フォーミュラ E 第9戦 モナコ

ABB FIA Formula E World Championship
2026 Monaco E-Prix
Circuit de Monaco 3.337km×29Laps=96.773km
Race Energy:38.5kWh+3.85kWh Pit Boost
Reference Time for SC/FCY 3:55
Attack Mode:360 seconds/1 time
winner:Nyck de Vreis(Mahindra Racing/Mahindra M12 Electro)

 ABB FIA フォーミュラ E 第9戦・10戦はお馴染みのモナコ、説明不要な世界有数の市街地サーキットでプラネット スシがあります()フォーミュラEでは唯一F1と全く同じ場所を使って走るので速さを比較されがちなやつですね。最近はフォーミュラEも道幅の広い場所で走ることが増えてきたのでモナコは幅だけで言うと結構狭い部類に入りますが、路面は極めて綺麗な舗装となっておりいつものようにガタガタ言わせながら走ることがありません。またF1にとっては低速なコースですがフォーミュラEとすると高速コースの部類です。
 2連戦ということで第9戦はピットブーストありのレース、レース距離が96kmとけっこう長め。ピットブーストの無い第10戦は1周減らされて28周のレースです。昨年の連戦では同じ29周で設定されていましたが、その後は運営方針としてブースト無しレースはちょっと減らして極端なペロトン スタイルのレースを避ける方向になっていますね。もちろんエナジー量として厳しいのは第10戦の方です。

・レース前の話題

 Gen4車両導入に伴って大きく変化するであろう来シーズンからのフォーミュラE。開催地にも大きな変更がありそうなのはこれまでも何度か書いてきたと思いますが、ザ レースによればイギリスでの開催については現状ブランズハッチとシルバーストーンが候補に上がっていて、商業、運営などの面から関係各所で詰めの協議が続いていると思われます。現在の開催地・エクセル ロンドンは狭すぎるから移転する、と言う話はもう何年も前から出ていますが、結局Gen3最終年となる今年も開催されます。たださすがにGen4に対しては狭小なので移転が確実な状況。
 イギリスでは他にフォーミュラEのテストでも使用したことがあるされているドニントン パークという3つ目のカードも存在はするようなんですが、ドニントンはこの3つの中では大規模なレース開催から最も遠ざかっているので可能性としては低い模様。個人的にはシルバーストーンだとF1とはだいぶ違うせせこましいレイアウトだろうしだだっ広いので、旧式サーキットのブランズハッチがいいんじゃないかなあとは思います。
シリーズ初期には模擬レーステストも行ったドニントン

 同じような開催地問題は日本でも起こっており、東京でのレースが来シーズンも開催されるのかは現時点で不透明とのこと。東京ビッグサイト周辺コースもやや手狭である、ということよりもこちらは運営費用の問題が大きく、情報筋によると東京の開催費用は2000万〜2200万ユーロ、日本円にして40億円ほどかかっており運営からするとたぶんけっこうな赤字です。支援企業の確保や費用の削減策、負担割合などで何かしら対応が必要と考えられています。
 かといって日本の自動車メーカーが参戦してタイヤまで日本のメーカーなのに日本でレースしない、という選択もまた避けたいため、あくまで東京開催が出来ない場合の代替としてスポーツランドSUGOの名前が挙がり、既にフォーミュラE側が初期的な接触を行ったようだとザレースは伝えています。菅生はヤマハ発動機の所有するサーキットである、というのもありますね。また富士スピードウェイも東京の代替として考えられる開催地ですが、あの直線をかっ飛ばすのは無理なのでどっかにシケインが必要になり、やっぱりしょぼくなりがちです。

・練習走行

 朝の7時半、気温・路面温度とも15℃ほどしかないFP1ではニック デ フリースが1分27秒050で最速を記録し、パスカル ベアライン、ダニエル ティクタム、エドアルド モルターラ、ジェイク デニスが続きました。それから約1時間ほどして行われたFP2でも最速はデフリースで1分26秒664。2位にモルターラが続いてマヒンドラ レーシングがえらく調子の良さを見せました。3位ミッチ エバンス、4位マキシミリアン グンター、5位デニス。これにティクタム、ベアラインとFP1と同じ顔ぶれが並びます。

 このFP2ではゼイン マローニーが大クラッシュ、マスネを全然曲がれずまともに右側から壁にぶつけてしまい、予選の出場が危ぶまれる状態に。

・グループ予選

 A組はさっき大クラッシュしたマローニー不在、さらにモルターラも車が不具合を起こして動かないようで8人だけになりました。しかもモルターラは有力候補でしたから他の人は大チャンスです。この組の最速はベアラインで1分28秒832でしたが2位以下も極めて僅差、0.028秒差の2位にグンター、3位は0.054秒差でニコ ミュラー、4位のティクタムもベアラインから0.060秒差でした。
 B組ではエバンスが1分28秒761で最速、デフリースが0.038秒差の2位。アントニオ フェリックス  ダ コスタ、ジョエル エリクソンが続きました。フェリペ ドルゴビッチは0.101 秒届かず5位、オリバー ロウランドは最終コーナーでボゴっとぶつけてしまって6位。日産はノーマン ナトーも7位で2人とも敗退です。

・デュエルス

 A組はポルシェワークスの2人がいずれも準々決勝敗退で準決勝がグンターvsティクタム。この対決は2人ともちょっと壁に当ててしまう攻めすぎアタック対決になりましたがティクタムが勝ちました。ティクタムはコーナーの走りたいラインに対してうまく車を流し込んでいるように見えます、が本人によると1周で8回はクラッシュしかけた、とのこと。映像を見たら3回ぐらいは判別できるんですが、あと5回はどこ?(笑)
 B組でもダコスタがマスネで大失敗し準々決勝敗退、これはワークス選手が全滅する呪いか?と思いましたが最後に出てきたエバンスはきっちりと勝ち上がりました、もう移籍が決まってるから呪いの対象外だったのかも。ただ準決勝のエバンスはややまとまりのない走りになってしまい敗退、デフリースが勝ち上がってデュエルス決勝はティクタムvsデフリースになりました。元レッド ブル育成でF1目前だったのに素行が悪すぎてクビになった人と、急にレッドブル陣営に加入したけど結果が悪くてすぐクビになってしまった人の対決です(え)

 デュエルス決勝、ティクタムはターン1からちょっと置きに行ったような大人しい飛び込みでしたが、それでもセクター1のタイムはさっきとほぼ同じ。さっき攻めすぎたのをきちんと活かしているような走りです。最後までその走りを継続してこの週末最速の1分26秒551を記録しました。対するデフリースもやはり丁寧な走りを見せておりほとんど差のない走りでしたが、0.131秒届かずティクタムがジュリアス ベア ポール ポジションを獲得しました。

 ティクタムのポールポジションは昨年の最終戦ロンドン以来2度目ですが、この時は5グリッド降格ペナルティーを持っていたのでスタートは6位。前に誰もいない位置からスタートできるのは自身初です。スタート順位はティクタム、デフリース、グンター、エバンス、ベアライン、ミュラー、エリクソン、ダコスタの順になりました。

・決勝

 今日は皆さんそれなりにバーンナウトしてグリッドに着きスタート、1分41秒というノロノロ走行からティクタムが隊列を抑え込みにいき、毎年のことですがヘアピンでは急な減速で距離が詰まりすぎて事故が起きそうなギリギリの状況、望んでなくても前の人を避けて2ワイドは当たり前です。とにかく事故が起きないように走るしかない。
 しかし平穏な時は長くは続かず4周目のヌーベル シケインで事故発生、後方でキャシディーがデニスを壁に挟んで結構派手に事故りました。キャシディーは前の車に追突しないように右に動いたら、その右側ががら空きだから入ろうとして突っ込んできたデニスとちょうどガッシャン。デニスはこれでリタイア、キャシディーは減速中に進路を変更して他者の進路を妨げたとして10秒加算のペナルティーを受けました。もちろんこの事故ではSC導入。

 6周目にリスタート、ここからティクタムは1分37秒台にペースを上げて少しずつ切り上げて行き、いつ動くべきかをみんなが探りながらの危うい接近戦。そんな中で12周目のラスカスでミュラーがベアラインに追突する同士討ちが発生し、ミュラーはウイング破損、ベアラインは右後輪のパンクでポルシェが一瞬にして壊滅です。パンクしたベアラインは丸々1周してピットに入るしかありませんが、まだピットブーストできない状態だったのでこの後さらにもう1回ピットに入る必要があってどうしようも無い状態、このレース18位で終えました。
 14周目には複数の選手がピットブースト可能になり、ウイングを壊したミュラーはここでピットへ。リーダーはこの間も変わらずティクタムで後ろにみんな連なっていますが、なんと4位走行中のダコスタが15周目にアタックモードを使う奇策に出ました。アタックが1回だけになっている今年の設定ではピットブースト後に使うのが定石となる中であえての逆張り戦略です。
 ちょうどこの15周目はティクタムがそれまでの1分34秒台から31秒台にペースを上げており、2位のデフリースは「ティクタムの逆をやれ。」という指示に従ってピットへ。これを受けてティクタムはさらに飛ばして1分30秒台にまで上げて行きますが、アタックモードを使っているダコスタはこれよりも当然速いので17周目にティクタムを抜いて新たなリーダーとなりました。


 ティクタムは18周目まで引っ張ってピットに入りましたが、デフリースが通常モードで1分29秒台のかなり速いタイムで回ってきたためアンダーカットに成功。さらに、デフリースと同じ15周目にピットブーストを終えていたエバンスがアタックを使ってかっ飛ばしている最中だったので、ピットを出たティクタムはこれにも抜かれて事実上3位になっていました。デフリースはエバンスとの差が1.1秒ほどあったのでこの19周目、ティクタムをアンダーカットした直後にアタックモードを使用し、全く順位を下げずに合流します。
 方や、異なる戦略を採用したダコスタはアタックを使い切って19周目にピットブースト。先にアタックを使ってペースを上げたわけですから当然オーバーカットすることになり、ピットを出たらギリギリデフリースの前方でした。この時のデフリースはアタック中ですがダコスタは狭いモナコをいかして鬼ブロックし、ヌーベルシケインの先まで通常モードで堪えました。ダコスタからすると実質的に争っている相手とは言えませんが、ジャガーとして考えるとエバンスの助けになる鬼ブロックです。

 当然ながらこの後エバンスもダコスタを抜いて、順位はデフリース、エバンス、ダコスタ、ティクタム。ティクタムはレース前半の多くを先頭で走ったためエナジー残量が今一つで、21周目にアタックを使って自分だけが350kWの状態を作ってはいるもののゴボウ抜きするほどの速さがありません。25周目に入るところでなんとかダコスタを抜いたところで時間切れ。エナジー残量だけでなくタイヤも厳しくなっており、その後はペースが上がらず2位のエバンスに置いて行かれ、さっき抜いたダコスタからそこらじゅうで攻撃を受けることになりました。こりゃあ3位も厳しいぞ。
 26周目のヌーベルシケインではダコスタが外から並ぼうとしたものの、ティクタムが全然相手のライン残してないんじゃないかとも思える動きでダコスタは曲がりようがなくがシケイン不通過。ダコスタは相手がブレーキ中に進路を変更していると無線で繰り返し訴えつつも、とにかくつつき続けて走ること1周。ふたたびヌーベルシケインへ

 画面の前で「だああああ!!」って大声が出てアントニオ猪木みたいになってしまいました。ティクタムとダコスタ、とうとう接触。トンネルを出る時点でまだ道路の真ん中やや右寄りぐらいにいたティクタムがシケインへの減速で一旦は右側に行くのかなと思わせた後に左方向、シケイン内側の方向へ向かって真っ直ぐ減速。そりゃあトンネルを出たら道路は少し右に曲がってるので、これは蛇行ではなくそういうラインで真っ直ぐ止まったんだ、と言いたいのかもしれませんが、空いた側から仕掛けたいダコスタからすると左から入ろうとしたら通せんぼされて壁に押し潰された、という状態でした。

 これでダコスタは脱輪してリタイア、ティクタムはタイヤがパンクしたと訴えますが、停止したダコスタの車両を回収するためにFCYが出たので何というか命拾い。FCYはレース残り半周というところで解除されましたが、既にデフリースとエバンスの1位・2位争いも差が開いていたので特に大きな問題にはなりませんでした。ニックデフリースがメルセデス-EQ時代のシーズン8・第7戦ベルリン以来約4年ぶりの通算5勝目。モナコは昨年もピットブーストありの第6戦で2位に入っており2年連続の表彰台です。マヒンドラにとってはシーズン7・第13戦ロンドンでアレックス リンが優勝して以来約5年ぶりのチーム通算6勝目。ああカメラさん、似たような赤い車だけどそっちじゃない!
デフリースは後ろにいる車^^;

 2位はエバンス、ベルリンからの流れを維持して巧みなレースを展開しドライバー選手権でついに1位に浮上しました。そしてティクタムは3位でチェッカーを受けたものの、接触行為に対してドライブスルーのペナルティー、既にレースを終えているのでレース結果に33秒が加算されて正式結果は12位でした。変なタラレバですが、仮にダコスタの車両回収に手間取って結局FCYのままレースが終わっていた場合、FCY中は車速が遅い分だけタイム差が開くので33秒加算でもギリギリ9~10位あたりに入れた可能性がありました。
 これにより繰り上がって3位に入ったのは、なんとクープラ キロのチームメイト・ペペ マルティーでした、初表彰台。15位スタートから序盤は12位あたりを走行。周囲がけっこう接触でいなくなったりする中をなんとか通り抜け、ピットブーストはダコスタと同じ19周目。ピット後はしれっと6位にいて、3位と4位がぶつかり、そして5位にいたドルゴビッチがちょっとエナジーを浪費しすぎて遅かったので抜いてきたという、戦略よりもどちらかというと今日に関してはサバイバルを巧みに生き残って手にした!という感じの3位です。これも才能。

 4位からドルゴビッチ、セバスチャン ブエミ、エリクソン、テイラー バーナード、ルーカス ディ グラッシ、キャシディー、グンターのトップ10。日産の2人は決勝でも混戦の真っただ中という感じでナトー14位、ロウランド15位でした。

・難しいモナコでのレースの在り方

 ちょっと接触事故が多すぎましたね。振り返れば、元々モナコをF1と同じレイアウトでやるとなった時に運営側は当初『回生場所が足りないからターン1だけは鋭角にしよう』と考えていましたが、反対意見が多くて撤回しF1と同じ形状に。この時はシケインだけは独自形状でしたが、これも翌年からF1と全く同じになりました。元々回生箇所が少なくてエナジー管理が難しい場所を95km以上のレース距離なので節約するのは必須です。
 しかしここのヘアピンやシケインはフォーミュラEと言えどもシーズン中に曲がるターンの中で指折りの低速&鋭角で、しかも回生する場所がないからこういう場所で稼ぎたいためにアコーディオン効果が起きやすくなっています。しかも追突しそうになって避ける場所もあんまりない^^;
 効率よく走るために頭を捻るからこそ抜きつ抜かれつが生まれてF1と違った『パレード』にならないレースが見られるのがフォーミュラE版モナコの特徴ではありますが、一方でさすがにちょっと危ない場面が多いです。ティクタムとダコスタの接触はシケイン付近にいるマーシャルさんが怪我しなくて良かったですし、外れた車輪が人や他の車両に当たったり海に落ちたりしなくてよかったです。これは本当に運が良かったと思いますね。
 節約要素を薄めてしまったらF1と同じただのパレードになるのでそういうわけにもいかない、というのが運営の悩みどころではあると思うんですが、子供がレースゲーム遊んでるレベルであっちこっちガシャガシャやられたんじゃあプロのレースとしてさすがに厳しい気がしますし、車が速くなるGen4で同じことをやったらこの程度では済まない可能性も考えられます。実際に運営がGen4でどういうレースをさせたいと思っているのか分かりませんが、モナコに関してはある程度速さを競う方向に進んだ方が良いんじゃないかと思いました。

・ブレーキで動きすぎると・・・

 一方でそうした接触事故にはドライバーのモラルの問題も少なからず絡んでいます。ティクタムに関しては、そらあんなライン取りしたらぶつかるよ、としか言いようがありませんでした。本人は全く裁定に納得がいっておらず、しかもティクタムはそもそも今年の開幕以降に最低への不満を爆発させていた選手ですから完全にへそを曲げたような感じ。レース後はブチ切れてすぐに帰ってしまったそうで、おかげで『義務付けられた取材対応を怠った』としてレース後に罰金1000ユーロも食らってしまいました。
 ダコスタはレース後の取材で、ティクタムが事故に至る前から繰り返しブレーキング中の進路変更を行っていたため、もっと積極的にこうした行為に警告を出して自制を促すべきだという見解を示しましたが、ぶっちゃけその一連の出来事が2周ぐらいの間で起きているので、仮にレース ディレクターがティクタムだけを監視する不平等な扱いをしていたとしても審議してる間にもう事故ってたと思いますね^^;

 他にも各所で同様の「ブレーキングで動いた!」「真っ直ぐ突っ込んで来やがった!」「どこ見て走ってやがんだ!」という無線が山盛りのレースだったようで、渋滞とノロノロ運転で集団から抜け出せずイラつくのは分かるんですが、ちょっと無茶する選手が多すぎたのも事実です。レース形式がこうだから無茶が増えるのか、ドライバーがちゃんとしてればレース形式がどうだろうが関係ないのか、卵と鶏の関係ではありますけどこのレースに関しては正直『どっちも悪い』という印象でした。内側が空いてるからって何でもかんでも飛び込んでぶつけて「閉められた!」とか被害者面してたらゲームと変わらんですよ・・・

・ティクタムの戦略

 事故のことは一旦横に置くとして、そもそもティクタムがそんな状況に追い込まれたのはレース終盤にかけてタイヤもエナジー残量も厳しくなっていたからでした。ポールポジションを獲得し、レース前半の多くを先頭で走り続けていた中で、ピットを出たらなぜか4位にいたんだからドライバーとすると腹が立つのは間違いないでしょう。クープラ キロのチーム代表・ラッセル オヘイガンはレース後に

レース序盤でリードするのは表彰台を狙う戦略であって、優勝を狙う戦略ではないということは、ある程度最初から分かっていました。」

と話していたようで、戦略として優勝を狙える組み立てで無いことをピット側としてはある程度織り込んでいたと思われます。でも走ってる側にはそんなこと言わないでしょうから、たぶんここで意志に食い違いが起きていると思われます。『じゃあ何で勝てる戦略にしないの?』と思われる方もいるでしょうが、勝てる戦略=巧みに順位を下げてエナジーを節約しつつ、最後にそれをちゃんとひっくり返して元に戻すことになるので、やり方をミスると順位ダダ下がりで3位にすらなれなかったり、集団に入って接触で元も子も無くなったりする危険性があります。
 しかも彼らの車は型落ちポルシェ、シーズン11で新規開発されたライバル勢のパワートレインより基本的には劣っているはずなので、効率で正面から競争したらそもそも不利です。前を走ってまあ何とか3位には入れる戦略、そこに上手くSCなりFCYなりが入ってエナジー量の制約が外れてくれたらあわよくば勝てるかも・・・という前提でレースを組み立てるのは間違いではないと思います。ただ、それを選手とちゃんと目標として共有できていないと齟齬が生じてしまい、「聞いてねえぞ!」「何で抜かれてんだ!」「何でピットに入らなかったんだ!」というような問題が生じます。
 レース前のミーティングで徹底できていなかったのか、したけど走ってたら忘れちゃうのか内情は分かりませんが、この辺をきちんとしないとチームとしていつまでも同じことを繰り返してしまうし、ティクタムだって結局は選手として評価を下げるだけになるので、ちゃんと話し合った方が良いだろうなと思いました。それとティクタムは接触について自分が悪いとは思っていないようなので、そのへんもちゃんとチームとして言うべきことは言ってあげた方が良いと思います、擁護するだけが育成じゃないです。

・好調マヒンドラ、ポルシェは・・・なぜ?

 ティクタムの話ばっかりになっちゃいましたけどデフリースの優勝はお見事で、本人の速さと車の競争力と戦略が全て噛み合いました。去年もマヒンドラは速かったですけどレースでの戦い方やソフトウェア面で課題が山積みだったと思います。それが今年は改善されているのはモルターラの好調から既に明らかでしたが、それでもやっぱり常勝組に勝つとなると・・・と思っていたらあっさり壁を破ってしまいました。
 ポルシェが共倒れして消え、日産も全然ダメ、ティクタムが引っ張ってくれたおかげでレースが組み立てやすかったというのはありましたが、必要な時に必要なペースを取り出して、抑える時は抑えたデフリースとマヒンドラの成果です。ここを予選で速く走るには高い技術が必要ですから、FP1からずっと上位にいるデフリースはやはり優秀なドライバーですね。チャンピオンを獲って以降はF1での苦い経験を含めて苦労が多くて自信を失った部分もあったんじゃないかと思いますが、この1勝はすごく大きいと思います。
 逆にポルシェは同士討ちがあったとはいえそもそも中団でのレースで危ない位置にいました。ポルシェはなぜかモナコで結果が出ておらず、これがモナコで戦う6シーズン目ですがまだ一度も表彰台が無く最高位は4位です。他で速いことを考えるとセッティングやパワートレイン由来のリア サスペンションの設計がこういう高速コーナーで何か噛み合わないとか、逆に他の開催地では強みになっている凹凸に対する処理なんかが綺麗な路面のここでは活きなくて相対的に弱くなるとか、何か要因があるんじゃないかと思えてきます。前戦ベルリンから取りこぼしが続いてチーム/ドライバーの両選手権で1位を明け渡してしまいましたので、なんとか2戦目で引き締め直して堅実なレースを1つやり切りたいところですね。

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