NASCAR 第19戦 シカゴランド・事前情報

NASCAR Cup Series
eero 400
Chicagoland Speedway(Joliet,Illinois)
1.5miles×267Laps(80/85/102)=400.5miles
Goodyear Racing Eagle Tire Code
Left:D-5284 , Right:D-5290
Total Sets:12(8 new race/1 qualifying transfer to race/3 practice)

 NASCAR カップ シリーズ、シリーズ全体の36戦から見ると後半戦に入る第19戦はちょうどアメリカ独立記念日・7月4日の週末です。今年は建国250年という節目でもありますが、NASCARはこの記念すべき日にシカゴランド スピードウェイを持ってきました。2001年に開場して19年連続でカップシリーズが開催されていましたが、COVID-19の影響で2020年が中止になると翌年以降も日程に復帰することなく、2022年には世界的な半導体不足で車両が完成しなくなったフォードの乗用車が一時置き場として使用するなどもはや廃墟扱い。一時は『地元議会で再開発計画の区画に入っている』『NFLのチームが新スタジアム移転先として検討している』などトラック消滅の噂が絶えませんでしたが、なんと7年ぶりに復活しました。
 Abemaの放送でも同じ話になるかもしれませんが、名称はシカゴランドといかにもイリノイ州の最大都市・シカゴっぽいですが、トラックは隣町のジョリエットにありシカゴから見て南東に80kmほど離れています。車で1時間以上かかるみたいですね。シカゴランドの3年前に開業したルート 66 レースウェイというダートのトラックの隣接地で一体開発という感じでした。ルート66のオーナーで、シカゴランド建設でも主導的な役割を果たしたのはデイル コイン、インディーカーを見てる方なら絶対知ってる、デイル コイン レーシングのオーナーの人です。後にトラックはNASCAR傘下になっています。

 最大バンク角は18度の1.5マイルオーバルということでそんなに特徴も無さそうに見えますが、他の1.5マイルと違っているのはバックストレッチの形状。ほんの少しだけ曲がっており、そのため完全な直線と言える箇所がシカゴランドにはありません。久々のレースに向けて再舗装とかもしていないようで、以前開催されていた時代よりもカップ車両は下面ダウンフォースを重視してより車高を下げる方向になってもいるため、常に車がバタバタ跳ねているような状態で路面の凹凸は重要な要素になりそうです。ターン3~4の外側の方に部分的に補修された黒い舗装はありますね。
 
 タイヤについては今季の1.5マイルでお馴染みの組み合わせがいつも通り持ち込まれているので、タイヤ側のデータについてはどの陣営も十分持っています。問題は実際に走ってみてどういう性能を示すのかで、ほぼ初開催状態なので練習走行には3セットのタイヤが使用可能になっています。
 決勝で使える新品タイヤは8セット、ステージ距離は1.5マイルお馴染みのやつなので基本はアンダーカットを狙ってステージの半分より少し前倒しでピットに入る各ステージ1ストップ。コーションが出たらまあ20周もタイヤを使ってたら交換という感じでしょう。練習走行でよほど摩耗が酷かったりすると、じゃあ15周ならどうだ、え、10周でコーション出たけどどうしよう、という話になるでしょう。でも使いすぎたらタイヤ在庫は切れます。


・ちょっとしたデータ

 7年ぶりの開催となるとシカゴランド未経験者が結構多く、今回出場する38人のうち18人はカップでのシカゴランドが初出場と思われます。そのうち13人はオライリー オート パーツ シリーズかクラフツマン トラック シリーズで出場経験がありますが、タイ ギブス、コリー ハイム、カーソン ホースバー、コナー ジリッシュ、シェイン バン ギスバーゲンの5人は全国シリーズ初シカゴだそうです。たぶんARCAでも走ってなくて完全に初めてではないかと。
 現役ドライバーの優勝経験者も3人しかおらず、2012年・2014年勝者のブラッド ケゼロウスキーと、2015年のデニー ハムリン、そして直近である2019年に勝ったアレックス ボウマンです。歴代最多はトニー スチュワートで3勝、これに2勝でケビン ハービック、マーティン トゥルーエックス ジュニア、カイル ブッシュ、そしてケゼロウスキーが続いています。2010年にはデイビッド リューティマンが貴重な1勝を挙げていますね。
 過去19戦開催はNASCARとしてはかなり少ないサンプル数ですが、ポール ポジションから優勝したのは2008年のカイルだけ。これを含め予選10位以内から優勝した人が8人しかおらず、統計上は予選11位以下の人の勝率の方が高くなっています。最も下位だったのは2002年のハービックで32位ですが、これを含め予選25位以下からの勝者がなんと5人もいます。
 
 全く参考にならないですが2019年のレース結果を書いておくと、優勝はボウマンで2位がカイル ラーソン。3位からジョーイ ロガーノ、ジミー ジョンソン、ケゼロウスキー、ライアン ブレイニー、エリック ジョーンズ、ウイリアム バイロン、トゥルーエックス、そしてオースティン ディロンのトップ10でした。デニー ハムリンは15位、当時はスチュワート ハース レーシングだったダニエル スアレスが24位、当時はプレミアム モータースポーツでほぼ無名だったロス チャステインが26位でした。我ながら15号車という数字を見ただけで消滅した弱小チームの名前がすぐ出てきたのには驚いた(笑)

 ちなみにシカゴランドでの最多コーション回数は初開催と2005年にあった10回。過去6度の開催は全て6回以下に収まっています。レースがオーバータイムになったのは2006年と2016年の2回だけなんですが、10年おきの法則で今年もオーバータイムになったらおもしろいですね(謎)

・レース前の話題

 ミシガンで派手な事故に巻き込まれて手首を骨折し、ギブスを装着してなんとかレースに出ているクリストファー ベル。先週のソノマではステージ ポイントを稼ぎつつ5位に入って回復を証明しましたが、今週のレースではギプスからいわゆる添え木へと手首の固定方法を変更しました。可動域自体は変わらないものの操作性が改善します。ただ来週のアトランタは危ないので保護のためギプスに戻し、その後は夏休み前にも完全に元の状態に戻したい意向です。とにかく焦って無理せんようにね。
 
 2019年のシカゴランド勝者・ボウマンは今年が3年契約の最終年で、来年の契約がどうなるのかについて嫌でも注目が集まります。そんな中でNASCAR公式の取材に応じたボウマンは

ヘンドリック モータースポーツが今できる限りの最高の状態になるよう、そしてもちろん48号車の状況を好転させるために自分の役割を果たそうとしているだけです。」
「でも、そうですね、自分の契約を懸けて走っているような感覚は全くないですね。本当に週ごとに状況を正しい方向へ向かわせることに集中している、という感じです。」 

 と契約の話に振り回されてはいないことを強調しました。元々ボウマンってカップには乗れるところが無くてヘンドリックのシミュレーター担当ドライバーとしてコツコツ頑張っていたら代走の仕事からそのまま正ドライバーになることができた苦労人、たぶん人柄の良さとか取り組みが評価されてると思うので、今の『ヘンドリックの選手として成績が悪すぎでは?』という印象に対しても、あくまで対外的には冷静な反応だなと感じます。オライリーでジャスティン オールガイアーが引退したらJRモータースポーツに迎えてあげたらどうだろうか、とか勝手に思ったりしますが、カップに残れるといいですね。私もアレックスは応援してるのでね。

 そして、前回も書きましたが本来このレースにエントリーしていたガレージ 66・ジョッシュ ビリッキーはスポンサーが見つからなかったので撤退となりました。66号車はほぼ真っ白な状態の車なので仕方ないんですが、チームが撤退を伝えたXの投稿に対して、たぶん広告探しの仕事を請け負っていたと思われるマーケティング企業・フィネス ユニークのXアカウントが返信して反応。

ガレージ66「残念ながらスポンサー不足で撤退することになりました。独立記念日の週末に欠場なんて残念ですけど66号車がまたすぐ戻って来れることを楽しみにしています!」

フィネスユニーク「ごめんなさいめっちゃ探したんですけど。でも良いお知らせが、ピュア キック エナジーが来年のシカゴ市街地にジョッシュ ビリッキーとともに戻ってきますよ!」

 えーっと、ツッコミどころが多いんだがどこまで本当なんだ・・・(笑)

・ARCA Menards Series Ashley Furniture 150

 ARCAシリーズ第11戦、6位スタートのコナー モザックが29周目のリスタート後にリードを奪うとその後は一度も明け渡すことなく優勝、2024年第5戦カンザス以来約2年ぶりの通算3勝目を挙げました。

 2位と3位はいずれも19歳のレニー バイスとランドン ハフマンが入り、いずれも自己最上位でした。ハフマンはCARSツアーにも出ている選手なんですが、このシリーズには同姓同名のランドン ハフマンという30歳の選手も参戦しています。どちらもノースカロライナ州出身で父親が元NASCARドライバーという共通項があるんですが全くの他人で、ややこしいのでこっちの19歳のハフマンは区別のため『ランドン S.ハフマン』という表記になっています。

・O'Reilly Auto Parts Series Cuervo 300

 オライリーシリーズは金曜日の練習走行が雨で実施できなかったため、本来予選をやるはずだった土曜日に練習走行を実施。予選順位は指数予選方式になり、そして決勝もまた雨で順延されて夜になってようやく始まりました。ステージ1ではジリッシュが独走しましたが、その後にガス欠して後方に下がるとファイナル ステージではパンクと自滅で2度もスピン。カップシリーズの悪い流れをこっちにまで持ってきてしまったようなレースになりました、そのわりに10位で終えています。
 優勝争いは残り11周のリスタート、ジェシー ラブ、ブレンダン ジョーンズ、テイラー グレイ、チェイス エリオットがなんと4ワイドの争いになり、これをねじ伏せたチェイスが優勝!とはならず195周目にコーションが発生してオライリーでは今季初となるオーバータイムへ。
 チェイスとジョーンズの1列目でリスタートしたオーバータイムは2人とも後ろの人が空転しまくって押してくれずにサシでの勝負になり、カップシリーズ王者相手に臆することなく攻め込んだジョーンズがターン3でリードを奪ってそのまま逃げ切り。ブレンダン ジョーンズが今季初・通算8勝目を挙げました。

 惜敗のチェイスに続いて3位ラブ、4位ブレント クルーズ。クルーズは現在選手権12位でプレイオフ圏内ですが、これを争う13位はチームメイトのウイリアム サワーリッチ。このレースでは165周目にクルーズがサワーリッチを軽く押してスピンさせてしまう場面があり、ジョー ギブス レーシングの若造2人が今後険悪にならないかちょいと心配です。サワーリッチはちょっとタイトになって壁に当たりそうになったのでスロットルを戻し、クルーズは気にせず踏んで行ったからちょこんと押したっぽい事故でした。

・カップシリーズ予選

 ブッシュ ライト ポール賞はハムリンが獲得しました、今季4度目・通算では52回目でライアン ニューマンを抜いてカップシリーズ歴代単独9位です。これでミシガン、ポコノーに続いてオーバルでは3戦連続ポール。ただハムリン自身はいくらか運が味方したと話し、自身が走った時間には少しだけ雲があって路面の一部は日陰だったのが、それ以降に完全な晴れになって路面温度が一気に上がったのではないか、と解説しました。ハムリンは全体21番目と真ん中ぐらいの出走順でした。
 2位は0.001秒差でラーソン、3位からクリス ブッシャー、ケゼロウスキー、ギブス、ベル、チェイス ブリスコー、バッバ ウォーレス、エリオット、バイロンのトップ10。ボウマンが12位、先週選手権1位の座を失ったレディックが13位。15位にホースバー、21位にジリッシュ、サンディエゴで優勝したハイムが今週は出場していて予選は28位です。
 なおラーソンは車検で2回不合格だったのでカー チーフがイベントから追放されてピット選択権剥奪。マイケル マクダウルは3回も不合格だったので、これに加えて予選への参加も禁止され、決勝ではスタート後にパス スルーのペナルティーも受ける必要があります。天気予報を見ると基本は晴れてるけど夕方に雷雨の可能性があってまあまあ高温多湿のお天気っぽいですね。

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