ABB FIA Formula E World Championship
2026 Jeddah E-Prix
国際映像のオープニングが最初から夜の東京を想起したCG映像で作成されてるんですよね(笑)両日とも予選が15時40分、決勝が20時5分開始と発表されており、これは決勝の時間がヨーロッパ圏でなんとかお昼間ぐらいになるので生放送の視聴者数増加に寄与する可能性があるほか、7月開催で暑いであろう東京の酷暑対策の意図もあります。
ターン14~16のシケインで右前輪が思いっきり壁にぶつかりました。一発でサスペンションがもげてしまってここで走行終了、解説のカルン チャンドックも「あんまり起こらない失敗ですね。」とぶつかったことが不思議そう、ロウランド本人は「ごめん、しょうもない失敗した。」としょんぼりの無線です。
2026 Jeddah E-Prix
Jeddah Corniche Circuit 3.001km×31Laps=93.031km
Race Energy:38.5kWh+3.85kWh Pit Boost
Reference Lap Time for FCY/SC=3:20
Attack Mode Time:360seconds(1 activation)
winner:Pascal Wehrlein(Porsche Formula E Team/Porsche 99X Electric)
ABB フォーミュラ E 世界選手権、第4戦・5戦はジェッダでの2連戦。昨年に続く2回目の開催で、前戦マイアミに続いてこちらもF1開催コースをバッサリと切り落としたようなレイアウトです。1周3kmとフォーミュラEとしてはちょっと長めになっており、表側はホーム ストレートに2つのシケインが設置されるなど低速コーナーが多数ありますが、ターン4を曲がって裏側に回ると特設の『ドラゴントレイルシーサイド逆走』的なシケインがあるぐらいであまり回生できず、エナジー管理はそんなに楽ではなさそうです。あ、国際映像でなぜか『3.0001km』って出てますけど明らかにキーボード叩きすぎですね(笑)
そしてこの第4戦は2連戦の1つ目ということで今季初のピット ブーストが採用されます。ピットブーストで3.85kWhを充電する仕様は昨年と同じですが、レース設定に変化が付けられていてアタック モードが6分間を1回だけになっています。減らした要因として考えられる理由は2つあり、1つは単純にアタック2回とピットブーストが40分程度のレースに全部盛り込まれると情報過多になってしまい、見ている側も評論家でさえも何がどうなってるのか理解が追いつかないので、もう少し簡素化させたかったのでは?という点。
もう1つは、1回だけだと戦略の幅は減りそうに見えますが使い方を間違えると取り返しがつかないのでより慎重に、完璧に展開を読んで使わないと勝てない、という新たな課題設定という点です。特にピット前に先にアタックを使う場合は注意が必要で、6分もあると使いどきが遅すぎたら「あ!まだ1分残ってるのにSoCが42%しかない!この周ピットに入らないと違反になってしまう!」というような状態が起こって使い残しが発生します。
また、1回しか無いので後方の選手はギャンブル的にアタックを温存してしまえば、万が一レース終盤にSCが出た際に在庫がない人を再開後にごぼう抜きして大逆転できる可能性が普段より高くなります。どの戦略パターンにも利点と欠点があるので、何を取ってくるのかを考えるとアタック1回でも案外戦略性はあるかもしれません。
あとこの設定を『今シーズンの規則』という括りで紹介されているかと思いますが、実際にはアタックの時間や回数、もっと言えばピットブースト導入の有無はレースごとに設定されるイベント ノートで定義づけられていて競技規則縛りでは無いので、運営側がもうちょっと手直ししたいなと思ったらシーズン中でも手が加えられる可能性がありますので留意が必要です。
・レース前の話題
第14瀬・第15戦として開催される東京について夜間レースで開催されることが正式に発表されました。既に噂として情報が挙がっていた他、何よりも
国際映像のオープニングが最初から夜の東京を想起したCG映像で作成されてるんですよね(笑)両日とも予選が15時40分、決勝が20時5分開始と発表されており、これは決勝の時間がヨーロッパ圏でなんとかお昼間ぐらいになるので生放送の視聴者数増加に寄与する可能性があるほか、7月開催で暑いであろう東京の酷暑対策の意図もあります。
ザ レースによると物流の問題もあって東京は開催費用が年間の開催地としてかなり高額な部類に入るイベントとなっており、車両がGen4に変わるシーズン13以降もこの小さい場所でレースを開催できるのかは不透明とのこと。運営側とすると東京という象徴的な都市での開催はシリーズの価値を高める材料でもあるので継続も選択肢には入っているでしょうが、日本の常設サーキットへの移転も選択肢と思われるのでひょっとすると最初で最後の東京ナイトかもしれません。
・練習走行
木曜日夜に行われたFP1、最速は昨年のジェッダ勝者・マキシミリアン グンターで1分15秒714でした。パスカル ベアライン、ジェイク デニス、エドアルド モルターラ、ミッチ エバンス、オリバー ロウランドが続きました。300kWだと最速はダン ティクタムで350kWより約2秒遅い1分17秒941。セバスチャン ブエミ、ベアライン、エバンス、モルターラが続きました。
FP2は日付が変わって金曜日のお昼、決勝が開催される時間帯から考えるとずいぶんと条件が異なる走行枠になりますが、今度はティクタムが全体の最速で1分15秒343。デニス、ベアライン、ノーマン ナトー、モルターラのトップ5。300kWだとベアライン、ニック デ フリース、ブエミ、グンター、ナトーの順でした。ベアラインは条件問わず速そうですね。一方でロウランドはちょうどセッション中盤、22分ほど経過したところでクラッシュ。
| もぎゃ |
ターン14~16のシケインで右前輪が思いっきり壁にぶつかりました。一発でサスペンションがもげてしまってここで走行終了、解説のカルン チャンドックも「あんまり起こらない失敗ですね。」とぶつかったことが不思議そう、ロウランド本人は「ごめん、しょうもない失敗した。」としょんぼりの無線です。
・グループ予選
どこも1セットのタイヤで2回の計測を行う戦略ですが、気温30℃、路面温度は48℃とかなり暑いので2回目は記録を伸ばせない人が多数。そんな中でモルターラだけは最後に大きく伸ばして1分17秒379で最速。ナトー、ジャン エリック ベルニュ、ニコ ミュラーの4人がデュエルスへ。ミュラーは自己最速記録がトラック リミット違反で抹消になったにもかかわらず、残った記録でも4位を守ることができました。調べたらターン17で2回もやらかしたみたいなんですが、たぶん厳密にはターン17本体ではなくその手前ですね、左に寄せすぎ。
そんな状況ですがB組のベアラインは3回の計測全てで少しずつ記録を更新。数字だけ見ると1分17秒426でA組よりも遅かったですが車がきちんと仕上がっている印象を受けます。アントニオ フェリックス ダ コスタ、グンター、テイラー バーナードの順。エバンスは0.001秒差の5位で惜しくもデュエルスを逃しました。両組を通じでトラックリミット違反したのは結局ミュラーだけだったようです、練習走行ではたくさんいたんですけどね。
・デュエルス
A組からはモルターラが非常にまとまった走りで順当な勝ち上がり。B組もベアラインが残るかな、と思ったら準決勝のターン13=F1で言えば最終コーナー入り口でちょっとだけ後ろが流れてしまい、グンターに逆転を許してしまいました。
これでグンターとモルターラの対決となったデュエルス決勝ですが、グンターはなんとなく全体にあと一歩回頭性が欲しいような動き、方やモルターラはターン出口で切り足したらちゃんと向きが変わってる感じで、最後のシケインでちょっと攻めすぎた以外はほぼ完璧な走りでした。準決勝より0.1秒ほど遅かったものの1分15秒336でジュリアス ベア ポール ポジションを獲得、シーズン10・第9戦ベルリン以来通算4回目。
スタート順位はモルターラ、グンター、ベアライン、ナトー、バーナード、ダコスタ、ミュラー、ベルニュのトップ8。キャシディーが13位、ロウランドは16位からですが、今日もマジックは出るでしょうか。
・決勝
すっかり暗くなったサーキット、いよいよ始まるぞ、と思ったらニック デ フリースの車が動かない。事後情報では動かそうとした瞬間にインバーターがぶっ壊れたらしく、どうしようもないのでスタート手順は一旦停止。これでデフリースは次戦に向けてパワートレイン一式を交換することになり、60グリッド降格を食らってしまいます。マヒンドラにとっては災難だったわけですが、デフリースの車をピットに引っ張り出して今度こそスタートすると
モルターラどうした!4輪駆動になってないかトラクション コントロールが効いてないか、後輪が猛烈に空転してタイヤを削りまくり。これでモルターラが後退して混戦、グンター、ナトー、バーナード、ベアラインが通過していきました。ちゃんとライトは青く光ってるからシステム上はスタート用設定として認識されてるので300kWモードから切り替わってない、ということではなさそうです。その後ゼイン マローニーのクラッシュにより2周目にFCY導入、重機が必要だったのでSCに転換しましたが作業は案外早くて4周目にリスタート。
ここからしばしナトーが先頭になって様子見の時間。13〜20周目がピットブーストの目安になる周回数ということなので取りこぼさずにきっちり節約していく時間帯となりますが、1分20秒台のペース=グループ予選の3秒落ちですからそんなに遅くないですね。これだとなかなか抜けない状態なのでみんな動けません。でも動かないといつまでたっても順位は上げられません。
そんな中、何度か抜きたそうな動きを見せていたベアラインが14周目にグンターを抜いて2位浮上、翌周にナトーも抜いて先頭に出ました。そしてちょうどこの15周目に大半のドライバーがピットブースト可能となり、3位のグンターはここでアタックモードを先に使用、と一気に話がややこしくなってきました。
前に出たベアラインはアタック無しでここからかっ飛ばす作戦、さっきまでのナトーより1秒ほどペースを上げて1分19秒5で走ってるので、アタックを使って18秒中盤で走るグンターもすぐには追いつきませんでした。ようやくベアラインに追いついたのは18周目で既にアタックは4分ほど消費済。グンターはコース上でベアラインを抜きますが、抜かれたベアラインはそのままピットへ。グンターの方も翌周にピットに入りますがアタックを20秒ほど残した微妙な動き方で、ピット後の20周目にアタックを使ったベアラインにあっさりと抜かれました。これでベアラインが事実上の1位、しかもこれ、ライバル既に詰んでね?
実際、ピットブーストのサイクルが終わると2位のデニス以降はまだアタックのサイクルが一巡するまで本当の位置関係が分からない接戦でしたが、ベアラインだけは明らかに別の次元を走っていて7秒以上の大差になりテレビに映らない状態でした。そして2位争いはというとここからアタックを後半に持っていったモルターラが順位を取り返して2位へ挽回、ただベアラインとの差はあまりに開きすぎていました。
レースは最初のFCY/SCが6分40秒に微妙に届かなかったので1周だけ追加されて32周になりますが、ベアラインが最後まで全く他を寄せ付けずに今季初勝利。意外な感じもしますが昨年の第5戦マイアミ以来ほぼ1シーズンぶりの通算9勝目でした。モルターラはスタートでズッコケなかったらどうだったのかなという2位、3位はこれまたアタックを終盤にもってきたエバンスでした。
ミュラー、ダコスタ、キャシディー、ブエミ、ベルニュ、デニス、バーナードのトップ10。ナトーは最初に前を走りすぎてエナジー管理で苦労したと見られ、ピットブースト前の時点で既に順位を下げると、ピット後もただ食われるだけの状態になって13位でした。また、ジョエル エリクソンはまだバッテリー容量が規定値以上だったのにピットブーストを行ったためにドライブスルーのペナルティーを受けました、たしかに中継映像を見ると稲妻マークが出てないうちに入ってるんですよね、計算ミスでしょうか。ピット時も停止位置を通過して戻してましたしレース以外で苦戦を強いられました。あ、よく見たら足で蹴って助けてあげてますね(笑)
ベアラインとポルシェの戦略は見事でした。序盤はきちんと節約して付いていく、欲しいところできちんと順位を取る。ペースを1秒上げて欲しいという考えに完璧に応えてまずは後続を引き離してアンダーカットの危険性を排除しておき、ピットブースト→競争相手がいない時にアタックモード、という理想的な運びでした。アタック2回の規定だとアタック2分→ピット→6分、というのが1つの戦略パターンなので、2分の部分を300kWのまま自力でかっ飛ばしたと解釈できます。
ピット前にアタックで飛ばすのも理論上のレース時間に差は無いはずですが、単純計算で考えてアタックモード6分を使って攻めるとそれだけで15~20%程度のエナジーを消費してしまうと考えられます。ということはピットブースト可能になってからの使用は『使い残し』を生むので、それよりも前の早い段階で使わないといけません、これはかなり攻めた考え。『レース時間』を軸に考えると抜くのに時間を費やすのは無駄ですから、前が開けていることも条件になり、となるとかなりその幅は狭いと言えます。
当然残りレース距離が長ければSCが出る危険性も増えるし、それに伴うレースの延長が起きるとエナジーの割り振りを再計算する必要があります。後半で使いたい人が多い理由の1つは、計算が立ってから使った方がよりアタックモード使用時にエナジーを割けるから、というのがあると思います。今回は最初のFCY/SCで6分40秒にちょっと足りてなかったですから、ちょっとしたことで数十秒FCYが出るだけでもう1周追加される境界線で各陣営とも警戒していたでしょう。
DSペンスキーはどうやら『多くの陣営はピットブースト可能になる周にアタックを使ってくるだろう』と読んでグンターにアタックを取らせたら他はだ~~~れも動いてなかった、という顛末だったようです。結果として3位という中途半端な位置から5位に一旦下がり、3人抜くのにまあまあ手を焼かされてから300kWで普通に速いベアラインにもちょっと抵抗されたのでアタックの旨味が減少、しかもちょっと時間も余りました。20秒って些細には見えますけど『ああ!あと5秒あれば抜けたのに!』ということが多々あるのを思えば馬鹿にはできない数字な気がしますね。
10位スタートのエバンスは逆にスタートからだいたい11位で集団の中にいて、他の人が先にピットに入ってくれたところで19秒台中盤まで攻めて20周目にピットへ。モルターラも同じような考えで19周目に入っているようで、とりあえず今回のレースで正解はこっちのパターンでした。
どうしてもピットブースト・アタックモード、という2つの道具があるのでここに目を奪われがちですが、実際にはもう1つの道具『普通に走る』があります。今回のような設定だと節約要素が少なくてフォーミュラEとしては速いレースになりますが、それでもなおエナジー節約のために最低限のリフト&コーストは求められるので、逆から言えば残量に余力があるとこれを無くして1~2秒速く走る余地があります。
ピットが無いと集団の中にいる人はこれをやろうとしたってできないわけですが、ピットありなら一般的なレースと同様にアンダーカット/オーバーカットが効くわけで、有効活用すればアタックを使わずともスルッと順位を上げることができます。今回上位に来た人はそこが非常に巧みで戦い方を熟知しているなと感じました。グンターに関しては、そもそも予選が出来すぎで車の仕上がりにあんまり自信が無かった、というのもあったみたいですけどね。
それと、ティクタムが「俺のタイヤは太陽の核より熱いぜ」という謎のキザな(?)情報を伝えていましたが、単純にタイヤの状況を適切に保ち続けて自動車として速く走らせることもけっこう大変なレースだったと思うので、単純にその点での優劣も大きかったでしょう。マネージメントが前面に出てくるから案外忘れがちですが自動車レースの基本部分ももちろん重要ですね。
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