NASCAR Cup Series
Go Bowling at the Glen
Watkins Glen International 2.45miles×100Laps(20/30/50)=245miles
winner:Shane van Gisbergen(Trackhouse Racing/SuperFile Chevrolet Camaro ZL1)
NASCARカップシリーズ第12戦・ゴーボーリング アットザグレン。夏に開催すると30℃近い気温になりますが5月なので気温17℃と居眠りするには良さそうな気温。朝に雨は降らなかったので芝生も乾いてたぶん凶器にはならなさそうです。ギスバーゲンを止められるドライバーはいるのか、言い換えればギスバーゲンが勝てないような巡り合わせの悪い展開は起きるのか。かつてゴルフはタイガー ウッズが勝つか、それ以外か、という時代がありましたが、まさに今のロードコースはSVGが勝つか、それ以外か、という感じです。あ、伝わります?(笑)
・ステージ1
みなさん非常に丁寧なスタートでまずはギスバーゲン、マクダウルが抜け出しました。3周目には3位チャステイン、4位ジリッシュとなってオーバルでは苦戦するトラックハウス レーシングがトップ4に3人、これは誰かしら勝たないとむしろ悲しいやつ。
少なくとも前に誰もいない状態ではSVGの速さに叶う相手は居ないようで徐々に独走になっていき10周で2位マクダウルに2.4秒差。チャステインを抜いて3位になったジリッシュですが彼ですら少しずつ離されています、ステージ間コーションで一旦レースが止まらんことにはSVGを止める術なし。中継では毎回恒例の企画映像でレース前ミーティング映像が映り、今回はジリッシュでしたが「最低3ストップ、2ストップは考えてない。」って作戦の話がまともに出てますね、まあみんな分かってるから良いんだろうけど(笑)
15周目あたりから中団の選手は一足先にロードコース作戦でピットへ、ギスバーゲンもさすがにステージポイントまで狙う無理はせず18周目にピットに入りました。ステージをフリップせずに10点を獲りに行ったのはチャステイン、これにロガーノ、ブレイニー、シンドリックが続き、だいぶ離れて5位にアルメンディンガー。6位ネメチェック、7位ベル、そしてギスバーゲンはピットに入ってもなおステージ8位で3点を獲得しました。9~11位はなんと3ワイドで帰って来てハーブスト、マクダウルがポイント獲得、ウォーレスはせっかくポイントを狙ったのに11位で落選。
トラック上は15周もしないうちに走行ライン以外がかなりのタイヤカスで覆われており、コーション中に多少の掃除をするとはいえタイヤ摩耗の激しさと、ひょっとしたら路面温度がそこまで高くないのでゴムが綺麗に溶けていないかもしれません。これはS字で変に抜きに行ったら事故りますし、ねじ込まれたらそのままよろよろ壁にぶつかりそうです。
・ステージ2
25周目にリスタートして2周後にジリッシュがマクダウルを抜いて2位へ、いよいよ本命がワンツーになります。一方中団ではタイヤカスをまともに踏んだらしいラーソンがパンクしたのかと思うぐらい一気に失速して抜かれる場面も見られ、絶対乗ったらあかんことがよく分かります。ギスバーゲンも事前の取材に対して「1周3秒は失って取れるのに3周はかかる。」と警戒していたそうな。SUPER GTでもタイヤカスやグレイニングの一種であるピックアップはよく話題になりますけど、NASCARでこんだけ話題になるのは珍しいですね。あの悪夢のブリストルぐらいかな?
SVGとジリッシュはずっとにらみ合い、0.5秒ほどの差で静かな戦いを続けていましたが40周目にがコーション発生。デブリーが原因だと言うことですが、
クリント ボイヤー「ケビン、あれ何すか(笑)」
ケビン ハービック「えーっと(笑)何かしら飛んで来たんでしょうけど、どっから来たんでしょうね。」
最初はタイヤパックが動いたのかと思いましたがターン1からは遠く離れた場所。この謎の物体、FOXのカメラはちゃんと捉えていました。
コースの内側にあった誰かしらのテントが突風で空高く巻き上げられて移動し、一旦コース脇に落下した後さらに飛ばされてトラック上に転がって来たようです。トラックを見渡しているスポッターさんたちもこれに気づいた人が複数いたようで、竜巻でテントが飛ばされたぞ、というようなやり取りが無線で交わされていました。実際は竜巻ではなくつむじ風だと思いますが、その昔トラック上に巨大なオレンジが転がってきたのを思い出しますね。この動画は何回見ても笑える(笑)
珍事に気を取られましたがステージ残り10周を切ってますのでピットに入るのが得策、マクダウルなど6人だけがステイアウトして44周目にリスタートしました、ステージはあと7周。こういう場面で厄介ごとに巻き込まれることだけが唯一の敵と言えるSVG、リスタートからガツガツと内側に飛び込んで行って2周で2位まで挽回、47周目にはリードを取り返しました。一方ジリッシュはそのお隣からリスタートしたはずですが、
見事に厄介ごとに巻き込まれ、シケインでの多重事故を避けるためコース外に飛び出して一時16位あたりまで転落しました。もはや誰がきっかけなのかも説明不能、とりあえずバイロンとブレイニーが不運にもぶつかる形になり、トー リンクが折れたバイロンはこのレースを3周遅れの36位で終えました。
こんだけ派手にやっても全員自力で移動できたのでコーションは出ず、ステージ2はギスバーゲンが制してポイントがっぽり。レディック、ギブス、A.ディロン、カイル、ブッシャー、シンドリックと来てジリッシュは8位。ブリスコー、ウォーレスが続きました。マクダウルは残り2周でピットに入らずポイントを狙いに行きましたが、タイヤが古い→滑る→抜かれる→ラインを外れる→タイヤカスを拾う→滑る→・・・の悪循環。ステージ残り2周の時点でまだ5位にいましたが耐え切れず12位に落ちてしまい、何の収穫も無いステイアウトになってしまいました。
・ファイナル ステージ
談合してギスバーゲン以外全員ピットに入りでもしないと勝てないんじゃないかとか思いますが、もちろんそんなことは起こらず上位勢はステイアウトして55周目にリスタート。比較的静かな展開でしたが、60周目にロガーノがタイヤをパンクさせ、一部が剥がれてトラック上に落ちたのでコーション発生。残り40周弱は燃費走行すればなんとか走り切れる周回数なので絶対ピットに入らなあかんやろう、と思ったらギスバーゲンとレディックはステイアウトを選択しました。燃料はもってもタイヤがきついと考えている模様。
64周目/残り37周でリスタート、もちろんギスバーゲンがリーダーです。ピット組ではタイギブスが5列目からのリスタート、とりあえずギスバーゲンが無慈悲な速さで後続をぶっちぎっており、2位のレディックはわずか4周で3秒も置いて行かれて前を追うどころか後ろのアルメンディンガーに抜かれました。どうも既にタイヤが終わってるっぽくて滑りまくっており、これなら燃料云々関係なくピット入った方が良かった模様^^;
その後ステイアウト組は徐々にピットに入り、76周目にギスバーゲンもピットへ。ピットに入ると40秒ほどかかるので順位は全て吐き出すことになり、戻った場所は1位から約30秒遅れの24位。これでギブス、ジリッシュのトップ2になりました。みんなショート シフトやらリフト&コーストやら燃料を必死で節約するよう言われています。ジリッシュは昨日のオライリーとは逆の立場で自分が燃費走行して逃げる側になりましたね。
リーダーのギブスは後ろにいるジリッシュを気にしつつ、はるか遠くにいるギスバーゲンとも時間を競っている難しい状況。それに加えて厄介なことに、車を修理して戻ってきたロガーノが条件の違いで速いため後ろから抜きに来てしまい、しばらくは近くをうろうろされて時間と精神力を削られました。ロガーノは結局15周遅れの38位=最下位でした。
ギスバーゲンは毎周1秒ほど追い上げてきており残り16周で19秒差の10位。このままだとギリギリで追いつきそうな気もするけど、ジリッシュが前に出たら逃げきれそうな気もします。いや、ジリッシュはリスタート後の数周に渡ってターン1で何回も軽いロックを繰り返して前輪を傷めてる気がするから、今はギブスより速そうでもタイヤの状況はそこまで良くないかも。
ギスバーゲンは車を抜きながら追い上げるので引っかかったら鈍るはずですが、いかんせん抜いていく相手全員が燃費走行と古いタイヤなので、抜くのはそれほど難しくない様子。そもそもほとんどのドライバーはSVGと争うだけ無駄なので道を譲っており、おかげで残り11周で既にギスバーゲンはギブスから8秒差まで来ました。もう1周1秒どころの差ではなくなっており追いつくのは時間の問題です。
これを見て焦ったか、ジリッシュが90周目のターン1、さらにインナー ループでギブスの内側に飛び込もうと立て続けに仕掛けますが、タイヤをロックさせただけで攻撃は失敗。後方ではコディー ウェアーがターン6と7の間でけっこう派手にクラッシュしていたものの、すぐにピットに入れるので自力退出でコーションなし。そんなこと言うてる間に91周目を終えたらギスバーゲンはもう3位に来ました、ギブスからたったの3.3秒差。これはもう詰んだ!
92周目、インナーループ出口でギスバーゲンはジリッシュに急接近し、キャルッセルで内側に飛び込む構えを見せたらジリッシュはよろけてラインを外れました。ジリッシュ、どうやらこの瞬間にタイヤがダメになったらしく、そのままピットに入って4輪交換。やっぱり同じタイヤを何回もロックさせたからパンクしたんじゃないかと思いますね。
もうギスバーゲンの勢いは止められず、93周目のターン4でギブスを完全に捉えると、立ち上がりでズルズル滑っているギブスには抵抗する手段もなく簡単にギスバーゲンが前に出ました。その後はただSVGの独走を眺めるだけのレースでそのままホワイト フラッグ。クルーチーフ・スティーブン ドーランの冷静な判断力も光ったギスバーゲンが今季初・通算7勝目を挙げました。このレースだけで68点を荒稼ぎしてドライバー選手権で19位から16位へと順位を上げています。
オースティンではオライリーで優勝した後にいつも通りスタンドにボールを蹴り込んだところ、客席まで遠すぎてフェンスに当たって跳ね返る失敗がありましたが、今日はちゃんとお客さんのところへ行きました。ボールの奪い合いでマジでラグビーみたいになっとるけど(笑)
ジェイミー リトル「ヘルメットを脱いでハイタッチを交わしています。チーム全体にとっても素晴らしい一日になりました。ピット クルーは今日の仕事ぶりを語り合っています。勝負所で決めてきました。シェイン バン ギスバーゲン選手です、ラグビーボールを用意しています。サインをしてファンの方へ蹴り込みます。さあ、行きました!」
(ボールの取り合いを見ながら)
ジェイミー「前にいる子供がボールを取りましたね。シェイン、ピットに入る必要がありました。残り24周、26位あたりから挽回しました。まさに圧巻の走りでしたが、特に今回は特別な意味を持つ97番を付けての初優勝です、どんなレースでしたか?」
※SVGが今年から使用する97番は彼の父親がダート オーバルのレースで使用していたものでSVGにとっても思い入れが強い
SVG「いやあその通りですね。97番を背負って優勝できたなんて信じられないです。スーパーファイル シボレーは最高でした。トラックハウスにも感謝しています。練習走行はあまり良くなかったんですけど予選は最高で、上手く調整できました。そして今日は本当に素晴らしい車に仕上がっていて、スティーブンも素晴らしい判断をしてくれました。上手く行くのか僕には確証がなかったんですけど、あんな風に追い上げて、2連覇できたのは本当に特別なことです。」
ジェイミー「あちらにクルーチーフのスティーブンがいます。さて、あなたはNASCARのレース戦い方、とりわけオーバルを学んできました。一方でロードコースでは本領が発揮されて本当に楽しいんじゃないかと思いますがいかがでしょうか?ここはまさにあなたの得意分野ですよね。」
SVG「ええ、もちろん。でも、簡単ではありません。みんな本当に速いですからね。プレッシャーもすごかったですし、マクダウルも速い、コナーも速い。タイラー レディックもすごい選手ですね。本当に実力のある選手が揃っていて、プレッシャーも相当なものでした。ですから、チームのみんながあらゆる場面で最高の力を発揮してくれたことにただただ感激しています。言葉が出ないくらい素晴らしいです。」
ジェイミー「最高の誕生日プレゼントになりましたね、おめでとうございます、ワトキンズグレンの勝者・シェインバンギスバーゲン選手でした。」
そうそう、事前情報ページに書こうと思って忘れたんですけど予選日がギスバーゲンの37歳の誕生日だったんですよね。2位はSVGにも名前を出してもらったマクダウル、ステージ2ではタイヤ摩耗を読み違えて大失敗しましたが、多分その経験があったから最後のコーションではステイアウトしてSVGと同じ作戦を選択。これがハマってタイギブスを抜き去り予選と同じ順位でレースを終えました、結果を見ればこの週末にSVG以外では最も速かったドライバーです。
3位ギブス、4位ブリスコーは燃費走行で走り切った組、5位にレディック。6位からA.ディロン、アルメンディンガー、カイル、シンドリック、ネメチェックのトップ10。カイルはレースの終盤に無線で「誰かビル ハイゼルを探しといて、俺の知り合いの医者なんだけど、レース後に彼が必要だと伝えてほしい。」と医者を必要としていることをはっきりと出し「注射が必要になりそう。」とも言っていて心配させられました。
レースを走ってるんだから緊急を要するものでは無いはずで、実況のマイクによるとここ1週間ほど副鼻腔炎で悩まされていたということで体調が万全ではなかったようなんですが、その後の情報は特に上がっておらず、どういう処置をしたのか、副鼻腔炎は関係あるのか、といった話は謎のままです。確実にドーバーでは報道陣にこの話で取り囲まれるでしょう。
バイロンとぶつかったブレイニーですが車が無事だったので11位、ブッシャーは今回あまり目立たず12位、いや、速い時もあんま目立ってないか。13位のダニエル スアレスはレース後にSVGの車に対してけっこう車を近づけて祝ってるように見えたので、ひょっとしたらトラックハウス時代にチャステインとは仲が悪かったけどSVGとは上手く行ってたのかもしれません。ただ、現チームメイトのホースバーに対しては接触があったようで、ホースバーは無線で「もう二度とアイツに譲ってやらんぞ、自分勝手に走りやがって。」とお怒り。
ジリッシュは余分な1ピットで20位、新品タイヤでエクスフィニティー ファステスト ラップの1点だけは持って行きました。ラーソンは23位、エリオット24位、ボウマン25位とヘンドリックは同じ場所に固まってこのレース壊滅です。
やはりSVGは速かった、事前情報ページで『プレイオフのためには優勝の55点以上に獲りたい』的な話を書きましたが、展開が味方しての68点はほぼ完ぺき。最後のピット戦略はステイアウトと言われた直後に後続がぞろぞろピットに入って、その時点では「おいマジかよ。」と怒りかけていましたが、ドーランから「あちらさんはこっから最後まで行こうとしたらむっちゃ抑える必要あるだろうから。」と伝えられると「なるほど、了解。」「飛ばせるだけ飛ばすわ。」とすぐに切り替えました。
たぶんSVGに関してはタイヤをもたせるのも一番上手いのでどっちの作戦でも勝てたとは思うんですが、もしマクダウルが違う作戦を採ってたらけっこう際どかったかもしれません。ピットに入るとリスタートでごちゃつく危険性もあったので、ドーランはSVGの速さとタイヤの落ち幅から冷静に判断して最もリスクが少ない方法を適切に選んだと言えます。後から考えると、コーションでピットに入っておいて、なおかつかっ飛ばして残り20周ぐらいでもう1回タイヤ交換するのが実は上位勢では最速の作戦だった気がしなくもないです。
対するジリッシュはやはりロードコースの速さなら既にカップシリーズでもSVGに匹敵することが確認できましたが、最後の走りには明らかに若さが出ました。タイヤを37周もたせないといけないのに車が重たいリスタート序盤に何度もタイヤを引きずってしまい、自分の方がギブスより速いからさっさと前に出たい、という思いがレース時間全体を最短で終わらせるという目標に勝ってしまって勝負権を失ったと思います。でも楽しみが多い選手なのは間違いないですし、何より彼がいなければギブスとSVGの"見えない争い"になって映像的に盛り上がらないところでした。
100周に延長されたレースも良好だったと思います。あくまでタラレバですが、90周だったら最後のコーションで作戦が分かれることは無かったでしょうからただただSVGが独走するだけになっていたでしょう。レース時間は2時間29分11秒、テレビ的にもじゅうぶんに広告を流せて満足したことでしょう(?)
さあ、次戦は選手権レースは一旦お休みでオールスター戦のドーバー。ドーバーが選手権レースで無いというのはドーバー好きとしては多少残念でもあるんですが、短期決戦でモンスターが暴れてくれることを期待しましょう。それにしてもこの公式ハイライト動画のサムネイル、釣り方がすごい(笑)
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