ABB FIA Formula E World Championship
2026 Monaco E-Prix
Circuit de Monaco 3.337km×28Laps=93.436km
Race Energy:38.5kWh
Reference Time for SC/FCY 3:55
Attack Mode:480 seconds/2 time
ABBフォーミュラE第10戦モナコ、前日の第9戦はけっこう事故が起きてしまう荒れたレースで、ちょっとドライバー同士の遺恨も残ったかもしれません。そしてこのレースはピットブーストがなくてより節約要素の強いレースになりますから、傾向としてはこちらの方がより荒れやすい条件です。たぶんそれなりにドライバー同士の話し合いや偉い人からのご注意もあったと思いますがあんまり荒れすぎないことを願いたいですね。日本のプロ野球でもちょうど東京ヤクルトスワローズの投手陣がちょっと与死球が多すぎるということで不穏な空気が時々流れてますが。2026 Monaco E-Prix
Circuit de Monaco 3.337km×28Laps=93.436km
Race Energy:38.5kWh
Reference Time for SC/FCY 3:55
Attack Mode:480 seconds/2 time
winner:Oliver Rowland(Nissan Formula E Team/Nissan e-4ORCE 05)
ちなみにモナコ名物(?)プラネットスシですが、調べたところ元々経営状況があまりよろしいとは言えない状況になっていたところにCOVID-19、ウクライナ戦争に端を発した物価高と立て続けに経営に打撃を与える出来事が続いたので、多くの外食店舗と同様に経営不振に陥って2023年に運営会社が経営破綻した模様。同業の͡コテ スシという会社に16店舗は買収され、フランチャイズの33店舗は別の事業者が引き継いだそうです。
・Gen4お披露目!
この週末にはGen4車両がお客さんの前でとうとう披露されました。すっかり良いオジサンになったデイビッド クルサードがデモ走行を行い、かなりゆとりをもった走行だったとは思いますが時折けっこうな攻め方をしてモンテカルロ市街地を周回しました。縁石で跳ねた時に後ろが軽く流れとるんよね。加速はやっぱりえげつない。
トンネルからヌーベルシケインへの減速など、高速域から減速していくときに車体が底を擦るような音がけっこうしているので、モナコで車高を下げられることがあるとは思いますが従来よりも上級フォーミュラ車両の動きに近づいたのかなという印象を受けました。とりあえずDCが車をぶっ壊さなくてよかったです(笑)
ちなみにですが来シーズンはポルシェがワークス2チーム+カスタマー1チームで6台になる予定なので、従来も時折あった『同一パワートレイン同士で協力する』『ワークスがカスタマーを従わせる』というようなパワートレイン単位での集団戦が行われると、台数が多いポルシェが有利になりかねませんし、カスタマーが不利に扱われるおそれもあります。そこで同一パワートレインのチーム同士で順位を調整するような共謀行為を禁止する方向で規則の策定が進んでいる、とザレースが伝えていました。線引きが難しいからこういうのって結局有名無実化することが多いですが・・・
・練習走行
最後の練習機会となるFP3、最速は昨日やらかしてしまったミュラーで1分26秒491、2位以下を0.3秒以上引き離す1人だけ飛びぬけた記録でした。モルターラ、グンター、バーナード、エバンス、ティクタム、デフリースが続きます。ミュラーは300kWでも2位につけており、こちら300kWでの1位はブエミでした。ブエミと言えば昨日は途中で接触によりウイングの一部が壊れてぐらぐらしてしまい、走行しながら車を振ってなんとか剥がしてしまおうと必死になってたら最終的にはマジで飛んで行ったので「ラッキー♪」って言ってました(笑)
・グループ予選
A組には怒れる男・ティクタム登場、キレキレの走りでいきなり1分28秒492を叩き出すと、結局これを他の人も自身の2回目の計測でも破ることができずグループ最速になりました。2位モルターラ、3位エバンス、4位ドルゴビッチ。期待されたミュラーはドルゴビッチに0.069秒届かずグループ6位、デフリースは昨日優勝してプールに飛び込んだのが良くなかったのかグループ8位で脱落しました。
続くB組ではロウランドの出した1分28秒765が更新されないままチェッカーが振られましたが、最後にバーナードが1分28秒545で最速を更新して1位通過。2位ロウランド、3位は昨日の国際映像で最後に明らかにデフリースと間違ってカメラが追いかけていたジャン エリック ベルニュ、4位ダコスタ。昨日はパンクで散々だったベアラインですが今日も結果が残らず7位で脱落、グンターは1回目のアタックがなかなか良かったのに、プール横シケインでちょっと滑って白線を超えてしまい記録抹消。2回目のアタックはダコスタまで0.068秒届きませんでした。脱落した、と言っても5位や6位だとほとんど誤差みたいな差しかありませんね^^;
・デュエルス
A組は色んな意味でキレてる男・ティクタムが驚速で今日も勝ち上がって決勝へ。方やB組ではダコスタに神が降臨したようで、準々決勝でエバンスを0.001秒差、準決勝はベルニュを0.015秒差で下しました。ということはデュエルス決勝はティクタムvsダコスタという昨日の因縁がある2人です、やっぱり神が降りてきてます(笑)
国際映像も昨日の接触を改めて何度も流して煽るデュエルス決勝、ですがターン1から既にダコスタは後輪の温度が上がりすぎてるような動きで後ろが不安定。後攻のティクタムはさっきまでと変わらない走りを見せたのでコーナーを通過するごとにどんどん差が開いていき、ティクタムが出したタイムは1分26秒222。ダコスタは1分26秒898と1回戦負けするレベルの失敗アタックになってしまい、ティクタムがモナコ2戦連続ポールという偉業で昨日のイライラをいくらか吹き飛ばしました。でも決勝では隣にダコスタがいます。
スタート順位はティクタム、ダコスタ、モルターラ、ベルニュ、ドルゴビッチ、バーナード、エバンス、ロウランドのトップ8。ミュラーが11位、ベアライン14位、デフリースは15位です。
予選を見ていると、ドルゴビッチはレースを重ねるごとにどんどん良くなってる印象ですね。ここはFIA F2で走ってるから他のコースより馴染みやすいというのもあるとは思いますが、一発の速さに関しては既にデニス先輩に並ぶか、もう上回るぐらいになってるのでなかなか素晴らしいと思います。他カテゴリーで成功してきた人でもフォーミュラEでは車と仲良くなれずにそもそも一発の速さすら出せない、という人はこれまでそれなりにいましたから、まず速く走れる能力があるだけでも見込みがありそうです。決勝は浪費癖がありそうなのでまだデニスほど脅威ではないと思いますけど、いいお手本がいるのは有難い話です。
・決勝
さあ今日は何が起きるのか、とりあえずダコスタはティクタムにあんまり近寄りたくないと思うので、てきとーに風よけにして走らせるんじゃないでしょうか。ティクタムがリードしたままヌーベルシケインへと向かいますが、起きたのは想像の斜め下ぐらいの出来事でした。
| あ・・・ |
ダコスタの後ろでモルターラとベルニュが並んでシケインに入りましたが、この2人がシケインの切り返しで接触しつつ、モルターラがダコスタをコツンとやってしまいました。ダコスタがスピンして16位まで後退。
ダコスタ「最悪だもう、今シーズンの俺らどうなってんの。」
モルターラ「俺のせいじゃないよ、JEVのせいだ。」
ベルニュ「モルターラが完全に切り込んで来た。」
モルターラはベルニュが無理に並んできて接触したからその弾みでダコスタを押した、と主張したいようですが、ベルニュはモルターラが切り込んできたから当たったんだ、という主張でダコスタの話は無し。レース スチュワードの判定は、ダコスタがスピンしたのはモルターラが接近した位置にいたのに回避義務を怠って、最初に軽く、次にもう1回、計2度押したことが主因であるとし、ベルニュとも接触はあったけどこれは影響しなかったとしてモルターラに10秒加算のペナルティーを課しました。たしかによーーく見るとシケインの入り口あたりで軽くズズズっと押したあとにもう1回ボンっと押してトドメになってますね。
モルターラは2周目に入ったところでティクタムを抜いて先頭に出ると後ろを引き離すようなそぶりを見せ、5周目に入るあたりで10秒ペナルティー確定のお知らせが届いた後には、それまでの1分39秒台からいきなり35秒、33秒、とペースを上げる予想外の動き。昨日のレースですら序盤は35秒台でしたから、普通に考えると速すぎです。早々にアタックモードを使ったミュラーが上がって来たという外的な要因もありますが、おそらくペナ持ちで普通にやっても入賞すらできないので後方をかく乱してやろうという意図と思われます。これは知ってて見ると興味深い展開。
これはティクタムにとっては朗報で、ミュラーが勝手に風よけを引き受けてくれ、それにペナ持ちで実質は争っていないモルターラも続いて自分は3番目にいるわけですから節約しやすい状況です。この状態を基本に10周目あたりからアタックモードの1回目のサイクルが徐々に始まっていき、ティクタムは使わずに様子見を続けた結果8位まで落ちた15周目にようやく1回目のアタック4分。
これはさすがにちょっと待ちすぎか?と思いましたがアタックが終わった17周目には前にモルターラだけがいる2位へと挽回し実質1位。後ろにいるエバンスは先にアタック6分を使ってしまったので残り時間に差があり、残された条件としてもけっこう良い状態になりました…と思ったらこの周の最終コーナー近辺でょっと強引ながらドルゴビッチがエバンスを抜いて3位へ、周囲よりエナジーを多めに残しています。伏兵登場。
18周目にはモルターラが2回目のアタック、さらに1周目のスピンを取り返すべくアタック6分を少し遅らせたタイミングで使ってきたダコスタが浮上して2人で一気にぶっちぎっていく様子でしたが、彼らのアタック時間が残っている間に後方でマルティーとキャシディーがラスカスで絡んでFCY導入。これもティクタムにとってはライバルが稼ぐはずの時間を外的要因が奪ってくれる上にエナジーとタイヤも節約できるので有利に働く、はずでした。
ところが約1分45秒のFCYが解除されるとダコスタに思わぬ幸運、解除されたのがちょうどアタックのアクティベーション区間直前だったので、ダコスタは即座に2回目のアタック2分を使用。まだじゅうぶんに速度が上がっていない状態ですから通常よりもロス タイム デルタが削減されており、たぶんロスが0.6秒とか通常の半分以下で済んでしまったと思われます。モルターラに抜かれ、それをすぐ抜き返して当面は暫定1位。
一方ティクタムはというとFCY解除後のヌーベルシケインでドルゴビッチに抜かれておりなんだか元気なし。さらにここまでエナジー節約作戦でたっぷり貯金を作っていたらしいロウランドが満を持して2回目のアタック6分を使用。6位から爆発的な速さでゴボウ抜きし23周目にリーダーとなりました、なぜかってそう!ニッサンだけにね。(デーーーン)オリバーーーーーグ!
ティクタムはこのサイクルも後からアタックを使って追い上げる形になりましたが、タイヤが厳しいのか戻りが弱くて集団の中に入ってしまい手詰まり感。さらにさきほどのFCY時に制限速度を守っていなかったとして5秒加算ペナルティーを受け完全に詰みました。公式文書によると減速が遅くて1.8秒間にわたって50km/hを上回っていたようです。その後のティクタムは他車と絡んで壁に当たったりして完全に気が抜けたような状態、最終的に14位でした。なおティクタムはもう1件接触による審議案件がありましたが、これは車が壊れて正常な速度で運転できなかったことに原因があるとして罰則はありませんでした。
優勝争いはロウランドが前に出てそのまま圧倒、ペースが1分32秒前後と抜くには難しい水準の速さで、しかもペナ持ルターラが2位にいて仕掛けてはこないだろうから安心感。3位のドルゴビッチはモルターラを抜いたら脅威になる気もしますが無茶はしたくありません。終盤の26周目にはバーナードがポルティエで無理に抜こうとして見事に自爆したためFCY、エナジー管理はより楽になりました。なおバーナードはレース中の接触行為で10秒加算ペナルティーを2つも受けており、クラッシュ後に抜け出して完走はしたんですがスチュワードはペナルティーを次戦5グリッド降格×2に置き替えたのでチャラにはできませんでした。
FCY解除後も上位に特に波乱はなく、これぞオリバー!というレースでロウランドが今季初勝利・通算8勝目。今季の10戦でロウランドの入賞は6度目ですが、それらは全部表彰台です。2位はドルゴビッチで初の表彰台、アンドレッティーとしても開幕戦でデニスが勝って以来久々の表彰台でした。決勝ではまだまだ、なんて書いた矢先にもう結果出しちゃいましたね。3位はスピンして16位まで落ちたはずのダコスタ、レース後は無線で「怒っていいのか喜んだらいいのか分からん。」と苦笑い。笑えばいいと思うよ。
ベアラインはこの日も無得点だったのでモナコで全く数字が動かずロウランドが選手権2位に浮上。エバンスも12点を稼いできました。なおベアラインってとにかく1点でも良いから持ち帰って来ることができる選手で、2戦連続で1点も獲得できなかったのはなんとシーズン7の第5戦バレンシア~第7戦モナコでの3戦連続無得点以来、なんとそれ以降は約5シーズンにわたって無得点レースが連続していませんでした。これ、すごくね?チーム選手権でもジャガーが1位、唯一マニュファクチャラー選手権だけはドルゴビッチの活躍に助けられてまだポルシェが1位を守っています。
・やはりマイペースが一番?
優勝したロウランド、気づいたらエナジー残量がずいぶんと周囲の人より多くなっていたわけですが、ミュラーとモルターラがやたらと飛ばして引き離しにかかった6周目以降に一時的に集団から1秒以上離された第2集団の先頭になる場面がありました。つまり速く走って混乱大作戦には付き合わなかったと思われます。ペースの上げ下げは効率が悪いから気にしない方が、とは頭ではわかっていても実際に前が速く走って、それを無視してリフト&コーストを続けて後ろから抜かれると冷静ではいられないので考えるほどはなかなか簡単に行きません。さすがに日産とロウランドはチャンピオンとして戦い方の基本をしっかり心得ていたと思います。
正直、今回はティクタム行けるんじゃないかと『駒の動き方』を見ていて思ってたんですが、それでもやっぱりタイヤとエナジーの両面で苦戦してしまいました。後からアタックを使って追い上げる時に四輪駆動で攻めたから前輪をこじって走ったのもあったでしょうし、そもそもモナコで一発の速い車って基本的には弱オーバーステアなことが多いので、いざ速く走ろうとしたときに前も後ろもタイヤを削ってるのではないかと推察、結局はロング ランで車もドライバーも弱かったんですね。
2戦連続でポールを獲りながらそれ以外に何も稼げなかったのは、型落ち車両というハード面、目標をきちんと定められなかったソフト面のそれぞれに課題もありますが、残念ながら半分以上は運転手さんの力量の問題だったでしょうから、反省すべきところはきちんと反省して次に向かわないといけないでしょう、特に接触ね。
ジャガーはGen3Evo導入当初の昨シーズン序盤はどうしたんだというぐらい苦戦していましたが、そこから思うとハード・ソフト両面で完全に優勝争いの一角に戻ってきました。特にダコスタの3位はチーム側が状況に合わせて戦略を再構築したそうで、そうした対応がきちんとできるところに強さがあります。
・苦戦が続くステランティス
逆にステランティスは速さの面で苦戦している上に、じゃあその中でレースをどうやって組み立てるのか、というのを考える以前に接触が多すぎました。キャシディーはなぜ遅いのか原因を突き止められずに困惑し、バーナードは暴れまくった末に最後は自滅。ドライバーがチーム力を信用できていないから余計にコース上で我慢できずにとっ散らかってるようにも見えます。
DSペンスキーは今季ここまで34点しか稼ぐことができずチーム選手権で下から2番目。DSとペンスキーの関係は今季限り、来シーズンをどうするのか未だに明らかにされていませんが、そうした不透明な状況もいくらか関係するかもしれません。そしてシトロエンは運営会社のMSGが財政難に陥って、実質的にフォーミュラEの運営会社が救済のため自分たちで動かしている非常態勢が1年近く継続。新たな投資家を募っているものの未だに見つからず、本来避けるべき『運営が自ら所有するチーム』が長期化しています。他陣営は当然ながら公平性の問題から疑問を呈しています。
シトロエンは85点を稼いでチーム選手権で6位につけてはいますが、うち71点はキャシディーが獲得したもので、おそらく他の平均的な選手が起用されていた場合にはDSペンスキーとそこまで違わない結果に落ち着いているのではないかと思います。来シーズンはオペルが新規チームとして立ち上げられてステランティスは『ワークス=オペル GSE、カスタマー=シトロエン MSG』という体制になるはずですが、ちゃんとやっていけるのか色々な面で不安ですね。
さて、次戦のフォーミュラEは6月20日に中国の三亜で開催されます。中国・海南島の南端に位置する同島で第2の都市、シーズン5で初開催されて本来はシーズン6でも開催予定でしたがCOVID-19のために中止され、たった1回だけの開催でずっとそのままだったイベントです。公表されたコース図を見ると基本的に当時と同じ場所ですがちょびっとだけ手直しされて1周の距離も変わってるみたいですね。1戦だけの開催なんですがピットブーストはどうするんでしょうか。
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