NASCAR Cup Series
このレースの3位はサム メイヤー、4位ウイリアム サワーリッチ、5位オースティン ヒルでした。トラックに続いて出場したチャステインはポールポジションを獲得して68周をリードしましたが、最終ステージで2位走行中にテイラー グレイに後ろを引っかけられてしまい、クラッシュこそしなかったものの順位を下げて結局13位でした。むしろ引っかけたグレイがクラッシュして大損し、このレース32位で終えています。
2026 NASCAR All-Star Race
Dover Motor Speedway(Dover,Delaware)
1mile×350Laps(75/75/200)=350miles
Goodyear Racing Eagle Tire Code
Left:D-5276 , Right:D-5260
Total Sets:10(6 new race/2 qualifying transfer to race/2 practice)
NASCAR カップ シリーズ、今週は選手権ポイントに関係のないエキシビション戦・通算42回目の開催となるNASCAR オール-スター レース。今年の開催地は史上初となるドーバー モーター スピードウェイです。昨年までの3年間開催されていたノース ウィルクスボロ スピードウェイを公式戦に組み込むために、同じスピードウェイ モータースポーツ所有のドーバーと開催権を入れ替えた、というのが変更の主な理由です。
オールスターは元々1985年に始まりました、野球などでは『普段は別のチームに所属する有名選手がファン投票などで特別に1つのチームに集まって試合をする』という特別感が意味を持つわけですが、モータースポーツの場合は個人競技なのであまり意味がなく、NASCARも当初そうしたレースには否定的だったとされています。しかし当時のカップシリーズの冠スポンサー・R.J.レイノルズ タバコはより多くの宣伝をしたいと考えてこの企画を推しました。結局はNASCARも抗えなかった、というところです。当初イベント名は『ザ ウィンストン』でした。
Wikipediaによると、タバコ広告が規制されている場合にテレビ局によってはタバコ企業を冠したイベントの正式名称は『ミシガン400』のようにタバコ会社名を伏せた一般名に置き換えられることがあったそうです。しかしこのイベントには特に置き換える一般名がなく、いわば固有名詞という扱いで『ザ ウィンストン』とそのまま表記されることもあったので、いわばたばこ広告規制逃れの宣伝手法という側面もあったとのことです。このイベントにオールスターという名称が付くようになったのは2000年代になってからでした。
そんなオールスター、開催2年目の1986年はアトランタでしたが、それ以外は2019年まで全てシャーロットでの開催、翌周に控えるコカ-コーラ 600に向けた前座のような位置づけでした。これが2020年にCOVID-19の影響で日程が大きく変更された結果ブリストルで開催されると、NASCARはここからシャーロットの固定概念を捨てることに。2021年からの2年間はCoTAに開催権を1つ獲られたぶんの穴埋めをするようにテキサスで開催し、そして2023年からはNASCARにおける伝統的な開催地であったノースウィルクスボロを復活させて開催。今年はそのNWSを公式戦へとさらに格上げし、入れ替わりでドーバーがオールスター開催地となりました。
1周1マイル、24°の最大バンク角が掘り下げるような形で作られたコンクリート舗装のドーバーは『モンスター マイル』の愛称を持つ高速トラック。1969年初開催、1971年以降は年間2回開催されていて私はけっこう好きなトラックなんですが、2021年からぶっちゃけ観客動員は苦戦してるようで開催権の1つをナッシュビルに明け渡して1回開催へ。元々14万人あったとされる観客の収容人数は段階的に削減されて今では6万人以下になったとされています、諸行無常。
わりと特殊なトラックなので得手不得手が分かれやすく、ターンの出口で勾配を上りながらバンクが減ってヒュっと荷重が抜ける感触がたぶん難しいんだろうと思います。直線部分でも9°のバンク角があるため事故った車がトラックを横断する多重事故も起こりやすく、高速ゆえに事故ると一発リタイアの危険性もある危険地帯です。
なおトラックが特殊なので、使用されるタイヤのうち右側のD-5260はドーバー専用タイヤという位置づけ、出番が来たのは昨年のドーバー以来1年ぶりです。左側はブリストルと共通のタイヤになっています。
・レース フォーマット
オールスター戦では通常と異なるレース方式が採用されます。現在は当たり前となっているステージ制レースもそもそもはオールスター戦での『セグメント方式』に由来していると言えるでしょう。オールスターはマンネリ化を避けようとシャーロット時代にだんだんわけのわからないレース方式にしていって見ている側が付いて行けない感じになりましたが、開催地が移転するようになってからはわりと単純な構成に戻って安心していました。が、今年は違います。
まず第一に、これまでは長年にわたって行われていた『オールスター本戦出場権を持っていない人が本戦出場権を賭けて行う予選レース』=オールスター オープンがありません。なんと日曜日のレース中にふるい落とし作業が同時に行われます。それゆえにオールスターでありながら350周・350マイルというけっこうガッツリしたレース距離が設定されています。それを踏まえてレース方式を確認します。
▽予選
まず予選ですが、これは昨年までの流れを踏襲。決勝前日の土曜日に各車が1台ずつ出走するスーパー ラップ方式で延べ3周の計測によって行われます。ドライバーはピットを出てアウト ラップを終えると計測周へ。まず1周目を終えると2周目はピットへ。ピットで4輪交換を行ってふたたびコースに戻り、3周目を走り切ってチェッカーを受けます。この『ピット作業を含む3周の時間』が予選タイムとなります。
また、予選タイムとは別にこの時のピット作業時間そのものが『ピット クルー チャレンジ』と称されて別途計測されており、最速だったピット クルーには賞金10万ドルが与えられます。このピット作業時間順位は決勝のピット選択権にも適用される規定で、つまり予選1位でも1番ピットを獲得できるとは限りません。この方式は鍛え上げられたピットクルーに焦点を当てる機会として意外とウケが良いみたいですね。なおピット作業違反があった場合は予選タイムとピットクルーチャレンジの双方に10秒加算、速度違反などドライバー側の違反があった場合は予選タイムにだけ10秒加算されます。
▽決勝 セグメント1・セグメント2
オールスターオープンが無いのでチャーターを保有する36台・36人の選手全員が全てオールスターに挑みます。が、最終のセグメント3に出走して最後まで走る権利を有することができるのは26人となっており、セグメント2終了時点で10人はレース途中ですが帰らされます(笑)
まず前提として、2025年開幕~2026年第12戦までにカップシリーズで優勝した人と、カップシリーズチャンピオン経験者で今年もフル参戦している選手はセグメント3を走る権利を自動的に付与されています。この条件でなんと既に19人が出場権を得ており、残る枠はたったの7。これを36人でレースしながらセグメント2までで争います。
まず予選順位通りにスタートしてセグメント1を75周して順位を争います。セグメント1が終わると給油・タイヤ交換・アジャスト可能。続くセグメント2ではセグメント1の上位26人の順位を反転させるリバース グリッド方式が採用されて再び75周します。27位以下の人は順位通りにセグメント2を下位からリスタートすることになるので、セグメント1終盤は場合によっては26位争いが激戦となる可能性もゼロではありません。
こうして2セグメント/150周のレースを行い、各ドライバーは2つの順位を合算。この合算順位が低い人から順にセグメント3に進出する選手が、既に出場権を確保している選手を含めて計25人になるまで=基本的に6人が決まります。残る1枠は、ここまでで出場権を得られていない選手の中でファンからの投票が最も多かった選手となります。ちなみに過去3年間は全てノア グレッグソンがファン投票選出選手でした。
若干回りくどい表現になっているのはなぜかというと、従来のオールスターオープン制度と違って出場権を得ている人も今ここでレースをしているので、当然ながら車が壊れたり事故ったりして途中でリタイアしてしまう可能性があります。その場合、その枠は空いたとみなされてレース結果からのセグメント3進出者が追加され、セグメントは3は必ず合計26人でスタートするように定められているからです。『出場権を持った選手がトー リンクを曲げてしまって明らかに遅いけどリタイアするほどでもなく走ってる』みたいな状態は運営的には一番困りそうですね^^;
また2セグメントの順位を合算するだけの単純制度なので同点になる可能性がそれなりにありますが、その場合は『いずれかのセグメントでの最高順位が良い方→セグメント1での順位が良い方』という順でタイ ブレイカーが設定されています。
この週末に決勝で使える新品タイヤは6セットとなっていますが、規定で両セグメントとも新品タイヤでのスタートが義務付けられているとのこと。リスタート順位が制度側で決まってますからコーション中のピットは非競争方式。コーション中を含む全ての周回が数えられる制度ですが、ステージ制ではなくセグメント制なのでセグメント間コーションは周回数に入らない『みなし赤旗制度(命名:俺)』です。
また、セグメント終了時点で周回遅れだった人はリード ラップに戻れるので諦めずにレースが可能。ということは出場権を持ってる人は無理せず後方を走り、損傷してもとりあえず走り続けていればラップ バックできるしどうにかなるんじゃね?というところですが、セグメント3のリスタート順位はセグメント1・2の合計順位に基づくので、後方を安全運転してたらセグメント3も後方リスタートになります。
▽決勝 セグメント3
こうして26人が決定して10人が帰らされるといよいよセグメント3、言ってみればこれがオールスター本戦です。セグメント3は新品タイヤ4セットのみが使用可能と規定されてるそうで、逆から言うとセグメント2までは仮にタイヤ交換するとしても予選で使った中古しか投入できない計算ですね。さっきも書きましたがリスタート順位はセグメント1・2の合計順位が低い順になります。
セグメント3は200周ですが75周目あたり、レース全体の周回数で言うと225周目あたりでコーションが必ず出ることになっており、いわばセグメント3がまた2つのステージに分かれてるような状態ですね。ここはもう普通のピット競争、そして残り約120周のレースが残っています。120周というともう1回給油しないと足りない距離なのでここにもう1つの勝負どころがありそうです。
セグメント3を走り抜けて優勝すれば賞金100万ドル獲得、実はオールスターって優勝賞金はボーナスのおかげで高いし、たぶんチームにスポンサーから持ち込まれる広告料も多少は高いだろうとは思うんですけどレース順位に応じて配分されるイベント賞金総額だけを見ると普段のレースよりむっちゃ少ないので、どうせ走るんなら勝たないと儲からないんですよね(笑)
あと、優勝ボーナス100万ドルってもう20年以上変わって無くて、この間の物価上昇率を考えると価値が下がっているからもうちょっと上げたらどうだ、という率直な意見もあるようで。この間に消費者物価指数は1.8倍ぐらいになってるので、ここから逆算すると100万ドルって物価対比で言えば20年間で価値が4割以上目減りしてるのは確かです。
・レース前の話題
今週はジ アスレティックが報じた噂を2つ。1つ目はお馴染みの記者・ジョーダン ビアンキが『現時点で耳にしていること』としてまとめたドライバーの契約情報で、内容をまとめると
・カイル ブッシュはリチャード チルドレス レーシングと契約を延長する方向に進んでいるが、契約延長できなかった場合はジェシー ラブが後任の最有力候補。
・アレックス ボウマンのヘンドリック モータースポーツ残留は微妙な情勢だが、後任となる候補にもまた難しさがあり判断は難しい。
・RFKレーシングはドライバー3人と主要スポンサー・クローガーが全て契約期限満了な上に、来年のチャーターを2つしか用意できていないため複雑な交渉を迫られている。
・スパイアー モータースポーツは現状の3人で満足している模様。
・23XI レーシングはコリー ハイムを昇格させ、来年から3台体制になるレガシー モーター クラブはハイムに弾き出されるライリー ハーブストをドライバー候補としている可能性が高い。
だいたいこんな感じです。ボウマンの契約は難しい話で、ヘンドリックの若手ではコリー デイが有力候補となっているものの、まだ今年がオライリーシリーズ1年目でかなり粗削り、もうちょっと経験を積ませる判断が必要になりそう。他チームからの移籍を模索しても有望株のコナー ジリッシュ、カーソン ホースバーはいずれもチームと複数年契約を結んでいるのでどうしても欲しいなら相手チームと交渉した上で違約金を支払っての強奪になります。あとは現時点で傘下にいない他陣営からの引き抜きになりますが、それをやるとデイの行き先も無くなってしまうので総合的な判断が必要になりそうです。あ、これはビアンキさんじゃなくて私の見立てね(笑)
そしてもう1つ、今年は開催されずに一旦幕を閉じた形になっているシカゴ市街地レースですが、関係者の話として2027年の開催を目指した各所の協議が進んでおり、日程に組み込まれる可能性が高まっているとしています。独立記念日など祝日近辺の開催は道路封鎖などによる負の影響も大きいので他の日程での調整が行われているようですが、一方で費用負担を巡る批判の声もあるため、慎重に検討が行われているようです。
・Craftsman Truck Series ECOSAVE 200
今年のオールスターは全国シリーズも全部盛り。金曜日のクラフツマン トラック シリーズはポールシッターのカイルブッシュが200周中147周をリードする圧勝劇。120周目に給油してそのまま最後まで行こうとしたため上位勢は燃料がだいぶ厳しくなっていましたが、カイルはきちんと最後まで車を持ち帰りました。今シーズン2勝目、クラフツマントラックシリーズ通算69勝目でカイルはお馴染みのお辞儀ポーズ。
タイ マジェスキー、レイン リッグス、ケイデン ハニーカット、クリストファー ベルのトップ5でした。カイルとは異なる戦略で優勝を狙ったロス チャステインは願っていたコーションが出なかったため1周遅れの18位、約2年ぶりに出場してラム 1500を駆ったクリント ボイヤーは車が壊れて29位でした。またこのレースには、以前カンザスの記事でも名前が出た女性ドライバー・デスティニー スパーロックが初出場。NASCAR全国シリーズで黒人女性が出場するのは史上初でした。残念ながら練習走行段階から車に不具合が多く、決勝の路面条件にもてこずってスピンして36周でリタイアしましたが、NASCARに新たな歴史が生まれました。
・O'Reilly Auto Parts Series BetRivers 200
土曜日のオライリー オート パーツ シリーズはJR モータースポーツの新旧対決になりました。126周目のリスタート以降ジャスティン オールガイアーがレースをリードしますが、戦略の違いで7周だけタイヤの新しいコリーデイがレース終盤にかけて猛追。そして残り4周、周回遅れのブレイク ローディアンがどっちに動くのか分かりにくい中途半端なラインを通り、オールガイアーとデイが左右に分かれて抜いて行きました。
しかしかなりラインが窮屈だったオールガイアーは出口で滑ってしまい、外ラインで速さを見せて追い上げてきていたデイに有利に働きました。3週間前のタラデガで初勝利を挙げたばかりのデイが早くも2勝目を記録。敗れたオールガイアーは周回遅れに勝利を阻まれていくぶん不満そうでしたが、ドライバー選手権では2位のシェルドン クリードに175点という大差を付けて1位を独走しています。
このレースの3位はサム メイヤー、4位ウイリアム サワーリッチ、5位オースティン ヒルでした。トラックに続いて出場したチャステインはポールポジションを獲得して68周をリードしましたが、最終ステージで2位走行中にテイラー グレイに後ろを引っかけられてしまい、クラッシュこそしなかったものの順位を下げて結局13位でした。むしろ引っかけたグレイがクラッシュして大損し、このレース32位で終えています。
・カップシリーズ予選
オールスター予選のポールはデニー ハムリンが獲得しました。最後から2番目の登場だったハムリン、ピットを出た直後にスピンしましたがタイヤへの影響はなかったようで、その後の計測では素晴らしい走りを見せました。2位は0.144秒差でブラッド ケゼロウスキー、3位からエリック ジョーンズ、チャステイン、ウイリアム バイロン、ベル、バッバ ウォーレス、ジョーイ ロガーノ、タイ ギブス、オースティン シンドリックのトップ10。
この独特の方式の予選で苦労したのはハムリンだけでなく、ジリッシュはピットに入る際にスピン、リッキー ステンハウス ジュニアもアタック中にスピンし間一髪クラッシュだけは回避。ジョン ハンター ネメチェックは全然左前輪のナットが締まってないのに誤発進してしまい、ピットを出てからバックする迷走。それでも戻ったのはまだましな方で、ダニエル スアレスはちゃんと締まってないまま走っていたようでターンで右前輪が脱輪してクラッシュしました。
これでステンハウス、ネメチェック、スアレスは記録無し、さらにA.J.アルメンディンガーは電気系の問題でそもそも車が動かなかったので予選に出走できず、計4人がタイム無しで後方に並びました。
またピットクルーチャレンジの優勝はちょっと意外なことに38号車・フロント ロウ モータースポーツのゼイン スミス担当クルーの皆さんでした。一方、今シーズンはピットクルーの作業の遅さや失敗に悩まされ続けている12号車・ライアン ブレイニーのクルーですが、なんとここでも大失敗。右後輪を締める前にジャッキを落としてしまい、ジャックマンが気づかずに次の作業へ向かってしまったので作業が大幅に滞る連携ミス、予選28位に終わりました。ピット入り口で回ったジリッシュよりも予選タイムが下です^^;
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