NASCAR 第20戦 アトランタ・事前情報

NASCAR Cup Series
Quaker State 400 Available at Walmart
EchoPark Speedway(Hampton,Georgia)
1.54miles×260Laps(60/100/100)=400.4miles
Goodyear Racing Eagle Tire Code
Left:D-5174 , Right:D-5268)
Total Sets:9(8 new race/1 qualifying transfer to race)

 NASCARカップシリーズ、第20戦は今季2度目の開催となるアトランタ・エコーパーク スピードウェイ。2022年の再舗装以降は1周1.54マイルながら最大バンク角28°の高バンクトラックを1周丸々ほぼ全開で走り続けるドラフティング トラックとなっています。最大出力が約510馬力に制限されたドラフティングトラック仕様のエンジンと大きな抵抗を生み出す空力仕様でこれを実現するわけですが、さすがにターンの旋回半径がデイトナ/タラデガよりも小さいので内側を走って全開で走り放題、とまではいきません。
 Gen7車両は空気抵抗が大きすぎて今やデイトナですら『抜けない!』という話になって、車体の仕様やレース方式について議論が交わされていますが、アトランタは道幅が狭くて余計に抜けないのかと思ったら、ターンで思ったほど曲がらずスロットルを戻すことも多く、タイヤの履歴差があると新しいタイヤの人が内側にどんどん突っ込んで行くため、展開次第で意外と順位変動が起きます。
 ドラフティングトラックのレースは特にここ数年は給油戦略頼りになりアトランタも基本は同じなんですが、タラデガではステージ距離の配分を見直して対応したNASCARもアトランタはどうにかなると思ってるのか従来通り60/100/100のステージ距離設定。ステージ1だけは給油不要です。まあアトランタはドラフティングトラック化してからの過去9戦中6戦でコーションが10回以上出ていて、今やタラデガよりもヤバい開催地と化したので誰も思い描いた作戦通りのレースなんてできないでしょう(笑)
 コーション連発だと関係なくなりますが、アトランタは安全上の理由からピットの入り口がターン3の内側にあり、ここから2段階に分けた速度制限が設けられています。トラックの1/3近くを低速走行するためピットに入ったら下手すると2周遅れになるので、ピットサイクル途中でコーションが出てしまったら先に入った人は大損。集団の中である程度燃費を稼いでおいて、他がピットに入ったら仲間で集まって、台数が少なくてラインの自由度が増えた場所を軽い車でできるだけ全開で助け合いながら走って、ギリギリまで我慢してピットに入ってオーバーカットを狙う、というのも1つの戦略思考なんですが、そこまでグリーンでの走行が続くことがあんまりありません。
 グッドイヤーが用意するタイヤは春のアトランタと同じもの。ドラフティングトラックということで練習走行が無くて最初に走るのがいきなり予選です。春のレースは予選すら雨で中止だったのでいきなり決勝が初走行でしたが、COVID-19で大混乱した時代に予選すらやらず集合して決勝だけぶっつけで走って解散する手法を実行したことでもうみんな何とも思ってなさそうですね。

 なお、このレースでは優勝トロフィー以外に副賞が用意されていることが発表されています。なんとハーレー-ダビッドソンからアメリカ建国250周年を記念した特別仕様のストリート グライドというバイクが進呈され、とりわけ今回用意されるのは特別なカスタム仕様で26台限定生産の貴重なバイクだとのこと。優勝したらバイクに乗ってそのまま帰りましょう(笑)
 また今週末はオライリーシリーズが併催されている一方で、ここから1600kmほど離れたコネティカット州のライム ロック パークでクラフツマントラックシリーズ、併催でARCAメナーズシリーズが開催されています。

・ちょっとしたデータ

 春のアトランタではオーバータイムの争いを制したレディックが優勝、それ以前に多重事故に巻き込まれて右前のフェンダーが吹き飛んでタイヤむき出しの状態だったのに、空気抵抗お構いなしの激戦でした。いくら車がボロボロになることが日常のNASCARでもドラフティングトラックで壊れた車が勝つってなかなか無いので衝撃的でした。思えばあの頃の幸運のお返しで最近のレディックは運が無いんでしょうか・・・(っ ◠‿:;...,
 運要素のあるトラックではありますが、タイヤが摩耗してもちゃんと曲がる車で無いと戦えないのでデイトナ/タラデガと比べればガラガラポン要素はあっても上位に来れるのは比較的強豪どころ。過去9戦のアトランタでバイロン、エリオット、ロガーノがそれぞれ2勝と複数勝利を挙げており、そうそう番狂わせは起きてくれません。
 チェイスエリオットは地元ジョージア州出身ということもあって熱烈な応援があります。なおジョージア州出身と登記されたカップシリーズ優勝経験選手はチェイスを含めて計12人いますが、カップ通算23勝のチェイスは父親のビル エリオットに次いでジョージア出身では歴代2位。またジョージア出身で唯一カップ・オライリー・トラックの3シリーズ全てで優勝経験があります。

 エリオットはGen7アトランタの平均順位でも9.4と全選手中で唯一10を切っており最良。これに続くのは、まだ5戦しか出場経験がないですがホースバーで、暴れん坊のイメージに反して意外なことに5戦全て規定周回数を走り切ってトップ5フィニッシュ2回・平均順位10.2。これにブレイニー、A.J.アルメンディンガー、ダニエル スアレスが続いています。
 トップ10フィニッシュの回数ならブレイニーが9戦で7回と高い確率で入っており最多、トップ5回数だと今度はスアレスが9戦で5回という高確率で最多になっています。スアレスは2024年春のアトランタで0.003秒差でブレイニーを破って優勝しています。

 ぐちゃぐちゃ、っとレースが締めくくられるのでGen7アトランタでトップ10フィニッシュを一度でも経験している選手はほとんど全員に及んでいるんですが、逆にまだ一度もトップ10フィニッシュできていないレアな人は誰かと言えば、オースティン ディロン、ノア グレッグソン、ジョッシュ ベリー、トッド ギリランド、コディー ウェアーの5人。ディロンは通算でもアトランタに19戦出場してトップ10フィニッシュが1回しかなく、チームも本人も低迷期ではありますがなかなか結果が出ません。チームはオライリーシリーズだとドラフティングトラック最強なんですけどねえ。
 ただ平均順位でディロンより悲惨なのはラーソン、2025年の春は3位になりましたがそれ以外のGen7アトランタは壊滅的で、そもそも9戦中規定周回を走り切ったことが3回しかありません。出場レースの2/3はクラッシュで今年の春もクラッシュ。平均順位24.7はコディーウェアーよりも悪く、走破周回数もウェアーの1783周に対してラーソンは1754周。しかもウェアーは7戦出場での数字です。

・レース前の話題

 まず最初に、NASCARは5月21日に急逝したカイル ブッシュの追悼式典を一般公開で行うと発表しました。シャーロットでレースが開催される週末である10月9日、トラックシリーズのレース後に開催され入場無料とされています。さすがに日本からはなかなか難しいですが、たとえば昨年NASCARのデモ走行があったエネオス スーパー耐久シリーズ最終戦でNASCAR公認で献花台を設けてもらうとか、何か日本でもそういう形があればなと少し思ったりします。

 そんなカイルの車を引き継いだオースティンヒルとギスバーゲンが立て続けの接触で険悪になっている件、この週末にNASCARからお呼び出しを受けて会談の機会が設けられました。終了後の双方の発言からは正直あんまり解決している様子は見られずに従来の平行線のままにようには見えたんですが、おそらく同時に「また絡んだら分かっとるやろな」ぐらいの注意は受けたと思います。同様にゼインスミスとホースバーも呼ばれたようですが、こちらも和解には程遠い様子、スミス曰く

「お互いに現状を理解していると思うけど、こっちが向こうを嫌ってて、向こうもこっちを嫌っている気持ちは変わんないですね。」

 一方これはたぶん良い話題ということになるんでしょうが、NASCARの社長・スティーブ オドネルはアマゾンとTNTが現在よりも多くのレースで放映権を得たい意向を示しているとし、NASCARの放送が企業にとって魅力的であるという趣旨の話をしました。スポーツ ビジネス ジャーナルの取材で現在の放映権契約期間である2031年までに放送局の枠組みが変化する可能性があるかどうかを尋ねられ、オドネルは

もちろん契約上の義務はありますが、企業秘密を漏らすつもりはありませんけども、あえて言えば、プライムに聞けば『もっと買っておけばよかった』と言うでしょうし、ターナーに聞いても同じように『もっと買っておけばよかった』と言うはずです。それは良いことですし、我々にとっても素晴らしいことです。」
「FOXのエリック シャンクス、アマゾンやターナーの関係者とも話をしましたが、彼らはみな現在の状況に非常に満足しており、このスポーツの勢いを感じています。私たちの務めはその成長をしっかりと示すことです。」

とNASCARの事業環境が良好であることを説明。現在はFOXが12戦、アマゾンとTNTが各5戦、NBCが14戦の放映権を得てこの契約は2031年までで、それほどオイシイのなら他社が手放すことも想像しにくいので枠組みの変化は普通に考えれば2032年以降までは起きないはずですが、NASCARはこのありがたい買い手市場の状況をきちんと維持して発展させていく必要があります。どこかで新車への切り替えとかも必要でしょうしね。

・ARCA Menards Series  Lime Rock Park ARCA 100

 まずはライムロックでのレースから、ARCAシリーズ第12戦はレース序盤トリスタン マキーとトーマス アヌジアータの争い。しかし19周目のリスタートでマキーはアヌジアータとの軽い接触があったようでターン1からはじき出されてしまい、広大な芝生を走ってる間に後方へ転落。アヌジアータは一時ジェイク ボールマンにリードを奪われたものの22周目に抜き返すとその後は圧倒。結局2位に10秒近い大差をつけて昨年のこのレース以来となる通算2勝目を挙げました。

 2位はカナダ出身のアンドリュー レンジャー、3位カーソン ブラウン、4位マックス リーブス、5位ボールマンでした。また唯一の日本人ドライバー・古賀 琢麻はリードラップ最後尾となる19位、練習走行でクラッシュして車を壊してしまいましたがチームの努力で間に合わせたとのこと。ただレースの最後の最後、何があったか分かりませんがまたスピンしてチェッカー目前で危ないところでした。
ああっ、古賀さん!

・Craftsman Truck Series LiUNA! 150

 レース序盤は選手権でも1位を争う2人、レイン リッグスとケイデン ハニーカットが争いステージ1をリッグス、ステージ2をハニーカットが獲りました。しかしこの後ピット戦略の違いから集団に入った2人はいずれも接触事故に遭い優勝どころではなくなります。
 レースは残り3周のリスタートでリーダーのジオ ルジェーロが有利な1列目内側を選択しながらまさかの派手な空転で出遅れてしまい、外側リスタートのグラント エンフィンガーが先行。ランドン ルイスの追撃を振り切って2024年の第21戦ホームステッド以来となる通算13勝目、14年目で初めてロードコースで優勝しました。

 ルイスは惜しくも初優勝を逃して2位、ハニーカットは多重事故で一時24位まで後退しましたが猛追して3位。パーカー クリガーマン、クリスチャン エッケスのトップ5。エッケスはサンディエゴのレースを終えて現地を離れる際に、穴に足がハマってしまう不運な事態に見舞われて左足首の靱帯を損傷したそうで、出場が危ぶまれる中での5位でした。グレード3の外側靱帯捻挫と報じられていて、調べたら靱帯の完全断裂っぽいので重症です。。。
 リッグスは1周遅れの23位に終わりましたが、ドライバー選手権ではハニーカットに44点差を付けて1位を維持しています。なお、ARCA優勝のアヌジアータは残り20周の段階でルジェーロに次ぐ2位でしたがコーション中に車両火災が発生。急いで脱出したものの精密検査を受けるために病院へ搬送されました。

・O'Reilly Auto Parts Series Focused Health 250


 さあアトランタ、事故だらけです()13回のコーションが出てオーバータイムが2回にわたる大乱戦、最後のリスタートではガス欠した人も出てまともな速さで走れてる人は15人もいない状態でしたが、リスタートからブレナン プールが前に出て『35歳念願の初優勝なるか!?』と期待が膨らんだら最終周に入った直後にニック サンチェスと接触してクラッシュ。
 これで優勝争いはジャスティン オールガイアーとパーカー レツラフの争い。オールガイアーはここまでの何かしらの接触で車が壊れてるのか右後部で何かを引きずって火花が出ながらの走行。レツラフの車に火花を浴びせまくりつつもオールガイアーの車は最後まで耐え抜き、今季6勝目・通算34勝目を挙げました。アトランタでの優勝は2021年以来で再舗装後では初優勝でした。
レツラフ「アツイ!ジゴク!」

 2位はチームメイトのカーソン クワポー、3位レツラフ、4位ウイリアム サワーリッチ、5位にアンソニー アルフレード。6位にギャレット スミスリー、11位にメイソン マッジオなど珍しい名前が上位に来ました。リードラップでレースを終えられたのはわずか18人でした。

・カップシリーズ予選

 ブッシュライトポール賞はブレイニーが獲りました、2位には0.016秒差でロガーノが続きチームペンスキーが1列目を独占。以下ラーソン、ディロン、スアレス、ボウマン、エリオット、シンドリック、チャステイン、ケゼロウスキーのトップ10。予選のラウンド2にトヨタのドライバーは1人も入っておらず、最上位は11位のジョーンズでした。
 ギスバーゲンが12位、ホースバーは14位、ヒルが30位、スミスは34位だったのでとりあえず序盤にいきなり遺恨のある人が絡むことはなさそうです。ハムリンは28位、レディックも31位とレギュラー シーズンの1位を争う2人も下位スタート、カムリは現在の車体になってからドラフティングトラックの予選で遅いのが当たり前になっているので、たぶんもう誰も気にはしてないでしょうが、たまに変な作戦に出て失敗するのでそこだけ心配ですね。万が一コーションが出なくてロング ランが続くと埋まったまま上がれず終わったり・・・?

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