NASCAR Cup Series
アンクラムとハニーカットは初のチャンピオンシップ4ですが、とりわけハニーカットは異例の存在です。ニース モータースポーツで開幕を迎えプレイオフ進出権のポイントを獲得していましたが、第16戦を終えた時点で『2026年に向けて異なるメーカーと契約に動いた』として突然解雇。これはトヨタ系チームだったのではないとされていますが、これで居場所を失い第17戦は別のチームから出場。
・ステージ1
80周以上走行するとロングランでの良し悪しがだいぶはっきりし、ラーソンが2位に浮上する一方でベルはアジャストが上手く行かず11位に後退して苦しんでいました。しかし216周目にホースバーが後ろから押されてスピンしてコーション発生、押したのは来年のチームメイト・スアレスでした(´・ω・`)ホースバーはこの事故の際に無線で「スアレスくたばれ!」と暴言を吐いていたことが後に明らかとなり問題視されます。
まだピットに入っていなかったチャステイン、ギリランド、ベリーの3人がコーション中にピットへ、コーション時点でリードラップにいたのはこれに加えてブレイニーとバイロンの計5人だけでプリースがフリーパス対象となり、周回遅れになってしまった19人がウエイブアラウンドを受けました。390周目にリスタート、何もなければ最後まで走り切るであろう残り111周です。
またお前かホースバー、今回は未来のチームメイトではなく現チームメイトのマクダウルに押されていました。このチーム大丈夫でしょうか。。。そのまま終わってほしかったバイロンとラーソンにとっては全く不要なコーションです。別に彼が悪いわけではないんですが、ホースバーだけで3回目のコーションなのでラーソンはちょっとイライラした様子、
2位のブレイニーは終盤のロングランで車がルースになってしまったと振り返りました。3位エリオット、4位は一時周回遅れからコーション運で大儲けしたチャステイン。ラーソンは5位でチャンピオンシップ最後の1枠を手にし、プリース、ベル、ロガーノ、ギリランド、ベリーのトップ10。なんやかんや15位あたりを走っていたギスバーゲンがリードラップで終えて14位、春のマーティンズビルからかなり成長して帰ってきた印象を受け、最近はオーバルでも中団を争う機会が増えているように見えます。
Xfinity 500
Martinsville Speedway 0.526miles×500Laps(130/130/240)=263miles
winner:William Byron(Hendrick Motorsports/Cincinnati Chevrolet Camaro ZL1)
NASCARの長いシーズンもあっという間に"ラス2"です。全国3シリーズ全てがプレイオフ・ラウンドオブ8の最終戦であるマーティンズビルにやってきました。最終戦フェニックスでチャンピオンを争う権利を手にする4人の枠に入るため、まだ権利が確定していないプレイオフ選手が最後の大勝負に挑みます。壁走りやタックルはやったらアウトですが、ゴリゴリ当てたりちょっと集団戦法で道を塞ぐぐらいのグレーな業が飛び交っても不思議ではありません。先手を打ってNASCARは今週と来週のレースで遠隔による監視員を増員し、インチキ対する目を光らせています(笑)
1周0.526マイル、最大バンク角は12度で、それもせいぜい車両3台分ぐらいの幅のコンクリート舗装された場所だけで、そこから外を走ったら全然曲がりません。加速したと思ったらもう急減速、670馬力のエンジン出力を無駄遣いしてブレーキを酷使しまくる500周の持久戦です。
燃料で言えば満タンで150周以上走行可能、そして追い抜きが非常に難しいのでコーションが出ても上位勢は燃料があるならピットには入らない、というのがマーティンズビルの通例でしたが、グッドイヤーがこれに対抗すべくドンドンと柔らかいタイヤを投入。結果、今年の春のレースでは30周も走っていれば基本戦略はタイヤ交換になっていました。そしてなんと、グッドイヤーはこのシーズン佳境にありながら左側のタイヤにはさらに速くて摩耗が進むタイヤを新投入してきやがりました、大丈夫なのか(;・∀・)
春のレースで優勝したのはハムリンでしたが、とにかく丁寧にタイヤを使ってレースの終盤にチームメイトのベルを完全に置き去りにしました。基本中の基本ですが加速時にできるだけ空転させないことが大事で、セッティングとしてはちょっとタイト気味に作っておかないとタイヤが新しいうちは速くてもそのうちズルズルになります。また路面状況とセッティング次第では、狭くて遅いターンではありますがちょっとV字のライン取りにすることでより前後方向に綺麗にタイヤを使うという走り方もたまにやる人がいます。もっとも、誰かが並んでるとこの走り方は場所が無くてできません。
・ちょっとしたデータ
改めてプレイオフの現状を見ておくと
ベルとラーソンは5位以下の誰かが勝たなければリタイアでもしない限りほぼ当選確実、ステージポイントを考慮しなくても20位あたりで終えれば自力で進出できます。しかし誰かが勝ってしまうと、レース開始時点で1点差のこの2人が最後の枠を争うわけですから現地の表現でいう『エブリ ポジションズ マター』=全ての順位が大事、という争いになります。ステージ終盤にコーションが出た時なんか、念のためステージポイントを獲るためステイアウトするか、それをやって次のリスタートで下位に回る方が怖いから普通に戦うか悩みますね。下の人はとにかく勝つのみ、以上!
そんな中、秋のマーティンズビルでは現在ライアン ブレイニーが2連勝中。Gen7で開催されたマーティンズビル7戦ではバイロンも2勝、ラーソン・ベル・ハムリンがそれぞれ1勝しており優勝経験者は全て今のプレイオフ選手です。ロガーノは2018年、エリオットも2020年に優勝しておりプレイオフ選手でここの優勝が無いのはブリスコーだけ。そんなブリスコーを含めて統計上の数値ではプレイオフ選手8人がそん色ない数字を並べています。春のレースではバイロンが22位でしたが、アンダーカットを狙ってピットに入ったらコーションが出て作戦が仇になったためです。
過去5年のマーティンズビルプレイオフでは、ポイントが5位以下でレースを迎えた選手の優勝による『サヨナラ ホームラン』がなんと4回も記録され、ブレイニーは2年連続サヨナラ弾を放っている状態。2020年はエリオット、2022年はベルでした。ラウンドオブ8最終戦がフェニックスだった2019年もハムリンが当落線の下からサヨナラ弾、つまり逆転進出が起きる方が当たり前になっていて、無風のまま終わるシーズンが稀な状態です。
また、抜きにくいトラックとは言いつつポール トゥー ウインは2013年のジミー ジョンソンを最後に誰も達成しておらず、予選4位以内から優勝したのも2019年のマーティン トゥルーエックス ジュニアが最後。Gen7の7戦に限れば予選11位以下の人が5勝しています。やはり決勝でタイヤの劣化にいかに対抗できるかという課題が克服できていないと、レースでの結果には繋がらないと言えそうです。
なお、記録上2020年はケビン ハービックがポイント5位のエリオット/ボウマンに対して42点の大差を付けておきながら敗退したため『最も当落線から上にいながら脱落した選手』という記録になるんですが、上記の通りこのレースではエリオット自身が優勝して当落線が事実上1つ繰り上がっていますので、実際にハービックが敗れたのはレース開始時点で17点差だったケゼロウスキー、42点差をまともにひっくり返されたわけではありません。
・レース前の話題
今週も契約の話題をいくつか。まずスパイアーモータースポーツはダニエル スアレスと契約したと発表しました。スアレスはトラックハウスとの契約を更新できなかったものの無事に新しい仕事を見つけ、そして彼のスポンサーとなっているフリーウェイ インシュァランスも一緒に付いていって来年の開幕戦・デイトナ500で筆頭スポンサーを飾る予定です。また、フロント ロウ モータースポーツはゼイン スミスと複数年での契約延長に合意したと発表しました。
エクスフィニティーシリーズ、というか来年のオライリー オート パーツ シリーズでは、ジェシー ラブがリチャード チルドレス レーシングに残留することが発表されました。また今年はフォードのAM レーシングに所属していたハリソン バートンが来年はトヨタのサム ハント レーシングに移籍し、チームメイトはディーン トンプソンが残留すると発表されました。ハリソンがトヨタの車に乗るのはJGRにいた2021年以来ですかね。
・Craftsman Truck Series Slim Jim 200
ポイント2位~6位が僅差で迎えたクラフツマントラック。ポールシッターのレイン リッグスがレースの主導権を握っていましたが、29周目のリスタートでまさかの変速に失敗。これで全然加速できずに順位を下げると、これが結果として致命傷になりました。オーバータイムにもつれ込んだレースでリッグスはポイント5位の状況。最後の最後に1人抜いてこのレースを3位で終えましたが、目前の2位でチェッカーを受けたケイデン ハニーカットと同点でした。
同点ということは2位のハニーカットにタイ ブレイカーがあり、リッグスは1点に泣き脱落です。優勝はコリー ハイムで今季11勝目、タイ マジェスキー、タイラー アンクラム、ハニーカットがチャンピオンシップ4に進みました。昨年のチャンピオンであるマジェスキー、アンクラムともハニーカットより1点多いだけで、誰が落ちるのか全く分からないレースでした。
アンクラムとハニーカットは初のチャンピオンシップ4ですが、とりわけハニーカットは異例の存在です。ニース モータースポーツで開幕を迎えプレイオフ進出権のポイントを獲得していましたが、第16戦を終えた時点で『2026年に向けて異なるメーカーと契約に動いた』として突然解雇。これはトヨタ系チームだったのではないとされていますが、これで居場所を失い第17戦は別のチームから出場。
ところが同じころにスチュワート フリーズンがカナダでのダート レースで大事故にあって重傷を負い代役が必要となったため、ハルマー フリーズン レーシングの代役としてシーズン終了まで収まることになり、そして優勝こそないものの地道にポイントを積み上げ、この大一番で自己最高位となる2位を得てのチャンピオンシップ4、「このレースを家で見ているはずの立場だったんですけどね。。。」とハニーカット、失うものが無い立場でフェニックスに挑みます。
・Xfinity Series IAA and Ritchie Bros. 250
こちら『勝つか、家に帰るか』という感じのエクスフィニティー、スポンサーは事故車を含む中古自動車などの売り手と買い手を繋げるデジタル プラットフォームを運営する会社っぽいですね。IAAがリッチー ブラザーズという会社を傘下に収めたのでこういうイベント名になってるようです。
それはさておき優勝争いは多くがプレイオフ選手以外の間で展開されてお約束でオーバータイムへ。リーダーは初優勝を狙うテイラー グレイで後ろに付けるのは勝てばチャンピオンシップ4のサミー スミス。この2人は因縁があり、春のレースでも全く同じ状況で最終周のターン3でスミスが強引なタックル、グレイは吹っ飛ばされて勝利を逃し、スミスも自爆して勝てなかった上に危険行為でペナルティーを受けました。
というわけでグレイは絶対同じことになりたくないわけで、ターンの出口でしっかりとトラクションをかけてスミスを引き離し、一方スミスもさすがに同じことをまたやるとマズいし、勝った後に勝利を没収されても困るのでどちらかというと抑制的。おかげで意外とすんなりとグレイが逃げ切って、通算45戦目でエクスフィニティー初勝利を挙げました。ちなみにグレイのスポンサーになっているOP300というのは、任務中に亡くなった軍人の子どもたちに屋外活動などの機会を提供して支援しようという活動だそうです。
チャンピオンシップ4には既に進出を決めていたジリッチ、オールガイアーに加えてラブ、カーソン クワポーが入りました。クワポーは残り25周のリスタートで当てられてスピンし一時30位まで後退しましたが、なんとか18位まで戻して命拾いしました。
・カップシリーズ 予選
ブッシュライトポールは星条旗っぽいスキームのバイロンが獲得しました、今季3度目・通算16度目。2位からギブス、ラーソン、ロガーノ、ハムリン、カスター、カイルブッシュ、エリオット、ブリスコー、シンドリックのトップ10。ベルは12位ですがブレイニーは完全に失敗したようでまさかの31位でした。マーティンズビルを予選30位以下から勝った選手は2002年に36位から勝ったカート ブッシュただ1人です、けっこうヤバい。なおこの時のポールシッターはブレイニーにとって12番の大先輩・ライアン ニューマンでした。
バイロンを先頭に静かな出足、ほとんどのドライバーは早めに並走を止めて居場所を見つけ、全体がほぼ1列になりました。ロング ランの実力を見たいところですが、28周目に3ワイドの争いでスアレスがスピンしてコーションが発生、厳密には半分以上回った後にたまたま上手いこと立て直したので誰もスピンしてないんですが、コーションは出てしまいました(笑)
スタートから30周もしていないですが全員ピットへ、マクダウルだけが2輪交換で前に飛び出して36周目にリスタート、バイロンはこれを2周でさばいてリードを取り戻すと、この後マクダウルは内側に次々と入り込まれてカモになります。ここから上位勢は95周を走り切るべくタイヤを気にして走っているのに、中団はタイヤのグリップ力が高いもんだからガンガン攻めて前に出ようとするためえらく激しい争いに、これは絶対後で代償払わされるやつ。
自分のペースでタイヤを労わりながら走れるバイロン、タイヤが残っているから周回遅れも比較的手早くさばくことができ、簡単にさばけるとタイヤを無理に使わなくて済むのでペースが落ちない好循環。2位のラーソン以下を寄せ付けることなく独走します。結局バイロンは2位を3.5秒もぶっちぎってステージ1を制しました、周回遅れを大量生産して既にリードラップ選手が14人しかいません。
2位はステージ残り10周でラーソンを抜いたロガーノで、4位からエリオット、ギブス、ハムリンと続いて7位になんとブレイニー。ベル、ギリランド、シンドリックと続くトップ10でした。ブリスコー以外のプレイオフ選手が上位8人に集結です。
・ステージ2
ステージ間コーションで各者4輪交換と給油、142周目にリスタート。また持久戦が予想される中、ブレイニーは「タイヤ交換後にブレーキを踏んだら振動がある。」と伝えて違和感がある模様。ちゃんとナットは締めてあるということなので、ブレーキの側で何かしら起きている所謂ブレーキ シェイクではないかと解説陣。ステージ1で抜きまくったから発熱したブレーキがコーションで冷えて表面が荒れたりしてるんですかね。
ラーソンが3速を使わず4速固定で走るなどタイヤとの戦いは続きますが、バイロン陣営はステージ1の状況から新しい左側のタイヤの摩耗が予想を下回る良好なものと判断。当初はステージを均等割りする1ストップを基本線に据えていましたが、ガクっと落ちない限りは走り切ってしまおうという話になっています。本日は気温が15℃ほどしかないようです。
| 巨大なタイヤカス( ゚Д゚) |
80周以上走行するとロングランでの良し悪しがだいぶはっきりし、ラーソンが2位に浮上する一方でベルはアジャストが上手く行かず11位に後退して苦しんでいました。しかし216周目にホースバーが後ろから押されてスピンしてコーション発生、押したのは来年のチームメイト・スアレスでした(´・ω・`)ホースバーはこの事故の際に無線で「スアレスくたばれ!」と暴言を吐いていたことが後に明らかとなり問題視されます。
リードラップ選手がピットに入って224周目にリスタート、そこまでタイヤを労わる必要が無い中で3列目リスタートのブレイニーが外ラインを使って猛攻撃、チェイスから3位を奪おうかという勢いで延々と外から仕掛け続けていたところ、231周目にカスターがスピンしてコーション。この時エリオットより前にいたためブレイニーは3位をもぎ取りました。
なおカスターはジョッシュ ベリーに押されており、ベリーはフリーパスの位置にいたので規定によりフリーパスが与えられませんでした。そのベリーも後ろからボウマンに押されていて接触は不可抗力に近いんですが、この規定は基本的に接触の状況が考慮されず『フリーパス対象車両がコーション発生事案に関与していれば権利無し』という文言に厳格です。
238周目にリスタート、ブレイニーはなんとたった2周でラーソンを大外刈りしてとうとう31位スタートから2位まで到達。しかし翌周にウェアーが脱輪によってスピンしておりまたコーションとなると、ステージ残り僅かなので作戦が分岐。ヘンドリックの3人は全員ステイアウトに対し、ブレイニー、ロガーノなどはピットに入りました。
ところがブレイニー陣営がここで左前輪のナットをちゃんと締めずに発進!えらいこっちゃ!!と思ったら、リプレイを見ると締めたけど上手くレンチが抜けないまま発進してしまっただけの様子。「最悪10周そこそこでまたコーション出るから締めなおせば良い。」と現地解説陣。いや、そうやけどさあ(苦笑)あ、さっきフリーパスを取り損ねたベリーは今度こそラップ バックですね。
250周目、ステージ残り11周でリスタート。ステイアウトして3番手リスタートとなったベルがとにかく1点をもぎ取るべくラーソンを攻め立てたものの抜くことはできずに終了。ステージ2もバイロンが制し、ラーソン、ベル、エリオット、ギリランド、ブリスコー、プリース、ボウマン、レディック、ジョーンズのトップ10でした。ラーソンは埋まってしまったところから上手く挽回して2ステージともベルより上位、だいぶ楽になりました。
・ファイナル ステージ
ステージ間コーションでさっきのステイアウト組がピットへ。リーダーはステイアウトしたレディックですが、彼は216周目のコーションでフリーパスを得てタイヤを交換し、そのままステイアウトを続けたもので戦略が他の人と異なっています。272周目にリスタートすると、ブレイニーは3周かけてレディックを外から攻略しとうとうリーダーになりました。一方バイロンはピットに入ったとは言ってもリードラップ選手が少ないので3列目からのリスタートですが、ギブス君に徹底的に防御されてリスタート直後に前進することはできませんでした。
そうこうしている間に279周目、ベリーが当てられてスピンしコーション。今回はフリーパス位置にいたケゼロウスキーが、これまたウォーレスに当てられた不可抗力でベリーを飛ばしてるんですがやっぱり規定に則ってフリーパスお預けです(´・ω・`)
このコーションは大きな動きはなく287周目にリスタート、ここからの攻防でようやくバイロンはギブスの壁を超えて前を追い始めます。ベルも同様に順位を上げますが、ラーソンだけは集団に埋まって10位近辺の争いに放り込まれました。この状況だとラーソンとベルのポイント争いが非常に僅差で予測不能になります。
316周目、バイロンはロガーノを苦労してなんとかかわし3位まで挽回しますが、そのころブリスコーがエンジン関係のトラブルでリタイアすると、ライリー ハーブストもやはりエンジン関係の不具合が出たようでガレージへ。そして335周目、なんと2位を走っていたハムリンも排気管から煙を吐いて、どう見てもエンジンが壊れていてオシマイでした。ハムリンの車、何か色々壊れすぎですね・・・
煙が出たからコーションを出すかと思ったらレースはそのまま続行、2位が抜けたのでバイロンとブレイニーの直接対決になりますが、このあたりから周回遅れがトラック全域に散らばって来てお互いに苦労。バイロンはタイヤが新しいもののそれを活かせる状態にはなかなかなりません。その間、3位にはなんとプリースが急伸。この人はショート トラックでかなり速い。
リーダー争いが膠着する中、375周目あたりからピットサイクルが到来、バイロンもアンダーカットを狙ってピットに入りブレイニーもカウンターを打ちますが、ブレイニーがピット作業を終えてピットを出ようかという378周目にジョーンズがスピン。交換直後の冷えたタイヤで止まり切れず自分から他車に当たって回ったんですが、まあ何せピットサイクル途中の面倒くさいタイミングです。そのせいかレース コントロールはすぐにはコーションを出さず、ジョーンズはその間に自力で動き始めましたが、結局はコーションが出されました。ほんならはよ出しときいな。
| これは即コーションでは(笑) |
まだピットに入っていなかったチャステイン、ギリランド、ベリーの3人がコーション中にピットへ、コーション時点でリードラップにいたのはこれに加えてブレイニーとバイロンの計5人だけでプリースがフリーパス対象となり、周回遅れになってしまった19人がウエイブアラウンドを受けました。390周目にリスタート、何もなければ最後まで走り切るであろう残り111周です。
リスタートではブレイニーが綺麗に先行しましたが、バイロンも背後から寸止め、をちょっと超えて寸当て、しかしブレイニーは微動だにしません。できればこのまま逃げ切って無風で終わりたかったでしょうが、残念ながら398周目にホースバーがまたスピンしてコーション。フロントストレッチで突然ホースバーが失速し、避けきれなかった後続がぶつかりました。後続は誰かって?スアレスだよ!(笑)ホースバーの失速、誤ってキルスイッチを押したことが原因だったと後に明らかになりますが、まあ何とも間が悪い^^;
このコーションはステイアウトの上位勢に対し、居座ってても何も起こせない中団でタイヤ交換の勝負に出る人が現れました。プレイオフ選手ではベルとロガーノです。405周目にリスタート、残り96周。ここもブレイニー好発進で主導権、ジョーンズが事故ったようですが自力でエイプロンにうまく退避してくれたのでコーションを出すことなく続行します。
残り70周、リスタート直後の攻撃をしのいだブレイニーがバイロンを0.8秒ほど引き離して3位以下は2秒以上後方。タイヤを換えたロガーノとベルはまだ10位あたりで8秒以上離れているので、当分は追いついてきそうにありません。これはブレイニー独走か?
しかし残りが50周になるころ、ブレイニーはちょっとルースなのか全体的にやや設置感が薄れているような車の動きになってきました。バイロンに追いつかれてさらに前方には特盛りの周回遅れも現れ大混戦になります。勝負はここしかないと見たバイロンは残り44周
ここで強引に内側に飛び込んでブレイニーを壁にして抜いていきました。ブレイニーはラインを外れたもののスピンは免れてバイロンを猛追。バイロンは逃げてしまえば問題ない一方で、周回遅れに詰まって追いつかれたらもう吹っ飛ばされても文句が言えない立場、早めに仕掛けただけにやり返される危険性を抱えています。
ブレイニーは一発やり返す気満々に見えましたが、10周ほどするとだんだんとバイロンについていくのが難しくなって打つ手が無くなりました。2人の間に周回遅れが挟まる場面も出始めて、さすがにこれはもう終わりだなと思って落胆した残り20周、
またお前かホースバー、今回は未来のチームメイトではなく現チームメイトのマクダウルに押されていました。このチーム大丈夫でしょうか。。。そのまま終わってほしかったバイロンとラーソンにとっては全く不要なコーションです。別に彼が悪いわけではないんですが、ホースバーだけで3回目のコーションなのでラーソンはちょっとイライラした様子、
ラーソン「誰がぶつけたん?」
クリフ ダニエルズ「71番。」
ラーソン「よくやった。」
また身内でぶつかって無駄なコーションが出たことへの皮肉半分、先輩として悪がきをよくこらしめてくれた、という皮肉がもう半分といったところでしょうか。これでリードラップ選手がピットへ。そして残り11周、バイロン/ブレイニーの1列目でリスタートします。さあ、もう遠慮はいらない時間だ。
お客さんとすればもう最後の最後はガシガシやり合い、なんならそれで2人とも事故って気づいたらチェイスエリオット勝て!ぐらいのノリだったかもしれませんが、今シーズン8か月間、累計9000周以上走り続けた全てを注ぐこのリスタートでバイロンは絶好の出だし。ターン2で早くもブレイニーを後ろに従えて並走を許さず、そして後ろから何かを起こすような距離感にも入れさせませんでした。
最後の2周ほどは僅かにブレイニーが接近はしたもののバイロンがミラーを気にするほどではなく、0.717秒の大差でバイロンがチェッカーを受け今年もまたマーティンズビルはサヨナラホームランで決着。ラスベガスでは大事故、タラデガも不運に見舞われて崖っぷちの状況からバイロンがチャンピオンシップ4進出、これで3年連続の進出です。
バイロン「いやあ、言いたいことがいっぱいるんですけど・・・上手く展開が運びましたね。それに、神は何度も人の忍耐力を試してくるもので、僕らも試されたんですけど、そうですね、、、信じられないです。息が切れそうですよ、ファンの皆さん、来ていただいてありがとうございます!最高のお客さんですね。初めてNASCARのレースを見たのがまさにあそこのスタート/フィニッシュ ラインのところだったんですよ。いやあ、本当に感謝してますし、家族に会ってこの勝利を祝うのが楽しみです。あとはフェニックスで、、、とにかく全力で頑張ります。」
マーティー「これまでご自身と、そしてこのチームが経験してきたことについてお話も伺ってきました。今回のプレイオフは皆さんにとってフラストレーションの溜まる戦いでしたけれども、ここに至る10週間、感情の起伏はかなり大きかったんじゃないでしょうか?」
バイロン「いや、僕らもチームメイトもとにかく一生懸命練習しましたし、日曜日に全力を注いできましたから。まあそうですね、時には何も得られないこともありますし、この数週間はまさにそうでした。正直なところ、この1年を通して崖っぷちの時もありました。でも、人生にはそういう時もありますし、粘り強く立ち直らないといけないので。僕らはそうでした。それで今は本当に最高の気分です。」
ポールシッターでレースを支配していたバイロンと、31位スタートだろうが得意のトラックで平然と優勝争いにたどり着いたブレイニー。ラウンドオブ8最後の戦いとして文句のつけようがない素晴らしいレースでした。バイロンは強引に抜いては行きましたが、ブレイニーはレース後もその点について責めることもなく、自分も同じことをしていただろう、としました。実際あそこで抜かれなくてもどこかで同じことは起きたでしょう。
ブレイニーはひょっとすると下位スタートが最後のあと一押しの部分で不利益になっていたかもしれません。ずっと集団の中を掻き分けて走ったので、確かに抜きながら走るとタイヤを使いがちではありますが、自分よりかなり遅い相手だとペース自体が遅くて抜く場面以外であまりタイヤを使わない、ということもあります。自分のペースで空いた場所を走るということが無いままレースが進んだので、いざクリーンエアーで自分のペースで走った時に、どういうタイムで走るとタイヤがどう落ちるのか、という材料が不足したことはアジャストやペース配分に影響があったのではないかとも思いました。
しかしまあバイロンにしてもラーソンにしても、あるいはプレイオフからは脱落した他の選手にしても、リスタートからの狭い空間でのサイド バイ サイドで非常にフェアーで見ごたえのある走りを常に見せており、展開的に終盤の順位操作やら集団戦法やらも無くて純粋にマーティンズビルのレースとして面白い、という好レースだったと思いました。届かなかったチェイス、ベル、ロガーノ、プレイオフ外の選手、全てを称賛したいです。そういう場面があるからこそ最後の感情むき出しのバンパーを使った走りに意味があるというもので、いつもそればっかりやってたら面白くないですね。
改めて、今年のチャンピオンシップ4に生き残ったのはカイル ラーソン、ウイリアム バイロン、チェイス ブリスコー、デニー ハムリンの4人。ちなみにプレイオフ制度が無かったと仮定して単純にポイントを積算した『非プレイオフ順位』で言えば1位、2位、6位、7位の選手です。バイロンとラーソンはたった11点差なので、仮にプレイオフが無くても今年のチャンピオン争いが最終戦までもつれ込む激戦ということになります、どうでも良いですけど。
次戦、最終戦フェニックスで4人のうち最上位だった選手が2025年のカップシリーズチャンピオン。経験者はラーソンだけなので 3/4 の確率で新たなチャンピオンの誕生です。ああ、せっかく祝日で月曜日が休みなんだから生放送で見たい!
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コメント
すいません単純に打ち間違えましたm(_ _)mペンスキー不在でヘンドリック vs JGRの最終決戦、楽しみですね。珍しくハムリン全力応援で行こうと思いますが、まあ誰が勝っても期待を裏切らないレースに自然となるだろうなと思うので、とりあえず水曜日は4時起きしてYouTube見ようと思います(笑)