はD'station Vantage GT3・藤井 誠暢/チャーリー ファグに対して21点の大差が付きました。Dステーションは今回のレース、SC前はGT500車両に接触される不運もありつつ6位でしたが、給油速度制限の影響でピットで順位を落とすと後半は見せ場なく21位で無得点でした。
スポーツランドSUGO 3.586km×84Laps=301.224km
GT500 class winner:Astemo HRC PRELUDE-GT 塚越 広大/野村 勇斗
(Honda HRC PRELUDE-GT/Astemo REAL RACING)
GT300 class winner:Syntium LMcorsa LC500 GT
(LEXUS LC500/LM corsa)
規則の抜け穴とかインチキとか言ってる人がいるかもしれませんけど、空力開発凍結の年でも開幕前のテストでボンネット形状を複数用意して比較評価している場面は他陣営でも見られ、それぐらいはみなさんちゃんと知っています。その上で必要性に応じてやっているだけですね。どうでも良いけど細い方が車としてはカッコいいですね(笑)
これで20分ほど練習走行は中断されました。GT500クラスは概ね30周程度の走行を行いましたが近藤レーシングは事故ったので19周止まりでした。練習走行最速はGT500ではModulo HRC PRELUDE-GT(0kg)、GT300クラスはSUBARU BRZ R&D SPORT(2kg)でした。
オートバックス スーパー GT 第6戦・スポーツランドSUGO。毎年お馴染み、スゴウマモノさんが住んでいるという噂の宮城県のサーキットですが、今年は俗にシルバーウイークと呼ばれる大型連休と重なってますのできっと休暇をとってどこかに出かけていることでしょう。そういえばピットに車が殺到して渋滞で車が動けなくなった2015年のSUGOもシルバーウイークの開催で、シルバーウイーク渋滞って揶揄されてたなあ(笑)
・千代選手骨折
F1ではアイザック ハジャーがボクシングを使ったトレーニングをしていたら手首を痛めて3戦を欠場しましたが、こちらSUPER GTでも怪我人発生。ニスモの千代 勝正が搬入日である金曜日の夜に足を怪我して、診断の結果骨折しているということで急遽欠場。控え選手として待機している佐々木 大樹が代役出場することになりました。詳細は不明ですが、転倒したか、重いものが足の上に誤って落下したか、机の角にぶつけたか・・・
佐々木選手は昨年ニスモに乗ってフル参戦してましたが、GT500みたいな特殊な変態車両で、しかも急に言われてどこまで対応できるでしょうか。あとオートスポーツwebの記事で『2年ぶりのGT500走行を終えた佐々木に、初日の感想を聞いた』ってあるんですけど、どう計算したら2年ぶりになるんでしょうか^^;
・プレリュード、ボンネット形状を手直し
今回HRCプレリュードがボンネットの形状を手直ししてきました。空力仕様は年間1種類のみ、なおかつ4年間の開発凍結、ではあるんですけどボンネット上の通風孔はエンジン内部の冷却ダクトに関連付けられたもので、この空力開発の対象外になっています。前戦までに比べると排出口が狭められており、冷却性能の適正化を狙いつつも当然ながら空力性能への影響もあります。でも前後バランスから何から変わるので、単にここでダウンフォースが僅かでも増えたらそれが全部簡単に性能向上になるわけではありません。
| 今回のボンネット |
・練習走行
マモノさんは土曜日も仕事でここにいるのか、練習走行の開始から1時間ほど経過したところでリアライズコーポレーションZ(22kg)・名取 鉄平がクラッシュ。ターン4の立ち上がりで縁石を踏んだらズラが落ちていて、滑ったせいでシケインを曲がれず直進して壁に刺さりました。色んな所で事故が起きる菅生ですがこの事故り方はあんまり見たことないですね。まだJGTCだった時代はわりとみんな下手なので、シケインで誰かが回って後続が多重事故になったこともありましたけど^^;
| へぶ・・・ |
GT500
GT500クラスの予選は今回もモデューロプレリュード大活躍、Q1でイゴール オオムラ フラガが1分9秒325を記録して最速、そしてQ2で大草りきが1分9秒050を記録して見事にコース レコードでのポールポジションを獲得しました。一昨年の最終戦もてぎ以来の通算2回目です。2位はAstemo HRC PRELUDE-GT(50kg)・塚越 広大/野村 勇斗。サクセスウエイトが50kgピッタリなのでギリギリで燃料流量が絞られていない状態です。そして3位にはWedsSport BANDOH GR Supra(4kg)・国本 雄資/阪口 晴南、坂東さんのところが予選でトップ3に入るのは昨年の富士スプリント戦・第1レース以来でわりと久しぶり。
一生懸命車を修理したリアライズZは11位、au TOM'S GR Supra(50kg/-1/-2)はなんかアンダーステアが酷かったらしく、坪井 翔は火花を散らしまくりながら走るも12位。またDeloitte TOM'S GR Supra(24kg)は笹原 右京がミスったようで予選最下位でした。37トムス、なかなか結果が出ません。アンダーが酷い理由ってさすがに擦りすぎて床下の空気が非連続で遮断されてるからでは、という気も。
迎えた決勝は気温23℃/路面温度25℃の曇り空。決勝前には雨が降ったけどスタート時点では既に止んでいて路面は完全に乾いていない、という状況でスリック タイヤを使用するしかなく、警察車両先導のパレード周回が無いSCスタートになりました。たぶん多くの陣営はもっと路面温度が高い条件を想定していたと思うので、作動温度領域を外してるとか、保険で1セットだけ持ってきたタイヤしか条件に合わない、とかいう困ったことが起きてるんじゃないかと想像します。
かなり慎重に4周の先導走行を行って5周目にリスタート、ダンロップは熱入れに課題がありますが、この条件はそうそう抜かれません。大草がリードして、2位に野村。3位の国本はこれまたタイヤが作動せずに前の2人から離されてしまいました。ただ熱が入って路面も乾いてくると状況は変わっていき、17周目に国本は野村をかわして2位になります。やはり50kgウエイトが効いてるのか野村選手はこの後かなり離されてしまいました。
24周目にはリーダーの大草がGT300に引っかかって国本と接近、ついにダンロップとヨコハマによる優勝争い、になると思った矢先の27周目、最終コーナー出口付近で大事故が起きたためSC導入で話が全部チャラになりました。コース外に飛び出したapr GR86 GT(8kg)・永井 宏明がコース復帰しつつも回ってしまい、制御不能になったところに#16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(50kg/-1)・野尻 智紀が避けられずまともに衝突、コース関係者の方を含め怪我人が出なかったのがせめてもの救いでした。
58歳の永井選手はトヨタカローラ三重の社長でいわゆるジェントルマン ドライバー、『アマチュアはスーパー耐久でも出てろ、GT出るな』的な批判をする人がいますが、今回に関しては濡れた芝生でこういう車高の低い高出力な車が飛び出して滑ったら誰でもああなる可能性はあったと思います。内側に戻ろうとしないと外のガードレールにぶつけても跳ね返って来てやっぱり大事故なので、起きないに越したことはないけど起こっても不思議ではない類の事故だったと思います。
永井社長には『危険なコース復帰』で40秒加算のペナルティーが課せられました。ただ彼が『落ち着いて安全にコースに戻ろうとしたが想定外の動きで失敗した』のか『時間を失いたくなくてできるだけ損しないように芝生を攻めて失敗した』のかはマーシャル ポストにある固定カメラだけではたぶん判断が付かず、最低でも車載映像、できればそこにスロットル・ステアリング・ブレーキの詳細な操作情報を見ない事には判断ができないと思うので、『コース復帰時に事故を起こした』という結果責任での判断かなと思います。
上記の通り行為そのものにどの程度の過失があるかはそう易々とは決められないので、事故後に短絡的に『危険行為』と決めつけ、しかもそれが『アマチュアで下手だからだ、アマチュアは出るべきでない』という結論にまで結びつけるべきではないと思います。
全くの余談ですが永井社長の父親はあの名馬・サイレンススズカなどの馬主として知られた人だそうです。私は競馬に全く興味が無んですが、いしいしんじの著書『ピット・イン』の中でサンデーサイレンスが出てくる話があってたまたま知っています。サンデーサイレンスの誕生日は1994年5月1日、アイルトン セナの命日なんですね。偶然ですが、まさに『沈黙の鈴鹿』でした。
話を馬から車に戻しましょう、車が壊れるだけの事故で済んでホッとはしましたがレースは厄介なことになりました。ちょうどレースが全体の1/3に差し掛かったところでのSC導入だったのでピット大渋滞の悪夢が頭をよぎります。33周目のリスタートと同時に3位のアステモプレリュード・野村など4人がピットに入り、モデューロ大草は1周だけ走って33周目にピットへ。フラガへ交代したモデューロナカジマですが、ピットを出たらもうアステモリアル・塚越に抜かれてしまいました。フラガ選手、ここからタイヤに熱が入らない間にむちゃくちゃ抜かれます。
このサイクルで実質2位には33周目にピットに入っていた#8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(50kg/-1)・太田 格之進が浮上、まだサイクルが一巡していないもののSC導入時は10位にいたので順位爆上げでした。が、38周目の最終コーナーでGT300を外から抜こうとしてコース外に飛び出しました。落ち着いてコースに戻ったものの後続に一度に抜かれ、抜いた側もちょうどGT500が4人とGT300も2人絡んだごちゃごちゃの場所にコース外から低速車両が現れたので、この争いがまたかなり危ないところでした。事故らんのはさすがプロですが、auトムス・坪井 翔は無線で「危ないよみんな動きが、マジで。」
これで一旦はTRS IMPUL with SDG Z(40kg)・平峰 一貴が2位になったものの、ピット後の勢いが急にしぼんでしまって40周目にはSTANLEY HRC PRELUDE-GT(50kg/-1)・牧野 任祐に抜かれました。牧野のペースはなんとか塚越とトントンぐらいかな、というところでしたが、それ以上にコース上で速かったのが38周目までドライバー交替を引っ張ったDENSO KOBELCO SARD GR Supra(34kg)・サッシャ フェネストラズ。SC導入時点の11位から実質8位でコースに戻ると狭いSUGOお構いなしに順位を上げて行き、66周目についに牧野まで抜いて2位になりました。『お前はネコか』と思うぐらい狭い隙間に入りました。
この時点でリーダーの塚越まで7秒差だったフェネストラズ、70周目には5秒差となりちょっとしたGT300の絡み方次第では見える範囲の争いになってもうひと波乱ありそうに思えましたが、ここからフェネストラズ失速。逆に牧野に追い上げられる展開になり、ふと気づいたら塚越選手は縁石をできるだけ踏まずに安全運転しているようでした。
結果としては追いかけてくる2位が日替わりメニューになったことでタイヤを労わりつつ落ち着いて走ることができた塚越がそのまま2位に5秒近い差を保ったままチェッカーを受けてアステモHRCプレリュードGTが今季初勝利、プレリュードGTとしては第4戦から3連勝となりました。塚越選手にとっては2022年第7戦オートポリス以来約4年ぶりの7勝目、野村選手は新人さんですからGT500初優勝です。
前戦鈴鹿では最年少ポールポジション記録を樹立した野村選手、その時に『最年少"優勝"はラルフ シューマッハーが記録していて既にその年齢を超えている』と書きましたが、これで晴れて歴代2番目の年少記録!と思ったら実は歴代3位。1998年の第4戦富士で優勝したMobil 1 NSXの山西 康司(相棒はトム コロネル)が20歳302日で歴代2位、野村選手は20歳312日で10日だけ山西に足りてませんでした。
ちなみに山西は開幕戦でも2位に入っており、20歳162日の表彰台はラルフを上回っておよそ18年間破られない最年少表彰台記録でした。これを破ったのが2016年の牧野、GT500では史上初めてで現在でも唯一の20歳未満での表彰台です。なお史上最年少出場はたしか2002年第4戦マレーシアに片山 右京の代役で出場した下田 隼成だったと思います、誕生日から逆算したら17歳11か月何日、ぐらいになるはずです。7位に入ってるので最年少入賞も同日ですね。
記録の話が長くなりましたけど、2位はデンソーコベルコサードGRスープラ・関口 雄飛/サッシャ フェネストラズ、3位はスタンレープレリュード・山本 尚貴/牧野 任祐、そしてその0.8秒後方で4位にauトムス・坪井 翔/山下 健太でした。サードもチーム国光も前を追えなかった主要因は燃料不足、ピット作業時にかなりギリギリを攻めた給油量にしていたようです。
フェネストラズの燃料が足りなかったのが攻めすぎて予想より燃やしたのか、チーム側の計算がカツカツすぎたのかはチーム側が出すリポート、webメディアの事後情報を見比べても判然としない(どちらとも受け取れる)んですが、結果論だけで言うとピットを出たサードの後ろには大きな空間があったので、あと数秒燃料を入れても問題ない状況ではありました。ただその中でチームは「3周だけ飛ばして良い」と条件を付け、それに応えて牧野を仕留めたのは見事だったと思います。
前がそういう状況だったのでトムスからすると燃料流量制限の影響は薄くなっており、しかも濡れた路面とSC導入でレース前半に使用する燃料も減ったので給油時間の差も逓減、そこにSC退出時に同時にピットに入ることでロスも削減しての4位ということで目の前の条件を全部味方に付けた感じでした。ただ坪井選手はなお貪欲に隙あればもう1つ獲りに行こうという姿勢が見えて、映像で見るとGT300との絡みが何回か怖かったですね。
残念だったのはナカジマレーシングで、後半のフラガがタイヤの熱入れで苦戦して順位を落としてしまい、そこから熱が入ったらかなり速くて6位あたりになっていたものの67周目にパンク。チーム側の情報だと他車との接触が原因だそうで、レース結果は12位でした。またインパルは駆動系が壊れたことでリタイア、ピット後の乱高下の要因が何だったのか知りたかったんですけどインパルはサイトに掲載するレースリポートが会員限定コンテンツになってて読めませんでした(笑)日産はリアライズ近藤レーシングが7位、ニスモが8位となり、車を壊した名取選手も、代走の佐々木選手も、怪我した千代選手もホッとはしたんじゃないかと思いますが、この順位でしか争えないのが日産全体としては歯がゆさを感じてると想像します。
GT300
GT300クラスのポールポジションはSyntium LMcorsa LC500(28kg)・吉本 大樹が獲得、Q1の河野 駿佑が1分16秒944で最速となっており、Q2の吉本もほぼ変わらない1分16秒964でした。吉本選手、2004年からGT300に出場していてどうやら今回が通算150戦目だったみたいなんですがこれが初のポールポジションでチームとしても初ポールでした。GT300で通算150戦以上出場している選手は他に8人しかおらず、ポールを獲ったことが無いのは城内 政樹と和田 久の2人だけです。和田さんって1995年にGT500でデビューしてますけど、もはや『全日本GT選手権時代のGT500クラス参戦経験者』って希少ですね。
LMコルサは昨年は鈴鹿で失格になって優勝を失いSUGOで優勝、今回は鈴鹿でパンクにより2位を失って・・・?というところで話題性もあります。2位は0.099秒差でSUBARU BRZ R&D SPORT(2kg)・井口 卓人/山内 英輝、中継映像を見る限りでは最終コーナーだけで構成されるセクター4で明らかに速いので、上り坂で新しいエンジンが速さを見せていると思われます。他の車両では何台か対BRZでセクター3まで勝っていてもセクター4でひっくり返されていました。LMコルサだけがよっぽど旋回速度が高いのかセクター4でもBRZと同等に速かったです、車がゴツイからダウンフォースが強くてボトム スピードが速いのと、ダンロップのタイヤも良かったのかなと想像。
3位はCARGUY Ferrari 296 GT3 EVO(50kg/-3)・ザック オサリバン/梅垣 清、そして4位には前戦で車が大破したGreen Brave GR Supra GT(50kg/-2)・吉田 広樹/野中 誠太。なんでも左側のドア以外全部新しくした、という話でロールケージに関しては製作元のaprにお願いし、外装の方は在庫をかき集めたり、急いで発注してギリギリ間に合わせたり。もう予備が無いから次に壊すと下手したら次戦はマジで修理対応できない可能性がある綱渡り参戦です。それでもドライバーさんはちゃんと攻めたわけですね。その昔、エンジン交換ペナルティーを受けたくないから予選を全て3周だけでまとめて必要以上に一切走らなかったセバスチャン ベッテルを思い出しました。
しかし決勝は上記の通り雨上がりの微妙な条件、グリーンブレイブからしたら絶対やめてほしいやつです。それはさておきスタートからLMコルサ・吉本とR&DスポーツBRZ・井口が3位以下を引き離す展開になりました。その後は約20周で吉本が8秒以上の大差、井口も後ろのカーガイ296・オサリバンと5秒差で一人ぼっちでした。オサリバン、おさらば。
ところが井口は23周目にシケインあたりで急失速してその差を吐き出す謎の事案発生、レース後のチーム情報でも書いてなかったですが配信された車載映像を見ると一瞬ギアが抜けたような動きをしており、SUPER GT+KYOJOを見たら井口選手も無線で「ギアが抜けた。」と言ってました。
ただギア抜け症状はコーナー数個で直ったようで、ギリギリでオサリバンには抜かれずに済み順位変動は起こらず。そして最終コーナーでの大事故でSCが導入されて状況はリセットされました。GT300にとってのリスタートは32周目でしたがLMコルサが35周目にピットに入り、4輪交換で吉本から河野へ交代します。
既にドライバー交替を済ませていた陣営もありますがLMコルサは問題なく実質1位を維持している様子、だと思っていたらよーーく見たらそうではなかったことに後から気づき、実際は36周目に入ったリアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(50kg/-3)・ジョアン パオロ デ オリベイラがオーバーカットしていました。これはどう考えてもタイヤ無交換だなと思ったらやっぱりそうで、ピット内の滞在時間で12秒もLMコルサより短く脱出していました。
タイヤ無交換なので速いはずがない、と思ったオリベイラですが見かけによらず丁寧に走らせるベテランは予想外の速さでした。それでも63周目、残り約20周ほどで河野はようやくオリベイラまで約1秒差に接近。しかしオリベイラはブロックの鬼でもあるのでどうなるのか、と思ったら画面に映ってない間に順位が勝手に入れ替わっています。67周目にオリベイラはやや不注意でGT500と接触し、コースから飛び出していました。
ブロックの鬼を自動的に回避できた河野、あとはパンクとか車検違反とかが無いようにチェッカーまで車を持って帰るだけ。まあSUGOではそれが難しいわけですが、無事に80周を走り切って昨年のSUGO以来の優勝、マモノさんの家で2連覇を達成しました。吉本選手は11勝目、河野選手は4勝目。LMコルサはたぶんチーム通算8勝目ですね。BMW Z4 GT3、レクサス RC F GT3、トヨタ GRスープラ GT、そしてレクサス LC500とけっこう色んな車で優勝してるなとか今さら思ったり。
痛恨の失敗があった近藤レーシングですがオリベイラはそれでも極端にペースを落とすことなく走って6.104秒差で2位チェッカー。あまりヨコハマタイヤのGT3車両でタイヤ無交換は見られず、特にGT-Rで50kgの重りを積んでる状態でやるとはほとんど誰も想定してなかったと思いますが、前半を担当した木村 偉織が昨年マッハ号で無交換を経験していたことが役に立ったそうです。ドライバー選手権1位の車が2位表彰台はものすごく大きな結果ですね。ちなみに解説で本山 哲が「顔写真のJPと偉織が似すぎてどっちがどっちか分からん」って言ってましたが私も開幕戦からずっと思ってます(笑)
そして3位にはギア抜け症状で「あ~今日もダメそうね」とファンも諦めたかもしれないBRZが入りました、優勝争いには絡まずにあんまり目立ちませんでしたが、ちゃんと走ったら速いことが証明されました。ただエンジン性能が上がってエンジン本体の負荷は減っても、小さい車にあれこれ詰め込んで駆動系とかがギリギリになってそうだなというのも改めて感じました。続いて4位にカーガイ296GT3、だったはずですが。なんと最終周にガス欠しました。
最後の上り坂を登れずに止まってしまい、これで4位はseven × seven PORSCHE GT3R EVO(50kg/-1)・スベン ミュラー/渡会 太一の手に。カーガイはリード ラップ車両だったのでなんとかチェッカーにたどり着ければよかったんですが、止まってしまったので正式順位は13位となりました。グリーンブレイブはSC導入まで5位と健闘していましたが、リスタート後の38周目に前輪だけ交換してピットを出たら後半は全然速く走れずまさかの20位でした。
・車とドライバーが噛み合ったリアルレーシング
GT500はレースを見ていてなんとなく想像が付きましたが、事後の情報を見るとやはりタイヤが条件と合っていたかどうかがかなり影響したと思われます。アステモ リアル レーシングは前半に野村選手が使ったものがやや摩耗が進みやすくて苦労し、後半に塚越選手が使用したタイヤの方はそれなりに耐久性があったようです。それでもSUGOは左前輪に負荷がかかるので最終コーナーで気を付けるように言われたようですが、2位の顔ぶれがとっかえひっかえだったことも手伝って50周以上を最後まで上手くタイヤを使うことができたと思われます。
ARTA8号車は逆に後半のタイヤがさっぱり合っていなかったようで9位でレースを終えました。タイヤ交換直後が速かったことを考えると作動温度領域自体は低いタイヤだったと思いますが、摩耗も進みやすくて長距離をこなせなかったと思われます。基本的に今のGT500のタイヤって作動温度領域の違いでいわゆるソフトかハードかの使い分けになっていて、それぞれが200kmを走れる前提で作ってあるので『ソフト=摩耗が早い』という単純な話ではないことが多いんですが、今回はおそらくタイヤを発注した数週間前に想定していた条件よりも遥かに路面温度が低かったため、そもそもしっくり来るタイヤが無くて消去法的に選択してやり繰りしたところもあったんじゃないかと思いますね。
アステモリアルは前半のごちゃつくレースを野村選手がきちんとこなして3位だったことが大きく、差を広げられてはしまったのでそのままレースが進んだらどうだったか分かりませんが、それがSC後の逆転を引き寄せたと思います。リスタート時にSCと同時にピットに入ってしまうのがやはり有利だったと思いますね。
・中企にツキなし
対照的に中企ことナカジマレーシングには運がありませんでした。実質スタートの際には走行ライン以外が濡れていることが目覚めの悪いダンロップにとって有利に働きましたが、SC後は逆回転。大事故の前にはウエッズスポーツ・国本選手に追いつかれていた大草選手ですが、3位の野村選手とは16秒ほどの大差でした。モデューロも後半は固いタイヤを選んだようで、たぶん20周ほど走ってタイヤが多少厳しいという感触があったと推定されます。ただ、タイヤの発動が遅くてもここまでに稼いだ差で優勝は無理でも表彰台はかなりの確率で狙えたように思うので、SC導入でチャラになったのは不運でした。
気になったのはリスタートで、戦略だけで言えばSCと一緒にピットに入った方が良かったと思います。目覚めの悪いタイヤでSC走行で完全に冷えたものでリスタートし、ペースが上がらんタイヤで1周してピットに入って、さらに固い側のタイヤでひえっひえの状態からまた始めるとアウト ラップが2周連続で訪れたようになってしまいます。意地汚い発想なら、SCが退出してもずーっとゆっくりピット入り口まで走って隊列の速度を抑えたまま先頭でピットに突っ込めば、入らなかった人との対比でロスタイムデルタが小さくなるはずですから、もしトト ウォルフのチームならそうしたでしょう(笑)
入らなかった要因がピットの混乱を嫌ったのか、様子を見たかったのか、近所のピットの人と話し合った結果1周待つことになったのか、理由が分からないので理想はあっても良し悪しは語れないんですが、順位を落としてしまう決定打になった可能性は高いと思いました。後半のタイヤも作動温度に入ったら速くて安定していたので、きちんと上位で勝負させてあげたかったしそれを見たかったですね。
・驚異の2位
GT300はLMコルサのSUGO2連勝が素晴らしかったです、LC500はBoP適用後重量がM4 GT3 EVOと並んで最軽量の1310kg、しかも車体がデカくて高速コーナーで速いので鈴鹿とSUGOには合っている車なんですが、そこにタイヤまで完璧でした。GT300のダンロップはいわゆるウインドウが狭い傾向があるように見えて、思ったより寒いとむちゃくちゃ遅い、最初の10周が速いと思ったら燃え尽きる、やたらとパンクしまくる、というようなことが散見されます。台数が少ないから目立つ、というのもありますけど、裏を返すとそれぐらい競争力を高めるには攻めないといけない表れと言え、それを週末を通じて完璧にやったチームとドライバー、タイヤ技術者さんの勝利だったと思います。
そして全く同じことが言えるのが2位に入ったリアライズ近藤レーシング、そもそもは予選19位・抜けないコース・給油速度制限、という状況で何かやらんと勝負にならんから無交換を選んだんですが、オリベイラ弟偉織選手が丁寧に、それでいて順位を上げる走りを見せて14位まで上げたところであまり良い話ではないですがSC導入でチャラになったので、結果として自分たちでも望外だった1位での復帰に繋がりました。繋がってしまった、と言った方が正しい気すらします。
オリベイラが接触してしまったのはGT500の動きの読みを間違えたせいでけっこう致命的、相手の車が壊れでもしたらペナルティーで台無しでしたが、それがなくて1位を守れたかどうかは難しい、どころかひょっとしたら争ってペースが落ちた後に抜かれて結果として3位以下まで落ちた可能性も現実的に考えられます。飛び出して砂場に埋まらず2位になれたのはとても素晴らしい結果だとプラスに捉えられる内容なので、こういう時は反省点だけ30分ぐらい復習したら、あとはもう内容より結果で喜んだら良いかもしれませんね。
・カーガイ、無念の13位
一方で下手したら今でも後悔していそうなのがカーガイです。チームがレース後に出した情報では『燃料系トラブル』と書いてあるんですが、オーナーの木村 武史はレース後フェイスブックにガス欠だと書き、走ってた梅垣選手自身がXに「最後の残り半周でガス欠してしまいました。」と書いてるのでまあ間違いなく燃料切れです。カーガイはレース終了時点では9位の暫定順位でしたが、上にも書きましたがレース後に『コース上での停止』の違反行為で40秒加算のペナルティーが課せられて正式順位は13位になりました。
ただ正直、私はこれを読んで『チェッカー受けてない人にどうタイム加算したの?』と意味が理解できませんでした。そこでXで呟いたところ、私の投稿に反応してくださった方がいて解決できました。この方、リンクをたどったらどうやらSUGOで場内MCを約30年担当されている堀籠 琢巳という方のようです、堀籠さん本当に助かりました、ありがとうございます。
| と、止まりそう・・・ |
GT300は80周のレース、カーガイを含めた暫定状態で考えて9位と10位の間にGT500車両が入ってチェッカーを受けたので10位以下は1周遅れの79周でレースが終わっています。カーガイは79周目を終えて80周目に入ってあと1kmぐらいのところで止まりました。もしどうにかこうにかゴールにたどり着けば、リード ラップの最後尾=9位までしか落ちないはずでした。ところがコース上で止まってペナルティーです。
どう加算したのかと言うと、最後にコントロール ラインを通過した79周目時点での通過時間、具体的には『1時間59分1秒784』に対して40秒を加算し、79周目でレースが終わった車両と同条件の扱いにした上で『79周目終了時点での時間(=差)』で順位を決めたということでした。たしかに、よく見てみると事故で大破したapr GR86も40秒加算ペナルティーは『リタイアにつき未消化』ではなく23周目の時点での時間に対して40秒が足されてペナルティーは実行されています。昨年のSUGOでもリタイア車両へのペナルティーが複数出ましたけどリタイア車両は未消化なので、ひょっとしたら今季から取り扱いが変わったのかもしれません。競技規則が一般非公開だから細かい規則が変わっていたとしても分からないんですよね~。
・ここでふと気づく
あんな急に止まるんだからたぶん警告とかも付いてなくていきなりだったんだろうとは思いますが、結果論としてカーガイは80周目に入った瞬間、燃料を一番薄くして5速ぐらいに固定してゆっくり走ってとにかくゴールにたどり着けば9位でした。そしてもう1つ冷静に考えると、コース上に車が止まったからペナルティーを受けたわけで、コース外に停めていれば単なる不具合でした。ということは坂を登れ無さそうでやばいなと思った時点でコース外に出てしまってチェッカーをさっさと諦めていたら、これでも79周を走った車両で最上位の9位だったわけです。9位と13位だと4点違いますので、小さい差ではありません。ひょっとしたら私と同様に、止まっても最悪リードラップ最後尾だから同じだと思ってたかもしれませんね。参加チームは次からは走り切れなそうならさっさと退出することが必要だと覚えておかないといけませんね^^;
・蛇行は危ない・・・
最後に1つ、タイヤ交換を終えたスタンレープレリュード・牧野選手が冷えたタイヤで蛇行してTRSインパル・平峰選手を抑えている場面があり、さすがに危ないのでやめてほしいと思いました。36周目のシケインからレインボーコーナーにかけて、タイヤに熱を入れるために車を振ってると言えばそうなんだろうけど、平峰選手の行く先々を全部蛇行して潰しているようにしか見えませんでした。
公式サイトのレース結果には警告が出された記録も無いのでレース ディレクターとすると規則に反する行為は無かったということかもしれませんが、2回も進路を変更して相手を詰まらせたらさすがにあかんと思います。前戦をほぼエンジンが壊れたせいで落とし、チャンピオン争いには順位を絶対下げたくない気持ちが強かったのかもしれませんが、危険な動きでした。記載漏れで警告が出てたのなら分かるんですが、警告すら出ていなかったのからレースディレクターの判断もちょっと首をかしげます。
たしか以前に平峰選手が鈴鹿のバックストレートで熱入れ蛇行しつつ後続車両(ARTAだっけ?)を抑える形になったのはやっぱり問題視されて警告も出てたと思うんですけど、全く同じか正直こっちの方がコーナーが連続してるのでタチが悪く思いました。あれがまかり通ってしまうと冷えたタイヤで蛇行したもん勝ちになってしまい、それなら後ろの人もNASCAR的に『遅いのに邪魔するやつは吹き飛ばされても当然』の文化にならないといけないように思うので、そういうレースにしたいのならそれで良いんですが、そうでないならもう少し厳しく見た方が良いと思いました。蛇行された時の平峰選手の無線を聞いてみたいですが・・・(笑)
最後にドライバー選手権ですが、
GT500は2位の顔ぶれが毎回変わりつつも坪井ヤマケン組が相変わらず2桁点差を維持。なお次戦オートポリスを終えた時点で51点以上持っている陣営は、最後のもてぎ2連戦で1戦目は燃料流量リストリクター引き下げ、2戦目でようやく全開放という条件になるので車両の絶対速度が変わってしまってちょっとセッティングが厄介になるおそれがあります。auトムスは既にそれが確定。
なおカーガイの梅垣選手がオサリバン選手と同じ点数になっていないのは開幕戦に出ていないから。なぜ出ていないかと言うと、昨年12月に18歳になったばかりの梅垣選手は運転免許の取得が開幕までに間に合わなくて出場不可能だったためです。というところまで書いてハッと思い出しましたが、前戦鈴鹿で3位に入った時に梅垣選手はGT300クラスの最年少表彰台記録を更新して18歳232日という新記録を作っていました、見落としてたわ~。
※記録は全てSUPER GTの記録収集サイト・GT STATSによります。素晴らしい統計ありがとうございます。
次戦は第7戦オートポリス、本来ならサクセスウエイト半分で走るはずだった3時間レースがシーズン最大ハンデでのレースになってしまいました。最後がもてぎ2連戦になったので最後の2戦でがっぽり稼いで大逆転!という可能性もじゅうぶんに起こり得るシーズンですが、その戦いの場に残るための生き残りレースとなるでしょうか。
コメント