NASCAR 第13戦 シャーロット

NASCAR Cup Series
Coca-Cola 600
Charlotte Motor Speedway 1.5miles×400Laps(100/100/100/100)=600miles
※Race shortened to 373 Laps due to rain
winner:Daniel Suárez(Spire Motorsports/Freeway Insurance Chevrolet Camaro ZL1)

 NASCARカップシリーズ第13戦、コカコーラ600。2015年から『600マイルの追悼』と銘打たれた企画により、各ドライバーはそれぞれ1人の戦没者の名前をフロント ウインドウ上部に記載し、テレビ中継でもドライバー自らがその戦没者の名前を読み上げる映像が流れます。戦没者と言っても時代は非常に幅広く、直近の2026年にペルシャ湾で亡くなった方もいればベトナム戦争で亡くなった方もおり、中には太平洋戦争で日本の特攻隊の攻撃により亡くなった方も含まれています。
 というような軍事色の強いイベントは日本から見ていてもピンと来ない方も多いのではないかと思いますが、こと今年に関してはカイルの追悼という別の側面があるため、いつもとはずいぶんと見え方の変わる週末だったかもしれません。もちろんNASCARとしても、全く予期せぬ出来事ではありましたがこの週末は600マイルの追悼というテーマに『カイルへの』というものが大いに含まれています。

 そして日本からの視聴者にはもう1つ大きな出来事、昨年は封印されていたアマゾンプライム放映期間のYouTubeフル動画が今年は解禁されたようで通常通り見れました、やったね!でもスタート前のセレモニーは入っていないので、アメイジング グレイスの演奏などをご覧になりたい方はアベマを見るか、YouTubeで別に用意されている公式動画をご覧ください。なお一応紹介しておくと、NASCAR on Prime Videoの放送席は主に

実況:アダム アレグザンダー
解説:デイル アーンハート ジュニア(元ドライバー)
   スティーブ レターテ(元クルーチーフ)
ピット リポーター:
 トレバー ベイン(現役ドライバー)
 キム クーン
 マーティー スナイダー

 となっています。何人かはNBCの中継までそのまま担当し続けるメンバーですね。去年はアダムの実況を聞けなかったので嬉しい(←ややアナウンサーオタク)

・ステージ1

 予選順位が実力を反映していないので、まずは速い人とそうでない人を見極める時間帯。ポールシッターのレディックは遅いはずもありませんが、ギブス君はこれにきっちり付いて行きます。8周目はカイルへの黙とうで放送席は無言、観客席は両手で4を作って8号車のカイルを追悼しました。たぶんこれは来年以降も節目節目で続けられるんじゃないかなあ。
 35周目に入ってもレディック、ギブスのトップ2は変わらず接近。3位は当初ブレイニーでしたがハンドリング悪化でブリスコーの手に渡り、たぶんあとの速い人はまだ埋まってるんだろうなあというところ。そんな中で35周目にジョッシュ ベリーがスピンしてコーションとなり、絶好のタイミングでリードラップ選手は全員ピットに入りました。ブレイニー陣営はここで恒例の作業失敗。なんで今年になってこんなに急に下手になったんや^^;

 40周目にリスタート、ブリスコーの挑戦を1周かけて退けたレディックが引き続きリードしますが、さっき外したタイヤは部分的に表面のゴムが無くなって内部のコードが露出寸前。35周でこれなので丁寧に走らないといけない、という話を放送席がしようとしていたら、53周目にシンドリックがスピンして運悪くジリッシュがそこに突っ込んでクラッシュ、2回目のコーションが出ました。2人とも車の損傷が激しくてここでリタイア、コカコーラ80ぐらいになりました。

 タイヤの摩耗が酷い状況ですから多くのリードラップ選手はまたピットに入りましたが、4人はステイアウトを選択し数人は2輪交換。60周目にごちゃ混ぜの状態でリスタートするとまずは2輪交換のゼインスミスがリード、4輪交換のレディックが続きました。こりゃあレディック無双継続かなと思いきやここにラーソンも現れ、70周目にレディックを抜いて2位になり、その2周後にミスってまた3位に落ちました、宮田ラーメン何してんねん(笑)
 そのレディックもロングランではやはりタイヤが厳しいようで87周目にはハムリンに抜かれてしまい、そんなわけで2位がなかなか追いかけて来ないのでスミスはリードを維持したままステージ1終盤へ。しかし90周目にエリオットが単独スピンしてコーションが発生し、また作戦ごちゃまぜの時間となりました。チェイスファンはオールスターに続いて2週連続でのがっかり事案、リタイアしてコカコーラ135ぐらいで終わってしまいました。

 さあ作戦はというとリードラップ選手は2人を除いてピットへ、2輪交換したジョーンズ に続いてスミスはピットを2番目に脱出、さすがはピットクルーチャレンジ優勝メンバー!・・・と思ったらスミスが速度違反していました、意味ねえ(´・ω・`)コーション前の段階で6位まで上げてきていたベルも隣のチームの作業を邪魔してしまったのでペナルティー、後方に落とされています。
 96周目/ステージ残り5周でリスタートすると、ステイアウト2人の壁でごちゃつく中をラーソンが内側からぶち抜いて先頭へ。そのまま3人のトヨタドライバーを退けて逃げ切り、ステージ1はラーソン、ブリスコー、レディック、ハムリン、ジョーンズ、ブレイニー、ギブス、プリース、ステンハウス、ギスバーゲンのトップ10となりました。プライムビデオはFOXほどインサートに変な演出が無いですね(笑)

・ステージ2

 さっき4輪交換した人たちはさすがにほぼステイアウトを選択し、少し薄暗くなる中で109周目にリスタート。クリーンエアーを守りたいラーソンですがどうも速さが足りないようで2周後にブリスコーが前に出ました。ほどなくブリスコーとハムリンによる追いかけっこになりますが、ロングランで強いのはやっぱりハムリン、143周目にリードチェンジです。

 もうステージは半分近くまで来ているのでブリスコーは146周目にピットに入り、ハムリンは翌周に動いてアンダーカットを阻止しました。ブリスコーはウエッジのアジャストでちょっと時間がかかってしまいピット前よりもむしろ差が拡大、まあこの後のレースで速くなるためのアジャストなので、少々ここで時間を使ってもしょうがないわけです。

 というわけでステージ2後半のハムリンは敵なしの状態。ブリスコーはロングランがそんなに改善はしていないようで、今度はギブスにも抜かれてしまいました。でもこの時、ギブス君は「チームメイト同士だから抑えないで欲しい。」と無線で譲るように伝えたものの、スポッターから「ハムリン相手の時も同じようにやってたから。向こうはずっと激しく争ってる。」と返事が来たので「ふざけてんの!?こっちは今までずっと譲ってきたのに!?」とお怒り。チャンピオン争いしてるハムリンを抑えたために内輪揉めした人が何言ってんだ、という気もしますが、あの一件でちょっと反省したんでしょうか。
 ギブス君が大人になったのか、あるいは逆に1勝してちょっと調子に乗り出したのかはこの切り取られたやりとりだけでは分かりませんが、何はともあれステージ2はハムリンが大差で制し、ギブス、ブリスコー、レディック、ラーソン、ベル、ブレイニー、ブッシャー、ギスバーゲン、ステンハウスのトップ10でした。ベルはペナルティーを挽回してここまで戻っており、ハムリンと同等に速そうです。あとSVGは偶然手にした予選上位からずっとトップ10圏内を走っててけっこう速いので驚かされます。

 ステージ2でも変わらずタイヤの摩耗は懸念材料で、数人はステージ終盤にタイヤがもたなくなってしまって緊急ピットや低速走行を余儀なくされました。攻めすぎや無理なアンダーカットには後で大きな痛みが待っているようです。

・ステージ3

 コカコーラ600恒例、戦没者追悼のために一旦全員がピットに入って車を止めますが、今年はドローンにより空中に星条旗を描くなどいくぶん進化。そしてその流れでドローンでコカコーラが描かれました、かんぱーい、カチン♪いや分かるけどさ()
 その後に改めてピットが開いてリードラップ選手がピットへ、ベルが今度はピットボックス外での作業をしたということでまたペナルティー。詳細映像が無かったので何をやったのか不明ですが、そもそもナットを締める前にジャッキを落としたか何かで作業をやり直してピットをビリで出て行ったように見えるので、発進→急停止→締め直す→ボックスから出てた、みたいな話だったのかなと思います。ペナがあっても無くてもどっちみちほぼリードラップ最後尾ですね。

 というわけでまたベルが下がって208周にリスタート。リスタート直後が遅いハムリンはなんとかリードを守りましたが、2周後にキャサリンレッグの右前輪が外れたためコーション発生、やり直し。なおレッグはインディー500では17周目にクラッシュしてリタイアし、500マイル走破を早々に断念。スピンしたライアン ハンター レイを避けようとして自分もクラッシュしてしまいました。
 216周目にリスタート、今回のハムリンはブリスコーを一発で落とせずに1周まるまる並走になると、その隙にレディックが内側に飛び込んで2人まとめて抜いて行きました。それでも無敵モードのハムリンは222周目にあっさりとレディックを逆転、と思ったら翌周にミスって抜き返される宮田ラーメンムーブでまたレディックに抜かれました。だんだんと雨雲が近づいており、ひょっとしたら最後までレースを続けられずに打ち切られる可能性がありそうなので焦りもあるのかもしれませんが、とりあえずちょっと落ち着こう^^;
 というわけでまた2位でずっと追走を続けることになったハムリン、そのまま周回数は250周目を通り過ぎてピットサイクルが始まりました。と思ったら251周目、レディック、ハムリン、ブリスコーの3人が同時にピットに飛び込み、同じ並びのままでピットを出て行ったので何か起きるだろうと構えていたピットでは何も起きず、拍子抜け(笑)

 ピットを出たらハムリンはまた全力でレディックを追いかけ回しますが、やがて勢いに陰りが出てむしろブリスコーに追われる立場に。そして269周目に2位を奪われてしまい、ステージ1とは逆の立場になりました。レターテは仮説として、ステージ2終了後の黙とう中はトラック上に全く車がいないので、その間に路面温度が大きく下がるなど『トラックが休んだ』状態になってハムリンの車に僅かに合わなくなった可能性を指摘。オーバルってマジで細かすぎてむずいんですけど^^;
 その後もブリスコーとハムリンの2位争いは続いたので、その間にさぞかしレディックは逃げて行っただろうと思ったらそうでもなくロングランで力不足の様子。むしろブリスコーとハムリンは争いながらでも追いついており、何ならこの3人全員のペースが鈍って4位以下が追いついているような状況です。ステージ残り15周、なんとレディック、ブリスコー、ハムリン、ギブス、ベルの5人が1秒以内で争うカムリワンメイクレースへ。

 このうちレディックはもうタイヤがしんどいようで争いからイチ抜け、混戦を上手く抜けたのはハムリンでしたが、5人の中で最も新しいタイヤを履くベルが続きました。ハムリンたちよりタイヤが6周新しい上に、速さがあることも証明済み。ステージ残り5周でハムリンをかわしてリーダーになり、2度のペナルティーは完全に無力化されました。
 ベルがそのままステージ3を制し、ハムリン、ギブス、ブリスコー、ラーソンのトップ5。レディック、ギスバーゲン、ケゼロウスキー、ブレイニー、ステンハウスのトップ10となりました。ピットで何度もペナルティーを受けて順位を下げたのに戻って来て勝つ、なんか今年は既に見覚えのあるパターンですね。ところで雨雲がそろそろ来そうですが・・・

・ファイナル ステージ

 ステージ間コーションに入ったと思ったらティミー ヒルの車から出火、ピットに駆け込んで消火したので大事には至りませんでしたが、作業中はピットが開かないので必然的にコーション周回が長引きます。309周目にやっとピットが開きリードラップ選手がピットへ、313周目にファイナル ステージのリスタートを迎えました。雨はなんか辛うじてレーストラックを避けてる模様。
 このリスタートで爆発的な速さを見せたのはギブス君、3ワイドの争いを制してリードを奪いました。しかし318周目、我らがチャステインがクラッシュして8回目のコーション。バックストレッチで軽くステンハウスに押されたら滑ってすっ飛んでしまい、内側のSAFERバリアに当たりました。ステンハウスはチャステインを抜こうと内側に動いたものの、速度差があったので思ったより早く追いついてしまってぶつけた、というちょっと不注意の事故に見えましたね。

 さあこれでクルーチーフは頭を捻る時間。ステージ1でのゼインスミスを見ると2輪交換で逃げることには利点がありそうですが、クリーンエアーを取り損ねたら悲惨です。ピットが開くとギブスは入ると見せかけてステイアウト、2位以下は多くがピットに入り、ベル、ハムリン、ラーソンなどは2輪交換でした。レディックはたぶん普通にやったら勝てないので4輪交換で勝負。まあ仮に最後まで雨に邪魔されず走れるのなら絶対にもう1回ピットが必要なんですけど。

 327周目にリスタート、ギブスは動き出しはすごく良かったものの中古タイヤが全然曲がらなかったみたいで、ターン2でスロットルを戻し失速。これでなんと同じくステイアウトしていたギスバーゲンがリーダーになりました。ベルが背後に迫っていますが安易に抜かれることなく必死に抵抗、そうしているうちに、


 中団で多重事故発生。バックストレッチでブリスコーがブッシャーを押して回してしまい、回されたブッシャーがチームメイトのライアン プリースを撃墜しました、オーナーのケゼロウスキーはそれを後ろで見ていてギリ回避。ブリスコーが左に動いて抜こうとし、ブッシャーもそれをブロックしようと左に動いて動きが重なった感じです。プリースは貰い事故ですね。それにしても今日はバックストレッチでの事故が多い気が。
 まだ雨は降らず338周目にリスタート、ギスバーゲンは自信のある外を選んでリスタートしましたが、さすがに2輪だけでも交換してる上にそもそも速いベルを止められずリードチェンジとなりました。ベルがリード、ハムリンが追い、そして4輪交換したレディックが壁沿いを走って2人を猛追、これは面白くなってきたぞ。と思ったら残り47周、とうとう落雷によりコーションが出ました、本日10回目。
 落雷がトラックの半径8マイル以内の範囲で観測された場合には、安全のため30分間はレースを中断するのがNASCARの規定、だと思ったら通常通りにピットが開き、リードラップ選手はピットに向かいます。なんだかコーションのまま待つ様子。するとこのピットで雨に賭けたかスアレスだけが2輪交換して一気に先頭へワープ。依然として何かの結界が張られてるのかと思うぐらい絶妙に雨雲はトラックを避けており、レースを続けられるみたいです(笑)
 
 結局落雷で中断することはなく、雨も降ってないので360周目/残り41周でリスタート。ラーソンにむっちゃ押してもらったスアレスが抜け出して、とにかく雨か落雷が来るまでの辛抱だとばかりに全力全開。3ワイドの争いがそこらじゅうで起きていてどこで事故っても不思議ではなさそうでしたが、翌周にはついに雨によりコーションが出ました。スアレス、とりあえずここまでは逃げ切った。
 これで一旦レッドフラッグにして全員ピットに呼ばれましたが、可能な限り続けるのがNASCAR、雨が止んだと見たら8分ほどでレッドフラッグ解除、370周目にリスタートしました。またラーソンに助けてもらったスアレスが単独で抜け出し、ベルはさっさと捕まえたいんだけどハムリンとレディックが絡んでくるのですぐに追えない状況。それでも何とかスアレスを捕まえて・・・というところで372周目にまた雨。スアレス、ここも生き残った。

 すると今度はさっきまでよりも明らかに雨量が増えました。NASCARはさすがにこれを乾かしてのレース再開は時間がかかりすぎて不可能と判断、レース成立で終了としてこの瞬間にダニエル スアレスのコカコーラ600優勝が決まりました。結局コカコーラ560ぐらいになりましたね。スアレス、雨に打たれつつ感極まって号泣。気づいたらこの週末の3シリーズは全て予定周回数を満たせずに終了、どうやら史上初の出来事だったそうです。安っぽい表現ですが、涙雨というやつでしょうか。

マーティー「ライアン スパークスの素晴らしい判断がありましたが、あの2回のリスタートでは素晴らしい走りが光りました。ダニエル、我々のレース前の番組で『木曜日からずっとカイルことを考えていた』と仰っていました。カイルに向けて、どれだけの思いが込められていたんでしょうか?」

スアレス「本当に大きな意味がありますね、本当に大きいです。何年も前から、このレースがシーズンで一番好きなレースだと言ってきました。毎年家族が来てくれるし、ほとんどの場合ここが家族が来られる唯一のレースなんです。そしてとても辛い一週間でした。カイルは特別な人でした。これはカイルのために。カイルと、サマンサと、ブレクストンと、レニックスと、そして彼の家族全員に捧げます。」

マーティー「レース前のステージでは感情を露わにしていましたね。」

スアレス「これは本当に特別なことです。もちろん、どの勝利も特別です。」

(インタビュー中も次々と色んな人が祝福に訪れる中、ここでジミー ジョンソンも訪れる)

マーティー「ジミー ジョンソンからの抱擁がありました。」

スアレス「でも、カイルのおかげでこの勝利は間違いなく特別な意味を持っています。これは彼のために。カイルがいなかったら僕はエクスフィニティー チャンピオンにはなれなかったし、カップシリーズにも出場できてなかったと思うので、彼のためにこのレースに勝つことができて、信じられないです。」

マーティー「チャンピオンシップというお話がありましたけども、今回の勝利はそれよりも大きなものでしたか?」

スアレス「どの勝利も特別ですね、どの勝利も。チャンピオンシップは本当に本当に特別なものです。ですけど、2度目ですかね?ですけどスパイアーモータースポーツでの初勝利で、フリーウェイ インシュアランスを背負って、CEOのセザール ソリアーノさんも来てくれています。本当に信じられないですね。チームは素晴らしい仕事をしてくれました。簡単ではありませんでした。レース中、多くの問題を抱えていましたがチームのおかげで上位争いに加わることができ、うまくレースを進めることができました。」

マーティー「どうやって勝利を手にしたのかについてもお聞きしたいのですが、4輪交換してる相手に対して2回もリスタートがありましたよね?」

スアレス「車は速かったんですよ、速かったんで、いくつか問題はあったんですけど週末を通して車には十分なスピードがあると思ってましたから。」

マーティー「ダニエル、この後お辞儀をしてもらえますか?」

スアレス「もちろんです。フリーウェイ インシュアランス、すべてのパートナー、シボレー、HMS パワー、そしてこのプログラムを成功に導いてくれた多くの方々に感謝したいと思います。」

マーティー「皆さんはカイル ブッシュに優勝してほしかったと思いますが、ダニエル スアレスがやってくれました。ライアン スパークスの素晴らしい判断でしたね。そして、レース終盤のダニエル スアレスの走りは本当に素晴らしかった。コカコーラ600を制しました。」

 中継映像には乗らなかったと思いますが、現地ニュースを見ると静止画としてスアレスのお辞儀が伝えられているのを見つけました。インタビュー中の「The championship was very, very special, but it's been a second, right?」が、通算3勝目なのに2勝目と勘違いしてのか、スパイアーが今年2勝目だという話なのか、ちょっとよく分かりませんでしたけど、まあ何せ2024年第2戦アトランタ以来約2年ぶりの通算3勝目です。


 スアレスは2015年にJGRからオライリーシリーズにフル参戦しましたが、同時にクラフツマントラックシリーズにもカイル ブッシュ モータースポーツから13戦に出場。2016年の第13戦ミシガンでオライリー初優勝を挙げますが、この時に優勝を争って最後に抜いた相手がカイルでした。今のカップ選手でカイルと何の関わりもなく過ごした選手はほぼいないだろうから誰が勝ってもこういう話にはなると思うんですけど。

 2位ベル、3位ハムリン、4位レディック、レース後の話を見てるとはっきりとは言わないもののちょっと味方同士で争ったせいでスアレスに逃げられたことへの悔いみたいなものを感じます。5位からラーソン、ギブス、ブレイニー、ロガーノ、バイロン、Z.スミスのトップ10。ギスバーゲンは常に上位を走って11周のラップリードを記録しましたが、最後のピットで少し順位を落として集団でのリスタートで苦戦、11位に終わりました。ちなみにギスバーゲンがオーバルで10周以上リードしたのは初めてです。なおキャサリン レッグは12周遅れの31位でした、よく走った方じゃない?


 当方の書いた訃報記事にもみなさんからコメントをいただきましたが、今週末はとにかくみんなカイルのために。そんな中でスアレスという想定とはずいぶん違う選手が勝ってビックリしましたが、おそらくNASCARの歴史において長年語り継がれることになるレースだったと思います。マーティーが何度も口にしていましたがスパークスの判断が見事でした。というかスアレス以外に誰も2輪交換で勝負しなかったのは個人的に意外でした。
 長くなるだけなので拾いませんでしたが、スアレスはステージ1でタイヤに異変を訴えて緊急ピットを要し周回遅れに。フリーパスで一旦リードラップに戻ったものの、ステージ2でまた右後輪が緩んでるかもしれん、という話でチームと無線で延々やり取りし、そっちが様子を見てくれ、いや、ピットに入るかはそっちの感触で決めてくれ、と押し付け合った末に結局はスアレスの判断で2度目の緊急ピット。ここからまたフリーパスでリードラップに戻れたのは9回目のコーションでした。
 そんな状況でスパークスは「ペースむっちゃくちゃ速いから!」と無線で激励しまくり、そして勝負を賭けた2輪交換。さっきまで周回遅れだったから失うものが無かったとはいえ、車が速いと思っていたのはスアレスもスパークスも共通認識で、クリーンエアーを取れれば抑えられる、というある程度の自信があったと思われます。雨が降ってくれたから勝てもしない選手が偶然勝った、という流れでないことはぜひここでお伝えしたい内容ですね。

 車の速さで言えばベル、ハムリン、レディックの順で速さを持っていたように見えたので、スアレスをどけたらそのまんまの順位ですからJGR/23XIで上位独占も夢ではありませんでした。ベルはピットでのペナルティー2件が無ければ明らかにもっと楽なレースができていたはずなので、その点は反省ですけどトップ10フィニッシュが第7戦マーティンズビルを最後に無かったので、悔しさ8で安堵感も2、ぐらいのレースだったと思います。
 

・落雷ルールはどこへ?

 ところで、落雷が半径8マイル以内で~の規則が今回は適用されていませんでした。あれ?勘違い?それともあれはマイアミの州立法とかか?と思いましたが、勘違いではなく規則としては書いた通りで合っていました。NASCARのレース広報担当副社長・マイク フォードはラジオ番組でこの件について説明、彼によると例外規定があって「気象予報士が『雷は8マイル圏内に落ちたけど、レーストラックから離れつつあるので観客、地上の職員、クルー、テレビ関係者に危険はありません』と言えば、レースを続行できる」とされており、こうした事例は「確かに異例な状況ではあったが過去にも水面下で行われていた」出来事だとしました。なるほど。

・レディックが依然として圧倒的リード!

 このレースでちょうどレギュラー シーズンの半分が終了しました。ドライバー選手権1位はもちろんレディックで、2位は122点差でハムリン。そこからまた52点差で3位にブレイニーとなっています。ギブス、エリオット、ラーソン、ブッシャー、ベル、ホースバーと続いて今回優勝のスアレスも10位でプレイオフ圏内。バイロンがまだ12位、ギスバーゲンが健闘して14位、ブリスコーが1つ下の15位、当落線となる16位は現在プリースがつけています。その下にシンドリック、ロガーノのペンスキー2人。
 19位アルメンディンガー、20位マクダウルは正直ここからひっくり返すとはあまり思えず、これ以下で上位争い常連なのに出遅れている、と思える人を探すと23位のチャステインぐらい。ただ今年の流れを見てるとこれまた上がってくるのかと言われたら微妙です。4戦を欠場したボウマンはプリースから140点近く離されているので、これまた逆転はかなり遠い道、現状はここまで比較的頑張っているスパイアーの2人とギスバーゲンが取りこぼしなく戦っていけるか、ペンスキーの2人が稼げるか、というあたりがプレイオフ枠争いの軸かなあと思いました。

 さて、ちょっとやそっとではカイルを失った悲しさ、寂しさが消えることはありませんがNASCARは続いて行きます。次戦はナッシュビル、カイルが優勝トロフィーのギターを叩き壊した映像が何度も出てくることでしょう。

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