NASCAR Cup Series
Cook Out 400
2位はスポット参戦のハイム、3位クリスチャン エッケス、ギスバーゲンはピットで一時後退しましたが終盤のコーションで順位を取り戻し4位に入りました。グラント エンフィンガー、ジェイク ガルシア、チャンドラー スミスが続き、デビュー戦となった16歳のトリスタン マキーがなんと8位。ジオ ルジェーロ、ダニエル ヘムリックが続きました。レイン リッグスは15位でしたがドライバー選手権ではハニーカットに61点差。次戦ニューハンプシャーがレギュラーシーズン最終戦で、リッグスはチャンピオンをほぼ手中に収めました。
Cook Out 400
Richmond Raceway(Richmond,Virginia)
0.75miles×400Laps(70/160/170)=300miles
Goodyear Racing Eagle Tire Code
Left:D-5262 , Right:D-5256
Total Sets:11(9 new race/1 qualifying transfer to race/1 practice)
NASCARカップシリーズ、先週に続いてショートトラックとなる第24戦はリッチモンド レースウェイ。最大バンク角14°のDシェイプは先週のアイオワと同じで1周0.75マイルと一回り小さいだけに見えますが、おそらくシーズンでもっとも頻繁にタイヤが交換されていく異常にタイヤ摩耗が激しいトラックです。土曜日夜の開催なのでちょうどこれを書いてる時間にまさにレースをやってるんですが、アベマ/YouTube視聴を前提に結果をうっかり見ないよう気を付けながら書いていきます(笑)
リッチモンドは元々バージニア州の博覧会にあわせて1946年に開業したそうで、当初は未舗装路として誕生し1953年からNASCARも開催。これが1968年に舗装されますが財政状態に起因した設備の老朽化や賞金の低さが指摘され、1970年代になると別の場所に新しいトラックを建設して移転する計画が誕生。ところが移転話は2回出てきて2回とも頓挫して作られず、1988年にリッチモンドが大規模改修を行ってそれまでの約0.5マイルから現在の0.75マイルに拡張して今に至ります。一時は座席数が10万人を超えた時期もありましたが、2000年代後半から観客動員が大きく減っていったため現在は半減して5万を割り込んでいるとのこと、過剰投資でしたかねえ。
鬼タイヤ消耗レースなので気になるのはグッドイヤーのタイヤ選択ですが、今回のタイヤは昨年のマーティンズビルで初登場して今年もマーティンズビルとノースウィルクスボロで使用された組み合わせ。右側はフェニックスでも使ってるのでそれなりの実績はありますがリッチモンドでは初めてです。750馬力仕様でのリッチモンドは今回が初めてですし、去年使ったタイヤより丈夫で長持ち、ってことはないでしょうから相変わらずタイヤに頭を抱えることになります。
ステージ周回数は70周/160周/170周の設定、ステージ1だけは給油が不要で大半のレースはこういう設定ならピットに入らないですが、リッチモンドは話が別。昨年のレースではステージ1ですら半分に割る1ピット作戦が採られており、ステージ2・ファイナルでは2ストップが当たり前で3ストップすらありました。3ストップだと40周と経たずにタイヤを換えるわけで、1周は25秒もかからないので16分走ったらもうタイヤを捨てることになります、もはやグランツーリスモの世界です。
グランツーリスモならタイヤは無限に手に入るから良いですが、このレースは決勝で使える新品タイヤが9セット、予選持ち越しを足しても10が上限です。仮に事前の戦略としてステージ1で1ストップ、ステージ2で2ストップ、ステージ ファイナルで3ストップと決めると9セット使うことになるので、そうするとコーションが出た時に臨機応変に注ぎ込める新品在庫がほとんどありません。
理論上で最速になりそうなタイヤ戦略を採ることが必ず最適解とは限らず、ステージ2までは多少順位を犠牲にしてでもタイヤの使用数を削減して温存し、最終ステージに戦略の幅を残すという考え方も出てきます。タイヤ摩耗が酷すぎてアンダーカットがむちゃくちゃ効くのでピットサイクルで見た目の順位はすぐに変動しますし、アンダーカットしても数周のタイヤ履歴差でいとも簡単に抜かれもします。
丁寧にタイヤを使って長持ちさせるのがいちばんですが、それだとリスタート直後が遅いのでコーションが連続で起きると不利という相反する課題もあります。予選で使った中古タイヤはほとんどのレースではわざわざ使うメリットが無いのでお蔵入りしますが、これだけタイヤが足りないと『ステージ残り20周でコーション』みたいな時に『今使ってるタイヤよりは遥かにマシ』レベルで使用して新品を温存することもあり、クルーチーフはまあとにかく糖分が欲しくて欲しくてたまらないでしょう。ここに万が一ステージ間コーションの新ルールでステージ2が早期終了・ファイナルの周回数が増えたりなんかしたら・・・(笑)
・ちょっとしたデータ
未舗装の時代から数えれば138回目の開催となるリッチモンド、その大半の期間では年間に2回開催されてきましたが昨年から1回だけの開催になっています。直近2回のリッチモンドではオースティン ディロンが2連勝中、一昨年はオーバータイムで迎えた最終周のターン3から4にかけて、目の前にいるロガーノを吹き飛ばし、その隙に抜きに来たハムリンもぶっ飛ばす大暴れでの勝利で、さすがにNASCARを怒らせて『優勝として記録はされるがプレイオフ進出権は認めん!』となりました。その借りを返して昨年は完勝、そもそも一昨年もレース終盤の不運なコーションが無ければ勝ってたので、ここで速いのは間違いありません。なおリッチモンドで3連勝するとリチャード ペティー、ボビー アリソンに次ぐ史上3人目です。
Gen7車両導入以降の過去7戦ではディロン以外にハムリンも2022年・2024年に優勝して2勝、この期間は2勝を含めトップ5フィニッシュが5回で平均順位5.7と全ドライバー中最良です。ハムリンはリッチモンド通算5勝で現役最多を誇り、タイヤ鬼消耗レースで非常に強い選手ですね。
2023年春の勝者・ラーソンが7戦中5戦で7位以内に入っており平均7.9、これに優勝こそないもののロガーノ、ベリー、ベルが平均1桁順位で続いています。2014年・2020年のリッチモンド勝者であるケゼロウスキーも4度のトップ10で平均11.0となっており決して悪い数字ではありません。2023年の秋にはチームメイトのクリス ブッシャーが勝ってますし、RFK レーシングもタイヤを壊さず安定して走らせるのがわりと得意な傾向にあります。
一方でなんとかしないといけないのはレディック、前戦は4周目でクラッシュしてリタイアした上に、それがハイライト動画のサムネイルになっていたのでもう見る前からファンの人がっかりな感じでしたが、リッチモンドは2024年秋に3位を記録したことはあるものの過去7戦の平均が17.4と可もなく不可もなく。
それよりも直近の調子の方が問題で、シーズン最初の14戦では5勝を含む9度のトップ5フィニッシュ、14戦全て15位以内で平均順位5.6だったのに対し、直近の9戦は15位以内に入ったのが僅かに3度、そもそもリード ラップで4回しかレースを終えておらず平均順位が24.2となっています。参考までに平均順位24ってどのぐらいの水準かというと、今シーズンで言えばノア グレッグソンが平均24.7、昨年だとコール カスターが23.6で、選手権30位あたりの選手が出すような数字です。期間を区切ってリタイアが多ければそうなるとは分かっていてもちょっと目を疑う数字です。平均のスタート順位も5.9から11.6に下がってるので決勝の運だけとも言い切れないんですよね。。。
時代によって舗装もトラックの形状も異なることが一因だとは思いますが、過去のリッチモンドではポールシッターが最も多い24勝・勝率17.5%を誇るなど予選上位6位以内からの勝率が約60%に上りますが、一方で1位から32位まで異なる27の予選順位から勝者が生まれています。32位以内で優勝者が『出ていない』のは15位、18位、27位、29位、30位の5つだけ。過去7戦で見ると優勝者の予選順位では2024年ディロンの6位が最高で、むしろトップ5からスタートして勝った人がいません。決勝でのタイヤ管理が重要であることを示唆する内容かなと思います。
・レース前の話題
先週のアイオワはYouTube配信だとレース終盤の大事なところで数分間映像が途絶して困りましたが、アメリカのファンの人はもっと厄介な事態に見舞われているそうです。お伝えしている通りアイオワからのカップシリーズ最後の14戦はUSAネットワーク/NBCが放映権を持ちますが、実は今年になって状況に変化が生じています。
というのもNBCを傘下に持つコムキャストは昨年、放送部門を『バーサント』という会社として独立させ、この組織再編にともなってNASCAR中継の製作と主要な放送はUSA スポーツへと移管されたからです。USAは元々NBC傘下でしたし昨年までも一部のレースはUSAネットワークでの放送でした。海外の我々から見てるとせいぜい野球中継が日本テレビ制作か読売テレビ制作かぐらいの違い、実況も解説も変わらんし表示されるロゴぐらいの差に思えますが、いざお金を払って見る立場になると問題でした。
NBCはピーコックという配信サービスを提供しており、昨年までNASCARもピーコックで視聴が可能でした。ピーコックは単独で契約が可能です。ところがUSAが主導する体制になった結果として今年はピーコックでの配信が無くなったようで、そしてUSAには現時点で配信専門のサービスが無く、配信を利用するにはUSAとのケーブルテレビ視聴契約が必要になりました。
他社のNASCAR放送ではFOXとTNTもNBCと同様に配信契約サービスが存在し、アマゾンはそもそも配信専門の企業、それぞれお金はかかるもののテレビ視聴契約が無い状態で見ることができたのに、最後の14戦はケーブルテレビ契約無しにNASCAR中継を生放送で見ることができなくなり、しかも契約すると月額約45ドルとけっこうな金額。ピーコックは約11ドルだったようなのでケタが違います。
ピーコックと契約していれば見れると思った人が見れなくて困惑するなど、日本でもよくありますが『改悪だ!』という声がけっこう上がってるようで、重要なシーズンの終盤戦の視聴に初戦からケチがついてしまってせっかくのアイオワの好レースにも傷がついたかもしれません。こちら日本ではYouTubeのアーカイブかアベマで無料で見れることをありがたく思いつつも、いつ有料になっても不思議ではないなという意識は持っとかないといけなさそうですね。たぶんアメリカの人もYouTubeのリライブは見れるだろうけどレース当日のニュースで結果を見てしまうから待てるかというと微妙です。
次にオフ ウイークの記事でちょうど書いたスノコ ルーキー オブ ジ イヤーの話ですが、NASCARは新人賞候補の有資格者となるための新たな規定を発表し、来シーズンからは前年までの通算出場数がカップシリーズでは12戦、オライリーシリーズは10戦、トラックシリーズでは8戦を超えると権利が無いという基準を設けました。従来はカップなら7戦という基準がありましたが実際は超えていても申請があれば個別審査しており事実上棚上げされていました。今回はより明確な数値規則として設定したようです。
というわけで既にこれを超えているコリー ハイムは来シーズンにフル参戦しても新人賞の候補にはなれないことが明確になりました。来年からフル参戦するジェシー ラブがここまで通算7戦なので絶妙に規定を避けて来年の候補になりそうですが、12戦って下部カテゴリーで数年経験を積みながらスポット参戦してたらすぐに到達しそうな気もしますね。
最後に小出しになっていく来年の日程から、ノースウィルクスボロが来年はまたオールスター戦として開催され、ドーバーが選手権レースに戻ることが発表されました。1年で出戻りした形ですが、ノースウィルクスボロではトラックとオライリーの両方の選手権レースが併催される『トリプルヘッダー』となることで新たな話題を取り込もうとしています。
一方で2年前にトラック/オライリーの日程に復活したロッキングハム スピードウェイは来年の日程に入らないことが発表されました。1周0.94マイル、最大バンク角25°の『ザ ロック』は2004年を最後にNASCARが開催されず一時は荒廃していましたが、2018年に買収した投資家が一生懸命再建して2025年にNASCARを呼び戻しました。ちょうどカップシリーズが休みのイースター週末に開催していることもあって観客動員・視聴者数とも好成績で、再建に一区切りついたので2025年に売りに出された結果、年末にIHRA(国際 ホット ロッド 協会)へと売却、IHRAはさらなる拡張を宣言していました。カップシリーズの開催すら期待されていましたが、話は一転して危機に瀕しています。
時系列や人物を現地報道を見ながら追うとその状況が見えてきました。そのIHRA自身が2024年にダリル カッテルという投資家に買収されており、そこから急激に複数のレース トラックの買収、さらには突然ストック カー選手権の設立など事業を拡大していました。ところがIHRAは最近になってシリーズ戦の残り日程の突然の中止を発表しており、そこに『施設全体の不確実性が高まる』ことを理由にNASCARも離れました。どう考えても詰んでます。
当然疑われるのがこのカッテルという人物ですが、ダラナ ハイブリッドという産業用電気・機械サービスを提供する企業のオーナーです。日本で言うとどういう業種に近いのかピンと来ないのでCopilotに聞いてみたら
重電・産業機械のフィールドサービス会社、さらに言えば重電メーカーの下請け・工場設備の保守会社に近い
という答えが返って来てなんとなくそういうイメージで考えていただければと思いますが、まあ何せ地域規模の企業でそんな大手という感じではありません。そんなダラナ社、かの有名なイーロン マスクがデータセンターの建設を急ぐ中でxAI社から取り急ぎ多くの仕事を受注した、ということになっていてその規模は数億ドルともされています。
ここから見えてくる筋書きは、AIバブルで突然何百億円というお金が超大手企業から入って来ることが分かったオーナーが、それをアテにして全く違うことにお金を注ぎ込むことにしたものの、実際にはそのお金が手に入らずに即座に行き詰った状況です。IHRAのレースでは既に賞金の未払いが発生しているという複数の証言がみられ、ダラナ社は既にxAIに対して未払い金の支払いを求めて差し押さえの申し立てを行っているようです。
これに対してxAIも反論して逆にダラナを相手取って裁判を起こし、しかもその被告にはIHRAも含まれているようです。訴状ではダラナ社が過剰な金額の請求を行って代金を釣り上げた上に、そのお金の一部を事業とは何ら関係の無いものに横流ししたという辛辣なものでした。カッテルは関係者に対して『イーロンマスクには6億ドルの借りがある』と主張する一方で取引先企業に対して2億ドルの負債があることを地元紙に語っている模様。レーストラックの買収金額もきちんと精査せずえらく高値掴みしたとの指摘もあり、総合的に見ると突然の大金で浮かれたオッサンが後先考えずに金を注ぎ込んで大混乱を起こしたように見えます。
当然ながらこれらの流れからロッキングハムは来年のレースどころか施設の存続自体が怪しい状況で、客観的に見るともう一刻も早くIHRAから離れて別の投資家の下へ渡ってほしいですが、二束三文だとそれは結局本業の取引先に対するお金が払えなくなるような問題に繋がるので、そう簡単にはいかなさそうです。ちょっと調べ始めたらイーロンマスクの話に繋がってAIブームの光と影をそのまんま見たようになったのでビビりましたね^^;
・Craftsman Truck Series Black's Tire 250 presented by BTS Rewards
今年はモディファイド ツアーの開催は無くてクラフツマン トラック シリーズだけが併催、金曜日は雨でレースが開催できず、土曜日のお昼間にカップシリーズとの同日開催で決勝が行われました。同日開催になったので、本来ここに出るはずだったベルは出場を止めてリーランド ハニーマンが代走となりました。スポンサーのBTS リワーズはK-POPグループとはたぶん関係ないです(笑)
一方で気にせずレースに臨んだのはポールシッターのギスバーゲン、スタート直後こそケイデン ハニーカットと好レースを演じていましたが、3周目にハニーカットが前に出たらそのまま独走になりました。レースの終盤にはピットサイクル途中でコーションが出てハニーカットにとって損な展開でしたが、ぶっちぎってたおかげで周回遅れにはならなかったので新しいタイヤでリスタート後にすぐ挽回。結局250周のうち225周をリードする圧勝で第8戦ワトキンズグレン以来の今季2勝目を挙げました。
2位はスポット参戦のハイム、3位クリスチャン エッケス、ギスバーゲンはピットで一時後退しましたが終盤のコーションで順位を取り戻し4位に入りました。グラント エンフィンガー、ジェイク ガルシア、チャンドラー スミスが続き、デビュー戦となった16歳のトリスタン マキーがなんと8位。ジオ ルジェーロ、ダニエル ヘムリックが続きました。レイン リッグスは15位でしたがドライバー選手権ではハニーカットに61点差。次戦ニューハンプシャーがレギュラーシーズン最終戦で、リッグスはチャンピオンをほぼ手中に収めました。
・カップシリーズ予選
雨が降る前に終えられたカップシリーズの予選、ブッシュライトポールは22秒225を記録したブレイニーが獲得しました。ブリスコー、ベリー、ギブス、バイロンのトップ5、Gen7の統計から言うとこの人たちは勝てません(笑)6位からプリース、ウォーレス、ベル、ケゼロウスキー、ロガーノのトップ10でした。
先週に続き好調らしいジリッシュが11位、やらかしネメチェック、エリオット、ハムリン、アルメンディンガーが続いて16位にディロン。大逆転プレイオフへチャステインが18位、ラーソンは30位、31位にギスバーゲン、レディックはなんと32位でした。ひょっとしてポリジュース薬を飲んだ別の人間とすり替わったりしてません?(分かる人にだけ分かる)
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