NASCAR Cup Series
お馴染みコリー ラジョーイが出場することになりました。ラジョーイは元々複数ドライバー制を敷くNo.25のドライバー陣の1人として名を連ねておりロッキングハムのレースには最初から出場予定でしたが、パートタイマーからフル参戦ドライバーに役割が変更。玉突きで空席となったNo.25はロッキングハムではタイ ディロンが乗ることになっています。久々にフル参戦格となるラジョーイ、
と声明を出しました。ラムとすると復帰1年目のシーズン序盤から契約した選手の問題でゴタゴタしてイメージもあんまりよろしくない中、知名度と経験がありトラックシリーズだとスパイアー モータースポーツでそれなりに結果も出してきているラジョーイの力に期待したいところでしょう。
目の前にいたのは周回遅れのチームメイト・No.15 タナー グレイ。11 ハニーカットはバックストレッチでこそドラフティングで車速が伸びましたが、ターン3への飛び込みで1 ハイムに競り負けて、というかグレイが邪魔で攻めきれずに抜き返されました。まさかの"チームメイト争い"を制したハイムがこれで2連勝で通算25勝目。トリプル トラック チャレンジの賞金をまた獲得しました。レース後の無線で判明しますが、残り4周あたりから急にステアリング系の何かが壊れて車が全然真っ直ぐ走らなくなっていたそうです。
レース前の段階でドライバー選手権1位だったチャンドラー スミスはこのレースを4位で終えたはずが、レース後車検で失格。この結果、フル参戦しているわけではないハイムがハニーカットと並んで同点で選手権1位に浮上しました。この先もポツポツと出没しては無双してたらプレイオフ出場権が手に入る可能性があります。ただ全戦に出ていないのでNASCARからの特例承認が必要で、仮に承認されてもチェイスを2000点で開始することになるのでさすがにチャンピオンを獲るのは難しそうです。
このレースはダッシュ フォー キャッシュの予選レースとなっており、サワーリッチ、ブレンダン ジョーンズ、ジャスティン オールガイアー、ラジャ カルースの4人が最初のD4C権を獲得しました。次戦でこの4人のうち最も上位だった選手が10万ドルの賞金を獲得します。
Off Week
Easter Bunny 500
Easter Bunny 500
NASCARカップシリーズは開幕戦デイトナから7週間連続で開催してきましたが、この週末はキリスト教の復活祭・イースターということもあってレースが開催されませんでした。今シーズンは他に8月2日の週末も夏休みでお休みになっています。イースター休みは昨年に続き2年連続です。
75年にもおよぶカップシリーズの歴史の中でもイースターはレースが開催されていない時代の方が長く、これまでにイースターの日曜日にレースが開催された回数は14回にとどまっています、どちらかというと家族で過ごす時間と考えられているんでしょうね。その14回のうち多くは1970年以前で、初開催は最初期の1953年でした。シャーロット スピードウェイというダートのトラックで、ディック パスウォーターという選手が優勝しました。彼のカップシリーズ優勝はこれが唯一だと記録されています。
翌1954年もイースターにレースが開催され、1959年から1970年にかけては8回開催されました。この前後期間を含む1958年~1971年はイースター当日に開催されていない年も前日の土曜日にレースが開催されており、この14年間は全てイースターの週末にレースを開催していたことになります。みんなが休む時にレースをやる、という方針でしょうか。
それが1972年以降はパタッとなくなり、1985年にイースター前日の土曜日開催があったのが数少ない例。1989年はイースター当日にリッチモンドで開催されてラスティー ウォーレスが優勝していますが、これは2月に開催するはずだったレースが悪天候で延期された結果レースが設定されていなかったイースターに組み込まれたもので代替日程でした。ちなみにラスティーは秋のリッチモンドも熱さで疲労困憊になりながら制するなどシーズン6勝し、この年のカップシリーズチャンピオンになりました。
NASCARの方針が急に変わったのはそこから30年以上経過した2022年、Gen7車両導入とともに大々的に様々な施策を講じる一環としてイースターのレースを復活させ、ブリストルのダートという特殊なイベントを持ち込みました。これが翌年も継続されて2024年はリッチモンドに移りましたが、昨年は元のお休みに戻りました。2022年の開催はいわば『1960年代の伝統が復活!』みたいなところがあったわけですが、そんなことよりもなかなか家族との時間が取れない従業員の皆さんの休みが重要だったと思われます。
ドライバーやピット クルーだけでなくチームには本拠地で働いている数多くの人もいますし、全米を転々と移動して毎週トラックで資材を運んでまわる人もいます。極端な話ドライバーなんかはレースが終わったら飛行機で帰るなりなんなりできて次の週末に現地集合すれば良いわけですが(実際はチームの拠点で反省会と次のレースへのミーティングとシミュレーター作業があるのでそうはいかないけど)、運送に関わる人たちはそんなわけにはいかないですからね。
しかしタダでは転ばないNASCAR、カップシリーズが休みなら他のシリーズを動かしてこの機会に見てもらおうという考えだと思いますが、オライリーオートパーツシリーズとクラフツマントラックシリーズは今週も働いており、現在はカップシリーズが開催されていないロッキングハム スピードウェイでレースが開催されました。1周1マイルで最大バンク角が25°というかなりクセの強いDシェイプで『ザ ロック』の愛称を持ちます。最近の設備更新とトラック再開場に併せて測り直したら0.94マイルだったらしいけど。
・レース前の話題
まずはトラックシリーズから、SNS上のライブ配信中に同性愛者をバカにしたような物言いをしたためチームとNASCARから出場停止処分を受けていたダニエル ダイ。NASCARは3月31日に処分を解除して全てのレースへ出場することが可能となりましたが、ダイは復帰せずコウリッグ レーシングから離脱することになりました。ダイは
「NASCARクラフツマントラックシリーズで過ごした時間、そしてモータースポーツ界で最も情熱的なファンの方々と共にコウリッグレーシングで競い合う機会を得られたことに心から感謝しています。今回、私はそこから離れることになりました。NASCARは私の成長において非常に重要な役割を果たしており、その機会を軽視するつもりはありません。多くの真摯な自己反省と信頼できるメンターからの助言を経て、私のキャリアにとって最も賢明な選択はストックカーレースの最高峰で成功するドライバーになるという長期目標に改めて焦点を当てることだと判断しました。復帰が認められた今は未来に希望を抱いており、次のチャンスに向けて全力で取り組むことを楽しみにしています。このスポーツとファンは私にとってかけがえのない存在であり、これまで以上に果たすべき目標に集中して、再びこのスポーツに復帰できることを心待ちにしています。」
と声明を発表。これでコウリッグのNo.10 ラム 1500を走らせるドライバーが空席となってしまい、今シーズンの残るレースでは
お馴染みコリー ラジョーイが出場することになりました。ラジョーイは元々複数ドライバー制を敷くNo.25のドライバー陣の1人として名を連ねておりロッキングハムのレースには最初から出場予定でしたが、パートタイマーからフル参戦ドライバーに役割が変更。玉突きで空席となったNo.25はロッキングハムではタイ ディロンが乗ることになっています。久々にフル参戦格となるラジョーイ、
「ここ数ヶ月、レース トラックでの成功という向けて努力する日々が恋しかったです。ラムトラックを優勝争いできるレベルにまで引き上げるにはまだまだやるべきことがたくさんありますが、コウリッグレーシングのスタッフと共に必ず目標を達成できると信じています。コウリッグレーシングとラムが私に寄せてくれた信頼に心から感謝しています。これまでいくつかのチームをゼロから立ち上げ成功に導いてきた経験があり、その経験を活かしてコウリッグがより早く潜在能力を発揮できるよう貢献したいです。コウリッグとラムがトラックシリーズとモータースポーツの振興に尽力していることを高く評価しており、このチームの一員になれるのはやりがいのある挑戦になるでしょう。」
と声明を出しました。ラムとすると復帰1年目のシーズン序盤から契約した選手の問題でゴタゴタしてイメージもあんまりよろしくない中、知名度と経験がありトラックシリーズだとスパイアー モータースポーツでそれなりに結果も出してきているラジョーイの力に期待したいところでしょう。
ところでラム1500を駆るコウリッグのエース格はジャスティン ヘイリーですが、ヘイリーとラジョーイと言えば2年前のカップシリーズ、2024年9月に交換トレードみたいな形で異例のシーズン中の移籍をした2人ですから、それが2026年には同じチームでラムのトラックに乗ってるってのもなんか奇妙というか、あの時にこんなことを想像できた人は1人もいないでしょうね。
続いてカップシリーズから。ドラフティング トラックを中心にスポット参戦を続ける家族経営チーム・ビアード モータースポーツは今シーズンの5戦にケイシー メアーズとともに参戦すると発表しました。2019年までに通算489戦に出場していたメアーズ、昨年になって急に通算500戦出場を目指してカップシリーズに復帰し5戦に出場して昨シーズン終了時点で通算494戦。そして開幕戦デイトナ500では弱小チーム・ガレージ 66からの参戦でまさかの予選通過を果たして記録を伸ばしましたが、クラッシュで壊れた車を直せず第2戦アトランタには出ることができませんでした。
記録まで残り5戦と迫る中、今回の発表ではメアーズはドラフティングトラックのタラデガ2戦とデイトナに加えて、インディアナポリス、そして最終戦のホームステッドへの出場が予定されています。最終戦で史上48人目のカップシリーズ通算500戦出場を達成する予定です。
今回のメアーズの活動を支援するのがグレイシー財団という団体で、女性のガン患者の支援活動などを行っています。この財団の礎となったのは自身がガンと闘病し、誰かからちょっとした贈り物を受け取るたびに勇気づけられていたという女性・ゲイル "グレイシー" ジャーメイン。この苗字を見てピンと来た方もいらっしゃるかもしれませんが、彼女はかつて存在したチーム・ジャーメイン レーシングのオーナー、ボブ ジャーメインの妻でした。
グレイシーさんは2015年、45歳の若さでこの世を去りましたが、彼女の意思を継いで財団はガン患者への支援活動を継続しています。そして、ジャーメインレーシングに延べ7年間在籍したメアーズとジャーメインは今でも交友関係が続いており、彼の500戦出場に向けた取り組みを支援することにしたようです。デイトナ500でもグレイシー財団はメアーズを支援していました。
最後に組織関係の話題を1つ。NASCAR参戦チームの連合組織であるNASCAR チーム アライアンスの会長を10年以上にわたって務めていたロブ カウフマンが近く辞任する意向であるとスポーツ ビジネス ジャーナルが報じました。といってもチームアライアンスって何やねん、という話です、たぶんブログでこの名前出すのは初めてですね。
NASCAR RTAは2008年の金融危機で経営が苦しくなった参戦チームの皆さんがどうにかせんといかんということで設立した、言ってみれば団体としてNASCAR運営と交渉するための組織で、その初代会長に指名されたのがカウフマンでした。有名投資会社の1つであるフォートレス インベストメントの創業者であるカウフマン、事業家の経験を活かしてNASCARと交渉しチャーター制度導入の主導的役割を果たしたとされています。当初は数百万ドル程度の値段で取引されていたチャーター、今では昨年の裁判を経てその価値は数千万ドルだ、いや1億ドル以上だ、とさえ言われるほどですからとんでもない価値を生み、オーナーからすると成功事例と言えます。
カウフマンはマイケル ウォルトリップとともにマイケル ウォルトリップ レーシングを設立した共同オーナーでした。NASCARを15年ほどご覧の方は覚えているでしょう、2013年のレギュラー シーズン最終戦でMWRは2人のドライバーを両方プレイオフに進出させようと、わざとスピンしてコーションを出させてレース内容を操作する禁じ手を使い、無線交信の内容からこれがバレて処分を受け、大口スポンサーであったNAPAを失って極めて高い代償を払うことになりました。
そして約2年後の2015年夏、カウフマンはMWRのオーナーでありながらなぜかチップ ガナッシ レーシングに出資、そして会見を開いてチームの活動を停止すると発表し
「マイケルウォルトリップレーシングは私からの多大な継続的な資金援助がなければ今日まで存続できなかったでしょう。」
「ビジネスの観点から言えば、もはやそれは理にかなっていませんでした。トップ10に入る予算とリソースを持ちながら長期間トップ10で戦えないなんてあり得ません。これはパフォーマンス重視のビジネスであり、全てはパフォーマンス次第なのです。」
とチームを酷評、資金を引き上げてチームは潰れました。未だにこの件を根に持ってるファンもたぶん少なからずいると思います。その後チップガナッシはトラックハウスに売却されましたので現在ではカウフマンはNASCARのどこかのチームのオーナーではなくなり、単にRTAの会長という立場で2025年からの新チャーター協定契約にも対応していました。今や各オーナーは『事実上恒久的なチャーター権』などを手にし、10年以上現職を務めてきたカウフマンとしても区切りがついたというところでしょう。
と言ってもチャーター交渉はあくまでNASCARと各オーナー間の個別契約、RTAは窓口として交渉の終盤までとりまとめ役を行ってはいましたが、最後はNASCAR側の切り崩しと時間を人質に取る戦略で見事に手玉に取られてしまったようにも見えます。最終的にチームが恒久チャーターを手に出来たのは23XI レーシングとフロント ロウ モータースポーツが反旗を翻して裁判に打って出たからなので、カウフマンの手綱さばきは上手く行ってなかったようにも感じますね。
MWRの会見だけでなく、他の場面でもカウフマンは投資会社出身らしいかなりお金に関してシビアで冷淡な部分は発言に見られたようで、ちょろっとRedditあたりを覗いた感じだとNASCARに対してはビジネス面での大きな恩恵と、一方でやや強欲とも言える考え方のわりと表裏一体ギリギリのところであんまり快く思ってない人もいそうな雰囲気ですね。
あ、全くの余談ですがアトランタ ブレーブスの本拠地球場・カウフマン スタジアムはロブ カウフマンとは関係ありません、念のため。
それではここからロッキングハムのレースを振り返ります。
・ARCA Menards Series East Rockingham ARCA Menards East 125
けっこうお客さんが入っているARCA メナーズ 東シリーズの第2戦。開幕戦・ヒッコリーで優勝しているトリスタン マキーがこの日は圧倒的な速さ。ほぼ誰も寄せ付けずに125周を全周リード、公式ハイライト動画をたった8分で終わらせる快走で2連勝としました。
・Craftsman Truck Series Black’s Tire 200
どんよりとした空模様のトラックシリーズ第5戦、前戦ダーリントンの勝者・コリー ハイムが今回も予選7位から早々にリードを奪って快走。残り28周のリスタートからはチームメイトのケイデン ハニーカットが食い下がりますがハイムの優勢は変わらず。ところが残り5周あたりから大量の周回遅れが現れてハニーカットが猛攻撃。ハイムはいや~なラインでこれを防いでいましたが、とうとう最終周にハニーカットが外に並びかけました。ところが、
| 邪魔やどけ~ |
目の前にいたのは周回遅れのチームメイト・No.15 タナー グレイ。11 ハニーカットはバックストレッチでこそドラフティングで車速が伸びましたが、ターン3への飛び込みで1 ハイムに競り負けて、というかグレイが邪魔で攻めきれずに抜き返されました。まさかの"チームメイト争い"を制したハイムがこれで2連勝で通算25勝目。トリプル トラック チャレンジの賞金をまた獲得しました。レース後の無線で判明しますが、残り4周あたりから急にステアリング系の何かが壊れて車が全然真っ直ぐ走らなくなっていたそうです。
レース前の段階でドライバー選手権1位だったチャンドラー スミスはこのレースを4位で終えたはずが、レース後車検で失格。この結果、フル参戦しているわけではないハイムがハニーカットと並んで同点で選手権1位に浮上しました。この先もポツポツと出没しては無双してたらプレイオフ出場権が手に入る可能性があります。ただ全戦に出ていないのでNASCARからの特例承認が必要で、仮に承認されてもチェイスを2000点で開始することになるのでさすがにチャンピオンを獲るのは難しそうです。
なお、ラジョーイはこのレースを7位で終えてまずはきちんとチームの期待に応えています・
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オライリーシリーズはステージ2までコリー デイが圧倒、ピットサイクル以外にリードを一切明け渡しません。ところがステージ2終了後のコーションでピットで順位を下げてしまうと、そこから戻ってくることができませんでした。
173周目に発生した6回目のコーションでは数日前に18歳になったばかりのブレント クルーズが2輪交換してリーダーとなりますが、リスタートでチームメイト・ウイリアム サワーリッチに抜かれて「何で2輪交換にしたんだ。」とお怒り。以降はサワーリッチが一度もリードを譲らず、オライリー参戦3年目・通算42戦目で初優勝を挙げました。クルーズよりは年上ですがサワーリッチも19歳です。なお、NASCAR全国3大シリーズでミネソタ州出身の選手が優勝するのは史上初とのこと。
このレースはダッシュ フォー キャッシュの予選レースとなっており、サワーリッチ、ブレンダン ジョーンズ、ジャスティン オールガイアー、ラジャ カルースの4人が最初のD4C権を獲得しました。次戦でこの4人のうち最も上位だった選手が10万ドルの賞金を獲得します。
さて、来週はカップシリーズ復活、ブリストルでのフード シティー 500です。クラフツマントラックとオライリーオートパーツもセットでブリストルへ移動です。
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