NASCAR Cup Series
Cook Out 400
Cook Out 400
Richmond Raceway 0.75miles×400Laps(70/160/170)=300miles
winner:Joey Logano(Teem Penske/Shell Pennzoil Ford Mustang Dark Horse)
♪倍の倍の消耗 倍々タイヤ by NASCARチューン♪NASCARカップシリーズ第24戦・クック アウト 400。とにかくタイヤとの戦いになるであろう400周レースは前日に雨が降った一方で、その関係で昼間にトラックシリーズが開催されたばかりなのでひょっとしたらラバーが乗っててちょっとは摩耗がマシになったりするかもしれません。リッチモンドから世界へ!
・ステージ1
いきなりスタートからブレイニーとブリスコーがサイドバイサイドでバッチバチにやりあい、まるまる8周並走してようやくブレイニーが前に出ました、気のせいか争いが終わったころにはもう既にスタート時点よりも車の動きがもっさりし始めてる気がします。その後ベリーがブリスコーを抜いて2位となりステージは中盤へ。
やはりタイヤは鬼の消耗倍率なようで30周目あたりから早くもアンダー グリーン ピット サイクルが到来、リーダーのブレイニーを含め短期間に一斉に各ドライバーが新しいタイヤを手にしました。ノーピットで行こうとする人はおらずブレイニーがサイクル後もリーダーです。ところで今回NASCARはピット入り口のコミットメント ラインを従来よりも奥に移動しました。
リッチモンドは高速で小さいのでピットに入る際はそこからさらに切り込んでバンク角の無い方へと降りて行く難易度が高く、そもそも壁が邪魔で入り口も見にくいのでコミットメント ラインのオレンジ色の目印を踏んでしまったり、入り損ねたりすることが非常に多い難所として知られています。また減速の開始位置が走行ラインとけっこう重なるので偶発的な衝突の懸念もあり、コミットメントラインを75フィート(約23m)奥へ移動させました。
しかしこれには副作用があり、ピット内での制限速度監視用の計測地点は従来と変化がありません。ということはピット入り口のコミットメントライン~最初の計測地点までのセクション1が短くなります。ドライバーによってはピットに入る際に目いっぱいブレーキを詰め、ちょっと速すぎたかなあと思ったら余分に減速して帳尻合わせをすることがありますが、セクション1が75フィート短縮されたので帳尻を合わせるだけの距離が無くなりました。練習走行でみんな色々練習してはいたんですが、このサイクルではタイギブスが速度違反を取られました、原因はもちろんセクション1。
ステージ1後半のブレイニーは周回遅れにやや苦戦、ピットで2位を取り戻したブリスコーが迫って来て最後は真後ろまで来られましたが、周回遅れのノア グレッグソンをちょっと壁に使って逃げ切りました。ブリスコー、ロガーノ、シンドリック、ベリーと続いたのでペンスキー勢がトップ5に全員集合。6位からウォーレス、ハムリン、ベル、エリオット、バイロンでした。ちなみにブリスコーは2位ですがステージ後半に使ったのが予選の中古タイヤで、これが終盤に役立つ、かもしれません。
・ステージ2
ステージ間コーションはピット出口が3ワイドの激戦、80周目にリスタートすると今回はブリスコーが前に出ました。マーティーの情報だとブレイニーはステージ1で車がややタイトになっており内側に付き損ねがち、とのこと。でもリッチモンドは基本的に右後輪だけ酷使されてルースになるトラックなので、あんまりそこを直そうとし過ぎても失敗しますから匙加減は難しそうです。ルースもタイトも無い私 なりたい ありたい けどだけど…
どうやらブレイニーのアジャストは上手くいっているようで、ブリスコーの後ろをきっちり付いて行くと107周目にリード チェンジ。ブリスコーはブレーキ シェイクがあると言っていて少し気になるようで、これとは別にジェイムス スモールから5速固定で走るように指示も出ています。これはタイヤを壊さないための指示ですね。
リスタートから40周ほど走った120周目あたりからピットサイクルが始まりますが、その途中の125周目にゼインスミスが単独スピン、けっこうな勢いでターン2出口の壁にぶつけてコーションが出ました。ブレイニーはまさにピットに入ろうかという瞬間の出来事で、スポッターが「後ろでスピンがあった、ステイアウト」とナイス判断、ブリスコーには抜かれましたが大損を防ぎました。リードラップ選手はコーション中にピットに入ってブリスコーがそのままリード、ロガーノが2位となりブレイニーは3位へ。
多くの選手はウエイブ アラウンドでリードラップに戻り133周目にリスタート、ロガーノとブレイニーが2位争いしてくれたのでブリスコーは悠々と単独走行になります。結局2位争いを制したのはロガーノで、ブレイニーはこの後またタイトを訴えてハムリンにも抜かれてしまいます。クリーンエアーが無いと曲がらない感じ?
ブレイニーとは対照的にロガーノは調子が良いらしく、172周目に周回遅れの車を真ん中に挟んでブリスコーをかわすハッキネンムーブ、最近だとオコンムーブ()。しかしそれから10周も経たないうちにもうアンダーグリーンピットの時間となり、むちゃくちゃせわしないですがピット後もロガーノ、ブリスコーのトップ2に変動はありませんでした。
ブリスコーはタイヤ交換直後にロガーノを攻め立てましたが抜くことはできず、数周頑張った後は大きく引き離されました。ステージ2をロガーノが制し、ハムリン、ブリスコー、シンドリック、ブレイニー、ベリー、エリオット、ベル、レディック、バイロンのトップ10でした。
数名はリスタートから88周を2回もタイヤ交換して走り、最上位は13位のラーソンでフリーパス獲得、続いてプリースが14位でした。周回遅れなら失敗にも見えますがラーソンはリスタート順位と同じ位置、プリースはリスタートから大きく上げました。仮に1ストップだった場合の落ち込みを考慮すると上出来と言えそうです。そもそもラーソンは20位あたりをさまよっていたら125周目のコーションで得して順位が上がったので、失うものが少ない立場でした。厄介な問題も飛び越えろ。
・ファイナル ステージ
ギスバーゲン以外はステージ間コーションで新しいタイヤへ交換、ピットを最初に出たロガーノでしたが240周目のリスタートからブリスコーの猛攻撃を受け、4周後にブリスコーが前に出ました。ギスバーゲンはウエイブアラウンドしてリードラップに戻り、早期のコーションでリードラップを確保するという賭けでしたが何も起きなかったので250周目にさっさとピットへ。でもこれで終わりではなく、ズレたサイクルを利用してどこかで上手くリードラップ走行中にコーションが出れば作戦は成功、タイヤの摩耗とピット回数が膨れ上がるリッチモンドならではのかなり変則で運任せな戦略です。
さてリスタートを制したブリスコーはロガーノを徐々に引き離すことに成功、逆にロガーノは278周目に後輩のシンドリックに抜かれ、これ以上下がらないためにピットに入りました。40周ほど走ってみんなピットに駆け込んでますからファイナルステージは3ストップが主流ですね。これで多くのドライバーが280周目前後にタイヤ交換を済ませましたが、284周目にホースバーの車が壊れてコーション発生、どうも5速に上げるつもりで間違って3速に落としてしまい、エンジンが10000rpm以上回ってぶっ壊れたみたい。
ちなみにホースバーは無線で「今"マニー シフト"やっちまった。」と言いました。マニーシフトというのは変速の際に誤ったギアに入れて壊してしまうことを表すスラングで、つまらん変速ミスのせいで多額の金がかかるとか、銀行口座のお金が修理代で業者さんの方へ移動=シフトしてしまう、とかいう意味に引っかけた表現だそうです。カテゴリーによってはシーケンシャル変速機を使う場合は制御側でこういう操作を受け付けないようになってることもありますが、NASCARはたぶんそういう電子制御ダメなんでしょうね。グランツーリスモ7でもバージョン1.66から高回転になりすぎる無理な変速操作は無効化されています。
話を戻しましょう、この時点でまだピット入っていなかったレディックは超ラッキー、またギスバーゲンも期待していたタイミングでのコーションでリードラップを確保できました。ブリスコー、ロガーノなど7人はステイアウト、アンダーグリーンでピットに入ったけどここでもまたタイヤを交換するリードラップ選手もいてピット大忙し。293周目にリスタートです。残り108周ですからあと2回はタイヤ交換が必要ですね。
ここもブリスコーはじわじわとロガーノを引き離していき2秒差を築いていくと、なんと324周目に自分が先にピットへ。絶対アンダーカットさせない作戦でトラック ポジション最優先です。ロガーノは翌周にピットに入りましたがピット直後は4秒近い差に開いており、タイヤ履歴差も1周しか無いのでまあブリスコーは安泰だろうと思われました。
ところがこのランでは周回を重ねるごとにロガーノが徐々に接近、不気味に忍び寄るハゲは361周目~362周目にブリスコーを見事に大外刈り。抜かれたブリスコーは当然すぐにピットに入って再アンダーカットを考えますが、作戦はバレバレなのでロガーノも先読みして一緒にピットに入りました。ロガーノのスポッター・コールマン プレスリーの無線は「クオーター、バンパー、ピットピットピットピット!」
普通はクオーター、バンパー、クリアー、と続くはずなのでなかなか珍しい流れの無線ですね。ブリスコーは抜かれた瞬間ピットに呼ばれたものの、目の前のロガーノも動いたのでちょっとビックリしたのかブレーキで猛烈な白煙を上げました。幸いこれで入り損ねたり速度違反したりというしょうもないミスはありません。残り38周、まだまだ何が起きるか分かりませんね。これ見た時はブリスコー入り損ねて詰んだと思いましたよ^^;
ピットを出ても1秒以内の差でせめぎ合う2人、トラック上ではベルとレディックがリスタート以降の100周超を1回のタイヤ交換で突き進む1ストップ作戦に挑んでいますがどう見ても自力で勝てる速さの作戦ではなく神頼み。ロガーノはあっさりと376周目にベルをかわし、もうこれで完全にブリスコーとサシの勝負でコーションが出ても変に違うことをしてる人の邪魔は入りません。
ほとんどの周でロガーノとブリスコーの差は0.6秒ほど、残り10周を切ると0.5秒以下に縮まって周回遅れも頻繁に現れますが、ロガーノはブリスコーに隙を見せず残り周回数を減らしていきました。残り2周でもまた周回遅れが複数現れ、しかもトヨタ勢のジョーンズがいたので何か起きないか一瞬不安になりましたが、むしろロガーノはジョーンズの内側に思い切った判断で飛び込みました。
これが決め手となってブリスコーを射程距離外へ突き放したロガーノ、ショートトラックでの強み、経験、思い切りの良さ、髪の毛が全て注ぎ込まれた見事な走りで第21戦ノースウィルクスボロ以来となる今季2勝目・通算39勝目を挙げました。第18戦ソノマ終了時点では選手権20位まで落ちてたんですが急激な回復ぶりです。何回転んでも立ち上がれ。
マーティー「22号車にとってかつてないほどの快進撃です。いやあ、彼らはシーズン後半での戦い方を本当に熟知しています。ここリッチモンドの満員の観衆の前でジョーイ ロガーノ選手が3度目の勝利です。今、若いファンの方を見つけました。(ロガーノがフラッグを渡す)さあ、このチームは勝負どころで確実に結果を出す術を知っているという感じですけれども、ジョーイ選手、もし5月中旬の時点で『8月中旬までに2勝しているよ』と言われていたら、信じられましたか? 」ロガーノ「俺らを調子づかせたらもう止められないですよ、今の俺たちかなり強いんでね。22号車の速さを見せられてよかったです、最高の車でした。ここでは過去5戦ぐらいずっと良い車に仕上がっていたんですけどなかなか勝利に結びつけられなかったんで。あと一歩のところまで来てましたから、今日はまさに雪辱を果たしたという感じで嬉しいです。」
マーティー「『俺たちは戻ってきたぞ!』という言葉がありました、ジョーイ選手、そろそろ他のチームもこのチームを有力なチャンピオン候補として警戒し始めるべき時が来たんじゃないでしょうか?」
ロガーノ「その通り、間違いなく強力なチームですよ。それから……そうですね、ポールの判断は素晴らしかったですし、コールマンも最高でした。ただ、最後のランは19号車の方がこっちより速かったですけどね。だからタイヤをいたわりつつも差を維持しようと頑張ってました。まあ、お互いに仕掛け合って面白いバトルでしたよ。戦略もそれぞれ違いましたしね。いかにもリッチモンドらしいレース展開で、ここで勝てたのは本当に最高でした。またロウドンで勝ちに行きますよ。」
マーティー「19号車が迫ってきた時のことや、その時何を考えていたのかについてもお伺いします。あの終盤のランでは向こうの方が少し調子が良さそうに見えました。」
ロガーノ「ええ、彼の方が速かったですね。最初は抜け出したんで『よしあとは20号車を抜くだけだ』と思ってたんですけど、最後で急激にペースが落ちてきて。まあ、本当に楽しい展開でした。さっきも言った通り終盤は互いに駆け引きを繰り返すような、まさにキャット アンド マウス ゲームでしたから。それと何より重要なのはポイントを獲れたことですね。トップ10に戻りたかったので、これで順位もかなり上がって……」
マーティー「9位です!」
今回YouTubeのフル動画がロガーノが車を降りてマーティーが喋ってる途中でブッツリ切られて終わっていて、インタビューだけ集めた動画でも途中から始まってるので2つの動画にアベマの動画を組み合わせて切り貼りしないと内容が分かりませんでした、インタビューちゃんと収めといてよ~。
2位のブリスコーはロガーノに抜かれた時間帯にブレーキの状態がよくなくて3秒差を全部吐き出してしまったとのこと、シンドリックが今季最高となる3位、4位にハムリン、そして5位はエリオットでした。エリオットは前戦まで9戦連続で11位以下になっており自己ワーストを更新していましたが、5位に入ってようやく終止符を打ちました。30位スタートからコーション運に車もそこそこ速かったラーソンが6位、ベル、ベリー、バイロン、ボウマンとBで始まる人が7~10位でした。1ストップ作戦が厳しかったレディックは11位でここまでがリードラップでした。
速さはあったチャステインが12位、ブレイニーはレースの後半にかけてブレーキの効きが悪くなってしまい13位、ピット戦略が機能したギスバーゲンが14位でやれるだけのポイントを回収し、速度違反ペナルティーが痛すぎたギブスが15位でした。RFKレーシングが不発で17位プリース、21位ブッシャー、26位にケゼロウスキー。リッチモンド3連勝の懸かったディロンは特に光る場面もなく19位、予選ではよかったジリッシュですが決勝は3周遅れの25位でした。
事前情報ページで Gen7のリッチモンドは予選上位5位以内の人は勝てないという統計と呪いをかけましたが()10位スタートのロガーノが勝ったのでジンクスは続きました。黄色い22号車が先頭で、バス プロ ショップスのスキームが追いかけてるのでアベマのコメント欄では2年前のディロン突撃事件をネタにして期待していた方もいたようでちょっと笑いましたが、今日のロガーノ相手にやったら下手したら出場停止処分でしょう、それぐらいつけ入る隙がない精度の高い走りでした。
最後のランは満足の行く出来映えでは無かった、というかその前に落ちていたブリスコーがアジャストなりブレーキ バランスの調整なりで調子を取り戻したという方が正確かもしれませんが、追いかける側がほどよく速いレースは見応えがあります。薄毛仲間のブリスコーとしては後ろを走っていて先輩から学べることもあったかと思いますが、最後は思い切りの良さが勝負を決めました、いや髪の話じゃないですよ(笑)
ロガーノが自分で言ってましたけどまさにリッチモンドの典型的なレース、今年のショートトラックは面白いですね。どちらもプロの技でピットクルーの作業もクルーチーフの戦略もスポッターの判断力も、見えてないものを含めたまさにチームの戦いというのが伝わってきました。あの同時ピットは痺れますね。
終わってみればトップ10にペンスキー(とウッド ブラザーズ レーシング)が3人、JGRが3人、ヘンドリックモータースポーツが4人と3メーカーの3強が仲良くその座を分け合いました。今年JGRが速いのは今さら言うまでもないですが、ペンスキーとヘンドリックがこんだけきっちりチームとしてまとまって強いのはけっこう久しぶりの光景で、これが特殊なリッチモンドだからなのか、何か見つけたのかはプレイオフに向けての注目どころでしょう。
レディックは11位でまたトップ10フィニッシュできなかったわけですが、今の彼に必要なのはきちんと1レースを組み立てて走り切ることだと思うので、11位という数字よりも50周以上同じタイヤで走る苦行を車を壊すことなくちゃんと終わらせて帰って来た、という内容を前向きに捉えたらいいのではないかと個人的には思いました。すなわちとにかく倍倍アクティブ。
最初になぜか変なノリで倍々FIGHT!を入れてしまったので時々そんな要素を盛り込みつつお送りしました。次戦はバンク角が低くて優勝するとロブスターが貰えてしまう変なレース、マジック マイル・ニューハンプシャー(ロウドン)です!
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