フォーミュラE シーズン13の日程&レース形式&大まかな規則発表!

 ABB FIA フォーミュラ E 世界選手権、新車両Gen4とともに始まるシーズン13の日程とレース形式が同時に発表されました。来シーズンは新たな開催地を含む13か所・全21戦で開催され、開幕戦は2026年末の12月にジェッダ2連戦で開幕、今回はさすがに1ヶ月以上レースが存在しない空白は埋められて毎月何かしらレースが開催されて最終戦は7月の東京となっています。

 まずは発表された開催日と開催地をまとめました。

 ジェッダ2連戦はイラン情勢次第では開催が出来ない可能性もありますが、その場合は数か月先送りして空き日程に挟み込むことも可能ではあるとの情報です。5月以降は入る余地がないのでやるとしてもサンパウロと三亜の間でしょうかね。2027年に入って、もしかしたらこっちが開幕戦になるかもしれないメキシコシティー、そしてアメリカはマイアミだけでなくなんとCoTAでもレースが開催されます。NASCARレイアウトでしょうか^^;
 ドイツでの開催はGen4でのテンペルホーフ空港は手狭だから移転するという噂でしたが結局が複数年で契約を延長したとの情報。移転候補先だったノリスリンクについては交渉が難航してしまい、そのうちの1つは回生箇所を増やすためのシケインを追加する提案が伝統的な開催地の意向と合わなかったこともあったようです。でもドイツは参加メーカーが多いのでシーズン14以降にもう1か所増えても不思議ではないとのこと。というか5月に2連戦が3つもあって1ヶ月で6レースもやるじゃないか( ゚Д゚)

 イギリスの開催地は都市名としては変わらずロンドンを名乗っていますがエクセル ロンドンではなく常設サーキットのブランズハッチへ。F1でもうだいぶおなじみになったザントフォールトも開催地に入り、なかなか良いレースが見られたハラマも引き続き日程に残りました。中東開幕から北アメリカ、南アメリカ、一旦中国を通ってヨーロッパ、そして中国、日本とわりと流れるような日程になっています。

・フォーミュラ E アンリーシュトゥ誕生!何それ?

 そしてもう1つ大きな発表が、より速くなったGen4車両を活かしつつも従来のフォーミュラEらしさを消さないために生み出された新しいレース形式です。シーズン13では従来通りに賢く節約して走る世界最速の頭脳ゲーム『E-PRIX』と、Gen4車両の速さに重点を置いた短距離レース『E-PRIX UNLEASHED』の2種類が開催され、同一シリーズであいがけカレーみたいに2つの味が用意されました。アンリーシュトゥは『解き放たれる』というような意味で、Gen4車両の持つ速さを開放したレースという意味合いです。
 なおスポーティング レギュレーションではこの2つについてあんまり詳しく書いてはいないんですが、規則2.6で『パフォーマンス レース』『エフィシェンシー レース』という表現が用いられています。速さを競うレースと効率を競うレースですね。対外的には双方の内容について発表されたんですが、競技規則では具体的に『パフォーマンスレースとは〇〇というレースである』という記述は見当たらず、あくまでレース時間などはレースごとに発行されるイベント ノートに依拠する形なんだとは思いますが、発表された内容を頼りにすると


 こういう違いになるようです。Gen4は空力仕様が2種類設定されており、速さを競う場合はダウンフォースも増加させてとにかく速い車に、効率レースなら抵抗は邪魔だしそもそもそんなに速く走らないので低ダウンフォース仕様です。じゃあそれはどう使い分けるのかというと、単独イベントでは従来通りの効率レースだけが開催され、2日連続で開催されるイベントの場合に両形式のレースを開催する見込みです。今のピットブーストあり/なし2連戦がこれに取って代わることになります。
 技術規則によるとレース中に使える最大エナジー量は51.25kWhで現在の標準的な容量である38.5kWhから見ると1.33倍ぐらい。多くのサイトは分かりやすく書くために『バッテリー容量は51.25kWh』と書いてるところも多いですが、バッテリーが持つ蓄電容量はもっと多くて38.5kWhにしろ52.15kWhにしろ『レース中に使用可能な実質エナジー総量』というのが正確な認識です。ただ実際にレースでどれだけ使えるかはレース毎のイベントノートで決められるので、場合によっては48kWhかもしれないし、42kWhかもしれません。あくまで51.25kWhは規則上の上限です。
 車がどれだけ速くなってもノロノロ節約レースしてたら意味ないな、という意見を汲んで『電気自動車もこんなに速い!』ということを示しつつ、しかしそれだけでは抜けない・前に付いて行けない・何も起きない他の主要なレースと同じ道をたどるため、従来通りのレース形式も踏襲。そして周回数制から時間制レースに戻るので、頭の使い方がまたちょっと変わります。SC/FCYが出た際にレースが延長する規則も継続です。

 車両の最高出力はレース モードで450kW、予選/スタート/アタックモード使用時は600kWになります。常時4輪駆動で、リア MGUからの最高出力は350kW、フロント MGUは250kWが上限値。回生は前後とも最大350kWで合計700kWでの回生を行うことができます。常時4輪駆動になったのでシーズン12までの規則書で『4輪駆動モード』と書かれていたものは全て『600kWモード』に書き直されています。なおフロントMGUはGen3Evoと同様に共通部品なので、開発可能なリアMGUの方が効率では勝ることになると予想されます。
 
・予選制度にも変更あり

 注目が上記内容に集まっていますが、予選制度にも変更点があります。まず今シーズンまではグループ予選では通常モード、デュエルスだけ高出力モードでの走行でしたが、シーズン13の競技規則ではグループ予選から600kWで走行すると書いてあります。さすがに150kWも出力が急増しての一発勝負は難しそうですし、予選で最初から全力全開なのは素晴らしいですね。
 そして予選の獲得ポイントも変更されました。今シーズンまではポール ポジションを獲ると3点でしたが、シーズン13の規則では『デュエルス進出で1点、勝ちあがるたびに1点加算、ポールシッターにはさらにボーナス1点』の考え方になります。これを並べると

1位:5点
2位:3点
3位・4位:2点
5位~8位:1点

 こうなります。1年を通じて安定してデュエルスに出ていれば、たとえポールを取れなくても年間で決勝を1回勝ったぐらいの点数になるかもしれませんね。なおこの予選ポイントはドライバー選手権とチーム選手権には加算されますが、マニュファクチャラー選手権のポイントだけは対象外となるので注意が必要です。

・タイヤ

 ハンコックからブリヂストンへと供給者が変わるタイヤですが、セット数は従来通りになっていて1戦だけのイベントは2セット、2日間のイベントは3セットと車が速くなっても相変わらずケチケチです。ただ従来との違いは溝付き全天候型タイヤとは別にウエット タイヤが新設されたことで、各イベントに1セットが用意されます。
 ウエットタイヤには規則書でわざわざ『タイフーン タイヤ』という別名が記載されていて謎ですが、もちろんレース ディレクターがウエット宣言を行った時だけ使うことができます。ウエットは基本1セットですが、もし2連戦イベントの初日にウエット宣言が出た場合には、その日のイベント終了後に新品ウエットと交換してもらうことができる、と書いてあります。週末がずっと雨だった場合、同じ日に新品2セットは使えないけどそれぞれの日に新品タイヤを使うことは可能な規則です。溝が無くなったら全天候と変わらんから意味ないですしね(笑)

・充電量

 まだあんまり大きく取り上げられてる様子が無いので半信半疑なんですが、競技規則27.5に

競技において選択可能なピットブーストのエナジー量と、それぞれに対応する最小停止時間を定めた表が適用される。選択可能なエナジーレベルの数、各レベルのエナジー量(kWh単位)、および各レベルの最小停止時間は技術規則 7.5に基づきFIAが定めるものとする。
ピットブーストのためにピットレーンに進入する前に、ドライバーはステアリングホイール上の所定の操作によって公表されたエナジー量の中から一つを選択しなければならない。急速充電器が車両に接続されると選択されたエナジー量は確定され、変更することはできない。

 と書かれています。これをそのままの意味で読むと、現在は3.85kWhで固定されているピットブーストの急速充電量が、シーズン13ではアタックモードのように何種類かあるうちの1つを自身で選ぶ選択制になり、戦略の幅が広がることになると思われます。ピットブーストができた時に『充電量を選べるようにすれば良いのに』という趣旨のコメントをたしかokayplayerさんからいただき、当時の私は『充電にかかる時間とそれで得られる速さが釣り合わないので、そうすると誰も充電せず走ろうとしてしまうのではないか』と回答したと思うんですが、車の進化のおかげかマジで充電量を選べるっぽいです。

 技術規則7.5によれば今のところ『レース中の急速充電は最大で4.05kWh(後日確定)』と書かれており現在とそれほど大きな差はありません。単純に『満充電なら30秒、半分なら15秒』だと2kWhの差で15秒差は追いつかない気もするので、たぶんここからおそらく運営側で『理論上は満充電の方が速いけど、でも静止時間を短くして切り上げたくなる絶妙な設定』というのを入念に試算して提示するのではないかと思います。でなかったら意味ないですし(笑)

・その他の細かい話

 まず、競技規則書はこれまでフランス語と英語の2言語併記方式だったのが、シーズン13の規則は英語版だけ公開されました。これに伴って『疑義が生じた場合は英語版の内容を優先する』という規定も削除されています。翻訳するとどうしても言い回しの関係である言語ではきちんと隙間なく作った内容がある言語に訳すと解釈の余地が出る、みたいなことがあるのでこういう記述が必要だったんですが、1つしか無ければ不要です。技術規則は変わらず2言語併記でした。フランス語併記だと単語検索かけた時に多くの単語は二重に引っかかって面倒だったんですよね(笑)

 お次は競技規則13.12と27.5で2回も書いてあって目に留まったピット作業規則。

『ピットストップの際、車両の停止および発進の合図を行う担当者は、常にピットブースト マーキングのガレージ側に留まらなければならない。』

と書いてあります。従来の規則では『車両のガレージ側』という書き方だったんですが、ハラマのレースでまさにこのクルーの立ち位置をめぐってジャガーが審議対象になったことがあったので表現を見直したと思われます。おそらくですが『車両のガレージ側』だと前輪とフロアの間にある空間など、真上から見た時に車両の存在する座標の内側に人が入り込んでも『車体のガレージ側』には違いなくて解釈の幅があるので、ピット上の目印を境界線として絶対に危ない場所に人が入らないようにしたと推察します。


 競技規則10では車体のリバリーに関する決まりごとが書いてあるんですが、その中で車体に貼ることが義務付けられている車番について、従来は最小で145mmの高さを持つ数字である必要がありましたが、これが最小120mmに少しだけ縮小されました。ちょっとだけカー ナンバーが小さくなるかもしれません(笑)ちなみに文字の太さは最小32mmとこれも細かく決められています。
 シーズン13の規則はまだ完成途上っぽいので該当ページが空白なんですが、シーズン12の規則書は付則としてカーナンバーや公式スポンサーのデカールの色・種類・貼り付け箇所などが細かく指定されているのを読むことができます。数字とドライバー名の文字フォントは FE SANS MAXI BOLD というのが指定されており、実は規則書からリンクが張られていてGoogle Driveの共有ページに飛ぶので、ぶっちゃけ部外者でもダウンロードができてしまいます・・・(笑)

 最後に、あまり目にすることは無い練習走行ですが、従来の40分が45分に拡大されます。ただしそのうち最初の30分間は450kWモードだけが使用可能、また規則上は練習走行でどちらの空力パッケージを使うのかは任意となっているようで、この後はパフォーマンスレースが控えている中で『俺たちは今日のレースを捨てて明日のエフィシェンシーレースのために低ダウンフォース仕様で練習するぜ!』というのもありみたいです。たぶんそんな人いないと思いますが、何か抜け穴的使い道が出てきたらまた取り上げることになるでしょう(笑)

 それにしても1年目からの進化には驚くばかりですね。今のところは楽しみしかない来シーズン、規則書もまだ完全版にはなっていない様子ですが、最終的な内容と12月の開幕が今から待ちきれません。でも現場は今のシーズンと新車の開発でてんやわんやだろうなあと思います、みなさまお疲れ様ですm(_ _)m 

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