NASCAR 第8戦 ブリストル・事前情報

NASCAR Cup Series
Food City 500
Bristol Motor Speedway (Bristol,Tennessee)
0.533miles×500Laps(125/125/250)=266.5miles
Goodyear Racing Eagle Tire Code:
Left;D-5276 , Right;D-5278
Total Sets:12(10 new race/1 qualifying transfer to race/1 practice)

 1週間のお休みを挟んでNASCARカップシリーズ再開、第8戦はザ ラスト グレイト コロシアム・ブリストル モーター スピードウェイです。マーティンズビルに次いでシーズンで2番目に小さい1周0.533マイルのトラックですが、最大バンク角28度の高速トラックでなんというかルーレットの玉みたいに狭いすり鉢状の空間を車がゴロゴロと転がっているような唯一無二の開催地です。
 コンクリート舗装ということも相まってマーティンズビルと同様にわりと得手不得手が出るタイプのトラック、ひとたび事故ると高速ゆえに回避が難しく、バンク角が高いせいで事故車が道路を横断することも多いので後続が根こそぎ持っていかれることも多くてかなりの危険地帯です。1周たった15秒、これを500周もするとか日欧のレースしか知らない人からすると意味不明なやつ。

 そんなブリストルは近年タイヤが思わぬ鍵になることがたびたび発生、バンク角の低い内側からでも抜けるようにするため路面に塗布するトラクション コンパウンド、舗装、タイヤ、路面温度の組み合わせがたまたま悪い条件で重なってしまうと想定外の異常なタイヤ摩耗が発生、ほんの15周でタイヤが壊れ始めて40周もしないうちにパンクする、というような緊急事態も発生しました。こればっかりは正直『本番で走ってみないと分からない』というレベルで予測不能。
 そこで今回、NASCAR/グッドイヤーは昨年11月に実施したテスト結果を基にした新しいタイヤを投入しました。左右とも初めて使用するタイヤとなりますが、グッドイヤーの担当さんによると練習走行とレース時の異なる路面条件に適合し、11月の寒い時期の走行でもきちんと路面にラバーが乗って行き、3月の条件でもきちんと動作することを確認している、と自信ありげなことを言っています。ちなみにこの時テストに参加したのはアレックス ボウマン、プリース、ウォーレスの3人でした。
 ぶっちゃけタイヤ異常摩耗事件も本当のところどこの何が悪かったのか分からずじまい的な部分がありましたから、私はグッドイヤーの発言を全く信用せず観戦することにします(笑)

・ちょっとしたデータ

 ブリストルで開催されるカップシリーズは今回が128回目、2021年から3回だけ開催された特設ダート路面でのレースはこれと別勘定です。現役最多はカイルの8勝ですが最後に勝ったのは2019年。ジョーギブスレーシングはブリストルで通算12勝を挙げておりヘンドリックの14勝に次ぐ数字ですが、その大部分はカイルによってもたらされたということになります。
 とはいえGen7車両となった2022年以降のブリストル6戦ではハムリンが2勝、直近の開催となる昨年秋はベルが勝っていてチーム別最多の3勝と好相性。他の優勝者はラーソンが2勝、クリス ブッシャーが1勝。ラーソンは6戦中5戦でトップ5フィニッシュしており平均順位7.7、昨年秋のレースだけが押されたことでクラッシュしてしまい32位で数字を押し下げました。
 平均順位でラーソンを上回るのはベルだけで、こちらは6戦全てトップ10フィニッシュして平均が5.2。統計数字上ではベル、ラーソン、ハムリンの3人だけが突出してGen7のブリストルで好成績を残しています。じゃあ現役最多勝のカイルはどうなんだ、というとこの6戦では最高位が14位、平均順位22.3は下から数えた方が早い全体22番手。チームメイトのオースティン ディロンより僅かに悪い数字です。
 予選順位別の優勝者ではポールシッターが通算27勝・勝率21.3%と最も高くなっていますが、最後のポール トゥー ウインが達成されたのは2020年春のケゼロウスキーまで遡ります。とはいえ最近続けて勝っているハムリンもラーソンも予選順位は2位か3位、Gen6時代まで範囲を広げてブリストル過去15戦で見ても、うち9戦は予選5位以内から優勝者が出ています。単純に速さが必要なのはもちろんのこと、高速なのでクリーン エアーはけっこう大事ですし集団にいると事故も多いので、基本は予選上位勢に注目となりそうです。

・レース前の話題

 まずは朗報です、第3戦オースティンのレース中に目まいを訴えて途中棄権し、以降のレースを欠場していたボウマンが医師の許可を得てこのレースから復帰することになりました。当初チームが発表していた内容ではこのレースまでの欠場が決まっていましたので1週間早く戻れたことになります。「COTAを後にしたときは、正直これで終わりだと思った。」と選手生命の終わりすら感じたというボウマン、ブリストルは得意なトラックですが、一方で強烈な衝撃が加わる事故が起こりやすい場所でもあるのでとりあえずは無事に走ってほしいですね。

 次に、再来週の第10戦タラデガについて、極端な燃費レースをさせないためにステージ距離を変更することになりました。NASCARの上級副社長兼最高レース開発責任者・ジョン プロブストがポッドキャスト番組内で明らかにしたもので、正式な内容はまだ明らかにされていませんが従来の発想から転換してステージ1を100周近い長いものに、ステージ2とファイナルを50周未満の給油せずとも全開で走り切れる距離になるようです。従来の設定は 60/60/68 でいずれも1回の給油が必須の内容でした。
 ステージ制レース最初期の構想ではステージ1・2の距離は合わせてレース距離の30~40%程度で、本当のレース順位を争う最終ステージがレースの半分以上という話から始まりましたが、実際は均等割りのイベントも多いものでした。それでもカップシリーズではステージ1の距離が最終ステージの距離を上回るような逆転現象になったことは過去に一度も無いはずなので、実施されれば大きな変化となります。
 また、来年1月に『プレシーズン サンダー』と称されるテスト走行をデイトナで行うことも明らかに。デイトナでのテストはデイトナ500の宣伝材料という意味合いもあって実施されていた時期がありましたが、費用削減のために2014年を最後に10年以上実施されていませんでした。テストの目的はドラフティング トラックでのレースをより魅力的なものにするためにどうすれば良いのか、戦略と車両仕様の両面から実際の走行を通じて情報を集めるためです。
 これに関連し、開幕前のザ クラッシュもデイトナに戻るのではないかという噂がより強まりました。今年のボウマングレイでのイベントは寒すぎて順延になったことで改善を求める声があることに加え、クラッシュのレースをデイトナで行うことで制度変更の効果や実験的な制度設計を試すことが可能になるためです。ファンにとってはテスト、クラッシュ、デイトナ スピード ウィークと走行機会を多く見られる久しぶりの機会となるのかもしれません。


・Craftsman Truck Series Tennessee Army National Guard 250

 クラフツマントラックシリーズ、ステージ2終盤まではクリスチャン エッケスが圧倒的な速さを見せていましたが、ステージ終盤のコーションでピット戦略が分かれるとここから混戦に。7回目のコーションでエッケスはリードを取り戻しますが、続く179周目のリスタートでハイムが襲い掛かりました。何だ今日もハイムが勝ってトリプルトラックチャレンジの賞金独占か、と思ったその僅か数秒後

 フロントストレッチでエッケスの車に軽く引っかけられてしまい、ハイムはそのままスピンしてターン1の壁に真後ろからけっこうヤバそうな音でクラッシュ。あろうことかチームメイトのハニーカットが巻き込まれ、さらに優勝候補の一角だったレイン リッグスもグシャリ。ハイムもエッケスをちょっと押して抜いていたのでレース後はわりと割り切っていたようですが、ハイムの賞金独占とはなりませんでした。
 一方この事故は無傷のエッケスでしたが、リスタート後にベルに抜かれました。トラックシリーズは今季2度目の登場となるベル、レース終盤はC.スミスの猛追を受けましたが逃げ切り、チャンピオンを獲った2017年の第17戦ニューハンプシャー以来約8年半ぶりのトラックシリーズ通算8勝目を挙げました。ベルはもちろんカップシリーズを選択している選手なのでトリプルトラックチャレンジ賞金の対象外、ということで対象選手最上位のC.スミスが賞金5万ドルを手にしました。またドライバー選手権でもハニーカットに1点差の1位に再浮上しています。

 このレースはベルの他にもカップ選手が出場しており、チャステインは4位、カイルが39周のリードを記録して8位、ホースバー9位、ブリスコー14位、スアレスが18位でした。リッキー ステンハウス ジュニアは貰い事故があったので3周遅れの26位となっています。トラックシリーズはこの後2週間はレースが無く、次戦は5月1日のテキサスとなっています。

・O'Reilly Auto Parts Series Suburban Propane 300

 オライリーオートパーツシリーズ、冠スポンサーのサバーバン プロペインはプロパンガスなどを販売する会社です。レースは3位スタートのラーソンがステージ1・2を制して最終ステージも中盤まで圧倒。195周目には

 プロパンガスが引火した、わけではなくメイソン マッジオの車両がエンジン故障によりピットに入りましたが、ガレージ側へ引き上げる道中で火が出て大騒ぎに。マッジオはジャスティン オールガイアーのクルーなどに車両から引きずり出してもらって無事でした、これで一時レッド フラッグとなりますがラーソンの支配は続きます。
 しかし270周目、グレイ ゴウルディングのスピンで7回目のコーションが発生するとラーソンを含む大多数がピットに入った一方でコナー ジリッシュなど4人がステイアウト。この後283周目にもコーションが出て最後は11周の短期決戦となりましたが、ラーソンの追撃が一歩及ばずステイアウト大成功、ジリッシュが逃げ切って今季初・通算12勝目を挙げました。昨年は優勝して屋根の上に乗って喜んだ後に転落して大怪我しましたが、今日も慎重に車の上から出てきました。

 2位ラーソン、3位は18歳になったばかりのブレント クルーズ。クルーズはジリッシュ同様にステイアウトして優勝を争うと、誰よりも大外を走ってターンを駆け抜け残り8周の時点でリードしていましたが、ちょっとやりすぎて壁に当ててしまい初優勝は逃しました。ただあの大外走りはハイライトで見ただけでも大物感がただよう魅力ある走りに思えましたね。
 また、賞金ボーナスが手に入るダッシュフォーキャッシュは権利を持つ4人の中で最上位となる4位だったオールガイアーが賞金10万ドルを獲得しました。次戦はクルーズ、オールガイアー、カーソン クワポー、シェルドン クリードの4人にD4C獲得権が与えられます。オライリーはこの後もまだまだ休みが無く次戦はカップと同じカンザスです。

・カップシリーズ 予選

 さあカップの予選、ブッシュライトポール賞はブレイニーが獲得しました、今季初・通算13回目。ブレイニーにとってブリストルは通算で予選平均順位がフェニックスに次いで2番目に良いトラックなんですが、決勝は3度記録した4位が最高位で優勝無し。ただ直近の3戦は6位、5位、4位と上村 愛子スタイルで順位を上げてきています。
 2位からレディック、ブリスコー、そして4位にはものすごく意外なライリー ハーブスト、もちろん自己最上位。5位は好調のギブスなのでモンスター エナジーの似た車が並んでいます。チャステイン、ブッシャー、ラーソン、シンドリック、ホースバーのトップ10となりました。ハムリンは11位、ベルが14位、復帰戦のボウマンは27位、カイルは29位。全く調子が上がらなかったのかバイロンが34位スタートになっています。今回唯一のオープン チームはガレージ66・チャド フィンチャムで、予選は最下位の37位でした。

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