ABB FIA Formula E World Championship
2026 Jeddah E-Prix
Jeddah Corniche Circuit 3.001km×30Laps=90.03km
Race Energy:38.5kWh
Reference Lap Time for FCY/SC=3:20
Attack Mode Time:480seconds(2 activations)
winner:António Félix da Costa(Jaguar TCS Racing/Jaguar I-Type 7)
2026 Jeddah E-Prix
Jeddah Corniche Circuit 3.001km×30Laps=90.03km
Race Energy:38.5kWh
Reference Lap Time for FCY/SC=3:20
Attack Mode Time:480seconds(2 activations)
winner:António Félix da Costa(Jaguar TCS Racing/Jaguar I-Type 7)
ABBフォーミュラE、第5戦ジェッダ。前日がピットブーストありの31周、こちらは30周の通常レースです。昨年は初めてのピットブースト週末ということで両レースとも31周でしたが、その後の流れとしては充電が無いならそのぶん周回数は少し減らす、が定着。1年経ってジェッダも同じ流れで前日より1周減というわけです。充電が無いとエナジー節約要素が強烈すぎてシケインで大渋滞が起きてましたしね。
昨年のイベントは前日の失敗を教訓として抜群のエナジー管理を見せたロウランドが2位に6秒近い大差を付けて優勝し、その後の快進撃に繋げていきました。風を制するものがミニ四駆を制す、エナジーを制するものはフォーミュラEを制す。
・練習走行
最後の練習機会となるFP3、最速はデニスの1分15秒227で300kWでも同じくデニスが最速でした。350kWは2位からエバンス、ティクタム、モルターラ、グンター。300kWだと2位からバーナード、モルターラ、ダコスタ、グンター。逆にルーカス ディ グラッシは両方で最下位になってしまいました。ローラとアプトの関係が切れることで来年の彼には契約先が無いのでは?という話も出てるんですが、いつものしぶとさを見せてもらいたいですね。
・グループ予選
A組は今日も好調のモルターラが1分17秒151と昨日よりさらに上げてきて最速。2位にグンター、そして3位は最後の1周までタイヤの準備に費やして一発勝負に賭けたロウランドが飛び込みました。4位にも最後にベルニュが飛び込んできて、セッション序盤に最速だったティクタムが最後の最後、僅か0.02秒差で蹴り出されました。ベアラインも6位で脱落。
B組はジェミニAIが『1分16秒95ぐらいが出るだろう』と大胆予想しましたが、実際の最速はダコスタの1分17秒215でした。たぶんモルターラが速すぎて路面の向上幅があるとAIが誤認させてしまったんじゃないだろうか。2位は「このタイヤマジでゴミ」と酷評していたデニス、3位ブエミ、4位キャシディーでした。なんかデニスはこの週末ずっと文句ばかり言ってる印象です。いや、いつもか(笑)
・デュエルス
準々決勝の段階で明らかに1人だけ速いモルターラ。順当に決勝へ勝ち上がりますが、衝撃だったのはB組準決勝のデニス。なんとモルターラを上回るこの週末最速・1分15秒060を記録して決勝進出、かつ後攻を手にしました。FP3の速さは本物だったか!
デュエルス決勝、モルターラは今回も破綻なく走っていましたがターン16の出口で滑ってちょっと失敗。それでも1分15秒116と準決勝から自己記録を0.008秒削って絞り出しました。一方で後攻のデニスの方はターン10で少し滑っており、それ以外は良かったんですが1周したら1分15秒153、惜しくも0.037秒届きませんでした。これでモルターラが2日連続のジュリアスベアポール獲得、今度はちゃんとスタートしよう。
スタート順位はモルターラ、デニス、ダコスタ、ロウランド、ベルニュ、グンター、ブエミ、キャシディーのトップ8。ディグラッシは予選も最下位タイム…
・決勝
単体のレースにしちゃああまりにド派手なドローンと花火と照明による開会演出。でも東京のイベントではたぶん輸送とかの見えない経費でかかってる部分のお金が同じように高額なんだろうなあ、とか思ったり。昨日はデフリースの車が動かずスタートでもたもたしましたが、今日は全員ちゃんと動き、そして誰も白煙を上げることなくスタート。まず上位勢がお互いに居心地の良さそうな場所を探り合った結果、上位の顔ぶれがちょろちょろと入れ替わります。モルターラは風よけにはなりたくないみたい。
7周目にエナジー残量が公開されると少し作戦に影響があったのかロウランド、ブエミ、モルターラの3人が妙に前を取りたがって混戦に。5位あたりで眺めるデニスに対しても後ろから急に突っ込んで抜きに来るライバルがいて苛立ったか、無線で思わず「こいつら何もレースの勝ち方わかってねえ。」下手に争ってもエナジーを無駄遣いして後々困るだけ、変に仕掛けても自分も相手も誰も得しないからもうちょっと大人しく順位守って走ってろ荒らすな、という感じの心境でしょうか。グランツーリスモやってるとよく思うやつですね^^;
そんなデニスの前でなおも出たり入ったりのレースが続いていましたが、13周目にブエミのエンジニアから「今エナジーの目標は昨日と同じになった。」という情報が来ると、たぶん作戦上大事な話らしくブエミが先頭へ。レース序盤は1分27秒台というむっちゃ遅いペースから入って少しずつ切り上げてきましたが、ブエミが前に出た13周目は前の周から1秒上げて1分22秒。昨日は1分20秒のレースなので確かに近づいて来た印象です。
本当に1分20秒台まで上がってしまうともう抜けなくなってしまうのでコース上での順位が重要、主導権を渡してたまるかとモルターラが14周目に先頭を再奪還しますがブエミも対抗して抜き返します。抜きつ抜かれつするぐらいなら後ろで見てればいいんじゃないかと思うわけですが、15周目に12位のエバンスがまずアタック4分を使ってここから戦略ゲームが第2段階に入りました。
何人かアタックで順位を上げる人が出てくる中、18周目にデニスがけっこうエナジーに余力を作った状態でアタックへ。節約と引き換えに10位まで下がっていたのでこれが良いのか悪いのか気になりますが、なんとその矢先にパンクが発生して脱落。デニス流の勝ち方のお手本を見せていただく前に戦線離脱となってしまいました、これは見ている側にとっても非常に残念です。
この後1回目のアタックのサイクルが終わると、先頭に出ていたのはなぜかダコスタでティクタム、ブエミ、モルターラが続いていました。ダコスタは18周目にアタック4分を使いティクタムも同じタイミング。ブエミとモルターラはいずれも20周目に2分間使ったので、サイクルが終わっても順位が戻りませんでした。ただこれ、モルターラから見るとブエミが同じ作戦パターンになってるので、仮に2回目でダコスタを仕留めたとしてもブエミとの前後関係が変わらなくなって詰んだ気が。
すると23周目、ティクタム、ブエミ、モルターラが一斉に2回目のアタックへ、この前の周からアタックを使っていたロウランドもここに割り込んでアタック使用者4人が連なったので時間切れまで互いにあまり攻撃ができません。そして先頭のダコスタは3秒以上前方にいたので、相手の動きを見てからアタック2回目を使って余裕で1位のまま合流。これはもう昨日のベアラインと同じでテレビに映らない圧勝パターン完成です。
2位争いの方は最初にアタック切れになるティクタムがまずはカモになりますが、モルターラはここを突破するのに少し時間がかかってしまって離され、これがロウランドをアタック切れ前に抜き切れない、という次の問題に連鎖しました。ブエミはサクッと抜いたのにモルターラは抜き切れなかったので2位ブエミ、3位ロウランド、4位モルターラ、という位置関係で全員アタック切れして膠着してしまいます。
もちろんブエミにここからダコスタを追い詰めるような余力があるわけでもなく、むしろ煽って来るロウランドから2位を守るので精一杯。しかし18周目あたりから既にレースは1分19秒台の『全開』レースになってしまったので追い抜きが極めて難しくなっており、そうそうに抜けるものでもありませんでした。ダコスタが最終的には2位に2.574秒の差を付けて今季初勝利、シーズン10・第14戦ポートランド以来の通算13勝目を挙げました。
これでダコスタは最初に所属したアグリ、シーズン3に移籍したアンドレッティー、シーズン6からのDSテチーター、シーズン9からのポルシェ、そして今シーズンからのジャガー、と所属した5チームすべてで勝利を記録しています。しかも直近3チームのDSテチーター、ポルシェ、ジャガーは全て『移籍5レース目』という全く同じタイミングでの勝利です。ちなみにですがシーズン1のアムリン アグリはデビュー3戦目、アンドレッティーでは移籍3年目・通算25戦目が初勝利でした。アンドレッティー最初の2年は自社パワートレインが悲惨すぎたからまあ仕方ない。
2位ブエミ、3位ロウランド、せっかくポールスタートでもモルターラは4位止まり。ティクタムが5位、ペペ マルティーが6位とクープラ キロはそこそこの点数を稼ぎましたが、レース残り2周の場面で両者が争ってしまってマルティーが壁に接触、危うく2人とも消えるところでした。チーム代表によると7:3ぐらいでマルティーが悪いとのことですが、残量の多いマルティーはティクタムもそれを知っていて道を譲って入れ替えてくれる、と誤解していたようです。指示が明確でなかったというチーム側の管理にも問題がありそうで、マルティーは無線で暴言吐きまくった上にレース後も口論になった模様。エバンス、ベアライン、ベルニュ、バーナードのトップ10。ディグラッシは最下位ではなく15位でした。
気づいたらもうダコスタの優勝を阻止できなくなっていた、という感じのレースでした。ダコスタは序盤戦だいたい3~5位の位置を維持し続けており、最初のアタックを早めに使って前に出たらあとは上手く後ろを見ていました。もしダコスタ、ブエミ、モルターラ、の3人しかいないレースならアタックを早く使ってアンダーカットしたぐらいは意味が無いんですが、実際は今回の場合ロウランドとティクタムが割り込んできたことで明暗が分かれました。
ダコスタから見るとロウランドには最初のアタックでアンダーカットされましたが、ティクタムは自分と同じ周に動いたので無関係でした。他方でブエミ/モルターラから見るとロウランド/ティクタムの両方に一旦アンダーカットを食らっています。アタックで抜かれてもアタックで抜き返せば基本はそんなに変わらないはずですが、捌く相手の数が増えて、しかも2回目のサイクルでは並んで走られた上に同じようなアタック戦略になってしまったので壁になりました。たぶんジャガーからしても想定外のありがたい援軍で楽をさせてもらった、というのが本音じゃないかと思います。
結果としてはブエミもモルターラもダコスタが動いた翌周・19周目にアタックを2分でも使っていればティクタムを争いから除外できていたので、先頭を走るがゆえにちょっと慎重に見極めすぎて思いがけず穴にハマってしまったのかなあ、という戦略の流れに見えました。誰が無視して良い相手で誰の動きを見てないといけないのか、というのを瞬時に考えるエンジニアは本当に大変ですね。あと、たぶんデニスはアタック前に順位を落としすぎていてパンクしてなくてもそんなに良い順位にはならなかった気がします。
公開された無線を見ると暑いせいもあるのかなんかもうみんな普段以上にキレまくってるんですが、かなり悲惨だったのはシトロエンの2人でした。キャシディーは車の仕上がりが今一つな上に作戦が全然機能しない、というかキャシディーから見てたぶん『何も考えてない』レベルに見えていると思われ、
エンジニア「ロウランドが飛ばし始めたっぽいな。」
キャシディー「もう既になっとるわ、心配してた通りや。(ここでマルティーが強引に突っ込んでくる)こいつ!このクソアマが!マジでもう、、いや、やめとこ。とにかくあいつ最低、こっちが曲がってたらぶつかってるで。(ここで話が元に戻る)もう何か起こらん限りポイント取れへんよ。念のため言うとくけど何周も前から言うとるからな。聞こえてんのか!?もう何周も前から、俺ら最悪やぞて言うてるやんか!」
エンジニア「すまん、どうして欲しい?」
キャシディー「とにかくレースを事前にもっとちゃんと理解して。」
エンジニア「今アタック4分行くべきやと思う。」
キャシディー「違う違う!今動くのは絶対やったらあかんてレース前に言うたやろ!?」
エンジニア「了解。」
キャシディー「でもこんな今さら動くのも絶対やったらあかんてレース前に言うたやろ。」
たぶんエンジニアはもっとペロトンスタイルを想像し、キャシディーはそうじゃなかった考えのズレを埋めないままレースに入ってしまって、エンジニアが無茶苦茶怒られています。そして作戦に文句を言う合間にも接近して進むレースと突っ込んできた小僧に対処し、しかし作戦への不満が強すぎて小僧への不満は途中で捨てられました。
チームメイトのベルニュも、同じステランティスのバーナードが鬼ブロックしてきて自分のアタックを潰しに来たので「バーナード!バカナノ!?(意訳)」と激怒、まあ何せシトロエン/DSペンスキーはこの週末2戦で合計16点、前戦マイアミでも0点で不調を引きずってしまってるので陣営の雰囲気が悪いのも納得です。
次戦は3月21日、ヨーロッパに移動してマドリード。市街地コースではなく、初開催となるハラマ サーキットです。昨シーズンの開幕前テストで臨時の開催地となった場所ですね。
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