NASCAR プレイオフ 第2戦 ゲートウェイ・事前情報

NASCAR Cup Series
Enjoy Illinois 300
World Wide Technology Raceway(Madison,Illinois)
1.25miles×240Laps(45/95/100)=300miles
Goodyear Racing Eagle Tire Code
Left:D-5244 , Right:D-5266
Total Sets:12(9 new race/1 qualifying transfer to race/2 practice)

 NASCARカップシリーズ・プレイオフ第2戦はワールドワイドテクノロジーレースウェイ、見ての通り命名権が企業に売却されている名称で旧名称としてはゲートウェイ モータースポーツ パークという名称が用いられていました。そのため当ブログではゲートウェイという通称を使用することが多いですが、スポンサー様に申し訳ないので以降はとりあえずWWTRと表記します。会社名が短ければそのまま会社名が通称で定着しやすいんですけど、よりによって長いんですよね(笑)
 WWTRは1周1.25マイルで左右が非対称の卵型オーバル、そのため平面図で見ると先週のダーリントンとよく似ていますが実際は大きく異なり、旋回半径の小さいターン1・2は最大バンク角11度、半径の大きいターン3・4は9度とかなり平坦な形状です。オーバルとしては珍しくターンの内側には赤白の縁石が配置されておりちょっとロード コースのヘアピンのような見た目になっていますが、技術的にも長い直線からの減速とアウトインアウトの走りが基本になるのでややロードコース的です。スタート前にバックストレッチ側で火の玉爆破演出が行われるのがなぜか名物になってますが、この後ろは普通に州道203号線が通っているんですが、安全には配慮されてるんでしょうね、知らんけど。ちなみに大知さんのライブがアリーナ席前列になって、かなり近い場所で炎の演出を見たことがありますけどあれマジで熱いですね。アイムオンファイヤー。



 歴史を振り返ると、このミシシッピ川沿いの湿地帯にレーストラックが建設されたのは1967年、最初に小さなドラッグ レース場が建設され、1985年にはこの直線も取り込みながらロード コースが建設されました。しかし1994年に新しいオーナーが買収するとこれらを全部取り壊して1997年に今のオーバルが建設されています。2010年には一度施設が閉鎖されて存続の危機にありましたが、そこから再興してカップシリーズは2022年から開催。ワールドワイドテクノロジーが命名権契約を結んだのは2019年のことです。ちなみにカップシリーズの今年の開催地でレーストラック名が命名権契約されてるのはアトランタのエコーパーク スピードウェイと、サンディエゴ特設市街地のクアルコム サーキット、そしてここですね。

 旧来のトラック名称として用いられていたゲートウェイというのはミズーリ州セントルイスにある高さ約192メートルの巨大なアーチ型記念碑のことで、レーストラックから直線距離で5kmぐらいしか離れていません。ゲートウェイアーチはミズーリ州の大都市・セントルイスを代表する建造物です。ミシシッピ川がミズーリ州とイリノイ州の州境になっているため、WWTRはイリノイ州側にあるにもかかわらず対岸でお隣の州の有名な場所にちなんだ名称になってるわけですね。
 広大なアメリカで仮に『マディソン レースウェイ』とか言われても誰もわからないけど『ゲートウェイ』とか『セントルイス』と言われたら「ああ、あの辺か」とすぐ分かってもらえますから州境よりそっちの方が大事なわけです。日本で言えばそうですね、兵庫県尼崎市にあるけど淀川を挟んで対岸にある大阪府大阪市の梅田を名乗るようなもんでしょうか(え)
 余談ですがゲートウェイアーチ、ただの巨大記念碑ではなく中に入ることができて頂上部分が展望台になっています。内部にはトラムと呼ばれる乗り物、観覧車のカゴみたいなやつが下から上まで走って連れて行ってくれる仕組みです。周辺はゲートウェイアーチ国立公園となっており、展望とともに公園の散策やミシシッピ川の船旅なども合わせて楽しむのが地元観光情報のおススメっぽいですね。なお円安とアメリカでのインフレにより円建て換算での料金は全部楽しんだらお察しの通りです・・・

 大会スポンサーのエンジョイ イリノイはイリノイ州の観光局みたいなやつ。そして今回グランド マーシャルとして登場する有名人はトニー ラ ルーサ、セントルイス カーディナルスなどのチーム マネージャーとして通算2884勝を挙げ野球殿堂入りを果たしている名称だった人です。通算勝利数は歴代2位、セントルイスの印象が極めて強いですがシカゴ ホワイトソックスでも2度にわたってTMを務めているのでイリノイとも縁があります。選手時代はMLB通算35安打と全く活躍できませんでしたが、現役最後の所属はシカゴ カブスでこれまたイリノイですね。


 観光案内はこんなもんにして、WWTRは平たんなトラックですから並走してぶち抜くような形状ではなく、基本的には抜きにくいトラックです。トラック ポジションが大事なのでコーションが出ても2輪交換やステイアウトの作戦がかなり多く用いられ、レース距離が300マイルと比較的短いのである程度は給油回数から逆算した戦略にもなります。コーションの回数が増えると作戦がばらけて脳ミソがフル回転することになるので、コマーシャル中とかもぼんやりしないで状況整理しておくのがおススメです。
 使用されるタイヤは昨年のレースと同じで右側のタイヤはアイオワと共通、練習走行も50分間あるのでデータは豊富。あとはブレーキの温度管理が重要で、長い直線で冷えてフルブレーキで加熱、を繰り返すために取り扱いを誤ると突然ローターが粉々に砕け散る事故に繋がります。温度が上がれば右側のタイヤへの負担も増えることになりますし、ブレーキの使い方は重要な要素です。

・ちょっとしたデータ

 2022年から始まったカップシリーズ・WWTR、優勝者はロガーノ、カイル ブッシュ、シンドリック、そして昨年がハムリンでした。最初の3年間は6月の開催で昨年が初の9月でプレイオフ開催でした。ブレーキの厳しいトラックで気温が高いとさらに難易度が上がり、現地でもどうやら8月は日本で言う猛暑日が繰り返されていたようなんですが、幸いにしてこの週末は最高気温が30℃に届かない範囲で済みそうです。
 この4年間で最も成功を収めているのは間違いなくロガーノで、4戦全て5位以内に入っており平均順位がぶっちぎりの3.5。これにベル、ラーソン、ブレイニー、ハムリンが続きます。チーム ペンスキーは3人ともゲートウェイで好成績を残しており相性の良さが伺えます。

 また、NASCAR公式サイトは今シーズンの『750馬力仕様レース』での獲得ポイントに注目、750馬力と言ってもブリストルからニューハンプシャーまで特性はまちまちですが、最も獲得ポイントが多いのはブレイニーで優勝も2回。これにハムリン、ギブス、ベル、ロガーノ、ブリスコーが続いています。
 さらに範囲を絞ってフェニックス、ノースウィルクスボロー、アイオワ、リッチモンド、ニューハンプシャーの5戦だけで平均順位を見てもハムリン、ブレイニー、ギブス、ベル、ウォーレス、ロガーノの順となっており、数字からはブレイニーとロガーノのペンスキー勢と、ハムリン、ギブス、ベル、ブリスコーのJGR勢が拮抗している様子が伺えます。
 先週は活躍した23XIレーシングですがWWTRでは両者ともこれまであまり良い成績が残っていません。レディックは予選では4年連続で9位以内なんですが、決勝は一昨年の4位が最高位であとは16位以下でした。ただ2人ともニューハンプシャーではそこそこ速かったので、そこに何かしらのヒントがあればというところでしょうか。
 
 抜けないトラックなので焦って接触したり、ブレーキが爆発したりしてこれまでのレースは意外とコーションが多く、2024年以外はコーション回数が10回以上。最初の2年はいずれもオーバータイムになっており、なんとなく荒れる印象もあります。ただ予選順位はそれなりに重要で、最も低い順位から優勝したのは2022年のロガーノで7位。カイルとハムリンはポール トゥー ウインでシンドリックも予選2位でした。コーションが多いから番狂わせが起きた、というわけでもないんですね。

・レース前の話題

 先週の段階で既に噂として報じられていましたが、レガシーモータークラブはジョッシュ ベリーと来シーズンの契約を行ったと正式に発表しました。一方で契約を失うことになったネメチェック、契約延長だったはずが急転契約を失った件に関して、ベリーの加入が発表されたことで情報解禁となったのか取材に応えました。レギュラーシーズン最終戦のデイトナが終わった後に呼び出されて契約を延長しないと告げられたそうで、

「本当に驚きましたし、衝撃的なニュースでした。」「ジミーが『ザ デイル ジュニア ダウンロード』で言っていたように、私の契約はさらに1年間更新されていたんです。」「本当に驚きました。まだ契約期間が1年残っていたんですから。」

 と、急に呼び出されてクビ宣告された驚きを語りました。

「実際問題何がどうなってるのか知りたかったですね。」「彼らは変化を望んでいて、ジョッシュが加入できるタイミングになったことで必要性を感じたと聞きました。そこから話が進んでいったのです。」

 そして共同オーナーのジョンソンもデイルジュニアの番組に出演し、この件について説明、

「ジョンハンターとの契約は自動更新されることになっていて、それは確か夏のことだったと思います。」「しかし、その時点から最終的な決断を下すまでの間に変化を起こすべきだという内外からの大きなプレッシャーがありました。そして我々が分析を重ねてきた結果、ジョッシュの数字は非常に多くの項目で際立っていたのです。」

 やはりベリーがウッドブラザーズに残留せず自由契約選手になったことが玉突きを生んだようですね。どうやらSNS上ではジョンハンターとジョンソンが口論していた、なんて真偽不明の情報もありますが、口論程度では普通は契約は解除しない、できないしそもそも競争してたら口論の1つや2つや10個や5000個ぐらいは人によってはあってもおかしくないでしょう。私はその程度の話だと信用しないですね。

 そして契約の話をもう1つ、ヘンドリックモータースポーツはコリー デイと長期での契約延長に合意したと発表しました。ダート レース界で早くから好成績を収め、2024年からストック カーへと本格転向、今年からオライリーシリーズにフル参戦して既に2勝しプレイオフにも出場しています。ヘンドリックが期待する若手の1人ですが、オーバル経験がまだ浅いせいもあってか開幕から何度か接触や強引な走りで周囲のひんしゅくも買っていました。ラーソンがかなり気にかけてくれてるようで、この先の成長に期待です。

 そしてひんしゅくと言えばホースバー、先週はケゼロウスキーにぶつけてスピンさせてしまいましたが大ベテランは不満が募ったようで、レース後のぶら下がり取材で「あいつにもその時が来る、それも手痛いやつがな、気を付けるんだなカーソン。」と報復を示唆するような発言。一方でホースバーはというと、一連のあちこちで反感を買っている動きについてレース後のUSAネットワークで

「みんながやってるみたいに、俺は全部テレビ映えとエンタメのためにやってるっていうかね。テレビ的に面白ければ何でもいいじゃないですか、クリック稼ぎみたいなもんでしょ。」

と自虐めいてネタにしていました。本気でそう思ってるんじゃなくて、あまりに何をやっても注目されて非難されるので開き直ったことを悪ふざけで言ったんでしょう。たぶんこの時はまだケゼロウスキーの発言については知らず、その後の別の取材でケゼロウスキーが報復を示唆してたいへんお怒りであるということを聞かされると「引き締めとくわ。」と答えたそうです。

・O'Reilly Auto Parts Series Nu Way 225

 オライリーシリーズのプレイオフ第2戦、事件はトラック上ではなくピットで起きた。


 シリーズで3番目に幅が狭いピット ロード、ステージ1終了後のコーションで一斉にみんなが入ったらえげつない玉突き事故が発生して道を完全に塞いでしまい、8分ほどレッドフラッグになる事態に。ブレント クルーズのリア チェンジャーは突っ込んで来た車両と自分の車に挟まれる寸前であわや人身事故でした。幸いけが人はいなかったようです。
 レースはカーソン クワポーとジェシー ラブが中心の優勝争いでしたが、残り16周で少し接触もありながらラブがリードを奪って逃げ切り、昨年のチャンピオンがこれでようやく今季初勝利を挙げました。先週から2連勝とはなりませんでしたが2位にシェルドン クリード、3位からサム メイヤー、テイラー グレイ、クワポー、パーカー レツラフ、クルーズ、サミー スミス、カイル シーグ、ジェブ バートンのトップ10。地元イリノイ出身のジャスティン オールガイアーは13位で、ドライバー選手権でクリードに抜かれて1位から陥落しています。

 長期契約を結んだデイですがこのレースは散々な目に、134周目にウイリアム サワーリッチからぶつけられて吹き飛ばされクラッシュ、33位となりました。その前の周にデイは内側から抜こうとしたものの膨らんでしまいサワーリッチに寄りかかって接触しました。これを後ろで見ていたオールガイアーが空いた内側から抜こうとしますが、中途半端な場所に失速したデイがいたのでゴツゴツ押していき、押されたデイがなおもサワーリッチとの接触を繰り返していました。

 おそらくサワーリッチはこれにキレて報復行為に向かったと思われ、バックストレッチで急に車を左に向けているのでわざとやったのは明らかでした。最初の接触が強引だったのは分かるとしてもその後はオールガイアーが主因なのでデイからすればとばっちり、サワーリッチは運転していて状況を把握しておらず『犯人を誤認』したおそれもあります。レース後のサワーリッチはこの件に関して無言だったそうですが、下手するとペナルティー食らう可能性もありますね。

・カップシリーズ予選

 ブッシュライトポール賞はロガーノが獲りました、今季2回目・通算35回目。2位はラーソンでしたがなんと0.276秒差という目を疑う大差です。3位からブレイニー、ベル、ブリスコー、ホースバー、ウォーレス、エリオット、ギブス、ハムリンのトップ10。ボウマンがプレイオフ選手以外で最上位の11位、13位シンドリック、14位プリース、15位スアレス、18位にやっとレディック。ブッシャーは21位、バイロンは24位でした。ケゼロウスキーは23位ですが果たして・・・

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