NASCAR 第4戦 フェニックス

NASCAR Cup Series
Straight Talk Wireless 500
Phoenix Raceway 1mile×312Laps(60/125/127)=312miles
winner:Ryan Blaney(Team Penske/Dent Wizard Ford Mustang Dark Horse)

 今週は色々とやることがあって3日がかりの視聴になってしまいました。現地気象情報の記録だと決勝日の最高気温は30℃ほど、快晴なのでかなり路面温度も高くなってそうな決勝です。せっかく予選7位だったホースバーはオルタネーターの故障で急遽交換を行ったために後方スタート、以降の人は1列前に詰めてのスタートとなりました。またゼイン スミスは車検に複数回引っかかったのでスタート後にパス スルーのペナルティーを受けることになります。

・ステージ1

 ロガーノがスタートから独走、ペンスキーの3人は全員好調で16周目には2位ブレイニー、3位シンドリックの1-2-3体制。そしていつも通りロングランが速いブレイニーがロガーノとの差をじわじわ詰めて35周目には完全に捕まえました。後方乱気流に加えてロガーノは最も抜きにくいドライバーの1人なのでブレイニーは抜きあぐねましたが、47周目に大量の周回遅れが味方してようやくリードチェンジ。なおロガーノは無線が不調の模様。
 短いステージ1はそのままブレイニーが制し、ベル、ロガーノ、レディック、ハムリン、シンドリック、スアレス、ギブス、バイロン、チャステインのトップ10でした。レディックはブレーキの際にブレーキ シェイクと呼ばれる車が振動するいや~な症状が出ており、とりあえずブレーキ圧を前寄りにするように言われています。それにしてもロガーノは急にハゲるしブレイニーはヒゲ増えるしペンスキーどうなってんねん。

 
・ステージ2

 ステージ間コーションで全員ピットへ、レディックはホイールを外した瞬間に黒いカスが大量に出て来たので前輪のブレーキがかなり酷使されている印象です。ラーソンはピット速度違反ペナルティーで隊列最後尾へ、フェニックスはけっこう多いらしい。
 ピットで順位が変動してベル/ロガーノの1列目でリスタート、ベルが好リスタートを見せた一方でロガーノは数周でブレイニーに抜かれました。これで前の2人だけが抜け出す展開になりますが、93周目にカイルがターン2でパンクしたとみられ単独クラッシュ。さらに別件でギスバーゲンもターン4でパンク起因と見られるスピンでコーションとなります。去年の最終戦とレースの流れが似ている・・・
 リードラップ選手がピットに入りますが、ブレイニーは左前輪のナットが締まっていなかったため締め直し再ピット、隊列後方へ。102周目にリスタートしますが翌周に中団で接触事故発生でコーション、スアレスがけっこうあちこちぶつけてしまい、エリオットも巻き添えで外装が壊れた様子。
 続く109周目のリスタートではロガーノがベルを外からかわしてクリーン エアーを確保。ただロング ランでは物足りないロガーノ、15周もしないうちにベルに掴まってしまい126周目にベルがリーダーに戻ります。このグリーン フラッグ ランも長くは続かず、130周目のターン3で3位争いをしていたブリスコーがパンクによりクラッシュ、かなり痛そうな音。その前から車に振動があったという話なので予兆はあったようですが、いかんせんぶつけ方が悪くて車の損傷が激しく一発リタイアです。
 リードラップ選手がピットに入って、ここは1番ピットのロガーノが悠々と最初に脱出。ブレイニーは今度は左後輪を締め損ねており、しゃあないからロガーノのクルーに締めてもらって隊列最後尾へ。ロガーノのクルーも自分の仕事を終えて喜んでたら次のお客さんが来てちょっとびっくりです。いやあ、チームメイトがポールシッターだとありがたいですね()

 139周目にリスタート、さっきのお返しでベルがロガーノを大外刈りしてリードを奪って当面誰も止める人はいなさそうです。そんな空気を察してか中継映像は6位まで上げてきたハリケーンホースバーに注目します。良くも悪くも現在最も注目度が高い暴れん坊、モンスター エナジーが新たにスポンサー契約を結ぶことを検討しているとも報じられていますが、少し前にリチャード ペティーが自身のポッドキャストで

「彼の走り見ているとデイル アーンハートを思い出しますね。アーンハートはああいうことをやりながらうまくやっていく術を身につけた。77番のあの少年もうまくやっていく術を身につけなければならないでしょう。」

とデイルシニアを引き合いに出して語ったため話題になったそうです。そんな77番の少年の走りをもっと見たいところでしたが、157周目にノア グレッグソンがクラッシュしたため20周足らずでコーション発生、これはパンクではなくブレーキが砕け散ったようです。コーション中にバイロン、ジリッシュ、マクダウルが立て続けにパンクしてるので彼らは破片を踏んだかもしれません。
 コーション連発、ちょっとタイヤを使いすぎなんですが替えないわけにもいかないので大半のリードラップ選手はまたピットへ。プリース、ケゼロウスキーがステイアウトしてハムリンなど数名は2輪交換、作戦まちまちになって168周目にリスタート。曲がらないRFKの2人をハムリンが楽々抜いてリーダーとなりますが、5周後には4輪交換しているベルが戻ってきました。
 結局ベルは2位に3秒以上の大差を付けてステージ2を制し、ハムリン、ロガーノのトップ3。4位は2輪交換がハマったブッシャーで、ウォーレス、シンドリック、ホースバー、レディック、ラーソン、トッド ギリランドのトップ10。ステイアウトしたRFKの2人はタイヤ1セット温存と引き換えにリードラップ最後尾に落ちました。

・ファイナル ステージ

 ステージ間コーションでリードラップ選手がピットへ、ハムリン陣営のクルーは右側のジャッキ操作あたりで上手く行かず5つ順位を下げました。ちなみに今回ギブスが紫のampmスキームなので何回もハムリンと見間違えました(笑)みんなタイヤの在庫にやや不安を抱えつつ197周目にリスタートしてまずはベルがリード。戦略的にはステージを均等割りする1ストップ狙いにしつつ、自分がそうならないよう願いながら誰かのタイヤが爆発してコーションになるのを待つ、ですね。
 しかし次のコーションは思ったより早く到来、211周目にジリッシュとプリースが絡んでスピンしました、これが7回目のコーション。ジリッシュはステンハウスに後ろを引っかけられていましたが過失の度合いは映像だけでは判断しにくいところ。リードラップ選手はもちろんピットに入りますが15周ぐらいしか走って無いので2輪交換が5人、ベリーとエリオットはステイアウトを選択。
 211周目にリスタートしますが、3列目のチャステインが滑って出遅れたようで後ろにいたロガーノが密着。その状態でエイプロンに向けて段差に突っ込んだため、跳ねながら押されたチャステインが姿勢を乱して横を向き後続と大クラッシュ。シンドリックはアルフレードの車とかなりの速度で衝突、車が浮き上がる衝撃で左側ドア付近の外装がぶっ壊れました。そういうつもりじゃなかったけど・・・とロガーノの無線。


 続く226周目のリスタートではさっき2輪交換したベルがすんなりと先行しますが、やたら速いブレイニーがとうとう2位まで戻ってきました。ものの数周で追いついて両者による接近戦が始まりますが、山ほど車を抜いてきたブレイニーでもさすがにベルを抜くのは簡単ではなくなかなかの好バトルに。
 そのまま15周ほどブレイニーが手を変え品を変えベルを攻め続け、ようやく突破口が見え始めたように見えた246周目、またもやカイルがパンクして失速すると翌周にギスバーゲンがスピンするというステージ2のデジャブ状態。ギスバーゲンはルースになった後に真後ろにいたディロンにトドメを刺されてしまいました。コーションとなってもちろんみんなピットへ、ここでギブスがブレイニーから2位を奪ってベルにはありがたい援護となります。253周目にリスタートしますが、
 

 翌周に混戦でまたしてもクラッシュ発生。ドッグレッグでロガーノとアルメンディンガーが接触し、後方にいたベリーとスアレスが巻き添えで3人とも車両大破、エリオットも外装がボロボロ。ロガーノはエイプロンに下りて内側を突っ切るのかと思ったらバンクに戻って来て、そこにいたアルメンディンガーに自分から引っかけられるような動きでした。エリオットとベリーはさっき中古タイヤで順位を落としたのがここにいる遠因になってます。

 やたらと大事故が多い気がしますが264周目/残り49周でリスタート、ここでギブス君がベル先輩に果敢に挑戦してターン1で軽く接触、後ろにいたブレイニーはごちゃついたところに詰まってしまい、結果3列目リスタートのラーソンが得して3位へ。その後すぐにベルは引き離しにかかってギブスは付いて行けず、3位はラーソン、レディック、ブレイニーの3人が争ったのでベルにとっては非常に楽な展開になりました。
 ブレイニーは10周かけてようやく3位を取り戻し、ほぼ無抵抗だったギブスも抜いて残り30周で2位まで戻しましたがベルから2.8秒差では打つ手なし。ただ、同じころにジリッシュ、オースティン ヒルが立て続けにパンクしておりもはやお約束のパターン、最後は288周目にディロンもパンクしてとうとうコーションになりました。RCRは短期間でカイル、ヒル、ディロンが全員パンクしてるのでチームとしてセッティング間違えてる可能性ありますね。
 もちろんリードラップ選手がピットに入りますが残り20周ほどなので作戦は分岐。ギブス、ブレイニー、ラーソンなどが2輪交換で飛び出した一方でベルは作戦コード『バーガー キング』で4輪交換して8番手、じゃあ2輪交換はマクドナルド?タコベル?ネイサンズホットドッグ?それにしてもギブス陣営のフロント チェンジャーは車と接触寸前で見事な幅跳びを披露しての見事な回避です。クルーもドライバーと同様に命がけ。

 294周目/残り19周でリスタート。ラーソンが上手く立ち回ってバックストレッチでギブスを捉えそうでしたが、またもや後方でクラッシュ発生によりコーション発生、ギブスは命拾い。そしてこれが12回目のコーションで、2014年第35戦、2020年第4戦と並ぶフェニックス最多タイ記録です。ちなみにオライリーシリーズでは2005年第9戦で200周のレースなのに14回のコーションが出ていて全国シリーズ最多、このレースで勝ったのはグレッグ ビッフルでした。今はブレイニーのスポッターを担当しているティム フィディワも当時は現役ドライバーでこのレースではリタイアしています。シリーズ通算333戦で4勝ってそこそこの選手やったんですね、知らんかった。

 話を戻します。今度はギブス/ラーソンの1列目で301周目にリスタート、ターン2でラーソンが突っ込みすぎてブレイニーに当たりかけますが、絶妙に避けたブレイニーが2位になってギブスには災難、全然抑えられなくて303周目にブレイニーがリードを奪いました。4輪交換のベルが306周目には2位となって着実に追い上げては来ましたが、残り周回数が少なすぎて追いつかず。ブレイニーが昨年の最終戦からフェニックス2連勝で今季初・通算18勝目を挙げました。レディックの4連勝はならず。そしてチーム ペンスキーはインディーカーのニューガーデンとブレイニーでデザートダブルを連覇しました。

ジェイミー リトル「ライアン ブレイニーです、今日はあなたにとって決して楽な一日ではありませんでしたね。何度もトップに返り咲き、49台抜きを見せました、車が後ろに下がって行ってますよ。(ニュートラルになっていたらしくブレイニーの車が勝手に移動)凄い日になりましたね、車を止めないと。スタート/フィニッシュ ラインをずり落ちています(笑)ギアを入れました。さあ、リスタートはあなたにとって味方ではありませんでしたし、クリストファー ベルは一日中絶好調でした。どのようにして巻き返し今シーズン初優勝を飾ることができたのですか?」

ブレイニー「いや本当に危ないところでした。それは良いとして、ええっとひたすら粘り強く頑張ったということです。12番のチーム全員が一日中粘り強く走りました。いくつかミスもありましたが、そこから学んで、改善して、何度か最後尾から追い上げなければなりませんでした。そして正直に言うと20番が一番良い車でした。でもジョナサンは素晴らしい仕事、見事な2輪交換の判断をしてくれてリードを奪うことができ、あとはとにかく彼らを抑え込むことができました。あと何周抑え込めたかはわかりませんが、とにかくやり切ったんです。
 ですからチーム ペンスキーのみんなを本当に誇りに思います。最高です。週末を制覇、昨日はニューガーデンが勝ち、今日は私たちが勝ちました。ロジャーに会えるのが待ち遠しいです。デント ウィザード、フォード、フォード レーシング、メナーズ、ワバッシュ、ディスカウント タイヤ、ボディーアーマー、アドバンスト オート パーツ、デックス イメイジング、その他私たちに協力してくれたすべての企業に感謝しています。そして、またここで勝てて、特に昨日を受けてのことですから最高です。だから、12番のみんなが黙々とそれぞれの仕事をこなしてくれたことには称賛してもしきれません。そしてジョナサン、最後の素晴らしい判断をありがとう。」

ジェイミー「ライアン、ペンスキーチーム全体で今日は連勝を達成するという大きなプレッシャーがかかっていたと聞きました。スポンサーもみなさん来ていますし、ロジャーも全勝を強く望んでいました。それに加えて父親として初めての勝利でもありますよね。この瞬間はどんな意味を持つのでしょうか?」

ブレイニー「ええ、本当に最高です。信じられないくらいですね。実際ゴール ラインを越えた時にはチャーリー(息子)とジアンナ(妻)のことを考えて、彼らがここにいてくれたらよかったのにと思いましたよ。きっと見てくれていると思いますけど。今夜みんなに会えるのを楽しみにしています。もちろん優勝は素晴らしい気分ですが、家族、妻、息子の待つ家に帰れることがそれ以上に嬉しいですね。最高の締めくくりですし早く家に帰りたいです。そして、(観客席に向かって)今週末来ていただいた皆さん、本当にありがとうございました。素晴らしい週末でした。またすぐ優勝できるように頑張ります、ありがとうございました。」


 ヒゲ増量のブレイニーパパでした。元々"田舎兄ちゃん"みたいな雰囲気だったのが、ヒゲと長髪でますます1980年代に逆行している雰囲気になってますね。なおインタビュー中の「ジョナサン」はクルー チーフのジョナサン ハスラーのことです、念のため。
 2位は「最後のグリーンフラッグがもっと長ければ」とベル。3位はレース序盤からそんなに調子が良くない中で悪いなりにまとめたラーソン、これでフェニックスでは3戦連続3位です。4位は逆に「今日は本当に調子が良かった」と勝てそうな手ごたえがあっただけに勝てなくて残念なギブス、オースティンから2戦連続4位です。5位はハムリンで、今日はせいぜい3~4位の車だったので5位なら上出来という感想だったようです。6位からウォーレス、バイロン、レディック、マクダウル、そして32位スタートのエリック ジョーンズが10位でした。
 スピンしたりエンジンが止まったりしながらもギスバーゲンが終わってみたら11位と大健闘、プリースはスタートと同じ13位、14位にブッシャー、15位ケゼロウスキーとRFKレーシングはえらく仲良し。2度フリー パスを受けるある種の屈辱を味わいながらカイルが17位、ホースバーが20位。チェッカーを受けられなかった人が10人もいる乱戦でした。エクスフィニティー ファステスト ラップはロガーノが2周目に記録した27秒402が最後まで残り続けたみたいです。そんなことあるんか(笑)


 フェニックスにしてはえらくド派手な事故が多いレースでした。エンジン出力の増加もあるし昨年の最終戦でパンク祭りがあったので、各陣営ともある程度保守的に戦ってコーションが案外少なくなるんじゃないか、と思っていたらむしろ酷くなってた(笑)当然ながら60周を走ることを前提にしてロングランで速い車を作る、というのがまず最初にあるはずなんですが、しかしそのためにリスタートを犠牲にはしたくない、もしパンク祭りになるのなら25周の速さがあれば良い、じゃあもうちょっと攻めよう、というせめぎあいで結局多くの陣営がロングランを重視と言いつつ短期志向になり、30周しか走れない車ができてしまうという面白い現象が起きてるんだろうなと思いました。
 フェニックスはリスタート後の低いタイヤ内圧でエイプロンに下りるために段差を乗り降りして、ターンの白線にタイヤを引っかけるように旋回して、とタイヤの側面部分を普通のオーバル以上に傷めつけにかかっているのでどうしても壊れる危険性が高いと思われます。運営がこの展開をシメシメ面白いぞ、と思って眺めてるのなら秋のレースもまた同じタイヤでパンクしないギリギリの内圧とアライメントを探すある種のチキンレースになるでしょうね。でもそういうレースで強いのは結局ブレイニーでしょう。
 ブレイニーは決勝で最も速かったのはベルだと言ってますが、実際はブレイニーも同等かそれ以上の出来に見えました。ただベルを追っていた際に無線で「先週と同じだ、直線で離される」と言っていて、ひょっとするとエンジン性能の面でトヨタに対して多少の不満、劣勢を感じている様子で、それがブレイニーから見たベル最速説に繋がってるのではないかと推察します。
 実際のところブレイニーはターン2での頭の入り方が全然他の人と違っていてかつてのハービックをほうふつとさせますし、それでタイヤを傷めることもなく前後のバランスがずっと良いのでショートトラックでの車の止め方、曲げ方が本当に研ぎ澄まされていて無理をしなくても速いんだろうなと感じます。ハービックから2代目砂漠王を襲名する日も近いかもしれません。
 それとRCRの不振はかなり心配なレベルで、もうシボレー勢の勢力図は

ヘンドリック>>>トラックハウス>スパイアー>>>>RCR>その他

 ぐらいの感じで、トラックハウスに一時期の勢いが無い一方で産業スパイ疑惑がどうかは別の問題としてもスパイアーは明らかにそこに近い位置まで底上げされています。残念ながらRCRはもはやコウリッグもハイアクもハース ファクトリーも大差ないレベルに埋没しかけていて、色々と組織にテコ入れをしても根本的なお金の問題なのか土台の段階でもう上手く行ってない印象です。
 事前情報ページを書くたびに何かしらカイルの好材料が無いか探して優勝を期待して書いてたりしますが、現実はビクトリー レーンからどんどん遠ざかってしまってますね。せめてドラフティングトラックでぐらい勝ってほしいけどだいたい事故に遭うし・・・(´・ω・`)

 次戦は今季初の1.5マイル(アトランタは除外)、昨年ベリーがまさかの優勝を挙げたラスベガスです!1.5マイル楽しみ!あ、カイルの地元でベガスは強いんですよ!!

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