NASCAR Cup Series
Jack Link's 500
Talladega Superspeedway 2.66miles×188Laps(98/45/45)=500.08miles
winner:Carson Hocevar(Spire Motorsports/Chili's Rice the 'Dente Chevrolet Camaro ZL1)
NASCARカップシリーズ第10戦・タラデガ、ビーフジャーキーを製造販売する会社が冠スポンサーのジャック リンクス500。予選は雨で実施されませんでしたが決勝のお天気は良好、気温27度はちょっと高めな気もしますが観戦する分には気持ちよさそうな気候のように見えます。
・ステージ1
レースが始まってみるとやっぱり雨の影響か路面の一部がずいぶんと埃っぽい様子。そんな中で後方の選手が早々に3列目を作って前方へと押し上げてきたためすぐさま3ワイドになりました。98周のステージ1を1回の給油で走り切ろうとするとスロットルは60%程度にとどめる必要があるため、その気になれば踏み込むだけですぐ追いつくんでしょうね。
そんな状況でお構いなしに踏んでいるのかフィンチャムが隊列の先頭に出ると、7人がこれに付いて行くことを選んで集団が2つに分裂。ひょっとしてこのまま1ストップvs2ストップになるのかと思ったら、18周目に当のフィンチャムが隊列からさっと離れて第2集団の先頭に移動、ハムリンが強制的に先頭を押し付けられました、なんだかフィンチャムに戦略を乱されています。マラソンでとりあえずスタートから数分だけ全力で走ってテレビに映ろうとする人がいたりしますけど、そんな感じでしょうか。まあ実際問題スポンサーを考えたら大事なんですけど。
第1集団の最後尾は兄ディロン、第2集団の先頭は弟ディロンという状態でながーーーーーーーーい1列の状態での走行がしばらく続いていましたが、兄弟の差は少しずつ詰まって行って34周目には感動の再会、隊列は一旦1つの集団に戻ります。ただ前方で飛ばしていたハムリンを始めとする数名はもはや1ストップで走れる状況ではないですから早めにピットサイクルが訪れそうです。
41周目、やはりこのあたりが限界かハムリンを先頭に主にトヨタ勢8人がピットへ。給油と2輪交換でピットを後にしていきますが、なんかハムリンの進入速度速くね?と思ったら速度違反。さらにブリスコーも最も入り口側のピットだったため減速が間に合わずクルーを撥ねてしまい、安全規定違反でこれまたペナルティーです。ただでさえ8人しかいない集団から離脱者が出ると他の人も困ったもの、これでは速く走れず作戦崩壊に繋がります。なおフィンチャムも速度違反した模様。
45周目にシボレー、47周目にフォードの多くの選手がピットに入りますが、速度違反、ピット内の接触、誤発進などあっちこっちでとっ散らかっている様子。ラーソンは1缶目を給油して2缶目と取り替えようとしたら缶どうしがひっかかってしまい、結局2缶目を1滴も入れずに出て行ってしまいました。ステージ制レースになってから2缶給油って激減したので動きに慣れてない雰囲気ですが、それにしてもステージ周回数が変わっただけでみんな浮足立っていますね。
その後は燃料をもってない組が68周目・70周目にステージ2度目のピット作業を終えた一方で、ある程度持ってる組は引っ張ってステージ終盤へ。とりわけフォード勢は計算された走りを続けたようで2回目のピットを必要とせずそのまま突っ走りました。ステージ1を制したのはプリースで、ケゼロウスキー、ロガーノ、ブッシャー、ブレイニー、ベリー、とマスタング6台。これにレディック、グレッグソン、ギリランド、チャステインが続きました。
ペナルティーを受けた人たちにとって1ストップで走り切られたのはかなりの痛手、周回遅れからラップ バックできないままステージが終わってしまったので、当面は周回遅れから出られなくなってしまいました。もちろんハムリンもそのうちの1人です。
・ステージ2
ステージ終了前にピットに入ってるからここの給油は短い人、スッカラカンで2缶をたっぷり入れる人、何回も燃料を継ぎ足す人、そもそもガス欠でピットが開く前に入ってしまった人、やってることがバラバラでさっきのステージ順位とは全く違う状況になって105周目にリスタート。ステージ2からはアンダー グリーンで給油の必要が無い、とは言っても次のステージを上位でリスタートするにはやっぱりそれなりの節約は必要だろうし、そんな無理はs
やってもうた~。115周目のバックストレッチ、最前列にいたウォーレスが後ろから勢いよく押されてふらついてしまいクラッシュ、後続がほぼ全員巻き込まれる大惨事になりました。動けない車が多数発生したためレッド フラッグで一時中断。事前情報ページで私がおススメしたバイロン、透明化されず撃沈^^;
まず2番手にいたチャステインが内側から真ん中に動いてブレイニーをブロック、これを見たウォーレスもチャステインをブロックするため真ん中に動き、しかしチャステインの2台後方にいたロガーノがブレイニーを押し、ブレイニーがチャステインを、チャステインがかなりの勢いを貰ってウォーレスを押し、ウォーレスは予想外に押されて堪えられず。
推定26人が巻き込まれるビッグ ワンに「"巻き込まれなかった"人を表示した方が早いですね(笑)」と解説がぼそり。約10分にわたったレッドフラッグが解除されてピットが開くと給油とタイヤ交換に向かう人もいましたが、ベルはステイアウトを選択しました。するとこれに不満だったのが周回遅れのハムリン、上位の選手がステイアウトしたせいで自分はウエイブ アラウンドできないため無線で思わず「おい20番、ちげえよ!ピットに呼べよ!」とチームに苦言。
122周目にリスタートしたものの、2周後に既に車がボロボロのギブスがターン4でパンクして壁に突っ込みマイケル マクダウルを巻き添えにクラッシュ。ダメージ ビークル ポリシーってそもそもこういうボロボロな車によるつまんない事故が起きないようにするためのものだった気がするんですけど、要件を段階的に緩めて行った結果としてちょっと許容範囲が広くなりすぎた感。兄ディロンは無線で「だからあんなぶっ壊れた車は走らせたらあかんのや。」と苦言を呈していました。
130周目にリスタートすると、ここからの14周では2列目に付けているステンハウスの走りが注目されました。前にいるベルを押しつつ横にいるチャステインにはサイドドラフトを浴びせて、ドラフティングトラックで好成績を残せるのはこういう細かい部分で巧みに空気の流れを自分のものにしてるからなんだろうな、というのを感じさせます。ステンハウス、この先も押し役として期待できそう。
でも最終的にステージ2を獲ったのはチャステインでした。ちょっと前に出るのが早すぎたように見えましたが、結果的に追いかけてくる後続同士がサイドドラフトを掛け合ったのであと一歩伸びず、先行車の利益の方が僅かに上回った形です。ベル、ブッシャー、ステンハウス、ギリランド、プリース、ウェアー、ボウマン、エリオット、ゼイン スミスのトップ10でした。それにしても今回のチャステインのスキーム
・ファイナル ステージ
リードラップ選手がピットへ。周回遅れのハムリンはさっきステージ終了2周前に予めピットに入っており、ここでリードラップ選手が全員ピットに入ったらウエイブアラウンドを手にしてリードラップに戻る頭脳作戦、のはずでした。ところがなぜかハムリンはウエイブアラウンドできずファイナルステージも周回遅れでのリスタート。見ていて理解が出来ませんでしたが、後で調べたらリードラップ最後尾だったグレッグソンがわざとリスタート直前までピットに入らなかったため、ハムリンはこれが妨げになって『ペース カーとリードラップ選手の間』というウエイブアラウンドの条件を手にできなかったようです。フロント ロウ モータースポーツが意図的に仕向けたようで、ハムリンはポッドキャストで「次は容赦せんぞ。」と宣戦布告(?)したとか。
というわけで151周目、リードラップ選手21人の状態でリスタートして残り38周です。とりあえず最前列にいるのはブッシャーとホースバー、いずれもタイヤ交換しておらずけっこう古いものを使っています。しかしこのランは10周後、ボロボロのレディックがギブスと似た状況でターン2の壁に接触、タイヤの一部が剥がれて転がったためコーションに。しかしフェンダーがぶっ壊れても優勝するレディック、なおレースを続行。
167周目・残り22周でリスタート。ブッシャーとホースバーは結構お互いの位置関係を意識しているようで、時々ブロックしたりサイドドラフトをかけたりと牽制し合っています。そうこうしているうちに残りは10周を切り、ホースバーの後ろにステンハウスがいるのが気になるところ。と思ったらその矢先、
まさにこれから盛り上がろうかという残り8周のターン4出口、まだ少しヨーが残っている時にステンハウスがホースバーを押したため、タイヤが古いホースバーがふらついてイン巻きして横にいたジョーンズを弾き飛ばしました。ジョーンズはなんか上手いことピット ロードに収まりましたがコーション発生。ホースバーはもしジョーンズに当たって無かったら間違いなく自分がフロントストレッチ内側の芝生を滑走してたと思うので運がありましたね。このコーションでハムリンはようやくフリー パスを得てリードラップ復帰。
これで残り3周でリスタート、内側はホースバー・ボウマン・兄ディロン、外側はブッシャー・ステンハウス・エリオットの並び、ステンハウスが押す相手はさっきのホースバーからブッシャーに変わりましたね。リスタートからボウマンもステンハウスも上手く押していますが、ブッシャーはなんか押されてるわりに伸びてない印象。車が不安定で自信を持って走れていないのか、それを気にしてステンハウスがそーーっと押してるのか。それでもこの並びに変化なく2周してホワイト フラッグが振られました。
ターン1で変な事故が起きることも無く、バックストレッチでもまだ誰も仕掛けずにブッシャーとホースバーは並走。どちらが優勢とも言えないままとうとうターン4も立ち上がってフロントストレッチ勝負になりました。しかし最後の最後、大事なところでブッシャーは押されたらよろけてしまいこれが致命傷。ブッシャーは失速、4列目あたりからは詰まって多重事故。これでホースバーを止める人が誰もいなくなり、ひたすら真っ直ぐ走っていたホースバーがそのまま最初にフィニッシュラインを通過しました。
さらにファンの度肝を抜いたのはレース後のセレブレーションでした。フロントストレッチでいわゆる『箱乗り』をしようと思ったらなかなか上手く行かず、なんか間違って内側の壁にぶつかりそうになってから立て直して歓声に応えながらフロントストレッチを走行。最後は外側の壁に真っ直ぐ突っ込み、そのまま箱乗り状態で壁に向かってメリメリとバーンナウトという型破りなスタイル。マジで怪我すんなよ・・・
リーガン スミス「カーソン ホースバー、カップシリーズに来てからずっとあなたは我が道を歩んできました。まずはこの優勝セレモニーの話ですが、まさにあなたらしいやり方ですね。」
ホースバー「ええ、これまでずっと、ずっと観客の皆さんの姿を見てきましたけど、声を聞くことってなくて。ずっとそのことを考えてたんですけど、毎回どこかで失敗して上手く行ってなかったんですね。ですから今日は20分かかっても構わないんで、なんとかやり方を見つけようと思いましたね。時間がかかってしまって、息切れしてますけど。いやあ、本当に感謝してます。これは人生最大の夢ですね。皆さん、ありがとうございます。これ以上ない最高の形で優勝できました。おじいちゃんが見てくれているといいんですけどね。おばあちゃんは去年亡くなってまして。だから、今こうしておじいちゃんにトロフィーを渡すことができて本当に嬉しいです。両親もここにいてくれたらよかったんですけどね。ジェフ ディッカーソンには本当に感謝しか無くて、今日は死ぬ気で走りました。ホントに。それに、ヒート ウエーブをはじめみなさん来てくれて、本当に信じられないくらいです。ただただ感謝しています。ありがとうございます!。
※ヒートウエーブはサングラスの会社、ディッカーソンはスパイアーの共同オーナー
リーガン「フロントストレッチを駆け抜けて、チェッカーフラッグが見えました。どんな心境でしたか?このまま行ってくれって感じだったのか、それとも、違うことを考えてたんでしょうか?」
ホースバー「インスタグラムにも『"勝てるかどうか"なんて気にしない、勝つんだ』って投稿したんですけど、本当に勝てたので、本当に感謝しています。勝つって信じてましたね。」
リーガン「カーソンホースバーがタラデガでキャリア初勝利を挙げました。」
インタビューは好青年なホースバーでした。2位は良いレースだったけど「エリックが後ろにいてくれた方が良かったと思う。」とジョーンズからの推し活希望だったらしいブッシャー、3位は無事ゴールして安心したというボウマン、もちろん復帰後最上位。4位エリオット、5位にZ.スミス。6位からステンハウス、チャステイン、シンドリック、グレッグソンと続き10位にはカイル。チームメイトのディロンについて「トップ5のはずだったのに最後のクラッシュに巻き込まれて気の毒。」と気遣いました。
兄は残念でしたがタイディロンは13位、レディックはボロボロながらリードラップの14位でレースを終えて開幕からの全レースリードラップフィニッシュを継続。他に継続しているのはプリースしかいません。ハムリンはラップバックが遅すぎて15位止まり、ポッドキャストではグレッグソンを脅しただけではなく、とにかく車の空気抵抗が大きすぎて抜けないことにいら立ちを感じているようでした。フリーパスを争って相手がほんの数列前にいたとしても、抜きに行けないからそこから動けなくて勝負権が無いことが彼としては不満のようです。
115周目の多重事故でその場から動けずリタイアした人たちが5人おり、ウォーレスが36位でブレイニー、コール カスター、ロガーノ、そして最下位がラーソンとなりました。元々ドラフティングトラックでやたらと事故に遭いやすく、最近になってようやく結果が出るようになった気がするラーソンですけど今日はまた酷い目に遭いましたね^^;
まあそれにしても今週はホースバーですよ。昨年から既に勝ちそうな雰囲気を漂わせ、それと同時にあっちこっちで遺恨を作り、中堅チームでありながらヘンドリックのドライバーすら凌駕する走りと、滑ってもカウンター一発で立て直す驚きの反応速度と、そして荒っぽい運転。いかにもNASCARファンが好みそうな、いやむしろファンが生成AIに頼んで作ってもらったキャラクターじゃないかと思うような、そんな存在にとうとうその日が訪れて、そしてまた彼らしい独自のスタイルで見せてくれた上にインタビューはけっこう好青年ですから、エリオットが人気ナンバーワンから陥落する日もそう遠くないのではとすら思わせます。
ステンハウスに押してもらってたら滑って回りそうになった、というところで終わってても不思議ではないところ、ジョーンズが身代わりみたいになって救われた上に、そのステンハウスが次はライバルを押す側に回って、そしてブッシャーも回りそうになって自分が無傷で逃げ切って勝った、なんてどこからどう切り取っても誰かがシナリオを書いたとしか思えません、というかファンが生成AIに(略)
タラデガでカップシリーズ初勝利を挙げたドライバーはこれが史上13人目。最近ではウォーレス、ステンハウス、ケゼロウスキーが同様でブライアン ビッカーズもそうでした。一方でドラフティングトラックは何かの拍子にポンと勝ってしまうこともあるため、過去12人中6人、リチャード ブリックハウス、ディック ブルックス、レニー ポンド、ロン ブシャード、ボビー ヒリン ジュニア、フィル パーソンズはこれが唯一のカップシリーズ勝利でした。ブリックハウスは第1回タラデガ500優勝者で、有力選手が安全性を懸念して軒並み欠場した、という事情もあります。
1988年のケン シュレーダー以降の5人は全てその後も勝利を挙げてますのでどちらかというと昔の話ですが記録としてはそんな感じです。タラデガで初優勝したドライバーの中で最も勝ってるのはケゼロウスキーで現在通算36勝。そういえばケゼロウスキーもホースバーも同じミシガン州の出身で、ケゼロウスキーが初勝利を挙げた2009年第9戦タラデガで最下位に終わったのはヘンドリックのカー ナンバー 5・マーク マーティンでした。ケゼロウスキーも若い頃は悪童でしたから、こりゃあ30勝以上するドライバーになるんじゃないですかね(てきとー)
初優勝でアク抜けしてさらに伸びるのか、調子に乗ってやらかし癖の方が強く出てしまうのか、勝ってからの方がさらに大事。それと、スパイアーの今年の競争力にゲイブハートの持ち逃げした機密情報が関係しているのなら、大なり小なり裁判の行方はチームの競争力にも関係するかもしれないので、ちょっと気になるところですね。違反行為は大問題だけど、ホースバーが速いことで面白いレースになってファンは利益を享受してる、というところでお客さんとしてもなかなか反応に困る問題にはなってるかもしれません。
余談ですがこのケゼロウスキーが勝ったレース、クラッシュの影響で37位~39位の3人がジェフ ゴードン、ハービック、ボイヤー、と後のFOX解説者3人が綺麗に並んでいました。そんなFOXが放送するレースも残り少なくなってきましたが、次戦は難関高速オーバルのテキサス。旅行に行っててすぐには見れないのでネタバレをしないよう細心の注意を払います。
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