フォーミュラE 第6戦 マドリード

ABB FIA Formula E World Championship
2026 CUPRA Raval Madrid E-Prix
Circuito de Madrid Jarama - RACE 3.934km×23Laps=90.482km
Race Energy:38.5kWh+3.85kWh Pit Boost
Reference Time for SC/VSC 4:30
Attack Mode:360 seconds/1 time
winner:António Félix da Costa(Jaguar TCS Racing/Jaguar I-Type 7)

 ABB FIA フォーミュラE、第6戦は初開催となるハラマです。サーキット名に - RACE とかいう変なものが付いてますがコピペをミスったわけではなくこれが現在の正式名称なんですが、面倒なのでハラマ サーキットと呼びます。フォーミュラEではシーズン4以降にスペインのリカルド トルモ サーキットで開幕前のテストを実施、シーズン7では一度だけレースも開催されましたが黒歴史ともされるとんでもない電欠レースが起きてしまいファンの記憶に深く刻まれました(笑)
 2024年も11月にリカルドトルモでテストが開催される予定でしたが、洪水被害により急遽開催地がハラマサーキットに変更されました。機動的な対応をしたことでなんとかGen3 Evo車両の貴重な走行機会を確保できたわけですが、結果としてこのテスト開催が今回のレース開催へと繋がったことになります。本来のレイアウトにシケインを1つ追加しただけのほぼ丸ごとレイアウトで1周が約4kmとかなり長い設定です。ちなみにこのコースの設計者はヨハネス フーゲンホルツという人で、鈴鹿サーキットと同じ人だそうです。
 コース図で見ると分からないんですが、実際にコースを見るとけっこう高低差があって道幅は狭く、はみ出したらすぐに砂場でいかにも古いサーキットという印象。高速で左に曲がりながら坂を上っていくターン5を見て思い出しましたけど、2004年のワールド シリーズ バイ ニッサンがここで開催されてるのをJ SPORTSで見たことありますね。この時の優勝者は、、、(検索中)、、、エンリケ ベルノルディー!なつかしい!今何やってるんだろう。

 話を戻しましょう、従来のパターンだと『1戦だけの週末はピット ブースト無し』という考え方で1年ちょっと運用されてきましたが、なんとこのレースにはピットブーストが導入されることになりました。一度はピットブースト無しで発表されていたようなのでどこかで考えが変わったようです。38.5kWh+3.85kWhの総エナジー量42.35kWhでアタック モードは6分間を1回だけ。テストで走り込んだ場所とは言えエナジー管理から何から事前の準備が大変そうです。

・レース前の話題

 前戦ジェッダ開催後、中東地域はアメリカとイスラエルの頭の狂った独裁者の蛮行のせいで大変なことになっていますが、それと比べれば些細な話ながらフォーミュラEでも事件がありました。レースの翌日、インフルエンサーが実際に各チームのGen3 Evo車両に乗って走行し、しかも体験乗車レベルではなくデュエルス方式で対戦してみようという試み『エボ セッションズ』がありました。さすがに実際の車で気合入れて走るのは怖くね?とか思ってはいたんですが、

 ローラの車両に乗ったイジー ハモンドがターン13の立ち上がりでまともに壁に突っ込んで大クラッシュ。F1で言う最終コーナーなので外側の壁に勢いよくぶつけることがあまり想定されておらず、テクプロ バリアーが設置されていないのでモノコックまで損傷が及んだようです。25Gの衝撃があったとのこと。ちなみに彼女の父親はイギリスBBCのおバカ自動車番組・トップギアの司会者だったリチャード ハモンドです。
 これでゼイン マローニー車だったローラ-ヤマハT001は大規模な修理作業を余儀なくされて、ほとんど新車を1台組み立て直す羽目に。エボセッションズは規則の枠外のイベントで事前にここで発生した費用は規則で定められた予算制限には含まれず、修理が必要になった場合は運営が費用負担することが定められてはいましたが、本来なら従業員さんが休暇を取ったりGen4車両の準備もしなければいけなかったところが休暇を取り消しての社員総動員での修理作業となったようです。
 修理費用は100万ユーロ超、日本円だと2億円ほどに及ぶものでかなり高くついてしまいましたが、元々チーム側はエボセッションのあり方に懐疑的だったそうで懸念が現実になってしまいました。ローラの副チーム代表・フレデリック エスピノスはザ レースに対して

「私に言わせればこれは火遊びのようなもので、いつか事故が起こることは分かっていました。準備不足の人間を乗せて、運転が難しい車を運転させ、しかもプロと同じ道具を使わせれば問題が発生するのは当然です。」

とバッサリ。フォーミュラEの最高経営責任者・ジェフ ドッズはザレースの取材に対し「Gen4は一流のドライバー以外には使用を許可しない。」と明言し、この形のイベントはこれで最後となりそうです。ただ、インフルエンサーを活用してフォーミュラEを宣伝し幅広い層を引き込む方策そのものは続けたいので、何か別の方法を模索するようです。せめでバーチャルにしとけばよかったのにね・・・

 そしてもう1つ、オペルが来シーズンからフォーミュラEに参戦することを発表しました。どこかのチームとの提携や買収ではなく、以前テチーターが撤退した際に返却された参戦権を取得しての完全新規となります。オペルは2021年にコルサeラリーという電動ラリー車両を開発して電動車両によるワンメイクのラリー競技するなど電動化を進めています。グランツーリスモ7に収録されたコルサ GSE ビジョン グランツーリスモも電動車ですね。チームを率いるのはヨルグ シュロット、2012年のオペル入社以来ラリー競技を中心に主導してきた人だそうです。

 と、これだけ聞いたら景気の良い話ですが話はもう少し複雑です。オペルの参入に先だってDSは今季限りでのフォーミュラE参戦終了を発表しました。DSもオペルもステランティス傘下のブランドであり、ステランティスという会社として見たらブランド戦略を組み替えただけ、という見方もできます。ステランティスはシーズン9からマセラティーの名称でMSGにもパワートレインを供給し、中身は全く同じですが今季から名称をシトロエンに変更しています。最もコロコロと看板を掛けかえるブランドです(笑)

 DSはシーズン2以降バージン レーシング、テチーター、そして現在のペンスキーと常に既存チームへのパワートレイン供給と資金提供、ドライバー起用への権限などを持ちつつチーム運営は提携先のチーム主導でした。今回、DSの看板だけ掛け替えてペンスキーと契約を続けるのではなく、いわゆるワークス体制としてオペルが新規参戦するという点では今までと異なる参戦形態をとります。ステランティスと言えば直近の決算で電気自動車市況の悪化を受けて222億ユーロの損失を計上してますね。
 一方でパワートレインが無くなるペンスキーですが、Gen4パワートレイン製造者としての届け出はもちろん出しておりませんので自社開発のパワートレインで走るという選択肢はありません。どこかのメーカーから供給を受けるか、いっそのこと撤退してしまうかの二択となります。現状ではポルシェ、日産、ジャガー、ステランティスはワークスとカスタマーが揃った状態なので、空きがありそうなのはマヒンドラとローラヤマハしかありません。ローラヤマハはまだ実績も無いし、アプトとの提携を終了して来季からワークス体制になるので自分たちだけで忙しそうですし、最も可能性が高いのは消去法でマヒンドラではないか?とされています。マヒンドラはGen3Evoになってなかなか速いので悪い選択ではないかもしれません。

 もしペンスキーが活動を継続するのであれば、シーズン12の参戦チームは正式に発表されていない内容も含めてですが

ポルシェ/ポルシェ
ポルシェ/ポルシェ 第2チーム
クープラ キロ/ポルシェ
日産/日産
アンドレッティー/日産
ジャガー/ジャガー
エンビジョン/ジャガー
オペル/ステランティス
シトロエン/ステランティス
マヒンドラ/マヒンドラ
ペンスキー/マヒンドラ?
ローラ-ヤマハ/ローラ-ヤマハ

の計12チームになる可能性がありますね。増える2枠で誰が走るのかも注目で、現在DSペンスキーに所属している2人のドライバーは現状ではペンスキーとの契約という形のようなので、基本的にステランティスはオペルのドライバーを自分たちで探す必要があると思われます。シトロエンと入れ替えてニック キャシディーなんかを引き入れる手段もおそらくあると思いますが、何せ1人は優勝経験豊富な最高レベルの選手が欲しいところです。

・練習走行

 本番前日のFP1、全体最速だったのはダニエル ディクタムで1分29秒403でした。ニック デ フリース、マキシミリアン グンター、パスカル ベアライン、テイラー バーナードのトップ5。300kWモードに限るとアントニオ フェリックス ダ コスタ、キャシディー、ティクタムのトップ3で、4位にみんなが一生懸命車を直したマローニー、5位にデフリースでした。でもデフリースは最終シケインで止まり切れず真っ直ぐ壁に突っ込んでしまい、ウイングを1個ぶっ壊しました。
 そして本番当日朝のFP2、雨が降っていて気温が8度とか書いてあるのでむちゃくちゃ寒い。ドライの前日より9秒も遅いタイム水準でしたが最速はフェリペ ドルゴビッチでした。ドルゴビッチと言えばアストン マーティンからF1にデビューする可能性がありそうななさそうな感じで待たされた挙げ句結局近いうちにその可能性が無くてこっちに来たわけですが、今のアストンの状態をみてるとフォーミュラEで良かったかもしれませんね^^;
 ここでは日産の2人が好調で、ノーマン ナトーが350kW、300kWとも全体3位、オリバー ロウランドは300kWで最速でした。ミッチ エバンスがなんかやたら苦労して350kWでは最下位、ティクタムも雨では何か上手く行かないのか15位/19位でした。


・グループ予選

 天候は引き続き雨、気温9℃/路面温度8℃、さむっ。さっきよりもちょっと路面水量が増えてそうな中でグループ予選A組が始まり、1周に100秒もかかってしまうのであんまり何周もしてる時間がない!
 みんなツルッツルの中で必死に走り、最終的に1位になったのはデフリースで1分41秒926、さっきのFP2よりもさらに路面状況が悪そうです。これにダコスタ、ベアライン、ロウランドと実績のある顔ぶれの4人がデュエルスに進みました。フェリペ ドルゴビッチはタイヤ内圧設定を間違えたりしたのか、1人だけトップから2.5秒落ちというとてつもなく遅い結果に。
 
 続いてB組ですがお客さんが傘を畳み始めており雨がひとまずやんだ模様。ナトーが1分40秒927とさっきよりも1秒速くなっており、それだけ路面が改善したと思われます。0.47秒差で2位にモルターラ、3位キャシディー、4位グンター。これで日産とマヒンドラは2人ずつデュエルスに送り込みました。

・デュエルス

 再び雨が降ったこともあって準々決勝から鬼の難易度。1周走っただけではタイヤに熱が入らないようで、ベアラインはグループ予選より遅いタイムでしか走れず、ロウランドはなんと四輪駆動なのに立ち上がりでスピン、グンターも砂場突入。準々決勝の8人中3人が致命的に失敗するというなかなかお目にかかれない内容でした。敗者のうちまともに走ったのはモルターラだけで、彼のタイムは他の3人の勝者より速くて運がありませんでした。
 準決勝でもA組のデフリースはピットを出たとたんにターン1で砂場ダイブ、しつつも勝利を収めるサプライズ。B組では絶好調に見えたナトーが準々決勝のグンターと同じ運命を辿ってターン7でスナーバックス入店となりキャシディーが勝ちました。デュエルス決勝はデフリース対キャシディー。
 デュエルス決勝、デフリースがセクター1では0.258秒も上回ってみせましたが、セクター2以降は圧倒的にキャシディーが上回りました。結果的には0.266秒差でキャシディーがデフリースを下して昨年の最終戦ロンドン以来となる通算8度目のジュリアス ベア ポール ポジションを獲得。デュエルス形式には走行順でタイヤの温度に差ができるという課題があり、今日みたいなタイヤに熱を入れるのが難しい条件ではおそらく影響が大きく、また直近の路面状況を知っている点でもB組のキャシディーはやや有利ではありました。それでも、どこでいつすっ飛ぶか分からん、最適なライン取りも正直よく分からん、という状況で2人とも素晴らしい走りだったと思います。

 スタート順位はキャシディー、デフリース、ダコスタ、ナトー、モルターラ、ベアライン、グンター、ロウランドのトップ8となりました。地元スペインのペペ マルティーは12位から。

・決勝

 雨は止んだようでアスファルトの凹凸内や高低差のあるコースの谷底みたいなところだけまだ水が残っている、というような路面状況。予選から既にそこそこ多かった観客は更に増えており、けっこう満員です。古いサーキットなので芝生席が多いですね。

 ひえっひえのタイヤを温めるためみんな強烈なバーンナウト、グリッド上がいつも以上に真っ白の視界不良です。スタートすると上位3人はそのままターン1を通過できましたが、4位のナトーが止まり切れず右側のタイヤ以外全部砂場にはみ出してしまって10位以下まで一気に転落、ああせっかく良い順位だったのに。
 その後ベアラインが早い段階で2位に浮上しましたが、2周目にデフリースがまともに追突。乗り上げるほどのぶつかり方だったのでデフリースはウイングを丸ごと紛失し、ベアラインもリア ウイングが踏みつぶされて左に傾いてしまいました。さすがにそれなりの高速コースなのでデフリースは順位を落としていきますが、ベアラインはウイングが傾いたぐらいでは影響がなくキャシディーを抜こうと揺さぶります。デフリースはこれで5秒加算ペナルティー、この車ではそもそも競争力がなくてこのレース18位でした。

 ウイングが壊れた人に追われるキャシディーですが順位を譲ると得策ではないと考えているようで、上手いことブロックしてベアラインを抑えます。そうやって抑えてるとティクタムが2位を狙ってベアラインとの争いになり、キャシディーとすると相手に争わせて無駄遣いさせることで先頭走者の不利益を薄めさせています。
 それでも先頭が有利になることはないのでキャシディーは後ろの人より残量が1%ぐらい少ない状態、途中アタックモードでほぼ最後尾からドルゴビッチが前に出てきたりしましたが上位勢とすると厄介なだけです。キャシディーは消費量が多いぶんだけ周囲の人より半周ほど早く10周目の終盤でピットブースト可能になりますがここは入らずに11周目へ。
 そしてようやくティクタムに順位を譲って節約モードに移った様子ですが、無線では「もうちょっと早く動けばよかった、すまん。」と意味深な内容。前戦ではエンジニアに対して作戦の無能さをレース中に説教しまくってたので、ひょっとしたら譲るよう言われたのを無視して1位にこだわりすぎたとか、自分の考えを優先してエンジニアの話を聞かなかったのかもしれません。

 当然ながら10周目から15周目にかけてピット サイクルとなり、実質3位の状態で11周目にピットに入ったダコスタがピット組最上位に。キャシディーはというと、これまた後方からアタックモードで前まで出てきたマルティーが300kWになったらかなり遅くて周回遅れに引っかかったような状態になりました。14周目にピットに入りますが、ここもマルティーとタイミングが被った上にどうやらマルティーは速度制限区間のけっこう手前でブレーキを踏んだらしくてもう踏んだり蹴ったり。ピット後のキャシディーはアンダーカットされまくって実質10位です。前にいる人も自分もアタック1回残しで同条件ですから基本的に順位を上げる手段があまりなく、むしろ自分はここまでエナジーを浪費してます、詰んだ。
 優勝争いはピット後に実質1位を手にしたダコスタにベアライン、ティクタムが続く三つ巴。この状態なら抜けないこのコースでは前にいるダコスタ有利かと思ったら、ベアラインが20周目の終盤からダコスタにぎゃんぎゃん仕掛けていって、その隙にティクタムがベアラインを抜く激戦になります。これだけでもかなり面白いんですが、なんとそこにもう1台のジャガーIタイプ7が現れました。16位スタートのエバンス、どこから来た。

 前の3人よりも残量が1%ほど多いエバンス、21周目にベアラインを抜いて3位、22周目にティクタムも抜いてとうとうチームメイトの真後ろに到達しました。この周の最終シケインでは既にダコスタにも攻め込んだエバンス、チームはたまらず順位をそのまま維持するように指示を出しますが、抜く気満々のエバンスは指示に文句を言いながら最終周のターン1でも外から仕掛けて行きます。オーダーが出たとエンジニアが言ってるのになおエバンスが攻めてくるからダコスタもまた不満。
 かなり不穏な空気が漂う中で最後のシケイン、ダコスタはたまらず内側をブロックし、エバンスは絶対無理だろうけど外から仕掛けようとして、3位のティクタムもエバンスが外に行ったことで空いた場所に潜り込んであわよくば2位を取り返そうとしました、これは怖い!

 追突事故でも起きるんじゃないかと思いましたが、ダコスタは無事にシケインを立ち上がって最初にチェッカード フラッグを受けました。ちょうど今回が通算150戦目だったダコスタ、前戦ジェッダに続く2連勝で通算14勝目、無線で「バモス!」と連発しました。エバンスも抜かれず2位で続いてジャガーがワンツー。今年からチーム代表になった元マクラーレン、いやイメージとしては元メルセデスEQのイアン ジェイムスも無線で大喜びです。
 しかしエバンスは全く納得がいっておらず「お前ら、俺がアントニオのことを好きで助かったな。」「話しかけんな。」と超絶不機嫌。ジャガーはエバンス/キャシディーの組み合わせでもいざチャンピオン争いが本格化したら上手く扱いきれなかった過去がありますが、ジェイムスさんはこの後どうチームを取り仕切るんでしょうか。まあ何にせよとりあえずお祝いです。
 3位はというと、ティクタムはシケインの出口でエバンスに行く手を遮られて完全に貧乏くじを引いてしまい、後ろで見ていたベアラインに立ち上がりで簡単に抜かれてしまいました。ベアラインもさすがにこの幸運に無線で笑いが止まりません。追突されてなければ勝ってたのに、とは思いつつもウイングの壊れた車でも3位を獲れたことには満足していました。ティクタムは仕掛けて損しましたが、エバンスの後ろに付いて行ったとしたらベアラインが突っ込んできたかもしれないし前で何かあった時に巻き込まれるかもしれないので、あれはもうしょうがないなと思いますね。
 5位からモルターラ、ジェイク デニス、セバスチャン ブエミ、ニコ ミュラーのトップ8。デニスとブエミは着順ではブエミが先だったんですが、順位争いをする中でブエミがデニスに対してじゅうぶんな場所を残さなかったと判断されたため、『公平な裁定としてブエミとデニスの順位を入れ替えるため1.9秒のペナルティーを与える』というなかなか珍しい裁定が下っていました。
 9位にはマルティーが入り、10位がジョエル エリクソンでした。キャシディーはまさかの17位、レース後も不満が爆発し「今日は不運なことにアマチュア選手に掴まりましたね。デニスからメッセージが来て『ピットの入り口であんなに早く減速するやつは見たこと無い』って書いてましたよ。あれで2秒から2.5秒は損したと思います。」そのアマチュア選手が9位に入ってるんだから腹立たしいことこの上ないでしょう^^;
 なお、ジャガーの2人についてはピットブースト時の規則違反が審議対象となっていましたが、これはピット作業時の詳細について記載された競技規則 37.5 cに規定された内容
『車両の作業を行えるのは2名までとし、加えて車両を停止・解放する担当者を1名配置する』
『車両の停止・解放を担当する者は常に車両のガレージ側にとどまらなければならない。充電作業が完了するまでの間、ガレージ前の作業エリアにはそれ以外のチーム関係者や機材は入ってはならない』
という文言に反しているかどうか、というものでした。『車両を停止・解放する担当者』というのはいわゆるロリポップを担当してる人のことです。中継映像では見えなかったのではっきりしませんが、ロリポップさんの立ち位置が他のチームとはちょっと違ったんでしょう。ピットを出る時の映像ですが、ベアラインの担当さんはだいぶ遠い場所にいますね。エバンスがピットに入る時にクルーがこういう場所から停止位置を指示してるのは確認できるので、その後の充電中かピットを出る時に疑惑がかけられたと思われます。

 こういう真上からのカメラなど検証素材はたくさんあるのでレース後に調査した結果、規則違反であると立証できるようなものはなかったのでペナルティーは課せられなかったようです。どういう場所にいたのか気になるけど調べる方法が無い^^;
 

 雨も絡みましたが決勝は天候要素が絡むこともなく、なかなか面白いマドリードでした。ダコスタは序盤の混戦でちょっと外へ追いやられて順位を下げたりしてたんですが、前でやたらと争ってるのを眺めつつ上手いこと節約にハゲみ、ピットブースト前の段階で開けた場所を確保して他と重ならないようにピットに入って常に相手を上手く見た走りをすることができました。
 アタックが6分1回の規則だとピット前に先にアタックモードから使ってオーバーカットする手段が非常に使いにくいため、基本的にはピット後にアタックを使うのが主流になります。そうすると上位の人は早めにピットブーストを済ませておけばそうやすやすとオーバーカットされて『ピット前より順位下がってるやん!』ということは起こりにくくなります。ピット前後で位置関係は変わらないなら自分からわざわざピット後すぐにアタックを使って飛ばすようなことは不要、相手の動きに合わせてアタックを使いやすいので不確定要素を減らす展開に持ち込めます。
 一方でエバンスは16位スタートだったから逆の戦略が必要になり、11周目の段階でもまだ17位と全くテレビに映らない状態で我慢。前の人がピットに入ってくれるまで待ってから一気にペースを上げてオーバーカットを狙いました。他の人たちがピット後もまだアタックモードを使わず走っていたこともあり、エバンスがピットを出て合流した場所は7位。ピットのタイミング、エナジーの使いどころ、飛ばしどころの工夫で10人ほど一気にゴボウ抜きした計算です。それでなおエナジー残量に余裕があったのでダコスタに追いつき、もしチームメイトじゃなかったら無理してでもどっかでねじ込んでたかもしれません。
 代表のジェイムスさんは異なる予選順位から異なる戦略を機能させてワンツーを獲ったことを非常に楽しんだようですが、それが最後には1位・2位になってしまってドライバーの最終的な扱い方をどうするか困るところまで行ったのは計算外だったかもしれませんね。キャシディーについてはもう何と言っていいやら、ステランティスのパワートレイン自体がどうも不振っぽいので作戦だけが敗因というわけでもなくそもそも効率で負けてるから決勝で戦えてない、というのも多少あるような。


 そして初開催のマドリードでしたが、ザ レースは非常に高く評価していました。車がさらに速くなるGen4では市街地レースがかなり難しくなってしまい、しかし広大な常設サーキットではシリーズの独自性も迫力も落ちてしまうことが大きな懸念材料となっていますが、そんな中でマドリードは1つの答えになる可能性を秘めている、というような評価です。
 たしかに、道幅もそんなに広くないし、はみ出たらそのままスナーバックス入店だし、それでいてわりとお客さんと車の距離が近くて、ちょっとのどかな雰囲気で、妙な短縮ルートを通ることもなく、飛ばせばそれなりの速度まで出て追い抜きはやや難しくて自動車レースらしい争いが起こり、戦略も難しい。近代的なサーキットでは成立しない要件を満たして良いレースだったなと振り返って感じました。
 数年前からイギリスのイベントがブランズハッチなどのいわゆるオールド サーキットに移転するのではないか、という話はずっと出ていて、それを読んでも私は「え、フォーミュラEでブランズハッチ?やっぱ展示場と駐車場の方が良くない?」とか思ってピンと来てなかったんですが、ハラマを見たらたしかにブランズハッチをGen4が走る姿って面白そうかも、とか思えるようになりました。もちろん市街地レースができればそれに越したことはないと思いますが、適地が限られる中で世界にまだまだ残っている旧世代のサーキットには開催価値のある場所は探したら見つかりそうです。
 フォーミュラEと常設サーキットの組み合わせってどうも過去の経験からしょっぱいイベントになってしまうという否定的な印象が強かったんですが、もし運営がザレースと同じような評価をしているのなら、すぐには無理でも数シーズン先になったら今とは全く違う面白い日程が組まれてるかもしれないな、とちょっと期待が持てました。次戦はベルリンでの2連戦、なんですが4月はレースが無くて開催は5月2日・3日となっています。

 

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