NASCAR 第13戦 シャーロット・事前情報

NASCAR Cup Series
Coca-Cola 600
Charlotte Motor Speedway(Concord,North Carolina)
1.5miles×400Laps(100/100/100/100)=600miles
Goodyear Racing Eagle Tire Code
Left:D-5284 , Right:D-5290
Total Sets:14(12 new race/1 qualifying transfer to race/1 practice)

 この週末のアメリカは戦没将兵追悼記念日とでも和訳するメモリアル デイです。例年通りNTT インディーカー シリーズは最大のイベント・インディアナポリス 500が開催され、それが終わるとNASCARカップシリーズはシーズン最長の600マイルを走るコカ-コーラ 600が始まります。ただこの週末は例年とはおそらく全く異なる空気でしょう、つい1週間前まで共に戦っていたNASCARファミリー・カイル ブッシュが突然この世を去り、全ての関係者が重い気持ちで迎えることになっていると思われます。今年だけは戦没将兵よりもカイルへの追悼、そんな週末ではないでしょうか。お世話になった人も、殴り合いの乱闘をした人も、みんな記者の前で取材に応じてカイルについて語っていました。
 暗い話ばかりしていても仕方ありませんので前を向きます。シャーロット モーター スピードウェイは1周1.5マイルのクワッド オーバル、道幅はちょっと狭いですが最大バンク角24°のターンは滑らかな路面で非常に高速です。そして600マイルレースということで、現地時間18時に始まったレースは夕方から夜へ、20時24分ごろが日没時間ですのでレースの後半にかけては照明の下でのナイト レースになります。この路面温度が下がってダウンフォースが出てる夜間帯の新品タイヤでの速さは個人的に痺れるポイントだと思っています。

 400周のレースということでシーズンで唯一の4ステージ制となっており、分かりやすく100周が4つ。使用されるタイヤは今季のラスベガスやテキサスなど1.5マイルで使用されているのと同じタイヤで、決勝で使えるのは中古を含めて最大13セットです。各ステージで最低1回ピットに入って給油と4輪交換するのは確実なので、普通に走っても8セットは消費します。あとはコーションの出具合を見ながらの運用ですが、足りないということはないでしょう。なお、このレースではタイヤ側面の文字がメモリアルデイ特別仕様で『Honor and Remember』と書かれています。
 1.5マイル高速オーバルですから当然ながらクリーン エアーは重要で、アンダーグリーンでレースが進むなら上手いことアンダーカットして順位を上げにいきたいところ。燃料から言えば60周は走れますから作戦としてはそれなりに自由度があります。せっかくタイヤが新しくてもダーティー エアーで走らされたら抜けない上にその間にタイヤが傷んで意味がないので、作戦も駆使して上手くクリーンエアーを得られる場所を走りたいですね。
 ただそれ以上にコカコーラ600は時間とともに下がる気温・路面温度に対応したアジャストを行って車のハンドリングを保ち続けること、さらに遡ればレース終盤に合致するようなセッティングを最初から用意しておくことが重要になります。レース序盤にあんまり速くないからといって、今日のレースはダメだと安易に決めつけてはいけません。むしろ序盤に速すぎる人は後半やらかすことがあります。実は路面にはトラクション コンパウンドの1種であるザ レジンが使用されているので、これによる路面状況の変化も対応すべき課題ですね。

・ちょっとしたデータ

 シャーロットは2018年以降に秋のレースをローバルにしたため、近年はこの600マイルしかオーバルでのレースを行っていません。例外はCOVID-19で日程が大改編された2020年だけでした。Gen7車両導入以降となる過去4年間の優勝者は2022年から順にハムリン、ブレイニー、ベル、チャステイン。昨年のチャステインは予選順位が最下位となる40位から優勝しており、『正式なスタート順位が最下位』のドライバーが優勝するのは1969年第43戦・リッチモンド フェアグラウンド スピードウェイで25人中25位スタートから優勝したボビー アリソン以来、1972年以降の近代NASCARでは初の快挙、というかもはや珍事でした。
 現役ドライバーでシャーロット最多勝はケゼロウスキーの2勝、他に1勝の人が8人もいます(一応現役復帰してるけど今回は出ていないケイシー メアーズと、他界したカイルを除く)。ちょうど年1回開催になった2018年のカイル以降、シャーロットの勝者は全て異なるドライバーになっており、600マイルの長丁場で何回も勝つのが簡単ではないことが数字からも読み取れます。
 そんな難しいレース、Gen7の4戦中3度もトップ10フィニッシュしているのがバイロン、ベル、レディックの3人。バイロンは2022年にクラッシュしたものの過去3年間は全て3位以内、決勝平均順位が9.8となっています。3戦もトップ5フィニッシュしたのはバイロンだけ。これに対してベルも1勝して平均順位9.5で全選手中最良の数字、平均が10を切っているのはこの2人だけです。開幕戦・デイトナ500勝者のレディックはここで優勝すると1997年のジェフ ゴードン以来となるデイトナ500・コカコーラ600同一年制覇、今年の強さを考えると29年ぶりの記録を期待できますね。
 意外なところではステンハウスが4戦中3戦で11位以内に入って平均順位14で好相性。この4年間のシャーロット総計1462周を全て走り切っている5人の中の1人です。ステンハウスは2011年に初めて出場したカップシリーズがこのコカコーラ600で、その時もレース結果は11位でした。通算でもシャーロットの平均順位は16.5、オーバルでこれより数字が良いのはタラデガだけでシャーロットは相性の良いトラックと言えます。
 
 逆に苦戦しているオールスター級選手はブレイニー、ラーソンあたりがいます。ブレイニーは過去4回のシャーロットで優勝したレース以外全部クラッシュしてリタイア、ラーソンも2022年は9位でしたが他はクラッシュし、2024年はインディー500と両方出場する『ダブル デューティー』をやろうとしたところ、インディーが天候不良で長引いたせいで移動が間に合わずにそもそも出場すらできませんでした。
 ラーソンの不調の一因は昨年・一昨年とダブルに挑戦して無理したことにあるのでは?とも指摘されており、3年ぶりにNASCARに絞った今年の600は注目になりそうです。ラーソンはGen6最終年の2021年コカコーラ600勝者ですが、通算成績で言うとシャーロットの平均順位は19.0でこれより悪いのはアトランタ、デイトナ、タラデガなどしかありません。アトランタも近年はドラフティング トラックで、他に成績が悪いのはアイオワやメキシコなど開催数の少ない開催地ですから、事実上ドラフティングトラック以外で最悪の相性とも言えます。
 
・レース前の話題

 ラーソンはダブルを断念してNASCARに集中しますが、今年も挑戦者が1人。キャサリン レッグがe.l.f.コスメティックスの支援を受けて両レースの1100マイル走破を目指します。まあ正直、無事故で走れればそれだけでじゅうぶんな感じでリード ラップで走り切るのは現実的ではなさそうなんですが、インディー500の予選は27位で通過しており、とりあえずインディアナポリスをしっかり走って移動することになります。ただこの時期はしょうがないんですがお天気が今年も怪しいので、移動が間に合わなければ代役がシャーロットを走る予定です。ESPNのスポーツセンターでも取り上げてくれたらしい。

 こちらは先週の書き忘れ、ハイアク モータースポーツはステンハウスと複数年の契約延長で合意したと発表しました。2020年にJTG ドアティー レーシングに加入して以来、経営体制が変わってハイアクとなっても契約し続けるステンハウス、今年で既に7年目ですが今回の契約延長でさらに在籍期間が延びますね。契約が終わるころには41歳です。常勝チームのエース級ならまだしも、中位~下位で低迷するチームでこんだけ長いこと契約し続けてるってかなり珍しいですね。

 最後に、オライリーシリーズとトラックシリーズ、双方で今週からダメージ ビークル ポリシーの運用が緩和され、ガレージに牽引されていった車両でも規定の範囲で修復してレースに復帰できるようになりました。初期の『壊れて直せないなら去れ』方式から、カップシリーズのやり方への転換です。
 そもそもカップがDVP制限を緩和したのは、Gen7車両になって基本的には車がむちゃくちゃ頑丈になり、自走不能になる主な理由が『パンクしたら18インチタイヤのせいで亀の子状態になった』『トー リンクが折れた』など言ってしまえばしょうもない理由が多くて不公平感が強まったためでした。下部カテゴリーは車が違うから運用も違ったわけですが、今回の見直しである程度ボロボロの車が戻って来ることは考えられそうです。が、、、まあそれはそれで醍醐味にするつもりですかね()

・O'Reilly Auto Parts Series Charbroil 300

 今年はARCAシリーズの開催はなく、金曜日に予定されていたトラックシリーズは雨により日曜日へと予定を再編。そのためこの週末最初のレースは土曜日のオライリーシリーズになりました。大会スポンサーのチャーブロイルは屋外用のバーベキュー用グリルを作ってる会社、でも決勝開始時の空模様はと言うと、

 バーベキューしようとは思えないどんよりした天気でした。もちろん金曜日の練習走行も予選も中止になっているぶっつけ本番スタイル。26周目にコンペティション コーションを迎えたものの、ここで雨により4時間以上もレッドフラッグで待機することになりました。再開する頃にはすっかり夜になり、なおも霧がかかったような天候。
 そんなステージ2ではラブ、デイ、ヒル、チャステインといったドライバーが優勝を争って激しく争いましたが、チャステインがリードしていた73周目のターン1で突然上位勢が次々と壁にぶつかり、その後ろの集団でも外側を走っていた人の複数が壁に向かってまっしぐら。雨だったのか、何かしらオイルが落ちてたのか、油が水の上に自然にしみ出してきたのか、正体は不明でしたがこれでコーションとなると、結局ステージ2終了までをコーションで流して濃霧のためそのままレースは終了しました。この時にリーダーだったチャステインがオライリーシリーズでは2019年の第16戦デイトナ以来約7年ぶりとなる通算3勝目。


 ビクトリー レーンではカイルへ敬意を込めたお辞儀ポーズ。


 からのスイカ割りでした。やっぱカイルのお辞儀ポーズは慣れてて所作が美しかったんだなとかいちいち考えてしまいます、ありがとうチャステイン。

・カップシリーズ予選

 こんな天気ですからカップシリーズの予選はもちろん実施されませんでした。指数予選方式でポールポジションはレディックが獲得。前戦がロード コースのワトキンズグレンだったのでちょっと変な順位になってしまい、ギブス、ギスバーゲン、マクダウルが続きます。5位からブリスコー、ブレイニー、ブッシャー、シンドリック、A.ディロン、アルメンディンガーのトップ10。ハムリンは11位、ベルは17位、ラーソンは18位から。バイロンは運悪く31位になってしまい、ステンハウスも32位。セッティングの迷宮にハマってるっぽいロガーノは33位です。
 一応練習走行は実施できており、最速はステンハウス。キャサリン姉さんも練習走行で28周することができて、ティミー ヒルよりは速いタイムを記録しました。レッグは37位スタートです。まあ何せ上の方はオーバルの実力とスタート順位が全然噛み合っていないし、実際に速さが問われる重要な時間帯は日没後ですから序盤戦はなんかよく分からんまま進むでしょう。何よりも天気予報が悪くて、日曜日をはじめ数日間はずっと雷雨の可能性がある怪しげな予報になっています。

 トラックシリーズは現時点でまだ開催されていないので、後から追記予定です。

コメント