NASCAR 第4戦 フェニックス・事前情報

NASCAR Cup Series
Straight Talk Wireless 500
Phoenix Raceway(Avondale,Arizona)
1mile×312Laps(60/125/127)=312miles
Goodyear Racing Eagle Tire Code:
Left:D-5254,Right:D-5256

 NASCARカップシリーズ、ドラフティングトラック2戦とロードコースを終えて4戦目でようやく今季初のまともなオーバル・フェニックスにやってきました。まともと言ってもフェニックスは極めて左右非対称のヘンテコな1マイル オーバルで、スタート/フィニッシュを通過した直後のドッグレッグ内側に広大な道幅があるため、とりわけリスタート直後はもはや何ワイドだかわからないぐらい車が広がるなかなか特殊な開催地です。ターン1~2はバンク角が9度しかない上に最後がわりと鋭角で低速、ターン3~4は12度のバンクがあって比較的出口に向けて早くスロットルを開けられるので中速ターンという感じです。
 今回グッドイヤーが持ってきたタイヤは昨年の最終戦と同じ組み合わせ、右側のタイヤがそれまでよりもより柔らかくて摩耗しやすい設定になっています。その最終戦では35周ほど走ったところで右後輪をパンクさせる車両が発生する、というパターンが繰り返されていたのでセッティングや内圧設定を攻めすぎると今回もパンク祭りになるため注意が必要です。
 前回と異なるのは、新品タイヤの供給が1セット増えていて『新品8+予選から持ち越しの中古1』の計9セットになっていることと、今年からショート トラックではエンジンの最大出力が750馬力に引き上げられていて摩耗も進みやすくなっていること。燃料的にはステージ1は給油不要、以降はステージ中に1回の給油が必須ですがタイヤの摩耗的に1ストップと2ストップのどっちが有効なのかは軽く調べてもよく分からず。
 基本的にアリゾナは暑くて今週末も最高気温が30℃を超える予報もありますし、右側のタイヤに負担がかかるトラックなのでロングランで速い人でないと基本的に厳しい戦いとなります。リスタートから元気よく出て行った人はだいたいへばりますが、かといってリスタートで抜かれすぎたらけっこう抜きにくいのでタイヤの使い方はものすごく大事になるでしょう。でもロングランで速くて圧倒的有利だと思ったら残り10周でコーションが出て、最後のリスタートで負ける、みたいなことも多々起きるのがNASCARです。

 そして今週末はNTTインディーカーシリーズとの併催イベントとなっており、土曜日は昼間にインディーカー、夜にオライリーシリーズの決勝が行われて日曜日がカップの決勝です。『デザート ダブル』とか呼ぶそうですが、これには昨年FOXがインディーカーに大規模な出資を行って一定の経営影響力を持ったことも関係していると思われます。
 元々NASCARよりも年間の視聴者数規模では負けている上に、最近はF1人気の向上でますます陰に隠れかねないインディーを放送局中心のメディア戦略で底上げし、あわよくばF1ブームによるフォーミュラ志向を取り込めればインディーカーにも波及が期待できるので、まずはNASCARも上手く使いたいというところでしょう。ともすると『インディーカーがNASCARのサポート レース』と格下感が生まれてしまうので注意が必要でしょうが、それは先週のセントピーターズバーグでトラックシリーズを併催したことで上手くバランスを取ってる気がしますね。
 また今週はトラックシリーズがお休みでARCA メナーズ シリーズが併催、カップシリーズの名誉ペース カー ドライバーにはかつてアリゾナ ダイアモンドバックスなどで活躍し、通算354本塁打・2591安打を記録した強打者・ルイス ゴンザレスが登場します。さらに決勝前のイベントにはスポンサー企業関連であのジョーイ チェスナットが来場!え?誰か知らない?

 あの毎年独立記念日に開催される『ネイサンズ フェイマス インターナショナル ホット ドッグ イーティング コンテスト』で昨年も含めて通算17回優勝し、かつてはあの日本の大食い界の英雄・小林 尊と何度も激闘を繰り広げたあのチェスナットですよ。え、そもそもそんな大会名があることも初めて知ったって?(笑)なんか7分間のホットドッグ早食いイベントをやるみたいです。
 ちなみにネイサンズホットドッグ早食いの女性部門では、昨年までなんと11年連続で日系アメリカ人のミキ ビクトリア スドウ(須藤 美貴)が優勝しています。2014年大会で当時無敵を誇っていた女性・ソニア トーマスを破ってい優勝して以来負けなし。2024年は10分間で51個を食べており、かつて小林が優勝していた頃は12分間ルールで50個前後だったのでレベルがヤバいです。チェスナットなんて今70個食べてますからね・・・


・ちょっとしたデータ

 今回用意されるホットドッグは、いや違う。昨年最終戦の勝者はブレイニー、春のレースではベルが勝ちましたが参考にならない部分も多数。最終戦は残り3周で発生したコーションでちょっとした運ゲーになり、これがなければ間違いなく勝っていたのはハムリンでしたし、昨年春のレースはオプション タイヤが採用されてタイヤが2種類ある特殊なレースでした。まあどうやっても上手いやつが勝つ、と言ったらそれまでだしNASCARは不確定要素が他のカテゴリーより影響力大きめなのが当たり前ですけどね。
 ベルは春のフェニックスで現在2連勝中、ロガーノはGen7車両導入後に2勝、それ以前にも2勝で現役最多のフェニックス4勝を挙げています。このうち春のフェニックスは2020年の1回だけであとは全部秋でした。Gen7車両で開催された過去8戦のフェニックスで平均順位が最も良いのはブレイニー、8戦中5戦で2位以内に入っており優勝1回。1戦を除いて全て4位以内という圧倒的な成績で平均順位5.8。2021年以前も成績はそれなりでしたが最高位が3位でしたので、走らせ方と車とトラックの組み合わせがGen7になって抜群の相性になっていると思われます。

 Gen7で平均順位が良い人ランキングは2位からラーソン、クリス ブッシャー、チャステイン、ハムリン、バイロンの順。これにロガーノ、ベルが続いています。2022年春の勝者・ブリスコーは一昨年までチーム力が低かったのと、昨年も春はクラッシュ、秋はパンクしまくったので数字上は結果が出ていませんがショートトラックは元々速いので優勝候補の一角と言えるでしょう。ラーソンはGen6最後のレースとなった2021年最終戦で勝ってチャンピオンを獲りましたが、Gen7では3位×3回、4位×2回となんか勝つにはちょっと足りないことが多いですね。いつもロングランで少し崩れる印象。
 予選順位では過去17戦のフェニックスは全て予選13位以内の人が優勝しており、それ以下の人の優勝は2017年第4戦・ライアン ニューマンの予選22位まで遡ります。実際には2020年のエリオットは予選1位とは言いつつ車検に引っかかってペナルティーでビリスタートしてはいるんですが、ある程度一発の速さを持った上でロングランが問われるレース、あんまり下位の人はただただ遅れていくだけですね。
 通算59回のフェニックスで優勝した選手の約60%・35勝は予選10位以内から。予選3位以内からの優勝が20度で勝率約34%、ただ順位別で見ると1位・3位からそれぞれ8勝で、次に多いのが不思議なことにさっきも出てきた予選13位で通算6勝。なんと予選2位の4勝よりもなぜか多い特異点になっています。予選13位の選手は要注意です(笑)

・レース前の話題

 先週の決勝レース中、体調不良を訴えて途中で車を降りてしまったボウマンですが、その後の情報で症状が目まいであることが明らかにされ、今週のレースには出場しないことが発表されました。ボウマンは2022年にクラッシュの際の衝撃が原因で脳震盪のような症状が出て5戦を欠場したことがあるため関連性が心配されましたが、ヘンドリック モータースポーツの社長・ジェフ アンドリュースによれば目まいの原因は現時点で不明で、複数の医学的検査を受けた範囲では長期的に影響を及ぼすような脳震盪に関連した問題ではなかったとのことです。
 ボウマンの欠場により、今週はアンソニー アルフレードが代役として出場します。『ファスト パスタ』の相性を持つアルフレード、全国シリーズフル参戦経験も無い中で2021年にフロント ロウ モータースポーツからカップにフル参戦して、つまらんミスや他者との接触など経験不足を多々指摘される散々なシーズンを過ごしましたが、2022年以降はオライリーシリーズでチームを転々としつつも堅実に走りヘンドリックのシミュレーター ドライバーを務めています。アルフレードといえばデイトナ500の予選レースを通過して決勝に出れた、と思ったら車検で失格になって落胆したのが記憶に新しいところでもありますね。
 
 そして今週もJGRとクリス ゲイブハートの訴訟の話題を。双方が証拠を提示していく過程で、JGR側はなんと昨年にゲイブハートが退職した時点で動きを怪しみ、私立探偵を雇ってゲイブハートとスパイアー モータースポーツの共同オーナー・ジェフ ディッカーソンの動向を見張っていたことが明らかに。双方が同じ車に乗り込んで移動し食事している様子を隠し撮りするなど後を付けていました。おそろしや( ゚Д゚)
 ゲイブハートが正式にスパイアーに入社する1週間前に最初の給与が振り込まれている、など時系列を丹念に追って証拠を突き付けることで、JGRはゲイブハートがチーム退職以前からスパイアーと接触し機密情報を持って移籍することを巧妙に画策していたことを主張し、早期に職務停止の仮処分を執行してもらいたい考えです。

 一方でゲイブハート側によると、退職の要因は2024年末にはチームの4人のドライバーを統括する立場になったにもかかわらず、タイ ギブスだけがオーナーの孫であるため何かにつけて特別扱いされたり家族があれこれ口を挟んできたため、組織として機能不全に陥っており簡単に言えばこりゃダメだと思って意欲が失せたとのこと。最終的にチームと物別れに終わって退職に至り、この訴訟は言わば文句を言ってやめたヤツに対する懲罰的な行為だ、としています。なんか裁判が進んでいくと結果的にタイギブスがすごいダメージを食らいそうな気がしてきたぞ^^;

・ARCA Menards Series General Tire 150

 ARCA全国シリーズ第2戦はピナクル レーシング グループの2人・ポールシッターのカーソン ブラウンと2位トリスタン マキーがずっと争っていました。レースの序盤と中盤にやたらコーションが集中する場面があり、リスタートの度に同じような光景が繰り広げられましたが常に頭を抑えたのはブラウン。最終周目前に発生した9回目のコーションでレースはオーバータイムになりましたが、このリスタートも制したブラウンが157周を全周リードしてARCA全国シリーズ初出場・初優勝を飾りました。

 ブラウンは17歳の若い選手ですが、対したマキーはさらに若い15歳。昨年のワトキンスグレンでARCAデビューしてこれまたいきなり優勝したドライバーですね。なお古賀 琢麻は練習走行で駆動系部品が壊れて予選を走れない、という不運に遭いましたが決勝は7周遅れの23位で完走しました(インスタグラムで33位と投稿されてますがたぶん打ち間違い)。古賀選手は来週10歳の息子さんがレイト モデルのレースに出場するそうです。

・O'Reilly Auto Parts Series GOVX 200

  ステージ2までステージ間コーションのみで平穏に進んだレース、最終ステージでは135周目から5周近くに渡ってジェシー ラブとカーソン クワポーが激しい争いを繰り広げ、やっとのことでクワポーがリードを奪いました。ところが165周目にラバー スコットのクラッシュによってコーションが発生すると、リスタートであえなくクワポーは順位を下げました。
 その後174周目にもコーションが出て残り15周でリスタートすると、振り返ったらそこにいたのはオールガイアー。最終的に昨年のチャンピオン・ラブと一昨年のチャンピオン・オールガイアーによる一騎打ちとなりますが勢いは明らかにオールガイアー優勢。残り10周でラブをかわすとそのまま逃げ切り、昨年の第14戦ナッシュビル以来の通算29勝目を挙げました。ステージ1終了後のステージ間コーションでタイヤ交換に時間を要して後方に順位を下げたところからの逆転劇でした。


 なおNTTインディーカーシリーズ第2戦はジョセフ ニューガーデンが優勝、パロウはクラッシュで24位でした。

 
・カップシリーズ 予選

 ブッシュライトポールはロガーノが獲得、通算32度目でフェニックスでは3度目、前回フェニックスでポールを獲った2022年の最終戦は優勝しています。2位からラーソン、シンドリック、スアレス、ブレイニー、チャステイン、ホースバーと続き、開幕3連勝中のレディックが8位。バイロン、ジョッシュ ベリーが続きました。特異点となる13位はライアン プリース、プリースってショートトラックでタイヤ使うのけっこう上手いからちょっと期待してみたくなりますね。代走のアルフレードは31位、ケゼロウスキーは練習走行でタイヤがパンクしてクラッシュし予選不出場、バックアップ車両で決勝を走ります。

コメント