NASCAR Cup Series
デイトナでなおかつ新しい仕様の車両となればもはや過去のデータはほぼ無意味なので、現時点での順位をおさらいしておきます。ハムリンは前戦を終えた時点でレギュラーシーズン1位が確定しました、プレイオフは2100点から開始することができます。2位もほぼブレイニーが手にする可能性が高く、レディックは一時の選手権独走が一転して4位まで転げ落ちはしましたが、5位のベルとは大差が付いているので少なくとも4位以内が確定しています。
ヒル、クワポー、アンソニー アルフレード、B.ジョーンズ、オールガイアー、ブレナン プール、ハリソン バートン、ジェブ バートン、シェルドン クリードのトップ10でした。そしてプレイオフ争いですが、12位を僅差で争っていたJGR3人衆のうちサワーリッチとクルーズがいずれもクラッシュに巻き込まれて脱落。同じく当落線を争っていたカルースは先輩に回されたせいで33位に終わりましたが、レース中に得たステージポイントでレース前の選手権14位から2つ順位が上がってプレイオフに滑り込みました。チャンピオンを争う権利を持つ12人は
NASCARはメーカー単位の対決では無いですが、JGRの若造が落ちたのでほぼシボレーの選手になりましたね。フォードはオライリーシリーズでの使用チームそのものが昨年を終えた段階でほとんどシボレーに移行してほぼ走っていないので1人もいません。大手チームに唯一混じるレツラフがどこまでやれるでしょうか。
・カップシリーズ予選
Coke Zero Sugar 400
Daytona International Speedway(Daytona Beach,Florida)
2.5miles×160Laps(35/60/65)=400miles
Goodyear Racing Eagle Tire Code
Left:D-5142 , Right:D-5218
Total Sets:7(6 new race/1 qualifying transfer to race)
NASCARカップシリーズ、いよいよレギュラーシーズンの最終戦。開幕戦以来約6か月ぶりにNASCARが聖地デイトナ インターナショナル スピードウェイに戻ってきてコーク ゼロ シュガー 400です。このレースを終えた段階でドライバー選手権の上位16人がプレイオフ"チェイス"に進出、同様にオーナー選手権もプレイオフ進出車両が決まります。あ、当ブログでは『チェイス』と書くとエリオットもブリスコーもいてややこしいので『プレイオフ』と書いたり、昨年までの制度との対比で書く場合は『チェイス方式のプレイオフ』という言い回しをします。
2014年から昨年まで採用していたプレイオフ制度では優勝=プレイオフ進出だったのでレギュラーシーズン終盤に来る夏のデイトナは一発逆転が懸かった恐怖の一戦でしたが、チェイス方式は単純な点数の積み重ねですのでそうした番狂わせの要素は無くなりました。基本的には16位以内に入れるのは誰なのか、誰が権利を逃してしまうのかが注目点ですが、レギュラーシーズンの選手権順位に応じてプレイオフ開始時の持ち点が変わるので、既に進出が決まっている人が手抜きできるわけではありません。基本的に選手権順位1つでプレイオフ開始時点の持ち点が5点ずつ変動しますから、僅差で競ってる人は特に重要です。
そんな中で今回のデイトナでは車両の仕様がタラデガまでのものとは異なる仕様が採用されます。従来は速度の抑制とドラフティングをあえてしっかり利かせるために高さ7インチのスポイラーが使用されていましたが、元々図体がわりとゴツイGen7車両でスポイラーも大きいと空気抵抗が大きくなりすぎて、ドラフティング効果は確かに大きいんだけどドラフトから出た途端に空気の壁に負けて失速するので全然抜けない、という課題がありました。マジでF1のモナコぐらい抜けません。
結果としてレースの最終盤まではとにかく燃料を節約して給油時間を短縮し、最後の給油を終えたところで集団の前にひょっと飛び出す作戦が必須になり、レース全体が戦略性に支配されたものになっていました。そこで第10戦のタラデガではステージ周回数を当初発表から変更して対応しましたが、これを続けるのではなく車両の仕様をシーズン中にもかかわらず変更する大きな変更に至りました。
スポイラーの小型化で抵抗が減るので安全のためエンジン出力は従来の約510馬力が約465馬力へとさらに下がりましたが、最高速に大きな差はなくシミュレーション上は抵抗が少ないことでの追い抜きの増加が期待できるとのこと。ただ現場の目は意外と冷ややかなようで、プリースのクルーチーフ・デレック フィンリーは
「正直なところ、皆さんが考えているほど大きな変化にはならないと思います。」
「過去にも今よりずっとダウンフォースが少なく、スピードや馬力は同程度という条件でここでレースをしたことがありますからね。それほど劇的な変化にはならないでしょう。あくまで私の見解ですから間違っているかもしれませんが。」
「空力バランスやシミュレーションのデータを見ると、正直ゾッとするような数字が出てきます。しかしこれまでの経験に照らし合わせてみると、似たような、あるいはもっとダウンフォースが少ない状態で何度もレースをしてきましたし、結局のところいつものデイトナでのレースと変わらないものになると思います。」
クルーチーフを悩ませるのは、ドラフティング トラックには練習走行が設定されないため予選がこの新しい仕様の初実走となり、ドラフティングの中での車の動きが分かるのは決勝が始まったその瞬間になってしまうということです。ダウンフォースが従来より減ってるので、いくら疑似直線レースといっても気流乱れまくりの中でターンを曲がったら突然姿勢を乱すことは起こり得ます。ドライバーはそこに対して瞬時に対応していかないといけません。てことはGen6時代から色んな仕様でここを走ってるベテランが有利だったり?
ステージ1は35周しか無いので給油不要、ステージ2と3は1回の給油が必要になるはずです。仕様が変わってもやはり燃料を重視してスタートからノロノロ行くことになるのか、全力で飛ばしにいくのかはある程度前を走る人の選択に委ねられることになりますが、燃費レースを続けるといざレースの終盤が訪れた時に「うぉお、車のバランスがっっ・・・!!!」となりそうなので、できればステージ1はとりあえず全力で走りたい気はします。
ただ観戦する際に少し頭に入れておかないといけないのは、空気抵抗も出力も下がったので航続距離は伸びているとみられ、ひょっとしたら節約しまくったらステージ2も給油せずに最後まで走り切れる可能性がゼロではなさそう、という見立てをしているクルーチーフもいること。追い抜きを増やそうとした結果さらに燃費レースを促進してしまうおそれもあるわけで、、、シーズン中の仕様変更はなかなかのギャンブルですね。
・プレイオフ争い
デイトナでなおかつ新しい仕様の車両となればもはや過去のデータはほぼ無意味なので、現時点での順位をおさらいしておきます。ハムリンは前戦を終えた時点でレギュラーシーズン1位が確定しました、プレイオフは2100点から開始することができます。2位もほぼブレイニーが手にする可能性が高く、レディックは一時の選手権独走が一転して4位まで転げ落ちはしましたが、5位のベルとは大差が付いているので少なくとも4位以内が確定しています。
5位以下はいずれのドライバーも近くの順位の人と僅差、リタイアによる丸坊主は除くとしても普通にレースしてたらステージ ポイントとレース結果で上下20点程度は動きやすい範囲ですから、燃費走行するのでステージポイントなんていりません!と割り切ることもできないので悩ましいところです。でも無理して事故ったら元も子もありません。
13位のダニエル スアレスまではプレイオフ進出が確定しており、14位のウォーレスもあと2点だけ取れれば良いだけなのでほぼ確定。17位のプリースは16位のギスバーゲンまで31点差なので数字で言えばそこそこ遠いんですが、ステージポイントを稼いだらファイナル ステージが始まるころには僅差になることも考えられるのでなんとか手が届く範囲です。ギスバーゲンはリタイア厳禁、普通にやったらええんよ、をどこまで通せるか。
15位のシンドリックはプリースまで44点差、プリースが1レースで44点以上稼いだのは通算248戦の中で今年のサンディエゴでのレースが唯一なので、統計上はシンドリックがリタイアしてもプリースが逆転する可能性は極めて低くなっています。とはいえ何が起きるか分かりませんし、逆に上を見てもひっくり返せる相手もまた少ないので彼はとにかくちゃんと完走することが最重要任務と言えそうです。
18位のケゼロウスキーは計算上は可能性がありますが優勝が最低条件で、その上でステージでもポイントを稼いでギスバーゲンとプリースが悪い結果にならない限りは16位以内に入れないのでかなりの高い壁になっています。ケゼロウスキーはサイド ドラフトの使い方に長けておりタラデガでは通算6勝もしていますが、デイトナでは2016年夏のデイトナで1勝しただけと対照的です。
ちなみにデイトナではデイトナ500も含めた通算158回の開催で、そのうち24回のレースでカップシリーズ初優勝者が誕生しています。内訳はデイトナ500とコークゼロシュガー400が12人ずつで、夏のデイトナで言えば直近では2024年にハリソン バートンが初優勝しています。デイトナ500を含め過去13回のデイトナではそのうち5人がカップシリーズ初優勝者となっています。また過去8回の夏のデイトナではそのうち5回がそのシーズンの初優勝を記録、今年はそうですねえ、ゼインスミスが優勝!プレイオフ争いは何も起きんかった!みたいなのどうでしょう(笑)
・レース前の話題
まず小出しにされてきた来季の日程がすべて出そろい、本来なら建国250周年記念で1回だけだったはずのコロナド海軍基地特設サーキットでのレースが来シーズンも8月1日に開催されることが正式に発表されました。シカゴ市街地レースの開催はなく、開幕前のザ クラッシュはデイトナ、ドーバーが選手権レースに戻ってノースウィルクスボローがオールスター戦へ。最終戦はホームステッドで開催されます。
そして全国シリーズの中で第3層の位置づけとなるクラフツマン トラック シリーズですが、冠スポンサーとして来年からフェデックス フレイトと契約することで合意間近であると複数の媒体が伝えています。物流大手企業・フェデックスの貨物輸送部門を担うフェデックスフレイトは、機動的な経営を行うために分社化されて新規株式公開されたばかりです。
さあそして来年の契約について動きがいくつかありました。まずRCRは来シーズンのカップシリーズにおいてオースティン ヒルが33号車でフル参戦すると発表しました。以前にハットリ レーシング エンタープライジーズからトラックシリーズに参戦していた時期もあったので日本のNASCARファンからちょっとだけ支持されてそうなヒル。カイル ブッシュの急逝という悲しい出来事がもたらした結果ではありますが、トラックシリーズ4年、オライリーシリーズ5年を経て32歳にしてようやくカップシリーズのフル参戦までたどり着きました。
RCRはオライリーシリーズのジェシー ラブが既に来年からウッド ブラザーズ レーシングに移籍してカップシリーズにフル参戦することが決まっており、ヒルも内部昇格したのでオライリーの2つの車がいずれも空席に。ということでその2つのドライバーも発表されて、21号車はチャンドラー スミスが、2号車は18歳の若手・カーソン ブラウンが起用されることになっています。
スミスはトラックシリーズからの移籍で2024年にJGRで走って以来3年ぶりの言わばオライリーシリーズ再挑戦、ブラウンはどちらかというとこれまでCARS ツアーやASA スターズ ナショナル ツアーというNASCAR以外のレイト モデル選手権で多く走って来たので、NASCARで言えばわりと段階をすっ飛ばしていきなりのオライリーフル参戦となります。
オライリーシリーズの話題を続けます、まずJR モータースポーツはカーソン クワポーが来季もチームに残留し、車両が1号車ではなく8号車に変更になることも発表されました。彼は元々CARSツアーでJRMの8号車を使ってシリーズを2連覇していることから、チームにも彼にもこの番号には思い入れがあると思われます。今年はジリッシュと1号車を共有しており何レースかは別の車で走らされましたが、たぶん来年は全戦JRMから出れますね。
一方で今年の8号車のドライバーだったサミー スミスは今季限りでチームを離れることが発表されています。22歳ながら今年でフル参戦4年目だったスミス、2023年から毎年1勝していましたが今年はまだ優勝がありません。JRMは7号車ジャスティン オールガイアーが引退の意向を撤回して契約を延長する方向とされており1号車は現時点で不明。88号車はラジャ カルースが契約を延長するかどうか、という状況です。
JGRはブレンダン ジョーンズと契約を延長すると発表しました。2016年にRCRからフル参戦し、RCRで2年、JGRで5年、JRMで2年、そしてJGRに戻って来て2年、既に350戦以上の経験があるジョーンズ。今季は第20戦シカゴランドで優勝して通算で8勝を挙げています。チームは既にウイリアム サワーリッチ、テイラー グレイとの契約延長を発表済みで、おそらくブレント クルーズも契約は延長するでしょう。この3人は全員22歳以下なので、ジョーンズはチーム唯一の中堅として若手と対峙することになります。
最後に、ジョーダン アンダーソン レーシング ボマリート オートスポートはダニエル ダイと複数年契約を結んで32号車でフル参戦すると発表しました。本来ならコウリッグ レーシングからトラックシリーズに参戦してラムの有力若手ドライバーになっているはずが、トラック外での不適切発言でチームを離れたダイ。結果としてその後にいくつかの機会を得た上で最終的にオライリーフル参戦が転がり込んできました。今週のデイトナにも早速32号車で出場しています。
・O'Reilly Auto Parts Series Winn-Dixie 250 Powered by Coca Cola
オライリーシリーズのレギュラーシーズン最終戦、ステージ1は残り3周で多重事故によりコーションが発生、新規則によるステージ早期終了の初適用事案となりました。さらにステージ2も残り5周でコーションが出て連続早上がり、さすがはデイトナ。そして迎えたファイナル ステージ残り3周、クワポー、カルース、オールガイアーのトップ3で走っていたらカルースとオールガイアーが絡んでしまってコーション発生、オーバータイムへ。
オーバータイムではクワポーとオールガイアーがすぐに縦に並んで組みますが、なぜかあんまり上手く行かずに2列目リスタートのライアン シーグが先頭へ。シーグの後ろにはデイトナ大好き男・オースティンヒルがいるので依然として有力選手に取り囲まれたシーグでしたが、彼らが互いににらみあいになって最後の最後を狙いすぎたせいか一気に押し上げる勢力が現れず、シーグは後ろに来た誰かをブロックすれば何とかなるありがたい展開になりました。そのまま逃げ切ったシーグ、オライリーシリーズ通算424戦目、39歳にして悲願の初勝利を挙げました。
ヒル、クワポー、アンソニー アルフレード、B.ジョーンズ、オールガイアー、ブレナン プール、ハリソン バートン、ジェブ バートン、シェルドン クリードのトップ10でした。そしてプレイオフ争いですが、12位を僅差で争っていたJGR3人衆のうちサワーリッチとクルーズがいずれもクラッシュに巻き込まれて脱落。同じく当落線を争っていたカルースは先輩に回されたせいで33位に終わりましたが、レース中に得たステージポイントでレース前の選手権14位から2つ順位が上がってプレイオフに滑り込みました。チャンピオンを争う権利を持つ12人は
ジャスティン オールガイアー(JR モータースポーツ/シボレー)
カーソン クワポー(JR モータースポーツ/シボレー)
シェルドン クリード(ハース ファクトリー チーム/シボレー)
ジェシー ラブ(リチャード チルドレス レーシング/シボレー)
オースティン ヒル(リチャード チルドレス レーシング/シボレー)
ブレンダン ジョーンズ(ジョー ギブス レーシング/トヨタ)
コリー デイ(ヘンドリック モータースポーツ/シボレー)
サミー スミス(JR モータースポーツ/シボレー)
パーカー レツラフ(バイキング モータースポーツ/シボレー)
サム メイヤー(ハース ファクトリー チーム/シボレー)
テイラー グレイ(ジョー ギブス レーシング/トヨタ)
ラジャ カルース(JR モータースポーツ/シボレー)
・カップシリーズ予選
あんまり予選順位は関係なさそうですが、ブッシュライトポール賞はチャステインが獲得しました、2024年の第30戦カンザス以来となる通算3度目です。2位からブッシャー、ヒル、プリース、ハーブスト、ギスバーゲン、ジリッシュ、シンドリック、ロガーノ、ラーソンのトップ10。トラックハウスは3人とも上位にいるので単独走行で何かしら速く走る方法を見つけたのかもしれません。
なおそのトラックハウスですが、コウリッグにピット クルーを派遣する関係にあるのでこのレースでは人員を変更、A.J.アルメンディンガー担当クルーを呼び戻してギスバーゲンの担当に配置し、ギスバーゲン担当チームをアルメンディンガーに割り当てる交換を行っています。僅かながらAJのクルーの方がピット作業の成績が良いみたいです。
また先週のレースで脱輪してクルー2名に出場停止処分が課されているバイロンもチームメイトのボウマンからクルーを引き抜いて対応。ボウマンの空いた穴にはクルーを貸し出しているスパイアー モータースポーツ・マイケル マクダウルのクルーがヘンドリックに呼び戻されています。
追記:書き忘れました、ハーブストは予選まで走ったものの、先週のレースでのクラッシュの後遺症の懸念から決勝は欠場となり、ハリソン バートンが代走を担当します。車が浮き上がるぐらいのけっこうな衝撃の事故でしたから、大きな影響が残らないことを願いたいですね。ドライバーが交代したのでバートンは最後尾からのスタートになります。
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