NASCAR 第18戦 ソノマ

NASCAR Cup Series
Toyota/Save Mart 350
Sonoma Raceway 1.99miles×110Laps(25/30/55)=218.9miles
winner:Shane van Gisbergen(Trackhouse Racing/Red Bull Chevrolet Camaro ZL1)

 NASCARカップシリーズ、今シーズン最後のロードコース戦ソノマ。第18戦ということでシーズン全体から見て折り返しのレースでもあります。スタート コマンドを担当したのはダスティー ベイカー、MLB選手として1968年から1986年まで19年間で通算1981安打・242本塁打を記録した選手であるとともに、1993年以降はサンフランシスコ ジャイアンツを皮切りに計5チームで26年に渡ってチーム マネージャーを務めて通算2169勝を挙げました。名称として知られすぎて現役時代の数字が霞むレベルです。
 新庄 剛志が所属していた2002年は初めてワールドシリーズに進出するもアナハイム エンジェルスに敗れ、当時ワールドシリーズを見ていた私は『なぜ守備力の高い新庄を使わずケニー ロフトンに固執するのか』とちょっと憤慨していました(笑)以降もなかなかワールドシリーズに届いていませんでしたが2020年にヒューストン アストロズのTMに就任すると、2021年に2度目のWS進出、そして2022年に悲願の初優勝を果たしました。
 ちなみに本名は『ジョニー』で、ダスティーは子供の頃に砂遊びが好きだったことから母親がつけたあだ名だとWikipediaに書いてあります。MLBでは本名ではなくあだ名での選手名登録も認められており、代表例では名称として知られるケイシー ステンゲルの『ケイシー』は彼の出身地であるカンザスシティー=K.C.から取られたあだ名です。ただし、たしか私の記憶ではサッカーと違ってMLBでは『苗字+名前』であることは必須要件になっているので例えば『イチロー』は認められず公式記録は『イチロー スズキ』になっています。あ、スタートユアエンジンズ!

・ステージ1

 スタート直後に前に出たのはホースバーでしたがすぐにターン7aでギブスがリードを取り戻し、逆にホースバーは2周で5位に後退というなんか先週も見たようなパターン。この後ホースバーはペースが上がらず後続の蓋になった上に、あろうことかターン2で後ろから怪我持ちのベルをつついてスピンさせそうになりました。不満の種をまくことだけは忘れない人のようです^^;
 ギスバーゲンはターンの入り口ではフリー、低速コーナーはタイトだということでバランスにたいそう不満を持っているとの情報ですが、それでも14周目にマクダウルを抜いて2位、ギブスが見える距離まで迫ってステージ残り2周となります。ここで選択が分かれてギブスはステイアウト、ギスバーゲンはピットに入ってステージをフリップしました。一応言っておくと、SVGがルースだと言ったらだいたい他の人はその2割り増しぐらいでもっとひどいルースであることが多いです(笑)
 かなりのドライバーがステージのフリップを選んだのでギブスは2位に10秒以上の大差を付けた独走でステージ1の勝者となり、ベル、マクダウル、ホースバー、プリース、ボウマン、ギスバーゲン、ジョーンズ、ラーソン、ハーブストのトップ10でした。ギスバーゲンとラーソンはステージをフリップしてステージポイントも手に入りました。


・ステージ2

 ステイアウトした人がステージ間コーションでピットへ。スタートからあんまり速くないレディックはパワーステアリングが壊れていたようで、ピット内で修復作業に取り掛かりますが5周遅れと絶望的。トラック上は30周目にリスタートしてラーソンがSVGに食い下がりますが、まあ普通に考えてSVGはタイヤを守るために無理してないので周回を重ねると徐々に差が開いて行きます。もうずっとSVGのターン。
 44周目にはブリスコーがラーソンを抜いて2位になりますが、そのブリスコーも49周目にはブレイニーに抜かれました。ブレイニーはクールスーツが壊れてるんですけど走りには今のところ影響がない様子。その間ギスバーゲンはどんどん逃げてテレビに映りません。
 
 そのままSVGが10秒以上の差を付けてステージは終盤、またギブス君がステイアウトして他は多くがステージフリップ。これでステージ2勝者もギブスで本日20点獲得、ベル、アルメンディンガー、シンドリック、チャステイン、Z.スミスのトップ6に、ステージフリップ組のギスバーゲン、ジリッシュ、ブリスコー、ブレイニーが続きました。ギスバーゲンはタイヤ節約のために最後の1周をむっちゃくちゃゆっくり走ってますね(笑)

・ファイナル ステージ

 ステージ間コーションでステイアウト組はピットへ、ここまで思ったより快調に見えるベルでしたが危うく左前輪のナットを締めきらないまま発進しそうになって急停止。ペナルティーを食らうよりはマシですが集団の中に入って怪我が怖い展開になりました。60周目、待望のライバル対決・ギスバーゲン/ジリッシュの1列目でリスタートしましたが、翌周のターン3で多重事故が発生して本日3度目、ステージ間以外では初のコーションです。ジョッシュ ベリーのマスタングがだいぶ変な顔になりましたが、そんなに大きな事故ではありませんでした(え)
このあたりはお客さん少ない

 TNTがコマーシャルをギリギリまで放送していた64周目にリスタート、とにかく前に出たい2列目のブリスコーがSVGを押して道を開けてジリッシュから2位をもぎ取ります。これはSVGからすればジリッシュに煽られるよりもいくぶん楽な気が。そして後方ではターン7aでハムリンが押されてスピン。あれ、これひょっとしてレディックもハムリンもトーナメントで負ける・・・?
 その後は予想通りブリスコーがジリッシュの蓋になってギスバーゲンが快走、2秒ほどの差になった状態で82周目・残り28周でブリスコーとジリッシュが同時にピットに入りました。ジリッシュ、ジャッキを落とした後にエンジンが止まって2秒ほど失いさらにSVGの背中が遠のきます。ギスバーゲンは後ろが動いたので自分も動き、83周目にピットに入って問題なく実質の1位で復帰、先に入った分だけブリスコーが約1秒差として食い下がります。

 ここから優勝争いはしばらく何も起きませんが、この時間帯に映像を盛り上げたのはタイギブス。ステージをフリップしていないのでファイナルステージを11列目からリスタートしましたが、新しいタイヤでギャンギャン攻める分かりやすい組み立てで69周目の段階で既に10位。ピットに入るのも86周目まで遅らせてタイヤ履歴差でどんどん仕掛けます、99周目/残り12周でなんとジリッシュも抜いて4位まで順位を上げました。
 さあそんな間にもうSVGはぶっちぎり、と思ったら引き続きブリスコーが1秒強の差で食い下がり続けると、なんと残り5周でついに0.8秒差でむしろブリスコーの方が速そう。SVGは周回遅れのスアレスに引っかかって苦戦。ブリスコーは今しかない!と攻めたらターン1でミスってしまいますが、SVGの前にはなおもスアレスが居座っているため逃げることができません。そのスアレスがさらに周回遅れのコディーウェアーを抜くもんだからSVGにクリーンエアーは全然当たらず嫌がらせみたいな展開。
 ブリスコーもあまりに前に近づくとダウンフォースが抜けるので自力では抜けそうになく、結局スアレスが前に居座ったままSVGとブリスコーは僅か0.3秒ほどの差で最終周に突入。どこかで1回ミスったらやられる状況ですがSVGは落ち着いた走りを続け、ブリスコーはターン4aで僅かに慎重な走りになりました。これでターン7aで飛び込む手は使えず、S字区間はSVGがサクサク通過。ターン10もきちんと立ち上がったのでもうブリスコーはミサイル以外に手が無く、わりとブレーキは奥まで行ってバンパーを使う雰囲気は出したものの距離が全く足りていませんでした
 シェイン バン ギスバーゲン、先週のサンディエゴで多重事故に遭ってリタイアした悔しい結果を、運良く続いたロードコースですぐに取り返し今季2勝目・通算8勝目を挙げました。恒例のラグビーボール蹴りは運悪くボールが設備の支柱みたいなやつに当たってしまい、勢いを失って観客席まで届かずピット裏に落下。そこに居合わせた人たちで奪い合いになってマジでラグビー状態です(笑)


シャノン スペイク「さあ、ボールを蹴るだけの力が脚に残っているのか気になりましたけど、レース カーの中で死に物狂いで戦って手にした勝利です、喜びもひとしおではないですか?」

SVG「いやあ、本当にすごい一日でした。昨日は調子が全然良くなかったんですけど、チームのみんなの素晴らしい仕事で勝てる車に仕上げてくれました。19号車が猛追してきて、向こうも本当に速かったです。最後はこっちも限界でしたけど、レッド ブル、トラックハウス、そしてシボレーに感謝したいですね。先週の雪辱を果たせたという意味でも、特別な勝利です。」

シャノン「先週と言いますと、レースにやり直しはききませんが、今回はそれに限りなく近い状況でしたね。どれほどの気持ちや怒りを込めたのでしょうか?今日のレースでもそういう一面が見えていたと思いますが。」

SVG「いや、週末には気持ちを切り替えられていました。週の初めは確かに腹を立てていましたが、こうしてチームのみんなと喜びを分かち合えたことで完全に埋め合わせができました。彼らも週の初めは大変な思いをしましたから、ここで勝てて本当に最高です。」

シャノン「終盤の数周は無線で必死に耐えている様子が聞こえてきました。これまでの勝利の中でも、特に厳しい周回だったんじゃないですか?」

SVG「ふざけた車が前に出てきてトラック上のあっちこっちでふらつくわ砂埃を巻き上げるわでずっと苦戦していました。それにチェイス(ブリスコー)の走りが本当に素晴らしかったので、あと数周続いていたら危ういところでしたね。」

シャノン「まずはこの勝利を祝いたいところですが、全体を見ればチェイス(プレイオフ)が重要です。現在ポイント14位で進出ラインより36ポイント上につけています。この勢いはポスト シーズン進出への弾みになりそうですか?」

SVG「もちろん助けにはなりますけど、チーム全員に言えることですがオーバルでの走りをさらに向上させる必要がありますね。ですから間違いなく追い風にはなりますが、オーバルの選手権ですから、とにかくそこを改善するように続けて行きたいですね。」

シャノン「キックの距離感はどうでしたか?」

SVG「まあもうちょいですね、来年また挑戦します。」

シャノン「改めておめでとうございます。シェーン ヴァン ギスバーゲン選手、ロードコースの王が再びその座を手にしました。ビクトリー レーンこそ彼にふさわしい場所であり、圧倒的な強さを見せつけて見事な連覇達成です。」


 ギスバーゲンは優勝に加えてステージポイントも8点獲れたので合計63点をがっぽり稼ぎました。2位はターン1での失敗を悔やんだブリスコー、3位のギブスはステージポイント20と3位の34点で計54点を稼いだので作戦成功というのがクルーチーフ側の見立てだとは思うんですが、ギブスとすると勝てるだけの速さがある車で勝負させてもらえなかったのが納得いかず「最低、マジで最低。」と無線で不満を漏らしました。後日ポッドキャストでハムリンは両方の立場に理解を示しつつ、SVGを倒せる候補の1人にギブスは入るだろうとも話したそうです。なかなか後輩思いの良い先輩じゃないですか。
 4位からラーソン、ベル、ブレイニー、ジリッシュ、プリース、マクダウル、ボウマンのトップ10。ベルはファイナルステージで集団の玉突きに入ったりしましたが、どうやら無事なようで終わってみたらこのレースで50点獲得。マクダウルはステージ1を走り切ってステージ2はフリップしポイントの最大化を試みましたがタイヤの摩耗が酷くてすぐルースになってしまったとのことで、ちょっと伸びませんでした。ホースバーは11位、速いけどタイヤをすぐに溶かすのは若い頃のカイルやラーソンを思い起こしますが、本人曰くロングランはそれなりに良かったんだとか。

・NASCAR In-Season Challenge

 さてインシーズンチャレンジですが、最大の番狂わせは第1シードのレディック。当たり前ですが周回遅れだったのでこのレース最下位となり、第32シードのボウマンが勝ち上がりました。結果的にボウマンは10位でしたからレディックが普通に走ってても面白い勝負だったかもしれませんが。
 そして第2シーズのハムリンもスピンして、しかもその時にスプリッターが曲がってダウンフォースが無くなってしまったので競争力も喪失。第31シード・タイ ディロンがまさかの2年連続大番狂わせか!?とにわかに沸き立ちました。ところがディロンもまたパワステが壊れて残り11周で順位が逆転。結局弟ディロンは35位に終わり、ハムリンは26位ながらなんとか勝ち残りました。
 この他に下位シード選手が勝ったのはギリランドとマクダウル、対戦相手だったスアレスとウォーレスは脱落となりました。ギリランド対スアレスはギリランドが29位、スアレスが31位というものすごく低レベルな争いになってしまいました(笑)一方マクダウルに負けたウォーレスですが、予選で車を壊し、決勝も追い上げていたのにステージ2でミスってS字部分で飛び出して順位を吐き出し、急ぎすぎたかその後はターン11で失敗してギリランドにタックル。すぐにターン2でやり返されて砂場に飛び出す完全な悪循環。22位ではマクダウルに勝てるはずもありませんでした。

 そしてインシーズンチャレンジよりよっぽど大事なレギュラーシーズン順位ですが 

 とうとうハムリンがレディックを逆転。レディックからするとハムリンも下位でまだ助かった、ぐらいの結果です。このレース24位だったロガーノは今シーズン初めて選手権順位が20位まで低下。ロガーノより1点少ない21位にマクダウル、その下がチャステインとなっています。

 今季最後のロードコースはやはりSVG対その他全員の構図に変わりありませんでしたが、ブリスコーの予想外の快走で面白いレースでした。ほんの僅かなタイヤの使い方でロング ランでの速さは変わるんだろうなと思いますが、1秒ちょっとの差でSVGの後ろを走り続けてタイヤをもたせたというのはブリスコーにとって自信になりますし、他の選手も「あれ、ブリスコーでやれるなら俺たちも行けるんじゃね?」という気に多少はなったかもしれません。
 それでも致命的にミスらないSVGのドライビングはやはり素晴らしいの一言に尽きます。いつもながら他の選手よりコース幅いっぱい、壁沿いや草地・砂場ギリギリまでタイヤを寄せてコース幅の使い方が他の多くの選手よりタイヤ1本分広いと思いますね。逆にジリッシュは最後にかなりルースになってしまって順位をかなり落としており、得意のロードコースであっても長いレースの戦い方にはまだ課題がありそうです。
 アルメンディンガーは16位に終わり、レース後の取材によると今シーズンのロードコースはずっとタイヤの摩耗が酷くて上位で戦えないとのこと。見てる側とすると「AJ16位か、もうあかんなあ…」と思ってしまうところ、彼自身としてはどっちみち15位以内の車では無かったのでステージポイントを上手く回収させてくれたクルーチーフに感謝、だそうです。いやあ、コウリッグレーシング、キツいっすね。

 ギブス君は作戦に文句を言っていましたが、ハムリンの言う通りここは何を優先するのかが難しいのでどちらが良かったのか判断は難しいところ。ステージ1ではまだSVGの前にいたわけですから理論上は同じ作戦で前を走り続けられたわけで、走る側とすると「ほら俺これ前におってんから行けたやん!」と思いますが、外から見てるとそんなに簡単じゃない、と考えるのも自然な話。結局のところまだ勝てる作戦を担わせてくれるほどの信頼が無いわけで、そこは安定して結果を出すことで任せてもらえる選手にならないといけないとは思います。

 さて、次戦はアメリカ建国250周年の独立記念日を祝う週末。2019年以来の開催となるシカゴランドが舞台となります。前回の勝者はボウマンだったので、次の対戦相手であるシンドリックも倒して番狂わせ継続に期待がかかります。とりあえず最新情報だと、ガレージ66・ジョッシュ ビリッキーはエントリー リストに名前があったもののスポンサーが見つからず参戦を取りやめたとのことです^^;

コメント